JP2002109961A - 透明導電膜及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

透明導電膜及びそれを用いた表示装置

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JP2002109961A
JP2002109961A JP2000295545A JP2000295545A JP2002109961A JP 2002109961 A JP2002109961 A JP 2002109961A JP 2000295545 A JP2000295545 A JP 2000295545A JP 2000295545 A JP2000295545 A JP 2000295545A JP 2002109961 A JP2002109961 A JP 2002109961A
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transparent
film
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JP2000295545A
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Kazumichi Mori
一倫 森
Naoki Takamiya
直樹 高宮
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波遮蔽効果および反射防止効果に優れ、
高い化学的安定性を有し、しかも視認性が優れた透明導
電膜およびこの透明導電膜が表示面に形成された表示装
置を得ることを目的とする。 【解決手段】 本発明の透明導電膜は、少なくともルテ
ニウム化合物微粒子と金微粒子とを含む導電層を備えた
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明導電膜及びそれ
を用いた表示装置に関し、特に、陰極線管やプラズマデ
ィスプレイなどの表示面に用いて優れた帯電防止効果と
電磁波遮蔽効果ならびに反射防止効果を有し、透過画像
の視感においては暗部が人間の目が最も黒味を強く感じ
る青味を帯びた黒色を呈し、その結果、コントラストが
高くなり、かつ化学的安定性に優れた透明導電膜、およ
びこの透明導電膜を表示面に形成した表示装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、TVブラウン管、あるいはコンピ
ュータのディスプレイなどに用いられている表示装置の
1種である陰極線管は、赤色、緑色、青色に発光する蛍
光面に電子ビームを射突させることによって文字や画像
を表示面に映し出すものであるから、この表示面に発生
する静電気により埃が付着して視認性が低下する他、電
磁波を放射して環境に悪影響を及ぼす等の惧れがある。
また、最近では、壁掛けテレビなどとしての応用が進め
られているプラズマディスプレイにおいても、静電気の
発生や電磁波放射の可能性が指摘されている。
【0003】そこで、これらの問題を解決するために、
例えば、特開平8−77832号公報においては、平均
粒径2nm〜200nmの少なくとも銀を含む金属微粒
子による透明金属薄膜と、この透明金属薄膜と屈折率が
異なる透明薄膜とからなる透明導電膜が提案されてい
る。この透明導電膜は、電磁波遮蔽効果と反射防止効果
に優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の透明導電膜では、電磁波遮蔽効果は期待できる
ものの、銀の光透過スペクトルに依存して400nm〜
500nmの透過光に吸収が生じるために、この透明導
電膜が黄色に着色して、透過画像の色相が黄色味を帯
び、したがって、深みのある黒色が表示できず、その結
果、画像コントラストが低下するという問題点があっ
た。また、この透明導電膜では、化学的安定性が低いた
めに、薬液中に浸漬すると導電膜の表面抵抗値が上昇し
電磁波遮蔽効果が低下するので、取り扱い上において注
意を要するなどの問題点があった。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、電磁波遮蔽効果および反射防止効
果に優れ、透過画像の色相が一般に深みのある黒色とさ
れる青味を帯びた黒色とされ、更に、高い化学的安定性
を有することとされた透明導電膜及びそれを用いた表示
装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表示装置
の表示面に優れた視認性と電磁波遮蔽効果を付与すべ
く、金属微粒子を含有する塗料を塗布することにより形
成される透明導電膜について鋭意研究した結果、特に、
ルテニウム化合物微粒子と金微粒子が均一に分散した塗
料、更には着色材が均一に分散した塗料、を用いて形成
された薄膜に熱処理を施した透明導電膜は、色調ならび
に化学的安定性に優れ、しかも優れた導電性能ならびに
反射防止性能を有するという知見を得、本発明に到達し
た。
【0007】すなわち、本発明の透明導電膜は、少なく
ともルテニウム化合物微粒子と金微粒子とを含む導電層
を備えてなることを特徴とする。
【0008】この透明導電膜では、導電層が少なくとも
ルテニウム化合物微粒子と金微粒子とを含むことによっ
て、帯電防止効果ならびに電磁波遮蔽効果を発現するに
十分な電気伝導度を有し、耐塩水性に代表される耐候性
も良好である。また、この透明導電膜を表示装置の表示
面に形成すると、透過画像の色調が青味を帯びた黒色と
なり、色相が自然で画像コントラストが高く視認性の良
好な表示装置が得られる。
【0009】前記ルテニウム化合物は、ルテニウムの塩
素化合物、ルテニウムのホウ素化合物から選択された少
なくとも1種であることが好ましい。
【0010】前記導電層中のルテニウム化合物微粒子:
金微粒子の重量比は、50:50ないし99:1の範囲
内であることが好ましい。なぜならば、金微粒子の比率
が上記比率を越えると、導電層の屈折率が変化し反射特
性が悪化してしまうからであり、また、上記比率よりも
少ないと、導電性が低下するからである。
【0011】前記導電層は、少なくともルテニウム化合
物微粒子と金微粒子とを含む塗料を塗布して形成された
ものであることが好ましい。この透明導電膜は、前記の
塗料(以下「導電層形成用塗料」という)を用いて形成
された導電層を含むことにより、優れた帯電防止効果な
らびに電磁波遮蔽効果を有するとともに、耐塩水性に代
表される耐候性が良好となり、しかも、塗料成分の凝集
物などによる膜欠陥が極めて少ない塗膜が得られる。
【0012】前記導電層の上層および/または下層に、
前記導電層とは屈折率の異なる透明層が少なくとも1層
形成されていることが好ましい。前記透明層を形成する
ことによって、透明導電膜は反射防止性能が向上し、外
光の映り込みやヘイズが極めて少ないものとなる。
【0013】前記透明導電膜の少なくとも1層に着色材
を含有していてもよい。この透明導電膜は、導電層がル
テニウム化合物微粒子と金微粒子とを含むことによっ
て、透過画像の色調が青味を帯びた黒色となりコントラ
ストが改善されるが、前記導電層および/または前記透
明層に着色材を含有させることにより、透明導電膜に選
択吸収フィルタの機能を付与することが可能になり、透
明導電膜の透過画像が極めて鮮明となる。
【0014】本発明の表示装置は、前記いずれかの透明
導電膜が表示面に形成されていることを特徴とする。こ
の表示装置では、前記透明導電膜が表示面に形成された
ことによって、優れた帯電防止効果ならびに電磁波遮蔽
効果を有し、耐塩水性に代表される耐候性が良好であ
る。また、透過画像の色調が青味を帯びた黒色を呈する
ことにより、コントラストが高く、また導電層が前記導
電層形成用塗料を塗布して形成された場合には塗膜外観
においても塗料成分の凝集物などによる膜欠陥が極めて
少ない平滑なものとなる。
【0015】また、前記透明導電膜が着色材を含有する
場合には、透過画像は極めて鮮明なものとなる。更に、
前記導電層の上層および/または下層に、前記導電層と
は屈折率の異なる透明層を少なくとも1層形成したもの
であれば、反射防止効果も向上し視認性がいっそう改善
される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の透明導電膜および表示装
置の一実施の形態を好ましい具体例によって説明する。
本発明の透明導電膜における導電層は、ルテニウム化合
物微粒子および金微粒子を含有する塗料(導電層形成用
塗料)を用いて形成された薄膜に熱処理を施すことによ
って得られ、高い導電性と高い化学的安定性を有すると
共に、この導電層を透過した画像は、比較的自然光に近
い色調を保っている。特に、透過画像の色調に関して
は、金属微粒子の含有量は、重量比で、ルテニウム化合
物:金=50:50〜99:1の範囲内であることが好
ましい。
【0017】導電層形成用塗料に用いられるルテニウム
化合物微粒子および金微粒子の粒径は、1nm〜50n
mの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、2
nm〜30nmの範囲内である。ここで、粒径を上記の
ように限定した理由は、個々の金属微粒子の粒径が1n
mを下回ると金属としての性質が損なわれ、導電性が低
下し、また、50nmを超えると塗料中においてルテニ
ウム化合物微粒子および金微粒子の凝集傾向が強くな
り、均一な塗膜の形成が困難となるからである。
【0018】本発明の透明導電膜は、少なくともいずれ
かの1層に着色材を含有させることにより、透明導電膜
に選択吸収フィルタの機能を付与することが可能にな
る。これにより、赤・緑・青の3原色の主波長部分を選
択的に透過させることができ、色彩コントラストが改善
され、鮮明な透過画像が得られるようになる。前記着色
材は、透明導電膜を形成するいずれの層に含有させても
よいが、導電層に含有させる場合は、その含有量は金属
微粒子の含有量に対して20重量%以下、特に10重量
%以下とすることが好ましい。ここで、含有量を上記の
ように限定した理由は、20重量%を越えると、導電性
の低下および膜強度の劣化が認められ、電磁波遮蔽効果
に支障を来すことになるからである。
【0019】前記着色材として用いることができる物質
の例としては、例えば、モノアゾピグメント、キナクリ
ドン、アイアンオキサイド・エロー、ジスアゾピグメン
ト、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、
シアニンブルー、フラバンスロンエロー、ジアンスラキ
ノリルレッド、インダンスロンブルー、チオインジゴボ
ルドー、ペリレンオレンジ、ペリレンスカーレット、ペ
リレンレッド178、ペリリレンマルーン、ジオキサジ
ンバイオレット、イソインドリンエロー、ニッケルニト
ロソエロー、マダーレーキ、銅アゾメチンエロー、アニ
リンブラック、アルカリブルー、亜鉛華、酸化チタン、
弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンエロ−、コバルトブル
ー、セルリアンブルー、コバルトグリーン、アルミナホ
ワイト、ビリジアン、カドミウムエロー、カドミウムレ
ッド、朱、リトポン、黄鉛、モリブデートオレンジ、ク
ロム酸亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カル
シウム、鉛白、群青、マンガンバイオレット、エメラル
ドグリーン、紺青、カーボンブラックなどの有機および
無機顔料、ならびにアゾ染料、アントラキノン染料、イ
ンジゴイド染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染
料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニ
トロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキ
ノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料などの各
種染料を挙げることができる。これらの着色材は単独
で、または2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0020】用いる着色材の種類と量は、対応する透明
導電膜の光学的な膜特性に対応して適宜選択することが
可能である。透明性薄膜の吸光度Aは、一般的には下記
の式(1)で表わされる。 A=log10(I0/I)=εCD ……(1) 式(1)中、I0:入射光、I:透過光、C:色濃度、
D:光距離、ε:モル吸光係数である。
【0021】本発明の透明導電膜では、一般に、モル吸
光係数がε>10の着色材が用いられる。また、着色材
の含有量は、使用する着色材のモル吸光係数に依存して
変わるが、着色材を含有した積層膜および/または単層
膜の吸光度Aが0.0004〜0.0969abs.の
範囲内となるような含有量であることが好ましい。これ
らの条件が満たされない場合、透明度および/または反
射防止効果が低下する。
【0022】本発明の透明導電膜においては、導電層
は、前記の金属微粒子に加えて、平均粒径が100nm
以下のシリカ微粒子を前記金属微粒子に対して1重量%
〜80重量%の範囲内で含有した構成としてもよい。こ
のシリカ微粒子を含む前記導電層形成用塗料を塗布し成
膜した導電層は、膜強度が著しく向上し、スクラッチ強
度が向上する。
【0023】また、導電層にシリカ微粒子を含有させる
ことによって、その上層および/または下層にこの導電
層の屈折率とは異なる屈折率を有する透明層を1層以上
形成する場合には、この透明層のシリカ系バインダー成
分との濡れ性が良いため、双方の層の密着性が向上する
という利点もあり、スクラッチ強度をいっそう改善する
ことができる。ここで、シリカ微粒子は、膜強度の向上
と導電性とを両立させる観点から、金属微粒子に対して
20重量%〜80重量%の範囲内で含有させることが更
に好ましい。
【0024】また前記導電層は、前記の成分の他、膜強
度や導電性の向上を目的として必要に応じて他の成分、
例えば、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、セリウ
ム、チタン、イットリウム、亜鉛、マグネシウム、イン
ジウム、錫、アンチモン、ガリウムなどの酸化物、複合
酸化物、または窒化物、特に、インジウムや錫の酸化
物、複合酸化物または窒化物を主成分とする無機物の微
粒子や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、紫
外線硬化樹脂などの有機系合成樹脂、珪素、チタン、ジ
ルコニウムなどの金属アルコキシドの加水分解物、また
はシリコーンモノマー、シリコーンオリゴマーなどの有
機・無機系バインダー成分などを含有してもよい。
【0025】前記の少なくとも金属微粒子を含む導電層
形成用塗料を基材上に塗布する方法としては、スピンコ
ート法、ロールコート法、スプレー法、バーコート法、
ディップ法、メニスカスコート法、グラビア印刷法など
の通常の薄膜塗布技術がいずれも使用可能である。これ
らの内、スピンコート法は、短時間、しかも容易に均一
な厚みの薄膜を形成することができるので特に好まし
い。
【0026】帯電防止機能に加えて電磁波遮蔽効果を発
揮させるために必要な透明導電膜の導電性能は、下記の
式(2)によって表わされる。 S=50+10・log(1/ρf)+1.7t√(fρ) ……(2) 式(2)中、 S(dB);電磁波シールド効果 ρ(Ω・cm);導電膜の体積固有抵抗 f(MHz);電磁波周波数 t(cm);導電膜の膜厚 である。
【0027】ここでは、上記の膜厚tは、光透過率の観
点から1μm(1×10-4cm)以下の程度とすること
が好ましいので、式(2)において膜厚tを含む項を無
視すれば、電磁波シールド効果Sは近似的に下記の式
(3)で表わすことができる。 S=50+10・log(1/ρf) ……(3) ここで、S(dB)は、値が大きいほど電磁波シールド効
果が大きい。
【0028】一般に、電磁波シールド効果は、S>60
dBであれば優良とみなされるが、特にディスプレイ表
面の導電膜に関しては、S>80dBの電磁波シールド
効果が望まれている。また、規制対象となる電磁波の周
波数は、一般に10kHz〜1000MHzの範囲とされて
いるので、透明導電膜の導電性としては、103Ω・c
m以下の体積固有抵抗値(ρ)が必要になる。
【0029】すなわち、透明導電膜の体積固有抵抗値
(ρ)は、より低いほうが、より広範囲の波数帯域の周
波数の電磁波を有効に遮蔽することができることにな
る。そこで、この条件を充たすために、透明導電膜中の
導電層の膜厚を10nm以上とし、更に、金属微粒子を
10重量%以上含有させる必要がある。膜厚が10nm
未満あるいは金属微粒子の含有率が10重量%未満の場
合は、導電性が低下し、実質的な電磁波遮蔽効果を得る
ことが困難になる。
【0030】本発明の透明導電膜は、前記導電層の上層
および/または下層に、少なくとも1層の透明層が積層
されていることが好ましい。この透明層は、前記導電層
の屈折率と異なる屈折率を有するものが好ましい。これ
によって、導電層を保護するばかりでなく、得られた透
明導電膜の層間界面における外光反射を有効に除去また
は軽減することができる。
【0031】透明層を形成する素材としては、例えば、
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ブチ
ラール樹脂などの熱可塑性、熱硬化性、または光・電子
線硬化性樹脂;珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニ
ウムなどの金属アルコキシドの加水分解物;シリコーン
モノマーまたはシリコーンオリゴマーなど、が単独もし
くは混合して用いられる。
【0032】特に好ましい透明層は、膜の表面硬度が高
く、屈折率が比較的低いSiO2の薄膜である。このS
iO2薄膜を形成し得る素材の例としては、例えば、次
の分子式 M(OR)mn (ただし、MはSiであり、RはCl〜C4のアルキル基
であり、mはl〜4の整数であり、nは0〜3の整数で
あり、かつm+nは4である)で表わされる化合物、ま
たはその部分加水分解物のl種またはそれ以上の混合物
を挙げることができる。
【0033】この分子式の化合物の例として、特に、テ
トラエトキシシラン(Si(OC254)は、薄膜形
成性、透明性、導電層との接合性、膜強度および反射防
止性能の観点から好適に用いられる。前記の透明層は、
導電層と異なる屈折率に設定できるのであれば、各種樹
脂、金属酸化物、複合酸化物、または窒化物など、また
は焼き付けによってこれらを生成することができる前駆
体などを含んでもよい。
【0034】透明層の形成は、導電層の形成に用いた方
法と同様に、前記の成分を含む塗布液(以下「透明層形
成用塗料」という)を均一に塗布して成膜する方法によ
って行うことができる。塗布法としては、スピンコート
法、ロールコート法、スプレ一法、バーコート法、ディ
ップ法、メニスカスコート法、グララビア印刷法などの
通常の薄膜塗布技術がいずれも使用可能である。これら
の内、スピンコート法は、短時間で、しかも容易に均一
な厚みの薄膜を形成することができるので、特に好まし
い。塗布後、塗膜を乾操し、導電層と共に100℃〜5
00℃で焼き付けることによって透明層が得られる。
【0035】一般に、多層薄膜における層間界面反射防
止性能は、薄膜の屈折率と膜厚、および積層薄膜数によ
り決定されるため、本発明の透明導電膜においても、導
電層および透明層の積層数を考慮して、それぞれの導電
層および透明層の厚みを設計することにより、効果的な
反射防止効果が得られる。反射防止能を有する多層膜で
は、防止しようとする反射光の波長をλとするとき、2
層構成の反射防止膜であれば基材側から高屈折率層と低
屈折率層とをそれぞれλ/4、λ/4、またはλ/2、
λ/4の光学的膜厚とすることによって効果的に反射を
防止することができる。
【0036】また3層構成の反射防止膜であれば、基材
側から中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層の順に
λ/4、λ/2、λ/4の光学的膜厚とすることが有効
である。特に、製造上の容易さや経済性を考慮すると、
導電層の上層に、屈折率が比較的低く、ハードコート性
を兼ね備えたSiO2膜(屈折率1.46)をλ/4の
膜厚で形成することが好ましい。
【0037】導電層と透明層とを含む本発明の透明導電
膜は、導電層および透明層の焼き付けを順次行ってもよ
く、また、同時に行ってもよい。例えば、導電層形成用
塗料を表示装置の表示面に塗布し、その上層に透明層形
成用塗料を塗布し、乾燥後に100℃〜500℃の温度
で一括焼き付けることによって、導電層と透明層とを同
時に形成し、低反射性の透明導電膜を形成することがで
きる。
【0038】前記透明導電膜の最外層には、凹凸を有す
る透明層を設けることが好ましい。この凹凸層は、透明
導電膜の表面反射光を散乱させ、表示面に優れた防眩性
を与える効果がある。凹凸層の材質としては、表面硬度
と屈折率の観点からシリカが好適である。この凹凸層
は、凹凸層形成用塗料を前記透明導電膜の最外層として
前記と同様の各種コーティング法により塗布し、乾燥後
に前記の導電層や透明層と同時に、または別途に、10
0℃〜500℃の温度で焼付けて形成することができ
る。特に、凹凸層の塗布方法としては、スプレーコート
法が好適に用いられる。
【0039】本発明の表示装置は、前記の何れかの透明
導電膜が表示面上に形成されている。この表示装置は、
表示面の帯電が防止されているので画像表示面に挨など
が付着せず、電磁波が遮蔽されるので各種の電磁波障害
が防止され、光透過性に優れているので画像が明るく、
透過画像の色相が自然でコントラストが高く、表示面の
外観が平滑であり、しかも化学的安定性が高いので取り
扱い上における制限もほとんど無くなる。また導電層の
他に、前記の透明層および/または凹凸層が形成されて
いれば、外光に対する優れた反射防止効果および/また
は防眩効果も得られる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。実施例および比較例に共通の原液として下記
のものを調製した。 (ルテニウム化合物水性ゾル)1.5ミリモル/lの塩
化ルテニウムを含む水溶液と0.24ミリモル/lの水
素化ホウ素ナトリウム水溶液とを混合し、得られた沈殿
物を濾別し、純水で数回洗浄した後、サンドミルで粉砕
・分散し、0.198モル/lのルテニウム化合物微粒
子を含む水性ゾルを得た。ルテニウム微粒子の平均粒径
は10nmであった。
【0041】(金水性ゾル)0.15ミリモル/lの塩
化金酸を含む水溶液と、0.024ミリモル/lの水素
化ホウ素ナトリウムとを混合し、得られたコロイド状分
散液を濃縮し、0.102モル/lの金微粒子を含む水
性ゾルを得た。金微粒子の平均粒径は6nmであった。
【0042】(銀水性ゾル)クエン酸ナトリウム二水和
物(14g)と硫酸第一鉄(14g)とを溶解した5℃
の水溶液(60g)に、硝酸銀(2.5g)を溶解した
pH5.9の水溶液(25g)を加え、赤褐色の銀ゾル
を得た。この銀ゾルを遠心分離により水洗して不純物イ
オンを除去した後、純水を加えて0.185モル/lの
銀微粒子を含む水性ゾルを得た。
【0043】(透明薄膜塗料A)テトラエトキシシラン
(0.8g)と0.1N塩酸(0.8g)とエチルアル
コール(98.4g)とを混合し、均一な溶液とした。 (コロイダルシリカ)日本化学工業社製「シリカドール
30」
【0044】(実施例1) 導電層形成用塗料の調製:前記ルテニウム化合物水性ゾ
ル9g、金水性ゾル1g、コロイダルシリカ0.1g、
エチルセロソルブ10g、エチルアルコール79.9g
を攪拌混合し、得られた混合液を超音波分散機(BRANSO
N ULTRASONICS社製「ソニフアイヤー450」)で分散
し、導電層形成用塗料を調製した。塗料中のRu:Au
重量比は90:10、金属微粒子:SiO2重量比は1
00:20であった。
【0045】成膜:前記の導電層形成用塗料をブラウン
管の表示面にスピンコーターを用いて塗布し、乾燥後、
この塗布面に前記の透明層形成用塗料を、同様にスピン
コーターを用いて塗布し、このブラウン管を乾燥機に入
れ、150℃で1時間焼き付け処理して透明導電膜を形
成することにより、反射防止性の透明導電膜を有する実
施例1の陰極線管を作製した。
【0046】(実施例2) 導電層形成用塗料の調製:前記ルテニウム化合物水性ゾ
ル6g、金水性ゾル4g、コロイダルシリカ0.1g、
エチルセロソルブ10g、エチルアルコール79.9g
を攪拌混合し、得られた混合液を超音波分散機(BRANSO
N ULTRASONICS社製「ソニフアイヤー450」)で分散
し、導電層形成用塗料を調製した。塗料中のRu:Au
重量比は60:40、金属微粒子:SiO2重量比は1
00:20であった。
【0047】成膜:前記の導電層形成用塗料をブラウン
管の表示面にスピンコーターを用いて塗布し、乾燥後、
この塗布面に前記の透明層形成用塗料を、同様にスピン
コーターを用いて塗布し、このブラウン管を乾燥機に入
れ、150℃で1時間焼き付け処理して透明導電膜を形
成することにより、反射防止性の透明導電膜を有する実
施例2の陰極線管を作製した。
【0048】(実施例3) 導電層形成用塗料の調製:前記ルテニウム化合物水性ゾ
ル6g、金水性ゾル4g、コロイダルシリカ0.1g、
青色顔料分散液(山陽色素社製:SANDYE SUPER BLUE
KR)0.1g、エチルセロソルブ10g、エチルア
ルコール79.8gを攪拌混合し、得られた混合液を超
音波分散機(BRANSON ULTRASONICS社製「ソニフアイヤ
ー450」)で分散し、導電層形成用塗料を調製した。
塗料中のRu:Au重量比は60:40、金属微粒子:
SiO2重量比は100:20、金属微粒子:顔料重量
比は100:10であった。
【0049】成膜:前記の導電層形成用塗料をブラウン
管の表示面にスピンコーターを用いて塗布し、乾燥後、
この塗布面に前記の透明層形成用塗料を、同様にスピン
コーターを用いて塗布し、このブラウン管を乾燥機に入
れ、150℃で1時間焼き付け処理して透明導電膜を形
成することにより、反射防止性の透明導電膜を有する実
施例3の陰極線管を作製した。
【0050】(比較例1) 導電層形成用塗料の調製:前記ルテニウム化合物水性ゾ
ル10g、コロイダルシリカ0.1g、エチルセロソル
ブ10g、エチルアルコール79.9gを攪拌混合し、
得られた混合液を超音波分散機(BRANSON ULTRASONICS
社製「ソニフアイヤー450」)で分散し、導電層形成
用塗料を調製した。金属微粒子:SiO2重量比は10
0:20であった。
【0051】成膜:前記の導電層形成用塗料をブラウン
管の表示面にスピンコーターを用いて塗布し、乾燥後、
この塗布面に前記の透明層形成用塗料を、同様にスピン
コーターを用いて塗布し、このブラウン管を乾燥機に入
れ、150℃で1時間焼き付け処理して透明導電膜を形
成することにより、反射防止性の透明導電膜を有する比
較例1の陰極線管を作製した。
【0052】(比較例2) 導電層形成用塗料の調整:前記銀水性ゾル10.0g、
コロイダルシリカ0.1g、エチルセロソルブ10g、
エチルアルコール79.9gを攪拌混合し、得られた混
合液を超音波分散機(BRANSON ULTRASONICS社製「ソニ
フアイヤー450」)で分散し、導電層形成用塗料を調
製した。金属微粒子:SiO2重量比は100:20で
あった。
【0053】成膜:前記の導電層形成用塗料をブラウン
管の表示面にスピンコーターを用いて塗布し、乾燥後、
この塗布面に前記の透明層形成用塗料を、同様にスピン
コーターを用いて塗布し、このブラウン管を乾燥機に入
れ、150℃で1時間焼き付け処理して透明導電膜を形
成することにより、反射防止性の透明導電膜を有する比
較例3の陰極線管を作製した。
【0054】(評価試験)陰極線管上に形成された低反
射透明導電膜の性能を下記の装置または方法で試験し、
また、外観を目視により評価した。 ルテニウム結合元素:ESCAにより同定 膜厚:SEM観察により測定 表面抵抗:三菱化学社製「ロレスタAP」(四端針法) 電磁波遮蔽性:0.5MHz基準で前記式(2)により計
算 耐塩水性:塩水浸漬3日後の0.5MHz電磁波遮蔽効果 透過率:東京電色社製「Automatic Haze Meter HII
I DP」 ヘーズ:東京電色社製「Automatic Haze Meter HII
I DP」
【0055】透過色:日立製作所製「U-3500」形
自記分光光度計を用い、可視光領域における透過色の色
彩(a*,b*)値を求めた。(可視光領域における透
過色の色彩a*,b*の値が0に近いと、透過色は黒味
のあるものとなる。加えてa*がマイナス領域にある
と、透過色は人間の目が最も黒味を強く感じる青味を帯
びた黒色となり、透過画像の色相が鮮明となる) 視感反射率:EG&G GAMMASCIENTIFIC社製「MODEL
C−11」 スクラッチ試験:1kgの荷重下に、シャープペンシル
先端の金属部分で膜表面を擦り、傷の付き具合を目視に
より評価 ○:傷無し ×:傷付き 視認性:低反射性能、反射色、透過色を含む総合評価
【0056】評価試験の結果を表1、表2に示す。
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】表1、表2の結果から、実施例1〜実施例
3の陰極線管は、比較例1および比較例2と比べ、特
に、透過率差が10%以下となっていて、透過画像の色
相が自然色に近く、暗部が黒色に近づく。また、透過色
においてa*、b*の値が0に近くかつa*がマイナス
領域にあることから、暗部が青味を帯びた黒色となり、
より深みのある色調の鮮明な画像が得られていることが
わかる。また、従来の銀微粒子を用いた比較例2に比べ
ると、耐塩水性においても大幅に改善されていることが
わかる。
【0059】
【発明の効果】本発明の透明導電膜は、少なくともルテ
ニウム化合物微粒子と金微粒子とを含む導電層を備えた
ので、優れた帯電防止効果と電磁波遮蔽効果を有すると
共に、化学的安定性に優れている。
【0060】本発明の表示装置は、その表示面に本発明
の透明導電膜を形成した構成としたので、透過画像の視
感においては暗部が人間の目が最も黒味を強く感じる青
味を帯びた黒色を呈し、その結果、コントラストが向上
し、視認性に優れた画像を得ることができる。本発明の
表示装置が陰極線管やプラズマディスプレイ(PD)の
場合においては、優れた帯電防止効果、電磁波遮蔽効果
ならびに反射防止効果を有する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA01A AA05A AB25A AG00 AR00A AR00B AR00C BA02 BA03 BA06 BA07 BA10B BA10C CA13B CA13C CA21A CC00A DE01A EG002 EH46A EH462 EJ862 GB41 JD08 JG01A JG03 JN01B JN01C JN06 JN18B JN18C 4G059 AA07 AA08 AC02 AC12 DA02 DA03 DB05 5G307 FA01 FB02 FC04 FC08 FC10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともルテニウム化合物微粒子と金
    微粒子とを含む導電層を備えてなることを特徴とする透
    明導電膜。
  2. 【請求項2】 前記ルテニウム化合物は、ルテニウムの
    塩素化合物、ルテニウムのホウ素化合物から選択された
    少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の
    透明導電膜。
  3. 【請求項3】 前記導電層中のルテニウム化合物微粒
    子:金微粒子の重量比は、50:50ないし99:1の
    範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の
    透明導電膜。
  4. 【請求項4】 前記導電層は、少なくともルテニウム化
    合物微粒子と金微粒子とを含む塗料を塗布して形成され
    たことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記
    載の透明導電膜。
  5. 【請求項5】 前記導電層の上層および/または下層
    に、前記導電層とは屈折率の異なる透明層が少なくとも
    1層形成されていることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれか1項記載の透明導電膜。
  6. 【請求項6】 前記透明導電膜を構成する層のうち少な
    くとも1層に着色材を含有したことを特徴とする請求項
    1ないし5のいずれか1項記載の透明導電膜。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項記載の
    透明導電膜が表示面に形成されていることを特徴とする
    表示装置。
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