JP2002103623A - 液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出方法

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JP2002103623A JP2001218310A JP2001218310A JP2002103623A JP 2002103623 A JP2002103623 A JP 2002103623A JP 2001218310 A JP2001218310 A JP 2001218310A JP 2001218310 A JP2001218310 A JP 2001218310A JP 2002103623 A JP2002103623 A JP 2002103623A
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    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動部材11を有する液体吐出ヘッドを用い
て、高い周波数で連続して液体を吐出させる。 【解決手段】 第1の吐出滴66aを吐出させるために
形成された気泡40は、気泡形成過程で可動部材11が
共通液室6側を実質的に閉鎖することにより、吐出口4
側に大きく成長し、消泡過程で可動部材11が流路3の
共通液室6側を開放することにより、共通液室6側で速
く消泡し、発熱体10の吐出口4側に残った状態にな
る。この状態では、共通液室6側で気泡40が消泡して
いるので発熱体10の吐出口4側まで一定の液体がリフ
ィルされており、気泡40が消泡しきっていないので、
メニスカスは比較的液体吐出面の近くに位置している。
そこで、この状態から第2の吐出滴66bの吐出を開始
するようにすれば、短い間隔で連続して良好に液体を吐
出させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出方法と、液体吐出ヘッドおよ
び液体吐出装置に関し、特に、気泡の発生を利用して変
位する可動部材を用いた液体吐出方法に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味する。
【0004】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインク(液体)に与
えることで、液体に急峻な体積変化(気泡の発生)を伴
う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力に
よって吐出口から液体を吐出し、これを被記録媒体上に
付着させて画像形成を行なう液体ジェット記録方法、い
わゆるバブルジェット(登録商標)記録方法が従来知ら
れている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装
置には、米国特許第4,723,129号等の公報に開
示されているように、液体を吐出するための吐出口と、
この吐出口に連通する液体流路と、液体流路内に配され
た液体を吐出するためのエネルギー発生手段としての電
気熱変換体が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドでは液体を吐出するための吐出口
を高密度に配置することができるため、小型の装置で高
解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得るこ
とができるという多くの優れた点を有している。このた
め、このバブルジェット記録方法は近年、プリンター、
複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用さ
れており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで
利用されるようになってきている。
【0006】このような記録方法により記録を行う、従
来例の液体吐出ヘッドの電気熱変換体の周りの模式的断
面図を図10に示す。同図に示す例では、電気熱変換体
は、抵抗層100と、その上に積層され、間隔をあけて
対として形成されている電極101a,101bとから
構成されている。すなわち、電圧を印加することにより
発熱を生じる発熱部105が、電極101aと電極10
1bとの間に形成され、この部分が、膜沸騰により気泡
が形成される気泡発生領域となる。そして、抵抗層10
0と電極101a,101bの上には、これらを保護す
る2層の保護層102,103がさらに形成されてい
る。
【0007】発熱部105での発熱により気泡104を
生じさせることによって液体を吐出させる吐出口は、吐
出口Sのように発熱部105に対向する位置に設けられ
る場合(いわゆるサイドシュータ型)と、吐出口Eのよ
うに側方に設けられる場合(いわゆるエッジシュータ
型)とがある。いずれの場合でも、このような構成の液
体吐出ヘッドにおいて、気泡104は、流路抵抗が比較
的小さい液室側Xに向かって比較的大きく成長し、その
ため消泡位置106は、発熱部105の中央域またはや
や液室側になる場合が多い。
【0008】このように、図10に示したような液体吐
出ヘッドにおいては、気泡104の成長に伴って液体が
液室側Xに比較的大きく押し戻される。したがって、吐
出口側に形成される液体と外気との界面であるメニスカ
スは、液体吐出後、消泡に伴って比較的大きく後退し、
比較的大きく振動する。また、消泡過程においては、液
室側から発熱部105に向かう液体の流れと、吐出口か
ら発熱部105に向かう液体の流れとがほぼ同程度に生
じ、このため吐出口側への液体のリフィルが実質的に開
始されるタイミングが、吐出口側からの液体の流れがほ
ぼ収束した後となり比較的遅いため、メニスカスが定常
位置に復帰し安定するまでには比較的長い時間がかか
る。このため、連続して液体を吐出させる場合には、吐
出の時間間隔を比較的長くとる必要があり、良好に液体
を吐出することが可能な駆動周波数には限界がある。
【0009】また、液体吐出ヘッドとしては、気泡発生
領域に設けられ気泡の成長に伴い変位する可動部材と、
可動部材の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備
え、規制部が液流路の気泡発生領域に対向して設けら
れ、変位した可動部材と規制部との実質的な接触によっ
て、気泡発生領域を有する液流路が吐出口を除いて、実
質的に閉じた空間となる構成のものが知られている。こ
の液体吐出ヘッドでは、気泡成長時には可動部材が気泡
発生領域の上流側流路を実質的に閉鎖するように変位す
るため、気泡成長時に上流側へ押し戻されるの液体は比
較的少ない。また、消泡時には可動部材が上流側の流路
抵抗を小さくするように変位し、気泡発生領域の上流側
での消泡が促進されて下流側より先行して行われる。こ
のため、メニスカスの後退量が小さく、液体のリフィル
が効率良く行われる。
【0010】また、液体吐出ヘッドでは、液体に溶け込
んでいた気体が気泡形成時に開放されるなどして、液体
流路内に微小気泡が形成され残留する場合がある。そこ
で、この微小気泡が多量に残留して吐出動作に支障が生
じないように、吐出口付近の液体を吸い出して微小気泡
を取り除くなどの回復動作が定期的に行われる。これに
対して、可動部材を備えた液体吐出ヘッドでは、液体が
上流側に押し戻されることが少ないので、微小気泡は、
吐出動作に支障をきたすほどに増える前に吐出口から放
出され、残留することが少ない。このため、比較的長期
に亘って連続記録を行うことができ、最高では100枚
以上の記録を連続して行うことも可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、可動部
材を備えた液体吐出ヘッドは、メニスカスの大きな後退
を生じることなく迅速に液体のリフィルを行うことがで
きるので、比較的短い時間間隔で液体の吐出を行うこと
ができ、比較的高い周波数での駆動が可能であるという
利点を有している。
【0012】そして、従来、より高い周波数での駆動を
行えるようにするためには、先の吐出のために形成され
る気泡をより早く消泡させて、次の吐出を行うようにす
ることが実用上有効であると考えられている。なぜなら
ば、次の吐出を良好に行うためには、メニスカスが振動
過程を経て定常位置に復帰し安定してリフィルが完了し
た後に次の吐出を行う必要があると考えられており、こ
のリフィルの完了、メニスカスの復帰安定は、消泡が終
了することによってもたらされるものであるからであ
る。
【0013】しかしながら、消泡を完了させるには理論
的にも一定の時間が必要であり、この時間が駆動間隔に
限界をもたらすものとなってしまう。すなわち、液体吐
出を行うために数μs幅の電圧パルスを印加して、気泡
の発生・成長・消泡の期間は、応答遅れを考慮して、パ
ルス印加開始から30〜50μs程度とすることができ
る。そこで、消泡後に即時次ぎのパルスを印加して、次
ぎの吐出を行わせたとしても、駆動周波数は20〜30
kHzが限界である。そこで本発明者達は、このような
現実を打破しなければ技術の発展はないと考え、鋭意研
究を重ねた。
【0014】すなわち、本発明の目的は、液体吐出をよ
り高い周波数で行うことに関する従来の限界を打破する
ことにあり、本発明は、より高い周波数で連続して液体
吐出を行うことができる新規な液体吐出方法を提案しよ
うとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めの研究の中で得られた発想、知見はやはり逆転の発想
であった。すなわち、本発明による液体吐出方法は、液
体中に気泡を発生させるための熱エネルギーを発生する
発熱体と、液体を吐出する部分である吐出口と、吐出口
に連通するとともに、液体に気泡を発生させる気泡発生
領域を有する液流路と、該液流路に液体を供給する液室
と、気泡発生領域に設けられ気泡の成長に伴い変位する
可動部材と、可動部材の変位を所望の範囲に規制する規
制部とを備え、発熱体と吐出口とが直線的連通状態とな
っており、気泡発生時のエネルギーにより吐出口から液
体を吐出する液体吐出ヘッドであって、規制部は液流路
の気泡発生領域に対向して設けられ、変位した可動部材
と規制部との実質的な接触によって、気泡発生領域を有
する液流路が吐出口を除いて、実質的に閉じた空間とな
る液体吐出ヘッドを用い、同一の吐出口から連続的に複
数の吐出液滴を吐出させる液体吐出方法であって、先の
液体吐出のために形成された気泡の消泡開始後で、気泡
が気泡発生領域の吐出口側に偏って残存し、かつ気泡発
生領域の液室側には気泡が存在しない部分が生じている
状態下で、続く液体吐出のための駆動エネルギーを発熱
体に供給して液体を発泡させることを特徴とする。
【0016】本発明は、先の液体吐出時に形成された気
泡の消泡終了後に次の吐出のための駆動を行うのではな
く、先の液体吐出により形成された気泡を利用しつつ、
続く吐出用の気泡形成と吐出とのバランスを考慮したタ
イミングで連続した吐出を行うようにする画期的な発明
である。
【0017】本発明は、前述した効率のよいリフィル特
性を与える可動部材に着目し、可動部材を備える液体吐
出ヘッドにおいて、消泡位置が気泡発生領域の吐出口側
に位置することをヒントとして、気泡の変化とメニスカ
スの位置との関係から、先の液体吐出時の消泡が終了す
る前に、良好に液体吐出を行うことができるタイミング
があることを見出すことでなされたものである。
【0018】すなわち、可動部材を備える液体吐出ヘッ
ドでは、先の液体吐出の消泡工程中において、先の液体
吐出のために形成された、消泡しつつある気泡が気泡発
生領域の吐出口側に存在し、かつそれよりも液室側には
気泡が無い状態となるタイミングがある。そしてこのタ
イミングでは、メニスカスの後退は始まってはいるもの
の最大とはなっていない。また、発熱体の可動部材側は
消泡されているために、液体の補充は実質的に完了して
おり、十分なリフィル状態にある。したがって、このタ
イミングで、液体吐出ヘッドは、次の吐出を行うのに極
めて有利な状態にあり、このタイミングで次の液体吐出
のための駆動エネルギーを発熱体に供給して液体を発泡
させることにより、連続した液体吐出を良好に行うこと
ができる。このタイミングで連続した液体吐出を行うこ
とは、従来のように消泡完了後に次の液体吐出を行う場
合に比べて、非常に短い間隔で連続して液体吐出を行う
ことを意味している。
【0019】本発明の液体吐出方法では、先の液体吐出
時に形成された気泡が下流側で一部残存した状態で続く
液体吐出のための駆動エネルギーを発熱体に供給するの
で、2発目以降の液体吐出時に、下流側に一部残存した
気泡の消泡に伴う、上流側からの液流が作用する。これ
によって、続く液体吐出のための液体吐出のエネルギー
効率を向上させることができる。また、上流側からの液
流の作用によって、2発目以降の液体吐出時に吐出され
る吐出液滴の体積を、定常状態から液体吐出を行った時
の吐出液滴の体積よりも大きくできる。また、上流側か
らの液流が、続く液体吐出時の液体の流れを加速するよ
うにすることができ、2発目以降の液体吐出時の吐出液
滴の速さを、定常状態から液体吐出を行った時の吐出液
滴の速さよりも速くすることができる。
【0020】このような先の液体吐出時に形成された気
泡の消泡に伴う液流は、消泡が進行するの伴って、消泡
の終了間際には減速する。このため、先の液体吐出時に
形成された気泡の消泡が終了する前に2発目以降の発泡
を開始することによって、上述のような液流の作用を効
果的に得ることができる。
【0021】このように、通常時よりも連続する吐出液
滴の体積を大きくしたり、速さを速くしたりできること
は、多階調記録を行うのに好都合であるなどの利点を与
えるものである。
【0022】前述のように、本発明による液体吐出方法
によれば、非常に短い時間間隔で連続して液体吐出を行
うことができる。そこで、先の液体吐出時において、吐
出液滴の後方に尾を引く部分が分離されて形成されたサ
テライトを、続く液体吐出時の吐出液滴が捕獲するよう
にすることもできる。このように、続く吐出液滴がサテ
ライトを捕獲できるようにすることは、多階調記録を行
うのに好都合であるなどの利点を与えるものである。
【0023】先の吐出液滴に続く吐出液滴がサテライト
を捕獲するようにすることは、本発明の液体吐出方法に
より、非常に短い時間間隔で連続して液体吐出を行うよ
うにすることで始めて達成できるものである。そこで、
本発明による液体吐出方法は、液流路中に満たされた液
体を発熱体により加熱し、液体中に気泡を発生させる工
程と、気泡発生時のエネルギーにより液流路に連通する
吐出口から液体を吐出させて吐出滴を形成し吐出させる
工程とを有し、これらの工程を複数回繰り返して連続的
に複数の吐出滴を吐出させる液体吐出方法であって、サ
テライトを、サテライトが液柱状の形状であるうちに、
続く液体吐出により吐出された吐出液滴が捕獲し、この
吐出液滴とサテライトとが一体化されることを特徴とす
るものであるということができる。サテライトは飛翔過
程で表面張力によりほぼ球形状になるが、本発明による
液体吐出方法では、上述のように、サテライトが形成さ
れた直後の、液柱状の形状であるうちに吐出液滴による
捕獲が行われるようにすることができる。
【0024】また、本発明による液体吐出方法では、連
続吐出の2回目以降の液体吐出に、先の液体吐出時に供
給したエネルギーの一部を続く液体吐出に効果的に寄与
させることができるので、2回目以降の液体吐出時に、
1回目の液体吐出時に発熱体に供給するエネルギよりも
小さいエネルギーを発熱体に供給して、1回目の液体吐
出時と同等またはそれ以上の液滴量、液滴速度で2回目
の液体吐出を行うことができる。
【0025】このように、連続吐出の2回目以降の液体
吐出時に発熱体に供給するエネルギーを1回目よりも小
さくすることは、特に、2回目の液体吐出時に発熱体に
印加する電圧パルスのパルス幅を1回目よりも小さくす
ることによって行なうことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態の液体吐
出に用いる液体吐出ヘッドの要部の側断面模式図であ
る。また、図2(a)〜図2(e)は、図1に示した液
体吐出ヘッドからの液体の単発吐出過程を説明する図で
ある。
【0027】まず図1を用いて、液体吐出ヘッドの構成
について説明する。
【0028】この液体吐出ヘッドは、気泡発生手段であ
る発熱体10と可動部材11とを有する素子基板1、ス
トッパ(規制部)12の形成された天板2及び吐出口4
の形成されたオリフィスプレート5を有する。
【0029】液体が流れる流路(液流路)3は、素子基
板1と天板2とが積層状態で固着されることで形成され
ている。また、流路3は、1つの液体吐出ヘッドに複数
並列に形成されており、下流側(図1左側)に形成され
た、液体を吐出する吐出口4に連通している。発熱体1
0と液体の接する面の近傍領域には気泡発生領域が存在
する。また、これら各流路3の上流側(図1右側)に同
時に連通するように、大容積の共通液室6が設けられて
いる。つまり、各流路3は、単一の共通液室6から分岐
した形状となっている。この共通液室6の液室高さは、
流路3の流路高さよりも高く形成されている。
【0030】可動部材11は、一端支持の片持ち梁状で
あり、インク(液体)の流れの上流側で素子基板1に固
定され、支点11aより下流側が素子基板1に対して上
下方向に移動可能である。そして、可動部材11は、初
期状態においては、素子基板1との間に隙間を保ちつつ
素子基板1に略平行に位置する。
【0031】素子基板1に配設された可動部材11は、
自由端11bが発熱体10のほぼ中央領域に位置するよ
うに配設されている。また、天板2に設けられたストッ
パ12は、可動部材11の自由端11bがストッパ12
に接触することで自由端11bの上方への変位量を規制
するものである。可動部材11がストッパ12に接触す
ることによる、可動部材11の変位量規制時(可動部材
接触時)には、可動部材11及びストッパ12により、
流路3は、可動部材11及びストッパ12より上流側と
可動部材11及びストッパ12より下流側とが実質的に
遮断されることとなる。
【0032】自由端11bの位置Yと、ストッパ12の
端Xとは、素子基板1に対して垂直な面上に位置してい
ることが好ましい。さらに好ましくは、これらX、Yが
発熱体10の中心であるZとともに基板に対して垂直な
面上に位置していることが好ましい。
【0033】また、ストッパ12から下流側の流路3の
高さは急激に高くなる形状となっている。この構成によ
り気泡発生領域の下流側の気泡は、可動部材11がスト
ッパ12によって規制された際にも十分な流路高さを有
しているため、気泡の成長を阻害することがないため吐
出口4に向かって液体をスムーズに向かわせることがで
きると共に吐出口4の下端から上端までの高さ方向での
圧力バランスの不均一が少なくなるため、良好な液体の
吐出を行うことができる。なお、従来の可動部材11を
もたない液体吐出ヘッドにおいて、このような流路構成
を採った場合においてはストッパ12の下流側で流路高
さが高くなっている部分によどみが生じ、このよどみ部
分に気泡が滞留しやすくなり、好ましいものではなかっ
たが、本実施形態においては、上述したように液体の流
れがこのよどみ部分まで及ぶため気泡滞留の影響は極め
て少なくなる。
【0034】さらに、ストッパ12を境として共通液室
6側の天井形状は急激にたちあがるようになっている。
この構成で可動部材11がない場合には、気泡発生領域
の下流側の流体抵抗が上流側の流体抵抗よりも小さくな
るため、吐出に用いられる圧力は吐出口4側に向かいに
くいものであったが、本実施形態においては、気泡形成
時には可動部材11により気泡発生領域の上流側への気
泡の移動が実質的に遮断されているため、吐出に用いら
れる圧力は積極的に吐出口4側へ向かうと共に、液体供
給時においては気泡発生領域の上流側の流体抵抗が小さ
くなっていることから気泡発生領域へ液体供給が速やか
になされるようになっている。
【0035】上記構成によれば、気泡の下流側への成長
成分と上流側への成長成分とが均等ではなく、上流側へ
の成長成分が少なくなり上流側への液体の移動が抑制さ
れる。上流側への液体の流れが抑制されるため、吐出後
のメニスカスの後退量が減少し、その分リフィル時にメ
ニスカスがオリフィス面(液体吐出面)5aよりも突出
する量(オーバーシュート量)も減少する。したがって
メニスカス振動が抑制されることとなり、低周波数から
高周波数まであらゆる駆動周波数において安定した吐出
が行われる。
【0036】なお、本実施形態においては、気泡の下流
側の部分と吐出口4との間は液流に対しまっすぐな流路
構造を保っている「直線的連通状態」となっている。こ
れは、より好ましくは、気泡の発生時に生じる圧力波の
伝播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出方向とを直
線的に一致させることで、後述の吐出滴66の吐出方向
や吐出速度等の吐出状態をきわめて高いレベルで安定化
させるという理想状態を形成することが望ましい。本実
施形態では、この理想状態を達成、または近似させるた
めの一つの定義として、吐出口4と発熱体10、特に気
泡の吐出口4側に影響力を持つ発熱体10の吐出口4側
(下流側)とが直接直線で結ばれる構成とすればよく、こ
れは、図4に示すように、流路3内の液体がない状態で
あれば、吐出口4の外側から見て発熱体10、特に発熱
体10の下流側が観察することが可能な状態である。
【0037】次に、各部構成要素の寸法に関して説明す
る。
【0038】本実施形態においては、上述の可動部材の
上面への気泡のまわり込み(気泡発生領域の上流側への
気泡のまわり込み)について検討したところ、可動部材
の移動速度と気泡成長速度(言い換えれば液体の移動速
度)との関係によって可動部材の上面への気泡のまわり
込みをなくし、良好な吐出特性を得ることができるとい
う知見を得た。
【0039】すなわち、本実施形態は、気泡の体積変化
率と可動部材の変位体積変化率とが共に増加傾向にある
時点で前記可動部材の変位を前記規制部によって規制す
ることにより、可動部材の上面への気泡のまわり込みを
なくし、良好な吐出特性を得るものである。
【0040】このことについて、以下に図2を参照して
詳細に説明する。
【0041】まず、図2(a)の状態から、発熱体10
上で気泡が発生すると、瞬間的に圧力波が発生し、この
圧力波により発熱体10周囲の液体が移動することで気
泡40が成長していく。そして、当初、可動部材11は
液体の移動にほぼ追従するように上方に変位する(図2
(b))。さらに時間が進むと、液体の慣性力が小さく
なることと可動部材11の弾力性とによって、可動部材
11の変位速度が急激に小さくなる。このとき、液体の
移動速度はそれほど小さくなるものではないため、液体
の移動速度と可動部材11の移動速度との差は大きくな
る。そして、この時点で可動部材11(自由端11b)
とストッパ12との間隙が依然広く存在する場合には、
この間隙より液体が気泡発生領域の上流側に流入するこ
ととなり、可動部材11がストッパ12と接触しにくい
状態を作り出すと共に、吐出力の一部が損失することと
なる。従って、このような場合には、規制部(ストッパ
12)による可動部材11の規制(遮断)効果を十分に
生かすことができないものとなる。
【0042】そこで、本実施形態では、規制部による可
動部材の規制を可動部材の変位が液体の移動にほぼ追従
している段階で行うようにしている。ここで、本発明に
おいては、便宜上、可動部材の変位速度及び気泡の成長
速度(液体の移動速度)を「可動部材変位体積変化
率」、「気泡体積変化率」として表すものとする。な
お、この「可動部材変位体積変化率」、「気泡体積変化
率」とは、可動部材変位体積もしくは気泡体積を微分し
たものである。
【0043】このような構成により、可動部材11の上
面への気泡のまわり込みを生じるような液体の流れを実
質上なくし、気泡発生領域の密閉状態をより確実にする
ことができるため、良好な吐出特性を得ることができ
る。
【0044】また、本構成によれば、可動部材11がス
トッパ12によって規制されたあとも、気泡40は成長
を続けるわけであるが、このときに気泡40の下流側成
分の自由成長を促すように、ストッパ12部分と流路3
の基板1と対向する面(上壁面)との距離(ストッパ1
2の突出高さ)は十分に設けられていることが望まし
い。
【0045】なお、本発明において、規制部による可動
部材の変位の規制とは、可動部材の変位体積変化率が0
または負となる状態を指す。
【0046】流路3の高さは55μmであり、可動部材
11の厚さは5μmであり、気泡が発生していない状態
(可動部材11が変位していない状態)での、可動部材
11の下面と素子基板1の上面との間のクリアランスは
5μmである。
【0047】また、天板2の流路壁面からストッパ12
の先端部までの高さをt1とし、可動部材11の上面と
ストッパ12の先端部との間のクリアランスをt2とし
たとき、t1が30μm以上のときは、t2は15μm以
下とすることで液体の安定した吐出特性を発揮すること
ができ、また、t1が20μm以上のときは、t2は25
μm以下が好ましい。
【0048】次に、本実施形態に用いる液体吐出ヘッド
の単発の吐出動作について、図2(a)〜図2(e)
と、気泡の変位速度と体積の時間変化及び可動部材の変
位速度と変位体積の時間変化を示す図である図3を用い
て詳細に説明する。
【0049】図3において、気泡体積変化率vbは実線
で、気泡体積Vbは二点鎖線で、可動部材変位体積変化
率vmは破線で、可動部材変位体積Vmは一点鎖線でそれ
ぞれ示されている。また、気泡体積変化率vbは気泡体
積Vbの増加を正とし、気泡体積Vbは体積の増加を正と
し、可動部材変位体積変化率vmは可動部材変位体積Vm
の増加を正とし、可動部材変位体積Vmは体積の増加を
正として、それぞれ示している。なお、可動部材変位体
積Vmは可動部材11が図2(a)の初期状態から天板
2側へ変位した際の体積を正とするため、可動部材11
が初期状態から素子基板1側に変位した際には、可動部
材変位体積Vmは負の値を示すこととなる。
【0050】図2(a)は、発熱体10に電気エネルギ
ー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体
10が熱を発生する前の状態を示す。可動部材11は、
後述するように、発熱体10の発熱によって発生する気
泡に対し、この気泡の上流側半分に対面する領域に位置
している。
【0051】図3においてはこの状態は、時間t=0の
A点に相当する。
【0052】図2(b)では、気泡発生領域内を満たす
液体の一部が発熱体10によって加熱され、膜沸騰に伴
う気泡40が発泡し始めた状態を示す。図3においては
この状態は、B〜C1点の直前までの間に相当し、気泡
体積Vbは、時間とともに大きくなっていく状況が示さ
れている。なお、このとき、可動部材11の変位は気泡
40の体積変化より遅れて始まる。すなわち、膜沸騰に
よる気泡40の発生に基づく圧力波が流路3内を伝播
し、それに伴い液体は気泡発生領域の中央領域を境に下
流側及び上流側に移動し、上流側においては気泡40の
成長に伴う液の流れにより可動部材11が変位し始め
る。また、上流側への液体の移動は流路3の壁面と可動
部材11との間をとおり共通液室6側に向かう。この時
点におけるストッパ12と可動部材11との間のクリア
ランスは可動部材11が変位するにつれ狭くなってい
く。この状態で、吐出口4からは吐出滴66が吐出され
始める。
【0053】図2(c)では、気泡40のさらなる成長
により変位した可動部材11の自由端11bがストッパ
12に接触した状態を示す。図3においてはこの状態
は、C 1〜C3点に相当する。
【0054】可動部材変位体積変化率vmは、図2
(b)に示す状態から図2(c)に示す状態である可動
部材11がストッパ12に接触する前、すなわち、図3
ではB点からC1点へ移行する際のB’点では急激に低
下する。これは、可動部材11がストッパ12に接触す
る直前において、可動部材11とストッパ12との間の
液体の流抵抗が急激に大きくなることによるものであ
る。また、気泡体積変化率v bも急激に低下する。
【0055】その後、可動部材11はストッパ12にさ
らに接近し、接触することとなるが、この可動部材11
とストッパ12との接触は、ストッパ12の高さt1
可動部材11の上面とストッパ12の先端部との間のク
リアランスが上述のように寸法規定されることにより確
実なものとなる。そして、可動部材11がストッパ12
に接触するとそれ以上の上方への変位が規制される(図
3のC1〜C3点)ため、上流方向への液体の移動もそこ
で大きく制限される。これに伴い気泡40の上流側への
成長も可動部材11で制限される。しかしながら、上流
方向への液体の移動力は大きいため、可動部材11は上
流方向へ引っ張られた形の応力を大きく受け、わずかな
がら上方凸状に変形を生じる。なお、このとき、気泡4
0は成長を続けているが、ストッパ12及び可動部材1
1によって上流側への成長が規制されることで気泡40
の下流側がさらに成長することとなり、可動部材11を
設けない場合に比べ、発熱体10の下流側における気泡
40の成長高さが高くなっている。すなわち、図3に示
すように、可動部材変位体積変化率vmは、可動部材1
1がストッパ12に接触していることによりC1〜C3
の間でゼロとなっているが、気泡40は下流側に成長す
るため、C1点よりやや時間的に遅れたC2点まで成長を
続け、このC2点で気泡体積Vbは最大値となる。
【0056】一方、前述したように気泡40の上流側の
部分は、可動部材11の変位がストッパ12によって規
制されているため、上流側への液流の慣性力によって可
動部材11を上流側へ凸形状に湾曲させ応力をチャージ
させるまでにとどまった状態で小さなサイズになってい
る。この気泡40の上流側の部分は、ストッパ12、流
路側壁、可動部材11及び支点11aにより、上流側の
領域へと進入する量がほとんどゼロに規制されている。
【0057】これによって、上流側への液流を大幅に規
制し、隣接した流路への流体クロストークや、高速リフ
ィルを阻害する供給路系における液の逆流や圧力振動を
防止する。
【0058】図2(d)では、前述した膜沸騰の後に気
泡40の内部の負圧が、流路3内の下流側への液体の移
動に打ち勝って、気泡40の収縮が開始された状態を示
す。
【0059】気泡40の収縮(図3においてC2〜E
点)に伴い、可動部材11は下方変位(図3においてC
3〜D点)するが、可動部材11自身片持ち梁ばねの応
力と前述した上方凸変形の応力を持っており、それによ
り下方変位する速度を高める。そして、これに伴う、共
通液室6と流路3との間に形成された低流路抵抗領域で
ある可動部材11の上流側での、液体の下流方向への流
れは流路抵抗が小さい為、急速に大きな流れとなってス
トッパ12を介し流路3へ流れ込む。これらの動作で共
通液室6側の液体は流路3内へと誘導される。流路3内
に導かれた液体はそのままストッパ12と下方変位した
可動部材11との間をとおり、発熱体10の下流側に流
れ込むと同時に、まだ消泡しきっていない気泡40に対
し消泡を加速するように作用する。この液体の流れは消
泡を助けたあと、吐出口4方向にさらに流れを作りメニ
スカスの復帰を助け、リフィル速度を向上する。
【0060】この段階で、吐出口4から出た吐出滴66
からなる液柱は、液滴となり外部へと飛翔する。図2
(d)には、消泡によってメニスカスが吐出口4内に引
き込まれ、吐出滴66の液柱が引き離されようとしてい
る状態を示している。
【0061】また、前述した可動部材11とストッパ1
2との間の部分を介した流路3への流れ込みは天板2側
の壁面での流速を高めるため、この部分での微少泡など
の残留も極めて少なく、吐出の安定性に寄与している。
【0062】さらに、消泡によるキャビテーション発生
ポイントも気泡発生領域の下流側にずれるため、発熱体
10に対するダメージが少なくなる。同時に、同現象に
よりこの領域での発熱体10へのこげの付着も少なくな
る為、吐出安定性が向上する。
【0063】図2(e)では、気泡40が完全に消泡し
たあと、可動部材11が初期状態から下方にオーバーシ
ュートして変位した状態(図3においてE点以降)を示
す。
【0064】この可動部材11のオーバーシュートは、
可動部材11の剛性や使用する液体の粘度にもよるが、
短い時間で減衰収束し、初期状態に戻る。
【0065】図2(e)には、消泡によってメニスカス
がかなり上流側まで引き込まれている状態を示している
が、可動部材11の変位の減衰収束と同様に、比較的短
い時間で定常位置に復帰し、安定する。また、図2
(e)に記載しているように、吐出滴66の後方には、
表面張力により尾を引くようになった部分が分離されて
形成されたサテライト67が形成される場合がある。
【0066】次に、図1に示した一部のヘッドの透視斜
視図である図5を用いて、特に、可動部材11の両側部
から隆起する隆起気泡41及び、吐出口4での液体のメ
ニスカスに関して詳細に説明する。なお、図5に示す、
ストッパ12の形状及びストッパ12より上流側の低流
路抵抗領域3aの形状は図1に示すものと異なるが、基
本的特性は同様である。
【0067】本実施形態では、流路3を構成する壁の両
側壁面と可動部材11の両側部には僅かながらにクリア
ランスが存在し、可動部材11のスムーズな変位を可能
にしている。さらに、発熱体10による発泡の成長工程
において、気泡40は可動部材11を変位させるととも
に、前記クリアランスを介し可動部材11の上面側へ隆
起して低流路抵抗領域3aに若干侵入する。この侵入し
た隆起気泡41は可動部材11の背面(気泡発生領域と
反対面)に回り込むことで可動部材11のブレを抑え、
吐出特性を安定化する。
【0068】さらに、気泡40の消泡工程において、隆
起気泡41が低流路抵抗領域3aから気泡発生領域への
液流を促進させ、前述した、吐出口4側からの高速なメ
ニスカス引き込みと相まって、消泡をすみやかに完了さ
せる。特に、隆起気泡41が引き起こす液流によって可
動部材11や流路3のコーナーに気泡を蓄留させること
がほとんどない。
【0069】このように上記構成の液体吐出ヘッドで
は、気泡40の発生によって吐出口4から液体が吐出さ
れた瞬間では吐出滴66は先端に球状部を持つ液柱に近
い状態で吐出される。この事は旧来のヘッド構造でも同
じであるが、本実施形態では、気泡の成長工程によって
可動部材11が変位し、この変位した可動部材11がス
トッパ12に接触したとき、気泡発生領域を有する流路
3が吐出口を除いて、実質的に閉じた空間が形成され
る。したがって、この状態で気泡を消泡すれば、消泡に
よって可動部材11がストッパ12より離れるまでは上
述の閉空間が保たれるため、気泡40の消泡エネルギー
のほとんどが吐出口4近傍の液体を上流方向へ移動させ
る力として働くこととなる。その結果、気泡40の消泡
開始直後においては、吐出口4からメニスカスが流路3
内に急速に引き込まれ、吐出口4の外側で吐出滴66と
繋がって液柱を形成している尾引き部分がメニスカスに
より強い力ですばやく切り離される。これにより、尾引
き部分から形成されるサテライトドットが小さくなり、
印字品位を向上させることができる。
【0070】さらに、尾引き部分がいつまでもメニスカ
スに引っ張られ続けないことで、吐出速度が低下せず、
また吐出滴66とサテライトドットとの距離も短くなる
ので、吐出滴66の後方でいわゆるスリップストリーム
現象によりサテライトドットが引き寄せられる。その結
果、吐出滴66とサテライトドットの合体も起こり得
て、サテライトドットがほとんど無い液体吐出ヘッドを
提供することが可能である。
【0071】さらに本実施形態では、上述した液体吐出
ヘッドにおいて、可動部材11が、吐出口4に向かう液
体の流れに関して上流方向に成長する気泡40のみを抑
制するために設けられている。より好ましくは、可動部
材11の自由端11bが気泡発生領域の実質中央部に位
置している。この構成によれば、液体の吐出にとって直
接関係しない、気泡成長による上流側へのバック波及び
液体の慣性力を抑えるとともに、気泡40の下流側への
成長成分を素直に吐出口4の方向に向けることが可能で
ある。
【0072】さらに、ストッパ12を境界として吐出口
4とは反対側の低流路抵抗領域3aの流路抵抗が低いた
め、気泡40の成長による上流方向への液体の移動が低
流路抵抗領域3aによって大きな流れとなるので、変位
した可動部材11がストッパ12に接触したとき、可動
部材11が上流方向へ引っ張られた形の応力を受けるこ
ととなる。その結果、この状態で消泡を開始しても、気
泡40の成長による上流方向への液体移動力が大きく残
るため、この液体移動力に対し可動部材11の反発力が
勝るまでの一定の間、上述の閉空間を保つことができ
る。すなわち、この構成によって、高速メニスカス引き
込みがより確実なものとなる。また、気泡40の消泡工
程が進み、気泡成長による上流方向への液体移動力に対
し可動部材11の反発力が勝ると、可動部材11が初期
状態に戻ろうと下方変位し、これに伴い低流路抵抗領域
3aでも下流方向への流れが生じる。低流路抵抗領域3
aでの下流方向への流れは流路抵抗が小さい為、急速に
大きな流れとなってストッパ12を介し流路3へ流れ込
む。その結果、この吐出口4に向かう下流方向への液移
動により、上述のメニスカスの引き込みを急制動させ、
メニスカスの振動を高速に収束させることができる。
【0073】本発明の液体吐出方法は、以上説明したよ
うな液体吐出ヘッドを用いて、高い周波数で連続して液
体を吐出させることに特徴がある。そこで、次に、図
6,7を参照して、短い間隔で連続して液体吐出を行っ
た場合の動作について説明する。図7は、発熱体10に
印加する電圧パルスの波形を模式的に示している。
【0074】まず、図6(a)に示すように、発熱体1
0へ1回目の電圧パルスを印加することにより、気泡4
0を形成し、第1の吐出滴66aを形成する。この際、
本実施形態では、図7に示すように、所定の時刻t1
に、電圧パルスとしてプレパルスP1とメインパルスP
2からなるダブルパルスを印加する。このダブルパルス
駆動では、プレパルスP1を印加することによって、発
熱体10とその近傍の液体が予加熱され、続いてメイン
パルスP2を印加した際に良好に液体を発泡させること
ができる。前述のように、この発泡過程で可動部材11
はストッパ12と接触して実質的に上流側を閉鎖する状
態となるまで変位し、上流方向への液体の移動が大きく
制限される。そして、気泡40は下流側に大きく成長す
る。
【0075】この状態から、図6(b)に示すように気
泡40の消泡が、特に気泡40の上流側の体積減少が開
始されると、可動部材11は下方に変位し始め、液体の
リフィルが開始される。前述のように、この可動部材1
1の動きにより、気泡の消泡が加速され、特に、可動部
材11が位置する気泡発生領域上流側で大きく加速され
る。
【0076】このように気泡発生領域の上流側で消泡が
加速されること、および発泡過程で気泡40が下流側に
大きく成長することから、消泡過程が進むと、図6
(c)に示すように、気泡発生領域の上流側ではほぼ消
泡が完了し、気泡40が下流側端部付近のみに残った状
態になる。この状態では、液体は気泡発生領域の上流側
からリフィルされ、発熱体10の中央より下流側までリ
フィルされている。また、メニスカスは吐出口4内に引
き込まれ、これにより第1の吐出滴66aおよびサテラ
イト67は液体吐出ヘッド内の液体から切り離される
が、図6(c)に示す、気泡40が、特に気泡40の下
流側で、まだ消泡しきっていない状態では、メニスカス
は、図2(e)に示すように液体吐出口4内に比較的大
きく引き込まれた状態にはなっておらず、液体吐出面の
比較的近くにまだ留まった状態である。
【0077】本実施形態の液体吐出方法では、この状態
で発熱体10に2回目の電圧パルスを印加し、2回目の
発泡を開始する。すなわち、この状態では、メニスカス
が液体吐出面の近傍にあり、また、発熱体10の上流側
への一定の液体のリフィルが完了しているので、この状
態から電圧パルスを印加して発泡を開始することで良好
に液体を吐出させることが可能である。この2回目の発
泡時にも、図7に示すように、時刻t1から所定の時間
が経過した後の時刻t2に、プレパルスP3とメインパ
ルスP4とを印加して、ダブルパルス駆動を行なってい
る。この際、2回目の発泡は、メインパルスP4を印加
するのと実質的に同時に開始される。したがって、本実
施形態では、上述のように、気泡40が気泡発生領域の
下流側端部付近のみに残っているタイミングで発泡を開
始するということは、このタイミングでメインパルスP
4の印加を開始することを意味している。
【0078】電圧パルスを印加すると、図6(d)に示
すように、気泡40が成長を始め、可動部材11が上方
に変位を開始する。この際、発泡開始時に、気泡40が
下流側に一部残存している状態であるので、残存した気
泡の消泡に伴う上流側からの液流が生じている状態で発
泡が行われる。これによって気泡40の成長に伴って生
じる液流に、前回の液体吐出後の消泡に伴う液流を作用
させることができ、吐出方向の液流を即時に生じさせる
ことができる。そして、メニスカスは単発の液体吐出時
ほどに引き込まれることなく、図6(c)に示す位置か
ら、図6(d)に示すように下流側に移動を開始する。
【0079】ここで、このような先の液体吐出時に形成
された気泡の消泡に伴う液流は、消泡が進行するの伴っ
て、消泡の終了間際には減速する。このため、先の液体
吐出時に形成された気泡の消泡が終了する前に2発目以
降の発泡を開始することによって、上述のような液流の
作用を効果的に得ることができる。
【0080】そして、図6(e)に示すように、気泡4
0がさらに成長して、第2の吐出滴66bが吐出され
る。この際、前述のように先の液体吐出後の消泡に伴う
液流が作用するため、第2の吐出滴66bの体積が1回
目よりも大きくなる。そして特に、第2の吐出滴66b
の体積Vd2を、第1の吐出滴66aの体積Vdm1とその
サテライト67の体積Vds1の和より大きくする、すな
わちVd2>( Vdm1+ V ds1)とすることが可能であ
る。
【0081】また、リフィルによる、上流側への比較的
速い液体の流れが生じている状態で、2回目の発泡を開
始するため、2回目の発泡により吐出口4から発熱体1
0に向かう液体の流れが打ち消され、さらに上流側への
液体の流れが形成される際、吐出口4に向かう液体の流
れに発熱体10の上流側からの液体の流れの運動量が加
わり、流れが加速される。そこで、第1の吐出滴66a
の速さv1に比べ、第2の吐出滴66bの速さv2のほう
が速くなるようにすることが可能である。
【0082】このようにv1> v2とすることは、前述
のように第2の吐出滴66bのほうが第1の吐出滴66
aより体積が大きい、すなわちVd2>( Vdm1
ds1)とした場合においても可能である。このこと
は、1回目の液体吐出時に発生した熱エネルギーの一部
が、2回目の液体吐出に寄与していることを示してい
る。
【0083】さらに、分離された直後の、液柱状のサテ
ライト67に、第2の吐出滴66bが追いつき合体する
ようにする、すなわち第2の吐出滴66bがサテライト
67を捕獲するようにすることも可能である。この場
合、第2の吐出滴66bのサテライト67捕獲後の体積
は、Vd2+ Vds1となり、もちろん、( Vd2
ds1)>Vdm1とすることが可能である。
【0084】このように第1の吐出液滴66aと、第2
の吐出液滴66bの液体の吐出量を変化させることで、
例えば、形成画素の大きさを変化させ階調を変化させて
記録を行うなどすることができる。また、1回目の液体
吐出時のサテライト67を第2の吐出滴66bに吸収さ
せることで、階調差を大きくすることができる。さら
に、複数の吐出滴を連続して吐出させ、この複数の吐出
滴を、被記録媒体への飛翔途中で合体させるようにし
て、多階調の記録を行うなどすることもできる。
【0085】以上説明したように、本実施形態の液体吐
出方法によれば、1回目の液体吐出の消泡工程で、気泡
40が気泡発生領域の上流側にまだ残っている状態で2
回目の液体吐出のための電圧パルスを印加して液体を発
泡させることにより、従来の限界を超えた短い時間間隔
で連続して良好に液体吐出を行うことができ、すなわち
液体吐出ヘッドを非常に高い周波数で駆動することがで
きる。この際、定常状態から液体吐出を開始する1回目
の液体吐出に比べて、2回目の液体吐出の吐出量を多く
することができ、さらに吐出速度を速くすることができ
る。また、1回目の液体吐出時に発生した熱エネルギー
の一部が、2回目の液体吐出時の発泡に寄与するので、
吐出のエネルギー効率を向上させることができる。
【0086】次に、図8,9を参照して本発明の他の実
施形態の液体吐出方法について説明する。図8,9にお
いて先の実施形態と同様の部分については同一の符号を
付し、説明を省略する。
【0087】前述のように、本発明の液体吐出方法によ
れば、先の液体吐出時に形成された気泡40の消泡に伴
う、液体の高速リフィルによって生じる上流側からの液
流を次の液体吐出に効果的に寄与させることができる。
すなわち、先の液体吐出時の印加エネルギーの一部を次
の液体吐出のエネルギーとして利用することができる。
そこで、連続吐出の2回目以降の液体吐出時に印加する
エネルギーを1回目の液体吐出時に印加するエネルギー
よりも小さくしても、実効的に吐出に寄与するエネルギ
ーを1回目のエネルギーと同等、またはそれ以上にする
ことができる。本実施形態は、このことに着目し、連続
吐出の2回目以降の液体吐出時に印加するエネルギーを
1回目の液体吐出時に印加するエネルギーよりも小さく
して液体を吐出させる方法を示すものである。本実施形
態では、具体的には、発熱体40に印加する電圧パルス
のパルス幅を変化させて印加エネルギーを変化させる例
を示す。
【0088】本実施形態においても、まず発熱体10に
電圧パルスを印加して、図8(a)に示すように、第1
の吐出滴66aを吐出させる。この際、電圧パルスとし
ては、図9に示すように、所定の時刻t1に、プレパル
スP1とメインパルスP2からなるダブルパルスを印加
する。
【0089】気泡40は最大発泡となった後、図8
(b)に示すように、消泡し始め、特に上流側で大きく
体積減少する。そして、図8(c)に示すように、気泡
40が気泡発生領域の下流側端部付近にのみ残った状態
で、2回目の電圧パルスを印加して2回目の発泡を開始
する。
【0090】2回目の電圧パルスについても、図9に示
すように、プレパルスP3とメインパルスP4とからな
るダブルパルスを印加する。ここで、本実施形態では、
このプレパルスP3、メインパルスP4のパルス幅を、
1回目の発泡時のパルス幅よりも短くしている。具体的
には、1回目のプレパルスP1のパルス幅0.7μs、
メインパルスP2のパルス幅1.3μsに対して、2回
目のプレパルスP3のパルス幅は0.4μs、メインパ
ルスP4のパルス幅は0.9μsとした。
【0091】この際、2回目の発泡開始のタイミング
は、前述のように、メインパルスP4を印加するタイミ
ングと実質的に同じになる。したがって、1回目の発泡
によって生じた気泡40が気泡発生領域の下流側端部付
近にのみ残ったタイミングで発泡を開始させるために、
このタイミングでメインパルスP4の印加が開始される
ように電圧パルスを印加する。本実施形態では、具体的
には、1回目の電圧パルスのプレパルスP1の印加を開
始した時刻t1から17μs後の時刻t2に2回目の電
圧パルスP3の印加を開始して発泡タイミングを合わせ
た。
【0092】このように2回目の電圧パルスを印加し
て、図8(d)に示すように、液体を発泡させることに
よって、図8(e)に示すように、第2の吐出滴66b
を吐出させる。2回目の電圧パルス印加によって生じる
気泡40および第2の吐出滴66bの大きさは、先の実
施形態における場合よりも小さくなるものの、第2の吐
出滴66bの量は、リフィルによる液流の作用があるた
め、必要に応じて、第1の吐出滴66aと同等、または
それ以上にすることができる。また、吐出滴66aの速
さも、第1の吐出滴66aと同等、またはより速くする
ことができ、図8(f)に示すように、先の液体吐出時
に形成されたサテライト67を第2の吐出滴66bに捕
獲させることができる。特に、サテライト67が液柱状
の状態であるうちに第2の吐出滴66bに捕獲させるこ
とができ、さらに必要に応じて、第1の吐出滴66aを
飛翔途中で第2の吐出滴66bに捕獲させることも可能
である。
【0093】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、先の液体吐出時に発熱体10に供給したエネルギー
の一部を、高速リフィルの液流の形態で次の液体吐出に
効果的に寄与させることができ、先の液体吐出時よりも
少ないエネルギーを発熱体10に供給して、先の液体吐
出時と同等またはそれ以上の量、速さの液滴を吐出させ
ることができる。
【0094】このように、本実施形態によれば、必要な
吐出性能を得るために供給するエネルギーを少なく抑え
ることができる。このため、液体吐出ヘッドの消費エネ
ルギーの省エネルギー化を図ることができ、また液体吐
出ヘッドの不要な昇温を抑えることができる。したがっ
て本実施形態によれば、特に、本発明の液体吐出方法の
ように、液体吐出ヘッドを高速で駆動する場合において
も、供給エネルギーを少なく抑えることによって、電源
や駆動回路を大容量のものにしなくて済み、コストの増
大を抑えることができる。また、液体吐出ヘッドの加熱
による吐出特性の変化や信頼性の低下も抑えることがで
きる。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液体吐出
方法によれば、先の液体吐出の消泡工程で、気泡が気泡
発生領域の下流側にまだ残っている状態で、続く液体吐
出のための電圧パルスを印加することにより、従来の限
界を超えた短い時間間隔で連続して良好に液体吐出を行
うことができ、すなわち液体吐出ヘッドを非常に高い周
波数で駆動することができる。この際、定常状態から液
体吐出を開始する場合に比べて、連続して吐出する際の
吐出滴の吐出量を多くすることができ、さらに吐出速度
を速くすることができる。また、先の液体吐出時の発生
エネルギーの一部を、続く液体吐出に寄与させることが
でき、液体吐出のエネルギー効率を向上させることがで
きる。
【0096】また、1発目の吐出滴の吐出量と2発目以
降の吐出滴の吐出量とを変化させ、また、2発目以降の
吐出滴に先の吐出滴のサテライト、さらには先の吐出滴
自身を捕獲させることによって、各画点への付着液量を
変化させて、好適に階調記録を行うことができる。
【0097】本発明の液体吐出方法では、連続吐出の2
回目以降の液体吐出時に発熱体に供給するエネルギーを
1回目の液体吐出時に供給するエネルギーよりも小さく
しても、2回目以降の発泡によって生じる液滴の量、速
さを1回目と同等、または1回目以上にすることができ
る。このため、省エネルギー化を図ることができ、また
液体吐出ヘッドの加熱を抑えことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の液体吐出方法に用いる液体
吐出ヘッドの側断面模式図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドからの単発の液体
吐出過程を説明する図である。
【図3】図2に示す吐出過程での、気泡の変位速度と体
積の時間変化及び可動部材の変位速度と変位体積の時間
変化を示す図である。
【図4】図1の液体吐出ヘッドの直線的連通状態を説明
する流路の断面図である。
【図5】図1に示した一部のヘッドの透視斜視図であ
る。
【図6】図1の液体吐出ヘッドを用いて連続吐出を行っ
た時の各過程での状態を示す模式的断面図である。
【図7】図6に示すように連続吐出を行う際に発熱体に
供給する電圧パルスの波形を示す模式図である。
【図8】本発明の他の実施形態において連続吐出を行っ
た時の各過程での状態を示す模式的断面図である。
【図9】図8に示すように連続吐出を行う際に発熱体に
供給する電圧パルスの波形を示す模式図である。
【図10】従来の液体吐出ヘッドの、発熱体付近の構成
を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 天板 3 流路 4 吐出口 5 オリフィスプレート 5a オリフィス面 6 共通液室 10 発熱体 11 可動部材 11a 支点 11b 自由端 40 気泡 41 隆起気泡 66 吐出滴 100 抵抗層 101a,101b 電極 102,103 保護層 104 気泡104 106 消泡位置 vb 気泡体積変化率 vm 可動部材変位体積変化率 Vm 可動部材変位体積 Vb 気泡体積
フロントページの続き (72)発明者 種谷 陽一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 杉山 裕之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須釜 定之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF06 AF08 AF39 AF54 AG29 AG30 AG32 AG76 AM15 AM18 AM21 BA03 BA13 CA01 CA04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体中に気泡を発生させるための熱エネ
    ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
    ある吐出口と、該吐出口に連通するとともに、液体に気
    泡を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、該液流
    路に前記液体を供給する液室と、前記気泡発生領域に設
    けられ前記気泡の成長に伴い変位する可動部材と、前記
    可動部材の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備
    え、前記発熱体と前記吐出口とが直線的連通状態となっ
    ており、前記気泡発生時のエネルギーにより前記吐出口
    から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記
    規制部は前記液流路の前記気泡発生領域に対向して設け
    られ、変位した前記可動部材と前記規制部との実質的な
    接触によって、前記気泡発生領域を有する液流路が前記
    吐出口を除いて、実質的に閉じた空間となる液体吐出ヘ
    ッドを用い、同一の前記吐出口から連続的に複数の吐出
    液滴を吐出させる液体吐出方法であって、 先の液体吐出のために形成された前記気泡の消泡開始後
    で、該気泡が前記気泡発生領域の前記吐出口側に偏って
    残存し、かつ前記気泡発生領域の前記液室側には前記気
    泡が存在しない部分が生じている状態下で、続く液体吐
    出のために駆動エネルギーを前記発熱体に供給して前記
    液体を発泡させることを特徴とする液体吐出方法。
  2. 【請求項2】 2発目以降の液体吐出時に吐出される前
    記吐出液滴の体積が、定常状態から液体吐出を行った時
    の前記吐出液滴の体積よりも大きい、請求項1に記載の
    液体吐出方法。
  3. 【請求項3】 2発目以降の液体吐出時に吐出される前
    記吐出液滴の速さが、定常状態から液体吐出を行った時
    の前記吐出液滴の速さよりも速い、請求項1または2に
    記載の液体吐出方法。
  4. 【請求項4】 複数の前記吐出液滴を連続して吐出さ
    せ、この複数の前記吐出液滴を、被記録媒体への飛翔途
    中で合体させる、請求項1から3のいずれか1項に記載
    の液体吐出方法。
  5. 【請求項5】 液流路中に満たされた液体を発熱体によ
    り加熱し、前記液体中に気泡を発生させる工程と、前記
    気泡発生時のエネルギーにより前記液流路に連通する吐
    出口から前記液体を吐出させる工程とを有し、これらの
    工程を複数回繰り返して連続的に複数の吐出液滴を吐出
    させる液体吐出方法であって、 先の液体吐出時において、前記吐出液滴の後方に尾を引
    く部分が分離されて形成されたサテライトを、該サテラ
    イトが液柱状の形状であるうちに、続く液体吐出時の前
    記吐出液滴が捕獲し、該吐出液滴が前記サテライトと一
    体化されることを特徴とする液体吐出方法。
  6. 【請求項6】 2発目以降の液体吐出時に吐出される前
    記吐出液滴の体積が、定常状態から液体吐出を行った時
    の前記吐出液滴の体積よりも大きい、請求項5に記載の
    液体吐出方法。
  7. 【請求項7】 2発目以降の液体吐出時に吐出される前
    記吐出液滴の速さが、定常状態から液体吐出を行った時
    の前記吐出液滴の速さよりも速い、請求項5または6に
    記載の液体吐出方法。
  8. 【請求項8】 続く前記吐出液滴の体積Vd2を、先の前
    記吐出液滴の体積V dm1とその前記サテライトの体積V
    ds1の和より大きくする、すなわちVd2>(Vdm1+ V
    ds1)とする、請求項5から7のいずれか1項に記載の
    液体吐出方法。
  9. 【請求項9】 液体中に気泡を発生させるための熱エネ
    ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
    ある吐出口と、該吐出口に連通するとともに、液体に気
    泡を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、該液流
    路に前記液体を供給する液室と、前記気泡発生領域に設
    けられ前記気泡の成長に伴い変位する可動部材と、前記
    可動部材の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備
    え、前記発熱体と前記吐出口とが直線的連通状態となっ
    ており、前記気泡発生時のエネルギーにより前記吐出口
    から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記
    規制部は前記液流路の前記気泡発生領域に対向して設け
    られ、変位した前記可動部材と前記規制部との実質的な
    接触によって、前記気泡発生領域を有する液流路が前記
    吐出口を除いて、実質的に閉じた空間となる液体吐出ヘ
    ッドを用い、同一の前記吐出口から連続的に複数の吐出
    液滴を吐出させる液体吐出方法であって、 連続吐出の2回目以降の液体吐出時に、1回目の液体吐
    出時に前記発熱体に供給するエネルギよりも小さいエネ
    ルギーを前記発熱体に供給する液体吐出方法。
  10. 【請求項10】 連続吐出の2回目以降の液体吐出時
    に、1回目の液体吐出時に前記発熱体に供給するエネル
    ギよりも小さいエネルギーを前記発熱体に供給する、請
    求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
  11. 【請求項11】 連続吐出の2回目以降の液体吐出時
    に、1回目の液体吐出時に前記発熱体に印加する電圧パ
    ルスよりも短い幅の電圧パルスを前記発熱体に供給す
    る、請求項9または10に記載の液体吐出方法。
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