JP3247718B2 - 血液ポンプ - Google Patents

血液ポンプ

Info

Publication number
JP3247718B2
JP3247718B2 JP04796292A JP4796292A JP3247718B2 JP 3247718 B2 JP3247718 B2 JP 3247718B2 JP 04796292 A JP04796292 A JP 04796292A JP 4796292 A JP4796292 A JP 4796292A JP 3247718 B2 JP3247718 B2 JP 3247718B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
passage
pump
rotating body
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04796292A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05212112A (ja
Inventor
広明 押山
利彦 木島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP04796292A priority Critical patent/JP3247718B2/ja
Priority to US08/012,247 priority patent/US5316440A/en
Publication of JPH05212112A publication Critical patent/JPH05212112A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3247718B2 publication Critical patent/JP3247718B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液を搬送する血液ポ
ンプに関し、特に、血液体外循環回路に用いるのに好適
な遠心型の血液ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】血液や血漿等の生物学的流体を搬送する
ポンプ装置としては、米国特許第4589822号明細
書、特公昭57−23114号公報に記載されたもの等
が知られている。これらはいずれも、遠心力によって血
液を送り出すターボ型のポンプであり、前者は一般的な
オープン型の多翼ベーンの回転によって遠心力を発生
し、後者は複数の円錐状のローテータ間の摩擦力を利用
して遠心力を発生するものである。
【0003】ところで、血液ポンプによる血液の搬送に
おいては、血液中の血球や血小板のごとき有用な細胞
(有形成分)の破壊や機能の低下を極力少なくするこ
と、異物反応や温度上昇等により血液が凝固しないよう
にすること、ポンプ内に充填される血液量(プライミイ
ング量)をできるだけ少なくすること、およびポンプ効
率を高めることが重要な課題とされている。
【0004】これらの課題うち、血液中の細胞の破壊や
機能の低下については、送血時においてポンプ内に血液
の流れの乱れが生じることが大きな原因であることが知
られている。この点に関し、特公昭57−23114号
公報に示されている血液ポンプでは、複数の円錐面状の
ローテータ間の摩擦力によって流体に遠心力を付与する
ポンプであり、ローテータ間の血液通路に流れの乱れが
生じ難く、よって、細胞の破壊が少ないポンプとして知
られている(ハイドロダイナミカル アンドヘモダイナ
ミカル エバレーション オブ ロータリー ブラッド
ポンプズ:インター ワークショップ オン ロータ
リー ブラッド ポンプズ ウィーン1988 76−
81ページ(Hydrodynamical and Hemodynamical Evalua
tionof Rotary Blood Pumps:Inter.Workshop on Rotar
y Blood Pumps Vienna 1988pp76-81) )。
【0005】しかしながら、この血液ポンプは、一般的
なベーンを用いたポンプに比べるとポンプ効率が悪く、
同サイズのベーン型ポンプに比べ、同等の揚程を発生す
るためには、かなり高い回転数を必要とする。このた
め、回転軸のシール部分に局所的な発熱が生じ、その周
囲の血液が変性、凝固してしまうという欠点がある。
【0006】また、この血液ポンプは、同サイズのベー
ン型ポンプと同等の吐出量を得るためには、複数枚のロ
ーテータを必要とするため、これらを収納するケーシン
グ内の空間の容量が増し、この空間に充填される血液量
(プライミイング量)が増加するという欠点がある。
【0007】一方、米国特許第4589822号明細書
に示されている血液ポンプは、軸シール部の局所発熱を
低減するために、中心部に大きな開口部を有するオープ
ン型の多翼ベーンを用いてシール部周囲の血液の流速を
上げ、さらにヒートシンク構造を付加することを提案し
ている。
【0008】しかしながら、このようなオープン型の多
翼ベーンによる血液ポンプでは、ベーン間を血液が流れ
る際にうず流や逆流が生じ、流れの乱れが発生し易いた
め、赤血球の破壊(溶血)や血小板の機能低下が生じ易
く、長時間の使用には適さないという問題があった。
【0009】なお、一般に、血液ポンプを大型にすれ
ば、より低い回転数で高い揚程が得られ、この回転数の
低下によって細胞の破壊や血液の凝固が抑制されるが、
同時に、ポンプ内に充填される血液量(プライミイング
量)が増大するため、前記課題を両立することはできな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
イミイング量を増加させることなく、血液中の細胞の破
壊や機能低下を抑制し、低回転で優れたポンプ特性を発
揮する血液ポンプを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0012】(1) 内部にほぼ円形の室が形成され、
この室に連通する血液導入口および血液導出口を有する
ハウジングと、中心部付近から放射状に配置された複数
の血液通路を有し、前記室内にこれと同心的に収納され
た回転体と、前記回転体を前記室内において回転可能に
支持する軸受部とを備える血液ポンプであって、前記血
液通路は、それぞれ、管状であり、かつ、当該血液通路
の中心線が前記回転体の中心軸と交わらないように配置
されており、前記血液導出口のハウジング内周面に開放
する開口の周方向の長さをLとし、前記室の半径をRと
したとき、L≧0.5Rなる関係を満足することを特徴
とする血液ポンプ。
【0013】(2) 前記血液通路は、当該血液通路内
の血液の流れ方向に沿って断面積が実質的に一定かまた
は連続的に減少するように形成されている上記(1)に
記載の血液ポンプ。
【0014】(3) 前記血液通路は直線形状をなして
いる上記(1)または(2)に記載の血液ポンプ。
【0015】(4) 前記回転体の中心部に、前記血液
導入口に向って突出する突起部が設けられている上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0016】(5) 前記血液通路は、その中心線が前
記回転体の中心軸と側面視において75〜90°の角度
をなすように形成されている上記(1)ないし(4)の
いずれかに記載の血液ポンプ。
【0017】(6) 前記血液導出口の中心線に平行で
ある前記ハウジング内周面の接線が、前記血液導出口内
を通過している上記(1)ないし(5)のいずれかに記
載の血液ポンプ。
【0018】
【発明の構成】以下、本発明の血液ポンプを添付図面に
示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】図1は、本発明の血液ポンプの構成例を示
す断面側面図、図2は、図1中のA−A線における断面
図である。これらの図に示すように、本発明の血液ポン
プ1は、内部にほぼ円形の室23を有するとともに、こ
の室23に連通する血液導入口21および血液導出口2
2を有するハウジング2と、中心部付近から放射状に配
置された複数の血液通路34を有し、室23内にこれと
同心的に収納された回転体3と、この回転体を室23内
において回転可能に支持する軸受部4とを備えている。
以下、各構成要件について説明する。
【0020】ハウジング2は、図1に示すように、全体
がほぼ円筒形を呈し、その内部には、扁平でほぼ円形の
室23が形成されている。また、ハウジング2の頂部中
央には、室23に連通する血液導入口21が室23の軸
線方向に突出するよう設けられ、ハウジング2の側部に
は、室23に連通する血液導出口22が室23の接線方
向に突出するよう設けられている。血液は、血液導入口
21から室23内に導入され、血液導出口22から吐出
される。
【0021】このようなハウジング2の室23内には、
扁平な円盤状の回転体3が室23と同心的に、かつ回転
可能に収納されている。この回転体3は、板状のカバー
31と、多極着磁された円盤状の従動マグネット32が
埋設されたシュラウド33とから構成されており、カバ
ー31とシュラウド33との間には、図2に示すよう
に、回転体3の中心部付近から放射状に配置された複数
(図示の例では6本)の管状の血液通路34が形成され
ている。カバー31とシュラウド33とを別部材により
構成する場合には、シュラウド33に血液通路34とな
る溝を形成し、この溝の上部開放面をカバー31によっ
て遮蔽することにより、閉じた管状の血液通路34が形
成される。
【0022】ハウジング2、カバー31およびシュラウ
ド33のそれぞれの構成材料としては、例えば、硬質ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリサル
フォン、ポリアリレート等の各種硬質樹脂が挙げられ
る。これらのうちでも、特に、毒性がなく、血液との適
合性に優れ、また、透明性、成形加工性に優れるという
点で、ポリカーボネート、アクリル樹脂が好ましい。
【0023】カバー31には、血液導入口21からハウ
ジング2内に導入された血液を、血液通路34へ案内す
る円形の開口35が設けられている。すなわち、血液導
入口21からハウジング2内に導入された血液は、開口
35を通って各血液通路34に分配、導入され、回転体
3の回転により遠心力が付与されて各血液通路34内を
回転体3の外周へ向かって流れ、さらに血液通路外へ流
出した血液は、ハウジング2の内周面と回転体3の外周
面との間の空間7を通り、血液導出口22から吐出され
るものである。
【0024】各血液通路34は、回転体3の中心部付近
から外周に向かって直線的な形状をなしている。この場
合、図2に示すように、血液通路34の中心線Sは、回
転体3の回転の中心軸Oと交わらない。すなわち、血液
通路34は、その中心線Sが回転体3の半径方向に対し
所定角度傾斜するように配置されている。そして、血液
通路34の横断面は四角形状をなし、その断面積(横断
面積)は血液通路34内の血液の流れ方向に沿って実質
的に一定となっている。これにより、血液通路34内を
流れる血液の流速はほぼ一定となり、その結果、うず流
が生じ難くなり、流れの乱れの発生が抑制されるので、
血液中の細胞の破壊、損傷および機能低下(以下、溶血
で代表する)が抑制される。特に、血液通路34が直線
的な形状であることから、ポンプ特性を低下させること
なく、よりプライミング量を減少させることができる。
【0025】ここで、血液通路34の横断面積が実質的
に一定とは、血液通路34の横断面積が完全に一定であ
る場合のみならず、例えば、血液通路34の内面にわず
かなテーパが形成され、その結果血液通路34の横断面
積が若干増加するが、血液流路34内を流れる血液の流
速はほとんど変化しない程度である状態をも含む概念で
ある。
【0026】カバー31とシュラウド33とを一体成形
して回転体3を製造する場合に、血液通路34を成形す
る上での抜きテーパとして、血液通路34の内面に1°
程度の勾配が形成されることがあるが、その性能は、血
液通路34の横断面積を血液通路の入口から出口に至る
まで一定とした場合と同等である。そして、このように
回転体3を一体成形物とすれば、血液通路34の内面に
継ぎ目がなく、血栓が発生しにくいという利点がある。
【0027】なお、血液通路34の横断面形状は、四角
形に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、
半円形、半楕円形あるいは四角形以外の多角形であって
もよい。回転体3に形成される血液通路34の本数は、
特に限定されないが、通常は、2〜12本程度、特に4
〜8本程度とするのが好ましい。
【0028】また、1つの血液通路34の横断面積は、
特に限定されないが、通常は、10〜100mm2 程度、
特に20〜50mm2 程度とするのが好ましい。以上のよ
うな本数および横断面積とすることにより、プライミン
グ量の低減とポンプ効率の向上とを両立することができ
る。
【0029】本発明において、血液通路34は、その横
断面積が血液通路内の血液の流れ方向に沿って連続的に
減少するように形成されていてもよい。これにより、血
液通路内の血液は、回転体3の中心から遠ざかるに従っ
て加速流となり、前記と同様、流れの乱れの発生が抑制
され、血液中の細胞の破壊や機能低下が抑制される。
【0030】この場合、血液通路34の横断面積の減少
率(通路入口端の横断面積に対する通路出口端の横断面
積の割合)は特に限定されないが、通常は、30〜90
%程度、特に、50〜80%程度とするのが好ましい。
なお、このような血液通路34の横断面積の減少は、横
断面が四角形状の血液通路34の場合、その高さおよび
/または幅を漸減させることにより可能となり、横断面
が円形、楕円形、半円形または半楕円形の血液通路34
の場合、その径を漸減させることにより可能となる。
【0031】本発明において、各血液通路34は、図示
のごとく直線的な形状をなしているものに限らず、適当
な曲率をもって湾曲しているものでもよい。この場合、
回転体3の回転方向に突出するように湾曲しているのが
好ましい。
【0032】また、図1に示す側面視において、血液通
路34は、その中心線(血液の流れ方向の中心線)と回
転体3の中心軸(突起部36より図中下方)とのなす角
度が約75〜90°、特に77〜83°となるように形
成されているのが好ましい(図示の例では、約80
°)。このような構成とすることにより、室23内への
血液充填時に、血液通路34内の血液中に存在する気泡
をカバー31の内面に沿って開口35付近まで浮上さ
せ、血液導入口21から除去することが容易に可能とな
る。なお、上記血液通路34の回転体3の中心軸に対す
る角度は、全ての血液通路34において等しいのが好ま
しい。
【0033】シュラウド33の回転中心であって、開口
35を臨む位置には、血液導入口21へ向かって突出す
る円錐状の突起部36が形成されている。血液導入口2
1から導入され、開口35を通過した血液は、この突起
部36により放射状に分流される。このような突起部3
6を設けることにより、開口35を通過した血液を各血
液通路34へ均一にかつ効率よく分配することができ、
ポンプ効率が向上する。
【0034】突起部36の外周面と回転体3の中心軸と
のなす角度は、10〜80°程度、特に30〜60°程
度であるのが好ましい。また、突起部36の底部の直径
(最大直径)は、開口35の直径の25〜100%程
度、特に50〜90%程度であるのが好ましく、突起部
36の高さは、1〜15mm程度、特に2〜10mm程度と
するのが好ましい。
【0035】なお、突起部36の形状は、図示のごとき
円錐状に限らず、例えば、砲弾型、半球状等であっても
よい。このような回転体3は、軸受部4によりハウジン
グ2内において回転可能に支持されている。この軸受部
4は、ハウジング2の底部に固定されたシャフト41
と、シュラウド33内に設置されたベアリング42とで
構成されている。
【0036】ベアリング42は、シュラウド33の中心
に埋設され、その内腔にはシャフト41が嵌入されてい
る。このベアリング42としては、例えば、ボールベア
リング、ローラーベアリングが好適に用いられる。ま
た、その他、すべり軸受等であってもよい。
【0037】シュラウド33の底部であって、シャフト
41の外周には、リング状のシール部材5が固定されて
いる。回転体3の回転に伴い、このシール部材5の図1
中下端のリップ部51がシャフト41の外周面と密着し
つつ摺動し、室23内とシュラウド33の内部とが遮断
される。
【0038】シール部材5の構成材料としては、例え
ば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレ
ンのような各種軟質樹脂や、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、天然ゴム、ポリウレタンのような各種エラストマー
が好適に用いられる。これらのうちでも、特に、シャフ
ト41との摺動による摩擦熱の発生がより少なく、局所
的な血液の変性、凝固を有効に防止できるという点で、
シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリウレタン
エラストマーが好ましい。
【0039】このようなシール機構は、図示のごときリ
ップシールに限定されず、例えば、弾性体とカウンター
フェイスを用いたフェースシール、摺動部材とカウンタ
ーフェースを用いたメカニカルシール等を適用してもよ
い。なお、軸受部4の構造は、図示のものに限定され
ず、例えば、シャフト41をシュラウド33に固定し、
ベアリング42をハウジング2の底部に設置し、所定の
シール機構によってベアリング42を室23内から遮断
した構造であってもよい。
【0040】さて、本発明では、血液導出口22のハウ
ジング内周面24に解放する開口220の周方向の長さ
に特徴を有する。すなわち、血液導出口22のハウジン
グ内周面24に解放する開口220の周方向の長さをL
とし、室23の半径(ハウジング2の内半径)をRとし
たとき、L≧0.5Rなる関係、より好ましくは、R≧
L≧0.5Rを満足するものとする。
【0041】開口220の周方向長さLが0.5R未満
であると、ハウジング内周面24と回転体3の外周面と
の間に形成される空間7内で血液の滞留や流れの乱れが
生じ、ポンプ効率が低下して、溶血が生じ易くなる。
【0042】このように、LとRとの関係を上記のよう
にすることにより、開口220の面積が大きくなり、空
間7内の血液(血液通路34からの流入により圧力が高
まっている)を円滑に血液導出口22に導き、排出する
ことができ、開口220付近の流れの乱れの発生が大幅
に減少するので、溶血が抑制され、ポンプ効率を向上す
ることができる。その結果、より低い回転数で高い揚程
(吐出量)が得られ、溶血や、シャフト41とリップ部
51との摩擦熱による血液の変性、凝固をさらに抑制す
ることができる。また、ポンプ効率の向上により、ポン
プをより小型化することができるので、プライミング量
をさらに減少することが可能となる。
【0043】なお、LとRとの関係を上記のようにする
には、設計上、血液導出口22の内径を大きくするか、
または血液導出口22の室23に対する位置関係を工夫
してLを大きくすることが必要であるが、本発明では、
プライミング量の増加防止を考慮し、後者の方がより好
ましい。すなわち、血液導出口22の中心線8に平行で
あるハウジング内周面24の接線9が、血液導出口22
内を通過しているのが好ましい。また、LとRとの関係
を上記のようにするために、ハウジング2の縁部25に
アールを付けてLを大きくすることも好ましい。
【0044】このような血液ポンプ1を駆動するに際し
ては、ハウジング2の底部に外部駆動手段(図示せず)
を装着する。この外部駆動手段は、例えば、モータと、
その回転子の軸と同軸に固定されている多極着磁された
駆動マグネットとを有し、駆動マグネットが血液ポンプ
1に内蔵された従動マグネット32に対面して、これら
が相互に吸引するように装着される。モータの回転によ
り駆動マグネットが回転すると、その回転力は非接触で
従動マグネット32に伝達され、回転体3が図2中反時
計回りに回転する。これにより、血液導入口21からハ
ウジング2内に導入された血液は、開口35を通って各
血液通路34に分配、導入され、さらに遠心力が付与さ
れて各血液通路34内を回転体3の外周へ向かって流
れ、血液通路外へ流出した後、空間7を通り、血液導出
口22から吐出される。
【0045】なお、外部駆動手段は、偏平型のステータ
コイルのみで構成され、従動マグネット32をこのステ
ータコイルにて直接駆動する偏平型ブラシレスモータ構
造とすることも可能である。また、回転体3へのトルク
伝達を駆動マグネットと従動マグネット32との吸引に
より行わず、回転体3の回転軸と外部駆動手段側の駆動
軸とを着脱自在なカップリング機構によって連結した構
成としてもよい。
【0046】また、このような外部駆動手段を用いず、
血液ポンプ1に駆動手段(モータ)を内蔵した構成とし
てもよい。この場合、駆動手段の回転軸と回転体3の回
転軸とを直結した構造とすることができる。
【0047】本発明の血液ポンプの用途は特に限定され
ないが、上述したような作用、効果を有することから、
例えば、心臓手術や呼吸不全の際の呼吸補助(ECM
O)、緊急用補助循環システム(EBS)、左心バイパ
ス(LHB)、補助人工心臓(VAD)のような血液体
外循環回路に用いられるのが好ましい。
【0048】以上、本発明の血液ポンプを図示の構成例
について説明したが、本発明は、これに限定されるもの
ではない。
【0049】なお、本発明の血液ポンプは、例えば、血
漿のような血液以外の体液(生物学的流体)の送液や、
その他、熱によって変性し易い物質を含む液体の送液に
応用することもでき、同様の効果が得られる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0051】(実施例1) 図1および図2に示す構造の血液ポンプを製造した。各
部の条件は、次の通りである。
【0052】<ハウジング> ・材質 :ポリカーボネート樹脂 ・室の半径R :42mm ・プライミング量 :45ml ・血液導入口内径 : 9mm ・血液導出口内径 : 9mm ・血液導出口の開口の周方向長さL:32mm(L=0.
76R) ・血液導出口中心線とハウジング中心との距離:39mm
【0053】<回転体> ・材質 :ポリカーボネート樹脂 ・半径 :39mm ・カバーの開口径 :16mm ・血液通路形状 :直線形状(外周へ向けて拡開す
るテーパが形成) ・血液通路本数 : 6本(等角度をなすよう配
置) ・血液通路の横断面積:通路入側26mm2 、通路出側3
8mm2 ・血液通路の中心線と回転体の中心軸とのなす角度:8
0° ・突起部の外周面と回転体の中心軸とのなす角度 :4
5° ・突起部の底部直径 :13mm ・従動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・従動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
8mm
【0054】<外部駆動装置> ・モータ :ブラシレスDCモータ(90
w) ・駆動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・駆動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
10mm ・駆動マグネットと従動マグネットの設置間隔:8.5
mm
【0055】(実施例2) 図1および図2に示す構造の血液ポンプを製造した。各
部の条件は、次の通りである。
【0056】<ハウジング> ・材質 :アクリル樹脂 ・室の半径R :42mm ・プライミング量 :47ml ・血液導入口内径 : 8mm ・血液導出口内径 : 8mm ・血液導出口の開口の周方向長さL:24mm(L=0.
57R) ・血液導出口中心線とハウジング中心との距離:39mm
【0057】<回転体> ・材質 :ポリカーボネート樹脂 ・半径 :37mm ・カバーの開口径 :19mm ・血液通路形状 :直線形状 ・血液通路本数 : 6本(等角度をなすよう配
置) ・血液通路の横断面積:32mm2 (通路全長にわたって
一定) ・血液通路の中心線と回転体の中心軸とのなす角度:8
0° ・突起部の外周面と回転体の中心軸とのなす角度 :4
5° ・突起部の底部直径 :15mm ・従動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・従動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
8mm
【0058】<外部駆動装置>実施例1と同様
【0059】(比較例1)特公昭57−23114号公
報に記載の血液ポンプ(Biomedicus社製、モデルBP8
0)を用意した。この血液ポンプのハウジングの条件は
次の通りである。
【0060】<ハウジング> ・室の半径R :42mm ・プライミング量 :80ml ・血液導出口の開口の周方向長さL:20mm(L=0.
48R)
【0061】(比較例2)ハウジングの条件を以下のよ
うにした以外は実施例2と同様の血液ポンプを製造し
た。
【0062】<ハウジング> ・材質 :アクリル樹脂 ・室の半径R :42mm ・プライミング量 :47ml ・血液導入口内径 : 8mm ・血液導出口内径 : 8mm ・血液導出口の開口の周方向長さL:16mm(L=0.
38R) ・血液導出口中心線とハウジング中心との距離:37mm
【0063】[ポンプ回転数の測定]実施例1および比
較例1の各血液ポンプについて、ヘマトクリット値38
%の血液1800mlを用い、吐出圧力400mmHg、流量
3L/min の条件となるように運転したところ、その動作
点での回転数は、実施例1の血液ポンプが2190rpm
、比較例1の血液ポンプが2910rpm であった。こ
れにより、本発明の実施例1の血液ポンプは、比較例1
の血液ポンプに比べて、より低回転で同等の吐出圧力を
得ることができることが確認された。
【0064】[溶血量の測定]実施例1および比較例1
の各血液ポンプについて、ヘマトクリット値43%の血
液1800mlを用い、吐出圧力400mmHg、流量3L/mi
n の条件で運転し、溶血量(血液中のフリーヘモグロビ
ン濃度)の経時的変化を調べた。その結果を図3のグラ
フに示す。なお、図3中、CONTOROLは、搬送処
理されていない血液中の溶血量を示すものである。
【0065】図3のグラフより明らかなように、本発明
の実施例1の血液ポンプは、比較例1の血液ポンプに比
べ、溶血量が低く、特に、長時間ポンプを運転したとき
でも、溶血量の上昇が少ないことがわかる。
【0066】[ポンプ特性の測定]実施例2および比較
例2の各血液ポンプを用い、粘度4cPのグリセリン溶液
を送液し、ポンプの吐出圧力(揚程(mmHg))を測定し
た。なお、この測定は、回転数1000、1500、2
000、2500および3000rpm のそれぞれについ
て、ポンプ流量(L/min )を変えることにより行った。
その結果を図4(実施例1)および図5(比較例1)の
グラフに示す。
【0067】図4および図5に示すように、本発明の実
施例2の血液ポンプは、比較例2の血液ポンプに比べ、
各条件において揚程が高く、優れたポンプ特性を発揮す
ることがわかる。
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の血液ポンプ
によれば、プライミイング量を増加させることなく、搬
送する血液中の細胞の破壊や機能低下を抑制し、より低
回転で優れたポンプ特性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液ポンプの構成例を示す断面側面図
である。
【図2】図1中のA−A線における断面図である。
【図3】本発明の実施例1および比較例1における溶血
量の経時変化を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2におけるポンプ特性を示すグ
ラフである。
【図5】比較例2におけるポンプ特性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 1 血液ポンプ 2 ハウジング 21 血液導入口 22 血液導出口 220 開口 23 室 24 ハウジング内周面 25 縁部 3 回転体 31 カバー 32 従動マグネット 33 シュラウド 34 血液通路 35 開口 36 突起部 4 軸受部 41 シャフト 42 ベアリング 5 シール部材 51 リップ部 7 空間 8 中心線 9 接線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−71490(JP,A) 特開 平4−212370(JP,A) 特開 昭48−82403(JP,A) 実開 昭62−6837(JP,U) 実開 平3−123999(JP,U) 実開 昭52−67603(JP,U) 実開 昭58−87990(JP,U) 米国特許3608088(US,A) 米国特許4135253(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/10 530

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にほぼ円形の室が形成され、この室
    に連通する血液導入口および血液導出口を有するハウジ
    ングと、 中心部付近から放射状に配置された複数の血液通路を有
    し、前記室内にこれと同心的に収納された回転体と、 前記回転体を前記室内において回転可能に支持する軸受
    部とを備える血液ポンプであって、 前記血液通路は、それぞれ、管状であり、かつ、当該血
    液通路の中心線が前記回転体の中心軸と交わらないよう
    に配置されており、 前記血液導出口のハウジング内周面に開放する開口の周
    方向の長さをLとし、前記室の半径をRとしたとき、L
    ≧0.5Rなる関係を満足することを特徴とする血液ポ
    ンプ。
  2. 【請求項2】 前記血液通路は、当該血液通路内の血液
    の流れ方向に沿って断面積が実質的に一定かまたは連続
    的に減少するように形成されている請求項1に記載の血
    液ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記血液通路は直線形状をなしている請
    求項1または2に記載の血液ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記回転体の中心部に、前記血液導入口
    に向って突出する突起部が設けられている請求項1ない
    し3のいずれかに記載の血液ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記血液通路は、その中心線が前記回転
    体の中心軸と側面視において75〜90°の角度をなす
    ように形成されている請求項1ないし4のいずれかに記
    載の血液ポンプ。
  6. 【請求項6】 前記血液導出口の中心線に平行である前
    記ハウジング内周面の接線が、前記血液導出口内を通過
    している請求項1ないし5のいずれかに記載の血液ポン
    プ。
JP04796292A 1991-05-10 1992-02-03 血液ポンプ Expired - Fee Related JP3247718B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04796292A JP3247718B2 (ja) 1992-02-03 1992-02-03 血液ポンプ
US08/012,247 US5316440A (en) 1991-05-10 1993-02-01 Blood pump apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04796292A JP3247718B2 (ja) 1992-02-03 1992-02-03 血液ポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05212112A JPH05212112A (ja) 1993-08-24
JP3247718B2 true JP3247718B2 (ja) 2002-01-21

Family

ID=12789972

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04796292A Expired - Fee Related JP3247718B2 (ja) 1991-05-10 1992-02-03 血液ポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3247718B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5440529B2 (ja) * 2011-03-16 2014-03-12 株式会社ジェイ・エム・エス ターボ式血液ポンプ及びその製造方法
JP2022049096A (ja) * 2020-09-16 2022-03-29 株式会社ジェイ・エム・エス 遠心式血液ポンプ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05212112A (ja) 1993-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5316440A (en) Blood pump apparatus
JP2869886B2 (ja) 遠心血液ポンプ
US4589822A (en) Centrifugal blood pump with impeller
US4606698A (en) Centrifugal blood pump with tapered shaft seal
EP2145108B1 (en) Centrifugal rotary blood pump
US3647324A (en) Electrically driven pumps capable of use as heart pumps
US5399074A (en) Motor driven sealless blood pump
EP1186310B1 (en) Turbo blood pump
JP4534073B2 (ja) 心室補助システムの二次インペラ
US20090317271A1 (en) Centrifugal Pump
JPH07509156A (ja) 低プライミング量の遠心血液ポンプ
US11686318B2 (en) Centrifugal blood pump device
EP0518050B1 (en) Liquid pump apparatus
JP3247718B2 (ja) 血液ポンプ
JP3247717B2 (ja) 血液ポンプ
JP3247716B2 (ja) 血液ポンプ
JP3729889B2 (ja) 磁気軸受ポンプ
CA1249748A (en) Centrifugal blood pump with tapered seal
JP2002085554A (ja) ターボ式血液ポンプ
JPH0571490A (ja) 液体ポンプ装置
JP3086004B2 (ja) 液体ポンプ装置
JP3712051B2 (ja) 遠心型血液ポンプ装置
JPWO2019044737A1 (ja) ポンプ装置
JPH0984872A (ja) 偏心型血液ポンプ
CN115875306A (zh) 离心泵

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081102

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081102

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091102

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091102

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees