JP2002100508A - 耐電圧部品および積層型フェライト部品 - Google Patents

耐電圧部品および積層型フェライト部品

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JP2002100508A
JP2002100508A JP2000286626A JP2000286626A JP2002100508A JP 2002100508 A JP2002100508 A JP 2002100508A JP 2000286626 A JP2000286626 A JP 2000286626A JP 2000286626 A JP2000286626 A JP 2000286626A JP 2002100508 A JP2002100508 A JP 2002100508A
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ferrite
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magnetic ferrite
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功 中畑
Hirohiko Ichikawa
広彦 市川
Atsushi Nakano
敦之 中野
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
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    • H01F41/046Printed circuit coils structurally combined with ferromagnetic material

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐電圧性に優れた積層型フェライト部品を提
供する。 【解決手段】 積層型チップインダクタアレイ1は、磁
性フェライト層2および内部電極3とが交互に積層され
た多層構造のチップ体5と、このチップ体5の両端部に
内部電極3と引出し電極4を介して電気的に導通するよ
うに配置した外部電極6とから構成される。積層型チッ
プインダクタアレイ1は、1つのチップ体5内に、複数
の独立した内部電極3を備えている。磁性フェライト層
2として、Fe23:40.0〜51.0mol%,Cu
O:5.0〜30.0mol%,ZnO:0.5〜35.0m
ol%,NiO:5.0〜50.0mol%を主成分とし、
組織に占めるCuの偏析が面積率で0.2〜10%であ
る焼結体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層型チップビー
ズ、積層型インダクタなどの積層型チップフェライト部
品、LC複合積層型部品を代表とする複合積層型部品に
用いられる磁性フェライトおよび積層型フェライト部品
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】積層型チップフェライト部品および複合
積層型部品(本明細書中では積層型フェライト部品と総
称する。)は、体積が小さいこと、信頼性が高いことな
どから、各種電気機器に用いられている。この積層型フ
ェライト部品は、通常、磁性フェライトからなる磁性層
用のシートまたはペーストと内部電極用のペーストとを
厚膜積層技術によって積層一体化した後、焼結し、得ら
れた焼結体表面に外部電極用のペーストを印刷または転
写した後に焼き付けて製造される。なお、積層一体化し
た後に焼結することを同時焼結と呼んでいる。内部電極
用の材料としてその低抵抗率からAgまたはAg合金が
用いられているため、磁性層を構成する磁性フェライト
材料としては、同時焼結が可能、換言すればAgまたは
Ag合金の融点以下の温度で焼結ができることが絶対条
件となる。したがって、高密度、高特性の積層型フェラ
イト部品を得るためには、AgまたはAg合金の融点以
下の温度で磁性フェライトを焼結できるかが鍵となる。
【0003】AgまたはAg合金の融点以下の温度で焼
結できる磁性フェライトとしてNiCuZnフェライト
が知られている。例えば、特開平8−104561号公
報にはFeをFe23に換算して45.0〜50.0mo
l%、NiをNiOに換算して5.0〜10.0mol
%、CuをCuOに換算して5.0〜15.0mol%、
ZnをZnOに換算して25.0〜35.0mol%、M
nをMn34に換算して0.1〜3.0mol%およびL
iをLi2Oに換算して0.01〜3.0mol%を含む
磁性フェライトが開示されている。また、特開平8−1
04562号公報には、FeをFe23に換算して4
5.0〜50.0mol%、NiをNiOに換算して1
5.0〜30.0mol%、CuをCuOに換算して8.
0〜15.0mol%、ZnをZnOに換算して15.0
〜25.0mol%、MnをMn34に換算して0.1〜
3.0mol%およびLiをLi2Oに換算して0.01
〜3.0mol%を含む磁性フェライトが開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近、高密度実装に対
応するために、一つの積層型フェライト部品の中に複数
の内部電極を配置する例が出てきている。この複数の内
部電極を配置する積層型フェライト部品は、内部電極間
に電位差(電圧)が生ずるために、内部電極間に存在す
るフェライト材料に耐電圧性が要求されるようになって
きた。ここで耐電圧性とは、フェライト部品に電圧が生
じた際に、より高い電圧までフェライト材料が電圧印加
による絶縁破壊に耐え得ることを示している。ところ
が、これまで知られている、NiCuZnフェライトは
このような耐電圧性についての検討がなされていなかっ
た。したがって本発明は、NiCuZnフェライトを用
いた耐電圧用途に供される部品および積層型フェライト
部品の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はNiCuZn
フェライト焼結体の耐電圧性を向上すべく検討を行なっ
た。その結果、Cuの偏析が所定の範囲で焼結組織中に
存在する場合に、優れた耐電圧性を得ることができるこ
とを知見した。本発明は以上の知見に基づきなされたも
のであり、Fe23:40.0〜51.0mol%,Cu
O:5.0〜30.0mol%,ZnO:0.5〜35.0
mol%およびNiO:5.0〜50.0mol%を主成
分とし、組織に占めるCuの偏析が面積率で0.2〜1
0%である焼結体からなることを特徴とする耐電圧部品
である。本発明の耐電圧部品において、組織に占めるC
uの偏析が面積率で6.5〜9.5%であることが望まし
い。なお、本発明におけるCu偏析の面積率の算出方法
は、後述する実施例で採用した算出方法によって特定さ
れるものとする。また、本発明は磁性フェライト層と内
部電極とが交互に積層されるとともに、前記内部電極と
電気的に接続された外部電極とを有する積層型フェライ
ト部品であって、前記磁性フェライト層はFe23:4
0.0〜51.0mol%,CuO:5.0〜30.0mo
l%,ZnO:0.5〜35.0mol%およびNiO:
5.0〜50.0mol%を主成分とし、組織に占めるC
uの偏析が面積率で0.2〜10%である磁性フェライ
ト焼結体から構成され、前記内部電極はAgまたはAg
合金から構成されることを特徴とする積層型フェライト
部品を提供する。本発明の積層型フェライト部品は、破
壊電圧が、電位差の生じている導体間の磁性フェライト
層1μmあたり30V以上という優れた耐電圧性を備え
ている。なお、本発明における破壊電圧は、後述する実
施例で採用した破壊電圧の測定方法によって特定される
ものとする。また本発明は、各々独立した複数の内部電
極を有する積層型フェライト部品に適用することが望ま
しい。複数の内部電極を有すると各内部電極間で電位差
が生じ、絶縁破壊に至るおそれがあるからである。
【0006】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明における組成の
限定理由を説明する。Fe23の量は透磁率に大きな影
響を与える。Fe23が40.0mol%より少ないと
透磁率が小さく、フェライトとしての化学量論組成に近
づくにしたがって透磁率は上昇するが、化学量論組成を
ピークとして急激に低下する。したがって、上限を5
1.0mol%とする。望ましいFe23の量は45.0
〜49.8mol%、さらに望ましいFe23の量は4
9.2〜49.8mol%である。CuOは、本発明にお
いて焼結温度低減に寄与する化合物であり、5.0mo
l%未満ではAgの融点以下の温度域における焼結が実
現できなくなる。ただし、30.0mol%を超えると
フェライトの固有抵抗が低下して品質係数Qが劣化する
ので5.0〜30.0mol%とする。望ましいCuO量
は7.0〜25.0mol%、さらに望ましいCuO量は
10.0〜20.0mol%である。NiOの減少あるい
はZnOの増加により透磁率μを向上させることができ
るが、ZnOが多すぎるとキュリー温度が100℃以下
となり、電子部品に要求される温度特性を満足すること
ができなくなる。したがって、ZnO量は0.5〜35.
0mol%とする。望ましいZnO量は15.0〜30.
0mol%、さらに望ましいZnO量は18.0〜25.
0mol%である。またNiO量は5.0〜50.0mo
l%とする。望ましいNiOの量は5.0〜45.0mo
l%、さらに望ましいNiOの量は7.0〜35.0mo
l%である。
【0007】次に、本発明による磁性フェライト焼結体
は、組織に占めるCuの偏析が面積率で0.2〜10%
である。Cuの偏析がこの範囲にある場合に、耐電圧性
が優れていることを知見したことによる。望ましいCu
偏析の面積率は6.5〜9.5%である。このようなCu
偏析の組織とすることにより、本発明の積層型フェライ
ト部品は磁性フェライト層1μmあたり30V以上の破
壊電圧を備えることができる。組織に占めるCuの偏析
を面積率で0.2〜10%の範囲とするためには、いく
つかの手法を採用することができるが、本発明者の検討
によれば、焼結体中に含まれるMnの量を制御すること
によりCu偏析の量を変動させることができる。したが
って、本発明においてもMnを適宜含有せしめることが
できる。その場合のMn量はMn換算で0.1〜0.7w
t.%とすることが望ましい。Mn量が0.1wt.%未
満あるいは0.7wt.%を超えると、本発明が要求する
Cu偏析の面積率を確保することが困難となる。耐電圧
性にとってさらに望ましいMnの含有量は0.1〜0.4
wt.%である。
【0008】以上の本発明による耐電圧部品は、原料粉
末を混合する混合工程と、混合された前記原料粉末を仮
焼きする仮焼き工程と、前記仮焼き工程により得られた
仮焼き体を粉砕して粉砕粉末を得る粉砕工程と、前記粉
砕工程により得られた前記粉砕粉末を用いて成形体を得
る成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を焼結す
る焼結工程により得ることができる。原料粉末として、
Fe23粉末、CuO粉末、ZnO粉末およびNiO粉
末を用意する。これら粉末は本発明の耐電圧性に優れた
磁性フェライト焼結部材の主成分をなす粉末である。こ
れら主成分をなす粉末に加えて、MnによりCu偏析の
面積率を制御する場合には、副成分であるMnについて
の原料粉末を用意する。Mnについては、Mn酸化物
(例えば、Mn23,Mn34)、あるいはMn炭酸化
物(例えば、MnCO3)からなる粉末が原料粉末とな
る。もっとも、これはあくまで一態様であって、焼結体
中にMnがMn換算で0.1〜0.7wt.%含有されて
いれば、その添加の態様は問われない。ここで、「Mn
換算」で、とは焼結体中に存在する形態によらず純Mn
として含有される量を言う。例えば、Mn酸化物として
含有されている場合でも、Mn酸化物としての量をいう
のではなく、Mn酸化物を構成するMnの量をいうもの
である。用意する各原料粉末の粒径は0.1〜10μm
の範囲で適宜選択すればよい。また、用意された原料粉
末は例えばボールミルを用いて湿式混合する。混合は、
ボールミルの運転条件にも左右されるが、20時間程度
行なえば均一な混合状態を得ることができる。
【0009】原料粉末を混合した後、仮焼きを行なう。
仮焼きの温度は850℃以下とする。すなわち、仮焼き
温度が850℃を超えてしまうと仮焼き体が硬くなり、
Agの融点以下の温度域での焼結を可能とする粉末の粒
度分布を得ることが困難となるからである。望ましい仮
焼き温度は650〜750℃である。仮焼きの時間は5
〜15時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼き後に仮
焼き体は粉砕される。粉砕粉末の比表面積を6m2/g
程度以上とすることがAgの融点以下の温度域での焼結
にとって重要である。このような微細な粉末を得るため
には粉砕条件を制御すればよいが、特に条件を制御する
ことなく粉砕した粉末からこのような粒度分布の粉末を
採集することもできる。ボールミルを用いた場合、粉砕
は60〜80時間程度必要である。以上で得られた粉砕
粉末にバインダ等を添加した後に所定の形状に成形し、
しかる後に焼結に供される。
【0010】次に、本発明の積層型フェライト部品につ
いて積層型チップインダクタアレイ1を例にして説明す
る。図1〜図3は積層型チップインダクタアレイ1を示
す図であり、図1はその平面図、図2は図1のA−A断
面図、図3は図1のB−B断面図である。図1〜図3に
示すように、積層型チップインダクタアレイ1は、磁性
フェライト層2および内部電極3とが交互に積層された
多層構造のチップ体5と、このチップ体5の両端部に内
部電極3と引出し電極4を介して電気的に導通するよう
に配置した外部電極6とから構成される。積層型チップ
インダクタアレイ1は、1つのチップ体5内に、4つの
独立した内部電極3を備えている。このように複数の内
部電極3を有すると、使用時に隣接する内部電極3間に
電位差が生じることになるから、耐電圧性が要求される
ことになる。つまり、各々独立した複数の内部電極3を
有する積層型フェライト部品について本発明を適用する
と、その効果を十分に享受することができる。磁性フェ
ライト層2に本発明による磁性フェライト材料を用い
る。つまり、所定組成の磁性フェライト粉末を、バイン
ダおよび溶剤とともに混練して磁性フェライト層2形成
用のペーストを得る。このペーストと内部電極3および
引出し電極4形成用のペースト、とを交互に印刷、積層
した後に焼結して一体のチップ体5を得る。前記バイン
ダとしては、エチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラ
ール樹脂等の公知のバインダを用いることができる。ま
た、溶剤も、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケ
ロシン等の公知の溶剤を用いることができる。バインダ
および溶剤の添加量には制限はない。ただし、バインダ
については1〜5質量部、溶剤については10〜50質
量部の範囲とすることが推奨される。バインダおよび溶
剤の他に、分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等を10質
量部以下の範囲で添加することもできる。分散剤として
は、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テルを添加することができる。また、可塑剤としては、
ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルフ
タリルグリコール酸ブチルを添加することができる。
【0011】磁性フェライト層2は、磁性フェライト層
用シートを用いて形成することもできる。すなわち、本
発明による所定組成の粉末を、ポリビニルブチラールを
主成分とするバインダと、トルエン、キシレン等の溶媒
とともにボールミル中で混練してスラリを得る。このス
ラリを、ポリエステルフィルム等のフィルム上に、例え
ばドクターブレード法により塗布、乾燥して磁性フェラ
イト層用シートを得ることができる。この磁性フェライ
ト層用シートを、内部電極3用のペーストと交互に積層
した後に、焼結すれば多層構造のチップ体5を得ること
ができる。なお、バインダの量に制限はないが、1〜5
質量部の範囲とすることが推奨される。また、分散剤、
可塑剤、誘電体、絶縁体等を10質量部以下の範囲で添
加することもできる。
【0012】内部電極3は、インダクタとして実用的な
品質係数Qを得るために抵抗率の小さいAgまたはAg
合金、例えばAg−Pd合金を用いることが望ましい。
しかし、これに限るものではなく、Cu、Pdまたはこ
れらの合金を用いることもできる。内部電極3を得るた
めのペーストは、AgまたはAg合金の粉末、若しくは
これらの酸化物粉末と、バインダおよび溶剤とを混合、
混練して得ることができる。バインダおよび溶剤として
は、前記磁性フェライト層2を形成するためのペースト
に用いられていたものと同様のものを適用することがで
きる。内部電極3は、各層が長円形状をなし、厚さ方向
に隣接する内部電極3の各層はスパイラル状になって導
通が確保されるので、閉磁路コイル(巻線パターン)を
構成する。外部電極6の材質としては、Ag、Ni、C
u、Ag−Pd合金といった公知の材料を用いることが
できる。外部電極6は、これら材料を印刷法、メッキ
法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等の
各種の方法により形成することができる。
【0013】積層型チップインダクタアレイ1のチップ
体5の寸法には特に制限はない。用途に応じて適宜設定
することができる。一般的には、外形はほぼ直方体形状
であり、寸法としては1.0〜4.5mm×0.5〜3.2
mm×0.6〜1.9mmの範囲のものが多い。また、磁
性フェライト層2の電極間厚さおよびベース厚さにも特
に制限はなく、電極間厚さとしては10〜100μm、
ベース厚さとしては250〜500μm程度で設定でき
る。さらに内部電極3自体の厚さとしては、通常、5〜
30μmの範囲で設定でき、また、巻線パターンのピッ
チは10〜100μm、巻数は1.5〜20.5ターン程
度とすることができる。
【0014】磁性フェライト層2用のペーストまたはシ
ートと内部電極3用のペーストとを交互に積層した後の
焼結温度は、940℃以下とする。940℃を超える
と、磁性フェライト層2中に内部電極3を構成する材料
が拡散して、磁気特性を著しく低下させるおそれがある
からである。本発明の磁性フェライトが低温焼結に適し
ているとはいえ、800℃未満の温度では焼結が不十分
となる。したがって、焼結は800℃以上とすることが
望ましい。望ましい焼結温度は820〜930℃、さら
に望ましくは875〜920℃である。なお、焼結時間
は、0.05〜5時間、望ましくは0.1〜3時間の範囲
で設定すればよい。
【0015】次に、LC複合積層型部品の一実施形態で
あるLC複合部品について説明する。図4はLC複合部
品11の概略断面図である。図4に示すように、LC複
合部品11は、チップコンデンサ部12とチップフェラ
イト部13とを一体化したものである。チップコンデン
サ部12は、セラミックス誘電体層21と内部電極22
とが交互に積層一体化された多層積層構造を有する。こ
の内部電極22間に電位差が生じ、絶縁破壊を起こすお
それがある。セラミックス誘電体層21の材質に制限は
なく、従来公知の種々の誘電体材料を用いることができ
る。本発明においては、焼結温度の低い酸化チタン系誘
電体が望ましいが、チタン酸系複合酸化物、ジルコン酸
系複合酸化物、あるいはこれらの混合物を用いることが
できる。さらに焼結温度を下げるために、ホウケイ酸ガ
ラス等の各種ガラスを添加してもよい。内部電極22と
しては、先に説明した積層型チップインダクタアレイ1
の内部電極3と同様の材料を用いることができる。各内
部電極22は、交互に別の外部電極15に電気的に接続
されている。
【0016】チップフェライト部13は、磁性フェライ
ト層32と電極層33とが交互に積層した積層型チップ
インダクタから構成されている。この基本構成は先に説
明した積層型チップインダクタアレイ1と同様である。
したがって、ここでの詳細な説明は省略する。LC複合
部品11の寸法に制限がないことは先に説明した積層型
チップインダクタアレイ1と同様である。したがって、
用途に応じて適宜設定することができる。通常、ほぼ直
方体の外形を有し、1.6〜10.0mm×0.8〜15.
0mm×1.0〜5.0mm程度の寸法を有している。
【0017】[実施例]以下本発明を具体的実施例に基
づき説明する。下記の混合〜粉砕条件にしたがって表1
に示す8種類の粉砕粉末を得た。表1中、Fe23,C
uO,ZnOおよびNiOが主成分をなし、Mn34
副成分をなす。Mn34については、Mnに換算された
wt%として表示されている。粉砕粉末の平均粒径は
0.65μmである。これら粉末を用いて以下に示す条
件により積層型コンデンサを作製し、破壊電圧(V
B)、絶縁抵抗(IR)および加速寿命試験(HAL
T)の測定を行なった。また、測定用コアを作製して透
磁率(μ)および品質係数(Q)を測定した。さらに、
焼結体組織における元素分布を電子線プローブ・マイク
ロ・アナライザ(EPMA)によって観察し、焼結体組
織に占めるCu偏析の面積率を算出した。測定された結
果を表2および表3に示す。 [混合〜粉砕条件] 混合および粉砕用ポット:ステンレスボールミルポット 混合および粉砕用メディア:スチールボール 混合時間:16時間 仮焼き条件:700℃×10時間 粉砕時間:72時間 [積層型コンデンサの仕様]表1の組成を有する各粉末
100質量部に対して、エチルセルロース2.5質量
部、ターピネオール40質量部を加え、3本ロールにて
混練して磁性フェライト層用ペーストを調整した。一
方、平均粒径0.8μmのAg100質量部に対して、
エチルセルロース2.5質量部、ターピネオール40質
量部を加え、3本ロールにて混練して内部電極用ペース
トを得た。前記磁性フェライト層用ペーストと前記内部
電極用ペーストとを交互に印刷積層した後、890℃で
2時間の焼結を行なって積層型チップコンデンサ41を
得た。図5および図6に積層型チップコンデンサ41を
示す。なお、図5は積層型チップコンデンサ41の側断
面図、図6は図5のC−C断面図である。図5および図
6に示すように、積層型チップコンデンサ41は、磁性
フェライト層42および内部電極43とが交互に積層さ
れた多層構造のチップ体44と、このチップ体44の両
端部に内部電極43と電気的に導通するように配置した
外部電極45とから構成される。この積層型チップコン
デンサ41の寸法は、3.2mm×1.6mm×1.1m
mであり、内部電極43の層数は4層とし積層方向に隣
接する内部電極43間の磁性フェライト層42の厚さd
(図6参照)を60μmとした。外部電極45はAgを
600℃で焼き付けて形成した。
【0018】[破壊電圧(VB)]作製した積層型チッ
プコンデンサ41に、多摩電測(株)製の自動昇圧破壊
試験機(THK−2011ADMP)を用いて、100
V/sec.の速度で電圧を印加しつづけ、積層型チッ
プコンデンサ41が絶縁破壊される電圧を測定した。 [絶縁抵抗(IR)]作製した積層型チップコンデンサ
41の絶縁抵抗(IR)を、ヒューレットパッカード
(株)製の抵抗測定器(HP4329A)を用い、10
Vの電圧を1分15秒間印加して測定した。 [加速寿命試験(HALT)]作製した積層型チップコ
ンデンサ41に、175℃の高温下で80Vの電圧を4
8時間印加した後に不良となるか否か観察した。なお、
観察したサンプルは、各々20個である。 [透磁率(μ)、品質係数(Q)]表1に示す8種類の
粉砕粉末を用いてトロイダル形状の焼結体試料を作製し
た。この試料に銅製ワイヤ(線径0.35mm)を20
ターン巻き、測定周波数100KHz、測定電流0.2
mAでLCRメータ(ヒューレットパッカード(株)製
のHP4192A)を用いてインダクタンスを測定し
た。そして、下記の式を用いて透磁率(μ)を求めた。
また、品質係数(Q)については、複素透磁率の実数
μ'および虚数μ"を求め、Q(品質係数)=μ'/μ"に
より算出した。 透磁率μ=(le×L)/(μ0×Ae×N2) le:磁路長 L:試料のインダクタンス μ0:真空の透磁率=4π×10-7(H/m) Ae:
試料の断面積 N:コイルの巻数[EPMA測定条件、Cu偏析の面積
率]電子線プローブ・マイクロ・アナライザ(EPM
A)として、日本電子(株)製のJCMA733を用いて
以下の条件で組織観察を行なった。また、この条件で測
定した場合に、所定の測定点のカウント数が(測定点全
体のカウント数の平均値×1.3倍)以上になったと
き、その測定点をCuの偏析とし、Cuの偏析の総数を
全測定点の数で割って100をかけた値を組織に占める
Cu偏析の面積率(Cu偏析率)とした。 Cu偏析の面積率(%)=100×(Cu偏析の点数)/(全測定点数) (測定条件) 加速電圧:20kV 照射電流:1×107A 照射時間:50msec/point 測定点:X方向 250点 , Y方向 250点 測定範囲:X方向 250点×0.201μm=50.25μm Y方向 250点×0.196μm=49μm 分光結晶:LiF
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】表2において、焼結体中に占めるCu偏析
の面積率(以下、Cu偏析率)が11.9%の場合(N
o.1)には破壊電圧(VB)が1.63kVであるのに
対し、Cu偏析率が8.5%(No.2)になると破壊電
圧(VB)は2.88kVまで向上する。Cu偏析率が
4.2%の場合(No.4)には、破壊電圧(VB)は若
干低下して2.37kVとなる。また、Cu偏析率が0
%の場合(No.7)には、1.73kVと11.9%の
場合(No.1)と同レベルの破壊電圧(VB)まで低
下した。さらに、Cu偏析率が0%の場合(No.8)
には、破壊電圧(VB)が0.45kVまで低下した。
表2には、破壊電圧(VB)を磁性フェライト層42の
厚さ(60μm)で割った値も示している。ここで、
積層型チップコンデンサ41の場合、積層方向に隣接す
る内部電極43同士に電位差が生じる。したがって、こ
の値は電位差の生じている導体間に存在する磁性フェラ
イト層42の1μmあたりの破壊電圧(Vb=VB/
d)であり、No.2〜7では30V以上の破壊電圧
(Vb)を得ている。このなかで、No.2および3で
は、40V以上の特に優れた破壊電圧(Vb)を得てい
ることが注目される。以上の結果より、焼結体中のCu
偏析率が所定の範囲、具体的には0.2〜10%の範囲
にある場合に、破壊電圧(VB)の向上を図れることが
わかった。また、この範囲で特に高い破壊電圧(VB)
を得るためには、Cu偏析率は6.5〜9.5%、さらに
は8.0〜9.0%の範囲とすることが望ましい。
【0023】Cu偏析率を制御するために本実施例では
Mnを焼結体中に含有させる手法を採用した。表2のC
u偏析率の欄およびMn量の欄を対比すれば、Mn量の
増加に伴ってCu偏析率が低下することがわかる。本発
明で提案する0.2〜10%というCu偏析率を得るた
めには、Mn量は0.1〜0.7%とすべきであろう。ま
た表2において、絶縁抵抗(IR)もCu偏析率と関連
性を有している。つまり、Cu偏析率が11.9%の場
合(No.1)には絶縁抵抗(IR)が120MΩであ
るのに対し、Cu偏析率が8.5%(No.2)になると
絶縁抵抗(IR)が1073MΩまで急激に向上する。
Cu偏析率が8.5%(No.2)を超えると絶縁抵抗
(IR)は次第に低下し、Cu偏析率が0%の場合(N
o.8)には31MΩまで低下してしまう。
【0024】Mn量による破壊電圧(VB)の変動を示
すグラフを図7に、またMn量による絶縁抵抗(IR)
の変動を示すグラフを図8に示す。図7および図8に示
すように、Mn量が0.159wt.%のときに破壊電圧
(VB)および絶縁抵抗(IR)ともにピーク値を示し
ている。この傾向から、本発明における望ましいMn量
は0.1〜0.4wt.%ということができる。
【0025】また、加速寿命試験(HALT)におい
て、Cu偏析率が11.9%(No.1)から8.5%
(No.2)まで減少すると不良サンプル数が激減す
る。しかし、Cu偏析率が8.5%未満になると不良サ
ンプル数が増加する傾向にある。この結果から、Cu偏
析率が本発明で推奨する所定の範囲にあると耐久性に優
れた部品が得られることがわかった。
【0026】次に、表3に本実施例によるフェライト焼
結部材の透磁率(μ)と品質係数(Q)を示している
が、透磁率(μ)と品質係数(Q)ともにCu偏析率が
本発明で推奨する所定の範囲において、良好な結果を得
ている。つまり、組織中のCu偏析率を所定の範囲にす
ることによって、耐電圧性に優れかつ透磁率(μ)およ
び品質係数(Q)に優れたフェライト部品を得ることが
できるのである。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば従
来に比して耐電圧性に優れた磁性フェライト部品および
積層型フェライト部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る積層型チップインダクタ
アレイの平面図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 図1のB−B断面図である。
【図4】 本実施の形態に係るLC複合部品である。
【図5】 実施例で用いた積層型チップコンデンサの側
断面図である。
【図6】 図5のC−C断面図である。
【図7】 Mn量による破壊電圧(VB)の変動を示す
グラフである。
【図8】 Mn量による絶縁抵抗(IR)変動を示すグ
ラフである。
【符号の説明】 1…積層型チップインダクタアレイ、2…磁性フェライ
ト層、3…内部電極、4…引出し電極、5…チップ体、
6…外部電極、11…LC複合部品、12…チップコン
デンサ部、13…チップフェライト部、15…外部電
極、21…セラミックス誘電体層、22…内部電極、3
2…磁性フェライト層、33…電極層、41…積層型チ
ップコンデンサ、42…磁性フェライト層、43…内部
電極、44…チップ体、45…外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 敦之 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5E041 AB01 BD01 CA10 NN01 5E070 AA01 AB02 BA12 BB01 CB13 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe23:40.0〜51.0mol%,
    CuO:5.0〜30.0mol%,ZnO:0.5〜3
    5.0mol%およびNiO:5.0〜50.0mol%を
    主成分とし、組織に占めるCuの偏析が面積率で0.2
    〜10%である焼結体からなることを特徴とする耐電圧
    部品。
  2. 【請求項2】 組織に占めるCuの偏析が面積率で6.
    5〜9.5%であることを特徴とする請求項1に記載の
    耐電圧部品。
  3. 【請求項3】 磁性フェライト層と内部電極とが交互に
    積層されるとともに、前記内部電極と電気的に接続され
    た外部電極とを有する積層型フェライト部品であって、 前記磁性フェライト層はFe23:40.0〜51.0m
    ol%,CuO:5.0〜30.0mol%,ZnO:0.
    5〜35.0mol%およびNiO:5.0〜50.0mo
    l%を主成分とし、組織に占めるCuの偏析が面積率で
    0.2〜10%である磁性フェライト焼結体から構成さ
    れ、 前記内部電極はAgまたはAg合金から構成されること
    を特徴とする積層型フェライト部品。
  4. 【請求項4】 破壊電圧が、電位差の生じている導体間
    の磁性フェライト層1μmあたり30V以上であること
    を特徴とする請求項3に記載の積層型フェライト部品。
  5. 【請求項5】 各々独立した複数の内部電極を有するこ
    とを特徴とする請求項3または4に記載の積層型フェラ
    イト部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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