JP2002101622A - 磁石の製造方法 - Google Patents

磁石の製造方法

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JP2002101622A
JP2002101622A JP2000288731A JP2000288731A JP2002101622A JP 2002101622 A JP2002101622 A JP 2002101622A JP 2000288731 A JP2000288731 A JP 2000288731A JP 2000288731 A JP2000288731 A JP 2000288731A JP 2002101622 A JP2002101622 A JP 2002101622A
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magnetic flux
manufacturing
electromagnet
orientation
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JP2000288731A
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Takeshi Tanaka
猛 田中
Hiroyuki Harada
博幸 原田
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Asmo Co Ltd
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Asmo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】整流改善に優れた磁束分布を実現することがで
きる磁石の製造方法を提供する。 【解決手段】フェライト磁石は、(A)の配向制御によ
る磁粉成形→(B)の焼結→(C)の切削加工→(D)
のモータ組付→(E)の着磁の各工程を経て製造され
る。配向制御による磁粉成形工程では、金型内に磁粉を
充填し、該磁粉の配向を制御しつつ圧縮成形する。焼結
工程では、成形品を所定の温度で加熱することにより焼
き固め、切削工程では、磁束極小部にて配向の方向が径
方向となっている部位を削り取ることで、磁束極小部の
近傍部分における配向の方向を周方向、それ以外の部分
における配向の方向を径方向とする。モータ組付工程で
は、未着磁のフェライト磁石をモータに組み付け、着磁
工程では、該モータの外側から磁石の全体に径方向の強
磁界を与えることにより磁石全体を着磁する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流モータ等の直
流機に適用される磁石を製造するための製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図12に示すように、直流モータ(直流
電動機)50は、磁石51,52、回転子53及びブラ
シ54等を有している。この直流モータ50では、直流
電源が供給されることで、回転子53が図12(a)→
(b)→(c)の順に回転するように構成されている。
【0003】詳しくは、回転子53は、コア56とコイ
ル57とを有している。コア56には、複数のティース
56aが形成されており、そのうちの5つのティース5
6aの周囲にコイル57が巻き付けられている。なお、
図示を省略しているが、5つのティース56a毎に他の
コイルが同様に巻き付けられている。つまり、この直流
モータ50の巻装方式は分布巻である。また、回転子5
3には、コンミテータ58が配設されている。コンミテ
ータ58は、複数のセグメント(整流子片)58aを有
し、そのセグメント58aに摺接するようにブラシ54
が配設されている。そして、直流電流がブラシ54及び
コンミテータ58のセグメント58aを経てコイル57
に流入されるようになっている。これにより、コイル5
7に流れる電流の向きが変更されて回転子53が時計回
り方向(図中、X矢印方向)に回転する。
【0004】ここで、ブラシ54からコイル57に流入
される電流変化を図13を用いて説明する。先ず、図1
3(a)に示すようにコイル57に右から左へ電流Iが
流れている状態から、回転子53が回転してコンミテー
タ58が図13(b)のようにブラシ54に対して右側
に移動する。すると、ブラシ54によって2つのセグメ
ント58aが短絡されて、コイル57に短絡電流iが流
れる。さらに、回転子53が回転すると、図13(c)
のように、コイル57には、左から右へ電流Iが流れる
ようになる。つまり、図13(a)→(b)→(c)の
順に回転子53が回転するとき、その際にコイル57を
流れる電流Iの向きが逆になる。なおこのとき、+Iか
ら−Iまで2Iの変化をさせるための電流がブラシ54
から流入される。また、図13(a)〜(c)は、図1
2(a)〜(c)に対応しており、図12(a)→
(b)→(c)のように回転子53が回転する際に、コ
イル57を流れる電流Iの向きが変更され、そのコイル
57に巻装されたコア56内の磁界の向きが反転する。
このコイル57の電磁力と、磁石51,52からの磁力
とによって回転力が発生し、モータ50が回転駆動す
る。
【0005】上述のように、ブラシ54によって短絡さ
れたコイル57を流れる電流が、その短絡期間中に反転
することを、「整流」という。また、この整流時の関係
は、次式の整流方程式によって示される。
【0006】L(di/dt)+e+Rci+R2(I
+i)−R1(I−i)=0 ここで、L(di/dt)は、ブラシ54で短絡される
コイル57のインダクタンスLの影響で生じるリアクタ
ンス電圧を示し、eは、回転子53の回転に伴いコイル
57に発生する誘起電圧を示す。また、Rcは、ブラシ
54で短絡されるコイル57の抵抗を示し、R1,R2
は、ブラシ54とコンミテータ58との接触抵抗を示
す。なお、Iはブラシ54から流入される電流であり、
iはブラシ54で短絡されるコイル57の短絡電流であ
る。
【0007】整流時において、コイル57のリアクタン
ス電圧と誘起電圧eが小さく無視することができれば、
短絡電流iは、図14の点線で示すように直線的に変化
して、整流を良好に行うことができる。なお、この直線
状の整流は、理想的な整流の一つであって直線整流とい
う。
【0008】しかしながら、コイル57にリアクタンス
電圧及び誘起電圧eが発生するため、短絡電流iは、図
14の実線で示すように直線整流から遅れて変化する、
いわゆる不足整流が発生する。詳しくは、誘起電圧e
は、コイル57を通過する磁束量Φの変化によって同コ
イル57に誘起される逆起電力であって、次式のように
示される。
【0009】e=−dΦ/dt つまり、誘起電圧eは、コイル57を通過する磁束量Φ
が減少する速さに比例して発生する。
【0010】ここで具体的に、整流中のコイル57に誘
起される誘起電圧eを図15を用いて説明する。図15
には、コイル57を通過する磁束量Φ、つまり、コイル
57が巻き付けられたコア56(5つのティース56
a)内を通過する磁束量Φの変化と、その磁束量Φの変
化に応じて発生するコイル57の誘起電圧e(=−dΦ
/dt)を示している。なお、図15では、図12
(b)の状態を基準位置0°としている。即ち、コイル
57により巻装されたコア56(5つのティース56
a)の中心が、磁石51,52の中心と一致するときを
基準位置0°として示している。
【0011】コイル57に電流が流れない状態では、コ
イル57を通過する磁束量Φは、磁石51,52からの
磁束のみを考慮すればよく、図15の(A)のように回
転子53の回転位置が基準位置0°(図12(b)の回
転位置)のとき最も大きくなる。
【0012】また、回転子53の回転時にはコイル57
に電流が流れ、その電流によって起磁力が生じて、磁石
51,52の磁束に影響をおよぼすようになる。詳しく
は、コイル57に流れる電流は、整流時、即ち、図12
(a)→(b)→(c)の順に回転子53が回転すると
きに反転するため、コイル57による磁束量Φは、回転
子53の回転位置に応じて図15の(B)のように変化
する。つまり、回転子53の回転位置が基準位置0°と
なるとき正から負へ変化する。その結果、磁石51,5
2の磁束量(A)とコイル57の磁束量(B)が合成さ
れて実際にコイル57を通過する磁束量Φは、回転子5
3の回転位置に応じて図15の(C)(=(A)+
(B))のように変化する。つまり、回転子53が基準
位置0°に到達する前に、合成磁束量(C)は最も大き
くなる。よって、コイル57の誘起電圧eは、この磁束
量(C)が最大となる位置で、負から正へ変化する。
【0013】このように、誘起電圧eは整流を遅らせる
方向に誘起され、短絡電流iの反転が遅れて不足整流の
原因となってしまう。この不足整流によって整流の終わ
り、即ち、ブラシ後端での火花放電が発生し、騒音及び
ブラシ摩耗の原因となってしまう。整流改善方法とし
て、ブラシ位置を図12の反時計回り方向に移動させる
ことで、コイル57の誘起電圧eの影響を小さくするよ
うにしている。
【0014】ところが、モータ負荷が変動する場合で
は、コイル57を流れる電流が変わり、モータ回転数も
変化するため、良好な整流を保つことが困難となってし
まう。具体的には、例えば、自動車用エアコンユニット
で使用されるブロアモータにおいて、高負荷となる高回
転時では、電流が大きくなるため合成磁束量(C)が最
大となる位置が回転方向に対して反対側(図15のマイ
ナス側)に移動することとなる。また、回転数が高くな
るため合成磁束量(C)による誘起電圧eも大きくな
る。さらに、コイル57の電流に応じてリアクタンス電
圧も大きくなる。従って、ブラシ位置の移動量を大きく
しないと良好な整流を得ることができない。また逆に、
低負荷となる低回転時では、ブラシ位置の移動量を小さ
くしないと良好な整流を得ることができない。このよう
に、モータ負荷の変動に応じてブラシ位置をたえず移動
する必要があり、良好な整流を保つことが困難となって
しまう。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願出願人
は、特願平11−270566号において、負荷の影響
を受けることなく常に良好な整流を行うことができる技
術を提案している。その技術では、モータの磁石におい
て、回転方向に対する磁束分布を工夫して、負荷が変動
しても良好な整流を保つことができるようにしている。
具体的には、図16に示すように、磁石61,62の主
磁極部61a,62aの端部に延長部61b,62bを
設け、その延長部61b,62bの開始点61c,62
c近傍部分における磁束密度を変化させる。つまり、磁
石61,62において、延長部61b,62bの開始点
61c,62c近傍部分に極小点がある磁束変化を持た
せることにより、整流を遅らせる方向に発生される電圧
(リアクタンス電圧)を打ち消す誘起電圧eを発生させ
て、整流を改善させるようにしている。
【0016】ところが、特願平11−270566号で
は、このような整流改善に優れた磁束分布を実現するた
めの磁石の製造方法は開示されておらず、その整流改善
に優れた磁束分布を実現できる磁石の製造方法が望まれ
ている。
【0017】そこで、本発明の目的は、整流改善に優れ
た磁束分布を実現することができる磁石の製造方法を提
供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、直流機に適用される磁石
であって、断面円弧状に形成されその一部に磁束密度が
極小値となる磁束極小部を有する磁石の製造方法におい
て、金型内に磁粉を充填し、該磁粉の配向を制御しつつ
圧縮成形する成形工程と、前記磁束極小部の近傍部分に
おける配向の方向を周方向、それ以外の部分における配
向の方向を径方向とするために、磁束極小部にて配向の
方向が径方向となっている部位を削り取る切削工程と、
前記切削された磁石を直流機に取り付けた後、該直流機
の外側から磁石の全体に径方向の強磁界を与えることに
より磁石全体を着磁する着磁工程とを備えることを要旨
とする。
【0019】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の磁石の製造方法において、前記成形工程の後に、成形
品を焼結する工程を備えることを要旨とする。請求項3
に記載の発明は、請求項1又は2に記載の磁石の製造方
法において、前記金型内には、前記断面円弧状の磁石形
状をつくるための空洞部が形成され、該金型に第1電磁
石と第2電磁石とが埋設されるとともに、第1電磁石と
第2電磁石との間の部位が常磁性体で形成され、前記成
形工程では、前記磁粉を充填した金型の空洞部につい
て、前記磁束極小部の近傍部分以外には前記第1電磁石
により径方向の磁界を与えるとともに、前記磁束極小部
の近傍部分には第2磁石により周方向の磁界を与えるこ
とを要旨とする。
【0020】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の磁石の製造方法において、前記空洞部にて、前記磁束
極小部の近傍部分に対応する円弧面を常磁性体により形
成するとともに、それ以外の円弧面を第1電磁石の先端
面により形成し、前記常磁性体の部位の中心部分に前記
第2電磁石を配置するようにしたことを要旨とする。
【0021】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の磁石の製造方法において、前記第2電磁石は、前記金
型における空洞部の内側円弧面側に配置されており、前
記切削工程では、その内側円弧面側を削り取るようにし
たことを要旨とする。
【0022】請求項6に記載の発明は、巻線により巻装
された複数のティースを有する回転子と、コンミテータ
の整流子片を介して前記巻線に直流電流を供給するブラ
シとを備える直流機に適用される請求項1に記載の磁石
の製造方法において、前記ブラシにより短絡されて前記
巻線の整流が開始される回転位置にて、その整流を開始
する巻線により巻装されるティースの回転方向側の先端
部と前記磁束極小部とが対向するように、前記磁石を配
置したことを要旨とする。
【0023】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
成形工程にて、金型内の空洞部に磁粉が充填され、磁粉
の配向を制御しつつ圧縮成形される。そして、切削工程
にて、磁束極小部にて配向の方向が径方向となる部位が
削り取られる。これにより、磁束極小部の近傍部分では
配向の方向が周方向となり、それ以外の部分の配向の方
向が径方向となる。こうして配向の方向がそろえられた
未着磁の磁石を直流機に取り付けた後、該直流機の外側
から磁石の全体に径方向の強磁界を与えると、磁束極小
部の近傍部分では、配向の向きが強磁界に対して横向き
となるので、それ以外の部分と比較して弱く着磁され
る。その結果、磁石において、磁束極小部で極小となる
磁束変化を持たせることができ、その磁束変化によりリ
アクタンス電圧を打ち消す誘起電圧を発生できる。よっ
て、上記製造方法を採用すれば、整流改善に優れた磁束
分布の磁石を製造できる。
【0024】請求項2に記載の発明によれば、成形工程
後の成形品が焼結により焼き固められるので、切削工程
での切削を的確に実施することができる。請求項3に記
載の発明よれば、第1電磁石と第2電磁石との間の部位
を常磁性体で形成したので、その常磁性体の部位が磁気
抵抗となり、第1及び第2電磁石による磁束が金型の空
洞部を効率よく通過する。また、磁束極小部の近傍部分
以外には第1電磁石により径方向の磁界が与えられ、磁
束極小部の近傍部分には第2磁石により周方向の磁界が
与えられる。これにより、磁粉の配向が的確に制御され
る。
【0025】請求項4に記載の発明によれば、空洞部に
おける磁束極小部の近傍部分では、常磁性体が磁気抵抗
となり、第2電磁石による磁束が径方向に通過すること
が抑制されて周方向に流れる。また、空洞部における磁
束極小部の近傍部分以外は、第1電磁石の先端面にて形
成されるので、その第1電磁石による磁束が径方向に効
率よく流れる。よって、磁束極小部の近傍部分には周方
向の磁界が与えられ、それ以外の部分には径方向の磁界
が与えられることとなる。
【0026】請求項5に記載の発明によれば、第2電磁
石は、金型において空洞部の内側円弧面側に配置されて
おり、第2電磁石による磁束は、噴水が流出するように
周囲に湾曲して通過する。また、空洞部の内側円弧面に
おいて、第2磁石に対向する部分では径方向に磁束が通
過するので、この部分のみが径方向の配向となるが、切
削工程でその内側円弧面側を削り取れば、磁束極小部の
近傍部分における配向の方向を周方向とすることができ
る。
【0027】請求項6に記載の発明によれば、ブラシに
より短絡されて巻線の整流が開始される回転位置にて、
その整流を開始する巻線により巻装されるティースの回
転方向側の先端部と磁束極小部とが対向するように、磁
石が配置されるので、リアクタンス電圧を打ち消す誘起
電圧が発生されて整流を改善できる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動車用エアコン
ユニットのブロアモータに具体化した実施の形態を図面
に従って説明する。なお、エアコンユニットでは、操作
スイッチの位置によってブロアモータに流れる電流の大
きさが変更される。具体的には、操作スイッチが、Hi
位置(高出力位置)に操作されたとき、モータの回転子
に18Aの電流が流れ、Lo位置(低出力位置)に操作
されたとき、モータの回転子に4Aの電流が流れるよう
に構成されている。この電流変化によって、モータ回転
数が変更されてエアコンユニットに送り込まれる風量が
調節される。
【0029】図1は、直流機としてのブロアモータ1の
概略構造を示す部分断面図である。図1に示すように、
ブロアモータ1は、フェライト磁石2,3、回転子4、
ブラシ5及び回転軸6等を有している。
【0030】詳述すると、本実施の形態のブロアモータ
1は、2極の直流モータであって、ヨークとしてのモー
タハウジング7の湾曲した内側面において、N極及びS
極を形成する2つのフェライト磁石2,3が回転子4を
挟んで対向配置されている。なお、モータハウジング7
は、強磁性体(軟鉄)により有底円筒状に形成されてい
る。回転子4は、コア8と、そのコア8に巻装されるコ
イル(巻線)9と、コンミテータ(整流子)10とを有
し、直流電流の供給により図1のX方向に回転駆動する
ようになっている。コア8には、複数のティース8aが
形成されており、そのうちの5つのティース8aの周囲
にコイル9が巻き付けられている。なお、本実施形態で
は、ティース8aの個数は12個であり、そのティース
8aが、回転子4の周方向に30°毎に形成されてい
る。つまり、隣り合うティース8aは、その中心線のな
す角が30°(=360°/12)となるように形成さ
れている。また、図示を省略しているが、複数の他のコ
イルが5つのティース8a毎に同様に巻き付けられてい
る。つまり、巻線の巻装方式は分布巻である。
【0031】コンミテータ10は、回転子4の一端に配
設され、複数のセグメント(整流子片)11を有して構
成されている。また、ブラシ5がコンミテータ10に摺
接するように付勢された状態で配設されている。そし
て、図示しない直流電源から供給される直流電流が、ブ
ラシ5とコンミテータ10のセグメント11を経てコイ
ル9に流入される。これによって、コイル9に流れる電
流の向きが変更されて、回転子4が時計回り方向(図
中、X矢印方向)に回転するようになっている。本実施
の形態では、12個のセグメント11が周方向に30°
毎に設けられており、回転子4がブラシ5に対して30
°回転するとき、コイル9の電流の向きが変更される。
つまり、回転子4の30°の回転によってコイル9の整
流が行われる。
【0032】本実施の形態のフェライト磁石2,3は、
図1に示すように、主磁極部2a,3aと、該主磁極部
2a,3aの端部(以下、延長開始点2c,3cとい
う)に設けた延長部2b,3bとを備えている。主磁極
部2a,3aは、図12に示す従来の磁石51,52に
相当する部分であって、延長部2b,3bはその主磁極
部2a,3aの回転方向側の端部に延出形成されてい
る。主磁極部2a,3aは、図1に示すように、整流中
のコイル9が巻装される5つの歯部のうち回転方向側及
び回転方向逆側の端部に配置するティース8aの中心線
間の角度(=120°の角度)に対応した長さとなるよ
うに形成されている。その主磁極部2a,3aの中心と
整流中のコイル9が巻装されるコア8(5つのティース
8a)の中心が一致する回転位置(図1の回転位置)が
整流中心となる。つまり、この回転位置において、ブラ
シ5によって短絡されるコイル9の電流の向きが反転す
る。また、延長部2b,3bは、整流区間の30°の角
度に対応する区間で形成されている。さらに、延長部2
b,3bにおける先端側の5°の角度に対応する区間で
は、徐々に薄くなるよう形成されている。ただし、この
延長部2b,3bにおける先端側の区間は、モータ1の
性能上最適化がはかれれば、特に5°の角度に限定する
必要はない。
【0033】また、本実施の形態のフェライト磁石2,
3は、延長部開始点2c,3cに対応する部位にて、磁
束密度が極小値となる磁束極小部2d,3dを有してい
る。つまり、フェライト磁石2,3は、磁束極小部2
d,3dを起点とし、回転方向側の端部に向かって磁束
密度が増加する領域を有しており、この磁束量Φの増加
によりリアクタンス電圧(L・di/dt)を打ち消す
誘起電圧(−dΦ/dt)を発生させるようにしてい
る。
【0034】フェライト磁石2,3は、図2に示す工程
を経て製造される。つまり、(A)の配向制御による磁
粉成形→(B)の焼結→(C)の切削加工→(D)のモ
ータ組付→(E)の着磁の各工程を経てフェライト磁石
2,3が製造されている。
【0035】以下に、フェライト磁石2,3の製造工程
について詳述する。 (A)の配向制御による磁粉成形は、図3に示す成形装
置20を用いて実施される。成形装置20は、金型21
(上型22及び下型23)を備え、この金型21の上型
22と下型23とにより形成される空洞部24に磁粉M
を充填して圧縮成形するようになっている。空洞部24
は、フェライト磁石2,3の形状をつくるためのもので
あって、断面円弧状に形成されている。また、磁粉M
は、異方性の特性を持つ磁粉であり、その具体的な材料
としては、例えば、酸化鉄(FeOx)とストロンチウ
ム(Sr)とからなる湿式フェライト材料が用いられて
いる。なお、上型22及び下型23は、常磁性体からな
り、例えば、超硬合金のタングステン・カーバイド(W
C)を用いて製造されている。
【0036】また、成形装置20は、強磁性体(例え
ば、鉄)からなるヨーク本体26を備えている。ヨーク
本体26の一方の端部にはヨーク27が形成され、他方
の端部にはヨーク28,29が形成されている。ヨーク
27は、上型22に埋設されており、同上型22内にて
2つに分かれて、第1ヨーク部27aと第2ヨーク部2
7bとが形成されている。なお、ヨーク27の第1ヨー
ク部27a及び第2ヨーク部27bは、その先端が所定
の距離だけ離間して形成されている。第1及び第2ヨー
ク部27a,27bの先端は円弧状に形成されており、
その先端面が前記空洞部24の壁面(外側の円弧面)を
構成している。また、上型22の一部であって、第1ヨ
ーク部27aと第2ヨーク部27bとの間に配置する部
位22aの表面も円弧状に形成されており、その部位2
2aの表面が前記空洞部24の壁面(外側の円弧面)を
構成している。つまり、空洞部24における外側の円弧
面は、第1及び第2ヨーク部27a,27bの強磁性体
と、その間の部位22aの常磁性体とにより形成されて
いる。
【0037】一方、ヨーク28及びヨーク29は、下型
23に埋設されており、ヨーク28とヨーク29は、所
定の距離だけ離間している。そして、同ヨーク28,2
9の先端も同様に円弧状に形成されており、その先端面
が前記空洞部24の壁面(内側の円弧面)を構成してい
る。また、下型23の一部であって、ヨーク28とヨー
ク29との間に配置する部位23aの表面も円弧状に形
成されており、その部位23aの表面が前記空洞部24
の壁面(内側の円弧面)を構成している。つまり、空洞
部24における内側の円弧面は、ヨーク28,29の強
磁性体と、その間の部位23aの常磁性体とにより形成
されている。
【0038】また、常磁性体の部位23aの中心部分に
も、強磁性体(例えば、鉄)からなるヨーク30が埋設
されている。同ヨーク30の先端部は、前記空洞部24
まで達しておらず、同空洞部24から所定の距離だけ離
間している。さらに、ヨーク28,29の基端となる部
位に、コイル31が巻き付けられている。一方、ヨーク
30にも、コイル32が巻き付けられている。なお、ヨ
ーク27の第1ヨーク部27aと第2ヨーク部との間
隔、ヨーク28とヨーク28の間隔、ヨーク30の配置
位置等は、モータ仕様に応じて適宜変更される。
【0039】そして、前記空洞部24に磁粉Mを充填し
た状態で、前記コイル31,32に図3に示す方向
(+、−)に電流を流しつつ加圧成形する。ここで、
(+)は、紙面手前側から奥側への方向を示し、(−)
は、紙面奥側から手前側への方向を示す。このように電
流を流すと、ヨーク27,30はN極となり、ヨーク2
8,29はS極となる。これにより、空洞部24に磁界
が与えられて、磁粉Mの配向の方向が矢印で示す方向と
なる。つまり、コイル31,32に電流が流れることに
より、ヨーク27の第1ヨーク部27aとヨーク28と
の間で磁束が発生するとともに、ヨーク27の第2ヨー
ク部27bとヨーク29との間で磁束が発生する。ま
た、ヨーク28,29とヨーク30との間でも磁束が発
生する。ここで、上型22及び下型23の常磁性体の部
位22a,23aが磁気抵抗となるため、ヨーク28,
29とヨーク30との間で発生する磁束は、ヨーク30
の先端部から噴水が放出されるように、空洞部24内を
湾曲して通過する。その結果、ヨーク27の第1ヨーク
部27a及びヨーク28に対応する部分では径方向の配
向となるとともに、ヨーク27の第2ヨーク部27b及
びヨーク29に対応する部分も同様に径方向の配向とな
る。一方、常磁性体の部位22a,23aに対応する範
囲において、ヨーク30に対向する部分のみ径方向の配
向となり、それ以外の部分は周方向の配向となる。な
お、本実施の形態では、ヨーク27,28,29及びコ
イル31により第1電磁石が構成され、ヨーク30及び
コイル32により第2電磁石が構成されている。
【0040】こうして磁場成形した成形品を、(B)の
焼結工程にて、所定の温度で加熱することにより焼き固
める。これにより、図4(a)に示す配向状態の成形品
2Zが形成される。
【0041】その後、(C)の切削加工の工程にて、図
4(b)に示すように、成形品2Zの内側部分を切削す
ることにより、未着磁状態のフェライト磁石2が形成さ
れる。この切削工程は、前記ヨーク30に対向した部分
における径方向の配向を削り取るために実施される。こ
れにより、フェライト磁石2において、磁束極小部2d
の近傍部分では、配向の向きは周方向となり、それ以外
の部分では、配向の向きは径方向となる。なお、フェラ
イト磁石3も同様に、(A)配向制御による磁粉成形→
(B)焼結→(C)切削加工の工程を経て形成される。
【0042】そして、(D)のモータ組み付け工程にお
いて、未着磁のフェライト磁石2,3、回転子4、ブラ
シ5、回転軸6等の各部品をモータハウジング7内に組
み付ける。続く、(E)の着磁工程では、各部品の組み
付けが完了したモータ1を、図5に示す着磁装置40の
取付台40aに固定した状態でフェライト磁石2,3の
着磁を実施する。
【0043】詳述すると、着磁装置40は、着磁ヨーク
41,42を備えている。着磁ヨーク41,42は、そ
の先端面がモータハウジング7の外周面の円弧半径より
やや大きな円弧半径を有して円弧状に形成されている。
そして、着磁ヨーク41と着磁ヨーク42は、対向配置
されたフェライト磁石2,3の位置と対応してモータハ
ウジング7の外部から同フェライト磁石2,3をカバー
(内在)するように対向配置されている。ここで、着磁
ヨーク41,42は、フェライト磁石2,3の外側の円
弧面全体を覆う角度幅を有している。さらに、着磁ヨー
ク41にはコイル43が巻き付けられ、着磁ヨーク42
にはコイル44が巻き付けられている。
【0044】そして、コイル43,44には、図5に示
す方向(+、−)に電流を流す。但し、(+)は、紙面
手前側から奥側への方向を示し、(−)は、紙面奥側か
ら手前側への方向を示す。このように電流を流すと、図
5で破線で示す方向(図5の左→右の方向)に磁束が発
生し、これにより磁石全体に同一方向(径方向)の強磁
界が与えられることとなる。こうしてフェライト磁石
2,3の着磁を実施すると、配向の方向が磁界の向きに
対して横向きになっている部分(磁束極小部2d,3d
の近傍部分)は弱く着磁され、配向の方向が磁界の向き
に対して並行となっている部分は強く着磁される。つま
り、配向の方向が周方向となる部分では、他の部分と比
較して効率よく磁化されない。その結果、図6に示すよ
うに、フェライト磁石2,3における磁束分布は、磁束
極小部2d,3d(延長部開始点2c,3c)近傍部分
が弱められることとなる。なお従来では、上記成形装置
20を用いた配向制御を実施していないため、着磁の際
に着磁装置40を用いて磁石全体に同一方向(径方向)
の強磁界が与えられると、図7のフェライト磁石46,
47のように、その磁束分布は全体でほぼ均一となる。
【0045】図8には、フェライト磁石2,3の回転方
向に対する磁束密度分布を示している。なお、図8で
は、フェライト磁石2,3の回転方向逆側の端部を基準
角度(=0°)とし、回転方向側の角度に対する磁束密
度分布を示している。また、図8において、従来のフェ
ライト磁石46,47の磁束分布を破線で示している。
図8に示すように、従来の磁束分布と比較して、磁束極
小部2d,3dに対応する角度120°で磁束密度が急
激に変化しており、フェライト磁石2,3の磁束密度
は、磁束極小部2d,3dに対応する角度120°で極
小値となっている。
【0046】このように、上記工程を経てフェライト磁
石2,3を製造すると、同フェライト磁石2,3におい
て、磁束極小部2d,3dに極小点がある磁束変化を持
たせることができる。また、本実施の形態では、上記着
磁工程によりフェライト磁石の着磁が行われることで、
ブロアモータ1が完成する。つまり、ブロアモータ1の
製造において、磁石2,3の着磁工程が最終工程となっ
ている。
【0047】次に、上記のように着磁されたフェライト
磁石2と整流時のコイル9によって巻装されるコア8
(5つのティース8a)との位置関係を図9を用いて説
明する(フェライト磁石3はフェライト磁石2と同じ位
置関係となるため、説明を省略する)。なお、図9は、
断面円弧状に形成されたフェライト磁石2を直線上に展
開して示した模式図である。また、図9において、フェ
ライト磁石2の周方向の幅を角度で示し、整流時のコイ
ル9によって巻装されるコア8(5つのティース8a)
を150°(5×30°)の幅で示している。
【0048】回転子4が回転してコア8の位置が図9の
(a)のようにコア先端がフェライト磁石2の磁束極小
部2d(延長部開始点2c)に位置するときコイル9の
整流が開始される。つまり、ブラシ5により短絡されて
コイル9の整流が開始される回転位置では、そのコイル
9により巻装されるティース8aの回転方向側の先端部
がフェライト磁石2の磁束極小部2dに位置するように
なっている。そして、その状態から(b)のように15
°回転した位置が整流中心(図1の回転位置)となり、
この位置でコイル9を流れる電流の方向が反転する。さ
らに、(c)のように15°回転した回転位置で整流が
終了する。つまり、コア8が(a)→(b)→(c)の
順に30°回転するときにコイル9の整流が実施され
る。この整流時において、整流中のコイル9を通過する
磁束量Φは、図10に示すように、フェライト磁石2,
3の延長部2b,3bの形成によって回転子4の回転に
応じて徐々に増加する。またこのとき、整流中のコイル
9を通過する磁束量Φの増加率はフェライト磁石2,3
の磁束極小部2d,3d(延長部開始点2c,3c)近
傍部分の磁束変化によって回転に応じて徐々に増加す
る。なお、ここで示す磁束量Φの変化は、コイル9に流
れる電流による磁束量と、フェライト磁石2,3による
磁束量との合成磁束量を示しており、図中の点線は、図
15における合成磁束量(C)に対応するものである。
【0049】このように、整流中のコイル9を通過する
磁束量Φが変化するため、コイル9に発生する誘起電圧
e(=−dΦ/dt)は、整流初期時が小さく回転子4
の回転位置に応じてマイナス側に徐々に大きくなる。な
お、図10では、コイル9により巻装されるコア8(5
つのティース8a)の中心とフェライト磁石2,3の主
磁極部2a,3aの中心とが一致するとき、即ち、図1
における回転子4の回転位置を基準位置0°として示し
ている。
【0050】この誘起電圧eによって、リアクタンス電
圧が打ち消されて、図14に示す不足整流が改善され
る。つまり、リアクタンス電圧に完全に一致する誘起電
圧eを発生させることで、整流曲線が図14の点線で示
すような理想的な整流の1つである直線整流になる。
【0051】また、エアコンのスイッチ操作によってブ
ロアモータ1の負荷が変更された場合では、コイル9を
流れる電流が変化してリアクタンス電圧が増減するが、
誘起電圧eはモータ負荷に応じてリアクタンス電圧を打
ち消すように変化する。
【0052】具体的に、操作スイッチがHi位置に操作
され、コイル9に18Aの電流が流れると、コイル9の
電流に応じてリアクタンス電圧が増加する。この場合、
モータ回転数が高くなって誘起電圧eが増加する。ま
た、操作スイッチがLo位置に操作され、コイル9に4
Aの電流が流れると、コイル9の電流に応じてリアクタ
ンス電圧が減少する。この場合、モータ回転数が低くな
り、誘起電圧eが小さくなる。このようにモータ負荷に
応じて、リアクタンス電圧が変化するが、そのリアクタ
ンス電圧を打ち消すように誘起電圧eも変化する。従っ
て、モータ負荷が変動する場合でも、良好な整流が保た
れるので安定した運転が継続される。
【0053】以上記述したように、本実施の形態によれ
ば、下記のような特徴を有する。 (1)成形工程で磁粉Mの配向を制御しつつ圧縮成形し
た後、切削工程では、磁束極小部2d,3dにおいて配
向の方向が径方向となっている部位が削り取られる。こ
れにより、磁束極小部2d,3dの近傍部分では配向の
方向が周方向となり、それ以外の部分の配向の方向が径
方向となる。そして、配向の方向がそろえられた未着磁
のフェライト磁石2,3をブロアモータ1に取り付けた
後に、モータハウジング7の外側からフェライト磁石
2,3の全体に径方向の強磁界を与えると、磁束極小部
2d,3dの近傍部分では、配向の向きが強磁界に対し
て横向きとなるので、それ以外の部分と比較して弱く着
磁される。その結果、フェライト磁石2,3において、
磁束極小部2d,3dで磁束密度が極小値となる磁束変
化を持たせることができ、その磁束変化によりリアクタ
ンス電圧を打ち消す誘起電圧を発生できる。このよう
に、上記製造方法を採用することにより、整流改善に優
れた磁束分布のフェライト磁石2,3を製造できる。
【0054】(2)成形工程後の焼結工程により成形品
2Zが焼き固められるので、切削工程における成形品2
Zの切削を的確に実施できる。 (3)成形装置20において、第1電磁石のヨーク2
8,29と、第2電磁石のヨーク30との間の部位23
aを常磁性体で形成したので、その常磁性体の部位23
aが磁気抵抗となり、ヨーク28,29とヨーク30の
磁束が、金型21の空洞部24を効率よく通過する。ま
た、磁束極小部2d,3dの近傍部分以外にはヨーク2
7,28,29により径方向の磁界が与えられ、磁束極
小部2d,3dの近傍部分にはヨーク30により周方向
の磁界が与えられる。これにより、磁粉Mの配向を的確
に制御することができる。
【0055】(4)空洞部24において、常磁性体の部
位22a,23aが磁気抵抗となり、ヨーク30による
磁束が径方向に通過することが抑制されて周方向に磁束
が流れる。また、ヨーク27,28,29の先端面にて
空洞部24が形成されるので、そのヨーク27,28,
29による磁束が径方向に効率よく流れる。これによ
り、延長部開始点2c,3c(磁束極小部2d,3d)
には周方向の磁界を、それ以外の部分には径方向の磁界
を与えることができる。
【0056】(5)第2電磁石のヨーク30は、金型2
1において空洞部24の内側円弧面側にのみ配置されて
おり、ヨーク30による磁束は、噴水が流出するように
周囲に湾曲して通過する。また、空洞部24の内側円弧
面にてヨーク30に対向する部位(磁束極小部2d,3
d)では、径方向に磁束が通過するので、この部分のみ
が径方向の配向となるが、切削工程でその内側円弧面側
を削り取れば、磁束極小部2d,3dの近傍部分におけ
る配向の方向を周方向とすることができる。
【0057】(6)ブロアモータ1の整流が改善される
ので火花の発生を抑制できる。その結果、ブロアモータ
1の寿命を向上できる。また、ノイズ対策(音、電磁雑
音等の対策が不要となるので、モータ1の製造コストを
低減できる。
【0058】なお本発明は、上記以外に次の態様にて具
体化できる。 ○上記実施の形態では、図4(a),(b)に示すよう
に、成形品2Zにおける内側面全体を削り取るものであ
ったが、図11のフェライト磁石48のように、図4
(a)の成形品2Zにおける内側面の一部のみ(配向が
径方向となっている部位のみ)を削り取るようにしても
よい。このようにしても、磁束極小部48aの近傍部分
における配向の向きを周方向とすることができるので、
上記実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0059】○上記実施の形態では、2極のモータ1の
磁石2,3に適用するものであったが、これ以外に4極
の直流モータ等の多極直流モータの磁石に適用してもよ
い。また、フェライト磁石2,3,48以外の磁石、例
えば樹脂等を混入させた磁石にて具体化してもよい。
【0060】○上記実施の形態では、直流機としてブロ
アモータ1に具体化したが、他のモータに具体化しても
よい。また、直流発電機に具体化してもよい。さらに、
上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想
について、以下にそれらの効果と共に記載する。
【0061】(イ)請求項1に記載の磁石の製造方法に
おいて、前記磁石は、主磁極部と、該主磁極部から前記
回転子の回転方向側に延出形成された延長部とからな
り、前記主磁極部は、巻線により巻装される複数のティ
ースのうち回転方向側及び回転方向逆側の端部に配置す
るティースの中心線間の角度に対応する長さとほぼ等し
く形成され、前記延長部の開始点近傍に前記磁束極小部
を有するようにした磁石の製造方法。このうような磁石
では、整流改善に優れた磁束分布を実現できる。具体的
には、延長部からの磁束によりリアクタンス電圧を打ち
消す誘起電圧が発生され整流を改善することができる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
磁粉の圧縮成形にて配向の方向を制御し、その後、切削
加工を施すことにより、整流改善に優れた磁束分布を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるブロアモータの概略構成
図。
【図2】フェライト磁石の製造工程を説明するためのフ
ローチャート。
【図3】本実施の形態における成形装置を説明するため
の図。
【図4】フェライト磁石における配向の状態を示す図。
【図5】本実施の形態における着磁装置を説明するため
の図。
【図6】配向制御を実施したフェライト磁石の磁束分布
を示す図。
【図7】配向制御を実施しない従来のフェライト磁石の
磁束分布を示す図。
【図8】回転角度に対するフェライト磁石の磁束分布を
示す図。
【図9】フェライト磁石と回転子の回転位置との関係を
示す模式図。
【図10】コアの回転位置と磁束量及び誘導起電力との
関係を示す図。
【図11】別の実施の形態におけるフェライト磁石を示
す図。
【図12】従来の直流モータの概略構成図。
【図13】整流を説明するための図。
【図14】整流曲線を示す図。
【図15】コアの回転位置と磁束量及び誘起電圧との関
係を示す図。
【図16】改善した従来の直流モータの概略構成図。
【符号の説明】
2,3…フェライト磁石、2d,3d…磁束極小部、2
Z…成形品、4…回転子、5…ブラシ、8a…ティー
ス、9…巻線としてのコイル、10…コンミテータ、1
1…整流子片、48…フェライト磁石、48a…磁束極
小部、M…磁粉。
フロントページの続き Fターム(参考) 5H613 AA02 BB04 BB15 BB35 PP07 QQ06 SS07 5H622 AA03 CA02 CA05 CA10 CA12 CB04 CB05 DD01 PP05 PP17 PP19 QA02 QB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流機に適用される磁石であって、断面
    円弧状に形成されその一部に磁束密度が極小値となる磁
    束極小部を有する磁石の製造方法において、 金型内に磁粉を充填し、該磁粉の配向を制御しつつ圧縮
    成形する成形工程と、 前記磁束極小部の近傍部分における配向の方向を周方
    向、それ以外の部分における配向の方向を径方向とする
    ために、磁束極小部にて配向の方向が径方向となってい
    る部位を削り取る切削工程と、 前記切削された磁石を直流機に取り付けた後、該直流機
    の外側から磁石の全体に径方向の強磁界を与えることに
    より磁石全体を着磁する着磁工程と、を備えることを特
    徴とする磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁石の製造方法におい
    て、 前記成形工程の後に、成形品を焼結する工程を備えるこ
    とを特徴とする磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の磁石の製造方法
    において、 前記金型内には、前記断面円弧状の磁石形状をつくるた
    めの空洞部が形成され、該金型に第1電磁石と第2電磁
    石とが埋設されるとともに、第1電磁石と第2電磁石と
    の間の部位が常磁性体で形成され、 前記成形工程では、前記磁粉を充填した金型の空洞部に
    おいて、前記磁束極小部の近傍部分以外には前記第1電
    磁石により径方向の磁界を与えるとともに、前記磁束極
    小部の近傍部分には第2磁石により周方向の磁界を与え
    ることを特徴とする磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の磁石の製造方法におい
    て、 前記空洞部にて、前記磁束極小部の近傍部分に対応する
    円弧面を常磁性体により形成するとともに、それ以外の
    円弧面を第1電磁石の先端面により形成し、 前記常磁性体の部位の中心部分に前記第2電磁石を配置
    するようにしたことを特徴とする磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の磁石の製造方法におい
    て、 前記第2電磁石は、前記金型における空洞部の内側円弧
    面側に配置されており、前記切削工程では、その内側円
    弧面側を削り取るようにしたことを特徴とする磁石の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 巻線により巻装された複数のティースを
    有する回転子と、コンミテータの整流子片を介して前記
    巻線に直流電流を供給するブラシとを備える直流機に適
    用される請求項1に記載の磁石の製造方法において、 前記ブラシにより短絡されて前記巻線の整流が開始され
    る回転位置にて、その整流を開始する巻線により巻装さ
    れるティースの回転方向側の先端部と前記磁束極小部と
    が対向するように、前記磁石を配置したことを特徴とす
    る磁石の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007306714A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Asmo Co Ltd 着磁装置および着磁方法

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