JP2002092844A - 磁気記録媒体及び該媒体を用いた情報記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び該媒体を用いた情報記録装置

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JP2002092844A JP2000282216A JP2000282216A JP2002092844A JP 2002092844 A JP2002092844 A JP 2002092844A JP 2000282216 A JP2000282216 A JP 2000282216A JP 2000282216 A JP2000282216 A JP 2000282216A JP 2002092844 A JP2002092844 A JP 2002092844A
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Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Tetsunori Kanda
哲典 神田
Satoru Matsunuma
悟 松沼
Tetsuo Kimura
哲夫 木村
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 情報記録用の磁性層に形成される磁区が安定
に存在できる構造を有する磁気記録媒体を提供する 【解決手段】 非磁性基体上に少なくとも情報記録層を
有する磁気記録媒体において、前記情報記録層は少なく
とも3層の磁性層からなり、前記磁性層は該各磁性層同
士が互いに非磁性層を介して積層されており、非磁性基
体に最も近い側の磁性層及び磁気ヘッドに最も近い側の
磁性層がそれぞれ硬質磁性膜であり、該硬質磁性膜の中
間に配置される磁性層が軟質磁性膜であり、磁気ヘッド
に最も近い側の磁性層が情報の記録に使用され、磁気ヘ
ッドに最も近い側の磁性層と中間磁性層とが互いに静磁
気的に結合している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大量の情報を迅速か
つ正確に格納するための磁気記録媒体に関する。更に詳
細には、本発明は高性能で、かつ高信頼性を有する磁気
ディスク用の記録媒体の構造、さらに、その磁気記録媒
体を用いた情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を統合したマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。これを支える情報記録
装置の1つに磁気ディスク装置がある。現在、磁気ディ
スク装置は、記録密度を向上させつつ小型化が図られて
いる。それと並行して、ディスク装置の低価格化が急速
に進められている。
【0003】ところで、磁気ディスクの記録容量の高密
度化を実現するためには、1)ディスクと磁気ヘッドと
の距離をつめること、2)媒体の保磁力を増大させるこ
と、3)信号処理方法を工夫すること、4)熱揺らぎの
小さい媒体を開発するなどが必須の技術である。
【0004】中でも、磁気記録媒体においては、高密度
記録を実現するために、保磁力の増大が必須である。こ
れに加えて、50Gb/inを超える面記録密度を実
現するためには、記録や消去時に磁化反転が生じる単位
(クラスター)をさらに小さくしたり、その分布を精密
に制御しなければならない。このように制御すること
は、熱揺らぎ低減の観点からも重要となってきている。
【0005】これと同時に、微小な結晶粒子が存在して
いると、熱揺らぎを生じやすい。そのため、粒子径を一
定の大きさ以上にしなければならない。しかし、結晶粒
子が粗大化すると、高密度記録を行う場合にノイズが増
大する。このように、結晶粒子サイズおよびその分布を
制御する必要があった。これらを実現する方法として、
例えば、米国特許第4652499号公報に、磁性膜の
下にシード膜を設けることが提案されている。
【0006】上記の従来技術では、シード膜を介して作
製した情報記録用の強磁性薄膜における結晶粒子サイズ
およびその分布を制御するには限界があり、特に、50
Gb/inを超える記録密度を得る場合に、媒体ノイ
ズや熱揺らぎを十分に抑制できない場合があった。これ
は、磁性膜の結晶粒子をシード膜材料の選択や作製条件
や構造の最適化しても、10nm前後の粒子サイズを得
ようと微細化した結果、10nmの2倍程度に粗大化し
た粒子や、逆に、10nmの1/2程度に微細化した粒
子が混在しているからである。その分布も裾野の広いガ
ウス分布であった。
【0007】そして、この中で、平均より大きな結晶粒
子は、記録/再生を行うとノイズの増大につながる。逆
に、平均より小さな粒子は、記録/再生を行うと熱揺ら
ぎが増大する。この他に、磁性結晶粒子間の磁気的な相
互作用により、磁化反転サイズが粒子で5〜10個分と
著しく大きくなっていた。そのためにも、磁気的相互作
用を大きく低減し、かつ、結晶粒子の平均値の10nm
を中心に粒子サイズを精密に制御できる技術を確立する
ことが超高密度磁気記録の実用化にとって重要なことで
あった。しかし、実際問題として、結晶粒子の粒子サイ
ズを平均値の10nmに収斂するように精密に制御する
ことは容易なことではない。従って、結晶粒子の粒子サ
イズを制御すること以外の方法で50Gb/inを超
える記録密度を達成する新たな方法の開発が強く求めら
れてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第1
の目的は、情報記録用の磁性層に形成される磁区が安定
に存在できる構造を有する磁気記録媒体を提供すること
である。本発明の第2の目的は、情報記録用の磁性層に
微小な磁区を容易に形成し、しかもその磁区が安定に存
在できる50Gb/in級以上の超高記録密度の記録
を行うのに好適な媒体構造を有する磁気記録媒体を提供
することである。本発明の第3の目的は、前記の構造を
有する50Gb/inを超える超高密度磁気記録媒体
を使用する情報記録装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、非磁性基体
上に情報記録層を有する磁気記録媒体において、前記情
報記録層は少なくとも3層の磁性層からなり、前記磁性
層は該各磁性層同士が互いに非磁性層を介して積層され
ており、非磁性基体に最も近い側の磁性層及び磁気ヘッ
ドに最も近い側の磁性層がそれぞれ硬質磁性膜であり、
該硬質磁性膜の中間に配置される磁性層が軟質磁性膜で
あり、磁気ヘッドに最も近い側の磁性層が情報の記録に
使用され、磁気ヘッドに最も近い側の磁性層と中間磁性
層とが互いに静磁気的に結合していることを特徴とする
磁気記録媒体により解決される。
【0010】これらの磁性層の中で、基板に最も近い側
に設けた第1層目の磁性層が硬質磁性層であり、また、
最も磁気ヘッドに近い第3層目の磁性層も硬質磁性膜で
ある。しかも、この第3層目の磁性層には、情報の記録
を行なう役割を有する。最後に、両磁性層の中間に位置
する第2層目の磁性層は、軟磁性を有する薄膜を用いる
ことが最も好ましい。ここで、第2層目の磁性膜と第3
層目の磁性膜とが互いに静磁気的に結合していることが
好ましい。このような少なくとも3層の磁性膜を有する
磁気記録媒体において、情報をこの記録媒体へ記録する
時(磁界が磁気ヘッドにより記録媒体へ印加されている
とき)には、これらの磁性層の磁化の方向が3層とも同
一方向であり、情報を再生あるいは保持する場合には、
第1層目の磁性層と第3層目の磁性層とが同じ磁化の向
きであり、第2層目の磁化の向きが第1層目および第3
層目の磁性膜の磁化の向きと反対向きであることが好ま
しい。ここで、上述の記録媒体へ情報を記録するのに、
少なくとも3層からなる磁性層のうち硬質磁性有する第
1および第3の磁性層を外部から印加した磁界により磁
性層の磁化の方向を所定の方向に向け、かつ、その方向
が同一の方向であることが好ましい。ここで、磁化容易
磁区の向きはいずれも基板と平行方向である面内に磁化
容易軸を有する磁気記録媒体を用いることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の磁気記録媒体について詳細に説明する。
【0012】図1は本発明の磁気記録媒体の一例の概要
断面図である。本発明の磁気記録媒体1は基本的に、非
磁性基体3と、この上に形成された情報記録層5とから
なる。
【0013】図示されているように、情報記録層5は2
層構造の下地層7a,7bを介して非磁性基体3上に形
成することができる。別法として、下地層7を介さず、
非磁性基体3上に直接形成することもできる。しかし、
下地層7を使用すると、情報記録層5の磁気特性が改善
されるので、一般的に、下地層7を使用することが好ま
しい。下地層7は単一層でもよいが、下地層7を複数の
層から構成すると、単一の場合に比べて、上部に形成さ
れる情報記録層5の磁性結晶粒が良質の結晶性を示すよ
うになるとともに、磁性結晶粒の粒径分布も向上するこ
とにより、磁気特性の改善、特に、保磁力の向上と熱安
定性の向上の効果が得られる。このような下地層7の形
成に使用される材料は当業者に公知である。例えば、C
r,V,Mo,W,Nb,Ti,Ni,Al及びこれら
の合金類などが下地層形成材料として好適に使用され
る。下地層7の成膜方法としは、蒸着法、スパッタ法、
サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法など当業者に
公知の常用又は慣用方法を使用することができる。下地
層7の配向性を向上させ、かつ、結晶粒子を微細化でき
る点から、ECRスパッタ法により下地層7を成膜する
事が好ましい。
【0014】図示されているように、情報記録層5は、
第1の磁性層9、第2の磁性層11及び第3の磁性層1
3の3層からなり、第1の磁性層9と第2の磁性層11
との間には第1の非磁性層15が配設され、更に第2の
磁性層11と第3の磁性層13との間には第2の非磁性
層17が配設されている。この場合、第2の磁性層と第
3の磁性層との間に静磁気的結合が形成される。磁性層
は図示された3層構造に限らず、3層以上の奇数層(例
えば、5層又は7層)であることもできる。この場合
も、磁性層間は非磁性層で区切る。奇数層とするのは、
最上部の層以外から生じる磁束するキャンセルすること
により、記録ビットを高精度に読むためである。従っ
て、2層又は4層などの偶数層でも還流磁区は形成され
るが、上記の観点から所望の特性が得にくい。
【0015】磁性層と非磁性層とからなる情報記録層5
の厚さは一般的に、12nm〜50nmの範囲内である
ことが好ましい。10nm未満では均一な膜厚の情報記
録層5を形成することが困難であり、膜中にピンホール
などが発生する可能性が生じるばかりか、磁気特性も劣
化するので好ましくない。一方、膜厚が50nmを超え
ると、ヘッドからの書き込み磁界が情報記録層5の下部
まで十分には届かず、情報記録層5に不十分な状態で記
録ビットが形成されるなどの問題が生じるので好ましく
ない。
【0016】第1、第2及び第3の磁性層9,11及び
13の膜厚はそれぞれ同一でもよく、或いは相互に異な
っていてもよい。磁性層9、13の膜厚は4nm〜20
nmの範囲内であることが好ましい。これらの磁性層の
膜厚が4nm未満では均一な膜厚の磁性層を形成するこ
とが困難であるばかりか、熱揺らぎのために記録磁化が
安定に存在しなくなる可能性がある。また、膜厚が20
nmを超えると、磁性層に記録されたビットの反磁界の
ために高密度記録時に安定してビットを形成できなくな
る可能性がある。一方、軟磁性層11の膜厚は2nm〜
20nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が2nm
未満では均一な膜厚の磁性層を形成することが困難であ
るばかりか、膜中にピンホールなどが発生する可能性が
ある。また、膜厚が20nm超の場合、ヘッドからの書
き込み用の磁界が磁性層11に吸収される割合が増大
し、磁性層9に記録するために十分な磁界が届き難くな
る可能性がある。第1磁性層と第2磁性層の関係は、各
磁性層の飽和磁化をMs、Ms、膜厚をt、t
とすると、MsとMsの各値がほぼ等しい
ほうが好ましい。これは、第1磁性層に記録されたビッ
トから生じる磁束が第2磁性層でキャンセルされるため
に、再生時にヘッドで検出される記録ビットからの磁束
は第3磁性層のみからなり、再生時のヘッドが飽和する
ことを防ぎやすくなるからである。
【0017】磁性層の形成材料としては、第1及び第3
の磁性層9及び13には硬質磁性膜形成材料を使用し、
第2の磁性層11には軟質磁性膜形成材料を使用するこ
とが好ましい。硬質磁性膜形成材料は、例えば、Co−
Cr、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Pt−B、Co
−Cr−Pt−Ta、Co−Cr−Pt−Ta−B、C
o−Cr−Pt−Nb、Co−Cr−Pt−Ta−Nb
などのCo−Cr系合金や、Sm−Co、Nd−Fe−
Bなどの希土類金属を用いた金属間化合物、Co−P
t、Fe−Ptなどの規則合金などが使用できる。軟質
磁性膜形成材料としては、例えば、Fe−Ni、Fe−
Al−Si、Fe−Nなどの結晶性軟磁性材料、Fe−
Ta−Cなどの微粒子析出型軟磁性材料、Co−Nb−
Zr、Co−Ta−Zrなどの非晶質軟磁性材料が使用
できる。特に、磁性層13の結晶配向性を制御し、磁気
特性を向上する点から結晶性軟磁性材料を用いることが
より好ましい。
【0018】磁性層の成膜方法は当業者に公知の慣用又
は常用の方法であれば全て使用できる。例えば、ベーパ
デポジション法、DCマグネトロンスパッタ法、ECR
スパッタ法などの方法を使用できる。ECRスパッタ法
が好ましい。ECRスパッタ法を用いると、DCマグネ
トロンスパッタ法で作製した場合より保磁力が増大し、
また、10nm以下の膜厚にしても保磁力の劣化は見ら
れないかあるいは著しく小さい。また、磁気異方性も増
大するという効果も得られる。
【0019】第1及び第2の非磁性層15及び17の膜
厚はそれぞれ同一でもよく、或いは相互に異なっていて
もよい。各非磁性層の膜厚は一般的に、1nm〜5nm
の範囲内である。各非磁性層の膜厚が1nm未満では静
磁気的結合が得られないので不適当である。一方、各非
磁性層の膜厚が5nm超の場合、磁性層間に働く静磁気
的結合が弱くなり、各層ごとに磁化が独立で振る舞うな
どの不都合を生じるので好ましくない。各非磁性層の膜
厚は1nm〜3nmの範囲内であることが好ましい。
【0020】非磁性層の形成材料としては、公知の常用
又は慣用の材料を全て使用できる。例えば、Si及びM
gOの他、Cr、Ti、Al、B、C、CuあるいはS
iO 、SiC、TiN、Al 、Cr
などを好適に使用することができる。
【0021】非磁性層の成膜方法は当業者に公知の慣用
又は常用の方法であれば全て使用できる。例えば、ベー
パデポジション法、DCマグネトロンスパッタ法、EC
Rスパッタ法などの方法を使用できる。
【0022】情報記録層5の最上部には保護層19を設
けることができる。このような保護層の使用目的、形成
材料などは当業者に公知である。保護層19の膜厚は一
般的に、1nm〜10nmの範囲内であることが好まし
い。保護層19の膜厚が1nm未満では十分な保護効果
が得られない。一方、保護層19の膜厚が10nm超の
ばあい、磁気特性を劣化させる可能性があり好ましくな
い。保護層19の成膜方法は例えば、ベーパデポジショ
ン法、RFスパッタ法、DCスパッタ法、ECRスパッ
タ法などである。保護層19はECRスパッタ法により
成膜することが好ましい。ECRスパッタ法によれば、
2〜3nmの極薄膜でも、緻密でかつピンホールフリー
で、しかも、カバレージの良い保護膜が得られるからで
ある。これは、RFスパッタ法やDCスパッタ法に比べ
て顕著な違いである。これに加えて、保護膜形成時に磁
性膜の受けるダメージが著しく小さいという特徴もあ
る。特に、50Gb/inを越える高密度記録を行う
場合、磁性膜厚は10nm以下になることが考えられる
ので、成膜時に磁性膜が受けるダメージの影響はますま
す顕著になる。そのような場合に、ECRスパッタ法は
極めて有効な成膜手法であり、超高密度磁気記録用の磁
性膜の製造を行う場合に有効である。
【0023】本発明の磁気記録媒体に使用される非磁性
基板としては、アルミニウム基板の他に、ポリイミド,
ポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルム,ガラ
ス類,セラミック,陽極酸化アルミ,黄銅などの金属
板,Si単結晶板,表面を熱酸化処理したSi単結晶板
などがある。
【0024】また、本発明の磁気記録媒体としては、ポ
リエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの合成樹
脂フィルムを基体とする磁気テープや磁気ディスク、合
成樹脂フィルム、アルミニウム板およびガラス板等から
なる円盤やドラムを基体とする磁気ディスクや磁気ドラ
ムなど、磁気ヘッドと摺接する構造の種々の形態を包含
する。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に例証す
る。
【0026】実施例1 I.情報記録媒体の作製 図1に示される断面構造を有する情報記録媒体を作製し
た。作製した情報記録媒体1における情報記録層5の積
層構造は、基板3に近いほうから、第1の磁性層9がC
o−Cr−Pt系の硬質磁性膜、第2の磁性層11がF
e−Ni系の軟磁性膜、そして、第3の磁性層13がC
o−Cr−Pt−Ta系の硬質磁性膜の3層からなる。
そして、第1の磁性層9と第2の磁性層11との間に間
挿された第1の非磁性層15がSiであり、そして、第
2の磁性層11と第3の磁性層13との間に間挿された
第2の非磁性層17がMgOで、それぞれ各磁性層間の
磁気的相互作用を制御した。剛性を有するディスク基板
(基板)3として、2.5インチサイズのガラス基板を
用い、この上に、第1の下地層7aとして、Ni
45膜を周波数2.98GHzのマイクロ波を用いた
電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法により作
製した。ここで、ECRスパッタ法を用いたのは、Ni
−Al膜の配向性を向上させ、かつ、結晶粒子を微細化
できるからである。また、基板サイズや材質は本実施例
に限られるものではなく、3.5インチや1インチサイ
ズでも良く、また、基板はAlやAl合金、あるいは樹
脂基板でも良く、サイズや基板の材質により本発明の効
果が左右されはないことは言うまでもない。ターゲット
にはNi−Al合金を、また、放電ガスには高純度Ar
ガスをそれぞれ用いた。スパッタ時の圧力は0.3mT
orr、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマを引き込むた
めに500WのRFバイアスを印加した。基板温度は室
温である。この下地膜の膜厚は20nmであった。次
に、第2の下地層7bとしてCr85Ti 膜をDC
スパッタ法により5nm膜厚に形成した。ターゲットに
はCr−Ti合金を、放電ガスにはArをそれぞれ用い
た。ここで、Cr−Ti膜におけるTi組成は、この膜
の上に形成する磁性層(ここでは、Co−Cr−Pt)
の組成や用いる材料に応じて変化させる必要がある。こ
れは、材料の組成や用いる材料により格子定数が異なる
ため、エピタキシャルしにくくなる場合があるからであ
る。スパッタ時の圧力は3mTorr、投入RF電力は
1kWであった。
【0027】次に、第1の磁性層9として、Co69
19Pt12膜をDCスパッタ法により10nm膜厚
に形成した。ターゲットにはCo−Cr−Pt合金を、
放電ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の
圧力は3mTorr、投入DC電力は1kW/150m
mψである。第1の磁性層の作製中は、基板3を350
℃に加熱した。得られた第1の磁性層自身の保磁力は
3.5kOe、飽和磁化は300emu/mlであっ
た。ここでは、成膜法にDCマグネトロンスパッタ法を
用いたが、ECRスパッタ法を用いてもよいことは言う
までもない。ECRスパッタ法を用いると、DCマグネ
トロンスパッタ法で作製した場合より保磁力が0.5k
Oe程度増大し、また、10nm以下の膜厚にしても保
磁力の劣化は見られないか、あるいは著しく小さい。ま
た、磁気異方性は3倍以上に増大した。また、第1の磁
性層9の形成材料としてCo−Cr−Ptを用いたが、
硬質磁性材料であれば、Sm−Co、Nd−Fe−B、
Co−Cr−Pt−Ta、Co−Cr−Pt−Ta−
B、Co−Cr−Pt−Bなどの結晶質の材料も同様に
使用できる。
【0028】これに引き続き、第1の非磁性中間層15
としてSi膜を5nm膜厚に形成した。ターゲットには
Siを、放電ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパ
ッタ時の圧力は3mTorr、投入DC電力は1kW/
150mmψであった。この上に、第2の磁性層11と
して、軟磁性を有するFe75Ni25膜を10nmに
形成した。ターゲットにはFe−Ni合金を、放電ガス
には純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の圧力は3
mTorr、投入DC電力は1kW/150mmψであ
った。この第2の磁性層11単独での磁気特性は、保磁
力が1.0Oe、比透磁率が3000(1MHz)、飽
和磁束密度が1.7Tであった。
【0029】次に、第2の非磁性中間層17としてMg
O膜を5nm膜厚にECRスパッタ法により形成した。
ターゲットにはMgO膜を、放電ガスに高純度Arガス
をそれぞれ用いた。スパッタ時の圧力は0.3 mTo
rr、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマを引き込むた
めに500WのRFバイアスを印加した。基板温度は室
温であった。得られた膜は、単体で2θ=62.5°付
近にMgOの回折ピークが観測されただけで、この他の
ピークは観測されなかった。ここで、第2の非磁性中間
層17にMgOを用いたのは、この薄膜上にCo系磁性
膜を形成すると、Coの配向性をc軸が基板と平行方向
を向くよう制御できるからである。
【0030】第2の非磁性中間層17の上に、第3の磁
性層13として、Co69Cr18Pt10Ta膜を
10nm膜厚にDCスパッタ法により形成した。第3の
磁性層13の成膜中は、基板を350℃に加熱した。タ
ーゲットにはCo−Cr−Pt−Ta合金を、放電ガス
には純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の圧力は3
mTorr、投入DC電力は1kW/150mmψであ
った。ここでは、成膜法にDCマグネトロンスパッタ法
を用いたが、ECRスパッタ法を用いてもよいことは言
うまでもない。ECRスパッタ法を用いると、DCマグ
ネトロンスパッタ法で作製した場合より保磁力が0.5
kOe程度増大し、また、10nm以下の膜厚でも保磁
力の劣化は見られない。また、磁気異方性は3倍以上、
大きく増大した。この第3の磁性層13の磁気特性を単
膜状態で調べた。この磁気記録媒体の磁気特性を測定し
た。得られた磁気特性は、保磁力が3.8kOe、Is
vが2.5×10−16emu、M−Hループにおける
ヒステリシスの角型性の指標であるSが0.8、S
0.91であり、良好な磁気特性を有していた。このよ
うに、角型性を示す指標が大きい(すなわち、角型に近
い)のは、磁性結晶粒子間の相互作用が低減されたため
である。
【0031】最後に、保護層19として、カーボン
(C)膜を5nmの膜厚に形成した。成膜にはマイクロ
波を用いたECRスパッタ法を用いた。スパッタ時の圧
力は0.3 mTorr、投入マイクロ波電力は0.7
kWである。また、マイクロ波により励起されたプラズ
マを引き込むために500VのDCバイアス電圧を印加
した。ここでは、スパッタガスにArを使用したが、窒
素を含むガスを用いて成膜してもよいことは言うまでも
ない。窒素を含むガスを用いると、粒子が微細化すると
ともに、得られるC膜が緻密化し、保護性能をさらに向
上させることができる。この膜の膜質は、このようなス
パッタの条件に大きく依存しているので、この条件は絶
対的なものではない。
【0032】II.情報記録媒体の記録再生特性評価 次に、このような構造および磁気特性を有する情報記録
媒体を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布し
てディスクの記録再生特性を評価した。磁気ディスク装
置の構成の概略を図2に示す。磁気ヘッド23として、
記録には、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜
を用いた薄膜磁気ヘッドを用い、また、再生には、巨大
磁気抵抗効果を有するデュアルスピンバルブ型磁気ヘッ
ドを使用した。磁気ヘッドは駆動系24により制御され
る。磁気ディスク21はスピンドル22により回転し、
ヘッド面と磁性膜との距離を12nmに保った。このデ
ィスク21に50Gb/inに相当する信号を記録し
てディスクのS/Nを評価したところ、34dBの再生
出力が得られた。
【0033】ここで、記録時および再生(および保存)
時の磁化の向きを図3に示す。この図から、記録時に
は、磁気ヘッドからの磁界により3層の各磁性層とも同
じ向きの磁化を有している。しかし、再生(および保
存)時の磁化の向きは、第1の磁性層9および第3の磁
性層13と第2の磁性層11とは異なる向きの磁化の向
きである。このような構造を取ることにより、第1の磁
性層9と第2の磁性層11との間、ならびに、第3の磁
性層13と第2の磁性層11との間で還流磁区が形成さ
れているので、情報記録層である第3の磁性層13に形
成される磁区が安定に存在できる。特に、50GB/i
級の情報記録を行っても安定に磁区は存在できる。
このディスクを70℃以上の環境中に1000時間以上
放置しても再生信号出力の低下は3%以下であった。こ
れに対して、基板/Ni−Al/Cr−Ti/Co−C
r−Pt−Ta/Cの通常の磁気ディスクの劣化の状況
を調べたところ、70℃以上の環境中に1000時間以
上放置したところ、30%の出力の低下が観測された。
このように、非磁性層により区切られた3層構造の磁性
層を有する本発明の構造を採用することにより、熱安定
性を大きく向上させることができた。また、このディス
クの欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない
場合の値で、1×10−5以下であった。
【0034】前記実施例では、情報記録用の磁性膜にC
o−Cr−Pt−Ta系を用いたが、Ptの代りにP
d,Tb,Gd,Sm,Nd,Dy,Ho,Euを用い
ても良く、また、Taの代りにNb,Si,B,Vなど
の元素を用いても良い。また、複数の元素を含んでも良
いことは言うまでもない。また、ここでは第1および第
2非磁性中間層としてSiやMgOなどを用いたが、非
磁性であれば無機化合物でも金属でもその材料に依存す
るものではない。また、ヘッド磁界を良好に情報記録媒
体に印加するという観点からは、Co−Cr系やPt/
Co人工格子膜などに代表される垂直磁化膜を用いても
良い。
【0035】実施例2 I.情報記録媒体の作製 5層の磁性層と4層の非磁性層からなる情報記録層を有
する情報記録媒体を作製した。作製した情報記録媒体に
おける磁性膜の積層構造は、基板に近い方から、第1磁
性層がCo−Cr−Pt−Ta系の硬質磁性膜、第2,
3及び4磁性層がFe−Ni系の軟磁性膜、第5磁性層
がCo−Cr−Pt−B系の硬質磁性膜の5層からな
る。各磁性層の間にはMgOの非磁性層で分離すること
により、それぞれ各磁性層間の磁気的相互作用を制御し
た。剛性を有するディスク基板(基板)として、2.5
インチサイズのガラス基板を用い、この上に、第1の下
地層として、Ni55Al45膜を周波数2.98GH
zのマイクロ波を用いた電子サイクロトロン共鳴(EC
R)スパッタ法により作製した。ここで、ECRスパッ
タ法を用いたのは、Ni−Al膜の配向性を向上させ、
かつ、結晶粒子を微細化できるからである。また、基板
サイズや材質は本実施例に限られるものではなく、3.
5インチや1インチサイズでも良く、また、基板はAl
やAl合金、あるいは樹脂基板でも良く、サイズや基板
の材質により本発明の効果が左右されないことは言うま
でもない。ターゲットにはNi−Al合金を、また、放
電ガスには高純度Arガスをそれぞれ用いた。スパッタ
時の圧力は0.3mTorr、投入マイクロ波電力は
0.7kWであった。また、マイクロ波により励起され
たプラズマを引き込むために500WのRFバイアスを
印加した。基板温度は室温である。この下地膜の膜厚は
20nmであった。次に、第2の下地層としてCr
Ti15膜をDCスパッタ法により25nm膜厚に形成
した。ターゲットにはCr−Ti合金を、放電ガスには
Arをそれぞれ用いた。ここで、Cr−Ti膜における
Ti組成は、この膜の上に形成する磁性層(ここでは、
Co−Cr−Pt−Ta)の組成や用いる材料に応じて
変化させる必要がある。これは、材料の組成や用いる材
料により格子定数が異なるため、エピタキシャルしにく
くなる場合があるからである。スパッタ時の圧力は3m
Torr、投入RF電力は1kWであった。
【0036】次に、基板に最も近い第1の磁性層とし
て、Co66Cr19Pt12Ta膜をDCスパッタ
法により10nm膜厚に形成した。ターゲットにはCo
−Cr−Pt−Ta合金を、放電ガスには純Arをそれ
ぞれ使用した。スパッタ時の圧力は3mTorr、投入
DC電力は1kW/150mmψである。第1の磁性層
の作製中は、基板3を350℃に加熱した。得られた第
1の磁性層自身の保磁力は3.5kOe、飽和磁化は3
00emu/mlであった。ここでは、成膜法にDCマ
グネトロンスパッタ法を用いたが、ECRスパッタ法を
用いてもよいことは言うまでもない。ECRスパッタ法
を用いると、DCマグネトロンスパッタ法で作製した場
合より保磁力が0.5kOe程度増大し、また、10n
m以下の膜厚にしても保磁力の劣化は見られないか、あ
るいは著しく小さい。また、第1の磁性層の形成材料と
してCo−Cr−Pt−Taを用いたが、硬質磁性材料
であれば、Sm−Co、Nd−Fe−B、Co−Cr−
Pt−Ta−B、Co−Cr−Pt−Bなどの結晶質の
材料も同様に使用できる。
【0037】これに引き続き、第1の非磁性中間層とし
て膜厚2nmのMgO膜をECRスパッタ法により形成
した。ターゲットにはMgOを、放電ガスには純Arを
それぞれ使用した。スパッタ時の圧力は0.3mTor
r、投入マイクロ波電力は0.7kWであった。また、
マイクロ波により励起されたプラズマを引き込むため
に、500WのRFバイアスを印加した。基板温度は室
温であった。得られた膜は、単体で2θ=62.5゜付
近にMgOの回折ピークが観測されただけで、この他の
ピークは観測されなかった。ここで、第1の非磁性中間
層としてMgO膜を使用したのは、この上部に形成する
第2の磁性層である軟磁性膜をエピタキシャル成長さ
せ、結晶性の良好な軟磁性薄膜を得るためである。
【0038】第1の非磁性中間層の上に、第2の磁性層
として、軟磁性を有するFe75Ni25膜を3nmに
形成した。ターゲットにはFe−Ni合金を、放電ガス
には純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の圧力は3
mTorr、投入DC電力は1kW/150mmψであ
った。この第2の磁性層単独での磁気特性は、保磁力が
1.0Oe、比透磁率が3000(1MHz)、飽和磁
束密度が1.7Tであった。
【0039】次に、第2の非磁性中間層としてMgO膜
を2nm膜厚にECRスパッタ法により形成した。この
成膜条件は第1の非磁性中間層の成膜条件と同じであっ
た。この上部に、第3の磁性層、第3の非磁性層、第4
の磁性層及び第4の非磁性層を順次積層した。第3及び
第4の磁性層は、第2の磁性層と膜厚及び成膜条件を同
一とした。また、第3及び第4の非磁性中間層は第1の
非磁性中間層と同じ膜厚であり、同じ成膜条件で成膜し
た。この第4の非磁性中間層の上に、情報記録層とし
て、第5の磁性層として、膜厚が10nmのCo65
20Pt12 膜をDCスパッタ法により形成し
た。第5の磁性層の成膜中は、基板を350℃に加熱し
た。ターゲットにはCo−Cr−Pt−B合金を、放電
ガスには純Arをそれぞれ使用した。スパッタ時の圧力
は3mTorr、投入DC電力は1kW/150mmψ
であった。ここでは、成膜法にDCマグネトロンスパッ
タ法を用いたが、ECRスパッタ法を用いてもよいこと
は言うまでもない。ECRスパッタ法を用いると、DC
マグネトロンスパッタ法で作製した場合より保磁力が
0.4kOe程度増大し、また、10nm以下の膜厚で
も保磁力の劣化は見られない。この第5の磁性層の磁気
特性を単膜状態で調べた。この磁気記録媒体の磁気特性
を測定した。得られた磁気特性は、保磁力が3.9kO
e、Isvが2.2×10−16emu、M−Hループ
におけるヒステリシスの角型性の指標であるSが0.8
5、Sが0.89であり、良好な磁気特性を有してい
た。このように、角型性を示す指標が大きい(すなわ
ち、角型に近い)のは、磁性結晶粒子間の相互作用が低
減されたためである。
【0040】最後に、保護層として、カーボン(C)膜
を5nmの膜厚に形成した。成膜にはマイクロ波を用い
たECRスパッタ法を用いた。スパッタ時の圧力は0.
3mTorr、投入マイクロ波電力は0.7kWであ
る。また、マイクロ波により励起されたプラズマを引き
込むために500VのDCバイアス電圧を印加した。こ
こでは、スパッタガスにArを使用したが、窒素を含む
ガスを用いて成膜してもよいことは言うまでもない。窒
素を含むガスを用いると、粒子が微細化するとともに、
得られるC膜が緻密化し、保護性能をさらに向上させる
ことができる。この膜の膜質は、このようなスパッタの
条件に大きく依存しているので、この条件は絶対的なも
のではない。ここで、保護膜の作製にECRスパッタ法
を用いたのは、2〜3nmの極薄膜でも、緻密かつピン
ホールフリーであり、しかもカバレージのよいカーボン
膜が得られるからである。これはRFスパッタ法やDC
スパッタ法に比べて顕著な違いである。これに加えて、
保護膜や磁性膜の受けるダメージが著しく小さいという
特徴もある。特に、50Gb/inを超える高密度記
録を行う場合、磁性膜厚は10nm以下になることが考
えられるので、成膜時に磁性膜が受けるダメージの影響
はますます顕著になる。そのような場合に、ECRスパ
ッタ法は極めて有効な成膜方法であり、超高密度磁気記
録用の磁性膜を作製するのに特に有効である。
【0041】II.情報記録媒体の記録再生特性評価 次に、このような構造および磁気特性を有する情報記録
媒体を用いた磁気ディスクの媒体表面に潤滑剤を塗布し
てディスクの記録再生特性を評価した。磁気ディスク装
置としては実施例1で使用されたものと同じ、図2に示
される構造の装置を使用した。この磁気ディスクに50
Gb/inに相当する信号を記録してディスクのS/
Nを評価したところ、34dBの再生出力が得られた。
【0042】記録時および再生(および保存)時の磁化
の向きとしては、記録時には、磁気ヘッドからの磁界に
より5層の各磁性層とも同じ向きの磁化を有している。
しかし、再生(および保存)時の磁化の向きは、第1、
第3及び第5の磁性層と第2及び第4の磁性層とは異な
る向きの磁化の向きである。このような構造を取ること
により、各上下の磁性層間に還流磁区が形成されている
ので、情報記録層である第5の磁性層に形成される磁区
が安定に存在できる。特に、50GB/in級の情報
記録を行っても安定に磁区は存在できる。このディスク
を70℃以上の環境中に1000時間以上放置しても再
生信号出力の低下は4%以下であった。これに対して、
基板/Ni−Al/Cr−Ti/Co−Cr−Pt−T
a/Cの通常の磁気ディスクの劣化の状況を調べたとこ
ろ、70℃以上の環境中に1000時間以上放置したと
ころ、30%の出力の低下が観測された。このように、
非磁性層により区切られた奇数層構造の磁性層を有する
本発明の構造を採用することにより、熱安定性を大きく
向上させることができた。また、このディスクの欠陥レ
ートを測定したところ、信号処理を行わない場合の値
で、1×10−5以下であった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁気特性の異なる3層の磁性層を用い、これらの各磁性
層を非磁性層で区切ることにより、これらの各磁性層間
で還流磁化回路が形成される。その結果、磁気ヘッドに
最も近い情報記録用磁性層に形成される磁区の安定性を
再生信号の低下無しに向上させることができる。熱揺ら
ぎ、熱減磁に強い高信頼性を有する情報記録媒体を得る
ことができる。特に、50Gb/in級の高密度磁気
記録において形成される0.1μm程度の磁区でも安定
的に存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の一例の概要断面図であ
る。
【図2】図1に示された情報記録媒体の記録再生に使用
される磁気ディスク装置の一例であり、(A)はその平
面図であり、(B)は(A)におけるB−B線に沿った
断面図である。
【図3】実施例で作製された情報記録媒体の記録再生時
の磁化方向を示す模式図であり、(A)は記録時の磁化
方向を示し、(B)は再生時の磁化方向を示す。
【符号の説明】
1 本発明の情報記録媒体 3 基板 5 情報記録層 7 下地層 9 第1の磁性層 11 第2の磁性層 13 第3の磁性層 15 第1の非磁性層 17 第2の非磁性層 19 保護層 21 磁気ディスク 22 スピンドル 23 磁気ヘッド 24 駆動系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神田 哲典 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 松沼 悟 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 木村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB02 BB05 BB07 BB08 DA03 FA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体上に少なくとも情報記録層を
    有する磁気記録媒体において、前記情報記録層は少なく
    とも3層の磁性層からなり、前記磁性層は該各磁性層同
    士が互いに非磁性層を介して積層されており、非磁性基
    体に最も近い側の磁性層及び磁気ヘッドに最も近い側の
    磁性層がそれぞれ硬質磁性膜であり、該硬質磁性膜の中
    間に配置される磁性層が軟質磁性膜であり、磁気ヘッド
    に最も近い側の磁性層が情報の記録に使用され、磁気ヘ
    ッドに最も近い側の磁性層と中間磁性層とが互いに静磁
    気的に結合していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記情報記録層の膜厚が12nm〜50
    nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記情報記録層と非磁性基体との間に下
    地層が存在することを特徴とする請求項1に記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記情報記録層へ情報を記録する場合に
    は、前記磁性層の磁化の方向が3層とも同一方向であ
    り、情報を再生或いは保持する場合には、第1層目の磁
    性層と第3層目の磁性層とが同じ磁化方向を有し、第2
    層目の磁性層の磁化方向が第1層目及び第3層目の磁性
    層の磁化方向と反対向きとなることを特徴とする請求項
    1に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記情報記録層へ情報を記録する場合、
    該磁性層のうち、硬質磁性を有する第1及び第3の磁性
    層を外部から印加した磁界により該磁性層の磁化の方向
    を所定の方向に向け、かつその方向が同一方向となるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記情報記録層が50Gb/in以上
    の面記録密度を有することを特徴とする請求項1に記載
    の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 少なくとも磁気記録媒体、磁気ヘッド、
    ディスク駆動系及び電気回路を有する情報記録装置にお
    いて、 前記磁気記録媒体は非磁性基体上に少なくとも情報記録
    層を有し、該情報記録層は少なくとも3層の磁性層から
    なり、前記磁性層は該各磁性層同士が互いに非磁性層を
    介して積層されており、非磁性基体に最も近い側の磁性
    層及び磁気ヘッドに最も近い側の磁性層がそれぞれ硬質
    磁性膜であり、該硬質磁性膜の中間に配置される磁性層
    が軟質磁性膜であり、磁気ヘッドに最も近い側の磁性層
    が情報の記録に使用され、磁気ヘッドに最も近い側の磁
    性層と中間磁性層とが互いに静磁気的に結合しているこ
    とを特徴とする情報記録装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7556870B2 (en) 2005-08-15 2009-07-07 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Antiferromagnetically coupled media for magnetic recording with weak coupling layer

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7556870B2 (en) 2005-08-15 2009-07-07 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Antiferromagnetically coupled media for magnetic recording with weak coupling layer

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