JP2002101625A - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JP2002101625A JP2000291093A JP2000291093A JP2002101625A JP 2002101625 A JP2002101625 A JP 2002101625A JP 2000291093 A JP2000291093 A JP 2000291093A JP 2000291093 A JP2000291093 A JP 2000291093A JP 2002101625 A JP2002101625 A JP 2002101625A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】体格増大を抑止しつつ冷却性、耐久性、信頼性
に優れる界磁巻線静止型車両用交流発電機を実現するこ
と。 【解決手段】界磁巻線静止型車両用交流発電機にセグメ
ント導体接合型電機子コイルを採用することにより、静
止継鉄部側のコイルエンドの過熱問題を招来することな
く、コンパクトで高出力、かつ、高信頼性でメンテナン
スフリーの車両用交流発電機を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界磁巻線静止型車
両用交流発電機に関する。本発明の回転電機は、乗用
車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に好適に
適用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】通常の
車両用交流発電機では、界磁巻線を回転子の装備するた
め、一対のスリップリング及びブラシ及びブラシ保持構
造からなる回転給電機構を必要とするが、近年の高速大
出力化は回転給電機構内の摺接面の磨耗や発熱の増大を
発生させ、更に磨耗粉が良導電性であるので、近接配置
された整流器などに絶縁劣化を引き起こすという問題を
派生させていた。回転給電機構を隔壁で囲覆することで
摩耗粉の飛散を抑止することが一般的であるが、これは
回転給電機構の冷却性を低下させるとともに、回転給電
機構内への摩耗粉の堆積を生じさせて、ブラシ間の沿面
放電を生じさせるという問題を派生させた。更にブラシ
やスリップリングは結局摩耗するために、長期使用のた
めにはいずれは面倒な交換作業も必要となる。
【0003】結局、従来の車両用交流発電機では、上記
回転給電機構を廃して、寿命向上および信頼性の向上を
図り、併せて部品点数を減らして構造を簡素化したいと
いう要望が存在していた。
【0004】この問題の解決案として、フレームの端壁
部に固定された静止継鉄部の先端部に界磁巻線を固定し
てなる界磁巻線静止型車両用交流発電機が知られてい
た。
【0005】けれども、この界磁巻線静止型車両用交流
発電機では、冷却性に劣るために内部温度が異常に高温
となってしまうために、従来の界磁巻線静止型車両用交
流発電機では、回転子鉄心の反静止継鉄部側(静止継鉄
部と反対側)の端壁部に固定した内扇ファンの他に、フ
レーム端壁部の外側に外扇ファンを追設して冷却性向上
を図ることが提案されていた。ところが、実際に外扇式
ファン付きの界磁巻線静止型車両用交流発電機を試験し
てみると、動力損失、騒音、全体体格の大幅な増大の割
に内部温度低下効果が小さく、実用化は困難であった。
【0006】更に、上記した従来の界磁巻線静止型車両
用交流発電機は、上記内部過熱問題のために電機子コイ
ルの発熱余裕が小さいため電機子コイルの電流密度を大
きく取れず、そのために出力が小さいという問題もあっ
た。その結果、必要出力を得るためには、発電機の軸方
向長又は径方向寸法又は回転数を増大せざるを得ない
が、径又は回転数の増大は、本質的に一端支持される爪
形磁極部に作用する遠心力の増大を招くために限界があ
り、軸方向寸法の増大もまた、本質的に一端支持される
爪形磁極部の先端部に作用する起振力の増大を招くため
に限界があった。
【0007】結局、回転給電構造廃止による耐久性、信
頼性の向上という優れた利点が魅力的であるにもかかわ
らず、通常の回転給電機構を備えた小型高出力の車両用
交流発電機に体格、出力の二点で実用上対抗できる界磁
巻線静止型ブラシレス車両用交流発電機を製作すること
は従来、不可能であると考えられていた。
【0008】なお、本出願人の発明になる特開平11ー
155270号公報は、U字状の多数のセグメント導体
の先端をスロット嵌挿後に接合した電機子コイル(以
下、セグメント導体接合型電機子コイルともいう)をも
つ車両用交流発電機を提案している。
【0009】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、体格増大を抑止しつつ冷却性、耐久性、信頼性に
優れる界磁巻線静止型車両用交流発電機を実現すること
をその目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の車両用交
流発電機によれば、フレームと、前記フレームの内周面
に固定された固定子鉄心と、複数の相巻線により構成さ
れて前記固定子鉄心に巻装された電機子コイルと、前記
フレームに固定されて回転軸を囲む略筒状の静止継鉄部
と、前記静止継鉄部の先端部に固定された界磁巻線と、
前記回転軸に固定されて前記静止継鉄部とともに前記界
磁巻線が形成する界磁束の磁路を形成する回転子鉄心
と、前記静止継鉄部と反対側に位置して前記回転継鉄部
の端面に固定された冷却ファンと、前記静止継鉄部と同
じ側に位置して前記静止継鉄部側の前記電機子コイルの
コイルエンドに近接して前記フレームに貫設され窓と、
前記フレームの外端面に固定されて前記電機子コイルの
出力電圧を整流する整流器とを備え、前記回転子鉄心
は、前記静止継鉄部の内周面に対面する外周面部を有し
て前記回転軸に固定される回転継鉄部と、前記固定子鉄
心の内周面と前記界磁巻線の外周面との間に形成される
爪形磁極部収容隙間内にて前記回転継鉄部の一端から静
止継鉄部側へ向けて周方向定ピッチでそれぞれ突設され
る複数の第1爪形磁極部と、前記静止継鉄部の外周面に
対面する面を有するとともに各前記第1爪形磁極部の中
間に位置して前記爪形磁極部収容隙間内を反静止継鉄部
側へそれぞれ突設される複数の第2爪形磁極部と、前記
第2爪形磁極部を前記第1爪形磁極部に固定する非磁性
の支持部材とを有し、前記電機子コイルは、前記固定子
鉄心に形成される各スロットに一端側から挿通される断
面略方形でU字形状の多数のセグメント導体の先端部の
うち、互いに異なる前記スロットの異なる径方向位置か
ら突出する前記セグメント導体の前記先端部同士を一対
ずつ順次接続して形成されていることを特徴としてい
る。
【0011】要するに、本構成は、上記したセグメント
導体接合型電機子コイル構造と、上記した界磁巻線静止
型界磁構造とを組み合わせたものである。
【0012】この組み合わせを採用することにより、通
常のブラシ付き回転電機と同程度の体格で、それに比較
してきわめて耐久性、信頼性に優れる界磁巻線静止型車
両用交流発電機を実現することが初めて可能となった。
【0013】以下、更に説明する。
【0014】既に説明したように、界磁巻線静止型車両
用交流発電機を実用化する上の最大の問題点は内部の過
熱である。本発明者らの実験によれば、界磁巻線静止型
車両用交流発電機において最も高温となる部位は、静止
継鉄部側に位置する固定子コイルのコイルエンド部分で
あった。
【0015】これは次の理由によるものと考えられる。
【0016】車両用交流発電機における主要な発熱は、
鉄損と銅損であるが、その中で高電流密度で大電流が流
れる固定子コイルの発熱量が最も大きい。固定子コイル
の2つのコイルエンドのうち、静止継鉄部がない側のコ
イルエンドは、その径内側に近接して設けられた冷却フ
ァン(内扇ファン)から遠心方向へ高速に吹き出される
冷却風により強く冷却され、温度上昇を許容範囲内に抑
止することができる。次に、固定子鉄心のスロット内の
固定子コイルの導体(スロット導体ともいう)の発生熱
は、固定子コイルの熱伝導性が良好であるために上記反
静止継鉄部側のコイルエンドにより冷却されたり、また
一部は、固定子鉄心を通じてフレームに放散されたりす
るので、同じく、許容温度範囲内に抑止することができ
る。
【0017】ところが、固定子コイルの静止継鉄部側の
コイルエンドは、低温の反静止継鉄部側のコイルエンド
から遠く、かつ、静止継鉄部の存在のために近接配置さ
れた内扇ファンからの高速の冷却空気流も存在せず、フ
レームに伝熱冷却されることもないので、高温となる。
結局、界磁巻線静止型車両用交流発電機では、静止継鉄
部側のコイルエンド冷却が最大の問題であることがわか
る。
【0018】このような状況に対し、本発明者らは、U
字状導体順次接続により作成される上記セグメント導体
接合型電機子コイルのコイルエンドは、多数の貫通孔を
略径方向に一定ピッチでまんべんなくもち、その上、コ
イルエンドの各セグメント導体が一定ピッチで分散配置
されているので、各セグメント導体間の間隔も一定かつ
広間隔であるため、コイルエンドを貫通して軸方向又は
径方向又は周方向、特に径方向に流れる冷却空気流の流
体抵抗が従来のものに比較して格段に小さいという点に
気がついた。実験によれば、セグメント導体接合型電機
子コイルのコイルエンドの径方向流体抵抗は、従来の分
布巻き電機子コイルのコイルエンドの流体抵抗の数分の
一以下であった。
【0019】更に、上記セグメント導体接合型電機子コ
イルのコイルエンドでは、従来の分布巻き電機子コイル
のコイルエンドのように、コイル導体すなわちセグメン
ト導体が局部的に集中して冷却風が局部的に流れにくく
なり、過熱が生じるということも一切生じない。
【0020】これらの結果、同一の冷却風の全圧に対し
て、セグメント導体接合型電機子コイルのコイルエンド
のすべてのセグメント導体は従来の分布巻き電機子コイ
ルのコイルエンドに比較して格段に高速の冷却風に接触
することができ、全体的にも局部的にも良好に冷却され
ることができる。
【0021】すなわち、セグメント導体接合型電機子コ
イルを採用することにより、界磁巻線静止型車両用交流
発電機の最大の問題である静止継鉄部側のコイルエンド
の過熱問題を解決することができ、その結果として、分
布巻き電機子コイルのコイルエンドをもつ従来の車両用
交流発電機と比較して体格増大、出力低下を抑止しつ
つ、回転給電機構の廃止による作用効果を奏することが
できる。
【0022】更に、セグメント導体接合型電機子コイル
は、スロット占積率の向上により断面積が大きいので、
もともとコイルエンドの発熱自体がちいさく、上記コイ
ルエンド発熱問題自体が軽減されるという利点も生じ、
一層、界磁巻線静止型車両用交流発電機に有効である。
【0023】請求項2記載の構成によれば請求項1記載
の界磁巻線静止型ブラシレス回転電機において更に、相
巻線の先端部は、前記フレームの端壁部を貫通して前記
整流器の交流入力端子に螺子により締結されているの
で、接続信頼性の低下を防止しつつ、配線作業の簡素化
および保守作業の簡素化を図ることができる。
【0024】以下、更に詳細に説明する。
【0025】従来の分布巻き電機子コイルを構成する各
相巻線の両端からなる出力線は、フレームの端壁部を通
じて軸方向外部に引き出されて整流器の端子台のターミ
ナルにかしめ固定された後、はんだなどにより接合され
ていた。
【0026】これは、従来の分布巻き電機子コイルをも
つ従来の車両用交流発電機では、上記説明したようにコ
イルエンドが小径導体の密集形状をもつため、運転時に
高温となり、その結果、電機子コイルの先端部からなる
出力線に熱膨張および熱収縮のストレス(以下、冷熱サ
イクルストレスという)が繰り返し作用するため、もし
螺子締めなどにより整流器の端子台のターミナルに締結
する場合には、上記冷熱サイクルストレスにより螺子締
結部分が緩んで事故を生じる可能性があるからである。
このため、車両用交流発電機の整流器を交換しようとす
ると、上記出力線とターミナルとのはんだ接合部を再処
理するのが面倒であった。
【0027】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、上述したように、セグメント導体接合型電機子
コイルのコイルエンド(反静止継鉄部側)が従来の分布
巻き電機子コイルのコイルエンドに比較して格段に冷却
性に富み、低温化できることに着目したものであり、電
機子コイルを上述したセグメント導体接合型電機子コイ
ルにより構成することにより、このセグメント導体接合
型電機子コイルの先端部からなる出力線と整流器のター
ミナルとを螺子で締結するようにしたものである。
【0028】セグメント導体接合型電機子コイルを構成
する上述したセグメント導体は、従来の分布巻き電機子
コイルに比較して、上述したように、大断面積で電流密
度を小さくできる他、コイルエンドの冷却性が格段に向
上する他、出力線の冷熱サイクルによる熱膨張、熱収縮
が小さく、かつ、出力線自体が太いため、出力線とター
ミナルとの接触面積を大きくできるため、出力線からタ
ーミナルへの放熱も大きく、その結果、螺子締結する場
合でも、この螺子締結部に作用する熱ストレスが小さ
く、螺子部が緩むことがないことがわかった。
【0029】これにより、整流器の交換など、保守性を
大幅に向上することができる。
【0030】請求項3記載の構成によれば請求項1記載
の車両用交流発電機において更に、前記U字形状のセグ
メント導体の先端部は、前記静止継鉄部側に配置される
ので、冷却が相対的に困難な静止継鉄部側のコイルエン
ドの温度を一層低下することができる。
【0031】更に説明する。U字形状のセグメント導体
の先端部は、他のセグメント導体の先端部に接続するた
めに、U字形状のセグメント導体のU字状曲がり部で構
成される反静止継鉄部側のコイルエンドよりも表面積が
大きくなり、冷却性能が大きい。したがって、この構成
によれば、上述したように冷却問題が厳しい静止継鉄部
側のコイルエンドをU字形状のセグメント導体の先端部
で構成することにより、反静止継鉄部側のコイルエンド
の過熱を更に良好に防止することができる。
【0032】請求項4記載の構成によれば請求項1記載
の車両用交流発電機において更に、前記窓は、前記冷却
ファンが形成する冷却風の吹き出し経路をなす。
【0033】すなわち、本構成によれば、回転子鉄心の
反静止継鉄部側の端面に固定された冷却ファン(内扇フ
ァン)が形成する冷却風を軸方向に送って反静止継鉄部
側のコイルエンドを冷却し、フレームの上記窓から加熱
した冷却風を排出するので、外扇式ファンを用いること
なく、静止継鉄部側のコイルエンドを良好に冷却して、
その過熱を抑止することができる。
【0034】以下、更に説明する。
【0035】従来の分布巻き電機子コイルをもつ界磁巻
線静止型車両用交流発電機では、回転給電機構が反静止
継鉄部側に配置されているために、回転子鉄心の整流器
側の端面に固定された冷却ファンは遠心ファンとされ、
形成された冷却空気流は、整流器側のコイルエンドを冷
却してただちに外部に排出される。これは、この回転給
電機構から発生する摩耗粉が回転電機の内奥部に入り込
むことを防止するためである。したがって、分布巻き電
機子コイルをもつ車両用交流発電機では、整流器側の冷
却ファンが反整流器側のコイルエンドを冷却することが
できなかった。従来の界磁巻線静止型ブラシレス回転電
機では、上記した分布巻き電機子コイルのコイルエンド
の冷却構造を踏襲しており、同様に、静止継鉄部側のコ
イルエンドを整流器側(すなわち反静止継鉄部側)の冷
却ファン(内扇ファン)で静止継鉄部側のコイルエンド
を冷却するというアイデアに到達していなかった。
【0036】これに対して、本発明者らは、界磁巻線静
止型ブラシレス回転電機では、回転給電機構がないため
その摩耗粉による回転電機の内部汚損が発生しないた
め、反静止継鉄部側の冷却ファン(内扇ファン)が形成
した冷却風を、静止継鉄部側のコイルエンドにまで誘因
しそれを冷却してもなんら問題を生じないということに
気がついた。これにより、フレームの静止継鉄部側の端
壁部の外側に大きくうるさい外扇式ファンを増設するこ
となく、静止継鉄部側のコイルエンドを良好に冷却でき
る。
【0037】なお、反静止継鉄部側の冷却ファン(内扇
ファン)としては、遠心空気流を形成するとともに軸流
空気流を形成する翼構造を与えることが好ましい。形成
された冷却風の一部は、爪形磁極部間を通じて回転子鉄
心の静止継鉄部側に達し、静止継鉄部側のコイルエンド
を冷却して、フレーム、好ましくはその周壁部に開口さ
れた窓から外部に排出されることができる。
【0038】請求項5記載の構成によれば請求項4記載
の車両用交流発電機において更に、前記固定子鉄心のヨ
ーク部に軸方向に貫設された軸方向冷却風路を有する。
このようにすれば、静止継鉄部側のコイルエンドの冷却
を一層良好に行うことができる。すなわち、反静止継鉄
部側の冷却ファン(内扇ファン)により形成された冷却
風の残部は、固定子鉄心を貫通する軸方向冷却風路を通
じて静止継鉄部側のコイルエンドに良好に達することが
できる。
【0039】請求項6記載の構成によれば請求項4記載
の車両用交流発電機において更に、前記固定子鉄心の外
周面と前記フレームの内周面との間に軸方向に貫設され
た軸方向冷却風路を有する。このようにすれば、静止継
鉄部側のコイルエンドの冷却を一層良好に行うことがで
きる。すなわち、反静止継鉄部側の冷却ファン(内扇フ
ァン)により形成された冷却風の残部は、固定子鉄心と
フレームとの間を貫通する軸方向冷却風路を通じて静止
継鉄部側のコイルエンドに良好に達することができる。
【0040】
【発明の実施形態】本発明の好適な態様を以下の実施例
を参照して詳細に説明する。
【0041】
【実施例1】本発明を適用した車両用交流発電機の一実
施例を図面を参照して以下に説明する。
【0042】(全体構成)1はフレーム、2は固定子、
3は回転軸、4は静止継鉄部、5は界磁巻線、6は回転
子鉄心、7は電機子コイル、8はプーリー側の軸受け、
9はリヤ側の軸受け、10は整流器である。
【0043】固定子2は、フレーム1の内周面に固定さ
れた固定子鉄心21と、固定子鉄心21に巻装された電
機子コイル7とからなる。電機子コイル7はフロント側
のコイルエンド71とリア側のコイルエンド72を有し
ている。
【0044】回転軸3は、フレーム1の両端壁部11、
12に軸受け8、9を介して回転自在に支承されてい
る。回転軸3には、フレーム1の前端壁部11の外側に
位置して図示しないプーリを装備している。
【0045】静止継鉄部4は、ボルト41によりフレー
ム1のプーリー側の前端壁部11に締結、固定されて回
転軸3を囲む略筒状の軟鉄心からなる。
【0046】界磁巻線5は、静止継鉄部4の軸方向先端
部の外周面を凹設してなる環状溝部に巻装されている。
【0047】回転子鉄心6は、回転軸3に固定されて静
止継鉄部4とともに界磁巻線5が形成する界磁束の磁路
を形成している。回転子鉄心6は、軸方向に互いに密着
して回転軸に固定される一対の回転継鉄部61、62
と、回転継鉄部62と一体に形成された複数の第1爪形
磁極部63と、複数の第2爪形磁極部64と、非磁性で
リング状の支持部材65とからなる。支持部材65は、
第1爪形磁極部63と第2爪形磁極部64とを一体化す
るための非磁性金属リングからなる。
【0048】回転継鉄部61は、外周面が静止継鉄部4
の内周面に小ギャップを挟んで対面する円筒状軟鉄心か
らなる。
【0049】回転継鉄部62は、回転継鉄部61と同様
に静止継鉄部4の内周面に小ギャップを挟んで対面する
円筒状軟鉄心からなるコア部621と、このコア部62
1の後端部に形成されて前記静止継鉄部4の内周面より
径大に形成された円筒状軟鉄心からなるコア部622と
を有する。
【0050】各第1爪形磁極部63は、軟磁性を有し、
コア部622の外周から固定子鉄心21の内周面と界磁
巻線5の外周面との間に形成される爪形磁極部収容隙間
内へ軸方向に延在している。各第1爪形磁極部63は、
周方向定ピッチで配置されている。各第1爪形磁極部6
3は、径外側に近接する電機子コイル7のリア側のコイ
ルエンド72よりも軸方向内側に奥まって形成されてい
るとともに、冷却空気流を軸方向静止継鉄部側および遠
心側へ付勢する冷却ファン10を装備している。
【0051】各第2爪形磁極部64は、軟磁性を有し、
静止継鉄部4の外周面に小ギャップを挟んで対面すると
ともに各第1爪形磁極部63の周方向中間に位置して上
記爪形磁極部収容隙間内へ軸方向に延在している。各第
2爪形磁極部64は、周方向定ピッチで配置されてい
る。 更に、第2爪形磁極部64は、固定子鉄心21の
径内側に位置する有効磁極部641と、この有効磁極部
641から電機子コイル7のフロント側のコイルエンド
71の軸方向先端よりも軸方向に突出する張り出し部6
42とからなる。
【0052】張り出し部642は、界磁束の磁路を兼ね
る翼部643を有している。また、張り出し部642
は、静止継鉄部4の外周面に小ギャップを挟んで対面す
るとともに各翼部643を一体化する筒部644を有し
ている。この筒部644は、磁束漏洩を防止するため
に、第1爪形磁極部63の先端部から離れて形成されて
いる。筒部644を省略してもよい。
【0053】フレーム1は、コイルエンド71の外周側
に近接して開口されたる空気吹き出し孔13と、リヤ側
の端壁部に設けられた図示しない空気吸入口とを有して
いる。
【0054】フロント側の軸受け8の外輪81の後端面
は、静止継鉄部4の前端面に当接している。
【0055】(電機子コイル7の構造)本実施例で採用
した電機子コイル7について図2、図3を参照して説明
する。
【0056】この電機子コイル7は、既述したセグメン
ト導体接合型電機子コイルであって、2本の直線導体部
700とそれらの両一端部とを連ねる湾曲部701とを
もつU字状導体702を多数用い、U字状導体702の
一対の直線導体部700,700をそれぞれ規定の2つ
のスロットの径方向に異なる位置に挿入し、スロットの
両側の部分を周方向に斜行させて必要な周方向スパンを
稼ぎ、直線導体部700の先端部704を異なるU字状
導体同士順次接合してなる。
【0057】このセグメント導体接合型電機子コイルの
作製、組み付け方法自体は、本出願人出願の前記公開特
許公報に詳しいので、これ以上の説明は省略する。
【0058】図2はこのセグメント導体接合型電機子コ
イル7を径内側へみた展開図であり、図3はその接合側
のコイルエンド(この実施例ではフロント側のコイルエ
ンド)71を示す斜視図である。
【0059】図2、図3からわかるように、このセグメ
ント導体接合型電機子コイルのフロント側のコイルエン
ド71は各U字状導体702の直線導体部700が互い
に平行に斜行するので、極めて多数の菱形の通風路10
00がフロント側のコイルエンド71内に均等ピッチで
径方向に生じる。また、U字状導体702の直線導体部
700の先端部704は上記接合のために軸方向にそれ
ぞれ延在するので、各先端部704の間に軸方向に長い
径方向通風路1001が形成される。更に、各U字状導
体702は、周方向又は軸方向に重なることがないの
で、もし径方向又は略軸方向への通風を行えば、極めて
小さい流体抵抗損失ですべてのU字状導体702を良好
に冷却することができる。
【0060】なお、図3では1スロットに4本の導体を
嵌挿したが、1スロット当たりの導体数を更に増大して
も径方向通風路や略軸方向通風路は同様に確保される。
【0061】(動作説明)回転子鉄心6を回転させ、界
磁巻線5に通電することにより、電機子コイル7は発電
し、この発電電力は電機子コイル7の先端部からなる出
力線100を通じて整流器10aに送られて整流され、
外部に送電される。
【0062】冷却ファン(内扇ファン)10は、リヤカ
バー200とリヤフレーム12との間の隙間や、リヤカ
バー200に設けた孔から部品室S内に吸入され、更に
部品室Sからリヤフレーム12の孔(図示せず)を通じ
てフレーム1内に吸入して、軸方向および遠心方向に付
勢する。付勢された冷却空気流の軸方向成分は、主とし
て爪形磁極部63間、64間の周方向隙間を通じて静止
継鉄部4側へ流れ、静止継鉄部4側のコイルエンド71
を冷却しつつ、フロントフレーム11に設けた窓13か
ら外部に排出される。付勢された冷却空気流の遠心方向
成分は、反静止継鉄部4側のコイルエンド72を冷却し
つつ、フロントフレーム11に設けた小窓14から外部
に排出される。
【0063】
【実施例2】他の実施例を図4、図5を参照して以下に
説明する。図4は固定子2の部分径方向模式断面図、図
5は図4の固定子の部分軸方向模式断面図である。C
1,C2,C3,C4は固定子鉄心21の同一スロット
に径方向に重ねて挿入された平角線からなる電機子コイ
ルのスロット導体である。
【0064】この実施例は、実施例1において、静止継
鉄部側のコイルエンド71の冷却性向上のために、固定
子鉄心21の外周面に軸方向にスロット数と同数の軸方
向溝210を軸方向に設けたものである。ただし、図5
に示すように、反静止継鉄部側の吹き出し孔14は省略
され、窓13aはフロントフレーム11の前端壁部に開
口されている。
【0065】このようにすれば、冷却ファン(内扇ファ
ン)10から遠心方向へでた冷却風は、リヤ側のコイル
エンド72を冷却しつつ径方向に流れた後、この軸方向
溝210を軸方向に流れてフロント側のコイルエンド7
1の外周側に達し、コイルエンド71を径内側あるいは
前方へ流れてコイルエンド71を冷却しつつ窓13aか
ら外部に排出される。
【0066】これにより、コイルエンド71の冷却風量
を増大してその過熱防止効果を一層向上することができ
る。
【0067】なお、軸方向溝210の代わりに、固定子
鉄心21に軸方向に設けた貫通孔により、冷却風を軸方
向に移動することもできる。この場合、この貫通孔は固
定子鉄心21のティースと同一軸方向位置に設けること
が好ましい。これにより固定子鉄心21の冷却性も向上
する。
【0068】
【実施例3】他の実施例を図6を参照して以下に説明す
る。
【0069】(整流器10aの構成)整流器10aは、
リヤフレーム12の後端壁から突出するボルト21aに
ナット21bにより締結されている。整流器10aは、
電機子コイル7の出力電圧を全波整流する図略のダイオ
ード素子群と、このダイオード素子群のうちの+側ダイ
オ−ド素子(ハイサイド側ダイオード)を冷却する+側
冷却フィン2200と、このダイオード素子群のうちの
−側ダイオ−ド素子(ローサイド側のダイオード)を冷
却する−側冷却フィン2300と、電気絶縁部品である
インシュレータ27と、端子台25とを有している。
【0070】ボルト21aには、リヤフレーム12の後
端面側から順に、−側冷却フィン2300、インシュレ
ータ27の中間インシュレータ27a、+側冷却フィン
2200、ターミナル24を有する端子台25の順に嵌
着され、皿ワッシャ21d、ワッシャ21c、ナット2
1bにより締結固定されている。
【0071】上記ダイオード素子群は、周知の三相全波
整流回路を構成する+側ダイオ−ド素子(ハイサイド側
ダイオード)及び−側ダイオ−ド素子(ローサイド側の
ダイオード)を3対有するが、更に中性点整流用のダイ
オード対を追加してもよい。上記ハイサイド側のダイオ
ードのカソードは、+側冷却フィン2200に固定さ
れ、上記ローサイド側のダイオードのアノードは、−側
冷却フィン2300に固定されている。ハイサイド側の
ダイオードのアノード及びローサイド側のダイオードの
カソードはターミナル24を通じて電機子コイル7の三
相の出力線3100に個別に接続されている。ターミナ
ル24の一部は、端子台25に埋設されている。
【0072】インシュレータ27は、中間インシュレー
タ27aと出力線インシュレータ27bとからなる電気
絶縁性樹脂品である。中間インシュレータ27aは、略
平板形状を有し、+側冷却フィン2200と−側冷却フ
ィン2300との間に介設されてそれらを絶縁分離して
いる。出力線インシュレータ27bは、中間インシュレ
ータ27aの径方向周縁部から軸方向前方へ延設されて
フレーム2の貫通孔に挿通された筒状部材であり、軸方
向に設けられた貫通孔を有している。電機子コイル7の
出力線3100は、この出力線インシュレータ27b内
を貫通し、フレーム2から電気絶縁されている。出力線
3100は、出力線インシュレータ27bの上記貫通孔
から軸方向後方に突出している。
【0073】(ターミナル24の構成)端子台25に
は、出力線3100の本数に応じた本数、すなわち三相
電機子コイルでは3ないし4本のターミナル24が設け
られ、具体的には各ターミナル24の略中央部が端子台
25に互いに電気絶縁されつつ埋設されている。
【0074】各ターミナル24の一端部はハイサイド側
のダイオードのアノード及びローサイド側のダイオード
のカソードに接続され、各ターミナル24の他端部には
図示しない雌ねじ孔240が設けられ、この雌ねじ孔2
40にねじ3101を締結することにより、出力線31
00がターミナル24に分離可能に締結されている。3
102はワッシャである。
【0075】ターミナル24および出力線3100の先
端部の形状を図7、図8に示す。
【0076】平角銅線からなる出力線3100は、一対
ずつ互いに密着してターミナル24まで引き出され、両
出力線3100の先端部を互いに向かい合う半円形状の
曲がり部3200を有している。ターミナル24の周縁
には、これら一対の曲がり部3200の移動を規制する
リブ241をもち、ターミナル24の雌ねじ孔にねじ3
101を螺入することにより、出力線3100はターミ
ナル24の雌ねじ孔にねじ31014に強固に締結され
る。
【0077】(変形態様)図9は、出力線3100の変
形態様を示す。この態様では、一対の出力線3100は
アルミ製の圧着端子4000を有している。この圧着端
子4000の基端部は出力線3100の先端部にかしめ
固定された後、更にはんだ付けされ、圧着端子4000
の先端部はターミナル24にねじ3101で締結されて
いる。
【0078】(変形態様)図10は、整流器10aの変
形態様を示す。この態様では、整流器10aは、端子台
25、+冷却フィン2200、スペーサ270,ー冷却
フィン2300の順に締結されている点が、実施例3の
整流器と異なっている。
【0079】出力線3100とターミナル24の他端部
との結線手順の詳細を以下に説明する。ただし、ここで
は、電機子コイル7はデルタ接続タイプであるとする。
【0080】三相の電機子コイル7はU相コイル、V相
コイル、W相コイルで構成されるとする。U相コイルの
巻終り部分とV相コイルの巻始め部分を第一相の出力線
3100のペアとして第一のターミナル24に締結し、
V相コイルの巻終り部分とW相コイルの巻始め部分も第
二相の出力線3100のペアとして第二のターミナル2
4に締結し、W相コイルの巻終り部分とU相コイルの巻
始め部分も第三相の出力線3100のペアとして第三の
ターミナル24に締結する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両用交流発電機の軸方向断面図
である。
【図2】図1の固定子の部分平面図である。
【図3】図1の固定子の静止継鉄部側のコイルエンドを
示す斜視図である。
【図4】実施例2の固定子鉄心を示す部分断面図であ
る。
【図5】図4の固定子鉄心を有する車両用交流発電機の
他の実施例を示す部分断面図である。
【図6】実施例3の整流器を示す部分断面図である。
【図7】実施例3の出力線とターミナルとの締結状態を
示す部分平面図である。
【図8】実施例3の出力線とターミナルとの締結状態を
示す部分断面図である。
【図9】図7の出力線の変形態様を示す部分平面図であ
る。
【図10】実施例3の整流器の変形態様を示す部分断面
図である。
【符号の説明】
1 フロントフレーム(フレーム) 2 固定子 4 静止継鉄部 5 界磁コイル 7 電機子コイル 11 フロントフレーム(フレーム) 12 リアフレーム(フレーム)
フロントページの続き Fターム(参考) 5H603 AA09 AA12 BB02 BB07 BB09 BB12 CA01 CA05 CB03 CB12 CB17 CC05 CC07 CD02 CD06 CD22 CD28 CE02 5H609 BB05 BB13 BB18 PP02 PP06 PP07 PP09 QQ02 QQ12 QQ13 RR03 RR16 RR27 RR33 RR37 RR42 RR43 RR69 RR73 5H619 AA11 BB02 BB06 BB18 PP01 PP02 PP04 PP12 PP14 PP25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フレームと、 前記フレームの内周面に固定された固定子鉄心と、 複数の相巻線により構成されて前記固定子鉄心に巻装さ
    れた電機子コイルと、 前記フレームに固定されて回転軸を囲む略筒状の静止継
    鉄部と、 前記静止継鉄部の先端部に固定された界磁巻線と、 前記回転軸に固定されて前記静止継鉄部とともに前記界
    磁巻線が形成する界磁束の磁路を形成する回転子鉄心
    と、 前記静止継鉄部と反対側に位置して前記回転継鉄部の端
    面に固定された冷却ファンと、 前記静止継鉄部と同じ側に位置して前記静止継鉄部側の
    前記電機子コイルのコイルエンドに近接して前記フレー
    ムに貫設され窓と、 前記フレームの外端面に固定されて前記電機子コイルの
    出力電圧を整流する整流器と、 を備え、 前記回転子鉄心は、 前記静止継鉄部の内周面に対面する外周面部を有して前
    記回転軸に固定される回転継鉄部と、前記固定子鉄心の
    内周面と前記界磁巻線の外周面との間に形成される爪形
    磁極部収容隙間内にて前記回転継鉄部の一端から静止継
    鉄部側へ向けて周方向定ピッチでそれぞれ突設される複
    数の第1爪形磁極部と、前記静止継鉄部の外周面に対面
    する面を有するとともに各前記第1爪形磁極部の中間に
    位置して前記爪形磁極部収容隙間内を反静止継鉄部側へ
    それぞれ突設される複数の第2爪形磁極部と、前記第2
    爪形磁極部を前記第1爪形磁極部に固定する非磁性の支
    持部材とを有し、 前記電機子コイルは、 前記固定子鉄心に形成される各スロットに一端側から挿
    通される断面略方形でU字形状の多数のセグメント導体
    の先端部のうち、互いに異なる前記スロットの異なる径
    方向位置から突出する前記セグメント導体の前記先端部
    同士を一対ずつ順次接続して形成されていることを特徴
    とする車両用交流発電機。
  2. 【請求項2】請求項1記載の車両用交流発電機におい
    て、 前記相巻線の先端部は、前記フレームの端壁部を貫通し
    て前記整流器の交流入力端子に螺子により締結されてい
    ることを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 【請求項3】請求項1記載の車両用交流発電機におい
    て、 前記U字形状のセグメント導体の先端部は、前記静止継
    鉄部側に配置されることを特徴とする車両用交流発電
    機。
  4. 【請求項4】請求項1記載の車両用交流発電機におい
    て、 前記窓は、前記冷却ファンが形成する冷却風の吹き出し
    経路をなすことを特徴とする車両用交流発電機。
  5. 【請求項5】請求項4記載の車両用交流発電機におい
    て、 前記固定子鉄心のヨーク部に軸方向に貫設された軸方向
    冷却風路を有することを特徴とする車両用交流発電機。
  6. 【請求項6】請求項4記載の車両用交流発電機におい
    て、 前記固定子鉄心の外周面と前記フレームの内周面との間
    に軸方向に貫設された軸方向冷却風路を有することを特
    徴とする車両用交流発電機。
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