JP2002103885A - ボールペン筆記体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 ノック式筆記具搭載用の誤記修正用ボールペ
ン筆記体を提供する。 【解決手段】 インキ収容管１２内には酸化チタンとゲ
ル化剤を有し、顔料の沈降が防止されると共に流動性が
極力損なわれないように配合された白色顔料インキが充
填されたボールペン筆記体５に於いて、上記ボールペン
筆記体５のチップは、前端に先端ボール７を有し、その
先端ボール７に直接又はアイドル部材を介してその背面
に当接する受け部材が設けられ、その受け部材の軸心に
チップ上向きでインキの導孔が密閉可能となる弁機構が
一体に設けられると共に、該受け部材の背面にスプリン
グ１１が敷設されて、そのスプリング１１によって先端
ボール７がチップ６のボール抱持部６ａの内縁に密接す
るように押圧され、筆記作業に伴う先端ボールの押圧に
よって先端ボール７と連動して受け部材８が後退自在と
なるように構成されてなる先端にボールペンのチップ６
と後方にインキ収容管１２を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、乾燥しやすくインキ切
れしやすいインキ、種々のフィラーが混入された目詰ま
りしやすいインキ、主として誤記等を白色のインキで隠
蔽することで修正可能とする顔料と溶剤が分離しやすく
目詰まりしやすいインキなどを使用したボールペン筆記
体の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】又、従来知られる修正塗布具は顔料等を
含んで隠蔽力を有するインキ等の液体を塗布液としてお
り、顔料が沈降して溶液と分離してしまう問題があり、
インキ収容管内にボール等を挿入させてインキを攪拌す
る手段が設けられている。その為、使用時に塗布具を振
ってインキを攪拌する作業が必要である。又、インキ収
容管に可撓性を持たせて、その側壁を手加減で押圧して
インキを吐出させる為にインキを出し過ぎてムラを生じ
たり乾燥が遅い等の問題がある。又、インキ収容管内の
インキ残量が少なくなった時にはインキ収容管の側壁を
強く押してもインキが吐出されないという苛立たしさが
ある。またボールペン式の場合、乾燥でインキが固化し
て塗布先端部が目詰しやすく正常に戻すのに手間がかか
る問題がある。

【０００３】又、粘度が高く流出しにくいインキ、糊な
どの固まりやすいインキ、金属粉や種々の微少膜片など
が混入されたインキ等を使用した筆記具も上記塗布具と
同様な問題が存在する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、乾燥しやす
く初期筆記でインキがとぎれやすい問題があるインキを
使用したボールペン筆記体の改良、主として目詰まりが
無く、インキ顔料の沈降が無く、従って攪拌する必要が
無く容器の側面を押圧する煩わしさの無い誤記等修正用
のボールペン筆記体を提供可能とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成する為に以下の構成を有する。請求項１に記載の発明
に係るボールペン筆記体は、チップの後端にインキ収容
管とそのインキ収容管の後端に加圧機構部が設けられ、
インキ収容管内には酸化チタンとゲル化剤を有し、顔料
の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないよ
うに配合された白色顔料インキが充填され、更にそのイ
ンキの後端にインキの消耗と共にインキと追随するフォ
ロアが設けられてなるボールペン筆記体に於いて、上記
チップは、前端に先端ボールを有し、その先端ボールに
直接又はアイドル部材を介してその背面に当接する受け
部材が設けられ、その受け部材の軸心にチップ上向きで
インキの導孔が密閉可能となる弁機構が一体に設けられ
ると共に、該受け部材の背面にスプリングが敷設され
て、そのスプリングによって先端ボールがチップのボー
ル抱持部の内縁に密接するように押圧され、筆記作業に
伴う先端ボールの押圧によって先端ボールと連動して受
け部材が後退自在となるように構成されてなる。

【０００６】請求項２に記載のボールペン筆記体は、請
求項１に記載のボールペン筆記体に於いて、ノック式筆
記具に搭載され、その筆記具の後端から突設して設けら
れたノック筒のノック作動によって加圧機構部が前進作
動されて、インキ収容管の後端孔に空気が押し込まれ、
その際に所定圧で加圧機構部の弁が開いてインキの後端
が加圧されるように構成されてなる。

【０００７】請求項３に記載のボールペン筆記体は、請
求項１又は２に記載のボールペン筆記体に於いて、粘度
が２００００ｍＰａ・ｓ〜２０００００ｍＰａ・ｓ（Ｅ
型粘度計、２５℃）で、剪断減粘性を有するインキであ
ることを特徴とする。

【０００８】

【実施例】図１及び図２は、ボールペン筆記体５をノッ
ク式筆記具に搭載した状態を示しており、前端及び後端
を開口して側面の円周上の一部に後端縁から所要距離前
方位置まで連通した軸方向の長い窓孔１ｄを穿設した軸
筒１と、軸筒１の窓孔１ｄに対向する位置に上方向及び
横方向に弾性変位可能な玉部１ｂを有して当該玉部１ｂ
には係止段部１ｃを設け、又後端部には軸筒１と接合し
た基部１ｅを有するクリップ１ａを樹脂により一体成形
し、又前端を開口したコの字状の基部１ｅの上端にはス
リットに囲まれた箇所を弾性片１ｆとなし、当該弾性片
１ｆの下端には適宜傾斜面１ｇが形成されている。又、
軸筒１の前端には先軸２が螺合などの手段により着脱可
能で固定されている。

【０００９】また一方、詳細は後述するが、ボールペン
筆記体５のチップ６の外周にリターンスプリング４を嵌
装した状態で軸筒１の後端開口部から軸筒１の内部に挿
入して、リターンスプリング４の前端は先軸２の内段部
２ｂに当接させ、後端はインキ収容管１２の前端に当接
させている。

【００１０】又、ノック筒３は、前端開口、後端閉塞上
の筒体で、外周部の同軸線上に前方から係止突起３ａ、
リブ３ｂ、セーフティ片３ｃが一体に形成されている。
ノック筒３は、その内孔に上記ボールペン筆記体５のイ
ンキ収容管１２を嵌挿させた状態で軸筒１の後端から挿
入されて、係止突起３ａ、リブ３ｂ、セーフティ片３ｃ
が軸筒１の窓孔１ｄに嵌装し、セーフティ片３ｃの後端
が上記クリップ１ａの基部１ｅに設けた弾性片１ｆの前
端の段部１ｈに当接して抜け止め係止される。

【００１１】以上により、ノック筒３の後端を前方へ押
圧すると係止突起３ａがクリップ１ａの玉部１ｂを押し
上げてその前方に移動して係止段部１ｃと係合する状態
に位置した時にボールペン筆記体５のチップ７が先軸２
の先端孔２ａから突出する。（図２参照）と共にクリッ
プ１ａの先端部を僅かに上方へ又は横方向へ弾性変位さ
せて係止段部１ｃと係止突起３ａの係合を解除してリタ
ーンスプリング４によってボールペン筆記体５をセーフ
ティ片３ｃが弾性片１ｆの段部１ｈに衝合するまで後退
せしめた状態でボールペン筆記体５のチップ７が先軸２
内部に没入するように各部の寸法を適宜に設定して構成
している。尚、ボールペン筆記体５の交換は軸筒１から
先軸２を外して行うが、ボールペン筆記体５の交換をし
ない使い捨ての場合には、軸筒１と先軸２は一体に形成
することができる。

【００１２】図３及び図４は上述したボールペン筆記体
５（実施例１）を示している。先ず図３に示すように、
ボールペン筆記体５のインキ収容管１２内には白色顔料
インキ１３が充填され、そのインキの後端にインキの消
耗と共にインキと追随するグリース状のフォロア１４が
充填されている。又、フォロアはインキと相溶性が無く
又インキの蒸発を防止する性能を有している。又、必要
に応じてフォロア内にフォロアと略同等の比重を有する
樹脂製のフォロア棒１５が浸漬される。尚、フォロアは
例えばシリコンゴム等の追従体とすることも可能であ
る。

【００１３】また白色顔料インキ１３は酸化チタンとゲ
ル化剤を有し、顔料の沈降が防止されると共に流動性が
極力損なわれないように配合された白色顔料インキであ
る。またインキは剪断減粘性を有しているので先端ボー
ルの回転で粘度が低下するのと相まって隠蔽性の高い塗
布が可能である。またインキは、粘度が高く流出しにく
いインキ、糊などの固まりやすいインキ、金属粉や種々
の微少膜片などが混入されたインキ等を使用することが
可能である。

【００１４】また特開平８−１２９１６号公報に、「酸
化チタンと、増粘性水溶性樹脂と、結合材と、糖アルコ
ールと、水とを少なくとも含み、該組成物の粘度が６０
００〜５００００センチポイズ（Ｅ型粘度計、ｓｔロー
ター、１ｒｐｍ、２５℃）であり、粘性指数（１ｒｐｍ
と１０ｒｐｍにおける粘度の比）が２以上であるボール
ペン用水性白色顔料インキ。」とあり、またインキの粘
度が６０００センチポイズより低い場合、白色顔料であ
る酸化チタンの沈降分離が大きくなり、特に、上向きに
放置された場合の筆跡濃度が極端に低くなり、５０００
０センチポイズより高い場合、インキの吐出性が低く、
書き難くなる。また、粘性指数（１ｒｐｍと１０ｒｐｍ
における粘度の比）が２以上であることが必要である。
と記載されている。

【００１５】ところで、本発明のボールペン筆記体は、
チップ先端部が常時開放され、通常ノック式筆記具等に
搭載されて使用される。従って、繰り返されるノック衝
撃や長期間の経時に対してインキの沈降分離は大きく、
酸化チタンを含有するインキの沈降分離を理想的に防止
するには２００００ｍＰａ・ｓ以上、インキ収容管が太
い場合には５００００ｍＰａ・ｓ以上の粘度が必要と考
えられる。また本発明のボールペン筆記体は、上述した
ようにインキ収容管の後端にポンピング式の加圧機構部
を備えており、インキが筆圧に促して強制的に吐出され
る手段がこうじられているのでかなりな高粘度であって
もインキの吐出が可能であり、またインキは剪断減粘性
を有しているので先端ボールの回転で粘度が低下するの
と相まって隠蔽性の高い塗布が可能となる。またチップ
はインキの直逆流やインキ切れを防止し、且つ先端ボー
ルが大きく後退して目詰まりが容易に排除可能と成され
た構造である。従って、５００００ｍＰａ・ｓ以上でも
インキの吐出性に問題はなく、塗布性や塗布状態を考慮
して上限を２０００００ｍＰａ・ｓ程度とすることが可
能と考えられる。

【００１６】また図３に示すように、チップ６（実施形
態１）は、筒体の前方にテーパー状の段部６ｂを介して
適宜細径とした先端部を有し、その内孔前端のボール抱
持部６ａの内縁が先端ボール７と液密状に密接するよう
に形成されている。又、先端ボール７の背面に当接して
ボール状のアイドル部材９が設けられ、その時アイドル
部材９は段部６ｂの内面に対面してインキ流路となる隙
間６ｄが形成されるように設けられている。尚、アイド
ル部材９は、通常ボール状となされるがそれ以外の軸状
でも可能である。

【００１７】また更にチップ６は、アイドル部材９の背
面に当接する座部８ｂとインキを流入可能とするチャン
ネル部８ａと軸心にチップ上向きでインキの導孔が密閉
可能となる弁機構とを一体に有した受け部材８が設けら
れ、その受け部材８の後端にスプリング１１が配設され
て、筆記作業に伴う先端ボール７の押圧によって先端ボ
ール７と連動して受け部材８が後退自在となるように構
成されている。

【００１８】また弁機構について詳説すると、上記受け
部材８は、前端の所要箇所に溝状のチャンネル部８ａが
形成され、軸心部に弁室８ｆが設けられている。又、弁
室８ｆの前端に段部８ｃが、後端にテーパー状或いは球
面状の弁体受け座８ｄが形成されると共に弁体受け座８
ｄの後方に導孔８ｅが貫通している。そして弁室８ｆ内
に球状の弁体１０（球体以外の形状も可）が受け部材８
に抜出不能に遊嵌されて構成されている。また図に示す
ように、段部８ｃがチャンネル部８ａの溝にかかる状態
に設けられているので弾性変形によって容易に弁体１０
を弁室８ｆ内に挿入することが可能である。

【００１９】ところで、弁体１０が抜出不能となされる
ことは、弁機構がチップ内に正常に組み込まれるため
に、あらかじめ受け部材８の弁室８ｆに弁体１０を遊嵌
しておくのが望ましいためである。弁体が軸状などの場
合には、傾きやすいのでこのことが必要である。尚、弁
体がボール状の場合には、弁体がチップ内孔の片側によ
っても極端に干渉することもなく受け部材を挿入して弁
室内に弁体を挿入する事が可能である。従って、弁体を
抜出不能とするための上記段部８ｃは必ずしも必要とす
るものではない。又その他、弁機構は上記構造より複雑
となるが、チップが下向きの際に膜状の蓋が開口してイ
ンキの流出を可能とし、チップが上向きの際に蓋が閉ま
ってインキの逆流を防止する構造などが考えられる。

【００２０】又、チップ６後端の内孔面に係止段部６ｃ
が設けられている。この係止段部６ｃはチップ６の素材
やチップの組立工程などの設計都合によって種々の手段
で形成可能である。スプリング１１はこの係止段部６ｃ
と受け部材８の後端部８ｇとの間に設けられて、受け部
材８の座部８ｂがアイドル部材９の背面を押圧し、アイ
ドル部材９が先端ボール７の背面を押圧する。

【００２１】ところで、先端ボール７がボール抱持部６
ａの内面に密接することはインキが高粘度であっても筆
記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極めて重要であ
る。従って、特に金属チップの場合には先端ボール７を
抱持するチップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度
を改善する為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる
為の二次的な塑性加工が配慮される。又、必要によって
は先端ボールとの密接面に表面処理などが配慮される。
又、本願のボールペン筆記体は、インキの吐出量を多く
する為や見詰まり排除から通常の筆記用のボールペンに
比較して先端ボールの後退する寸法が大きく設定されて
いる。

【００２２】又、インキ収容管１２の後端にはポンピン
グ式の加圧機構部と弁機構が設けられる。その構成につ
いては以下に説明する。

【００２３】先ず、弁機構について説明する。弁機構
は、インキの後端に接触してインキの消耗と共に追随す
るよう配設されたフォロアの後端に位置して配設され
る。ブッシュ１６は、軸心部に前端から孔が設けられ、
その孔の後端にテーパー状又は球面状の受け座１６ｃが
形成されると共にやや小径と成した孔が後端まで貫通し
て通気口１６ｄが形成されている。又、前端の孔には、
内方に向かって所要箇所で突出した段部１６ｂが設けら
れ、球状の弁体１７が受け座１６ｃに密接する状態に弁
体と段部１６ｂとの間にスプリング１８が敷設されてい
る。ところで、上記ブッシュ１６の段部１６ｂは、周囲
にスリ割り部１６ａ等を設けて弾性変形可能とする片部
に形成されており、インキ収容管１２内に固定される前
段階に於いて容易に弁体１７とスプリング１８を敷設す
ることができる。

【００２４】又、インキ収容管１２の後端にはポンピン
グ式の加圧機構部が設けられる。加圧機構部の構成につ
いて以下に説明する。先ず、インキ収容管１２の後端部
側面に、後端側から先方に向かって細くなるテーパー状
のスリット部１２ｂが形成され、その前端に段部１２ｃ
を有して軸方向前方所定長さのスリット部１２ａが形成
されている。又、ノック棒１９は、後端に鍔部とその前
方に軸部が形成され、鍔部の前端に段部１９ｂが設けら
れ、軸部外周の略中間に突部１９ａと軸部外周の略前端
に周状の溝部１９ｃが設けられて、その溝部１９ｃに一
例としてゴム等の弾性体や弾性のある成形樹脂などより
成るシールリング２０が止着されている。尚、シールリ
ングは、機密性、滑り性のよいものが選択される。又、
他潤滑剤を介在させるなど配慮される。又、シールリン
グ部は軸部外周に一体に形成することも可能である。

【００２５】ノック棒１９は、インキ収容管１２の後端
から挿入され、上記段部１９ｂとインキ収容管１２の後
端との間にノックスプリング２１が敷設されると共に、
突部１９ａが上記テーパー状のスリット部１２ｂを弾性
的に拡開して、突部１９ａが段部１２ｃの前面に係止さ
れ、ノックスプリング２１によってインキ収容管１２に
対しノック棒１９は常時後方に附勢される。又、ノック
棒の軸部前方がインキ収容管１２の後端孔に嵌入し、シ
ールリング２０の外周部が後端孔の内周部に摺接する。
そのとき、シールリング２０は、上記スリット部１２ａ
の略前端にかかった状態に位置しており、従って軸筒の
後端孔（空間部２２）は外気と連通している。即ち、ノ
ック棒１９の前進作動の直前において、インキ収容管１
２の後端孔は外気と連通され、ノック棒１９が適宜前進
した直後においてシールリング２０の外周部がインキ収
容管の内周部に密接することで外気と遮断され、空間部
２２の縮小と共に加圧されるよう構成されている。詳細
は作用で後述する。

【００２６】また図５に示すボールペン筆記体２３は、
ボールペン筆記体の実施例２を示している。上述したボ
ールペン筆記体５との相違はチップの構造である。図に
示すようにチップ２４（実施形態２）は、筒体の前方に
テーパー状の段部２４ｂを介して適宜細径とした先端部
を有し、その内孔前端のボール抱持部２４ａの内縁が先
端ボール２５と液密状に密接するように形成されてい
る。又、先端ボール２５の背面に当接して球面状の先端
部２７ｂを有したアイドル部材２７が設けられ、その時
アイドル部材２７は段部２４ｂの内面に対面してインキ
流路となる隙間２４ｄが形成されるように設けられてい
る。又、アイドル部材２７の後部外周には所要箇所で溝
部２７ａが形成され、後端部は通常略平坦に形成され
る。尚、上記先端部２７ｂは当接部を凸部として、ある
いは当接部を凹部として、側面がテーパー状に形成され
てもよいし、その他設計都合によって適宜に設定され
る。

【００２７】また更にチップ２４は、アイドル部材２７
の背面に前端を当接させ、軸心にチップ上向きでインキ
の導孔が密閉可能となる弁機構とを一体に有した受け部
材２６が設けられ、その受け部材２６の後端にスプリン
グ２９が配設されて、筆記作業に伴う先端ボール２５の
押圧によって先端ボール２５と連動して受け部材２６が
後退自在となるように構成されている。

【００２８】また弁機構について詳説すると、受け部材
２６の前方軸心部に弁室２６ａが設けられ、その弁室の
後端にテーパー状あるいは球面状の弁体受け座２６ｂが
形成されると共に弁体受け座２６ｂの後方に導孔２６ｃ
が貫通されている。そして弁室２６ａ内に球状の弁体２
８（球体以外の形状も可）が遊嵌されている。尚、弁室
前端の周壁に所要箇所で突条を設けて、弾性変形によっ
て容易に弁体２８を弁室２６ａ内に挿入可能とすると共
に弁体２８を弁室内に抜出不能に遊嵌することも可能で
ある。

【００２９】又、チップ２４後端の内孔面に係止段部２
４ｃが設けられている。この係止段部２４ｃはチップ２
４の素材やチップの組立工程などの設計都合によって種
々の手段で形成可能である。スプリング２９はこの係止
段部２４ｃと受け部材２６の後端部２６ｄとの間に設け
られて、受け部材２６の前端部がアイドル部材２７の背
面を押圧し、アイドル部材２７が先端ボール２５の背面
を押圧する。

【００３０】また図６は実施形態３であるチップ３５を
示している。図に示すようにチップ３５は、前端のボー
ル抱持部の内縁が先端ボール３８と液密状に密接するよ
うに形成されている。又、チップ３５はその内孔に、前
端に先端ボール３８の背面に当接するボール座部とイン
キを流入可能とするチャンネル部と軸心にチップ上向き
でインキの導孔が密閉可能となる弁機構とを一体に有し
たボール受け部材３６が設けられ、そのボール受け部材
３６の後端にスプリング３７が配設されて、塗布作業に
伴う先端ボール３８の押圧によって先端ボール３８と連
動してボール受け部材３６が後退自在となるように構成
されている。この先端ボール３８は大径のボールになる
が、上述した実施形態のチップ６に対してアイドル部材
９（実施形態１の）を有さない単純な構造となる。なお
実施形態１，２の先端ボール７，２５は任意に小径とす
ることが可能である。

【００３１】また上記ボール受け部材３６は、前端の所
要箇所に溝状のチャンネル部が形成され、軸心部に弁室
３６ａが設けられている。又、弁室の前端に段部３６ｂ
が、後端にテーパー状或いは球面状の弁体受け座が形成
されると共に弁体受け座の後方に導孔３６ｃが貫通して
いる。上記弁機構は、弁室内に球状の弁体３９（球体以
外の形状も可）が抜出不能に遊嵌されて構成される。図
に示すように、段部３６ｂがチャンネル部の溝にかかる
状態に設けられているので弾性変形によって容易に弁体
３９を弁室内に挿入することが可能である。

【００３２】又、チップ３５後端の内孔面に係止段部３
５ａが設けられている。この係止段部３５ａはチップ３
５の素材やチップの組立工程などの設計都合によって種
々の手段で形成可能である。スプリング３７はこの係止
段部３５ａとボール受け部材３６の後端部との間に設け
られて、ボール受け部材３６のボール座部が先端ボール
３８の背面を押圧する。

【００３３】

【作用】先ず、図１はノック式筆記具の携帯時を示すも
のである。この状態から、ノック筒３の後端を前方へ押
圧すると係止突起３ａがクリップ１ａの玉部１ｂを押し
上げてその前方に移動して係止段部１ｃと係合したとき
にボールペン筆記体５のチップ６が先軸２の先端孔２ａ
から突出する。（図２参照）この状態では、インキ収容
管１２略後端の空間部２２はスリット部１２ａを通じて
外気と連通しており、リターンスプリング４とノックス
プリング２１の設定力はそのようにバランスがとられて
いる。

【００３４】次に、加圧機構部と弁機構の作用を以下に
説明する。図２に示す状態からノック筒３の後端を押圧
して前進すると、チップ６の前進が阻止されると共に、
インキ収容管１２に対しノック棒１９が前進を開始す
る。図４に示すように、シールリング２０の外周部がイ
ンキ収容管１２内周部全周に密接した時点でインキ収容
管略後端の空間部２２が外気と遮断されると共に、ノッ
ク棒１９が更に前進することによってシールリング２０
の外周部がインキ収容管の内周部に密接して摺動し、空
間部２２の縮小と共に内圧が上昇する。その内圧の上昇
によって所定圧で弁体１７が開き、空気が押し込まれる
ことによってフォロアの後端が加圧されてインキのチッ
プ側への流動性が支援される。

【００３５】そのことは、落下衝撃やインキの流動性の
悪さ等に起因して先端ボールの周面からインキが離れて
しまい連続的なインキの流出がとぎれるのを防止する作
用ととぎれた時に回復する作用となる。又、空間部２２
が最大に圧縮された状態でその内圧は弁体１７が開く所
定圧より適宜大きくなるよう設定され、且つ、シール部
からリークするので所定圧より大きく離れて内圧が上が
ることはなく、ほぼ所定圧の空気が押し込まれる。

【００３６】次に、チップの作用を以下に説明する。チ
ップ６の先端部に筆記（塗布）のための押圧がかからな
い状態では、スプリング１１の押圧で先端ボール７がチ
ップのボール抱持部６ａの内縁に密接されているのでイ
ンキの逆流は防止されている。又、チップ６が上向きの
ときには弁体１０が弁体受け座８ｄに密接して導孔８ｅ
を密閉するので、上向き筆記されてチップの先端ボール
７背面のインキがなくなっても、インキにヘッドが掛か
り逆流することがない。従って、チップ６を下向きにし
た時にインキが即流出可能となる。因みに弁体を有しな
い構造では、上向き筆記をするとインキが逆流する。特
に本願のように先端ボールが大きく後退する場合には極
端な逆流が生じる。

【００３７】又、上記の記載を補足すると、インキの直
流及び逆流はスプリング１１による先端ボール７への押
圧で果たされるが、更に弁体を共存させることは、ノッ
ク式筆記具に搭載された場合のノック衝撃や、ボール抱
持部の加工バラツキによる先端ボール７との密接不完全
状態や、ボール抱持部と先端ボール７との隙間に固形物
が付着した場合の密接不完全状態となる際の逆流問題が
補正可能となる。

【００３８】チップ６は、チップの内孔を摺動する受け
部材８の軸心に弁体１０を遊嵌することからかなり太径
のものとなるが、チップの先端部を細くし、アイドル部
材９５を設けることによって、先端ボール７を適宜大き
さに設定することが可能であり、必要な描線幅の筆記具
を選択できる。又、万一先端ボール７が過酷な使用や何
らかの事故で脱落した場合に、アイドル部材９がチップ
の段部６ｂの内面に密接してインキが直流する事故が防
止可能となる。

【００３９】次に、フォロア、フォロアの作用を以下に
説明する。フォロア棒１５は、インキ収容管が大径であ
る場合に使用される。即ち、グリース状やゲル状のフォ
ロア１４は、インキ収容管が大径の場合に衝撃などの影
響で変形を受け破壊されやすいという問題がある。フォ
ロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォ
ロア棒を浸漬させることにより剛性を上げることが可能
となる。フォロア棒は、インキ収容管が大径で逆流しや
すい場合や、上向き塗布を繰り返した時や衝撃がかかっ
た時に性能を発揮するものであって、構成要素として必
須のものではなく、特に誤記修正用の塗布具は上向きに
使用されることは少なく、且つ後端が加圧状態にあるの
で必ずしも必要としない。

【００４０】尚、実施例２のボールペン筆記体２３の基
本的な作用は実施例１のボールペン筆記体５と同じなの
で説明は省略する。又、再びノック式筆記具を携帯する
時には、クリップ１ａの先端部を僅かに上方へ又は横方
向へ弾性変位させて係止段部１ｃと係止突起３ａの係合
を解除すると、リターンスプリング４によってボールペ
ンリフィール５が後退し、チップ７が先軸２内部に没入
する。

【００４１】

【発明の効果】酸化チタンとゲル化剤を有し、顔料の沈
降が防止されると共に流動性が損なわれないように配合
された白色顔料インキと、ポンピングによる加圧機構を
設けることによって、従来のように白色顔料と溶剤とが
分離するような問題がなく、従ってインキを攪拌する必
要がなく、筆記に際して容器の側面を押圧するようなこ
ともなく、更に煩わしいキャップの着脱もない使い勝手
の良いノック式筆記具搭載用の誤記修正用ボールペン筆
記体が提供可能となる。また本発明のノック式筆記具の
構成及び作用は以上の如くであり、乾燥しやすいイン
キ、種々のフィラーが混入された目詰まりしやすいイン
キなどを使用したボールペンのノック式筆記具が問題な
く提供可能となる。また初期筆記でインキ切れしやすい
インキを使用したボールペンが加圧作用に支援されて筆
記可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のボールペン筆記体を搭載したノック式
筆記具の全体を示す一部非断面の縦断面図で、筆記先端
が没入した状態を示している。

【図２】ノックして、筆記先端を突出した状態に於ける
一部非断面の縦断面図である。

【図３】実施例１であるボールペン筆記体の縦断面図で
ある。

【図４】ポンピング式の加圧機構部と弁機構の作動状態
を拡大した断面図である。

【図５】実施例２であるボールペン筆記体の縦断面図で
ある。

【図６】実施形態２のチップを拡大して示した縦断面図
である。

【符号の説明】

１ 軸筒 １ａ クリップ １ｂ 玉部 １ｃ 係止段部 １ｄ 窓孔 １ｅ 基部 １ｆ 弾性片 １ｇ 傾斜面 １ｈ 段部 ２ 先軸 ２ａ 先端孔 ２ｂ 内段部 ３ ノック筒 ３ａ 係止突起 ３ｂ リブ ３ｃ セーフティ片 ４ リターンスプリング ５ ボールペン筆記体 ６ チップ ６ａ ボール抱持部 ６ｂ 段部 ６ｃ 係止段部 ６ｄ 隙間 ７ 先端ボール ８ 受け部材 ８ａ チャンネル部 ８ｂ 座部 ８ｃ 段部 ８ｄ 弁体受け座 ８ｅ 導孔 ８ｆ 弁室 ８ｇ 後端部 ９ アイドル部材 １０ 弁体 １１ スプリング １２ インキ収容管 １２ａ スリット部 １２ｂ テーパー状のスリット部 １２ｃ 段部 １３ インキ １４ フォロア １５ フォロア棒 １６ ブッシュ １６ａ スリ割り部 １６ｂ 段部 １６ｃ 受け座 １６ｄ 通気口 １７ 弁体 １８ スプリング １９ ノック棒 １９ａ 突部 １９ｂ 段部 １９ｃ 溝部 ２０ シールリング ２１ ノックスプリング ２２ 空間部 ２３ ボールペン筆記体 ２４ チップ ２４ａ ボール抱持部 ２４ｂ 段部 ２４ｃ 係止段部 ２４ｄ 隙間 ２５ 先端ボール ２６ 受け部材 ２６ａ 弁室 ２６ｂ 弁体受け座 ２６ｃ 導孔 ２６ｄ 後端部 ２７ アイドル部材 ２７ａ 溝部 ２７ｂ 先端部 ２８ 弁体 ２９ スプリング ３５ チップ ３５ａ 係止段部 ３６ ボール受け部材 ３６ａ 弁室 ３６ｂ 段部 ３６ｃ 導孔 ３７ スプリング ３８ 先端ボール ３９ 弁体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） // Ｂ４３Ｋ 24/08 Ｃ０９Ｄ 11/18 Ｃ０９Ｄ 11/18 Ｂ４３Ｋ 7/02 Ｃ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チップの後端にインキ収容管とそのイン
   キ収容管の後端に加圧機構部が設けられ、インキ収容管
   内には酸化チタンとゲル化剤を有し、顔料の沈降が防止
   されると共に流動性が極力損なわれないように配合され
   た白色顔料インキが充填され、更にそのインキの後端に
   インキの消耗と共にインキと追随するフォロアが設けら
   れてなるボールペン筆記体に於いて、 上記ボールペン筆記体のチップは、前端に先端ボールを
   有し、その先端ボールに直接又はアイドル部材を介して
   その背面に当接する受け部材が設けられ、その受け部材
   の軸心にチップ上向きでインキの導孔が密閉可能となる
   弁機構が一体に設けられると共に、該受け部材の背面に
   スプリングが敷設されて、そのスプリングによって先端
   ボールがチップのボール抱持部の内縁に密接するように
   押圧され、筆記作業に伴う先端ボールの押圧によって先
   端ボールと連動して受け部材が後退自在となるように構
   成されてなるボールペン筆記体。
2. 【請求項２】 ノック式筆記具に搭載され、その筆記具
   の後端から突設して設けられたノック筒のノック作動に
   よって加圧機構部が前進作動されて、インキ収容管の後
   端孔に空気が押し込まれ、その際に所定圧で加圧機構部
   の弁が開いてインキの後端が加圧されるように構成され
   てなる請求項１に記載のボールペン筆記体。
3. 【請求項３】 粘度が２００００ｍＰａ・ｓ〜２０００
   ００ｍＰａ・ｓ（Ｅ型粘度計、２５℃）で、剪断減粘性
   を有するインキであることを特徴とする請求項１又は２
   に記載のボールペン筆記体。