JP2002085554A - ターボ式血液ポンプ - Google Patents
ターボ式血液ポンプInfo
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Abstract
微量の流量調整・流量維持が可能な医療用送液ポンプを
提供すること。また、(所定の駆出能を得るために必要
な)実用上の高回転域で使用しても、溶血の少ない医療
用送液ポンプを提供すること。 【解決手段】 血液導入口および血液出口とを備
えたハウジングの内部に回転自在となるようにインペラ
を配置した血液ポンプにおいて、前記インペラが回転軸
と、複数のベーン(羽根)と、各ベーンの出口部側が連
結される環状連結部と、1つ以上の前記ベーンを回転軸
に連結する支持手段(支持柄)とを有し、ベーン入口部
とベーン出口部とがねじれの位置にあることを特徴とす
るターボ式血液ポンプ。
Description
に関し、特にインペラの回転によって血液に推力を与え
て、送血するターボ式血液ポンプに関する。
て、従来ではローラー式血液ポンプが多く使用されてき
たが、最近では遠心型血液ポンプを使用する比率が高く
なっている。それは、ローラー式血液ポンプに比べ、遠
心型血液ポンプは血液損傷が少ない等、様々な利点があ
るからである。また、従来の大型のローラー式血液ポン
プの駆動部に比べれば、遠心型血液ポンプのそれは小さ
くて済むため、設置や移動が非常に簡便となる。
以下に記載するような問題点もあり、未だ充分に満足す
べきものではなかった。第1に、遠心型ポンプの血液充
填量の問題があった。遠心型血液ポンプでは、溶血を低
減するために、低回転での駆動が望ましい。しかし、回
転数を下げると、同じ駆出能(送液量)を得るためには
ポンプを大型化する必要があった。ところが、血液ポン
プを大型化すると、血液充填量が増加し、その結果体外
循環血液量が増え、患者の負担は大きいものとなる。
を得るためには、インペラを高速回転させなくてはなら
ず、溶血(血液損傷)等の問題があった。また、回転
数、液駆出量、充填量等の規格において、成人用に設計
された遠心ポンプを、小児や血液循環量の多く取れない
患者に適用すると、低回転域で使用しなくてはならず、
低流量の調整や維持が困難であった。
回転をインペラの回転軸に伝えるため、血液の流入・流
出するポンプ室と駆動手段、或いは前記ポンプ室と駆動
伝達のための従動磁石を収納した空間とを遮断する軸シ
ールを有するものが多かったが、この軸シールが有る
と、血液リークの対策を考慮しなくてはならず、また軸
シール部分が発熱の原因になったり、血栓形成の誘引と
なったりして望ましくなかった。一方、軸シールが無い
場合でも、従来の遠心ポンプは滞留し易い部分が少なく
なかったので、血栓が形成し易く、長時間の体外循環に
使用することが困難であった。
たような様々な問題を解決した血液ポンプを提供するこ
とである。即ち、第1に小型(血液充填量が小さく)
で、微量の流量調整・流量維持が可能なターボ式血液ポ
ンプを提供すること。第2に、(所定の駆出能を得るた
めに必要な)実用上の高回転域で使用しても、溶血の少
ないターボ式血液ポンプを提供すること。
れ、長時間の体外循環に適応できる血液ポンプを提供す
ること。第4に長時間使用しても、安定した送液ができ
る血液ポンプを提供すること。
および血液出口とを備えたハウジングの内部に回転自在
となるようにインペラを配置した血液ポンプにおいて、
前記インペラが回転軸と、複数のベーン(羽根)と、各
ベーンの出口部側が連結される環状連結部と、1つ以上
の前記ベーンを回転軸に連結する支持手段(支持柄)と
を有し、ベーンの入口上部端とベーン入口下部端とを結
ぶベーン入口線kが、回転軸に対し、ねじれの位置にあ
り、ベーンの出口上部端とベーン出口下部端とを結ぶベ
ーン出口線lもベーン入口線kに対し、ねじれの位置に
あることを特徴とするターボ式血液ポンプによって、上
記課題を解決した。
様によって、さらなる利点を得ることができる。その1
つは、前記ベーン出口線lが回転軸に対し、実質的に平
行である前記記載のターボ式血液ポンプである。この血
液ポンプにおいて、或いは出口線lが回転軸に対し、平
行でない前記記載の血液ポンプにおいて、前記ベーン入
口線kと回転軸とのなす角度が、前記ベーン出口線lと
回転軸とのなす角度より大きいものが好ましい。
上部端とを結ぶベーン上面線mと回転軸とのなす角度
(α)が、ベーンの入口下部端とベーン出口下部端とを
結ぶベーン下面線nと回転軸とのなす角度(β)よりも
小さいものである前記記載のターボ式血液ポンプ。
口上部端を通るインペラと同心円のベーン入口における
接線pとのなす角度θが、前記ベーン下面線nと、ベー
ン出口下面におけるインペラ外周との接線qとのなす角
度εより小さいものである前記記載のターボ式血液ポン
プ。
ン入口線kとベーン出口線lとを滑らかにつないだ曲面
形状をしており、回転軸に対してねじれの位置にあるベ
ーンの入口線を、半径外方向に沿って、回転軸に平行に
なるように回旋させた軌跡を持つ前記記載のターボ式血
液ポンプ。
のベーンがそれぞれ回転対称となるように交互に配置さ
れたものであり、さらに前記ベーンの総数が4〜8の範
囲のものである前記記載のターボ式血液ポンプ。
送液ポンプの実施態様を簡単に説明する。図1は、本発
明の血液ポンプについて、1つの実施態様の内部構造を
示す断面図である。1はハウジングであり、血液を通過
させ流動させるためのポンプ室2を有する。ハウジング
1には、ポンプ室2の上部に連通する入口ポート3と、
ポンプ室2の側部に連通する出口ポート4とが設けられ
ている。ポンプ室2内には、インペラ5が配置されてい
る。
ベーン6、回転軸7、及びリング状の環状連結部8を有
する。ベーン6の幾つかの中心部は支持柄40によっ
て、回転軸に結合されており、ベーン6の全ての周縁部
は環状連結部8に結合されている。ベーンの数が多けれ
ば、それだけ駆出能が向上するが、流路の確保が困難と
なり、溶血を引き起こすもとになる。また、ベーンの数
が多ければ、製造する上でもより困難になる。従って、
より好ましいベーンの数は4〜8程度である。
ベーン6aは大きめに形成され、それらの中心部が回転
軸に結合されているが、残りの3枚のベーン6bは小さ
めに形成され、回転軸には結合されていない。ベーン6
bは、ベーンの下端部が環状連結部8に結合されている
だけである。
持柄の数が多くなって、インペラを製造し難くなる。ま
た、支持柄が多いと流路の妨げになるため、好ましくな
い。支持柄はインペラの回転を(回転)軸に伝える上
で、最小限の数を有していれば良い。また、ベーンの大
きさを異なったものにしたのは、流路の確保、流体の乱
れの低減等といった理由からである。
元曲面形状であり、流体に接触(衝突?)する入口部の
回転軸に対する傾斜角度γを所定の値(20〜40度)に設
定することによって、ベーン後面で発生するキャビテー
ション(流れの剥離,渦流?)を抑制し、溶血を低減化
している。そして、出口部の回転軸に対する傾斜角度δ
を0°、即ち回転軸と平行に近くなるようにすることに
よって、駆出能を向上させている。すなわち、図5に示
すように、インペラのベーン入口とインペラ回転軸との
なす角度γは、前記ベーン出口とインペラ回転軸とのな
す角度δより大きく形成されている。より詳細には、以
下のような構成が望ましい。
と出口上部端とを結ぶ線(ベーン上面線m)と回転軸と
のなす角度αは、ベーン6の入口下面と出口下面を結ぶ
線(ベーン下面線n)と回転軸とのなす角度βよりも小
さいものである。ベーン上面線mは回転軸に対して、45
°〜 °の角度を形成し、また、ベーン下面線nは回転
軸に対して、60°〜 °の角度を形成する。その結
果、インペラでの血液の流れは回転軸に対して、垂直で
も平行でもなく、斜めの流れとなる。
またベーン上面線m、下面線nを位置関係を模式的に示
した図6において、ベーン上面線mと(ベーン入口上部
端を通過するインペラと同心円のベーン入口における)
接線pとのなす角度θが、ベーン下面線nと(ベーン出
口下面におけるインペラ外周との)接線qとのなす角度
εより小さいものである。また、インペラのベーン入口
線k(即ち、入口上部端と入口下部端とを結ぶ線分)は
回転軸(仮想線)oに対して約30°になるように角度γ
を形成し、インペラベーン出口線l(即ち、出口上部端
と出口下部端とを結ぶ線分)は仮想線oに対して0°、
即ち回転軸に平行になるように角度δを形成する。上記
のような構成をとることによって、充分な駆出能を有し
ながら、溶血の低減した血液ポンプが実現できる。
8で連結し、インペラをフルオープン構造にすることに
よって、中央のスペース41にも血液が流通し、血液の
滞留を防止することができる。
量化、易成型性、強度、寸法安定性等の点からポリカー
ボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォ
ン等の合成樹脂が望ましい。
受け9及び下部軸受け10により、回転自在に支持され
ている。軸受けの素材は耐摩耗性の大きいものであれば
良く、例えば超高分子量ポリエチレン、ポリエーテルエ
ーテルケトン(以下、PEEKともいう)等の高耐久性
プラスチックが好適に利用できる。環状連結部8には、
複数個の従動磁石12が一定間隔でもって埋設、固定さ
れている。ハウジングの下部にはロータ13が配置され
ている。ロータ13は、互いに結合された駆動軸14と
略円柱状の軸結合部15を有する。図1に示されるよう
に、軸結合部の上面部にはインペラの環状連結部8下方
に埋設された従動磁石12と磁気結合できるように、駆
動磁石16が埋設されている。
と磁気結合部上面部は、強力な磁気結合を得ると同時
に、溶血性や滞留部位の低減を実現するため、回転軸に
対して斜め方向に対面している。図示しないが、ロータ
ーにモーターを結合し、モーターを回転させることによ
って、ローターやインペラを回転させ、その結果推力に
よって血液が送液される。
結部の出口側周面44とは所定の距離を置いて配置され
ている。上記の離間距離は血液ポンプの回転数によっ
て、影響される。上記距離が小さ過ぎると、溶血し易く
なるが、逆に多過ぎると、血液充填量が増えるなどの問
題を引き起こす。
グ内やインペラ外面等のポンプ室内で血液と接触する全
ての構成要件を抗血液凝固化しても良い。抗血液凝固の
手段としては、特に限定されないが、抗血栓性ムコ多糖
を血液接触表面にイオン結合させる方法は応用範囲が広
く、且つ効果的である。例えば、本出願人による特願平
11-99485号の明細書中に開示した、ヘパリンと4級化ア
ンモニウム塩との複合体をプラスチック表面にコーティ
ングする方法等が好適に適用される。
ポンプを示す。各構成の図番は既述した実施態様で使用
した図番と一致させている。ポンプの寸法は外径、高さ
がそれぞれ58mm、56mmであり、重量は43g、
ポンプ室の血液充填量は20mLである。ハウジング、
インペラの素材はポリカーボネート等であり、回転軸は
ステンレス鋼、上部および下部軸受けは前述のPEEK
によって形成されている。
角度によって説明する。ベーン上面線と回転軸とのなす
角度αが45°、ベーン下面線と回転軸とのなす角度β
が60°、ベーン入口線kと回転軸とのなす角度γは3
0°、ベーン出口線lと回転軸とのなす角度δが0°、
ベーン上面線と接線pとのなす角度θが26°、ベーン
下面線と接線qとのなす角度εが95°である。環状連
結部の外円直径は39.0mm、内円直径は22.0m
m、環状連結部からベーン入口上端部までの長さは2
0.0mmで、回転軸長さは10.0mmである。
とによって、既述した様々な問題を解消することができ
る。第1に小型(血液充填量が小さく)の送液ポンプで
あっても、高流量の送液が可能である。一方、回転数を
下げることによって、微量の流量調整や設定した低流量
維持も簡易にできる。第2に、本送液ポンプを実用上の
高回転域で駆動しても、溶血度が小さく生体に与えるダ
メージを軽減できる。その結果、長時間の血液体外循環
にも対応可能となる。
ること。本願の血液ポンプでは、ポンプ内の滞留し易い
箇所・構造を避け、(滞留し難いように)改善されてい
るため、血栓の形成が抑制できる。そのため、低流量域
の送液においても、血栓の形成が抑えられ、且つ長時間
の使用にも耐え得る。
が高い摺動特性と寸法安定性を有しているため、長時間
の駆動によっても、疲労する度合いが少なく、良好な耐
久性を示し、その結果、安定した送液能(特性)を有す
る。
ンプ本体部の大まかな構造を示す断面的概略図。
部分の形状を示す側面概略図。
部分の形状を示す平面概略図。
プ本体部の大まかな構造を示す断面的概略図。
位置を示す模式図。
らみたベーンの取付け位置を示す模式図。
入口における接線 q.ベーン出口下面におけるインペラ外周との接線 α.ベーン上面線と回転軸とのなす角度 β.ベーン下面線と回転軸とのなす角度 γ.ベーン入口線kと回転軸とのなす角度 δ.ベーン出口線lと回転軸とのなす角度 θ.ベーン上面線と接線pとのなす角度 ε.ベーン下面線と接線qとのなす角度
Claims (7)
- 【請求項1】血液導入口および血液出口とを備えたハウ
ジングの内部に回転自在となるようにインペラを配置し
た血液ポンプにおいて、前記インペラが回転軸と、複数
のベーン(羽根)と、各ベーンの出口部側が連結される
環状連結部と、1つ以上の前記ベーンを回転軸に連結す
る支持手段(支持柄)とを有し、ベーンの入口上部端と
ベーン入口下部端とを結ぶベーン入口線kが、回転軸に
対し、ねじれの位置にあり、ベーンの出口上部端とベー
ン出口下部端とを結ぶベーン出口線lもベーン入口線k
に対し、ねじれの位置にあることを特徴とするターボ式
血液ポンプ。 - 【請求項2】前記ベーン出口線lが回転軸に対し、実質
的に平行であることを特徴とする請求項1に記載のター
ボ式血液ポンプ。 - 【請求項3】前記ベーン入口線kと回転軸とのなす角度
が、前記ベーン出口線lと回転軸とのなす角度より大き
いものである請求項1または2のいずれかに記載のター
ボ式血液ポンプ。 - 【請求項4】ベーンの入口上部端とベーン出口上部端と
を結ぶベーン上面線mと回転軸とのなす角度(α)が、
ベーンの入口下部端とベーン出口下部端とを結ぶベーン
下面線nと回転軸とのなす角度(β)よりも小さいもの
である請求項1〜3のいずれかに記載のターボ式血液ポ
ンプ。 - 【請求項5】前記ベーン上面線mと、ベーン入口上部端
を通るインペラと同心円のベーン入口における接線pと
のなす角度θが、前記ベーン下面線nと、ベーン出口下
面におけるインペラ外周との接線qとのなす角度εより
小さいものである請求項1〜4のいずれかの項に記載の
ターボ式血液ポンプ。 - 【請求項6】インペラのプロフィールが、ベーン入口線
kとベーン出口線lとを滑らかにつないだ曲面形状をし
ており、回転軸に対してねじれの位置にあるベーンの入
口線を、半径外方向に沿って、回転軸に平行になるよう
に回旋させた軌跡を持つ請求項1〜5のいずれかの項に
記載のターボ式血液ポンプ。 - 【請求項7】インペラが、面積の異なる2種類のベーン
がそれぞれ回転対称となるように交互に配置されたもの
であり、さらに前記ベーンの総数が4〜8の範囲のもの
である請求項1〜6のいずれかの項に記載のターボ式血
液ポンプ。
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