JP2002095493A - 酢酸菌の菌膜を形成する多糖及びその精製方法 - Google Patents

酢酸菌の菌膜を形成する多糖及びその精製方法

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JP2002095493A JP2000286411A JP2000286411A JP2002095493A JP 2002095493 A JP2002095493 A JP 2002095493A JP 2000286411 A JP2000286411 A JP 2000286411A JP 2000286411 A JP2000286411 A JP 2000286411A JP 2002095493 A JP2002095493 A JP 2002095493A
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pellicle
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Kazunobu Matsushita
一信 松下
Kazuo Adachi
収生 足立
Hirohide Toyama
博英 外山
Roton Napa
ロトン ナパ
Teeraguuru Ganjana
テーラグール ガンジャナ
Muumanmii Sompom
ムーマンミー ソンポーン
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Kasetsart University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物が生成する多糖類は、免疫賦活化能
を有することが期待され、医薬もしくは食品添加物とし
ての可能性が期待されている。本発明は、医薬もしくは
食品添加物として工業的に利用される可能性が高い、ア
セトバクター属酢酸菌の菌膜を形成する新規な多糖及び
その精製方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の酢酸菌の菌膜を形成する新規な
多糖は、酢酸菌アセトバクター・アセチR株の菌膜を形
成するグルコースとラムノースからなる新規な多糖であ
り、また、酢酸菌アセトバクター・sp.SKU100の菌膜
を形成するグルコース、ラムノース及びガラクトースか
らなる新規な多糖である。本発明の精製方法は、細胞膜
をリゾチーム処理で調整する工程、多糖を界面活性剤で
細胞膜から外す工程などを含む新規な多糖の精製方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酢酸菌が生成する
菌体外多糖に係わり、特に、アセトバクター(Acetobac
ter)属酢酸菌の菌膜を形成する多糖及びその精製方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微生物が生成する多糖類は、免疫賦活化
能を有することが期待され、様々な微生物から分離され
医薬もしくは食品添加物としての可能性が検討されてい
る。特に、酢酸菌は食酢の生産に用いられ利用されてき
た細菌であり、その食品としての安全性は数千年の経験
的保証がなされている。
【0003】これまで、種々の酢酸菌から、様々な種類
の菌体外多糖の生産が報告されているが、酢酸菌の培地
表面への浮遊に関与する多糖に関しては、アセトバクタ
ー属酢酸菌の一種であるアセトバクター・キシリヌム
(Acetobacter xylinum)で報告されているだけであ
る。このアセトバクター・キシリヌムは、菌体表面に付
着した多糖としてセルロース(Cellulose)を生成する
ことが知られおり、特開2000―004895号(バクテリアセ
ルロースの製造方法)、特開平10―276736号(酢酸菌セ
ルロースを含む発酵飲料の製造方法)、特開平09―1079
39号(冷凍食品の製造方法)などに示されているように
広く工業的に利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、アセトバクター属酢酸菌の菌膜を形成する新規な多
糖及びその精製方法を提供することにある。この新規な
多糖は、免疫賦活化能を有することが期待され、医薬も
しくは食品添加物として工業的に利用される可能性が高
いものと期待される。
【0005】酢酸菌、特にアセトバクター属酢酸菌は、
絶対好気性細菌でありながら、静地培養で生育できる。
絶対好気性細菌である酢酸菌が静地培養で生育できるの
は、菌体表面にある種の多糖を生成することで、培地表
面に浮遊する能力をもつためであり、アセトバクター・
キシリヌムは、セルロースから成る菌膜を形成し、培地
表面に浮遊して生育することが知られている。
【0006】発明者らは、酢酸菌アセトバクター・アセ
チ(Acetobacter aceti)から、光沢があり滑らかなコ
ロニー表面をもつ菌種(S株)と、光沢がなく粗面のコロ
ニー表面をもつ菌種(R株)の2つのコロニー形態の異な
る菌株を分離した。S株は、振盪培養下でよく生育する
が、培地表面に浮遊する能力を欠いているため、静地培
養を行っても液面に菌膜を形成することはない。一方、
R株は、振盪・静地培養どちらでも生育でき、静地培養
下では、培地表面に浮遊し菌膜を形成して生育すること
ができる。
【0007】本発明者らは、アセトバクター・アセチR
株とS株との相違をセルロース生成能の有無によるもの
と想定し、セルロース生成能の有無の原因を分子レベル
で調べる研究を開始したが、アセトバクター・アセチR
株の菌膜を形成する多糖が、セルロースとは異なる多糖
であることを見出した。本発明者らは、更に鋭意研究を
重ね、アセトバクター・アセチR株の菌膜を形成する新
規な多糖を特定し、その多糖の分離精製方法を確立し
た。合わせて、タイで分離された耐熱性酢酸菌アセトバ
クター・sp.SKU100(Acetobacter sp.SKU100)の菌膜を
形成する新規な多糖を特定し、その多糖の分離精製方法
を確立して本発明を完成させた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のアセトバクター
属酢酸菌の菌膜を形成する多糖は、酢酸菌アセトバクタ
ー・アセチR株の菌膜を形成するグルコースとラムノー
スからなる新規な多糖であり、また、酢酸菌アセトバク
ター・sp.SKU100の菌膜を形成するグルコース、ラムノ
ース、及びガラクトースからなる新規な多糖である。
【0009】本発明のアセトバクター属酢酸菌の菌膜を
形成する多糖の精製方法は、細胞膜をリゾチーム処理で
調整する工程と、菌膜を形成する多糖を界面活性剤で細
胞膜から外す工程とを含むアセトバクター・アセチR株
の菌膜を形成する新規な多糖、または、アセトバクター
・sp.SKU100の菌膜を形成する新規な多糖を精製する方
法である。また、細胞膜から外した多糖をプロテアーゼ
処理しタンパク質を分解除去する工程と、ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)で透析して脂質を除く工程とを含む
上記の菌膜を形成する新規な多糖を精製する方法であ
る。さらにまた、イオン交換クロマトグラフにより混入
したタンパク質を除去する工程と、SDS 存在下でゲル濾
過を行い混入した脂質を除去する工程とを含む上記の菌
膜を形成する新規な多糖を精製する方法である。
【0010】上記の精製方法は、菌膜を形成する多糖を
穏やかに分離し、高純度に精製するに好適な精製方法で
ある。なお、各工程は、目的とする製品により、適宜、
組み合わせたり省略することができる。
【0011】本発明のアセトバクター属酢酸菌の菌膜を
形成する多糖の精製方法は、簡便な精製方法として、超
音波処理により菌膜を形成する多糖を細胞膜から外す工
程と、DNase・RNase処理によりDNA、RNAを分解除去する
工程と、プロテアーゼ処理によりタンパク質を分解除去
する工程と、水で透析する工程と、アルコール沈殿によ
り多糖を回収する工程とを含むアセトバクター・アセチ
R株の菌膜を形成する新規な多糖、または、アセトバク
ター・sp.SKU100の菌膜を形成する新規な多糖を精製す
る方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアセトバクター・
アセチR株の菌膜を形成する新規な多糖と、アセトバク
ター・sp.SKU100の菌膜を形成する新規な多糖を特定
し、その多糖の精製方法を確立した形態を、順次、図に
よって詳細に説明する。
【0013】図1は、アセトバクター・アセチの多糖の
特性を分析した結果を示した図である。菌膜形成能のあ
るアセトバクター・アセチR株と菌膜形成能のないS株
との菌体糖含量を比較(図1、糖含量)すると、R株
は、S株の4〜5倍の糖含量値を示し、菌膜成分が多糖
であることを示唆している。また、R株の菌膜多糖は、
アルカリ感受性(図1、アルカリ処理)、セルラーゼ耐
性(図1、セルラーゼ処理)を示す。
【0014】さらに、詳細なデータは省略するが、β−
1,3,β−1,6、もしくはα−1,4グリコシダーゼによっ
て分解されず、また、PCR法により関連遺伝子の検索を
行ったが、セルロース合成酵素やその類似遺伝子も存在
しない。
【0015】以上のような多糖の特性分析により、アセ
トバクター・アセチR株の菌膜はセルロース以外の何ら
かの多糖で形成されていることを解明した。
【0016】図2は、アセトバクター・アセチの走査電
子顕微鏡像を示した写真である。図2によれば、R株
は、S株と異なり、菌体表面が粘液質の物質(菌膜)で
覆われており、これが多糖成分によるものと考えられ
る。
【0017】図3は、アセトバクター・アセチR株とア
セトバクター・キシリヌムとの細胞表層における多糖の
形態を走査電子顕微鏡像で示した写真であり、アセトバ
クター・アセチR株の菌膜が、アセトバクター・キシリ
ヌムが付着しているセルロースとは、その形態が著しく
異なることを示している。即ち、アセトバクター・アセ
チR株の菌膜はセルロース以外の多糖で形成されている
ことを示している。
【0018】図4は、分離精製法の検討にも係わり、ア
セトバクター・アセチR株の菌膜を形成する多糖の局在
部位を検討した結果を示す図である。イソプロパノール
で沈降する多糖成分は、その殆どが細胞菌体に回収さ
れ、培地中には殆ど排出されない(図4、A)。また、
1.5分までの短い超音波処理では殆ど菌体から分離せ
ず、長い処理時間(10分)で初めて分離する(図4、
B)。これらは、菌膜がかなり強く菌体に結合している
ことを示している。さらにまた、多糖は超音波処理では
かなり断片化するため、細胞をリゾチームで穏やかに壊
して細胞膜を調整すると、殆どの糖は細胞膜画分に回収
される(図4、C)。
【0019】図5は、TLCにより、アセトバクター・ア
セチR株の菌膜を形成する多糖と、アセトバクター・s
p.SKU100の菌膜を形成する多糖の構成成分を分析した結
果を示す図であり、精製した多糖をトリフルオロ酢酸で
酸加水分解し、多糖の構成成分をTLCによって分析した
ものである。アセトバクター・アセチR株の多糖(図5
の左)ではグルコース(Glucose)、ラムノース(Rhamn
ose)の2種が検出され、アセトバクター・sp.SKU100の
多糖からはグルコース、ラムノース、及びガラクトース
(Galactose)が検出された。
【0020】図6は、ガスクロマトグラフィーによりア
セトバクター・アセチR株の菌膜を形成する多糖を分析
した結果を示す図である。精製しトリフルオロ酢酸で酸
加水分解した多糖を、アセチル化し、得られたアルジト
ール誘導体をガスクロマトグラフィーにより分析し、構
成糖の種類と共に、そのモル比の解析を行ったものであ
る。その結果、グルコースとラムノースに対応するピー
クが得られ、その構成は、グルコース:ラムノース=
1:1であることを特定した。
【0021】図7は、同様にして、ガスクロマトグラフ
ィーによりアセトバクター・sp.SKU100の菌膜を形成す
る多糖を分析した結果を示す図である。その結果、グル
コース、ラムノース、ガラクトースに対応するピークが
得られ、その構成は、グルコース:ラムノース:ガラク
トース=1:1:1であることを特定した。
【0022】以上のような実施の形態により、酢酸菌ア
セトバクター・アセチR株の菌膜を形成する多糖がグル
コースとラムノースからなる新規な多糖であり、また、
酢酸菌アセトバクター・sp.SKU100の菌膜を形成する多
糖がグルコース、ラムノース、及びガラクトースからな
る新規な多糖であることを特定した。
【0023】次に、本発明の酢酸菌の菌膜を形成する多
糖の精製方法について説明する。
【0024】なお、詳細な精製方法は、後述の、実施例
で説明する。
【0025】本発明の精製方法は、本発明の菌膜多糖成
分が有する特性である、細胞膜からの界面活性剤による
可溶性、プロテアーゼ耐性、DNase・RNase耐性、透析不
能性、アルコール沈降性、高分子化合物、などを利用し
て確立したものである。
【0026】最初に、均一な分子量の多糖が得られ、高
純度に精製するに好ましい精製方法を、第一の好ましい
実施の態様として説明する。
【0027】第一の好ましい精製方法の実施の態様は、
先ず、細胞をリゾチームで穏やかに壊して細胞膜を調整
し、殆どの多糖が回収される細胞膜画分より、多糖を界
面活性剤で可溶化し細胞膜から穏やかに外すことによ
り、均一な分子量の多糖を分離する。さらに、細胞膜か
ら外した多糖を、プロテアーゼ処理によるタンパク質の
分解除去、SDS透析による脂質の溶解除去、さらにま
た、イオン交換クロマトグラフによる混入タンパク質の
除去、SDS 存在下でのゲル濾過による混入脂質の除去を
含む精製方法であり、これにより、高純度に精製した多
糖が得られる。
【0028】なお、上記、第一の好ましい精製方法の実
施の態様は、目的とする製品により適宜、工程の組み合
わせや省略などができる。例えば、高純度のものが必要
ない場合、SDS 存在下でのゲル濾過により混入脂質を除
去する工程を省略できる。
【0029】次に、均一な分子量が必要なく、高純度に
精製する必要がない製品に好ましい簡便な精製方法を、
第二の好ましい実施の態様として説明する。
【0030】第二の好ましい精製方法の実施の態様は、
超音波処理により目的の多糖を細胞膜から外し、引続
き、プロテアーゼ処理によるタンパク質の分解除去、DN
ase・RNase処理によるDNA、RNAの分解除去、さらにま
た、水での透析、アルコール沈殿による多糖回収を含む
精製方法である。本精製方法では、超音波処理により多
糖を細胞膜から分離する方法が、第一の実施の態様と比
較し多糖に作用する力が大きいため、多糖が破壊され易
く均一な分子量を得るのが難しい。また、多少の脂質と
かタンパク質が含まれるのが避け難いが、工程が少なく
簡便な方法であり、これらが許容される製品に対しては
好適な精製方法である。
【0031】本発明の酢酸菌の菌膜を形成する多糖及び
その精製方法は、免疫賦活化能を有することが期待さ
れ、医薬もしくは食品添加物として工業的に利用される
可能性が高い新規な多糖を提供する。具体的には、本発
明が提供する新規な多糖は、消化されない特性を活かし
た、ダイエット用食品添加物もしくは増量剤としての利
用、微生物分解され難い特性を活かした、柔らかな保護
用バイオフィルムとしての利用などが考えられる。
【0032】
【実施例】本発明の、酢酸菌の菌膜を形成する多糖の精
製方法の実施例を、以下、詳細に説明する。
【0033】第一の実施例として、図8により、上記、
第一の好ましい精製方法の実施の態様を、本発明のアセ
トバクター・アセチR株の菌膜を形成する新規な多糖の
精製に適用した例で説明する。
【0034】培養後に菌体を集菌し、20%ショ糖を含む
トリス緩衝液に懸濁の後、リゾチームとEDTA をそれぞ
れ最終濃度が 0.25 mg/ml と 1 mM になるように添加す
る。この懸濁液を30℃で一時間穏やかに振盪し、その後
遠心分離によって沈殿(Ppt:Precipitate)を集める。
このようにして得られるスフェロプラストを、 Mgと DN
ase を含む少量のリン酸緩衝液に懸濁し、その懸濁液を
100倍量のリン酸緩衝液に希釈する。この希釈液を30℃
で30分間穏やかに振盪した後、遠心分離により沈殿を除
いて、その上澄み(Sup:Supernatant)を集める。得ら
れたこの上澄みをさらに超遠心分離して、沈殿を集め
る。
【0035】このようにして得られた細胞膜を次にリン
酸緩衝液に懸濁し、1%になるように界面活性剤である b
-オクチルグルコシドを添加する。25℃で一時間撹拌し
た後、超遠心分離によって、上澄みを集める。この上澄
みに、プロテアーゼ(Proteinase K)を最終濃度が 0.2
mg/ml になるように添加し、24時間37℃ にて放置す
る。その後、この溶液を 0.1%SDS を含む NaCl 溶液に
対して24時間透析する。その後、この透析液を遠心分離
で沈殿を除き、上澄みに2倍量のイソプロピルアルコー
ルを添加して、4℃で一晩放置した後、遠心分離で沈殿
を回収する。
【0036】この沈殿(粗多糖画分 I)を少量のトリス
緩衝液に懸濁し、超遠心分離で沈殿を除いた後、DEAE-
セルロースカラムにチャージし、同じ緩衝液で溶出し、
非吸着画分を回収する。この画分を、上述のように、イ
ソプロピルアルコールで沈殿させ、得られた沈殿(粗多
糖画分 II)を少量の0.1%SDS を含む NaCl 溶液に懸濁
した後、ゲル濾過(Sephacryl S-500)カラムにチャー
ジする。カラムは同じ溶液で溶出し、目的の多糖を含む
ピーク画分を再びイソプロピルアルコールで沈殿させ
る。この沈殿を再び少量の SDS/NaCl 溶液に溶かして、
2回目のゲル濾過を行う。このゲル濾過のピーク画分を
合わせて、イソプロピルアルコールで沈殿として、最終
精製多糖とする。
【0037】以上、詳細に説明した第一の好ましい精製
方法の実施例によれば、均一な分子量を有し、高純度に
精製された、アセトバクター・アセチR株の菌膜を形成
するグルコースとラムノースからなる新規な多糖を得る
ことができる。
【0038】次に、第二の実施例として、図9により、
第二の好ましい精製方法の実施の態様を、本発明のアセ
トバクター・sp.SKU100の菌膜を形成する新規な多糖の
精製に適用した例で説明する。
【0039】培養後に菌体を集菌し、リン酸緩衝液で洗
浄の後、同じ緩衝液に懸濁する。得られた菌体懸濁液を
最大出力で超音波処理を10分間ほど施す。その後、遠心
分離により、上澄みを回収し、さらに超遠心分離にかけ
る。この超遠心分離の上澄みに、DNase と RNase をそ
れぞれ 50mg/ml になるように加えて、37℃で24時間処
理をする。引続き、プロテアーゼ(Proteinase K)を最
終濃度が 0.2 mg/ml になるように添加し、24時間37℃
にて放置する。その後、この溶液を蒸留水に対して24時
間透析する。その後、この透析液を遠心分離で沈殿を除
き、上澄みに2倍量のイソプロピルアルコールを添加し
て、-20℃で24 時間放置した後(4℃で一晩放置でもよ
い)、遠心分離で沈殿を回収する。この沈殿(粗多糖画
分)を少量の蒸留水に懸濁し、超遠心分離で沈殿を除い
た後、ゲル濾過(Superdex S-200)カラムにチャージす
る。カラムはNaCl 溶液で溶出し、目的の多糖を含むピ
ーク画分を合わせて、凍結乾燥して最終精製多糖とす
る。
【0040】以上、詳細に説明した第二の好ましい精製
方法の実施例によれば、アセトバクター・sp.SKU100の
菌膜を形成するグルコース、ラムノース、及びガラクト
ースからなる新規な多糖を簡便に得ることができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の酢酸菌の菌膜を形成する多糖及
びその精製方法は、免疫賦活化能を有することが期待さ
れ、医薬もしくは食品添加物として工業的に利用される
可能性が高い新規な多糖を提供する。本発明が提供する
新規な多糖は、具体的には、消化されない特性を活かし
た、ダイエット用食品添加物もしくは増量剤、微生物分
解され難い特性を活かした、柔らかな保護用バイオフィ
ルム、などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アセトバクター・アセチの多糖の特性を分析し
た結果を示した図である。
【図2】アセトバクター・アセチの走査電子顕微鏡像を
示した写真である。
【図3】アセトバクター・アセチR株とアセトバクター
・キシリヌムとの細胞表層における多糖の形態を走査電
子顕微鏡像で示した写真である。
【図4】アセトバクター・アセチR株の菌膜を形成する
多糖の局在部位を検討した結果を示す図である。
【図5】TLCにより、アセトバクター・アセチR株の菌
膜を形成する多糖と、アセトバクター・sp.SKU100の菌
膜を形成する多糖の構成成分を分析した結果を示す図で
ある。
【図6】ガスクロマトグラフィーによりアセトバクター
・アセチR株の菌膜を形成する多糖を分析した結果を示
す図である。
【図7】ガスクロマトグラフィーによりアセトバクター
・sp.SKU100の菌膜を形成する多糖を分析した結果を示
す図である。
【図8】第一の好ましい精製方法の実施の態様を、本発
明のアセトバクター・アセチR株の菌膜を形成する新規
な多糖の精製に適用した実施例を示す図である。
【図9】第二の好ましい精製方法の実施の態様を、本発
明のアセトバクター・sp.SKU100の菌膜を形成する新規
な多糖の精製に適用した実施例を示す図である。
【符号の説明】
Sup:上澄み(Supernatant) Ppt:沈殿(Precipitate)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 1/20 (C12N 1/20 C C12R 1:02) C12R 1:02) (72)発明者 足立 収生 山口県山口市大字吉田1677番1号 山口大 学農学部 (72)発明者 外山 博英 山口県山口市大字吉田1677番1号 山口大 学農学部 (72)発明者 ナパ ロトン タイ王国バンコック10900 カセサート大 学理学部 (72)発明者 ガンジャナ テーラグール タイ王国バンコック10900 カセサート大 学理学部 (72)発明者 ソンポーン ムーマンミー 山口県山口市大字吉田1677番1号 山口大 学農学部 Fターム(参考) 4B018 MD34 MD85 ME07 MF01 MF12 4B064 AF12 CA02 CA21 CB03 CB06 CE02 CE06 CE07 CE11 DA10 4B065 AA02X BD14 BD15 BD17 BD18 BD25 BD44 BD45 BD46 CA22 CA41 CA44

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸菌アセトバクター・アセチR株の菌
    膜を形成するグルコースとラムノースからなる多糖。
  2. 【請求項2】 酢酸菌アセトバクター・sp.SKU100の菌
    膜を形成するグルコース、ラムノース、及びガラクトー
    スからなる多糖。
  3. 【請求項3】 細胞をリゾチーム処理で調整する工程
    と、菌膜を形成する多糖を界面活性剤で細胞膜から外す
    工程とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の菌膜を形成する多糖を精製する方法。
  4. 【請求項4】 細胞膜から外した多糖をプロテアーゼ処
    理しタンパク質を分解除去する工程と、ドデシル硫酸ナ
    トリウム(SDS)で透析して脂質を除く工程とを含むこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載の菌膜を形
    成する多糖を精製する方法。
  5. 【請求項5】 イオン交換クロマトグラフにより混入し
    たタンパク質を除去する工程と、SDS 存在下でゲル濾過
    を行い混入した脂質を除去する工程とを含むことを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の菌膜を形成する多
    糖を精製する方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の工程、請求項4記載の工
    程、及び請求項5記載の工程とを含むことを特徴とする
    請求項1または請求項2記載の菌膜を形成する多糖を精
    製する方法。
  7. 【請求項7】 超音波処理により菌膜を形成する多糖を
    細胞膜から外す工程と、DNase・RNase処理によりDNA、R
    NAを分解除去する工程と、プロテアーゼ処理によりタン
    パク質を分解除去する工程と、水で透析する工程と、ア
    ルコール沈殿により多糖を回収する工程とを含むことを
    特徴とする請求項1または請求項2記載の菌膜を形成す
    る多糖を精製する方法。
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