JP2002100981A - Pll回路、位相固定方法、記録媒体 - Google Patents

Pll回路、位相固定方法、記録媒体

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JP2002100981A
JP2002100981A JP2000289840A JP2000289840A JP2002100981A JP 2002100981 A JP2002100981 A JP 2002100981A JP 2000289840 A JP2000289840 A JP 2000289840A JP 2000289840 A JP2000289840 A JP 2000289840A JP 2002100981 A JP2002100981 A JP 2002100981A
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Hidetaka Shirasu
英貴 白須
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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非同期ディジタル回路あるいはアナログ回路
の使用を回避して高集積化を図るPLL回路を提供す
る。 【解決手段】 入力アナログ信号の電圧に基づき出力ア
ナログ信号を出力するVCO10と、出力アナログ信号
の周波数Fa+Δfからローカルアナログ信号の周波数を現
じた周波数Floの比較用デジタル信号を出力する比較用
デジタル信号出力部20と、比較用デジタル信号とDD
S50の出力する目標ディジタル信号とを乗算するディ
ジタル掛け算器30と、ディジタル掛け算手段の出力の
内、低い周波数帯域の成分を抽出するディジタルループ
フィルタ32と、ディジタルループフィルタ32の出力
に基づき、入力アナログ信号を出力する入力アナログ信
号出力部40と、を備え、比較用デジタル信号と目標デ
ィジタル信号との位相差の計測に、ディジタル回路を用
いることができ、PLL回路の高集積化を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PLL(Phase Lo
cked Loop)回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のPLL回路の構成は、特開2000-1
83731にも記載されており、図7に特開2000-183731に記
載のPLL回路を示す。
【0003】図7に記載のPLL回路は、DATAとCLKと
の位相差を位相比較回路121でとり、ループフィルタ
122で平滑化して、VCO(Voltage Controlled Osc
illator)123に与える。VCO123は、位相差を
一定の値に保つために、CLK周波数を高くあるいは低く
する。ここで、特開2000-183731には特に記載がない
が、位相比較回路121、ループフィルタ122には非
同期デジタル回路あるいはアナログ回路が使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非同期
デジタル回路あるいはアナログ回路の使用は、PLL回
路の高集積化を妨げる。
【0005】そこで、本発明は、非同期ディジタル回路
あるいはアナログ回路の使用を回避して高集積化を図る
PLL回路等を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、入力アナログ信号の電圧に基づき出力アナログ信号
を出力する電圧制御発振手段と、出力アナログ信号に基
づき比較用デジタル信号を出力する比較用デジタル信号
出力手段と、比較用デジタル信号と目標ディジタル信号
とを乗算するディジタル掛け算手段と、ディジタル掛け
算手段の出力の内、低い周波数帯域の成分を積分するデ
ィジタル積分フィルタと、ディジタル積分フィルタの出
力に基づき、入力アナログ信号を出力する入力アナログ
信号出力手段と、を備えるように構成される。
【0007】上記のように構成されたPLL回路によれ
ば、ディジタル掛け算手段が比較用デジタル信号と目標
ディジタル信号とを乗算し、ディジタル積分フィルタが
ディジタル掛け算手段の出力の内の低い周波数帯域の成
分を積分することにより、比較用デジタル信号と目標デ
ィジタル信号との位相差を計測する。よって、比較用デ
ジタル信号と目標ディジタル信号との位相差の計測に、
ディジタル回路を用いることができ、PLL回路の高集
積化を可能とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明であって、比較用デジタル信号出力手段は、ロー
カルアナログ信号を生成するローカル信号源と、出力ア
ナログ信号と、ローカルアナログ信号とを混合するミキ
サと、ミキサの出力の内、低い周波数帯域の成分を抽出
するローパスフィルタと、ローパスフィルタの出力をデ
ジタルの信号に変換するA/Dコンバータと、を有する
ように構成される。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明であって、入力アナログ信号出力手段は、ディジ
タル積分フィルタの出力をアナログの信号に変換するD
/Aコンバータを有するように構成される。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明であって、目標ディジタル信号は、ダイレクトデ
ィジタルシンセサイザから出力されるように構成され
る。
【0011】請求項5に記載の発明は、請求項2に記載
の発明であって、出力アナログ信号の周波数が、ローカ
ルアナログ信号の周波数と目標ディジタル信号の周波数
を加えた値になるような、調節入力アナログ信号を電圧
制御発振手段にを与える周波数調節手段を備えるように
構成される。
【0012】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明であって、周波数調節手段は、調節入力アナログ
信号のディジタルデータを記録する調節用データ記録メ
モリと、電圧値記録メモリの出力をアナログの信号に変
換するD/Aコンバータと、を有するように構成され
る。
【0013】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明であって、入力アナログ信号出力手段は、ディジ
タル積分フィルタの出力をアナログの信号に変換するD
/Aコンバータを有し、調節用データ記録メモリの出力
とディジタルローパスフィルタの出力がマルチプレクサ
に接続されており、入力アナログ信号出力手段のD/A
コンバータと周波数調節手段のD/Aコンバータとは共
用であり、D/Aコンバータはマルチプレクサの出力を
アナログの信号に変換するように構成される。
【0014】請求項8に記載の発明は、請求項1に記載
の発明であって、比較用デジタル信号出力手段は、出力
アナログ信号の周波数を1/N倍(Nは0を超える正
数)したアナログ信号を出力する分周手段と、分周手段
の出力をデジタルの信号に変換するA/Dコンバータ
と、を有するように構成される。
【0015】請求項9に記載の発明は、請求項1に記載
の発明であって、目標ディジタル信号は、比較用デジタ
ル信号出力手段および入力アナログ信号出力手段に与え
られる基準クロックの周波数を1/M倍(Mは0を超え
る正数)し、A/D変換して得られるように構成され
る。
【0016】請求項10に記載の発明は、請求項1ない
し9のいずれか一項に記載の発明であって、ディジタル
積分フィルタはディジタルループフィルタであるもので
ある。
【0017】請求項11に記載の発明は、入力アナログ
信号の電圧に基づき出力アナログ信号を出力する電圧制
御発振工程と、出力アナログ信号に基づき比較用デジタ
ル信号を出力する比較用デジタル信号出力工程と、比較
用デジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算するディ
ジタル掛け算工程と、ディジタル掛け算工程の出力の
内、低い周波数帯域の成分を積分するディジタル積分フ
ィルタと、ディジタル積分フィルタの出力に基づき、入
力アナログ信号を出力する入力アナログ信号出力工程
と、を備えた位相固定方法である。
【0018】請求項12に記載の発明は、入力アナログ
信号の電圧に基づき出力アナログ信号を出力する電圧制
御発振手段と、出力アナログ信号に基づき比較用デジタ
ル信号を出力する比較用デジタル信号出力手段と、入力
に基づき入力アナログ信号を出力する入力アナログ信号
出力手段と、を有するPLL回路において、位相固定処
理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録
したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であ
って、比較用デジタル信号と目標ディジタル信号とを乗
算するディジタル掛け算処理と、ディジタル掛け算工程
の出力の内、低い周波数帯域の成分を積分して、入力ア
ナログ信号出力手段に供給するディジタル積分フィルタ
リング処理と、をコンピュータに実行させるためのプロ
グラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な
記録媒体である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0020】第一の実施形態 図1は、本発明の第一の実施形態にかかるPLL(Phas
e Locked Loop)回路の構成を示すブロック図である。
本発明の第一の実施形態にかかるPLL回路は、VCO
(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)
10、比較用デジタル信号出力部20、ディジタル掛け
算器30、ディジタルループフィルタ32、マルチプレ
クサ34、入力アナログ信号出力部40、DDS(Dire
ct Digital Synthesizer:ダイレクトディジタルシンセ
サイザ)50、周波数調節部60、クロック基準源70
を備える。
【0021】VCO10は、入力アナログ信号に基づ
き、出力アナログ信号を出力する。より詳細には、入力
アナログ信号の電圧に基づき、出力アナログ信号の周波
数を変更する。VCO10の出力する出力アナログ信号
の周波数は、後述する周波数調節部60によって、Faに
設定される。しかし、温度、電源電圧等の変動による誤
差により、出力アナログ信号の周波数はFa+Δfとな
る。ただし、Δfは誤差である。しかし、後に出力アナ
ログ信号の周波数はFaに固定される。
【0022】比較用デジタル信号出力部20は、出力ア
ナログ信号に基づき、比較用デジタル信号を出力する。
より詳細には、出力アナログ信号の周波数に所定の変換
を行った値を比較用デジタル信号の周波数とする。比較
用デジタル信号出力部20は、ローカル信号源22、ミ
キサ24、ローパスフィルタ26、A/Dコンバータ2
8を有する。
【0023】ローカル信号源22は、所定の周波数Flo
の正弦波のローカルアナログ信号を生成する。ミキサ2
4は、出力アナログ信号とローカルアナログ信号とを混
合して出力する。ミキサ24の出力する信号の周波数
は、Fa+Δf±Floとなる。ローパスフィルタ26は、
ミキサ24の出力のうち低周波の帯域の成分を抽出す
る。すなわち、Fa+Δf‐Floの周波数の信号を抽出す
る。A/Dコンバータ28は、ローパスフィルタ26の
出力をA/D変換する。すなわち、アナログデータから
デジタルデータに変換する。A/Dコンバータ28の出
力が比較用ディジタル信号となる。
【0024】ディジタル掛け算器30は、比較用ディジ
タル信号と、後述するDDS50が出力する目標ディジ
タル信号とを乗算して出力する。ここで仮に、比較用デ
ィジタル信号をsin(ωt+θ)、目標ディジタル信号をsin
(ω’t+θ’)とすると、ディジタル掛け算器30の出力
は、図2に示す式(1)のようになる。
【0025】ディジタルループフィルタ32は、ディジ
タル回路で構成された積分回路である。ディジタルルー
プフィルタ32は、ディジタル掛け算器30の出力のう
ち、高い周波数帯域の成分は、積分回路の周波数特性に
よって無視しても良い程度まで減衰され、低い周波数帯
域の成分のみを積分する。よって、ディジタルループフ
ィルタ32の出力は、図2に示す式(1)から高周波成
分を取り除いた、式(2)を積分したものとなる。ここ
で、比較用ディジタル信号と、目標ディジタル信号との
周波数が十分に近ければ、式(2)は、式(3)のよう
になる。すなわち、ディジタルループフィルタ32の出
力は、比較用ディジタル信号と、目標ディジタル信号と
の位相差θ−θ’の積分となる。
【0026】マルチプレクサ34は、ディジタルループ
フィルタ32の出力と後述するプリチューンROM(Re
ad Only Memory)62の出力とを入力とする。マルチプ
レクサ34は、まず、プリチューンROM62の出力を
出力し、一定時間経過後に、ディジタルループフィルタ
32の出力を出力とする。
【0027】入力アナログ信号出力部40は、ディジタ
ルループフィルタ32の出力およびプリチューンROM
62の出力に基づき、VCO10に与える入力アナログ
信号を出力する。入力アナログ信号出力部40は、D/
Aコンバータ44、ローパスフィルタ46を有する。
【0028】D/Aコンバータ44は、マルチプレクサ
34の出力をD/A変換する。すなわち、デジタルデー
タからアナログデータに変換する。ローパスフィルタ4
6は、D/Aコンバータ44の出力の低周波帯域の成分
を抽出して、出力する。ローパスフィルタ46の出力
が、入力アナログ信号である。
【0029】DDS50は、与えられた周波数データに
基づき目標ディジタル信号を出力する。目標ディジタル
信号の周波数はFddsであり、Fa−Flo=Fddsである。
【0030】周波数調節部60は、出力アナログ信号の
周波数が、ローカルアナログ信号の周波数Floと目標デ
ィジタル信号の周波数Fddsを加えた値Faになるような、
調節入力アナログ信号をVCO10に与える。
【0031】周波数調節部60は、プリチューンROM
62、D/Aコンバータ64(44)、ローパスフィル
タ66(46)を有する。プリチューンROM62は、
出力アナログ信号の周波数が、ローカルアナログ信号の
周波数Floと目標ディジタル信号の周波数Fddsを加えた
値Faになるような、調節入力アナログ信号のディジタル
データを記録する。VCO10は、入力信号の電圧で制
御されるので、調節入力アナログ信号のディジタルデー
タは、VCO10へ入力される信号の電圧値が、出力ア
ナログ信号の周波数をFaとするようになっている。D/
Aコンバータ64は、D/Aコンバータ44と共用であ
り、プリチューンROM62の出力をアナログデータに
変換する。ローパスフィルタ66は、ローパスフィルタ
46と共用であり、D/Aコンバータ64の出力の低周
波帯域の成分を抽出する。なお、マルチプレクサ34を
使用しないで、D/Aコンバータ64と、D/Aコンバ
ータ44とを別々に設け、ローパスフィルタ66と、ロ
ーパスフィルタ46とを別々に設けてもよい。
【0032】クロック基準源70は、比較用デジタル信
号出力部20のA/Dコンバータ28、入力アナログ信
号出力部40のD/Aコンバータ44、DDS50にク
ロック信号を供給する。
【0033】なお、ディジタル掛け算器30、ディジタ
ルループフィルタ32、マルチプレクサ34、DDS5
0、プリチューンROM62はDSP(Digital Signal
Processor)等によるソフトウェア演算ルーチンまたは
ディジタル同期回路による演算器とすることができる。
【0034】次に、本発明の第一の実施形態にかかるP
LL回路の動作を図3のフローチャートを参照しながら
説明する。
【0035】まず、VCO10のプリチューン(予備設
定)を行う(S10)。すなわち、プリチューンROM
62に記録されたディジタルデータを読み出す。このデ
ィジタルデータは、マルチプレクサ34を介して、D/
Aコンバータ44に入力される。D/Aコンバータ44
は、このディジタルデータをアナログデータに変換し、
ローパスフィルタ46により低周波帯域の成分が抽出さ
れて、VCO10に入力される。これにより、VCO1
0が出力する出力アナログ信号の周波数がFa(=Flo+Fdd
s)に設定される。しかし、温度、電源電圧などの変動
による誤差により、出力アナログ信号の周波数がFa+Δ
fとなる。なお、このときマルチプレクサ34は、プリ
チューンROM62の出力を出力とする。
【0036】次に、VCO10は周波数がFa+Δfの出
力アナログ信号を出力する(S12)。比較用デジタル
信号出力部20は、出力アナログ信号を受けて比較用デ
ジタル信号を出力する(S14)。すなわち、ミキサ2
4が、出力アナログ信号とローカルアナログ信号とを混
合し、周波数がFa+Δf±Floとなる信号を出力する。
この信号の内、高周波の成分はローパスフィルタ26に
より取り除かれ、Fa+Δf‐Floの周波数の信号が、A
/Dコンバータ28により比較用ディジタル信号に変換
されて出力される。
【0037】次に、ディジタル掛け算器30が、比較用
ディジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算する(S
16)。すなわち、比較用デジタル信号出力部20が出
力する比較用ディジタル信号と、DDS50が出力する
目標ディジタル信号とを、ディジタル掛け算器30が乗
算して出力する。比較用ディジタル信号の周波数は、Fa
+Δf‐Floであり、目標ディジタル信号の周波数は、F
ddsである。VCO10のプリチューンが良好であると
仮定すれば、比較用ディジタル信号の周波数と目標ディ
ジタル信号の周波数とは、ほぼ等しい。なぜなら、Δf
がほぼ0であり、Fa‐Flo=Fddsだからである。ディジタ
ル掛け算器30の出力は、図2に示す式(1)のような
ものである。ただし、上記のように、比較用ディジタル
信号をsin(ωt+θ)、目標ディジタル信号をsin(ω’t+
θ’)とする。
【0038】次に、ディジタルループフィルタ32が、
ディジタル掛け算器30の出力の内、低い周波数帯域の
成分を積分する(S18)。図2に示す式(1)のよう
なディジタル掛け算器30の出力から、低い周波数帯域
の成分を抽出すると、図2に示す式(2)のようにな
る。上記のように、比較用ディジタル信号の周波数と目
標ディジタル信号の周波数とは、ほぼ等しい。すなわ
ち、ωとω’とは、ほぼ等しい。よって、ディジタルル
ープフィルタ32の出力は、図2に示す式(3)を積分
したものとなる。よって、ディジタルループフィルタ3
2の出力は、比較用ディジタル信号と、目標ディジタル
信号との位相差θ−θ’の積分となる。
【0039】次に、ディジタルループフィルタ32の出
力は、マルチプレクサ34を介して、入力アナログ信号
出力部40に入力され、入力アナログ信号出力部40は
VCO10に与える入力アナログ信号を出力する(S2
0)。なお、このときマルチプレクサ34は、ディジタ
ルループフィルタ32の出力を出力とするように切りか
えられている。
【0040】最後に、入力アナログ信号に基づき、VC
O10が生成する出力アナログ信号の周波数がFa+Δf
からFaに調整され、出力アナログ信号の周波数がFaに固
定される(S22)。
【0041】なお、出力アナログ信号の周波数が固定さ
れるためには、ディジタルループフィルタ32の出力が
固定値である必要がある。すなわち、図2に示す式
(3)の値が0である必要がある。よって、位相差θ−
θ’が1/2π(VCO10のV/F感度が逆極性の場
合は、3/2π)のときに、出力アナログ信号の周波数
が固定される。位相差が1/2π(あるいは3/2π)
になる態様を図4のグラフを用いて説明する。
【0042】まず、位相差が0から1/2πまでの場合
は、位相差が1/2πに向かって収束する。位相差が1
/2πからπまでの場合も、位相差が1/2πに向かっ
て収束する。位相差0からπまでの場合と、πから2π
までの場合とでは、ディジタル掛け算器30とディジタ
ルループフィルタ32とが逆特性で働くため、位相差が
πから3/2πまでの場合は、πになる方向に収束す
る。位相差が3/2πから2πまでの場合は、2π(=
0)になる方向に収束する。よって、最終的には、位相
差が0から2πまでの場合は位相差が1/2πに向かっ
て収束する。位相差が固定されることで、出力アナログ
信号の周波数も固定される。
【0043】ただし、VCO10のV/F感度が逆極性
の場合は、位相差が3/2πに向かって収束する。
【0044】第一の実施形態によれば、ディジタル掛け
算器30が比較用デジタル信号と目標ディジタル信号と
を乗算し、ディジタルループフィルタが積分器としての
機能を果たし、ディジタル掛け算器30の出力の内の低
い周波数帯域の成分を積分することにより、比較用デジ
タル信号と目標ディジタル信号との位相差を計測する。
よって、比較用デジタル信号と目標ディジタル信号との
位相差の計測に、ディジタル回路を用いることができ、
PLL回路の高集積化を可能とする。
【0045】第二の実施形態 第二の実施形態は、比較用デジタル信号出力部20が、
VCO10の生成する出力アナログ信号を分周するとい
う点、およびプリチューンを行わない点で、第一の実施
形態と異なる。以下、第一の実施形態と同様な部分は、
同一の番号を付して説明を省略する。
【0046】図5は、本発明の第二の実施形態にかかる
PLL(Phase Locked Loop)回路の構成を示すブロッ
ク図である。本発明の第二の実施形態にかかるPLL回
路は、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧
制御発振器)10、比較用デジタル信号出力部20、デ
ィジタル掛け算器30、ディジタルループフィルタ3
2、入力アナログ信号出力部40、DDS(Direct Dig
ital Synthesizer:ダイレクトディジタルシンセサイ
ザ)50、クロック基準源70を備える。
【0047】VCO10、ディジタル掛け算器30、デ
ィジタルループフィルタ32、入力アナログ信号出力部
40、DDS50、クロック基準源70は第一の実施形
態と同様である。
【0048】比較用デジタル信号出力部20は、分周器
21、A/Dコンバータ28を有する。分周器21は、
VCO10の生成する出力アナログ信号の周波数を1/
N倍(Nは0を超える正数)にして出力する。A/Dコ
ンバータ28は、分周器21の出力をデジタルデータに
変換して出力する。
【0049】次に、本発明の第二の実施形態にかかるP
LL回路の動作を図3のフローチャートを参照しながら
説明する。ただし、第二の実施形態においてはプリチュ
ーン(S10)を行わない。
【0050】まず、VCO10は出力アナログ信号を出
力する(S12)。このときの出力アナログ信号の周波
数を200MHzとする。比較用デジタル信号出力部2
0は、出力アナログ信号を受けて比較用デジタル信号を
出力する(S14)。すなわち、分周器21は、VCO
10の生成する出力アナログ信号の周波数を1/N倍
(Nは0を超える正数)にして出力する。例えば、N=
100とすれば、200/100=2MHzのアナログ
の信号を出力する。そして、A/Dコンバータ28によ
り比較用ディジタル信号に変換されて出力される。
【0051】次に、ディジタル掛け算器30が、比較用
ディジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算する(S
16)。ここで、目標ディジタル信号が3MHzである
とする。そして、ディジタルループフィルタ32が、デ
ィジタル掛け算器30の出力の内、低い周波数帯域の成
分を積分する(S18)。
【0052】次に、ディジタルループフィルタ32の出
力は、入力アナログ信号出力部40に入力され、入力ア
ナログ信号出力部40はVCO10に与える入力アナロ
グ信号を出力する(S20)。
【0053】最後に、入力アナログ信号に基づき、VC
O10が生成する出力アナログ信号の周波数が調整さ
れ、出力アナログ信号の周波数が固定される(S2
2)。すなわち、比較用ディジタル信号と目標ディジタ
ル信号との位相差を固定することで、比較用ディジタル
信号の周波数2MHzが目標ディジタル信号の周波数3
MHzになるようにする。よって、出力アナログ信号の
周波数が3×N=3×100=300MHzに固定され
る。
【0054】第二の実施形態によっても、第一の実施形
態同様の効果を奏する。
【0055】第三の実施形態 第三の実施形態は、目標ディジタル信号の生成を、基準
クロックの周波数を1/M倍(Mは0を超える正数)
し、A/D変換して行う点で、第二の実施形態と異な
る。以下、第二の実施形態と同様な部分は、同一の番号
を付して説明を省略する。
【0056】図6は、本発明の第三の実施形態にかかる
PLL(Phase Locked Loop)回路の構成を示すブロッ
ク図である。本発明の第三の実施形態にかかるPLL回
路は、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧
制御発振器)10、比較用デジタル信号出力部20、デ
ィジタル掛け算器30、ディジタルループフィルタ3
2、入力アナログ信号出力部40、クロック基準源7
0、分周器82、A/Dコンバータ84を備える。
【0057】VCO10、比較用デジタル信号出力部2
0、ディジタル掛け算器30、ディジタルループフィル
タ32、入力アナログ信号出力部40、クロック基準源
70(図示省略)は第二の実施形態と同様である。
【0058】分周器82は、クロック基準源の生成する
クロック信号をの周波数を1/M倍(Mは0を超える正
数)にして出力する。A/Dコンバータ84は、分周器
82の出力をデジタルデータに変換して出力する。
【0059】次に、本発明の第三の実施形態にかかるP
LL回路の動作を図3のフローチャートを参照しながら
説明する。ただし、第三の実施形態においてはプリチュ
ーン(S10)を行わない。
【0060】まず、VCO10は出力アナログ信号を出
力する(S12)。このときの出力アナログ信号の周波
数を200MHzとする。比較用デジタル信号出力部2
0は、出力アナログ信号を受けて比較用デジタル信号を
出力する(S14)。すなわち、分周器21は、VCO
10の生成する出力アナログ信号の周波数を1/N倍
(Nは0を超える正数)にして出力する。例えば、N=
100とすれば、200/100=2MHzのアナログ
の信号を出力する。そして、A/Dコンバータ28によ
り比較用ディジタル信号に変換されて出力される。
【0061】次に、ディジタル掛け算器30が、比較用
ディジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算する(S
16)。仮にM=2、基準クロック10MHzとすれ
ば、目標ディジタル信号が5MHzである。目標ディジ
タル信号は、クロック基準源70の生成する基準クロッ
クを分周器82により、周波数を1/M倍して、A/D
コンバータ84によりディジタルデータに変換して得ら
れる。
【0062】そして、ディジタルループフィルタ32
が、ディジタル掛け算器30の出力の内、低い周波数帯
域の成分を積分する(S18)。
【0063】次に、ディジタルループフィルタ32の出
力は、入力アナログ信号出力部40に入力され、入力ア
ナログ信号出力部40はVCO10に与える入力アナロ
グ信号を出力する(S20)。
【0064】最後に、入力アナログ信号に基づき、VC
O10が生成する出力アナログ信号の周波数が調整さ
れ、出力アナログ信号の周波数が固定される(S2
2)。すなわち、比較用ディジタル信号と目標ディジタ
ル信号との位相差を固定することで、比較用ディジタル
信号の周波数2MHzが目標ディジタル信号の周波数5
MHzになるようにする。よって、出力アナログ信号の
周波数が5×N=5×100=500MHzに固定され
る。
【0065】第三の実施形態によっても、第一の実施形
態同様の効果を奏する。
【0066】また、上記の実施形態は、以下のようにし
て実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フ
ロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMなど)読
み取り装置を備えたコンピュータのメディア読み取り装
置に、上記の各部分を実現するプログラムを記録したメ
ディアを読み取らせて、ハードディスクにインストール
する。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、ディジタル掛け算手段
が比較用デジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算
し、ディジタルローパスフィルタがディジタル掛け算手
段の出力の内の低い周波数帯域の成分を積分することに
より、比較用デジタル信号と目標ディジタル信号との位
相差を計測する。よって、比較用デジタル信号と目標デ
ィジタル信号との位相差の計測に、ディジタル回路を用
いることができ、PLL回路の高集積化を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるPLL(Phas
e Locked Loop)回路の構成を示すブロック図である。
【図2】ディジタル掛け算器30、ディジタルループフ
ィルタ32の出力を示す式である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかるPLL回路の
動作をを示すフローチャートである。
【図4】位相差が1/2π(あるいは3/2π)になる
態様を示すグラフである。
【図5】本発明の第二の実施形態にかかるPLL(Phas
e Locked Loop)回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第三の実施形態にかかるPLL(Phas
e Locked Loop)回路の構成を示すブロック図である。
【図7】従来技術である特開2000-183731に記載のPL
L回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 VCO 20 比較用デジタル信号出力部 21 分周器 22 ローカル信号源 24 ミキサ 26 ローパスフィルタ 28 A/Dコンバータ 30 ディジタル掛け算器 32 ディジタルループフィルタ 34 マルチプレクサ 40 入力アナログ信号出力部 44 D/Aコンバータ 46 ローパスフィルタ 50 DDS 60 周波数調節部 62 プリチューンROM 64 D/Aコンバータ 66 ローパスフィルタ 70 クロック基準源 82 分周器 84 A/Dコンバータ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力アナログ信号の電圧に基づき出力アナ
    ログ信号を出力する電圧制御発振手段と、 前記出力アナログ信号に基づき比較用デジタル信号を出
    力する比較用デジタル信号出力手段と、 前記比較用デジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算
    するディジタル掛け算手段と、 前記ディジタル掛け算手段の出力の内、低い周波数帯域
    の成分を積分するディジタル積分フィルタと、 前記ディジタル積分フィルタの出力に基づき、前記入力
    アナログ信号を出力する入力アナログ信号出力手段と、 を備えたPLL回路。
  2. 【請求項2】前記比較用デジタル信号出力手段は、 ローカルアナログ信号を生成するローカル信号源と、 前記出力アナログ信号と、前記ローカルアナログ信号と
    を混合するミキサと、 前記ミキサの出力の内、低い周波数帯域の成分を抽出す
    るローパスフィルタと、 前記ローパスフィルタの出力をデジタルの信号に変換す
    るA/Dコンバータと、 を有する、請求項1に記載のPLL回路。
  3. 【請求項3】前記入力アナログ信号出力手段は、 前記ディジタル積分フィルタの出力をアナログの信号に
    変換するD/Aコンバータを有する、請求項1に記載の
    PLL回路。
  4. 【請求項4】前記目標ディジタル信号は、ダイレクトデ
    ィジタルシンセサイザから出力される、請求項1に記載
    のPLL回路。
  5. 【請求項5】前記出力アナログ信号の周波数が、前記ロ
    ーカルアナログ信号の周波数と前記目標ディジタル信号
    の周波数を加えた値になるような、調節入力アナログ信
    号を前記電圧制御発振手段にを与える周波数調節手段を
    備えた請求項2に記載のPLL回路。
  6. 【請求項6】前記周波数調節手段は、 前記調節入力アナログ信号のディジタルデータを記録す
    る調節用データ記録メモリと、 前記電圧値記録メモリの出力をアナログの信号に変換す
    るD/Aコンバータと、 を有する請求項5に記載のPLL回路。
  7. 【請求項7】前記入力アナログ信号出力手段は、 前記ディジタル積分フィルタの出力をアナログの信号に
    変換するD/Aコンバータを有し、 前記調節用データ記録メモリの出力と前記ディジタル積
    分フィルタの出力がマルチプレクサに接続されており、 前記入力アナログ信号出力手段の前記D/Aコンバータ
    と前記周波数調節手段の前記D/Aコンバータとは共用
    であり、前記D/Aコンバータは前記マルチプレクサの
    出力をアナログの信号に変換する、 請求項6に記載のPLL回路。
  8. 【請求項8】前記比較用デジタル信号出力手段は、 前記出力アナログ信号の周波数を1/N倍(Nは0を超
    える正数)したアナログ信号を出力する分周手段と、 前記分周手段の出力をデジタルの信号に変換するA/D
    コンバータと、 を有する、請求項1に記載のPLL回路。
  9. 【請求項9】前記目標ディジタル信号は、前記比較用デ
    ジタル信号出力手段および前記入力アナログ信号出力手
    段に与えられる基準クロックの周波数を1/M倍(Mは
    0を超える正数)し、A/D変換して得られる、請求項
    1に記載のPLL回路。
  10. 【請求項10】前記ディジタル積分フィルタはディジタ
    ルループフィルタである請求項1ないし9のいずれか一
    項に記載のPLL回路。
  11. 【請求項11】入力アナログ信号の電圧に基づき出力ア
    ナログ信号を出力する電圧制御発振工程と、 前記出力アナログ信号に基づき比較用デジタル信号を出
    力する比較用デジタル信号出力工程と、 前記比較用デジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算
    するディジタル掛け算工程と、 前記ディジタル掛け算工程の出力の内、低い周波数帯域
    の成分を積分するディジタル積分フィルタリング工程
    と、 前記ディジタル積分フィルタリング工程の出力に基づ
    き、前記入力アナログ信号を出力する入力アナログ信号
    出力工程と、 を備えた位相固定方法。
  12. 【請求項12】入力アナログ信号の電圧に基づき出力ア
    ナログ信号を出力する電圧制御発振手段と、前記出力ア
    ナログ信号に基づき比較用デジタル信号を出力する比較
    用デジタル信号出力手段と、入力に基づき前記入力アナ
    ログ信号を出力する入力アナログ信号出力手段と、を有
    するPLL回路において、位相固定処理をコンピュータ
    に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ
    によって読み取り可能な記録媒体であって、 前記比較用デジタル信号と目標ディジタル信号とを乗算
    するディジタル掛け算処理と、 前記ディジタル掛け算工程の出力の内、低い周波数帯域
    の成分を積分して、前記入力アナログ信号出力手段に供
    給するディジタル積分フィルタリング処理と、 をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録し
    たコンピュータによって読み取り可能な記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011077910A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 周波数シンセサイザ
JP2011188309A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 周波数シンセサイザ及び周波数シンセサイザの調整方法
JP2017098708A (ja) * 2015-11-20 2017-06-01 デ・ファクト・スタンダード合同会社 位相同期回路、rfフロントエンド回路、無線送受信回路、携帯型無線通信端末装置

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