JP2002098793A - β−アルミナを用いたNa・Na化合物の電解方法 - Google Patents

β−アルミナを用いたNa・Na化合物の電解方法

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JP2002098793A
JP2002098793A JP2000287873A JP2000287873A JP2002098793A JP 2002098793 A JP2002098793 A JP 2002098793A JP 2000287873 A JP2000287873 A JP 2000287873A JP 2000287873 A JP2000287873 A JP 2000287873A JP 2002098793 A JP2002098793 A JP 2002098793A
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alumina
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Masanori Kanda
昌典 神田
Akimitsu Hiraki
昭光 平木
Yoshihiko Kurashima
吉彦 蔵島
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたり安定した電解を継続すること
ができるβ−アルミナを用いたNa・Na化合物の電解
方法を提供する。 【解決手段】第1の発明では、不純物を含むNa・Na
化合物の電解を行うためのβ−アルミナ質の隔膜2の陽
極側に金網8を配置し、酸化物やクラッド等の固形分を
これらの金網により除去する。第2の発明では、通常運
転時とは電流の極性を反転させた逆方向通電を定期的に
あるいは随時行うことにより、隔膜2の表面に付着した
酸化物やクラッド等の固形分を剥離させる。両発明を組
み合わせてもよく、その場合には金網8を隔膜2の両側
に配置してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Na化合物を主成
分とする放射性廃液(不純物として微量のクラッドや有
機溶媒を含む)の処理や、高速増殖炉から発生する汚染
放射性Na(不純物としてO、H、クラッド等を含む)
の精製等の技術分野で用いられる、β−アルミナを用い
たNa・Na化合物の電解方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力施設等から発生したNa化合物を
主成分とする放射性廃液は、従来はそのまま保管容器で
保管されていたのであるが、放射性核種を含まないNa
のみを取り出すことができれば、Na原料として再利用
したり、Naを安定な形態として海洋に放出することが
可能となるとともに、放射性核種を含む廃液の大幅な減
容が可能となる。
【0003】そこで本発明者等は、Naイオンのみを通
過させる固体電解質であるβ−アルミナを隔膜として電
解を行うことにより、放射性廃液中のNaのみを陰極側
に移動させ、高純度の金属Naまたはカセイソーダとし
て取り出す方法を発明し、すでに特願平7−28517
7号として提案した。この方法では陽極室に処理対象物
である放射性廃液の乾燥物の溶融塩を充填して電解を行
うが、放射性廃液中の酸化物やクラッド等の固形分はβ
−アルミナ質の隔膜を通過できないために、放射性核種
とともに陽極室で濃縮されることとなる。また、この方
法は高速増殖炉から発生した汚染Naの精製にも用いる
ことができる。
【0004】ところが、上記のようなβ−アルミナ質の
隔膜を用いた電解を行うと、陽極室内の放射性廃液や汚
染Naに含まれるクラッドや有機溶媒の乾燥物・酸化物
等の固形分(不純物)がNaイオンとともに移動して隔
膜の表面に付着・蓄積・成長し、電解を阻害することが
判明した。その結果、処理量が低下したり圧力損失(電
解電圧)が高くなり、場合によっては電解ができなくな
ることも考えられる。このため長期間にわたり安定した
電解を継続することは容易ではなかった。また、処理量
が低下したときにβ−アルミナ質の隔膜を交換すること
も考えられるが、放射性核種が付着しているために交換
作業も容易ではないうえ、隔膜自体が放射性二次廃棄物
となるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、隔膜を交換することなく、長期間に
わたり安定した電解を継続することができるβ−アルミ
ナを用いたNa・Na化合物の電解方法を提供するため
になされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた第1の発明は、β−アルミナ質の隔膜を用
いて不純物を含むNa・Na化合物の電解を行うに際
し、β−アルミナ質の隔膜の陽極側に金網を配置し、酸
化物やクラッド等の固形分をこれらの金網により除去す
ることを特徴とするものである。また同一の課題を解決
するためになされた第2の発明は、β−アルミナ質の隔
膜を用いて不純物を含むNa・Na化合物の電解を行う
に際し、通常運転時とは電流の極性を反転させた逆方向
通電を定期的にあるいは随時行うことにより、β−アル
ミナ質の隔膜の表面に付着した酸化物やクラッド等の固
形分を剥離させることを特徴とするものである。また第
3の発明は、β−アルミナ質の隔膜を用いて不純物を含
むNa・Na化合物の電解を行うに際し、β−アルミナ
質の隔膜の陽極側または両側に金網を配置し、酸化物や
クラッド等の固形分をこれらの金網により除去するとと
もに、通常運転時とは電流の極性を反転させた逆方向通
電を定期的にあるいは随時行うことにより、β−アルミ
ナ質の隔膜の表面に付着した酸化物やクラッド等の固形
分を剥離させることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に各発明の好ましい実施形態
を示す。図1は第1の発明の実施形態を示す図であり、
1は電解槽、2は電解槽1の内部に設置されたβ−アル
ミナ質の隔膜である。この隔膜2によって電解槽1の内
部は陽極側隔室3と陰極側隔室4とに区画されている。
5は陽極、6は陰極であり、いずれもニッケル合金から
なるものである。7は電解槽1内を所定温度に加熱する
ためのヒータであり、不純物を含むNa・Na化合物が
高温状態で電解される。
【0008】β−アルミナ質の隔膜2の陽極側の近接位
置には、金網8が取り付けられている。金網8はステン
レス等の耐食性金属製とすることが好ましい。また金網
8はNa・Na化合物中の酸化物やクラッド等の固形分
を除去することができる程度の目開きを持たせておくも
のとする。
【0009】この電解槽1の陽極側隔室3内に不純物を
含むNa・Na化合物を充填し、陽極5と陰極6間に直
流電流を通電して電解を行うと、Na・Na化合物中の
Naイオンのみがβ−アルミナ質の隔膜2を通過して陰
極側隔室4に移動し、例えばNaOHとして取り出され
る。このときNa・Na化合物中の酸化物やクラッド等
の固形分もNaイオンとともに隔膜2側に移動するが、
これらは金網8に捕捉されて隔膜2の表面に達するまで
に除去される。このため、固形分が隔膜2の表面に付着
・蓄積・成長し、電解を阻害することは防止される。
【0010】なお、β−アルミナ質の隔膜2は必ずしも
図1に示すような平板状のものに限定されず、図2に示
すような筒状とする場合もある。この場合にも隔膜2の
陽極側に金網8を配置することにより、固形分が隔膜2
の表面に付着・蓄積・成長し、電解を阻害することが防
止できる。なお、後述する第3の発明のようにNaの移
動方向を逆転させる場合には、図示のように隔膜2の両
側に金網8を配置することが好ましい。
【0011】図3は第2の発明の実施形態を示す図であ
り、陽極5と陰極6に極性を反転できる直流電源装置9
を接続してある。通常運転の際には図3に示した通り第
1の実施形態と同じ方向に電流を流して不純物を含むN
a・Na化合物の電解を行うが、第2の発明では定期的
にあるいは随時、直流電源装置9の極性を反転させて逆
方向通電を行う。逆方向通電を行うとβ−アルミナ質の
隔膜2を通過するNaイオンの流動方向が逆転するた
め、通常運転中にβ−アルミナ質の隔膜2の表面に付着
した酸化物やクラッド等の固形分は逆転したNaイオン
の流動によって表面から剥離される。このため、固形分
が隔膜2の表面で蓄積・成長することが防止できる
【0012】なお、第3の発明は上記した第1の発明と
第2の発明を組み合わせたものである。この場合には隔
膜2の陽極側または図4のように両側に金網8を取付
け、定期的にあるいは随時、直流電源装置9の極性を反
転させて逆方向通電を行えばよい。この第3の発明によ
れば、固形分による隔膜2の閉塞を最も効果的に防止す
ることができる。隔膜2の両側に金網8を取付ければ、
逆方向通電時にも固形分を除去することができる。以下
に本発明の実施例を示す。
【0013】
【実施例】〔実施例1〕図1に示した前記の装置を用い
て以下のように硝酸Naの電気分解を行い、電圧を調べ
た。この装置において、陽極側隔室3に不純物として微
量の有機溶媒(乾燥物)を含む硝酸Naを、陰極側隔室
4にNaOHを導入し、330℃の温度で溶解状態に保
った後、陰極側隔室4にアルミナ管10を通じて水蒸気
を含んだ酸素ガスを供給しながら、陽極5と陰極6間に
50Aの一定電流となるように直流電流を流した。この
電気分解により、陰極側にはNaOHが生成し、H2
スの発生は認められなかった。陽極側には窒素酸化物ガ
スと酸素ガスの発生が認められた。
【0014】金網8を設けない場合には、電流を流した
当初は陽極5と陰極6間に約4Vの電圧が掛かり、その
後徐々に電圧は上昇し、通電時間200時間で5〜5.
5V程度まで上昇した。この電圧の上昇は、陽極側隔室
3の硝酸Naに不純物として含まれている微量の有機溶
媒(乾繰物)が、β−アルミナ質の隔膜2の表面に付着
・蓄積・成長して電解を阻害し、圧力損失(電解の場
合、電圧)が高くなった結果であると考えられる。
【0015】しかし、隔膜2の陽極側に金網8として線
径約10μm のステンレス製ワイヤーメッシュを取付け
て上記と同じ電解を実施した所、電圧の上昇速度は小さ
くなり、通電時間200時間で4.5〜5V程度までの
上昇であった。この結果、固形物(不純物)によるβ−
アルミナ質の隔膜2の閉塞が金網8によって抑制できる
ことが確認された。
【0016】〔実施例2〕隔膜2の両側に線径約10μ
m のステンレス製ワイヤーメッシュを取付け、かつ、1
0時間に1回の割合で1分間電極の正負を逆転させ、上
記と同じ電解を実施した。電圧の上昇はさらに小さくな
り、通電時間200時間で4〜4.5V程度で安定運転
できた。
【0017】〔実施例3〕図5に示す装置を用いて以下
のように金属Naの電気分解を行い、電圧を調べた。図
中、20はNaの貯蔵タンク、21はタンクの蓋体、2
2は直流電源、23は初期Naの供給源であり、β−ア
ルミナ質の円筒状の隔膜2が貯蔵タンク20内のNaに
浸漬するようにタンクの蓋体21に装着されている。ま
た直流電源22の負極側が隔膜2内に挿入された電極2
6に、正極側が貯蔵タンク20に接続され、更にスター
トアップ用のNaの供給源23が供給口24に接続され
ている。隔膜2はフランジ25をもって蓋体21に取り
付けられている。貯蔵タンク20には、Naを所定温度
に加熱するためのヒータが取り付けられている。
【0018】この装置において、貯蔵タンク20内に不
純物として微量のクラッド(酸化物)を含む金属Na、
陰極側にスタートアップ用の金属Naを導入し、300
℃の温度で溶解状態に保った後、電極26と貯蔵タンク
20間に、80Aの一定電流となるように直流電流を流
した。この電気分解により、陰極側には金属Naの生成
が認られた。
【0019】金網8を設けない場合には、電流を流した
当初は両電極20、26間に約2Vの電圧が掛かり、そ
の後徐々に電圧は上昇し、通電時間100時間で2.5
V程度まで上昇した。この電圧の上昇は、金属Naに不
純物として含まれている微量のクラツド(酸化物)が、
隔膜2の表面に付着・蓄積・成長し、電解を阻害して圧
力損失(電解の場合、電圧)が高くなった結果と考えら
れる。
【0020】一方、隔膜2の両側に金網8として線径約
10μm のステンレス製ワイヤーメッシュを取付け、か
つ、5時間に1回の割合で1分間電極の正負を逆転さ
せ、上記と同じ電解を実施したところ電圧の上昇は小さ
くなり、通電時間100時間で2〜2.2V程度で安定
運転できた。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本願の各発明に
よれば、Na・Na化合物中の酸化物やクラッド等の固
形分を金網により除去したり、逆方向通電により酸化物
やクラッド等の固形分を剥離させることにより、β−ア
ルミナ質の隔膜を交換することなく、長期間にわたり安
定した電解を継続することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】筒状の隔膜を示す断面図である。
【図3】第2の発明の実施形態を示す断面図である。
【図4】第3の発明の実施形態を示す断面図である。
【図5】実施例3を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電解槽、2 β−アルミナ質の隔膜、3 陽極側隔
室、4 陰極側隔室、5 陽極、6 陰極、7 ヒー
タ、8 金網、9 極性を反転できる直流電源装置、1
0 アルミナ管、20 Naの貯蔵タンク、21 タン
クの蓋体、22直流電源、23 初期Naの供給源、2
4 供給口、25 フランジ、26 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25C 3/02 C25C 7/06 302 7/06 302 C25B 9/00 L (72)発明者 蔵島 吉彦 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 4K021 AB01 AB23 BA01 BC06 CA06 DB40 DB50 DC15 4K058 BA03 BB05 CB24 DD13 DD27 FA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−アルミナ質の隔膜を用いて不純物を
    含むNa・Na化合物の電解を行うに際し、β−アルミ
    ナ質の隔膜の陽極側に金網を配置し、酸化物やクラッド
    等の固形分をこれらの金網により除去することを特徴と
    するβ−アルミナを用いたNa・Na化合物の電解方
    法。
  2. 【請求項2】 β−アルミナ質の隔膜を用いて不純物を
    含むNa・Na化合物の電解を行うに際し、通常運転時
    とは電流の極性を反転させた逆方向通電を定期的にある
    いは随時行うことにより、β−アルミナ質の隔膜の表面
    に付着した酸化物やクラッド等の固形分を剥離させるこ
    とを特徴とするβ−アルミナを用いたNa・Na化合物
    の電解方法。
  3. 【請求項3】 β−アルミナ質の隔膜を用いて不純物を
    含むNa・Na化合物の電解を行うに際し、β−アルミ
    ナ質の隔膜の陽極側または両側に金網を配置し、酸化物
    やクラッド等の固形分をこれらの金網により除去すると
    ともに、通常運転時とは電流の極性を反転させた逆方向
    通電を定期的にあるいは随時行うことにより、β−アル
    ミナ質の隔膜の表面に付着した酸化物やクラッド等の固
    形分を剥離させることを特徴とするβ−アルミナを用い
    たNa・Na化合物の電解方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012107290A (ja) * 2010-11-17 2012-06-07 Hokkaido Univ ナトリウム精製用電解槽
JP2012525502A (ja) * 2009-04-30 2012-10-22 メタル オキシジェン セパレーション テクノロジーズ インコーポレイテッド 元素材料の一次的な製造

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