JP3247716B2 - 血液ポンプ - Google Patents

血液ポンプ

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JP3247716B2
JP3247716B2 JP04796092A JP4796092A JP3247716B2 JP 3247716 B2 JP3247716 B2 JP 3247716B2 JP 04796092 A JP04796092 A JP 04796092A JP 4796092 A JP4796092 A JP 4796092A JP 3247716 B2 JP3247716 B2 JP 3247716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液を搬送する血液ポ
ンプに関し、特に、血液体外循環回路に用いるのに好適
な遠心型の血液ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】血液や血漿等の生物学的流体を搬送する
ポンプ装置としては、米国特許第4589822号明細
書、特公昭57−23114号公報に記載されたもの等
が知られている。これらはいずれも、遠心力によって血
液を送り出すターボ型のポンプであり、前者は一般的な
オープン型の多翼ベーンの回転によって遠心力を発生
し、後者は複数の円錐状のローテータ間の摩擦力を利用
して遠心力を発生するものである。
【0003】ところで、血液ポンプによる血液の搬送に
おいては、血液中の血球や血小板のごとき有用な細胞
(有形成分)の破壊や機能の低下を極力少なくするこ
と、異物反応や温度上昇等により血液が凝固しないよう
にすること、ポンプ内に充填される血液量(プライミイ
ング量)をできるだけ少なくすること、およびポンプ効
率を高めることが重要な課題とされている。
【0004】これらの課題うち、血液中の細胞の破壊や
機能の低下については、送血時においてポンプ内に血液
の流れの乱れが生じることが大きな原因であることが知
られている。この点に関し、特公昭57−23114号
公報に示されている血液ポンプでは、複数の円錐面状の
ローテータ間の摩擦力によって流体に遠心力を付与する
ポンプであり、ローテータ間の血液通路に流れの乱れが
生じ難く、よって、細胞の破壊が少ないポンプとして知
られている(ハイドロダイナミカル アンドヘモダイナ
ミカル エバレーション オブ ロータリー ブラッド
ポンプズ:インター ワークショップ オン ロータ
リー ブラッド ポンプズ ウィーン1988 76−
81ページ(Hydrodynamical and Hemodynamical Evalua
tionof Rotary Blood Pumps:Inter.Workshop on Rotar
y Blood Pumps Vienna 1988pp76-81) )。
【0005】しかしながら、この血液ポンプは、一般的
なベーンを用いたポンプに比べるとポンプ効率が悪く、
同サイズのベーン型ポンプに比べ、同等の揚程を発生す
るためには、かなり高い回転数を必要とする。このた
め、回転軸のシール部分に局所的な発熱が生じ、その周
囲の血液が変性、凝固してしまうという欠点がある。ま
た、この血液ポンプは、同サイズのベーン型ポンプと同
等の吐出量を得るためには、複数枚のローテータを必要
とするため、これらを収納するケーシング内の空間の容
量が増し、この空間に充填される血液量(プライミイン
グ量)が増加するという欠点がある。
【0006】一方、米国特許第4589822号明細書
に示されている血液ポンプは、軸シール部の局所発熱を
低減するために、中心部に大きな開口部を有するオープ
ン型の多翼ベーンを用いてシール部周囲の血液の流速を
上げ、さらにヒートシンク構造を付加することを提案し
ている。
【0007】しかしながら、このようなオープン型の多
翼ベーンによる血液ポンプでは、ベーン間を血液が流れ
る際にうず流や逆流が生じ、流れの乱れが発生し易いた
め、赤血球の破壊(溶血)や血小板の機能低下が生じ易
く、長時間の使用には適さないという問題があった。
【0008】なお、一般に、血液ポンプを大型にすれ
ば、より低い回転数で高い揚程が得られ、この回転数の
低下によって細胞の破壊や血液の凝固が抑制されるが、
同時に、ポンプ内に充填される血液量(プライミイング
量)が増大するため、前記課題を両立することはできな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
イミイング量を増加させることなく、血液中の細胞の破
壊や機能低下を抑制し、低回転で優れたポンプ特性を発
揮する血液ポンプを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。
【0011】(1) 内部にほぼ円形の室が形成され、
この室に連通する血液導入口および血液導出口を有する
ハウジングと、中心部付近から放射状に配置された複数
の血液通路を有し、前記室内にこれと同心的に収納され
た回転体と、前記回転体を前記室内において回転可能に
支持する軸受部とを備える血液ポンプであって、前記血
液通路は、それぞれ、当該血液通路内の血液の流れ方向
に沿って断面積が一定かまたは連続的に減少するように
形成され、かつ、当該血液通路の中心線が前記回転体の
中心軸と交わらないように配置されており、前記血液導
入口付近における前記ハウジングの内面と前記回転体と
の間隙距離をLとし、前記血液導入口の内径をDとした
とき、L≦0.3Dなる関係を満足し、かつ、前記回転
体の半径をRとし、前記室の半径をRとしたとき、
≧0.9Rなる関係を満足することを特徴とする
血液ポンプ。
【0012】(2) 前記血液通路は管状である上記
(1)に記載の血液ポンプ。
【0013】(3) 前記血液通路は直線形状をなして
いる上記(1)または(2)に記載の血液ポンプ。
【0014】(4) 前記回転体の中心部に、前記血液
導入口に向って突出する突起部が設けられている上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0015】(5) 前記血液通路は、その中心線が前
記回転体の中心軸と側面視において75〜90°の角度
をなすように形成されている上記(1)ないし(4)の
いずれかに記載の血液ポンプ。
【0016】
【発明の構成】以下、本発明の血液ポンプを添付図面に
示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0017】図1は、本発明の血液ポンプの構成例を示
す断面側面図、図2は、図1中のA−A線における断面
図である。これらの図に示すように、本発明の血液ポン
プ1は、内部にほぼ円形の室23を有するとともに、こ
の室23に連通する血液導入口21および血液導出口2
2を有するハウジング2と、中心部付近から放射状に配
置された複数の血液通路34を有し、室23内にこれと
同心的に収納された回転体3と、この回転体を室23内
において回転可能に支持する軸受部4とを備えている。
以下、各構成要件について説明する。
【0018】ハウジング2は、図1に示すように、全体
がほぼ円筒形を呈し、その内部には、扁平でほぼ円形の
室23が形成されている。また、ハウジング2の頂部中
央には、室23に連通する血液導入口21が室23の軸
線方向に突出するよう設けられ、ハウジング2の側部に
は、室23に連通する血液導出口22が室23の接線方
向に突出するよう設けられている。血液は、血液導入口
21から室23内に導入され、血液導出口22から吐出
される。
【0019】このようなハウジング2の室23内には、
扁平な円盤状の回転体3が室23と同心的に、かつ回転
可能に収納されている。この回転体3は、板状のカバー
31と、多極着磁された円盤状の従動マグネット32が
埋設されたシュラウド33とから構成されており、カバ
ー31とシュラウド33との間には、図2に示すよう
に、回転体3の中心部付近から放射状に配置された複数
(図示の例では6本)の管状の血液通路34が形成され
ている。カバー31とシュラウド33とを別部材により
構成する場合には、シュラウド33に血液通路34とな
る溝を形成し、この溝の上部開放面をカバー31によっ
て遮蔽することにより、閉じた管状の血液通路34が形
成される。
【0020】ハウジング2、カバー31およびシュラウ
ド33のそれぞれの構成材料としては、例えば、硬質ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリサル
フォン、ポリアリレート等の各種硬質樹脂が挙げられ
る。これらのうちでも、特に、毒性がなく、血液との適
合性に優れ、また、透明性があり、成形加工性に優れる
という点で、ポリカーボネート、アクリル樹脂が好まし
い。
【0021】カバー31には、血液導入口21からハウ
ジング2内に導入された血液を、血液通路34へ案内す
る円形の開口35が設けられている。すなわち、血液導
入口21からハウジング2内に導入された血液は、開口
35を通って各血液通路34に分配、導入され、回転体
3の回転により遠心力が付与されて各血液通路34内を
回転体3の外周へ向かって流れ、さらに血液通路外へ流
出した血液は、ハウジング2の内周面と回転体3の外周
面との間の空間7を通り、血液導出口22から吐出され
るものである。
【0022】各血液通路34は、回転体3の中心部付近
から外周に向かって直線的な形状をなしている。この場
合、図2に示すように、血液通路34の中心線Sは、回
転体3の回転の中心軸Oと交わらない。すなわち、血液
通路34は、その中心線Sが回転体3の半径方向に対し
所定角度傾斜するように配置されている。そして、血液
通路34の横断面は四角形状をなし、その断面積(横断
面積)は血液通路34内の血液の流れ方向に沿って実質
的に一定となっている。これにより、血液通路34内を
流れる血液の流速はほぼ一定となり、その結果、うず流
が生じ難くなり、流れの乱れの発生が抑制されるので、
血液中の細胞の破壊、損傷および機能低下(以下、溶血
で代表する)が抑制される。特に、血液通路34が直線
的な形状であることから、ポンプ特性を低下させること
なく、よりプライミング量を減少させることができる。
【0023】ここで、血液通路34の横断面積が実質的
に一定とは、血液通路34の横断面積が完全に一定であ
る場合のみならず、例えば、血液通路34の内面にわず
かなテーパが形成され、その結果血液通路34の横断面
積が若干増加するが、血液流路34内を流れる血液の流
速はほとんど変化しない程度である状態をも含む概念で
ある。
【0024】カバー31とシュラウド33とを一体成形
して回転体3を製造する場合に、血液通路34を成形す
る上での抜きテーパとして、血液通路34の内面に1°
程度の勾配が形成されることがあるが、その性能は、血
液通路34の横断面積を血液通路の入口から出口に至る
まで一定とした場合と同等である。そして、このように
回転体3を一体成形物とすれば、血液通路34の内面に
継ぎ目がなく、血栓が発生しにくいという利点がある。
【0025】なお、血液通路34の横断面形状は、四角
形に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、
半円形、半楕円形あるいは四角形以外の多角形であって
もよい。回転体3に形成される血液通路34の本数は、
特に限定されないが、通常は、2〜12本程度、特に4
〜8本程度とするのが好ましい。
【0026】また、1つの血液通路34の横断面積は、
特に限定されないが、通常は、10〜100mm2 程度、
特に20〜50mm2 程度とするのが好ましい。以上のよ
うな本数および横断面積とすることにより、プライミン
グ量の低減とポンプ効率の向上とを両立することができ
る。
【0027】本発明において、血液通路34は、その横
断面積が血液通路内の血液の流れ方向に沿って連続的に
減少するように形成されていてもよい。これにより、血
液通路内の血液は、回転体3の中心から遠ざかるに従っ
て加速流となり、前記と同様、流れの乱れの発生が抑制
され、血液中の細胞の破壊や機能低下が抑制される。
【0028】この場合、血液通路34の横断面積の減少
率(通路入口端の横断面積に対する通路出口端の横断面
積の割合)は特に限定されないが、通常は、30〜90
%程度、特に、50〜80%程度とするのが好ましい。
なお、このような血液通路34の横断面積の減少は、横
断面が四角形状の血液通路34の場合、その高さおよび
/または幅を漸減させることにより可能となり、横断面
が円形、楕円形、半円形または半楕円形の血液通路34
の場合、その径を漸減させることにより可能となる。
【0029】本発明において、各血液通路34は、図示
のごとく直線的な形状をなしているものに限らず、適当
な曲率をもって湾曲しているものでもよい。この場合、
回転体3の回転方向に突出するように湾曲しているのが
好ましい。また、図1に示す側面視において、血液通路
34は、その中心線(血液の流れ方向の中心線)と回転
体3の中心軸(突起部36より図中下方)とのなす角度
が約75〜90°、特に77〜83°となるように形成
されているのが好ましい(図示の例では、約80°)。
このような構成とすることにより、室23内への血液充
填時に、血液通路34内の血液中に存在する気泡をカバ
ー31の内面に沿って開口35付近まで浮上させ、血液
導入口21から除去することが容易に可能となる。
【0030】なお、上記血液通路34の回転体3の中心
軸に対する角度は、全ての血液通路34において等しい
のが好ましい。シュラウド33の回転中心であって、開
口35を臨む位置には、血液導入口21へ向かって突出
する円錐状の突起部36が形成されている。血液導入口
21から導入され、開口35を通過した血液は、この突
起部36により放射状に分流される。このような突起部
36を設けることにより、開口35を通過した血液を各
血液通路34へ均一にかつ効率よく分配することがで
き、ポンプ効率が向上する。
【0031】突起部36の外周面と回転体3の中心軸と
のなす角度は、10〜80°程度、特に30〜60°程
度であるのが好ましい。また、突起部36の底部の直径
(最大直径)は、開口35の直径の25〜100%程
度、特に50〜90%程度であるのが好ましく、突起部
36の高さは、1〜15mm程度、特に2〜10mm程度と
するのが好ましい。
【0032】なお、突起部36の形状は、図示のごとき
円錐状に限らず、例えば、砲弾型、半球状等であっても
よい。このような回転体3は、軸受部4によりハウジン
グ2内において回転可能に支持されている。この軸受部
4は、ハウジング2の底部に固定されたシャフト41
と、シュラウド33内に設置されたベアリング42とで
構成されている。
【0033】ベアリング42は、シュラウド33の中心
に埋設され、その内腔にはシャフト41が嵌入されてい
る。このベアリング42としては、例えば、ボールベア
リング、ローラーベアリングが好適に用いられる。ま
た、その他、すべり軸受等であってもよい。シュラウド
33の底部であって、シャフト41の外周には、リング
状のシール部材5が固定されている。回転体3の回転に
伴い、このシール部材5の図1中下端のリップ部51が
シャフト41の外周面と密着しつつ摺動し、室23内と
シュラウド33の内部とが遮断される。
【0034】シール部材5の構成材料としては、例え
ば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレ
ンのような各種軟質樹脂や、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、天然ゴム、ポリウレタンのような各種エラストマー
が好適に用いられる。これらのうちでも、特に、シャフ
ト41との摺動による摩擦熱の発生がより少なく、局所
的な血液の変性、凝固を有効に防止できるという点で、
シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリウレタン
エラストマーが好ましい。
【0035】このようなシール機構は、図示のごときリ
ップシールに限定されず、例えば、弾性体とカウンター
フェイスを用いたフェースシール、摺動部材とカウンタ
ーフェースを用いたメカニカルシール等を適用してもよ
い。なお、軸受部4の構造は、図示のものに限定され
ず、例えば、シャフト41をシュラウド33に固定し、
ベアリング42をハウジング2の底部に設置し、所定の
シール機構によってベアリング42を室23内から遮断
した構造であってもよい。
【0036】さて、ハウジング2内に回転体3を収納し
た状態では、これらの間に間隙が形成される。本発明で
は、所定箇所の間隙の寸法に特徴を有し、これにより、
溶血が抑制され、優れたポンプ特性を発揮する。
【0037】すなわち、血液導入口21付近におけるハ
ウジング2の内面と回転体3(カバー31の外面)との
間隙距離をLとし、血液導入口21の内径(血液導入口
21にテーパが形成されている場合には、平均内径)を
Dとしたとき、L≦0.3Dなる関係、より好ましく
は、0.1D≦L≦0.2Dなる関係を満足するもとす
る。
【0038】さらに、回転体3の半径をR1 とし、室2
3の半径(ハウジング2の内半径)をR2 としたとき、
1 ≧0.9R2 なる関係、より好ましくは、0.95
2 ≧R1 ≧0.9R2なる関係を満足するものとす
る。
【0039】回転体3の半径R1 が0.9R2 未満であ
ると、ハウジング2の内周面と回転体3の外周面との間
に形成される空間7の容積が大きくなり、この空間7内
に血液の滞留や流れの乱れが生じて、ポンプ効率が低下
するとともに、プライミング量も増加する。
【0040】このように、LとDとの関係、およびR1
とR2 との関係を上記のようにすることにより、プライ
ミング量を増大することなく、ポンプ効率を向上させ、
溶血を抑制することができる。その結果、より低い回転
数で高い揚程(吐出量)が得られ、溶血や、シャフト4
1とリップ部51との摩擦熱による血液の変性、凝固を
さらに抑制することができる。また、ポンプ効率の向上
により、ポンプをより小型化することができるので、プ
ライミング量をさらに減少することが可能となる。
【0041】このような血液ポンプ1を駆動するに際し
ては、ハウジング2の底部に外部駆動手段(図示せず)
を装着する。この外部駆動手段は、例えば、モータと、
その回転子の軸と同軸に固定されている多極着磁された
駆動マグネットとを有し、駆動マグネットが血液ポンプ
1に内蔵された従動マグネット32に対面して、これら
が相互に吸引するように装着される。モータの回転によ
り駆動マグネットが回転すると、その回転力は非接触で
従動マグネット32に伝達され、回転体3が図2中反時
計回りに回転する。これにより、血液導入口21からハ
ウジング2内に導入された血液は、開口35を通って各
血液通路34に分配、導入され、さらに遠心力が付与さ
れて各血液通路34内を回転体3の外周へ向かって流
れ、血液通路外へ流出した後、空間7を通り、血液導出
口22から吐出される。
【0042】なお、外部駆動手段は、偏平型のステータ
コイルのみで構成され、従動マグネット32をこのステ
ータコイルにて直接駆動する偏平型ブラシレスモータ構
造とすることも可能である。また、回転体3へのトルク
伝達を駆動マグネットと従動マグネット32との吸引に
より行わず、回転体3の回転軸と外部駆動手段側の駆動
軸とを着脱自在なカップリング機構によって連結した構
成としてもよい。
【0043】また、このような外部駆動手段を用いず、
血液ポンプ1に駆動手段(モータ)を内蔵した構成とし
てもよい。この場合、駆動手段の回転軸と回転体3の回
転軸とを直結した構造とすることができる。本発明の血
液ポンプの用途は特に限定されないが、上述したような
作用、効果を有することから、例えば、心臓手術や呼吸
不全の際の呼吸補助(ECMO)、緊急用補助循環シス
テム(EBS)、左心バイパス(LHB)、補助人工心
臓(VAD)のような血液体外循環回路に用いられるの
が好ましい。
【0044】以上、本発明の血液ポンプを図示の構成例
について説明したが、本発明は、これに限定されるもの
ではない。例えば、回転体3は、カバー31を有さない
構造、すなわち、血液流路が管状ではなく、前述した多
翼ベーンを有するもののような上部解放型であってもよ
く、同様の効果の改善が見られる。この場合、前記L
は、ベーンの上端との距離となる。
【0045】なお、本発明の血液ポンプは、例えば、血
漿のような血液以外の体液(生物学的流体)の送液や、
その他、熱によって変性し易い物質を含む液体の送液に
応用することもでき、同様の効果が得られる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。 (実施例1) 図1および図2に示す構造の血液ポンプを製造した。各
部の条件は、次の通りである。
【0047】<ハウジング> ・材質 :アクリル樹脂 ・室の半径R2 :42mm ・プライミング量 :47ml ・血液導入口内径D : 8mm ・間隙距離L : 1mm(L=0.125D) ・血液導出口内径 : 8mm
【0048】<回転体> ・材質 :ポリカーボネート樹脂 ・半径R1 :39mm(R1 =0.93R2 ) ・カバーの開口径 :19mm ・血液通路本数 : 6本(等角度をなすよう配
置) ・血液通路の横断面積:50mm2 (通路全長にわたって
一定) ・血液通路の中心線と回転体の中心軸とのなす角度:9
0° ・突起部の外周面と回転体の中心軸とのなす角度 :4
5° ・突起部の底部直径 :15mm ・従動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・従動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
8mm
【0049】<外部駆動装置> ・モータ :ブラシレスDCモータ(90
w) ・駆動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・駆動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
10mm ・駆動マグネットと従動マグネットの設置間隔:8.5
mm
【0050】(比較例1)回転体の半径R1 を37mm
(R1 =0.88R2 )とした以外は実施例1と同様の
血液ポンプを製造した。この血液ポンプのプライミング
量は、54mlであった。
【0051】[ポンプ特性の測定]実施例1および比較
例1の各血液ポンプを用い、粘度4cPのグリセリン溶液
を送液し、ポンプの吐出圧力(揚程(mmHg))を測定し
た。なお、この測定は、回転数2000rpm において、
ポンプ流量(L/min )を変えることにより行った。その
結果を下記表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】上記表1に示すように、本発明の実施例1
の血液ポンプは、比較例1の血液ポンプに比べ、優れた
ポンプ特性を発揮することがわかる。
【0054】[溶血量の測定]実施例1および比較例1
の各血液ポンプについて、血液1800mlを用い、吐出
圧力400mmHg、流量3L/min の条件で運転し、溶血量
(血液中のフリーヘモグロビン濃度)の経時的変化を調
べたところ、実施例1の血液ポンプは、比較例1に比
べ、時間の経過に伴う溶血量の減少傾向が見られた。
【0055】また、さらに、特公昭57−23114号
公報に記載の血液ポンプ(Biomedicus社製、モデルBP
80)について、同様の方法で溶血量を測定したとこ
ろ、この血液ポンプに比べ、実施例1の血液ポンプは、
溶血量が大幅に減少した。
【0056】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の血液ポンプ
によれば、プライミイング量を増加させることなく、搬
送する血液中の細胞の破壊や機能低下を抑制し、低回転
で優れたポンプ特性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液ポンプの構成例を示す断面側面図
である。
【図2】図1中のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
1 血液ポンプ 2 ハウジング 21 血液導入口 22 血液導出口 23 室 3 回転体 31 カバー 32 従動マグネット 33 シュラウド 34 血液通路 35 開口 36 突起部 4 軸受部 41 シャフト 42 ベアリング 5 シール部材 51 リップ部 6、7 空間
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−71490(JP,A) 特開 平4−212370(JP,A) 特開 昭48−82403(JP,A) 実開 昭62−6837(JP,U) 実開 平3−123999(JP,U) 実開 昭52−67603(JP,U) 実開 昭58−87990(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/10 530

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にほぼ円形の室が形成され、この室
    に連通する血液導入口および血液導出口を有するハウジ
    ングと、 中心部付近から放射状に配置された複数の血液通路を有
    し、前記室内にこれと同心的に収納された回転体と、 前記回転体を前記室内において回転可能に支持する軸受
    部とを備える血液ポンプであって、 前記血液通路は、それぞれ、当該血液通路内の血液の流
    れ方向に沿って断面積が一定かまたは連続的に減少する
    ように形成され、かつ、当該血液通路の中心線が前記回
    転体の中心軸と交わらないように配置されており、 前記血液導入口付近における前記ハウジングの内面と前
    記回転体との間隙距離をLとし、前記血液導入口の内径
    をDとしたとき、L≦0.3Dなる関係を満足し、 かつ、前記回転体の半径をRとし、前記室の半径をR
    としたとき、R≧0.9Rなる関係を満足するこ
    とを特徴とする血液ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記血液通路は管状である請求項1に記
    載の血液ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記血液通路は直線形状をなしている請
    求項1または2に記載の血液ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記回転体の中心部に、前記血液導入口
    に向って突出する突起部が設けられている請求項1ない
    し3のいずれかに記載の血液ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記血液通路は、その中心線が前記回転
    体の中心軸と側面視において75〜90°の角度をなす
    ように形成されている請求項1ないし4のいずれかに記
    載の血液ポンプ。
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