JP2002080695A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物及び半導体装置Info
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Abstract
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹
脂、(C)硬化促進剤、(D)無機質充填材、及び
(E)グリセリンと炭素数24〜36の飽和脂肪酸との
グリセリントリ脂肪酸エステルを必須成分とすることを
特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
Description
優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用い
た半導体装置に関するものである。
求められる中、半導体素子の高集積化、表面実装化が進
んでいる。これに伴い、半導体封止用エポキシ樹脂組成
物への要求は益々過酷なものとなっているのが現状であ
る。特に半導体装置の表面実装に際しては、吸湿した水
分が半田処理時の昇温過程で急激に膨張し、半導体素子
とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面における密着性
を低下させ、半導体装置の信頼性を損なうといった問題
が生じている。この点に鑑み、エポキシ樹脂組成物の硬
化物と半導体素子間の密着性改善、ひいては耐半田クラ
ック性の向上は、封止材料にとって最も重要な課題とな
っている。
段としては、(1)低粘度の樹脂成分を用いることで無
機質充填材の高充填化を可能にし、エポキシ樹脂組成物
の硬化物を低熱膨張化、低吸湿化させる 、(2)吸湿
性が少なく可撓性を有する樹脂を使用する等が挙げられ
る。しかしながら、低粘度成分である低分子量のエポキ
シ樹脂、結晶性エポキシ樹脂、フェノール樹脂系の硬化
剤等を用いる場合、硬化物の架橋密度が低くなり、機械
的強度や熱時弾性率が低下する。このため、硬化物が金
型から離型する際に金型表面に付着したり、硬化物に亀
裂や欠陥が生じ易いといった欠点を有する。又低吸水
性、可撓性を有するフェノールアラルキル樹脂等を用い
る場合、耐半田クラック性は向上するものの熱時の剛性
に欠け、硬化速度も遅いため、金型からの離型性に劣
る。
を多量に配合する方法があるが、多量の離型剤の配合は
金型からの離型性を向上させるが、半導体装置内部の半
導体素子やそれを搭載するリードフレームとエポキシ樹
脂組成物の硬化物との間の密着性を低下させる。これに
より、吸湿した半導体装置を半田処理すると、これら界
面で剥離が生じたり、剥離に起因するクラックが発生す
ることになる。更に多量の離型剤成分が金型に付着する
ことにより金型汚れ、型取られといった問題が生じる。
このため金型汚れが少なく、無機質充填材を高充填化で
き、離型性、耐湿性ひいては耐半田クラック性に優れた
エポキシ樹脂組成物の開発が望まれている。
少なく、離型性、耐湿性に優れた半導体封止用エポキシ
樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置を提供するもの
である。
シ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、
(D)無機質充填材、及び(E)グリセリンと炭素数2
4〜36の飽和脂肪酸とのグリセリントリ脂肪酸エステ
ルを必須成分とすることを特徴とする半導体封止用エポ
キシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止し
てなることを特徴とする半導体装置である。
としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル
型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチ
ルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキ
シ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフト
ール型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタ
ン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジ
シクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が
挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。こ
れらの内では、常温では結晶性の固体であるが、融点以
上では極めて低粘度の液状となり、無機質充填材を高充
填化でき、その結果として耐半田クラック性に優れるビ
フェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、スチルベン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニル
型エポキシ樹脂としては、例えば、3,3’,5,5’
−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、ビ
フェノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。その
他のエポキシ樹脂も極力粘度の低いものを使用すること
が望ましい。低粘度のエポキシ樹脂を用いることにより
無機質充填材を高充填化できるが、架橋密度が低くなる
ため離型性に難点があり、本発明の離型剤を用いること
により離型性を改善できる。
は、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノ
ボラック樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変
性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノー
ル樹脂、フェニレン及び/又はジフェニレン骨格を有す
るフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹
脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよ
い。無機質充填材の高充填化のためには、エポキシ樹脂
と同様に低粘度のものが好ましい。可撓性、低吸湿性の
ためには、フェニレン及び/又はジフェニレン骨格を有
するフェノールアラルキル樹脂の使用が望ましい。低粘
度、可撓性を有するフェノール樹脂は、架橋密度が低く
なるため離型性に難点があり、本発明の離型剤と併用す
ることにより離型性を改善できる。
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応の触媒
となり得るものを指し、例えば、トリブチルアミン、
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7
等のアミン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラ
フェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の
有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダ
ゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。又これらの硬化促進剤は単独でも混合して
用いてもよい。
は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化
珪素、窒化アルミ等が挙げられる。無機質充填材の配合
量を特に多くする場合は、溶融シリカを用いるのが一般
的である。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用
可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、かつエポキ
シ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状
のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配
合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布がより広
くなるように調整することが望ましい。
4〜36の飽和脂肪酸とのグリセリントリ脂肪酸エステ
ルは、エポキシ樹脂組成物に充分な流動性を付与し、更
に離型性を向上する機能を有している。具体的には、グ
リセリントリリグノセリン酸エステル、グリセリントリ
セロチン酸エステル、グリセリントリモンタン酸エステ
ル等が挙げられる。これらは、単独でも混合して用いて
もよい。エステル化に用いる飽和脂肪酸が、炭素数23
以下では十分な離型性が得られないため好ましくない。
炭素数37以上では分子量が大きいため流動性が低下し
たり、過度に染み出すことにより金型汚れの原因となる
ので好ましくない。又モノエステル、ジエステルでは、
残存する水酸基の影響によってエポキシ樹脂組成物の硬
化物の耐湿性が低下し、その結果として耐半田クラック
性に悪影響を及ぼすので好ましくない。なお、本発明で
の飽和脂肪酸の炭素数とは、飽和脂肪酸中のアルキル基
とカルボキシル基の炭素数を合計したものを指す。
4〜36の飽和脂肪酸をエステル化したグリセリントリ
脂肪酸エステルの特性を損なわない範囲で他の離型剤を
併用することもできる。例えば、カルナバワックス等の
天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワック
ス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩類等が挙
げられる。又グリセリンと炭素数24〜36の飽和脂肪
酸をエステル化したグリセリントリ脂肪酸エステルの添
加量としては、全エポキシ樹脂組成物中に0.02〜
0.5重量%が好ましい。0.02重量%未満の場合で
は十分な流動性と離型性が得られない。0.5重量%を
越えると成形時に半導体装置内部の半導体素子やそれを
搭載するリードフレームとエポキシ樹脂組成物の硬化物
との界面に移行するため、密着性を著しく損ない耐湿性
を低下させ、その結果として耐半田クラック性に悪影響
を及ぼす。更に過度に染み出すことで金型汚れが発生す
るので好ましくない。
(E)成分を必須成分とするが、これ以外に必要に応じ
てカップリング剤、臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチ
モン、リン化合物等の難燃剤、カーボンブラック等の着
色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム、合成ゴム等
の低応力剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合して
もよい。本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜
(E)成分、及びその他の添加剤等をミキサー等を用い
て混合後、加熱ニーダ、熱ロール、押し出し機等を用い
て加熱混練し、続いて冷却、粉砕して得られる。本発明
のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子等の電子部品
を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファー
モールド、コンプレッションモールド、インジェクショ
ンモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよ
い。
配合割合は重量部とする。 実施例1 3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルを主成 分とするエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)・製、YX4000HK、融 点105℃、エポキシ当量191、以下、ビフェニル型エポキシ樹脂という) 7.5重量部 フェノールアラルキル樹脂(軟化点75℃、水酸基当量174)6.8重量部 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという) 0.2重量部 球状溶融シリカ 84.9重量部 グリセリントリモンタン酸エステル(炭素数29) 0.3重量部 カーボンブラック 0.3重量部 をミキサーを用いて混合した後、表面温度が95℃と2
5℃の2軸ロールを用いて20回混練し、得られた混練
物シートを冷却後粉砕して、エポキシ樹脂組成物とし
た。得られたエポキシ樹脂組成物の特性を以下の方法で
評価した。
ラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、
注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。
単位はcm。 離型性:トランスファー成形機を用いて、金型温度17
5℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分で14
4pQFP(20×20×1.7mm厚さ)を10回連
続で成形した。この10回の成形で、離型時に金型に付
着したり、硬化物に割れ・欠けが発生した回数が5回以
上のものを×、1〜4回のものを△、発生なしのものを
○と判定した。 金型汚れ:トランスファー成形機を用いて、金型温度1
75℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分で1
44pQFP(20×20×1.7mm厚さ)を500
回連続で成形した。硬化物表面と金型表面の両方に白化
があるものを×、どちらかに白化のあるものを△、どち
らにも白化のないものを○と判定した。耐半田クラック
性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175
℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分で144
pQFP(20×20×1.7mm厚さ)を成形し、1
75℃、8時間で後硬化させ、85℃、相対湿度85%
の環境下で168時間放置し、その後240℃の半田槽
に10秒間浸漬した。その後超音波探傷装置で内部を透
視し、[(剥離発生パッケージ数)/(全パッケージ数
×100)]を求め、0%のものを○、20%未満のも
のを△、20%以上のものを×とした。
ルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点55
℃、エポキシ当量196)、フェノールノボラック樹脂
(軟化点110℃、水酸基当量104)、グリセリント
リセロチン酸エステル(炭素数26)、グリセリントリ
ステアリン酸エステル(炭素数18)、グリセリントリ
長鎖脂肪酸エステル(炭素数37以上)、グリセリンモ
ノモンタン酸エステル(炭素数29)、グリセリンジモ
ンタン酸エステル(炭素数29)。表1、表2の配合に
従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得、
実施例1と同様にして評価した。結果を表1、表2に示
す。
れが少なく、離型性に優れており、これを用いた半導体
装置は耐湿性に優れ、その結果として耐半田クラック性
にも優れている。
Claims (3)
- 【請求項1】 (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール
樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機質充填材、及び
(E)グリセリンと炭素数24〜36の飽和脂肪酸との
グリセリントリ脂肪酸エステルを必須成分とすることを
特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項2】 成分(E)が、全エポキシ樹脂組成物中
に0.02〜0.5重量%含まれる請求項1記載の半導
体封止用エポキシ樹脂組成物。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体封止用エポ
キシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなること
を特徴とする半導体装置。
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