JP2002096972A - 弾性糸巻糸体およびその製造方法 - Google Patents

弾性糸巻糸体およびその製造方法

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JP2002096972A
JP2002096972A JP2000290107A JP2000290107A JP2002096972A JP 2002096972 A JP2002096972 A JP 2002096972A JP 2000290107 A JP2000290107 A JP 2000290107A JP 2000290107 A JP2000290107 A JP 2000290107A JP 2002096972 A JP2002096972 A JP 2002096972A
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yarn
elastic
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wound
agent
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JP2000290107A
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English (en)
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Kengo Mizobe
研悟 溝部
Hideki Nakanishi
英樹 中西
Hiroshi Fujita
寛 藤田
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Du Pont Toray Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】布帛の品位上の欠点あるいは糸条の形態上の欠
点を解消した優れた品質の製品を入手すること。 【解決手段】弾性糸がチューブに巻かれて形成された弾
性糸巻糸体であって、2種類以上の処理剤が弾性糸に付
着させられてなることを特徴とする弾性糸巻糸体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性糸巻糸体およ
びその製造方法に関する。
【0002】さらに詳細には、加工工程で使用した際、
弾性糸の解舒性が良好な弾性糸巻糸体およびその製造方
法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】弾性糸を使用した製品は、その伸縮性を
必要とする多くの商品分野、例えば、衣料用資材、産業
用資材、および医療・衛生用資材等で大量に使用されて
きている。その商品の多くは弾性糸を織物あるいは編物
等の布帛の形で使用されたり、そのまま糸条の形で使用
したりされるものであるが、その製品の製造に際して
は、弾性糸をチューブに巻回せしめた弾性糸巻糸体を必
要数準備し、弾性糸巻糸体から弾性糸を順次または並行
的に、消極送り出し装置(タテ取り装置)または積極送
り出し装置(転がし取り装置)を用いて弾性糸を引き出
し、布帛形成域または糸条形成域に供給されている。
【0004】ここで、弾性糸はその化学的構成から糸本
来の粘着性が高く、この粘着性が高いゆえに弾性糸巻糸
体から弾性糸を順次または並行的に引き出す際の抵抗を
低減させて、あるいは一定に保持させて必要な糸の長さ
を安定して解舒し、布帛形成域または糸条形成域に供給
するために糸の表面に予め油剤等の処理剤を付着させて
おくことが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術で製造された弾性糸巻糸体から弾性糸を消極送り出
し装置(タテ取り装置)または積極送り出し装置(転が
し取り装置)を用いて引き出し、布帛または糸条を形成
した場合には、布帛上に編み目または織り目の密度差に
起因する布帛の品位上の欠点、例えば、経編地では地割
れ、白スジと呼ばれる経筋、または糸条上に引き揃えら
れた糸の局所的なたるみによる形態上の欠点が発生する
ことが知られていた。
【0006】本発明の目的は、上記従来の問題点を解消
することにあり、品位上の欠点または形態上の欠点のな
い優れた品質の製品を提供し得る弾性糸巻糸体およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の弾性糸巻糸体は
前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0008】すなわち、弾性糸がチューブに巻かれて形
成された弾性糸巻糸体であって、2種類以上の処理剤が
弾性糸に付着させられてなることを特徴とする弾性糸巻
糸体である。
【0009】また、本発明の弾性糸巻糸体の製造方法は
前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0010】すなわち、弾性糸をチューブに巻き取るに
際し、巻き取り開始から巻き取り終了までに2種類以上
の処理剤を前記弾性糸に付着させることを特徴とする弾
性糸巻糸体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の弾性糸巻糸体およ
びその製造方法について、詳細に説明する。
【0012】本発明の弾性糸巻糸体(以下、単に巻糸体
と略す)は、処理剤が付着された弾性糸が巻かれたもの
である。
【0013】本発明における弾性糸として、ポリエステ
ル系ポリウレタン弾性糸、ポリエーテル系ポリウレタン
弾性糸またはポリアミド弾性糸等、または、これらを主
体とした他の有機合成樹脂体との複合もしくは混合によ
る弾性糸などを好ましく用いることができる。
【0014】本発明における弾性糸は、モノフィラメン
ト、マルチフィラメントのいずれであってもよく、特に
本発明においては、マルチフィラメントが好ましい。
【0015】また、弾性糸の繊度は、5デシテックス以
上2400デシテックス以下の範囲が好ましく、15デ
シテックス以上170デシテックス以下の範囲がより好
ましく、15デシテックス以上80デシテックス以下の
範囲がさらに好ましい。
【0016】本発明で弾性糸に付与する処理剤は、弾性
糸の粘着性の低減、高次加工性の向上などを目的として
付着されるものであれば特に限定されるものではなく、
例えばジメチルポリシロキサン、メチル基の一部を、他
のアリキル基、フェニル基、アミノ基等で置換した変成
ポリシロキサン、鉱物油、シリコンなどを主成分とした
油剤等を好ましく用いることができる。かかる処理剤付
着量(重量%)は1〜20重量%の範囲が好ましく、よ
り好ましくは3〜15重量%の範囲であり、さらに好ま
しくは4〜10重量%の範囲である。
【0017】そして、本発明の弾性糸巻糸体とは、前記
弾性糸を紙、合成樹脂等のチューブに巻回、巻き取りさ
れたものをいい、その形態としてチーズ、ドラム、ボビ
ンと称されるものも含まれる。
【0018】本発明で使用するチューブの長さは50m
m以上200mm以下の範囲が好ましく、50mm以上
120mm以下の範囲がより好ましく、50mm以上6
0mm以下の範囲がさらに好ましい。
【0019】巻量は、200g以上4.5Kg以下の範
囲が好ましく、200g以上1.5Kg以下の範囲がよ
り好ましく、200g以上800g以下の範囲がさらに
好ましく、200g以上600g以下の範囲が一層好ま
しい。
【0020】本発明においては、巻糸体の最内層部から
最外層部にかけて、弾性糸に付着させる処理剤を2種類
以上用いて実質的に単独、かつ順次付着させることも好
ましく行われる。2種類以上の処理剤を実質的に単独、
かつ順次付着させるとは、巻糸体の最内層部から最外層
部にかけて任意の箇所の弾性糸に付着させている処理剤
が各々実質上重ならないように単独に存在することをい
う。
【0021】本発明においては、巻糸体を解舒した順に
全糸長をほぼ均等に2当分以上に区分し、各区分にそれ
ぞれ異なる種類の処理剤を使用するのが好ましい。ま
た、処理する長さは均等であっても、不均等であっても
よい。
【0022】例えば、2種類の処理剤を使用する場合、
パッケージの最内層部から中層部まで使用する処理剤を
A、中層部から最外層部まで使用する処理剤をBとする
ことも好ましく行われる。
【0023】また、他の例として、パッケージの最内層
部に使用する処理剤をA、パッケージの中層部に使用す
る処理剤をB、パッケージの最外層部に使用する処理剤
をAとすることも好ましく行われる。
【0024】処理剤の付着順序は、巻糸体の最内層部か
ら最外層部にかけて処理剤A、処理剤B、処理剤Cのご
とくに2種類以上の処理剤を単純に一方向的に配列させ
た順序となるように変化させてもよく、また、巻糸体の
最内層部から最外層部にかけて処理剤A、処理剤B、処
理剤C、処理剤B(または処理剤A)のごとくに2種類
以上の処理剤を略往復的に配列させた順序となるように
変化させてもよく、さらに、巻糸体の最内層部から最外
層部にかけて処理剤A、処理剤B、処理剤C、処理剤
B、処理剤Aのごとくに2種類以上の処理剤を略完全往
復的に配列させた順序となるように変化させてもよい。
【0025】さらには、巻糸体の最内層部から最外層部
にかけて処理剤A、処理剤B、処理剤A、処理剤Cのご
とくに複数種類の処理剤を略反復的に配列させた順序と
なるように変化させてもよい。
【0026】本発明では、下記(1)式に示される巻糸
体のパッケージリラクセーション値の分布曲線に対応し
て処理剤を選択することも好ましい。
【0027】 PR=100×(Lr/Lc) ・・・(1) ただし、 PR(%):パッケージリラクセーション値 Lr(mm):解舒リラックス長さ Lc(mm):解舒外周長さ なお、Lr、Lcは後述する測定法により求めることが
できる。
【0028】巻糸体のパッケージリラクセーション値の
分布曲線に対応して処理剤を選択することについて以下
に説明する。
【0029】巻糸体の(1)式で表現されるパッケージ
リラクセーション値の最大値を1として正規化した場合
に、該当のパッケージリラクセーション値の正規化後の
数値が、0以上0.3以下の範囲では、その部分に相当
する巻取り時間の間を処理剤Aを用い、次に、該当のパ
ッケージリラクセーション値の正規化後の範囲が、0.
3を越え0.7以下の範囲では、その部分に相当する巻
取り時間に付与される処理剤を処理剤Bを用い、該当の
パッケージリラクセーション値の正規化後の範囲が、
0.7を越え1.0以下の範囲では、その部分に相当す
る巻取り時間に付与される処理剤を処理剤Cとすること
も好ましく行われる。
【0030】次に、本発明の弾性糸巻糸体の製造方法に
ついて説明する。
【0031】図1は本発明で使用する紡糸設備の一例を
示す概略模式図である。図1において単糸糸条12は、
紡糸口金21から吐出され、加熱区域22を通過した後
に空気仮撚りノズル等の交絡手段23により仮撚りを付
与され、もしくは、単なる糸条把持ガイド等の把持手段
23’により把持されてマルチフィラメント糸条31と
なる。マルチフィラメント糸条31は、その後、第1フ
ィードロール24および第2フィードロール25にて予
め設定された回転数比に応じた伸張率を付与されること
になる。
【0032】マルチフィラメント糸条31は処理剤付着
設備26により処理剤が付与される。
【0033】処理剤付着設備26としては、一箇所の処
理剤ロール27表面に複数種類の処理剤A、B、C、等
の皮膜を順次選択的に形成させた状態で処理剤ロール2
7表面にマルチフィラメント糸条31を直接または間接
に接触させる方法や、処理剤の種類に対応した複数個の
処理剤ロールを配設し、予め設定された順序に従い処理
剤Aの処理剤ロール27表面および処理剤Bの処理剤ロ
ール37表面にマルチフィラメント糸条31を実質的に
単独に順次直接または間接に接触させて、処理剤Aまた
は処理剤Bを処理剤Aの処理剤ロール27表面または処
理剤Bの処理剤ロール表面37からマルチフィラメント
糸条31の表面へ転写させて塗布させる処理剤Aの処理
剤ロール27および処理剤Bの処理剤ロール37を使用
するもの、処理剤Aおよび処理剤B各々に専用の給油ガ
イドまたは処理剤Aと処理剤Bで共通の給油ガイドを使
用し、必要に応じて予め設定された順序にて選択的に給
油ガイドに供給する処理剤の種類を変更するもの、もし
くは処理剤Aまたは処理剤Bを選択的に噴霧として直接
に弾性糸の表面に噴射し塗布させるものなどの採用が好
ましい。
【0034】複数種類の処理剤を実質的に単独に選択的
に使用する方法では、例えば処理剤の種類が処理剤Aか
ら処理剤Bへと切り替わる瞬間が存在し、処理剤Aまた
はBが同時に存在する瞬間が発生する可能性があるが、
このような状況は時間の経過と共に解消され、処理剤A
または処理剤Bが実質的に単独に存在する状況が実現で
きるため、このような切替え時の過渡期の状況が発生し
てもよく、予めこのような状況を勘案し、処理剤Aとし
て処理剤Aを主体として処理剤Bを補完的に混合したも
のを用い、処理剤Bとして処理剤Bを主体として処理剤
Aを補完的に混合したものを用いてもよい。
【0035】かかる処理剤付着設備26は、第1フィー
ドロール24と第2フィードロール25の間に設けられ
るのが好ましい。また、加熱区域22と第1フィードロ
ール24の間、あるいは、第2フィードロール25と巻
取機41の間に設けられることも好ましい。そして、マ
ルチフィラメント糸条31は、その後、巻取機(ワイン
ダとも称する)41にて巻取られ弾性糸巻糸体51を形
成する。
【0036】本発明は、弾性糸をチューブに巻回させる
に際し、巻き取り開始から巻き取り終了までの間に前記
弾性糸に付与せしめる処理剤の種類を変化させるもので
ある。
【0037】本発明において、巻き取り開始から巻き取
り終了までの間に弾性糸に付与せしめる処理剤の種類を
変化させないと、弾性糸が本来持つ糸の粘着性により巻
糸体における任意の層で糸と糸同士が粘着し、該弾性糸
の解舒時の解舒張力が均一とならない問題がある。
【0038】すなわち、図2に示されるように弾性糸巻
糸体の解舒張力を均一とするために、弾性糸巻糸体の最
内層部では巻締まりによる弾性糸同士の粘着力を緩和す
べく糸と糸の間の摩擦力が小さい剥離性にすぐれた処理
剤Aを処理剤ロール27を用いて付着させる。次に巻糸
体の中層部では巻締まりの影響が巻糸体の糸層を巻糸体
の幅方向すなわち弾性糸が巻回されているチューブの幅
方向に押し出されてしまうため、巻糸体の端部での糸落
ちや綾落ちを防ぐために糸と糸の間の摩擦力が大きい粘
着性の大きい処理剤Bを処理剤ロール37を用いて付着
させる。そして巻糸体の最外層では、緒糸が巻糸体から
容易に解舒されるように、再び糸と糸の間の摩擦力が小
さい剥離性にすぐれた処理剤Aを処理剤ロール27を用
いて付着させる。
【0039】なお、2種類以上の処理剤の付着順序やこ
れに対応する処理剤の付着設備は前記したものに限定さ
れず、弾性糸の糸条に対して2種類以上の処理剤を実質
的に単独に順次付着せしめる手段であれば、どのような
方法を採用してもよい。
【0040】本発明において、巻き取り開始から巻き取
り終了までの間に弾性糸に付与せしめる処理剤の種類を
変化させず、実質的に一種類の単独処理剤を付着させた
場合では、巻き取り開始から巻き取り完了までの弾性糸
巻糸体の解舒張力分布は図3に示す凸部を有する不均一
な分布曲線となり、結果として、弾性糸巻糸体を消極送
り出し装置(タテ取り装置)または積極送り出し装置
(転がし取り装置)を用いて弾性糸を弾性糸巻糸体から
引き出し、布帛または糸条を形成した場合に、弾性糸の
引き出し長さ方向での糸条の張力に差があることから、
弾性糸が弾性糸巻糸体から消極送り出し装置(タテ取り
装置)または積極送り出し装置(転がし取り装置)を用
いて引き出される長さが異なり、これが弾性糸の編み込
み長さあるいは織り込み長さあるいは引き出し長さの違
いとなり、布帛上に編み目または織り目の密度差を生じ
させて地割れ、白スジと呼ばれる布帛の品位上の欠点ま
たは糸条上に引き揃えられた糸の局所的なたるみによる
糸条の形態上の欠点を発生させる問題がある。
【0041】また、2種類以上の処理剤を、前記(1)
式により定義されるパッケージリラクセーション値の分
布曲線と相似形または相似形と同等な略U字状の曲線分
布に対応した値と関連づけて選択して糸条に付着させる
ことも好ましく行われる。
【0042】パッケージリラクセーション値(PR)の
分布は、予め、巻糸体を解舒した順に全糸長をほぼ均等
に2当分以上に区分して各区分から少なくとも1点サン
プリングして測定することが好ましい。
【0043】弾性糸巻糸体において、パッケージリラク
セーション値(PR)は、図4に示されるように巻糸体
の外層部分で大きく、中層部分で小さく、内層部分で再
び大きくなる略U字状の曲線分布を示している。
【0044】弾性糸巻糸体を形成させる際に単一の処理
剤を付着させると、実際に弾性糸巻糸体を形成してしま
った後では、弾性糸が本来有する伸長回復力を保持して
いるために巻糸体内部で弾性糸同士が収縮かつ粘着しあ
い、いわゆる巻締まり現象が発生し、処理剤としての機
能を果たさない問題がある。
【0045】したがって、このようにして得られた弾性
糸巻糸体を消極送り出し装置(タテ取り装置)または積
極送り出し装置(転がし取り装置)を用いて該弾性糸巻
糸体から引き出し、布帛または糸条を形成した場合に、
弾性糸の引き出し長さ方向での糸条の解舒張力に差を有
することから、弾性糸が弾性糸巻糸体から消極送り出し
装置(タテ取り装置)または積極送り出し装置(転がし
取り装置)を用いて引き出される長さが異なり、これが
弾性糸の編み込み長さあるいは織り込み長さあるいは引
き出し長さの違いとなり、布帛上に編み目または織り目
の密度差を生じさせて地割れ、白スジと呼ばれる布帛の
品位上の欠点または糸条上に引き揃えられた糸の局所的
なたるみによる糸条の形態上の欠点が発生するという問
題がある。
【0046】本発明においては、巻糸体の最内層部から
最外層部にかけて、いずれの層においても弾性糸巻糸体
からの解舒張力を実質的に均一化するための処理剤の選
択付着が可能となり、その結果として、巻糸体から消極
送り出し装置(タテ取り装置)または積極送り出し装置
(転がし取り装置)を用いて引き出される弾性糸の長さ
を一定にでき、さらには弾性糸の編み込み長さあるいは
織り込み長さあるいは引き出し長さを一定にでき、布帛
上の編み目または織り目の密度を均一にでき、または糸
条に引き揃えられた糸の局所的なたるみを無くすること
により布帛の品位上の欠点あるいは糸条の形態上の欠点
を解消する観点から、弾性糸を紡糸し、そのままの状態
で、または伸張された状態で弾性糸に付着させる複数種
類の処理剤の付着順序をパッケージリラクセーション値
(PR)の分布曲線と対応させた順序または該パッケー
ジリラクセーション値(PR)の分布曲線の相似形と同
等な略U字状の曲線分布に対応させた順序で付着させる
ことも好ましく行われる。
【0047】図5は、本発明において複数種類の処理剤
を選択的に付着させるために用いる処理剤付着設備の一
例を示す概略斜視図である。
【0048】図5において、処理剤ロール27で代表さ
れる処理剤付着設備26において、処理剤Aの処理剤ロ
ール27を駆動する処理剤ロール駆動モータ28には、
処理剤ロール駆動モータ28の駆動周波数を変更させる
周波数変化装置29、例えば、インバータが接続されて
おり、処理剤Bの処理剤ロール37を駆動する処理剤ロ
ール駆動モータ38にも同様の駆動周波数を変更させる
周波数変化装置29が接続されている。
【0049】予め設定されたプログラムなどの手続きに
より付着させる処理剤が選択されると、例えば処理剤A
が選択された場合には、処理剤Aの処理剤ロール駆動モ
ータ28が回転して糸条への処理剤Aの付着が実施され
る。一方、この時には他の処理剤は付着させないことに
なるので、例えば、処理剤Bの処理剤ロール駆動モータ
38へはモータ停止の信号を送り処理剤ロール37を停
止させることで糸条への処理剤Bの付着を実質的になく
すことができる。
【0050】なお、この場合に、巻取機41の駆動ロー
ル42の駆動モータ43に巻取り時間管理装置45が接
続されていてもよく、さらには、弾性糸巻取機の綾振り
用のカムロール55を駆動するカムロールの駆動モータ
56にも巻取り時間管理装置45が接続されていてもよ
い。そしてその場合には、予め設定された巻取時間が経
過すると弾性糸巻糸体51が自動的に待機している空チ
ューブを装着しておいたスピンドル47に切り替えるこ
とも可能である。
【0051】または、巻取り時間管理装置45からの信
号により音声またはランプ点灯などにより満巻告知装置
48により、作業者が手動にて満巻となった弾性糸巻糸
体51と空チューブを装着しておいたスピンドル47と
を切り替えてもよい。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに具体的
に説明する。
【0053】本発明で採用した測定方法を以下に説明す
る。 [パッケージリラクセーション値(PR値)]図6に示
されるパッケージリラクセーション値測定器を用い、下
式からパッケージリラクセーション値を求めた。ここで
使用したスケール66は、ドライブロール63を回転さ
せる前の測定糸の位置をゼロとできるように、上下移動
可能にされたものである。 Lr=(ドライブロールの円周×回転数)−(読み取り長さ×2)・・・(I) Lc=(ドライブロールの円周×回転数)・・・(II) ここでドライブロール63の円周=368.95mmド
ライブロール63を回転させることにより、ドライブロ
ール63と接触しているチューブホルダ62に支持され
たチューブ61から測定糸が張力を受けることなく繰り
出される。繰り出された測定糸は、ドライブロール63
とクリップを両端とするループを描いてスケール66面
上に垂れ下がり、所望の回転数だけドライブロール63
を回転させて測定糸を繰り出した後、ループの先端に測
定糸の弛みをなくし、なおかつ、測定糸を実質的に伸長
させない力を加えて先端の位置をスケール66の目盛り
から読み取り、上記の(I)式および(II)式からLr
およびLcを計算した。
【0054】ドライブロール63の回転を始める前の測
定糸のループの先端の位置にスケール66のゼロの点を
正確に調節し、ドライブロール63の回転開始と回転終
了のハンドル64の位置が正確に一致させられた。 [実施例1]図1に示す設備を用い、繊度44デシテッ
クス、フィラメント数4のポリウレタン系弾性糸(東レ
・デュポン株式会社製登録商標”ライクラ(R)”タイ
プ127C)を、幅57.6mmのチューブに、巻量5
00gで巻き取った。
【0055】得られた弾性糸巻糸体のパッケージリラク
セーション値は図4に示される曲線分布となった。
【0056】処理剤Aとしてシリコーン系油剤を用い、
処理剤Bとして鉱物系油剤を用い、弾性糸巻糸体の巻き
始め、つまり最内層部に処理剤Aを付着させ、弾性糸巻
糸体の中層部に処理剤Bを付着させ、巻き終わり近傍で
は再び処理剤Aを付着させるように処理剤ロールの運転
順序を設定した。これにより得られた弾性糸巻糸体は弾
性糸の最内層部から最外層部の任意の位置において実質
上ほぼ均一の解舒張力の分布を示した。
【0057】得られた弾性糸巻糸体から通常の方法に基
づいて経編地を編成した。得られた経編地は、編組織上
での欠点がほとんど発生せず、品位に優れたものであっ
た。 [比較例1]弾性糸に対する処理剤を処理剤Aのみに限
定し巻き取り開始から巻き取り完了まで付着させて調節
する以外は、実施例1と同一の条件とした。
【0058】得られた弾性糸巻糸体は、弾性糸巻糸体か
らの糸条の解舒張力が、図3に示されるように最内層部
から最外層部にかけて、凸部を有する分布を示す不均一
なものとなった。
【0059】得られた弾性糸巻糸体から通常の方法に基
づいて経編地を編成した。得られた経編地は、編組織上
での欠点が多数発生し、品位に劣ったものであった。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、布帛の品位上の欠点、
例えば経編地では地割れ、白スジと呼ばれる経筋、また
は糸条上に引き揃えられた糸の局所的なたるみによる形
態上の欠点を解消した優れた品質の製品を入手すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する紡糸設備の一例を示す概略模
式図である
【図2】本発明の弾性糸巻糸体の解舒張力分布の一例を
示す概略図である。
【図3】従来の弾性糸巻糸体の解舒張力分布の一例を示
す概略図である。
【図4】本発明の弾性糸巻糸体のパッケージリラクセー
ション値の分布の一例を示す概略図である。
【図5】本発明で使用する処理剤付着設備の一例を示す
概略斜視図である。
【図6】本発明で使用するパッケージリラクセーション
測定器を示す概略図である。
【符号の説明】
12:単糸糸条 21:紡糸口金 22:加熱区域 23:交絡手段 23’:把持手段 24:第1フィードロール 25:第2フィードロール 26:処理剤付着設備 27:処理剤ロール 28:処理剤ロール駆動モータ 29:周波数変化装置 31:マルチフィラメント糸条 37:処理剤ロール 38:処理剤ロール駆動モータ 41:巻取機 42:駆動ロール 43:駆動モータ 45:巻取り時間管理装置 47:スピンドル 48:満巻告知用音声ブザー 51:弾性糸巻糸体 55:カムロール 56:駆動モータ 61:チューブ 62:チューブホルダ 63:ドライブロール 64:ハンドル 65:クリップ 66:スケール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 寛 滋賀県大津市園山1丁目1番2号 東レ・ デュポン株式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 3F115 AA09 BA22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性糸がチューブに巻かれて形成された弾
    性糸巻糸体であって、2種類以上の処理剤が弾性糸に付
    着させられてなることを特徴とする弾性糸巻糸体。
  2. 【請求項2】最内層部から最外層部に向けて、2種類以
    上の処理剤がそれぞれ単独で弾性糸に付着させられてな
    ることを特徴とする請求項1に記載の弾性糸巻糸体。
  3. 【請求項3】前記処理剤の組成が種類毎に異なることを
    特徴とする請求項1または2に記載の弾性糸巻糸体。
  4. 【請求項4】前記処理剤の付着量が種類毎に異なること
    を特徴とする請求項1または2に記載の弾性糸巻糸体。
  5. 【請求項5】弾性糸をチューブに巻き取るに際し、巻き
    取り開始から巻き取り終了までに2種類以上の処理剤を
    前記弾性糸に付着させることを特徴とする弾性糸巻糸体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】前記処理剤を種類毎にそれぞれ単独で弾性
    糸に付着させることを特徴とする請求項5に記載の弾性
    糸巻糸体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記処理剤の組成を種類毎に変えることを
    特徴とする請求項5または6に記載の弾性糸巻糸体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記処理剤の粘度を種類毎に変えることを
    特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の弾性糸巻糸
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記処理剤の付着量を種類毎に変えること
    を特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の弾性糸巻
    糸体の製造方法。
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