JP2011239774A - 満腹感誘導組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発酵ホエイを有効成分として含む、主に飲料の形態で用いられる満腹感誘導組成物。該満腹感誘導組成物は、食事の4時間前から食事直前までの間に、発酵ホエイの固形分換算の摂取量が、食事1回に対して、ヒトの単位体重当たり、0.05g/kg以上となるように摂取することが好ましい。該満腹感誘導組成物中の発酵ホエイの固形分の割合は、好ましくは1重量%以上である。
【選択図】なし
Description
特定の食品素材を含む食品としては、例えば、特許文献3に、満腹ペプチドであるコレシストキニン及びグルカゴン様ペプチドの細胞分泌を誘導することができるホエイタンパク質及び/又はホエイタンパク質加水分解物の、食用組成物中での使用が開示されている。また、特許文献4および特許文献5に、特定のトリグリセリドを食品中に含有させることによって、食欲抑制効果を与えることが開示されている。さらに、特許文献6に、特定のアミノ酸配列からなる大豆由来ペプチドである食欲抑制用ペプチドが開示されている。
例えば、特許文献7に、固形分濃度が11〜35重量%で、かつ、pHが6.5〜8.0に調整されたホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を均質化することによって得られる、独特でかつスッキリとした風味と、良好な食感を有する発酵ホエイ調製物が開示されている。
上記の特許文献3〜6に開示された技術は、食品素材に関するものであるため、利用し易いという利点を有するものの、未だ実用化を阻害する問題点を含んでいる。例えば、ホエイタンパク質/ホエイタンパク質加水分解物や大豆由来ペプチドは、風味の点で継続的に摂取しづらいという問題を有する。トリグリセリドは、脂質であり、それ自体がメタボリックシンドロームのリスクファクターとなりうるため、好ましくない。
本発明の目的は、満腹感を誘導して摂取エネルギー量を減少させて、メタボリックシンドロームの軽減等を図ることができ、低コストで副作用がなく、良好な風味および食感を有する満腹感誘導組成物を提供することである。
[1]発酵ホエイを有効成分として含む満腹感誘導組成物。
[2]食事の4時間前から食事直前までの間に摂取するためのものである、前記[1]に記載の満腹感誘導組成物。
[3]前記発酵ホエイの固形分換算の摂取量が、食事1回に対して、ヒトの単位体重当たり、0.05g/kg以上となるように、摂取するためのものである、前記[1]又は[2]に記載の満腹感誘導組成物。
[4]前記満腹感誘導組成物中の前記発酵ホエイの固形分の割合が1重量%以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の満腹感誘導組成物。
[5]飲料である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の満腹感誘導組成物。
特に、本発明の組成物は、満腹感の持続時間が例えば4時間以上と長いため、本発明の組成物の摂取時から例えば3時間後に食事した場合において、本発明の組成物を摂取せずに同量の食事をした場合に比べて、食後の満腹感を高めることができる。このことは、本発明の組成物を摂取すれば、食事の量を通常より減らしても、本発明の組成物を摂取せずかつ食事の量を減らさない場合と同程度の食後の満腹感を得ることができることを意味する。
また、空腹感があるものの食事をする時間が取れない時などに、本発明の組成物を摂取することによって、手軽に小腹を満たすことができる。
また、本発明の組成物は、発酵による独特で良好な風味と、スッキリとした爽やかな風味を合わせ持ち、かつ舌触りが滑らかな食感であるため、継続的に摂取し易い。
また、本発明の組成物は、副作用の有無の確認が必要な有機合成化合物を用いたものではなく、牛乳等の乳に由来する天然の原料であるホエイを用いたものであるため、安全性に優れ、取り扱いについても制限が緩く、製造コストも低く抑えることができる。
また、本発明の組成物は、従来ほとんどが廃棄処分されていたホエイを主原料とするものであり、ホエイの利用を促進し、廃棄物の量の削減を図りうる点でも価値が高い。
さらに、本発明の組成物は、熱安定性にも優れているため、高温殺菌して飲料として摂取することが可能であり、高い実用性を有する。
本発明に用いられる発酵ホエイは、様々な方法で調製することができる。
その中でも特に、固形分濃度が11〜35重量%で、かつ、pHが6.5〜8.0に調整されたホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液をそのまま均質化することによって発酵ホエイを得る方法が好ましい。以下、発酵ホエイの製造方法について詳しく説明する。
ホエイタンパク質水溶液としては、少なくともホエイタンパク質と水を含むものであればよく、例えば、ホエイの原液、ホエイの濃縮液、ホエイ粉と水の混合物、ホエイの還元溶液などが挙げられる。
本発明で使用可能なホエイタンパク質としては、ホエイタンパク濃縮物(WPC(Whey Protein Concentrate))、ホエイタンパク分離物(WPI(Whey Protein Isolate))、甘性ホエイ粉、脱塩ホエイ粉、脱脂粉乳などが挙げられる。これらのホエイタンパク質は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。ホエイタンパク質として、市販品を使用しても良い。
ホエイタンパク質の成分組成は、次のとおりである。
ホエイタンパク濃縮物(WPC)の一例では、固形分が95.5%であり、このうち、タンパク質が76.0%、乳糖が12.0%、灰分が2.5%である。ホエイタンパク分離物(WPI)の一例では、固形分が94.1%であり、このうち、タンパク質が90.0%、乳糖が1.7%、灰分が1.8%である。甘性ホエイ粉の一例では、固形分が97.0%であり、このうち、タンパク質が12.0%、乳糖75.5%、灰分8.5%である。脱塩ホエイ粉の一例では、固形分が98.1%であり、このうち、タンパク質が11.8%、乳糖が79.7%、灰分が5.6%である。脱脂粉乳の一例では、固形分が95.5%であり、このうち、タンパク質が34.0%、乳糖53.5%、灰分8.0%である。
なお、タンパク質の量(濃度)は、必要であれば、例えば、ケルダール法、ローリー法などのような慣用の方法・装置により容易に測定することができる。
使用するホエイタンパク質水溶液において、固形分濃度は、好ましくは11〜35重量%、より好ましくは12〜30重量%、さらに好ましくは13〜25重量%に調整する。このとき、ホエイタンパク質の濃度は、好ましくは1.3〜4.5重量%、より好ましくは1.5〜4.0重量%、さらに好ましくは1.7〜3.0重量%である。このような範囲であることは、ホエイタンパク質を変性させて、適度な粒径の凝集物を形成させる観点から好ましい。
なお、本発明において、ホエイタンパク質水溶液中の固形分濃度は、例えば、簡易水分測定法、混砂法などのような慣用の方法・装置により容易に求めることができる。
ホエイタンパク質水溶液は、高温殺菌処理前に、pHを6.5〜8.0に調整することが好ましい。pH調整は、好ましくはpH調整剤を使用して行う。pH調整剤は、上記の数値範囲内にpHを調整することができ、かつ、食品用に使用可能な安全性を有するものであればよい。pH調整剤は、典型的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムからなる群より選択される。pH調整剤は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の好ましい態様によれば、高温殺菌処理は、例えば91℃〜99℃で5〜15分間、好ましくは92〜98℃で7〜13分間、より好ましくは93〜97℃で8〜12分間、特に好ましくは95℃で10分間である。別の好ましい態様によれば、高温殺菌処理は、例えば100℃〜150℃で1〜30秒間、好ましくは110〜140℃で1〜20秒間、より好ましくは115〜135℃で1〜10秒間、さらに好ましくは120〜130℃で1〜5秒間、特に好ましくは120℃で3秒間である。高温殺菌の後、必要により、処理した水溶液を冷却する。冷却する温度は、次の発酵工程での発酵温度に基づいて設定することができ、例えば30〜50℃である。
また、この高温殺菌処理の際、水溶液に圧力をさらに負荷しても良い。通常、加熱殺菌処理を行う場合、水溶液の沸騰を防止すること等を目的として、例えば、殺菌圧力を1〜10kg/cm2とする。本発明における殺菌処理では、加熱に加えて、このような圧力を加えても良い。高温殺菌処理装置としては、例えばプレート式熱交換器、チューブ式熱交換器、スチームインジェクション式殺菌機、スチームインフュージョン式殺菌機、通電加熱式殺菌機などがある。
本発明においては、このような高温殺菌処理によって得られる水溶液は、凝集物を含む。この凝集物の粒径は巨大ではなく、直ぐには沈殿しない適度な寸法である。水溶液中の凝集物の粒径は、通常、1〜100μm、好ましくは2〜80μm、より好ましくは4〜60μm、さらに好ましくは5〜50μmである。
このように凝集物は、直ぐには沈殿しないような寸法であるため、そのまま、ここに乳酸菌もしくは酵母を加えて、次の乳酸発酵処理に付すことができる。
なお、凝集物の粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100(株式会社島津製作所製)などを利用することにより測定することができる。
本発明においては、必要に応じて、乳酸菌を使用して得られた発酵ホエイと、酵母を使用して得られた発酵ホエイを混合して使用しても良い。
乳酸菌による発酵の条件は、好ましくは30〜50℃で1〜40時間、より好ましくは35〜45℃で2〜20時間、特に好ましくは37〜43℃で3〜10時間である。
酵母による発酵の条件は、好ましくは20〜40℃で1〜72時間、より好ましくは25〜35℃で12〜60時間、特に好ましくは27〜33℃で24〜48時間である。
発酵ホエイは、本発明の満腹感誘導組成物の成分の一つとして用いられる。発酵ホエイの形態例としては、液体、懸濁液、ペースト、ゲル、乾燥粉末、凍結体等が挙げられる。
本発明の満腹感誘導組成物の摂取量は、特に限定されないが、満腹感の誘導の効果を十分に得る観点から、好ましくは、食事1回に対して、ヒトの単位体重当たり、発酵ホエイの量として、固形分換算で、好ましくは0.05g/kg以上、より好ましくは0.1g/kg以上、さらに好ましくは0.2g/kg以上である。該摂取量の上限は、継続的な摂取の容易性等の観点から、好ましくは5g/kg、より好ましくは3g/kg、特に好ましくは1g/kgである。
本発明の満腹感誘導組成物の摂取経路としては、経口、経管、経腸などが挙げられる。中でも、経口による摂取が好ましい。
本発明の満腹感誘導組成物は、医薬品として用いる場合、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、溶液、懸濁液等の、経口摂取可能な形態を取ることが可能である。これらの各種の形態は、常法に従って、発酵ホエイと、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用されている既知の補助剤とを組み合わせることによって製造することができる。
本発明の満腹感誘導組成物は、飲食品として用いる場合であっても、医薬品と同様な形態を取ることが可能である。
本発明の満腹感誘導組成物は、飲食品として用いる場合、通常用いられる飲食品の形態、例えば、固体状(粉末、顆粒状、タブレット状等)、ゲル状(ゼリー状)、ペースト状(流動食状)、液状、懸濁液状などの形態を取ることができる。中でも、簡便に摂取しうる点、および、吸収性等の点から、飲料(液状または懸濁液状)の形態が好ましい。
その他の成分は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。
該含有率の上限は、特に限定されない。
発酵ホエイのみによって、本発明の満腹感誘導組成物を構成することも可能である。この場合も、本明細書においては「組成物」と称することとする。
本発明の満腹感誘導組成物は、食事の4時間前から食事直前までの間に摂取することが好ましい。食事開始後に摂取した場合、その食事に関し、食事の量を減少させて、摂取エネルギー量を抑制する効果を十分に得ることができないことがある。
[発酵ホエイの調製]
甘性ホエイ粉14.0重量部と、水道水85.8重量部を混合して、40〜60℃まで温度を高めて溶解し、発酵ホエイの原料を調製し、pH調整剤である重曹(炭酸水素ナトリウム)を0.1重量部添加してpHを6.65に調整し、これを95℃、10分間加熱殺菌した後に、45℃に冷却した。次に、「明治ブルガリアヨーグルト」(商品名;明治乳業社製)より単離したラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の混合スターターを0.1重量部(以上の合計量は100重量部である。)接種し、タンク内において、45℃で発酵させ、6〜8時間後、乳酸酸度が0.73%に到達した時点で、10℃以下に冷却した。
この得られた発酵ホエイ液について、20℃の温度下で100〜150L/hの流量で一段加圧を約10MPa、二段加圧を約5MPaで均質化して、発酵ホエイ液を得た。
得られた発酵ホエイ液は、全固形分が13.72重量%、タンパク質が1.69重量%、灰分が0.91重量%の各含有率を有していた。また、得られた発酵ホエイ液のpHは4.3〜4.7であった。
得られた発酵ホエイ液を用いて、以下の「実験3」を行った。
また、得られた発酵ホエイ液を凍結乾燥して、水分を除去することによって、発酵ホエイ粉を得た。この発酵ホエイ粉を用いて、以下の「実験1」および「実験2」を行った。
11週齢SD系雄ラット(体重:354.2±1.8g)を平均体重が均一になるように、対照群(対照飼料群、n=12;ここでnはラットの数である。)、比較群1(高脂肪食群、n=10)、比較群2(ホエイ+高脂肪食群、n=11)、及び本発明による実施例群(発酵ホエイ+高脂肪食群、n=11)の4群に分け、それぞれの試験飼料(表1参照)を13日間給与した。その時の摂取エネルギー量および体重増加量を測定した。摂取エネルギー量は、それぞれの個体が食べた飼料の量からエネルギー値(単位:cal)に換算したものである。対照飼料以外の試験飼料3種の脂質、糖質、タンパク質、カルシウム、リンの各成分の含量は、表1に示すように3種間で同等になるように調節した。
統計解析は、対照群と他の群間の平均値の有意差検定、ならびに、比較群1と比較群2、実施例群の間の平均値の有意差検定を、Dunnett多重検定法によって行った。
図1から明らかなように、比較群1(高脂肪食)および比較群2(ホエイ+高脂肪食)は、対照群(対照食)と比較して有意に高い摂取エネルギー量を示した。この時、比較群2(ホエイ+高脂肪食群)の摂取エネルギー量は比較群1(高脂肪食)と同等であったが、本発明の実施例群(発酵ホエイ+高脂肪食)は比較群1(高脂肪食)と比較して有意に低い摂取エネルギー量を示した。また図2に示すように、比較群1(高脂肪食)及び比較群2(ホエイ+高脂肪食)は、対照群(対照食)と比較して一日当たりの体重増加量が有意な高値を示したが、本発明の実施例群(発酵ホエイ+高脂肪食)の体重増加量は対照群(対照食)と同等であった。
以上より、発酵ホエイの摂取は、発酵ホエイを摂取しない場合に比べて、摂取エネルギー量を減少させて、高脂肪の摂取による体重の増加を抑制することが示された。
SD系雄ラット(体重:270.4±2.3g)を飼料摂取量および体重が均等になるようにそれぞれ4群(n=8/群)に分けた。ラットは一晩の絶食を行った後、それぞれの群に、発酵ホエイ粉を0、10、30または50g/100mlとなるようにイオン交換水に懸濁した溶液を、10ml/kgBWの摂取量となるように強制経口投与した。それぞれの群を水群(対照群;発酵ホエイ粉の量が0g/100mlの群)、YW1g/kgBW群(発酵ホエイ粉の量が10g/100mlの群)、YW3g/kgBW群(発酵ホエイ粉の量が30g/100mlの群)、YW5g/kgBW群(発酵ホエイ粉の量が50g/100mlの群)の4群とした。なお、「YW1g/kgBW群」〜「YW5g/kgBW群」は、いずれも本発明の実施例群である。
強制経口投与から20分後に、全てのラットにAIN−93M飼料を十分量給与し、給与から1時間後、3時間後の各時点における飼料摂取量ならびに、投与エネルギー量(強制経口投与時の摂取エネルギー量、すなわち、発酵ホエイの摂取エネルギー量)と摂取エネルギー量(飼料の摂取量から換算したエネルギー量)の合計エネルギー量を測定した。
なお、全てのデータについて、対照群とそれぞれの実施例群間の平均値の有意差検定を、Dunnett多重検定法を用いて行った。
図3から明らかなように、本発明の実施例群であるYW5g/kgBW群の1時間の飼料摂取量は、対照群と比較して有意に低い値を示した。また、他の実施例群であるYW3g/kgBW群の1時間の飼料摂取量は、対照群に対して低い傾向を示した。また、本発明の実施例群であるYW1g/kgBW群、YW3g/kgBW群およびYW5g/kgBW群の3時間の飼料摂取量は、いずれも対照群と比較して有意に低い値を示した。
図4から明らかなように、投与エネルギー量(発酵ホエイのエネルギー量)と摂取エネルギー量(飼料のエネルギー量)の合計量は、1時間飼料給与の場合には、実施例群であるYW5g/kgBW群が対照群と比較して低い傾向を示した。また、3時間飼料給与の場合には、発酵ホエイを投与した全ての本発明の実施例群で、対照群と比較して有意に低い値を示した。
以上より、発酵ホエイには、本発明の組成物の投与後の摂食を抑制する作用があることが示された。
(1)発酵ホエイ含有飲料の調製
発酵ホエイ液59.45重量部、クリーム(乳脂肪分45%)2.98重量部、ペクチン(固形分)0.40重量部、スクラロース0.0014重量部、および水道水37.1686重量部を、10℃以下の温度を保ちつつ混合し、合計100重量部の発酵ホエイ含有飲料用ベースを調製した。混合にあたり、低温で溶解しづらいペクチンは、予め60℃以上の温水と混合して10分間以上保持して完全に溶解させた後、10℃以下に冷却して、ペクチン溶液とした。なお、ペクチン溶液中の水の量は、前記の水道水の量に含まれる。
攪拌しながら85℃5分間保持による殺菌を行い、殺菌処理後に冷却し、10℃以下とすることで、発酵ホエイ含有飲料を得た。
得られた発酵ホエイ含有飲料は、全固形分が10.1重量%、無脂乳固形分が8.2重量%、タンパク質が1.1重量%、灰分が0.56重量%、乳脂肪分が1.5%の各含有率を有していた。また、得られた発酵ホエイ含有飲料のpHは4.3〜4.6であった。
23〜48歳の健常な成人(平均年齢32歳)24名(男性9人、女性15人)を被験者とした。
以下の試験において、空腹感、満腹感、食欲、予測食事摂取量は、VAS(Visual Analog Scale)で評価した。VASとは、両端に対をなす極端な状態を表記した長さ100mmの線分上に、被験者自身に記入時の主観的な感覚を垂直な1本線で表してもらい、左端から引かれたその垂線までの長さを測定することによって、被験者の主観的な感覚を評価する方法である。
また、以下の式により、アペタイト・スコア(Appetite score)も算出した。
アペタイト・スコア=(食欲+空腹感+(100−満腹感)+予測食事摂取量)/4
被験者は、朝の8時50分に空腹感、満腹感、食欲、予測食事摂取量のVASを記入した後、9時に対照試料(緑茶)または発酵ホエイ含有試料のいずれかを180ml摂取した。さらに、被験者は、摂取から1時間後(10時)および昼食(12時〜12時55分)後の13時にも同様にVASを記入した。試験は各被験者に対して、5日以上10日未満の間隔を空けて試料を替えて計2回実施した。なお、各被験者は、昼食として、普段通りの時間に普段と同じ量をいずれの試験日においても摂取した。
統計解析は、対照群と発酵ホエイ群の平均値の有意差検定を、対応のあるt検定によって行った。
試験の結果を図5〜図14に示す。
なお、試料摂取前において、空腹感、満腹感、食欲、予測食事摂取量、およびアペタイト・スコアについて、各群間の差は認められなかった。また、図10〜図14に示すように、試料摂取1時間後(10時)において、発酵ホエイ含有試料を摂取した場合には、対照試料(緑茶)を摂取した場合に比べて、空腹感、食欲、およびアペタイト・スコアが有意に低い値を示し、満腹感が有意に高い値を示した。また、予測食事摂取量も低い傾向が認められた。
これらの結果から、発酵ホエイには、摂取によって直ちに(例えば、1時間後に)満腹感を高める作用があること、および、食事の数時間前(例えば、3時間前)に摂取した場合であっても、食事の後の満腹感を高める作用があることがわかる。
Claims (5)
- 発酵ホエイを有効成分として含む満腹感誘導組成物。
- 食事の4時間前から食事直前までの間に摂取するためのものである、請求項1に記載の満腹感誘導組成物。
- 前記発酵ホエイの固形分換算の摂取量が、食事1回に対して、ヒトの単位体重当たり、0.05g/kg以上となるように、摂取するためのものである、請求項1又は2に記載の満腹感誘導組成物。
- 前記満腹感誘導組成物中の前記発酵ホエイの固形分の割合が1重量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の満腹感誘導組成物。
- 飲料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の満腹感誘導組成物。
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Sharma | Dairy Beverages |
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