JP2002095442A - 栄養強化食品 - Google Patents

栄養強化食品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多価不飽和脂肪酸のミネラルによる酸化を抑
制した栄養強化食品及びその製造法の提供。 【解決手段】 酸化を誘導するミネラルを含まない成分
に、ポリアミンを添加して乳化した後に、酸化を誘導す
るミネラルを添加することよりなる多価不飽和脂肪酸及
びミネラルを含有し、多価不飽和脂肪酸のミネラルによ
る酸化劣化が抑制され保存性が向上した栄養強化食品及
びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂質として少なく
とも多価不飽和脂肪酸を含有し、さらに少なくとも酸化
を誘導するミネラルを含有しているにもかかわらず、多
価不飽和脂肪酸の酸化劣化が抑制され保存性が向上した
栄養強化食品及びその製造法に関する。本発明の栄養強
化食品は、多価不飽和脂肪酸及び酸化を誘導するミネラ
ルを安定に含有しており、その他、脂質、タンパク質、
糖質、ビタミン、ミネラルなどの栄養成分を含有する乳
化食品であって、液状、固体状、粉末状などの種々の形
態で用いられる。
【0002】
【従来の技術】第6次改定日本人の栄養所要量には、ビ
タミン及びミネラルについて、国際的により多くの項目
の設定がなされていることや、最新の科学的知見を踏ま
えて新たな項目が追加された。ミネラルについては、そ
れまで設定されていたカルシウムと鉄に加えて、新た
に、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、銅、
ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン
が追加された。これらのミネラルは、ヒトが生命を維持
していくために必須であり、乳幼児から高齢者にいたる
まで、あるいは男女を問わず必要性が高い半面、不足し
がちな成分でもある。したがって、これらの成分を毎日
飲食する食品から摂取することが望ましいことは言うま
でもなく、これらのミネラルを食品に強化していくこと
は、健康を維持していく上で重要なことである。
【0003】一方、ドコサヘキサエン酸(DHA)に代表さ
れる多価不飽和脂肪酸を脂質成分として食品に強化する
ことが盛んに行われている。DHA は、乳幼児の神経系の
発達に必要不可欠であり、プロスタグランジンなどの前
駆物質として恒常性の維持に重要な働きをするが、酸化
劣化しやすいという欠点がある。
【0004】例えば、脂質として多価不飽和脂肪酸を含
有する食品に、鉄、銅、亜鉛などの酸化を誘導するミネ
ラルを強化すると、これらのミネラルによって多価不飽
和脂肪酸の酸化劣化が誘導され、食品の風味を損ない、
なおかつ保存性をも低下させる。このような食品の代表
として、乳化食品である乳児用調製粉乳を挙げることが
できる。乳児用調製粉乳は、鉄、銅、亜鉛などの酸化を
誘導するミネラルを豊富に含有しているために、含有す
る多価不飽和脂肪酸が酸化劣化し、魚臭の発生、過酸化
脂質の増加などの問題が生じる。
【0005】乳化食品に添加したミネラルによる脂質の
酸化誘導は、まず脂肪球界面にミネラルが吸着すること
から始まる。脂肪球界面領域には中性領域で負に荷電し
た物質が多く局在していて、乳化状態を安定に保ってい
るために、正電荷を持つミネラルは脂肪球界面に吸着し
やすくなる。一方、原料油脂中に存在していた過酸化脂
質や乳化時にわずかに生じた過酸化脂質は、その極性の
大きさから脂肪球界面領域に局在してくることとなる
が、この過酸化脂質とミネラルの反応により、新たな過
酸化脂質が生成してくる。そして、最終的に連鎖反応を
繰り返しながら、脂肪球内部にまで酸化が進行すること
になる。
【0006】乳児用調製粉乳における脂質酸化の抑制の
ために、従来はトコフェロ−ルやビタミンC、レシチン
などの様々な抗酸化剤を利用して、脂質の連鎖反応を抑
制する措置がとられてきた(特開平4-346749号公報、特
開平9-263784号公報など)。また一方では、ミネラルの
触媒能を低減化する目的でクエン酸やリン酸などのキレ
−ト剤、アミノ酸も利用されてきた(抗酸化剤の理論と
実際、三しゅう書房(1984)、越智ら、日本栄養食糧学会
誌、50(3) 、231(1997) など) 。しかし、このような努
力によっても未だ十分な安定化は図られていない。
【0007】一方、第一級アミノ基を2つ以上持つ脂肪
族炭化水素であるポリアミンは、細胞増殖・分化促進作
用、腸管成熟促進作用などの生理機能を発揮することが
知られており(Dufour, C. et al.,Gastroenterology,
95,112,(1988)、Buts J.P.et al, Digestive Diseases
and Science, 38, 1091,(1993)など)、ポリミアンを
添加してその生理機能を賦与した栄養組成物や医薬品な
どが提案されている(特開昭 58-131914号公報、特開昭
59-98015 号公報、特開平 6-305956 号公報など)。
【0008】しかし、これらの栄養組成物や医薬品につ
いては、ポリアミンの生理機能にのみ着目しており、栄
養組成物や医薬品に含まれる脂質の酸化劣化についての
検討は全くなされていない上に、ポリアミンの正電荷を
利用して、ミネラルが脂肪球界面に近づくことを防止す
ることにより、食品の脂質酸化、品質劣化を効率的に抑
制する試みは、全くなされていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脂質として
少なくとも多価不飽和脂肪酸を含有し、さらに少なくと
も酸化を誘導するミネラルを含有するにもかかわらず、
酸化を誘導するミネラルによる多価不飽和脂肪酸の酸化
及び品質劣化を抑制した栄養強化食品を提供することを
課題とする。また、本発明は、このような栄養強化食品
の製造法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脂質として少なく
とも多価不飽和脂肪酸を含有し、さらに少なくとも酸化
を誘導するミネラルを含有する栄養強化食品を製造する
に際して、酸化を誘導するミネラルを含まない成分に、
ポリアミンを添加して乳化した後に、酸化を誘導するミ
ネラルを添加することで、多価不飽和脂肪酸の酸化が抑
制され、保存性が向上した栄養強化食品を提供すること
ができることを見出した。さらに、この乳化を、レシチ
ン、酵素分解レシチン、グリセリン脂肪酸エステルある
いはそれらの誘導体及びショ糖脂肪酸エステルからなる
群から選ばれる1種以上を乳化剤として添加して行うこ
とで、多価不飽和脂肪酸の酸化をさらに抑制することが
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、脂質として少なくと
も多価不飽和脂肪酸を含有し、さらに少なくとも酸化を
誘導するミネラルを含有する栄養強化食品であって、酸
化を誘導するミネラルを含まない成分に、ポリアミンを
添加して乳化した後に、酸化を誘導するミネラルを添加
することにより得ることのできる、多価不飽和脂肪酸の
酸化劣化が抑制され保存性が向上した栄養強化食品に関
する。本発明における前記乳化は、レシチン、酵素分解
レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、あるいはそれら
の誘導体及びショ糖脂肪酸エステルよりなる群から選ば
れる1種以上の乳化剤を添加して行うとよい。また、本
発明は、脂質として少なくとも多価不飽和脂肪酸を含有
し、さらに少なくとも酸化を誘導するミネラルを含有す
る栄養強化食品の製造法において、まず酸化を誘導する
ミネラルを含まない成分にポリアミンを添加して乳化し
た後に、酸化を誘導するミネラルを添加して、多価不飽
和脂肪酸の酸化劣化を抑制し保存性を向上させることよ
りなる栄養強化食品の製造法に関する。
【0012】本発明は、正の電荷を持つポリアミンを添
加して乳化物を調製することで、脂肪球に局所的な正電
荷を帯びさせて、後から添加する酸化を誘導するミネラ
ルの脂肪球界面への吸着を抑制することにより、多価不
飽和脂肪酸の酸化劣化を抑制している。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の栄養強化食品は、タンパ
ク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルを主成分とする
ものである。このような栄養強化食品としては、具体的
には、乳児用調製粉乳、フォロ−アップミルク、アレル
ギ−治療乳、アレルギ−予防乳などの乳幼児向け栄養組
成物、液状乳、ドリンク類、ヨ−グルト類、栄養強化用
錠剤などがある。
【0014】タンパク質としては、カゼイン、乳清タン
パク質濃縮物(WPC) 、乳清タンパク質分離物(WPI) 、β
−カゼイン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブ
リンなどの乳由来のタンパク質、卵由来のタンパク質、
大豆タンパク質、小麦タンパク質、魚肉タンパク質など
を使用することができる。また、これらのタンパク質を
加水分解したペプチドも使用することができる。さらに
は、特定の生理効果を付与する目的でタウリンやアルギ
ニン、シスチン、グルタミンなどのアミノ酸を強化して
もよい。タンパク質は、0〜90重量%の範囲で配合する
ことが可能である。乳化剤を添加しない場合は、乳化力
の強い乳由来のタンパク質や卵由来のタンパク質を使用
することが望ましい。
【0015】脂質としては、乳脂肪、ラード、牛脂、魚
肉などの動物性油脂、大豆油、菜種油、えごま油、アマ
ニ油、月見草油などの植物性油脂、カビなどの微生物な
どから抽出した多価不飽和脂肪酸高含有油脂などを使用
することができ、二重結合が3個以上の多価不飽和脂肪
酸を含有するように調製すればよい。脂質は 0.5〜95重
量%の範囲で配合することが可能である。
【0016】糖質としては、蔗糖、人工甘味料などの甘
味成分、デキストリン、乳糖、オリゴ糖、糖アルコール
などを使用することができる。また、乳化特性を持つで
ん粉なども使用することもできる。糖質は0〜95重量%
の範囲で配合することが可能である。
【0017】酸化を誘導するミネラルとしては、鉄、
銅、亜鉛、マンガンが知られており、鉄剤としては硫酸
鉄、クエン酸鉄、炭酸鉄、塩化鉄、乳酸鉄など、銅剤と
しては、硫酸銅、クエン酸銅、炭酸銅、グルコン酸銅、
銅酵母など、亜鉛剤としては、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩
化亜鉛など、マンガン剤としては、硫酸マンガンなどを
使用することができる。これらの酸化を誘導するミネラ
ルは、水に溶解しておき、酸化を誘導するミネラルを含
まない成分にポリアミンを添加し、乳化して得られた乳
化物に添加すればよい。
【0018】酸化を誘導するミネラル以外のミネラルや
ビタミンとしては、「日本国際酪農連盟発行、乳幼児食
品を含む特殊用途食品の CODEX規格及び関連衛生作業規
則、CAC/VOL.IX−第1版及びSupplement 1,2,3,4(199
3)」、「CODEX ALIMENTARIUS,Vol. 4. Foods for speci
al uses(including foods for infants and children),
2nd edition, Joint FAO/WHO Food Standard Programme
CODEX ALIMENTARIUS COMMISSION(1994) 」、食品衛生
法に基づく指定添加物 (施行規則別表第2に収載の添加
物)及び既存添加物(既存添加物名簿に記載の添加物)
記載のビタミン、ミネラルを使用することができる。具
体的には、ビタミンA, B, C, D, E, K、葉酸、パントテ
ン酸、β−カロチン、ビオチン、イノシトール、さらに
はカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、
リンなどを挙げることができる。これらのミネラル及び
ビタミンについては、乳化の前に添加してもよいし、酸
化を誘導するミネラルと一緒に添加してもよい。
【0019】ミネラルおよびビタミンの所要量は、種類
によって異なるので、1 日あたりの摂取量を考慮した上
で配合すればよい。ミネラルは過剰に摂取すると毒性を
発現する場合があるので、その配合量には注意する必要
がある。
【0020】ボリアミンについては、白子から調製した
ポリアミン高含有素材、あるいは酵母や牛乳を原料にし
たポリアミン含量を高めた素材を使用することができ
る。これら素材の調製方法としては、特開平8-238094号
公報、特開平10-52291号公報などに記載の方法を利用す
ることができる。ポリアミンの添加量については、脂質
に含まれる多価不飽和脂肪酸の割合及び種類、ミネラル
の添加量および種類により必要量が変わってくるため、
栄養強化食品に含有する脂質やミネラルに応じて適宜決
定すればよい。ポリアミンの添加方法としては、ポリア
ミンを水に溶解・分散した後、乳化時に添加するか、あ
るいはポリアミンを油脂中に溶解・分散させてから乳化
する方法のいずれでも良いが、油脂中に溶解・分散する
方が望ましい。
【0021】さらに、ポリアミンの種類としては、プト
レッシン、カダベリンなどのジアミン類、スペルミジン
などのトリアミン類、テルミン、スペルミンなどのテト
ラアミン類、さらにはペンタアミン類、ヘキサアミン類
が利用できる。
【0022】本発明の栄養強化食品は、乳化剤を配合す
ることにより、ポリアミンの抗酸化効果をより高めるこ
とができるため、乳化剤を配合することが好ましい。乳
化剤としては、レシチン(大豆レシチン、卵黄レシチ
ン、菜種レシチン、アマニレシチン、乳レシチンな
ど)、またはそれらの酵素分解物(酵素分解レシチ
ン)、さらにはグリセリン脂肪酸エステルあるいはそれ
らの誘導体(モノグリセリド、ジグリセリド、酢酸、乳
酸、クエン酸、コハク酸などを持つ有機酸モノグリセリ
ド、モノグリセリドを重合させたポリグリセリドな
ど)、ショ糖脂肪酸エステルなどを使用することができ
る。乳化剤を利用することで、ポリアミンが脂肪球界面
に配位しやすくなり、脂質の酸化が相乗的に抑制される
ようになる。乳化剤の添加量は、食品の種類あるいは形
態によって異なるが、クリーム分離や脂肪分離を抑制す
るために油脂 100g に対して 0.1〜10g が望ましい。そ
の他、安定剤なども目的とする食品の形態によって適宜
使用することができる。
【0023】以下、試験例および実施例によって本発明
を説明する。
【試験例1】(酸化を誘導するミネラルの添加時期によ
る保存性の違い)酸カゼイン 50kg 、WPC 250kg 、乳糖
550kgを溶解混合し、これに水溶性ビタミン1kg と脂溶
性ビタミン 2kg、スペルミン濃縮物 1kg、レシチン 2kg
を分散・溶解した調製脂肪 250kgを混合し、高圧ホモゲ
ナイザー (三和機械社製、H20-H2) で50℃にて乳化し
た。常法により殺菌、濃縮後、銅、鉄、亜鉛を含むミネ
ラル溶液を添加し、噴霧乾燥して乳児用調製粉乳1を製
造した。対照として、全く同一組成で、乳化前にミネラ
ル溶液を添加した乳児用調製粉乳2を製造した。なお、
これらの粉乳 100g 中には、それぞれ 300μg 、6.2mg
、3 mgの銅、鉄、亜鉛が含まれていた。これらの粉乳
について、開缶状態で35℃にて放置し、経時的にサンプ
リングして粉乳の過酸化物価(POV) を測定した。その結
果を表1に示す。表1によると、乳化前にミネラルを添
加した場合に比べて、乳化後にミネラルを添加すること
で、脂質の酸化劣化の指標であるPOV の上昇がいちじる
しく抑制された。
【0024】
【表1】 (meq/kg) ──────────────────────────── イニシャル 1週目 2週目 3週目 4週目 ──────────────────────────── 粉乳1 0.9 1.1 1.3 1.3 1.5 粉乳2 1.0 1.9 3.3 4.9 6.8 ────────────────────────────
【0025】
【試験例2】(ポリアミンの種類による抗酸化効果の相
違)5%カゼイン溶液 200mlにスペルミン、スペルミジ
ン、カダベリン、プトレッシン (何れも Sigma社製) 1m
g 及び市販の精製カツオ油 (植田製油社製、DHA 含量20
重量%、活性炭処理によりトコフェロールは除去) 10g
を添加し、高圧ホモゲナイザー (エスエムデー社製、GM
-1) で50℃にて乳化した。得られた乳化液に硫酸銅(CuS
O4・5H2O (国産化学社製))を 1mg (Cu量としては 250μ
g)添加した後、水で全量が 1kgになるよう調整し、40℃
のオーブン中で酸化を誘導し、経時的にDHA の減少量を
ガスクロマトグラフィー (日本HP社製、HP-5890)で分析
した。対照としてポリアミン無添加のものを同様にして
調製し、分析した。その結果を図1に示す。
【0026】これによると、ポリアミンの種類により差
はあるものの、ポリアミン添加群ではいずれもDHA の減
少が抑制された。ポリアミンには、トコフェロールの再
生効果があることが知られている (日本油化学会誌、46
(1),3,1997) が、本試験例ではトコフェロールをあらか
じめ除去しているため、DHA の減少抑制効果は、銅によ
る酸化誘導を抑制したことによるものと考えられる。
【0027】
【試験例3】(ポリアミンの添加量による抗酸化効果の
相違)5重量%WPC 溶液 200mlにスペルミン (Sigma 社
製) 0.001〜1000mg及び市販の精製カツオ油 (植田製油
社製、DHA 含量20重量%) と大豆油 (植田製油社製)の
混合物 (カツオ油: 大豆油=1:9 、活性炭処理によりト
コフェロールは除去)10g を添加し、高圧ホモゲナイザ
ー (エスエムテー社製、GM-1) で、50℃にて乳化した。
得られた乳化液に硫酸鉄 (国産化学社製) を 1.35mg(鉄
量としては500μg ) 添加した後、水で1kg に調整し、4
0℃のオーブン中で酸化を誘導し、2日後の POVを測定
した。その結果を図2に示す。これによると、油脂1g当
りのスペルミンが 0.5μg から抗酸化効果が現れ、5mg
より多くてもその効果は変わらなかった。このことはポ
リアミンの添加量に効果的な範囲が存在するということ
を示している。
【0028】
【試験例4】(クリームに吸着した鉄量の分析)試験例
2で得られた乳化物30mlを4℃で遠心分離 (30,000×g
、30分間) し、クリームを分取した。クリームは全量
灰化した後、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP) 法
(Leeman Labs 社製、PS3000UV) にて鉄量を測定し、ク
リームへの鉄の吸着率を求めた。その結果を図2に示
す。これによると、クリームに吸着した鉄量は、スペル
ミンの添加量に依存して少なくなっており、鉄の乳化状
態にある脂質への吸着を防止することによって、脂質に
含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化を防止していることが
示唆された。
【0029】
【試験例5】(ポリアミンと乳化剤の相乗効果)10重量
%カゼイン溶液 100mlにスペルミジン(Sigma社製) 10mg
を溶解し、市販の精製マグロ油 (植田製油社製、DHA 含
量27重量%、活性炭処理によりトコフェロールを除去)
20g に乳化剤として大豆レシチン (太陽化学社製) 0.2
g、2gをそれぞれ添加したものを添加し、高圧ホモゲナ
イザー (エスエムテー社製、GM-1)で 50 ℃にて乳化し
た。得られた乳化液に硫酸銅(CuSO4・5H2O)2mg (銅量と
しては 500μg) を添加した後、水で全量が1kg となる
ように調整し、表2に示す3種類の乳化物を得た。ま
た、対照としてスペルミジン、大豆レシチンともに添加
していない乳化物を調製した。これらの乳化物につい
て、45℃のオーブン中で酸化を誘導し、経時的にサンプ
リングしてPOV を測定した。その結果を表2に示す。こ
れによると、スペルミジン単独に比べて、レシチンを併
用した場合には POVの上昇が抑制されており、この効果
は、ポリアミンと乳化剤が共存するとポリアミンが脂肪
球界面領域に局在しやすくなり、ミネラルによる脂質の
酸化誘導が顕著に抑制されるためと考えられる。
【0030】
【表2】 ─────────────────────────────── スペルミジン添加量(mg) レシチン添加量(g) POV(meq/kg) ─────────────────────────────── 0 0 88 10 0 25 10 0.2 17 10 2 8 ───────────────────────────────
【0031】
【実施例1】(乳児用調製粉乳の製造)脱脂乳 192kg、
WPC6kg、乳糖35kgを溶解混合し、これに水溶性ビタミン
(ビタミンB1、B2、B12 、C 、ナイアシン、葉酸、パン
トテン酸、ビオチン、コリン及びイノシトール) 0.8kg
、脂溶性ビタミン (ビタミン A、 D、 E、K 及びβ−
カロチン) 0.5kg 、スペルミン10g 及び大豆レシチン
0.3kgを分散・溶解した調製脂肪 (大豆油、やし油、精
製カツオ油、月見草油、パーム油) 19kgを混合し、高圧
ホモゲナイザー (三和機械社製、H20-H2) で50℃にて乳
化した。得られた乳化液を常法により殺菌、濃縮後、
銅、鉄、亜鉛を含むミネラル溶液を添加し、噴霧乾燥し
て、本発明の乳児用調製粉乳を製造した。なお、この粉
乳 100g 中には、スペルミン12.5mg、銅、鉄、亜鉛はそ
れぞれ 312μg 、 6mg、2.6mg 含まれていた。このよう
にして得られた本発明品は、37℃で1ヶ月保存しても、
不快な魚臭の発生は認められなかった。
【0032】
【実施例2】(ドリンクの製造)魚油と菜種油の混合油
脂 1kgにビタミンA、E、大豆レシチン、有機酸モノグ
リセリドを溶解し、5gのスペルミジンを水に溶解した溶
解液10kgに添加して、高圧ホモゲナイザー (エスエムテ
ー社製、GM-1) で50℃にて乳化した。この乳化液に70%
D- ソルビット 3kg、蜂蜜 4kg、オレンジジュース20kg
および硫酸鉄を添加し、全量が100kg になるよう水で調
整した後、加熱殺菌して、本発明のドリンクを製造し
た。なお、このドリンクには、鉄 3mg、大豆レシチン50
mg、有機酸モノグリセリド25mgが含まれていた。このよ
うにして得られた本発明品は、室温で3ヶ月間以上保存
しても、不快な魚臭の発生は認められなかった。
【0033】
【実施例3】(飲むヨーグルトの製造)加熱殺菌して42
℃に冷却した脱脂乳95重量部に、乳酸菌スターターを5
重量部添加し、4時間発酵させた。この培養物70重量部
に、別に加熱殺菌して調製しておいた0.4 重量部のハイ
メトキシルペクチン、スペルミンを分散させた1重量部
の魚油、0.1 重量部の乳レシチン、安定剤28.5重量部を
添加し、乳化した。これに硫酸銅と硫酸鉄を添加し、本
発明の飲むヨーグルトを製造した。なお、このヨーグル
ト100g中には、スペルミン 2.5mg、銅10μg 、鉄 1mgが
含まれていた。このようにして得られた本発明品は、10
℃で1 カ月保存しても、不快な魚臭の発生は認められな
かった。
【0034】
【実施例4】(栄養剤の製造)マグロ油1重量部、ポリ
アミン 0.002重量部、カゼイン 2重量部、モノグリセリ
ド及びリゾレシチン0.03重量部を水に溶解してから乳化
し、さらにデキストリン10重量部、乳糖10重量部、硫酸
鉄0.027 重量部 (鉄として0.01重量部) を加えて噴霧乾
燥を行った。噴霧乾燥物10重量部に香料0.5 重量部、で
ん粉10重量部、残りを乳糖で100 重量部に調整し、常法
により打錠して本発明の栄養剤タブレットを製造した。
このようにして得られた本発明品は、常温で 1年間保存
しても、不快な魚臭の発生は認められなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明の栄養強化食品は、脂質として少
なくとも多価不飽和脂肪酸を含有し、さらに少なくとも
酸化を誘導するミネラルを含有しているにもかかわら
ず、多価不飽和脂肪酸の酸化劣化が抑制され、長期間安
定に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリアミンの種類による抗酸化効果の相違を示
す。
【図2】ポリアミンの添加量による抗酸化効果及びクリ
ームへの鉄の吸着率の相違を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島谷 雅治 埼玉県狭山市新狭山2−7−1 LSP新 狭山207 Fターム(参考) 4B018 MD01 MD07 MD10 MD30 MD46 ME13 MF02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂質として少なくとも多価不飽和脂肪酸
    を含有し、さらに少なくとも酸化を誘導するミネラルを
    含有する栄養強化食品であって、酸化を誘導するミネラ
    ルを含まない成分にポリアミンを添加して乳化した後
    に、酸化を誘導するミネラルを添加することにより得る
    ことのできる、多価不飽和脂肪酸の酸化劣化が抑制され
    保存性が向上した栄養強化食品。
  2. 【請求項2】 乳化を、レシチン、酵素分解レシチン、
    グリセリン脂肪酸エステル、あるいはそれらの誘導体及
    びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以
    上の乳化剤を添加して行う請求項1の栄養強化食品。
  3. 【請求項3】 脂質として少なくとも多価不飽和脂肪酸
    を含有し、さらに少なくとも酸化を誘導するミネラルを
    含有する栄養強化食品の製造法において、まず酸化を誘
    導するミネラルを含まない成分にポリアミンを添加して
    乳化した後、酸化を誘導するミネラルを添加して、多価
    不飽和脂肪酸の酸化劣化を抑制し保存性を向上させるこ
    とを特徴とする栄養強化食品の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2013106619A (ja) * 2007-02-15 2013-06-06 Wyeth Llc ビタミンおよびミネラル補助食品における改善された安定性
JP2013184956A (ja) * 2012-03-09 2013-09-19 Kyodo Milk Industry Co Ltd 学習・記憶能力を増強するための食品
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