JP2002097203A - βグルカンの抽出方法 - Google Patents

βグルカンの抽出方法

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JP2002097203A
JP2002097203A JP2000287920A JP2000287920A JP2002097203A JP 2002097203 A JP2002097203 A JP 2002097203A JP 2000287920 A JP2000287920 A JP 2000287920A JP 2000287920 A JP2000287920 A JP 2000287920A JP 2002097203 A JP2002097203 A JP 2002097203A
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barley
glucan
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oat
soluble
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JP2000287920A
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Kazufumi Tsubaki
和文 椿
Hiroshi Sugiyama
宏 杉山
Yoshikazu Shoji
義和 東海林
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Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業性がよく水への溶解性に優れた、分子量
10万以下の大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンを
安定して効率よく抽出し得る方法を提供すること。 【解決手段】 大麦糠、オーツ麦糠、未精麦大麦粒粉砕
物又は未精麦オーツ麦粒粉砕物を、温水抽出し、大麦又
はオーツ麦由来水溶性βグルカンを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大麦又はオーツ麦
より水溶性βグルカンを抽出する方法、詳しくは大麦
糠、オーツ麦糠、未精麦大麦又は未精麦オーツ麦より水
溶性βグルカンを抽出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】国民栄養調査によると、我が国における
国民1人あたりの食物繊維摂取量は、年々減少傾向にあ
り、食物繊維は、不足している栄養素に数えられ、積極
的な摂取が推奨されている。食物繊維は、水への溶解性
の違いから水溶性と不溶性の2つに分類される。不溶性
食物繊維は、便容積の増加、腸内容物の通過時間の短
縮、腸内圧、腹圧の低下があり、その結果、便秘、大腸
ガン等各種大腸疾患の予防、治療効果があるとされる。
一方、水溶性食物繊維は、消化管活動の活性化、食事成
分、特に糖類や脂肪の消化吸収性の低下、消化管を循環
する胆汁酸の吸着排出、消化管内での通過時間の遅延と
大腸内で発酵しやすい点に特徴があり、その結果、その
摂取によって便秘、大腸疾患、肥満、糖尿病、高脂血症
等の予防、治療効果があるとされる。
【0003】上記のように不溶性食物繊維と水溶性食物
繊維はそれぞれ異なる機能を有しており、両者のバラン
スよい摂取が望まれている。水溶性食物繊維を多く含む
食品として、海草類のアルギン酸ナトリウム、カラギー
ナン、穀類では、トウモロコシ外皮や小麦フスマのヘミ
セルロース、大麦やオーツ麦のβグルカンが知られてい
る。このβグルカンは、血清コレステロールの低下、血
清インスリン濃度の低下による血糖値上昇抑制効果等の
生理作用が特に強く、FDAにおいてもその摂取が心臓
疾患のリスクを低減する素材として認められるに至って
いる。
【0004】近年、我が国の食生活は、欧米諸外国と類
似してきたのと同時に、グルメ志向、おいしさ追求のあ
まり、食品から食物繊維をなるべく除外するようになっ
た。その結果、食物繊維の摂取量が減少し、現在の食物
繊維の摂取不足を招くに至っている。そこで、食品のお
いしさを損ねず、食物繊維の摂取量を増加させることが
必要となっている中で、食品素材より抽出・単離された
水溶性食物繊維を他の食品あるいは加工食品に添加する
方法が、食物繊維の摂取量を増加させる1つの方法とし
て非常に期待されている。
【0005】大麦やオーツ麦由来の水溶性食物繊維であ
るβグルカンは、穀類由来であり、でんぷん・脂質・蛋
白質との相和性がきわめてよく、加工食品に対する添加
剤として優れている。
【0006】食品中の食物繊維を増強方法としては、従
来の食物繊維の少ない食品に大麦粒、あるいは大麦粉を
添加する方法がある。米飯用に米粒の形に削った大麦粒
が精製大麦として市販されている、また、大麦粉を小麦
粉に添加した大麦麺も開発されている。あるいは、大麦
糠を篩等で粒度分けして60M篩通過分を消化管機能改
善剤あるいはコレステロール上昇抑制剤として用いるこ
とが特開平10−165120号公報に開示されてい
る。この方法によると、期待される効果を得るために食
品中に当該大麦糠を13%以上添加する必要があり、こ
のように比較的大量の大麦粉あるいは大麦糠の食品への
添加は、食品の食感を損ね、あるいは、小麦加工食品に
おいては、製パン性等の加工適性を損ねることが一般的
に指摘されている。そこで、大麦に含まれる食物繊維を
濃縮あるいは単離して利用する方法が有効とされ、大麦
あるいはオーツ麦に含まれる食物繊維であるβグルカン
を抽出して利用する方法が見出された。
【0007】穀類から高分子量のβグルカンを得る方法
としては、例えば、多ろう質大麦を原料とし、水抽出に
より製造する方法(特公平4−11197号公報)、あ
るいは、大麦、オーツ麦を原料として、アルカリ抽出、
中和、アルコール沈殿により、重量平均分子量10万〜
100万のβグルカンを得る方法(特公平6−8365
2号公報)、搗精歩留まり82%以下の大麦糠類を原料
として、80〜90℃の熱水にてβグルカンを抽出する
方法(特開平11−225706号公報)等が知られて
いる。大麦のβグルカンは、麦粒の細胞壁を構成してい
る多糖類の1種であり、分子量は、250万ともいわれ
ている。抽出過程でβグルカンは、低分子化するが、通
常、上記のような熱水抽出あるいはアルカリ性水溶液下
では、比較的高分子量のβグルカンが得られる(分子量
10万以上)。これら抽出されたβグルカンは、高分子
量であるがゆえ、水溶液は高粘性を示す。また、乾燥物
を水に再可溶させるのに時間がかかり、高濃度に溶解さ
せることも困難である欠点がある。
【0008】これらの欠点は、βグルカンを低分子化す
ることで、改良できることが知られている。大麦粉砕物
を温水で抽出することで、低分子化したβグルカンを得
る方法が、WO98/13056号公報に記載されてい
る。しかし、この公報記載の抽出温度、抽出時間を用い
た方法では、必ずしも、低分子化したβグルカンを得る
ことはできず、公報記載の方法は、大麦原料に依存して
大きく異なり、多くの大麦原料に適応できる方法でな
い、極めて限られたものであった。従って、作業性がよ
く水への溶解性に優れた、分子量10万以下に低分子化
されたβグルカンを安定して効率よく得る方法は、これ
までに知られておらず、その方法の開発が望まれてい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、作業性がよく水への溶解性に優れた、分子量10万
以下の大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンを安定し
て効率よく抽出し得る方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、大麦又はオー
ツ麦の精麦工程で発生する糠を温水抽出することを特徴
とする大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出方
法を提供することにより、上記目的を達成したものであ
る。
【0011】また、本発明は、未精麦の大麦粒粉砕物又
は未精麦のオーツ麦粒粉砕物を温水抽出することを特徴
とする大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出方
法を提供することにより、上記目的を達成したものでも
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、大麦糠、オーツ麦糠、
未精麦大麦粒粉砕物又は未精麦オーツ麦粒粉砕物より水
溶性食物繊維として多くの生理機能を持つ水溶性βグル
カンを、温水抽出により効率よく抽出する方法である。
以下に本発明の詳細についてさらに説明する。
【0013】本発明において水溶性βグルカンとは、分
子量10万以下のβグルカン及び、分子量10万以下の
βグルカンを主成分として水に溶解するβグルカンのこ
とをいう。
【0014】本発明において使用する大麦糠としては、
大麦精麦工程で発生する大麦糠を使用することができ
る。その大麦は、主食用、醸造用、飼料用等のいずれの
ものでもよく、目的とするβグルカンを多く含むものが
望ましく、例えばβグルカンを比較的多量に含むことが
知られている蛋白質含有量の高い性質を持った二条や六
条の大麦種、あるいは、でんぷんがもち性の性質を持っ
たもち性皮つき大麦、もち性裸大麦等が望ましい。
【0015】また、本発明において使用するオーツ麦糠
としては、オーツ麦精麦工程で発生するオーツ麦糠を使
用することができる。そのオーツ麦は、主食用、醸造
用、飼料用等のいずれのものでもよく、目的とするβグ
ルカンを多く含むものが望ましい。
【0016】本発明において使用する大麦糠及びオーツ
麦糠としては、大麦粒及びオーツ麦粒の外周部から連続
して精麦した糠が好ましく、連続して精麦した糠であれ
ば精麦度合いは特に限定されない。外周部から、精麦を
より多く行なった糠を使用すれば、より多くの水溶性β
グルカンを得ることができる。得られるβグルカンの抽
出量からは、外周部から18重量%以内精麦したとき、
いわゆる搗精歩留まり82重量%以上としたときの糠が
好ましく、外周部から45重量%以内精麦したとき、い
わゆる搗精歩留まり55重量%以上としたときの糠がよ
り好ましく、外周部から45重量%以上、いわゆる搗精
歩留まり55重量%以下の糠がより好ましい。
【0017】また、本発明では、未精麦の大麦粒粉砕物
及び未精麦のオーツ麦粒粉砕物を使用することもでき
る。また、糠の有効利用という観点からは、通常大麦
粉、オーツ麦粉を得るための精麦度合いである、外周部
から18重量%以内まで精麦したとき、いわゆる搗精歩
留まり82重量%以上としたときの、大麦粉、オーツ麦
粉の残余物として生成する糠を使用することが望まし
い。
【0018】本発明で抽出に用いる温水とは、温度80
℃以下4℃以上の抽出用水であり、好ましくは70℃以
下5℃以上、さらに好ましくは60℃以下10℃以上が
よい。抽出用水は、水道水、地下水、井戸水等、食品衛
生上問題なく、食品製造に使用可能であればいずれも使
用できる。抽出用水のpHは、中性付近がよく、pH1
0〜pH4、好ましくはpH9〜pH5、さらに好まし
くはpH8〜pH6がよい。抽出用水には、抽出された
βグルカンの安定性を保持するため、必要に応じて塩
類、酸・アルカリ類を添加して用いることができる。
【0019】本発明における水溶性βグルカンの抽出方
法は、大麦糠、オーツ麦糠、未精麦大麦粒粉砕物又は未
精麦オーツ麦粒粉砕物100重量部に温水250〜15
00重量部を加え、0.5〜24時間、好ましくは1〜
12時間、さらに好ましくは1.5〜6時間、撹拌しな
がら抽出するのが望ましい。抽出後に、固液分離、精製
等の工程を加え、水溶性βグルカンを得る。抽出時に、
αアミラーゼ、蛋白質分解酵素、グルコアミラーゼを添
加して、低分子化βグルカンの抽出を促進することがで
きる。αアミラーゼとは、糊化でんぷんやグリコーゲン
等のα1−4グリコシド結合を任意の位置で加水分解
し、分解生成物としてデキストリンやオリゴ糖、グルコ
ースを生じるものである。また、グリコアミラーゼと
は、可溶性でんぷんのα1−4グリコシド結合を非還元
末端より順次グルコース単位で分解するものである。蛋
白質分解酵素は、βグルカンを抽出時に同時に抽出され
る可溶性の蛋白質やβグルカンと複合化しているペプチ
ド類を分解してβグルカンの抽出を促進するために使用
される。
【0020】本発明のβグルカンの抽出方法において、
大麦糠、オーツ麦糠、未精麦大麦粒粉砕物又は未精麦オ
ーツ麦粒粉砕物と温水との混合物は、抽出後には、遠心
分離、濾過分離、膜分離、自然沈降等の固液分離方法と
して知られる任意の方法で固液分離し、水溶性βグルカ
ン抽出液を得ることができる。さらに水溶性βグルカン
抽出液は、膜濃縮法、凍結濃縮法、減圧濃縮法、塩析沈
殿法、有機溶媒沈殿法等の液体の濃縮方法として知られ
る任意の方法で濃縮することができ、また加熱して水分
を蒸発させ、水溶性βグルカン抽出液濃縮物とすること
ができる。さらに、水溶性βグルカン抽出液や水溶性β
グルカン抽出液濃縮物は、塩析沈殿法、有機溶媒沈殿
法、凍結乾燥、加熱乾燥法等の乾燥方法として知られる
任意の方法で乾燥させ、水溶性βグルカン抽出乾燥物を
得ることができる。βグルカン抽出乾燥物は粉砕して粉
末化して使用することができる。加熱濃縮法や加熱乾燥
法は、同操作により、抽出液に含まれる蛋白質やペプチ
ド等を変性沈殿あるいは分解させることができ、水溶性
βグルカンの純度を向上させため、好ましい方法であ
る。
【0021】本発明のβグルカンの抽出方法によれば、
大麦又はオーツ麦より安定して効率よく水溶性βグルカ
ンを抽出することが可能となる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例によって限定されるものでは
ない。尚、特に記述がない限り、実施例中の%は重量に
よるものであり、分子量は重量平均分子量である。
【0023】調製例1 もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、外周部から1
8%(搗精歩留まり82%)まで精麦した。このとき発
生した糠を糠−1とした。精麦後の大麦は、さらに研削
式搗精機により削り、搗精歩留まり55%まで精麦し
た。このとき発生した粉砕物を粉砕物−1とした。得ら
れた大麦精麦粒をさらに削り、搗精歩留まり35%まで
の粉砕物を粉砕物−2、35〜15%までを粉砕物―
3、残った中心部15%を粉砕し、粉砕物―4とした。
【0024】調製例2 もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、外周部から4
5%(搗精歩留まり55%)まで精麦した。このとき発
生した糠を糠−2とした。もち性裸大麦を研削式搗精機
により削り、外周部から60%(搗精歩留まり40%)
まで精麦し、このとき発生した糠を糠−3とした。同様
に外周部から70%(搗精歩留まり30%)まで精麦
し、このとき発生した糠を糠−4とした。さらに、未精
麦のもち性裸大麦をコーヒーミルにて粉砕し未精麦もち
性裸大麦全粒粉を得た。
【0025】試験例1 調製例1で得た各大麦分画物のβグルカン含有量を調べ
た。βグルカンの分析は、メガザイム社のβグルカン測
定キットを用いて、McCleary法(酵素法)により行っ
た。まず、500μm(30メッシュ)のふるいにかけ
た各分画物の水分含量を測定し、その100mgを17
mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μ
l加え、分散させた。次に4mlの20mMリン酸緩衝
液(pH6.5) を加え、よく混合した後、煮沸した湯
浴中にて1分間加温した。よく混合し、さらに2分間、
湯浴中で加熱した。50℃に冷却後、5分間放置してか
ら、各チューブにリケナーゼ酵素溶液(キットに付属す
るバイアルを20mlの20mMリン酸緩衝液で希釈、
残量は凍結保存)の200μl(10U)を加え、1時
間、50℃にて反応させた。チューブに200mM酢酸
緩衝液(pH4.0)を、5ml加えて、静かに混合し
た。室温に5分間放置し、遠心分離にて上清を得た。1
00μlを3本のチューブに取り、1本には100μl
の50mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、他の2本には
100μl(0.2U)のβグルコシターゼ溶液(キッ
トに付属するバイアルを20mlの50mM酢酸緩衝液
で希釈、残量は凍結保存)を加え、50℃にて10分
間、反応させた。3mlのグルコースオキシターゼ/ペ
ルオキシターゼ溶液を加えて、50℃にて20分間反応
させ、各サンプルの510nmにおける吸光度(EA)
を測定した。βグルカン含有量は、次式により求めた。 βグルカン(%,W/W)=(EA)×(F/W)×
8.46 F=(100)/(グルコース100μgの吸光度) W=算出された無水物重量(mg)
【0026】その結果、大麦分画物におけるβグルカン
含有量は、糠−1は(3.3%)、粉砕物−1は(5.
4%)、粉砕物−2は(6.5%)、粉砕物−3は
(6.4%)、粉砕物−4は(8.0%)の順に多くな
り、外周部から中心に向かってβグルカン量が増加して
いることがわかった。
【0027】試験例2 WO98/13056号公報に記載の方法にて低分子化
βグルカンの製造を試みた。得られた抽出物は、さらに
HPLCゲル濾過法にて分画し、βグルカンの分子量測
定を行った。市販の精製大麦粒(米粒様に加工されたも
の)を粉砕し、500μm(30メッシュ)のふるいに
かけ大麦粒粉砕物を得た。試験例―1と同様にβグルカ
ン含有量を測定したところ、6.5%であった。得られ
た大麦粒粉砕物20gに100mlの蒸留水を加え、温
度25、40、45、55℃にて撹拌抽出した。抽出時
間を0.5〜5時間まで変化させて、経時的に5mlを
サンプリングした。抽出混合液を10分間、遠心分離
(10000rpm)して、遠心上清を得た。遠心上清
を−10℃に冷却して一昼夜そのまま放置してから解凍
した。遠心分離後、上清を捨て、沈殿を凍結乾燥させ
た。得られた沈殿の5mgをチューブに取り、0.5m
lの蒸留水を加えて、沸騰水中で溶解させた。0.22
μmのフィルターを通してHPLC用のサンプルとし
た。分離にはHPLCゲル濾過カラムであるShode
xのパックドカラムKS−805(昭和電工社製)を用
い、流速0.6ml/min.、温度50℃、検出には
RI検出器、分離溶媒は水で実施した。分子量マーカーと
してはShodexプルラン標準液P−82(昭和電工
社製)を用いた。温度55℃においては、3時間の抽出
まで分子量10万以下3000以上の範囲にピークは得
られず、主に分子量40万〜20万のピークをもつ抽出
物が得られた。5時間の抽出で得られた抽出物は分子量
40万〜20万のピークが分子量11万〜10万にピー
クがシフトしたが、10万以下で分子量3000以上の
範囲にピークは認められなかった。45℃で抽出したと
ころ、2時間の抽出で分子量20万、5時間の抽出で分
子量11万のピークを示す抽出物が得られたが、分子量
10万以下で分子量3000以上の範囲にピークは認め
られなかった。40℃の0.5時間抽出では、得られた
ピークは分子量40万を示し、分子量10万以下で30
00以上の範囲にピークは認められなかった。25℃抽
出では、0.5時間〜3時間までの抽出で、分子量40
万〜20万のピークをもつ抽出物が得られ、分子量10
万以下で分子量3000以上の範囲にピークは認められ
なかった。分子量10万以上のピークを含むHPLCの
溶出画分は、試験例1記載の方法でβグルカンであるこ
とを確認した。
【0028】実施例1 調製例1で得た各大麦糠及び粉砕物10gを100ml
コニカルビーカーにとり、50mlの蒸留水を加えて5
0℃にて1時間撹拌抽出した。抽出後、遠心分離上清を
得て、沸騰水中に5分間放置し、再度、遠心分離して、
上清を得た。その0.5mlに1mlのエタノールを加
え、1時間放置後、遠心分離にて沈殿を回収した。凍結
乾燥機で、エタノール・水分を除去し、沈殿に0.5m
lの蒸留水を加え、沸騰水中で溶解させた。遠心分離上
清を0.22μmのフィルターでろ過した後、試験例2
と同様にピークの分子量を測定した。糠−1は、分子量
40万〜1万に検出され、最大ピークは分子量2万であ
った。粉砕物−1は、分子量40万〜20万にピークを
認め、分子量10万〜3000の範囲にピークは検出さ
れなかった。粉砕物−2、粉砕物−3、粉砕物−4は、
ともに粉砕物−1と同様であり、分子量40万〜20万
にピークを認め、分子量10万〜3000の範囲にピー
クは認められなかった。粉砕物−1、粉砕物−2、粉砕
物−3、粉砕物−4における分子量10万以上のピーク
を含むHPLCの溶出画分、及び糠−1の分子量10万
以下のピークを含むHPLCの溶出画分は、それぞれ試
験例1記載の方法でβグルカンであることを確認した。
抽出を5回繰り返したが、同様の結果であり、分子量1
0万以下のピークが得られたのは、糠−1からのみであ
った。
【0029】実施例2 調製例2で得た各大麦糠及び未精麦もち性裸大麦全粒粉
15gを100mlコニカルビーカーにとり、60ml
の蒸留水を加えて45℃にて1.5時間撹拌抽出した。
抽出後、遠心分離上清を得て、沸騰水中に5分間放置
し、再度、遠心分離して、上清を得た。その0.5ml
に1mlのエタノールを加え、1時間放置後、遠心分離
にて沈殿を回収した。凍結乾燥機で、エタノール・水分
を除去し、沈殿に0.5mlの蒸留水を加え、沸騰水中
で溶解させた。遠心分離上清を0.22μmのフィルタ
ーを通した後、試験例2と同様にピークの分子量を測定
した。また、分子量10万以上、分子量10万以下のR
I検出された面積値を算出し、各調製物の間で比較し
た。糠−2は、分子量40万〜1万に検出され、最大ピ
ークは分子量4万であった。分子量10万以上で検出さ
れた面積値は3万、分子量10万以下のピーク面積値は
40万であった。糠−3も糠−2と同様であり、分子量
40万〜1万に検出され、最大ピークは分子量4万であ
った。分子量10万以上の検出面積値は4万、分子量1
0万以下のピーク面積値は55万であった。糠−4も糠
−2と同様であり、分子量40万〜1万に検出され、最
大ピークは分子量4万であった。分子量10万以上の検
出面積値は3.5万、分子量10万以下のピーク面積値
は58万であった。全粒粉も糠−2と同様であり、分子
量40万〜1万に検出され、最大ピークは分子量4万で
あった。分子量10万以上の検出面積値は3万、分子量
10万以下のピーク面積値は36万であった。それぞれ
の分子量10万以下のHPLCより溶出された分画は、
試験例1記載の方法でβグルカンであることを確認し
た。抽出を5回繰り返したが、同様の結果が得られた。
【0030】
【発明の効果】本発明のβグルカンの抽出方法によれ
ば、作業性がよく水への溶解性に優れた、分子量10万
以下の大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンを安定し
て効率よく抽出することができる。
フロントページの続き (72)発明者 東海林 義和 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B018 MD33 MD47 MF01 4C090 AA04 BA21 BC10 CA10 CA18 CA19

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大麦又はオーツ麦の精麦工程で発生する
    糠を温水抽出することを特徴とする大麦又はオーツ麦由
    来水溶性βグルカンの抽出方法。
  2. 【請求項2】 大麦粒又はオーツ麦粒の外周部より連続
    して精麦した糠を原料とする請求項1記載の大麦又はオ
    ーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出方法。
  3. 【請求項3】 大麦粒又はオーツ麦粒の外周部より連続
    して18重量%以内まで精麦した糠を原料とする請求項
    1記載の大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出
    方法。
  4. 【請求項4】 大麦粒又はオーツ麦粒の外周部より連続
    して45重量%以内まで精麦した糠を原料とする請求項
    1記載の大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出
    方法。
  5. 【請求項5】 未精麦の大麦粒粉砕物又は未精麦のオー
    ツ麦粒粉砕物を温水抽出することを特徴とする大麦又は
    オーツ麦由来水溶性βグルカンの抽出方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で
    得られる水溶性βグルカン含有抽出液中の水を蒸発さ
    せ、濃縮物又は乾燥物とすることを特徴とする大麦又は
    オーツ麦由来水溶性βグルカン抽出物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で
    得られる水溶性βグルカン含有抽出液を加熱して、含有
    する蛋白質等を変性あるいは分解することを特徴とする
    大麦又はオーツ麦由来水溶性βグルカン抽出物の製造方
    法。
JP2000287920A 2000-09-22 2000-09-22 βグルカンの抽出方法 Pending JP2002097203A (ja)

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