JP2002095809A - 遊技盤の化粧材 - Google Patents

遊技盤の化粧材

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JP2002095809A JP2000290253A JP2000290253A JP2002095809A JP 2002095809 A JP2002095809 A JP 2002095809A JP 2000290253 A JP2000290253 A JP 2000290253A JP 2000290253 A JP2000290253 A JP 2000290253A JP 2002095809 A JP2002095809 A JP 2002095809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遊技盤の化粧材において、コントラストを確
保し、装飾性の向上、製造工程の単純化、低コスト化を
図る。 【解決手段】 反射フィルム12には小区画20a、2
0bによる反射パターン12aが設けられ、その上にア
ルミニウムを蒸着して反射層12bが設けられており、
反射率は高くコントラストが確保される。各小区画20
a、20bに設けられている回折格子の格子線の方向は
不揃いで、視点が変化すると各小区画20a、20bの
明暗が変化し、しかも全体としてランダムである。反射
は点的には起こらず(乱反射にはならず)、小区画20
a、20bを単位としている。回折格子の分光により虹
状の色変化が生じ、見る角度によりさまざまな色合いと
なる。反射パターン12aの形成には分割領域5の寸法
の金属スタンプを用いるので、型代は高くならない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機に代表
される弾球遊技機の技術分野に属し、詳しくは弾球遊技
機の遊技盤に貼着される化粧材に関する。
【0002】
【従来の技術】パチンコ機に代表される弾球遊技機で
は、入賞装置、障害釘、風車等が遊技盤に設置されてお
り、遊技球がそれら入賞装置等と接触し進路を変更され
て入賞するかしないか、あるいはどの入賞装置に入賞す
るかによりゲームが行われる。
【0003】普通、遊技盤は合板製で、その表面にはさ
まざまな図案等が描かれた化粧材が貼着されていた。化
粧材は、遊技球と接触しても傷がつきにくい、障害釘の
打付けや入賞口に対応させての切抜き等の加工に当たっ
て破損しにくいといった強度面での性質と図案等の印刷
をしやすいという印刷適性とが要求されるため、セルロ
イドシートあるいはメラミン樹脂を紙に含浸させたシー
トが用いられてきた。
【0004】そして、図案等の印刷に当たっては、図案
等と下地とのコントラストを大きくするために(視覚的
に認識されやすくするために)、下地は白あるいは白系
とされていた。しかしながら、白(白系)の下地は、彩
色された部分と比べれば反射率が高いものの、光を全反
射するわけではないので印刷部分の色や形態によっては
コントラストが不十分なこともあった。
【0005】このような不具合の解消を図るための技術
として、特許第2660539号公報に記載されるよう
に、透明材と金属板とを下地を形成することなく積層
し、それらのいずれかに図案等の印刷を施した化粧材が
ある。この特許第2660539号公報に記載の化粧材
によれば、金属板の反射率の高さによってコントラスト
を高めることができ、図案等を鮮明に表示できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特許第26
60539号公報に記載の化粧材にも改良の余地があっ
た。第1には、金属板(金属箔)を透明材と積層する構
造であるため両者の接着作業が必要となり、作業工程が
複雑であった。
【0007】金属箔は引っ張り強度が小さいことから、
接着作業が難しかった。一方、箔よりも厚い金属板を用
いれば引っ張り強度はあるとしても、ロールで用いれば
平板化するのが大変であるし、枚葉とした場合には1枚
ずつを接着するので接着作業の工数を増加させる。
【0008】次に、金属板による反射光の指向性をなく
すために金属板の表面を無光沢にするが、乱反射という
点では従来の白系の下地と同様であり、コントラストを
向上させた以上の装飾的な効果はなかった。本発明は、
遊技盤の化粧材において、印刷部分とその周囲(下地)
との十分なコントラストを確保し、さらに製造工程の単
純化、コストの低減及び装飾性の向上を図ることを目的
としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1記載の遊技盤の化粧材は、弾球遊技機の遊技
盤に貼着される化粧材において、透光性の樹脂フィルム
である表層フィルムと、該表層フィルムの背面側に配さ
れる印刷層と、多数の小区画からなる反射パターン面を
下地として該反射パターン面に金属を蒸着して形成さ
れ、前記各小区画からの反射光の方向が不揃いであっ
て、前記印刷層の背面側に配される反射層と、該反射層
の背面側に配され、その背面は前記遊技盤に貼着される
台紙とを備え、前記反射層は複数の領域に分割されてお
り、該領域を単位とする反射のパターンが前記複数の領
域の一部または全部で共通していることを特徴とする。
【0010】請求項2記載の遊技盤の化粧材は、請求項
1記載の遊技盤の化粧材において、前記反射層は、透光
性の樹脂フィルムの裏面に前記反射パターン面を下地と
して設け、該反射パターン面上に金属を蒸着して形成さ
れており、該反射層が設けられている前記樹脂フィルム
(以下、反射フィルムという。)は、前記表層フィルム
との間に前記印刷層を介在させて前記表層フィルムの裏
面側に積層されていることを特徴とする。
【0011】請求項3記載の遊技盤の化粧材は、請求項
1記載の遊技盤の化粧材において、前記反射層は、紙の
表面に形成された樹脂層に前記反射パターン面を設け、
その反射パターン面に金属を蒸着して形成されており、
該反射層が設けられている前記紙(反射紙)は、該反射
層を前記表層フィルム側にして前記表層フィルムとの間
に前記印刷層を介在させて前記表層フィルムの裏面側に
積層されていることを特徴とする。
【0012】請求項4記載の遊技盤の化粧材は、請求項
1ないし3のいずれか記載の遊技盤の化粧材において、
前記各小区画には回折格子を設け、その格子線の方向が
不揃いとなるように前記小区画を配したことにより前記
反射光の方向を不揃いとしたことを特徴とする。
【0013】請求項5記載の遊技盤の化粧材は、請求項
1ないし3のいずれか記載の遊技盤の化粧材において、
前記各小区画を小平面とし、各小平面の傾斜角度を不揃
いとしたことにより前記反射光の方向を不揃いとしたこ
とを特徴とする。請求項6記載の遊技盤の化粧材は、請
求項2記載の遊技盤の化粧材において、前記反射フィル
ム及び前記表層フィルムを共に共重合ポリエステル樹脂
フィルムとし、これら反射フィルムと表層フィルムとを
アクリル系エマルジョン接着剤にて接着し、前記反射フ
ィルムと前記台紙とを変成ポリエステル系接着剤にて接
着したことを特徴とする。
【0014】請求項7記載の遊技盤の化粧材は、請求項
1ないし6のいずれか記載の遊技盤の化粧材において、
前記印刷層は、紫外線硬化性インクを塗着しこれに紫外
線を照射して固化させる紫外線印刷にて設けられている
ことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1〜7記載の化粧材は、透
光性の樹脂フィルムである表層フィルム、表層フィルム
の背面側に配される印刷層、印刷層の背面側に配される
反射層及び反射層の背面側に配されて遊技盤に貼着され
る台紙を備えている。
【0016】表層フィルムと反射層との間に設けられる
印刷層は、これら表層フィルムまたは反射層を保持する
フィルムもしくは紙の一方に印刷される。その印刷方法
には限定はなく、シルク印刷、オフセット印刷等、公知
の印刷方法を採用できる。ただ、インクの固化(いわゆ
る乾き)に時間がかかると、印刷工程の時間効率がよく
ない。
【0017】そこで、請求項7記載の遊技盤の化粧材で
は、インクとして紫外線硬化性インク(UVインク)を
使用している。UVインクなら、塗着後、ごく短時間
(例えば数秒間)紫外線を照射するだけで固化するか
ら、乾き待ちの時間はほとんどないといえる。これによ
り印刷工程の時間効率の悪化を防止できる。
【0018】反射層は、多数の小区画からなる反射パタ
ーン面を下地として、この反射パターン面に金属を蒸着
して形成される。本願の各請求項の発明に特徴的なこと
は、各小区画からの反射光の方向が不揃いである点であ
る。また、反射層は複数の領域に分割されており、領域
を単位とする反射のパターンが複数の領域の一部または
全部で共通している点も本願の各請求項の発明に特徴的
である。
【0019】まず小区画について説明する。小区画と
は、その面積が大きくない区画という意味であり、例え
ば0.5mm 2 〜10mm2 程度の寸法が例示される
が、これよりも少々小さくても良いし少し大きくても良
い。なお、好ましいのは、約0.8mm2 (直径1mm
の円形に相当)〜6mm2 程度である。各小区画の形状
は円形、矩形、不定形等さまざまであってよく、特に限
定はない。
【0020】多数の小区画によって構成される反射パタ
ーン面上に蒸着した金属が反射層として機能するが、各
小区画からの反射光の方向が不揃いである。反射光の方
向が不揃いとは、平行光を照射したときに、各小区画か
らの反射光の方向が揃わないということであり、総ての
小区画からの反射光の角度が同じになったり、ある区域
内の小区画の反射光の角度が同じになったり、ある直線
に沿った一連の小区画の反射光の角度が同じになたりす
ることがないことをいう。例えば隣接する小区画の反射
光の角度が互いに異なる状態であり、ある2つの小区画
が離れた場所にあるなら、それらの反射光の角度が同じ
になってもよい。要するに、反射光の方向が全体として
ランダムということである。
【0021】弾球遊技機が設置される遊技店内には多数
の照明が配置されているし弾球遊技機自体も電飾を備え
ているから、化粧材にはランダムな方向からの入射光が
ある。そして、多数の小区画による反射光の方向が全体
としてランダムとなるので、見る方向に応じて明るく反
射している小区画と暗い小区画とができる。このような
小区画による反射は、金属表面を無光沢にした場合(乱
反射)とは異なり、たとえるなら魚の鱗による反射や波
のある水面にて太陽光が反射されるときのように、きら
きら光る反射となり、見る方向に応じて反射のパターン
が変化する。
【0022】各小区画からの反射光の方向を不揃いにす
る手法に制限はないが、請求項4記載のように、各小区
画に回折格子を設け、その格子線の方向を不揃いとする
手法がある。なお、格子線の方向を不揃いにするのは、
小区画同士で不揃いということであり、一つの小区画内
で不揃いにすることではない。
【0023】回折格子(正確には反射型の回折格子)に
よる入射光の角度(i)と反射光(正確には回折光)の
角度(θ、入射光と反射光とが回折面の法線を挟んで反
対側になるときに正)との関係は、
【0024】
【数1】d(sini−sinθ)=nλ d:格子線の間隔、n:整数、λ:入射光(単色光)の
波長 で規定される。
【0025】上記式のnは回折の次数であり、次数が高
くなるに従ってエネルギが低下する(暗くなる)。ま
た、多くの次数のスペクトルに分かれると、それぞれの
エネルギが小さくなるので暗くなるが、溝の形により1
次または2次のスペクトルに集中させることができる
(ブレーズ格子、エシェレット格子)。
【0026】回折格子による分光作用は、格子線に垂直
となる面に沿った方向で顕著となるから、格子線の方向
を小区画同士で不揃いにすると、ある方向からの入射光
に対しては、特定の小区画だけが反射しているように見
える。そして、弾球遊技機が設置される遊技店内には多
数の照明が配置されているし弾球遊技機自体も電飾を備
えているから、化粧材にはランダムな方向からの入射光
があり、遊技客が化粧材を見る方向が変われば、その遊
技客に向かう方向に反射光を出している小区画も変わ
る。したがって、見る方向に応じて明るく反射している
小区画と暗い小区画とができ、上述の魚鱗や波のある水
面での反射のように、きらきら光る反射となり、見る方
向に応じて反射のパターンが変化する。
【0027】各小区画からの反射光の方向を不揃いにす
る手法として、請求項5記載の構成を採用してもよい。
小平面(小区画)の傾斜角度は、小平面と表層フィルム
の表面との角度に相当する。この傾斜角度を揃えずにと
は、総ての小平面の傾斜角度が同じになったり、ある区
域内の小平面の傾斜角度が同じになったり、ある直線に
沿った一連の小平面の傾斜角度が同じになたりすること
はなく、例えば隣接する小平面の傾斜角度が互いにこと
なる状態をいう。したがって、ある2つの小平面が離れ
た場所にあるなら、それらの傾斜角度が同じになっても
よい。要するに、全体としてランダムな傾斜角度という
ことである。
【0028】この請求項5記載の場合も、化粧材の表面
(表層フィルム側)から、反射層に入射した光の反射光
の方向は小平面毎にランダムになる。そして、上述のよ
うに、魚鱗や波のある水面での反射のように、きらきら
光る反射となり、見る方向に応じて反射のパターンが変
化する。
【0029】次に、第2の特徴点、すなわち反射層が複
数の領域に分割されており、その領域を単位とする反射
のパターンが複数の領域の一部(つまり反射層を構成す
る領域のいくつか)または全部の領域で共通している点
を説明する。なお、領域を単位とする反射のパターンと
いうのは、その領域に含まれる多数の小区画によって構
成される反射のパターンである。
【0030】反射層の外形寸法は化粧材のそれとほぼ同
じになるので、その中に含まれる小区画の数はきわめて
多数になる。遊技盤の概略寸法を450mm×450m
m、1個の小区画の寸法を1mm×1mmと仮定する
と、小区画の個数は202500個となる。1つの小区
画の面積をこの2倍にしたとしても約100000個に
なる。
【0031】このような多数の小区画からなる反射パタ
ーン面を一度に形成するには、それだけの微細な構造を
持つ大型のスタンプや金型が必要となる。そのような大
型で精密なスタンプ等の製造は簡単ではなく、いわゆる
型代が高くなり、化粧材の製造コストも高くなってしま
う。
【0032】本願の各請求項の発明は、そのような不具
合を避けるために、領域を単位とする反射のパターンを
複数の領域の一部または全部で共通としたものである。
この構成を採用することにより、反射パターン面を形成
するための型等(例えばスタンプ)を小型化できる。こ
の結果、スタンプ等の単価を低減できる。
【0033】もし、領域を単位とする反射のパターンを
全ての領域で共通とするなら、例えばスタンプは1種類
で済むことになる。よって、いわゆる型代が高くなるこ
とはなく、化粧材の製造コストも高くならない。また、
スタンプを何種類か(例えば2種類ないし10種類程
度)としても、同様にコストを抑制できる。
【0034】例えばスタンプは小型であるほどスタンプ
のコストを安くできるが、それにも限度がある。また、
領域サイズ(スタンプ等のサイズ)を小さくしすぎる
と、反射パターン面を形成するための加工が大変にな
る。したがって、領域のサイズすなわち反射面の分割数
には自ずと限度があり、最低でも10mm×10mm程
度、好ましくは20mm×20mm以上である。
【0035】一方、大きくしすぎた場合には、領域に分
割しない場合と同様に、型代の低減が難しくなる。よっ
て、領域のサイズは20mm×20mm〜60mm×6
0mm程度が好ましい。ただし、この寸法値にこだわる
必要はない。領域を単位とする反射のパターンを一部ま
たは全ての領域で共通とすると、1つまたは複数の領域
を単位とする繰り返しパターンとなるが、各領域に含ま
れている小区画による反射は全体としてランダムになる
から、各小区画からの反射光の方向を不揃いにする効果
は損なわれない。
【0036】反射層の反射パターン面を設けるには、領
域を単位とする反射のパターンに対応する凹凸を設けた
金属スタンプや金属ローラを用いればよい。それら金属
スタンプや金属ローラの小型化により化粧材のコストを
抑制できるのは、上述のとおりである。
【0037】反射パターン面を請求項2記載の反射フィ
ルムに設ける場合には、反射フィルムに直接反射パター
ン面を設けてもよいし、反射フィルムの表面にパターン
形成層を設けて、このパターン形成層に加工を施して反
射パターン面としてもよい。一方、請求項3記載のよう
に反射層を反射紙の表面に形成する場合には、反射紙の
表面に樹脂層(例えばラッカー層)を設けて、この樹脂
層に反射パターン面を設けるとよい。
【0038】反射フィルムまたは反射紙の反射パターン
面上に金属を蒸着するのは、公知の方法によればよい。
蒸着する金属に限定はなく、アルミニウム、銅、銀等を
例示できるが、コストを考慮するとアルミニウムが優れ
ている。反射層と表層フィルムとの間には印刷層が設け
られているので、化粧材の表面から入射した光は、一部
は印刷層によって反射あるいは吸収され残りは小区画に
よって反射される。小区画における反射は、金属の蒸着
層による反射であるから、反射率は十分に高い。そして
上述のように変化に富んだ反射である。
【0039】したがって、印刷層とその下地との十分な
コントラストを確保し、しかも装飾性も向上される。反
射層を分割した領域に相当するサイズの金属スタンプや
金属ローラを使用して反射パターン面を設けることがで
きるので、その形成は簡単である。また、反射層の形成
(金属の蒸着)も簡単である。よって、製造工程の単純
化とコストの低減が可能になる。しかも、反射層となる
金属箔等を接着する必要はないから、金属箔等を接着す
る構成に存する問題点は発生しない。
【0040】請求項6記載のように、表層フィルム及び
反射フィルムを共重合ポリエステル樹脂フィルムとする
場合に、両フィルムの接着にアクリル系エマルジョン接
着剤を用いると、接着剤が全面的に良好に均一分散され
化粧材としての美観を損なうことはなく、また、接着強
度も十分である。
【0041】また、表層フィルムには、釘打ちや穴開け
に対する耐性が要求されるから、共重合ポリエステル樹
脂の無延伸フィルムを使用するとよい。この共重合ポリ
エステル樹脂の無延伸フィルムの代表例としてイースト
マンケミカル社のSpectar(商品名)コポリエス
テルシート14471がある。なお、Spectar
(商品名)コポリエステルシート14471(以下、P
ETGという。)の物性は下記の表1に示すとおりであ
る。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示すところからも明らかなように、
このPETGは機械的強度に優れており、また弾性及び
柔軟性にも優れている。また、無延伸シートであるため
に延伸による配向や応力の残留はなく、入賞装置等の穴
を開けたり障害釘を打ち込んだ際に、それら機械的な傷
口から破断したり、あるいは傷が成長することはない。
しかも、十分に柔軟で、合板製の遊技盤とのなじみも良
好であり、遊技球の跳ね返りが強くなりすぎるおそれも
ない。
【0044】また、このPETGに対しては、例えばオ
フセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、
UV印刷等、公知のさまざまな印刷を行うことができ
る。しかも、アクリルやポリカーボネートに適したイン
クであれば問題なく使用でき、特別なインクを用いる必
要はない。
【0045】反射フィルムとなるポリエステル樹脂フィ
ルムと台紙とを接着するには、請求項6記載のように、
変成ポリエステル系接着剤を用いるとよい。一般に、樹
脂フィルムと紙とを接着する場合には、接着剤の塗布
(分散)が不均一となることがあった。接着剤の塗布
(分散)が不均一となると美観が損なわれるので、遊技
盤の化粧材としては致命的であった。
【0046】また、紙との接着面における接着剤の分散
を均一化しようとして光沢紙のような表面粗さが小さい
紙を使用すると、その紙と遊技盤の合板との接着がうま
くいかないという問題もあった。しかし、反射フィルム
(ポリエステル樹脂フィルム)と台紙とを変成ポリエス
テル系接着剤にて接着すると、各層間の接着剤の分散は
良好に均一となり、接着強度も十分であるから、美観は
損なわれず、実用に耐える十分な接着強度を持つ。そし
て、表面粗さが小さい紙を使用する必要がなく、表面粗
さが大きい台紙を使用できるから、台紙と遊技盤(合
板)との接着がうまくいかないという問題も解消され
る。
【0047】なお、請求項3記載のように反射層を反射
紙の表面に設ける場合、反射紙に台紙を兼ねさせてもよ
いが、反射紙に適した紙質と台紙に適する紙質とは同一
ではないから、反射紙の背面に台紙を接着する構造とす
るのが好ましい。
【0048】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照して説明
することにより、発明の実施の形態をより具体的に説明
する。図1に示すように、この例の化粧材1は、上述の
PETGの表層フィルム10、ポリエステル樹脂フィル
ムの反射フィルム12、反射フィルム12の裏面に設け
られている反射パターン12a、反射パターン12a上
に金属(本例ではアルミニウム)を蒸着した反射層12
b及び台紙14からなり、表層フィルム10の裏面には
印刷層10aが設けられている。そして、台紙14の裏
面側にて合板製の遊技盤16の表面に貼着されている。
【0049】なお、化粧材1は、ロール状の台紙14と
同じくロール状で既に反射層12bが蒸着されている反
射フィルム12とを変成ポリエステル系接着剤で接着し
て積層材となし、その積層材に枚様で既に印刷層10a
が設けられている表層フィルム10をアクリル系エマル
ジョン接着剤で接着して製造されている。
【0050】この例では、変成ポリエステル系接着剤と
して大日本インキ化学株式会社のLX−75A[エラス
トマー(商品名EPS75A)と硬化剤(商品名KW4
0)とをほぼ5:1の割合で混合した2成分系接着剤]
を用いた。アクリル系エマルジョン接着剤は、商品名S
A−T630W(東京インキ株式会社)を用いた。な
お、アクリル系エマルジョン接着剤は、商品名SA−T
610W(東京インキ株式会社)を用いることもでき
る。
【0051】また、印刷層10aは、紫外線硬化性イン
ク(UVインク)をシルクスクリーン印刷にて表層フィ
ルム10の裏面に塗着し、これに紫外線を照射して固化
させて形成してある。本例の化粧材1は図2に示すよう
に碁盤状に分割され、各升目部分がそれぞれ分割領域5
とされている。本例の場合分割領域5は正方形で、その
寸法はほぼ20mm×20mmである。
【0052】本例の反射フィルム12に設けられている
反射パターン12aは、図3に示すように、円形(直径
は約1mm)の小区画20aとランダムな多角形(三角
形〜六角形)の小区画20bとの組み合わせである。こ
うした小区画20a、20bの組合せからなる反射のパ
ターンは分割領域5を単位としており、本例においては
全ての分割領域5について共通である。つまり、分割領
域5を単位とする反射パターン12aの繰り返しによっ
て、化粧材1の全面が構成されている。
【0053】図4に示すように、各小区画20a、20
bには回折格子が設けられており、その回折線21の方
向は不揃いである。このため、遊技者がどの方向から見
るかによって、どの小区画20a、20bが明るく反射
していて、どの小区画20a、20bが暗いかが異な
る。そして、視点が変化すれば小区画20a、20bの
明暗パターンが変化する。しかも、この反射方向の変化
は、点的には起こらず(無光沢面のような乱反射にはな
らず)、小区画20a、20bを単位としている。つま
り、小区画20a、20bによる反射は、魚の鱗やさざ
波のある水面にて太陽光が反射されるときのように、き
らきら光る反射となり、見る方向に応じて反射形態が変
化する。
【0054】さらに、回折格子による反射であるので、
遊技店内の照明などの光(白色光とみなせる)が分光さ
れる(虹状の色変化が生じる。)から、見る角度や位置
によりさまざまな色合いとなり、これによっても装飾効
果を高めることができる。小区画20a、20bで反射
された光の反射率は十分に高いから、印刷層10aとの
十分なコントラストが確保され、しかも装飾性も向上さ
れる。
【0055】本例の場合、反射パターン12aは、分割
領域5に対応するサイズの金属スタンプによって形成さ
れている。1つの金属スタンプによるスタンピングを繰
り返して化粧材1の反射パターン12aを形成できるか
ら、型代は高くならない。勿論、同形の金属スタンプを
複数個同時に用いてスタンピングすることで、製造効率
を向上することも可能である。また、反射層12bを形
成するための金属の蒸着も簡単である。よって、製造工
程の単純化とコストの低減が可能になる。しかも、反射
層となる金属箔等を接着する必要はないから、金属箔等
を接着する構成に存する問題点は発生しない。
【0056】なお、図3は反射パターンを正確に示して
いるわけではなく、説明の便宜上単純化している。ま
た、図4は回折線21の方向のみを示しており、実際の
回折線21の密度は1mm当たり約600〜1200本
とされている。また、反射フィルム12に代えて、図6
に模式的な構造を示す反射紙32を使用してもよい。こ
の反射紙32の表面(表層フィルム10側)には金属ラ
ッカーによる樹脂層32aが形成され、その表面に上述
と同様の反射パターン面(多数の小区画の格子線の方向
を不揃いにした反射パターン)が設けられ、その反射パ
ーターン面上にアルミニウムを蒸着して反射層32bが
形成されている。このように構成しても、実施例と同様
の効果を得ることができる。
【0057】
【変形例】各小区画20a、20bに回折格子を設け
て、格子線の方向を不揃いにする代わりに、各小区画2
0a、20bを小平面として、図5に示すように、各小
区画20a、20bの傾斜角度を不揃いとしてもよい。
なお、図5は小区画20a、20bの寸法等を正確に示
しているわけではなく、説明の便宜上単純化している。
【0058】この図5に示す例では、入射光がどの小区
画20a、20bに反射されるかによって反射方向が異
なる。たとえ平行光線であっても、さまざまな方向に反
射される。そして、この反射方向の変化は、点的には起
こらず(無光沢面のような乱反射にはならず)、小区画
20a、20bを単位としている。
【0059】つまり、小区画20a、20bによる反射
は、魚鱗やさざ波のある水面にて太陽光が反射されると
きのように、きらきら光る反射となり、見る方向に応じ
て反射のパターンが変化する。小区画20a、20bで
反射された光の反射率は十分に高いから、印刷層10a
との十分なコントラストが確保され、しかも装飾性も向
上される。
【0060】反射パターン12aは、例えばスタンプに
よって簡単に形成できるし、反射層12bを形成するた
めの金属の蒸着も簡単である。よって、製造工程の単純
化とコストの低減が可能になる。しかも、反射層となる
金属箔等を接着する必要はないから、金属箔等を接着す
る構成に存する問題点は発生しない。
【0061】以上、実施例に従って、本発明の実施の形
態について説明したが、本発明はこのような実施例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
でさまざまに実施できることは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】以上のとおり、請求項1記載の遊技盤の
化粧材は、多数の小区画によって構成される反射パター
ン面上に金属を蒸着した反射層を印刷層の下地としてい
るので、印刷層とその下地との十分なコントラストを確
保でき、反射パターン面による反射は変化に富んでいる
から装飾性も向上される。
【0063】また、反射層を複数の領域に分割し、その
領域を単位とする反射のパターンを複数の領域の一部ま
たは全部の領域で共通にしているので、反射パターン面
を形成するための型等(例えばスタンプ)を小型化でき
る。この結果、スタンプ等の単価を低減できる。
【0064】反射パターン面は例えば金属スタンプによ
って簡単に形成できるし、金属の蒸着も簡単であるか
ら、製造工程の単純化とコストの低減が可能になる。し
かも、反射層としての金属箔等を接着する必要はないか
ら、金属箔等を接着する構成に存する問題点は発生しな
い。
【0065】請求項2記載の遊技盤の化粧材は、反射層
を透光性の樹脂フィルムに設けているので、表層フィル
ムと同種類または同系統の樹脂フィルムを反射フィルム
として使用でき、例えば温度や湿度の変化による表層フ
ィルムと反射フィルムとの伸縮の度合いに差がある場合
の不具合(しわなど)を回避できる。
【0066】請求項3記載の遊技盤の化粧材は、反射層
を反射紙に設けているので、これを台紙に兼用できる。
また、台紙と反射紙を別々にすれば、それぞれに適した
紙質の紙を使用できる。請求項4記載の遊技盤の化粧材
は、各小区画に回折格子を設け、その格子線の方向を不
揃いにしているので、請求項1による効果を発揮でき、
また分光作用による色の変化も楽しめる。
【0067】請求項5記載の遊技盤の化粧材は、各小区
画の傾斜角度を不揃いにしているので、請求項1による
効果を発揮でき、反射パターンのミクロ的な構造を単純
にできる。請求項6記載の遊技盤の化粧材は、反射フィ
ルム及び表層フィルムを、ともに共重合ポリエステル樹
脂フィルムとし、反射フィルムと表層フィルムとの接着
にアクリル系エマルジョン接着剤を使用しているので、
接着剤が全面的に良好に均一分散され化粧材としての美
観を損なうことはなく、また、両フィルムの接着強度も
十分である。
【0068】また、反射フィルムと台紙とを変成ポリエ
ステル系接着剤にて接着したので、反射フィルムと台紙
との間の接着剤の分散は良好に均一となり、接着強度も
十分であるから、美観は損なわれず、実用に耐える十分
な接着強度を持つ。そして、表面粗さが小さい台紙を使
用する必要がなく、表面粗さが大きい台紙を使用できる
から、台紙と遊技盤(合板)との接着がうまくいかない
という問題も解消される。
【0069】特に、共重合ポリエステル樹脂の無延伸フ
ィルムを使用すれば、障害釘の打ち込みや入賞装置等を
取付けるための切り抜きを行っても裂け目等が生じるこ
とはない。したがって、化粧材を遊技盤に貼着してから
釘打ちや穴開けを行うことができる。
【0070】請求項7記載の遊技盤の化粧材は、インク
として紫外線硬化性インクを使用しているので、ごく短
時間(例えば数秒間)紫外線を照射するだけでインクが
固化するから、乾き待ちの時間はほとんどなく、印刷工
程の時間効率の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の遊技盤の化粧材の層構造の説明図で
ある。
【図2】 実施例の遊技盤の化粧材における分割領域の
説明図である。
【図3】 実施例の遊技盤の化粧材の反射フィルムの反
射パターンの説明図である。
【図4】 実施例の遊技盤の化粧材の反射フィルムの小
区画に設けられている回折格子の格子線の方向の説明図
である。
【図5】 変型例の遊技盤の化粧材の反射フィルムの小
区画による反射の説明図である。
【図6】 反射フィルムに代わる反射紙の構造の説明図
である。
【符号の説明】
1…化粧材 10…表層フィルム 10a…印刷層 12…反射フィルム 12a…反射パターン 12b…反射層(金属の蒸着層) 14…台紙 16…遊技盤 20a、20b…小区画 21…格子線 32…反射紙 32a…反射パターン 32b…反射層(金属の蒸着層)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾球遊技機の遊技盤に貼着される化粧材
    において、 透光性の樹脂フィルムである表層フィルムと、 該表層フィルムの背面側に配される印刷層と、 多数の小区画からなる反射パターン面を下地として該反
    射パターン面に金属を蒸着して形成され、前記各小区画
    からの反射光の方向が不揃いであって、前記印刷層の背
    面側に配される反射層と、 該反射層の背面側に配され、その背面は前記遊技盤に貼
    着される台紙とを備え、 前記反射層は複数の領域に分割されており、 該領域を単位とする反射のパターンが前記複数の領域の
    一部または全部で共通していることを特徴とする遊技盤
    の化粧材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遊技盤の化粧材におい
    て、 前記反射層は、透光性の樹脂フィルムの裏面に前記反射
    パターン面を下地として設け、該反射パターン面上に金
    属を蒸着して形成されており、 該反射層が設けられている前記樹脂フィルム(以下、
    「反射フィルム」という。)は、前記表層フィルムとの
    間に前記印刷層を介在させて前記表層フィルムの裏面側
    に積層されていることを特徴とする遊技盤の化粧材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の遊技盤の化粧材におい
    て、 前記反射層は、紙の表面に形成された樹脂層に前記反射
    パターン面を設け、その反射パターン面に金属を蒸着し
    て形成されており、 該反射層が設けられている前記紙(以下、「反射紙」と
    いう。)は、該反射層を前記表層フィルム側にして前記
    表層フィルムとの間に前記印刷層を介在させて前記表層
    フィルムの裏面側に積層されていることを特徴とする遊
    技盤の化粧材。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか記載の遊技
    盤の化粧材において、 前記各小区画には回折格子を設け、その格子線の方向が
    不揃いとなるように前記小区画を配したことにより前記
    反射光の方向を不揃いとしたことを特徴とする遊技盤の
    化粧材。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれか記載の遊技
    盤の化粧材において、 前記各小区画を小平面とし、各小平面の傾斜角度を不揃
    いとしたことにより前記反射光の方向を不揃いとしたこ
    とを特徴とする遊技盤の化粧材。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の遊技盤の化粧材におい
    て、 前記反射フィルム及び前記表層フィルムを共に共重合ポ
    リエステル樹脂フィルムとし、これら反射フィルムと表
    層フィルムとをアクリル系エマルジョン接着剤にて接着
    し、 前記反射フィルムと前記台紙とを変成ポリエステル系接
    着剤にて接着したことを特徴とする遊技盤の化粧材。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか記載の遊技
    盤の化粧材において、 前記印刷層は、紫外線硬化性インクを塗着しこれに紫外
    線を照射して固化させる紫外線印刷にて設けられている
    ことを特徴とする遊技盤の化粧材。
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