JP2002075743A - インダクタンス可変コイル、高圧発生装置、トランス選別装置およびトランス選別方法 - Google Patents

インダクタンス可変コイル、高圧発生装置、トランス選別装置およびトランス選別方法

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JP2002075743A
JP2002075743A JP2000258147A JP2000258147A JP2002075743A JP 2002075743 A JP2002075743 A JP 2002075743A JP 2000258147 A JP2000258147 A JP 2000258147A JP 2000258147 A JP2000258147 A JP 2000258147A JP 2002075743 A JP2002075743 A JP 2002075743A
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coil
transformer
variable
variable inductance
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Toru Nakamitsu
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インダクタンス値の可変幅を大きくして出力
電圧の調整幅を大きく取ることができ、トランスが所定
の電圧範囲内にあるかどうかを選別することができるイ
ンダクタンス可変コイル、高圧発生装置、トランス選別
装置およびトランス選別方法を提供すること。 【解決手段】 巻線40が巻かれたコイルボビン12
と、コイルボビン12を組み込む第一コア14と、第一
コア14の端部に突き合わされ閉磁路を形成する第二コ
ア16と、突き合わされた第一コア14の端部と第二コ
ア16との間に置かれコアギャップを形成する弾性部材
18と、第一コア14と第二コア16と弾性部材18と
を締め付けて固定する固定部材20と、固定部材20に
よる締め付け具合を加減する締め付け調整部22を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インダクタンスを
変化させることができるインダクタンス可変コイル、そ
のインダクタンス可変コイルを有する高圧発生装置、ト
ランス選別装置およびトランス選別方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来用いられているコンデンサとコイル
を有するLC共振回路が発生する出力電圧を調整する方
法としては、コンデンサの容量値を変化させる方法と、
可変コイルを使用してインダクタンス値を変化させる場
合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、コンデンサ
の容量値を変化させて出力電圧を調整する場合には、図
8(A)に示すように出力電圧Vはある一定間隔の容量
値Cでコンデンサを別のコンデンサに交換するので、L
C共振回路の出力電圧が階段状にしか変化させることが
できない。また可変コイルを使用する場合には、図8
(B)に示すようにインダクタンス値の可変幅が狭いた
めに、出力電圧Vの調整幅が狭いという問題がある。
【0004】一方、テレビジョン受像機の陰極線管(C
RT)のアノードに対して高電圧を供給するために、高
圧トランスとしていわゆるフライバックトランスが用い
られている。このフライバックトランスは、たとえば低
圧巻線を巻き付けたボビンと高圧巻線を巻き付けたボビ
ンを有しており、高圧巻線の一端部から発生する高電圧
は、フライバックトランスの高圧リードを介して陰極線
管のアノードに供給される。
【0005】このようなフライバックトランスを製造す
る場合に、製造された個々のフライバックトランスの高
圧電圧値は、あらかじめ定められた標準とされるフライ
バックトランスのドライブ条件を元にして設定した高圧
電圧値の範囲内にあるかどうかを検査する必要がある。
従って、製造工程において、このような製造されたフラ
イバックトランスの高圧電圧値が、あらかじめ定められ
た標準のフライバックトランスのドライブ条件を元に設
定した高圧電圧値の範囲内にあるかどうかを検査して判
定したいという希望がある。そこで本発明は上記課題を
解消し、インダクタンス値の可変幅を大きくして出力電
圧の調整幅を大きく取ることができ、製造したトランス
の電圧値が所定の電圧範囲内にあるかどうかを選別する
ことができるインダクタンス可変コイル、高圧発生装
置、トランス選別装置およびトランス選別方法を提供す
ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、巻線
が巻かれたコイルボビンと、前記コイルボビンを組み込
む第一コアと、前記第一コアの端部に突き合わされ閉磁
路を形成する第二コアと、突き合わされた前記第一コア
の端部と前記第二コアとの間に置かれコアギャップを形
成する弾性部材と、前記第一コアと前記第二コアと前記
弾性部材とを締め付けて固定する固定部材と、前記固定
部材による締め付け具合を加減する締め付け調整部と、
を備えることを特徴とするインダクタンス可変コイルで
ある。請求項1では、コイルボビンには巻線が巻かれて
いる。第一コアはコイルボビンを組み込んでいる。第二
コアは第一コアの端部に突き合わされて閉磁路を形成す
る。弾性部材は、第一コアの端部と第二コアの間に置か
れてコアギャップを形成する。固定部材は、第一コアと
第二コアと弾性部材とを締め付けて固定する。締め付け
調整部は、固定部材による締め付け具合を加減すること
ができる。これにより、締め付け調整部により、第一コ
アと第二コア間の弾性部材を介して第一コアと第二コア
の締め付け具合を調整することにより、大電流が流れる
ところでもインダクタンス値の可変幅を直線的に大きく
取ることができ、この結果LC共振回路の出力電圧の調
整幅を大きく取ることができる。
【0007】請求項2の発明は、請求項1に記載のイン
ダクタンス可変コイルにおいて、前記第一コアと前記第
二コアとが、EIコアを構成する。請求項2では、第一
コアと第二コアがEIコアを構成しており、EIコアを
用いることによりアンペアオーダの大電流を必要とする
回路でインダクタンスを変えることができる。
【0008】請求項3の発明は、巻線が巻かれたコイル
ボビンと、前記コイルボビンを組み込む第一コアと、前
記第一コアの端部に突き合わされ閉磁路を形成する第二
コアと、突き合わされた前記第一コアの端部と前記第二
コアとの間に置かれコアギャップを形成する弾性部材
と、前記第一コアと前記第二コアと前記弾性部材とを締
め付けて固定する固定部材と、前記固定部材による締め
付け具合を加減する締め付け調整部と、を備えるインダ
クタンス可変コイルと、前記インダクタンス可変コイル
に一次コイルが直列に接続され、二次コイルに高圧を発
生させるトランスと、前記インダクタンス可変コイルと
並列に接続されたスイッチング素子であり前記一次コイ
ルに流れる電流を制御する前記スイッチング素子と、前
記インダクタンス可変コイルと並列に接続され、前記イ
ンダクタンス可変コイルと前記一次コイルとともに共振
によってパルス電圧を発生させるコンデンサと、を備え
ることを特徴とする高圧発生装置である。
【0009】請求項3では、インダクタンス可変コイル
は次のような要素を有している。コイルボビンには巻線
が巻かれている。第一コアはコイルボビンを組み込んで
いる。第二コアは第一コアの端部に突き合わされて閉磁
路を形成する。弾性部材は第一コアの端部と第二コアの
間に置かれてコアギャップを形成する。固定部材は、第
一コアと第二コアと弾性部材とを締め付けて固定する。
締め付け調整部は、固定部材による締め付け具合を加減
するようになっている。トランスの一次コイルは、イン
ダクタンス可変コイルに直列に接続されて、二次コイル
に高圧を発生させる。スイッチング素子は、インダクタ
ンス可変コイルと並列に接続されたスイッチング素子
で、一次コイルに流れる電流を制御する。コンデンサは
インダクタンス可変コイルと並列に接続されてインダク
タンス可変コイルと一次コイルとともに共振によってパ
ルス電圧を発生させる。これにより、締め付け調整部に
より、第一コアと第二コア間の弾性部材を介して第一コ
アと第二コアの締め付け具合を調整することにより、大
電流が流れるところでもインダクタンス値の可変幅を直
線的に大きく取ることができ、この結果LC共振回路の
出力電圧の調整幅を大きく取ることができる。大電流が
流れるところでもコアを使用したインダクタンス可変コ
イルによりインダクタンス値を変えることができ、LC
共振回路の共振点をずらすことができるので、トランス
等の部品のばらつきを抑えて所定の高圧出力電圧を得る
ことができる。すなわちコアを使用したインダクタンス
可変コイルにより、インダクタンス値を変えることで、
トランス等の部品のばらつきを吸収して所定の高圧出力
電圧を得ることができる。
【0010】請求項4の発明は、巻線が巻かれたコイル
ボビンと、前記コイルボビンを組み込む第一コアと、前
記第一コアの端部に突き合わされ閉磁路を形成する第二
コアと、突き合わされた前記第一コアの端部と前記第二
コアとの間に置かれコアギャップを形成する弾性部材
と、前記第一コアと前記第二コアと前記弾性部材とを締
め付けて固定する固定部材と、前記固定部材による締め
付け具合を加減する締め付け調整部と、を備えるインダ
クタンス可変コイルと、前記インダクタンス可変コイル
に一次コイルが直列に接続され、二次コイルに高圧を発
生させるトランスと、前記トランスを抜き差しするため
の変換手段と、前記インダクタンス可変コイルと並列に
接続されたスイッチング素子で前記一次コイルに流れる
電流を制御するスイッチング素子と、前記インダクタン
ス可変コイルと並列に接続され、前記インダクタンス可
変コイルと前記一次コイルとともに共振によってパルス
電圧を発生させるコンデンサと、を備え、前記変換手段
により差し替える検査対象のトランスが発生する高圧電
圧値を測定して選別することを特徴とするトランス選別
装置である。
【0011】請求項4では、インダクタンス可変コイル
は次のような要素を有している。コイルボビンには巻線
が巻かれている。第一コアはコイルボビンを組み込んで
いる。第二コアは第一コアの端部に突き合わされて閉磁
路を形成する。弾性部材は第一コアの端部と第二コアの
間に置かれてコアギャップを形成する。固定部材は、第
一コアと第二コアと弾性部材とを締め付けて固定する。
締め付け調整部は、固定部材による締め付け具合を加減
するようになっている。トランスの一次コイルは、イン
ダクタンス可変コイルに直列に接続されて、二次コイル
に高圧を発生させる。スイッチング素子は、インダクタ
ンス可変コイルと並列に接続されたスイッチング素子
で、一次コイルに流れる電流を制御する。コンデンサは
インダクタンス可変コイルと並列に接続されてインダク
タンス可変コイルと一次コイルとともに共振によってパ
ルス電圧を発生させる。これにより、締め付け調整部に
より、第一コアと第二コア間の弾性部材を介して第一コ
アと第二コアの締め付け具合を調整することにより、大
電流が流れるところでもインダクタンス値の可変幅を直
線的に大きく取ることができ、この結果LC共振回路の
出力電圧の調整幅を大きく取ることができる。大電流が
流れるところでもコアを使用したインダクタンス可変コ
イルによりインダクタンス値を変えることができ、LC
共振回路の共振点をずらすことができるので、トランス
等の部品のばらつきを抑えて所定の高圧出力電圧を得る
ことができる。すなわちコアを使用したインダクタンス
可変コイルにより、インダクタンス値を変えることで、
トランス等の部品のばらつきを吸収して所定の高圧出力
電圧を得ることができる。そして、変換手段により差し
替える検査対象のトランスが発生する高圧電圧値を測定
して、トランスの良否を選別することができる。
【0012】請求項5の発明は、巻線が巻かれたコイル
ボビンと、前記コイルボビンを組み込む第一コアと、前
記第一コアの端部に突き合わされ閉磁路を形成する第二
コアと、突き合わされた前記第一コアの端部と前記第二
コアとの間に置かれコアギャップを形成する弾性部材
と、前記第一コアと前記第二コアと前記弾性部材とを締
め付けて固定する固定部材と、前記固定部材による締め
付け具合を加減する締め付け調整部と、を備えるインダ
クタンス可変コイルと、前記インダクタンス可変コイル
に一次コイルが直列に接続され、二次コイルに高圧を発
生させるトランスと、前記トランスを抜き差しするため
の変換手段と、前記インダクタンス可変コイルと並列に
接続されたスイッチング素子で前記一次コイルに流れる
電流を制御するスイッチング素子と、前記インダクタン
ス可変コイルと並列に接続され、前記インダクタンス可
変コイルと前記一次コイルとともに共振によってパルス
電圧を発生させるコンデンサと、を用意し、前記インダ
クタンス可変コイルのインダクタンス値を変えて、標準
とされるトランスの所定の負荷状態に対して所定の高圧
電圧値を得られるように設定し、前記変換手段により差
し替えられる検査対象のトランスが発生する高圧電圧値
を測定して、所定の電圧範囲内にあるトランスの選別を
行うことを特徴とするトランス選別方法である。請求項
5では、インダクタンス可変コイルのインダクタンス値
を変えて、標準とされるトランスの所定の負荷状態に対
して所定の高圧電圧値を得られるように設定し、変換手
段により差し替えられる検査対象のトランスが発生する
高圧電圧値を測定して、所定の高圧電圧の範囲内にある
かどうかによりトランスの良否の選別を行うことができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、
技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明
の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨
の記載がない限り、これらの形態に限られるものではな
い。
【0014】図1は、本発明のインダクタンス可変コイ
ルの好ましい実施の形態を示す分解図であり、図2と図
3はインダクタンス可変コイルの表面図と側面図であ
る。インダクタンス可変コイル10は、概略的にはコイ
ルボビン12、第一コア14、第二コア16、弾性部材
18、固定部材20、締め付け調整部22等を有してい
る。図1〜図3に示すように、コイルボビン12は、巻
線40が巻かれている。コイルボビン12は、プラスチ
ック、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、66ナ
イロン、フェノールにより作られている。コイルボビン
12は、複数電気接続用の端子42が突出して設けられ
ている。これらの端子42は巻線40に対して電気的に
接続されている。
【0015】コイルボビン12の部分44と部分46は
平行に設けられており、部分44,46の間は部分48
により接続されている。この部分48には巻線40が巻
かれている。部分44と部分46は板状の部材であり、
部分44には長溝状の穴50が形成されている。同様に
して部分46にも穴52が形成されている。穴50に連
続するようにして、3つの穴54が部分44に形成され
ている。このコイルボビン12は、コイルともいう巻線
40と端子42を電気的に接続するために必要なもので
ある。
【0016】図1に示す第一コア14と第二コア16
は、図2に示すように弾性部材18を介して突き当てる
ことによりEIコアを形成している。第一コア14はE
型のコアであり、第二コア16はI型のコアである。第
一コア14と第二コア16は、たとえばフェライト、ア
モルファス、珪素鋼板により作られている。弾性部材1
8は、第一コア14と第二コア16の間に挟まれて磁気
的なギャップを形成するが、弾性部材18は、たとえば
数十μmの厚みのシリコンゴム等を採用することができ
るが、この弾性部材18は第一コア14と第二コア16
が形成する閉磁路の形成を阻害するものではない。この
ようなEIコア形状の第一コア14と第二コア16を採
用することにより、アンペアオーダの大電流を必要とす
る回路でもインダクタンス値を変えることができる。
【0017】第一コア14の突出部14A,14B,1
4Cの端部にはそれぞれ弾性部材18が固定されてい
る。各突出部14A,14B,14Cは、コイルボビン
12の部分46の穴52を通して、部分44の穴54を
通り穴50にまで達するようになっている。第二コア1
6は部分44の穴50にはめ込まれることから、図2に
示すように、コイルボビン12の中で、突出部14A,
14B,14Cが弾性部材18を介して第二コア16に
対して突き当てることで、第一コア14と第二コア16
はEIコアを構成することができる。
【0018】次に、固定部材20について説明する。こ
の固定部材20は、第一コア14、第二コア16および
コイルボビン12を一体的に締め付けて固定するもので
ある。固定部材20は、平板60,62を有している。
平板62からはねじ64,64が突出して設けられてい
る。このねじ64,64は、平板60の穴66を通り、
締め付け調整部22によりそれぞれ固定することができ
る。この締め付け調整部22は、たとえばナットであ
り、作業者がこのナット上の締め付け調整部22を回す
ことにより、平板60,62を用いて第一コア14、第
二コア16およびコイルボビン12の締め付け力を加減
することができるようになっている。平板60,62
は、たとえば金属、具体的には、アルミニウム、ステン
レス、クロムを採用することができる。
【0019】ところで、このような締め付け調整部22
を作業者が回すことにより、巻線40のインダクタンス
値を図4に示すように直線的に変化させることができ
る。図4は図1〜図3のインダクタンス可変コイル10
の電圧Vに対するインダクタンス値Lの変化例を示して
いる。このようにインダクタンス値をリニアに変化させ
ることができる原理としては、次の通りである。コイル
のインダクタンス値は、 L(インダクタンス値)={N(巻数)}2 ×AL(イ
ンダクション係数) で表される。このAL値はギャップ間隔Gと下記のよう
な関係にある。
【数1】 ここで、αは、EIコアの材質や形状に依存する係数で
あり、βは、EIコアの材質や形状に依存する係数であ
る。ナットを回すことで、このギャップ間隔Gが変化す
る(α,βはEIコアの大きさや材質により異なる) AL値はギャップ間隔Gでリニアに変化するため、図4
のようにインダクタンス値もリニアに変化する。
【0020】次に、図1〜図3および図4を参照して、
インダクタンス可変コイル10の組立ておよびその動作
について説明する。コイルボビン12の溝52と54お
よび50に対して第一コア14の突出部14A,14
B,14Cをはめ込む。弾性部材18はすでにこの突出
部14A,14B,14Cに貼り付けられている。第二
コア16を溝50にはめ込むことで、図2に示すように
第一コア14と第二コア16は突き合わされた状態で、
しかも弾性部材18の介在により所定のギャップで組み
立てられることになる。この時に必要に応じて、第一コ
ア14と第二コア16を粘着テープ等で巻いて仮止めし
ておけばよい。
【0021】次に、固定部材20の平板60,62の間
に、このコイルボビン12、第一コア14および第二コ
ア16の組立体を挟み込み、そしてねじ64,64に対
して締め付け調整部22をねじ込む。この締め付け調整
部22のねじ込み量を変えることにより、固定部材20
による締め付け具合を加減することができる。この締め
付け具合を加減することにより、第一コア14と第二コ
ア16の間にある弾性部材18によりギャップを可変で
きる。たとえばサラビスのようなねじ64と平板60,
62およびナットのような締め付け調整部22を使用す
ることにより、インダクタンス可変コイル10の全体の
外形寸法を小さくすることができるとともに、そして作
業者がコイルのインダクタンス値の調整を行いたい場合
には、作業者が工具を用いて締め付け調整部22を回す
だけで容易に行うことができる。このように締め付け調
整部22を回して平板60,62により第一コア14と
第二コア16を締め付けたり緩めたりすることで、EI
コアである第一コア14と第二コア16は弾性部材18
の介在によりギャップ間隔が変化して、コイルのインダ
クタンス値を図4に示すように広い範囲で、しかも出力
電圧がリニアになるように可変することができるのであ
る。
【0022】このように、インダクタンス可変コイル1
0は、二つコアと、その間に置かれた弾性部材を固定す
る固定部材に、可動部である締め付け調整部を設けて、
その締め付け具合を変えてギャップ間隔を変化させるの
で、大電流が流れることろでもインダクタンス値を変え
る。巻線が巻かれたコイルボビンを組み込む第一コア1
4と、この第一コア14と突き合わされて閉磁路を構成
するもう一つの第二コア16と、その間に置かれてギャ
ップ間隔を決定する弾性部材18とを締め付け固定させ
る固定部材に可動部を設けて、この可動部により締め付
け具合を調節することによりギャップ間隔が変わるので
インダクタンスを可変にすることができる。
【0023】図5は、図1〜図3のインダクタンス可変
コイル10を適用した本発明の高圧発生装置100を示
している。この高圧発生装置100は、たとえばテレビ
ジョン受像機やコンピュータのモニター装置等の陰極線
管(CRT)400の陽極(アノード)410に対して
高電圧HVを供給するものである。この高圧発生装置1
00は、概略的にはインダクタンス可変コイル10、ト
ランスの一例としてフライバックトランス110、スイ
ッチング素子120、コンデンサ125、ダンパーダイ
オード130等を有している。フライバックトランス1
10の一次コイル150がインダクタンス可変コイル1
0に直列に接続され、フライバックトランス110の二
次コイル160に高圧を発生させる。スイッチング素子
120のベースは水平ドライブトランスDTの二次コイ
ル140側に接続されている。このスイッチング素子1
20は、インダクタンス可変コイル10と並列に接続さ
れており、スイッチング素子120はフライバックトラ
ンス110の一次コイル150に流れる電流をスイッチ
ングにより制御する。
【0024】共振用のコンデンサ125は、インダクタ
ンス可変コイル10と並列に接続されており、インダク
タンス可変コイル10と一次コイル150とともに共振
によってパルス電圧を発生させるものである。ダンパー
ダイオード130は、インダクタンス可変コイル10に
流れる電流が(−)側の最大になった時、このダンパー
ダイオード130がインダクタンス可変コイル10の逆
起電力によりONし、インダクタンス可変コイル10に
流れる電流を0に近づける。インダクタンス可変コイル
10の巻線40は、コンデンサ125の両端部に並列接
続されている。フライバックトランス110の二次コイ
ル160側には、高圧整流回路部170に接続されてい
る。この高圧整流回路部170は二次コイル160に生
じる高圧出力電圧を整流して、陰極線管400の陽極4
10に対して高電圧HVを供給するようになっている。
【0025】陰極線管用の水平偏向出力の共振用にEI
コアを使用したインダクタンス可変コイル10を用い
て、フライバックトランス110の製造上の部品のばら
つきによる高圧出力電圧のばらつきを所定内に収める。
大電流が流れるところでも、コアを使用したインダクタ
ンス可変コイル10はインダクタンスを変えて、共振点
をずらすことができるのでフライバックトランス110
の製造上の部品のばらつきを抑えることができるので、
高圧整流回路部170からは所定の高圧出力電圧が得ら
れる。
【0026】次に図6を参照して、本発明のトランス選
別装置について説明する。トランス選別装置200は、
図5の高圧発生装置100に対してさらにソケット35
0と450を備えているものである。図6において、図
5の高圧発生装置100の構成要素と同じ要素には、同
じ符号を付けて、説明を援用する。このソケット35
0,450は、検査対象となるフライバックトランス1
10を、順次別のフライバックトランス110と置き換
えることで、標準のフライバックトランスのドライブ条
件を元に設定した高圧電圧値の範囲内に、その検査対象
である製造したフライバックトランス110が入ってい
るかどうかで良品であるか不良品であるかを検査して判
定するものである。
【0027】まず標準となるフライバックトランス11
0を、変換手段の一例であるソケット350,450を
用いてトランス選別装置200に設定する。そしてイン
ダクタンス可変コイル10のインダクタンス値を変える
ことにより、標準とされるフライバックトランス110
の所定の負荷状態に対して所定の高圧電圧値を得られる
ように設定する。その後、標準のフライバックトランス
110を外して、別の製造された検査対象であるフライ
バックトランス110Aをソケット350,450に差
し込んで電気的に接続する。この検査対象のフライバッ
クトランス110Aが発生する高圧電圧値を測定して、
標準のフライバックトランス110で得られる所定の電
圧範囲内にあるかどうかによって、所定の電圧範囲内に
あれば検査対象であるフライバックトランス110Aは
良品であると選別され、そうでない場合にはフライバッ
クトランス110Aは不良品であると選別することがで
きる。
【0028】このトランス選別装置200は、水平出力
回路にインダクタンス可変コイル10を用いることによ
り、標準フライバックトランス110のドライブ条件を
調整しておき、検査対象のフライバックトランス110
Aに置き換えて、標準フライバックトランス110のド
ライブ条件を基に設定した高圧電圧値の範囲内にあるか
どうかを検査して判定することができる。インダクタン
ス可変コイル10はインダクタンス値を変えられるの
で、コンデンサの値にばらつきがあっても標準のフライ
バックトランスのドライブ条件を希望値に調整できる。
【0029】ところで、図7(A)と(B)に示すよう
に、トランス選別装置200のメイン基板600に対し
てインダクタンス可変コイル10を搭載した付属基板7
00を、いわゆるスロットインタイプ形式で設けるのが
望ましい。メイン基板600は箱770の中に収容され
ている。インダクタンス可変コイル10によりトランス
選別を行っている場合の通常動作の場合には付属基板7
00は図7(A)に示すようにメイン基板600側に収
納しておき、インダクタンス可変コイル10のコイルの
インダクタンス値を調整する場合のみ、図7(B)に示
すように付属基板700は延長基板720を用いてメイ
ン基板600の外に取り出して、インダクタンス可変コ
イル10のインダクタンス値を可変する際にコイルの上
空に障害物がないようにするのがよい。これにより、作
業者は工具を用いて図1に示す締め付け調整部22を障
害物がなく簡単にかつ確実に回すことができ、インダク
タンス可変コイル10のインダクタンス値を正確に調整
することができる。この調整が終わったら、図7(A)
のように付属基板700をメイン基板600側に収納し
て通常動作させることができる。
【0030】ところで本発明は上記実施の形態に限定さ
れるものではない。上述した実施の形態では、検査対象
となるトランスを、陰極線管の同様に用いるフライバッ
クトランスとしているが、これに限らず他の種類のトラ
ンス、たとえば電源用トランスや高圧発生トランスであ
っても勿論構わない。また図1の固定部材は2枚の平板
60,62とねじ64とナットのような部材により構成
しているが、これに限らず他の形式の構造体であっても
勿論構わない。締め付け調整部22はナットではなく他
の種類のものであっても勿論構わない。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インダクタンス値の可変幅を大きくして出力電圧の調整
幅を大きく取ることができ、トランスが所定の電圧範囲
内にあるかどうかを選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインダクタンス可変コイルの好ましい
実施の形態を示す分解斜視図。
【図2】図1のインダクタンス可変コイルの正面図。
【図3】インダクタンス可変コイルの断面図。
【図4】インダクタンス可変コイルのインダクタンス値
の変化が大きいことを示す図。
【図5】インダクタンス可変コイルを用いた高圧発生装
置の例を示す図。
【図6】インダクタンス可変コイルを用いたトランス選
別装置の例を示す図。
【図7】メイン基板に対して、インダクタンス可変コイ
ルを有する付属基板の出し入れできる例を示す図。
【図8】従来のLC共振回路の出力電圧を調整する方法
を示す図。
【符号の説明】
10・・・インダクタンス可変コイル、12・・・コイ
ルボビン、14・・・第一コア、16・・・第二コア、
18・・・弾性部材、20・・・固定部材、22・・・
締め付け調整部、40・・・巻線、100・・・高圧発
生装置、200・・・トランス選別装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻線が巻かれたコイルボビンと、 前記コイルボビンを組み込む第一コアと、 前記第一コアの端部に突き合わされ閉磁路を形成する第
    二コアと、 突き合わされた前記第一コアの端部と前記第二コアとの
    間に置かれコアギャップを形成する弾性部材と、 前記第一コアと前記第二コアと前記弾性部材とを締め付
    けて固定する固定部材と、 前記固定部材による締め付け具合を加減する締め付け調
    整部と、を備えることを特徴とするインダクタンス可変
    コイル。
  2. 【請求項2】 前記第一コアと前記第二コアとが、EI
    コアを構成する請求項1に記載のインダクタンス可変コ
    イル。
  3. 【請求項3】 巻線が巻かれたコイルボビンと、前記コ
    イルボビンを組み込む第一コアと、前記第一コアの端部
    に突き合わされ閉磁路を形成する第二コアと、突き合わ
    された前記第一コアの端部と前記第二コアとの間に置か
    れコアギャップを形成する弾性部材と、前記第一コアと
    前記第二コアと前記弾性部材とを締め付けて固定する固
    定部材と、前記固定部材による締め付け具合を加減する
    締め付け調整部と、を備えるインダクタンス可変コイル
    と、 前記インダクタンス可変コイルに一次コイルが直列に接
    続され、二次コイルに高圧を発生させるトランスと、 前記インダクタンス可変コイルと並列に接続されたスイ
    ッチング素子であり前記一次コイルに流れる電流を制御
    する前記スイッチング素子と、 前記インダクタンス可変コイルと並列に接続され、前記
    インダクタンス可変コイルと前記一次コイルとともに共
    振によってパルス電圧を発生させるコンデンサと、を備
    えることを特徴とする高圧発生装置。
  4. 【請求項4】 巻線が巻かれたコイルボビンと、前記コ
    イルボビンを組み込む第一コアと、前記第一コアの端部
    に突き合わされ閉磁路を形成する第二コアと、突き合わ
    された前記第一コアの端部と前記第二コアとの間に置か
    れコアギャップを形成する弾性部材と、前記第一コアと
    前記第二コアと前記弾性部材とを締め付けて固定する固
    定部材と、前記固定部材による締め付け具合を加減する
    締め付け調整部と、を備えるインダクタンス可変コイル
    と、 前記インダクタンス可変コイルに一次コイルが直列に接
    続され、二次コイルに高圧を発生させるトランスと、 検査対象の前記トランスを抜き差しするための変換手段
    と、 前記インダクタンス可変コイルと並列に接続されたスイ
    ッチング素子で前記一次コイルに流れる電流を制御する
    スイッチング素子と、 前記インダクタンス可変コイルと並列に接続され、前記
    インダクタンス可変コイルと前記一次コイルとともに共
    振によってパルス電圧を発生させるコンデンサと、を備
    え、 前記変換手段により差し替える検査対象の前記トランス
    が発生する高圧電圧値を測定して選別することを特徴と
    するトランス選別装置。
  5. 【請求項5】 巻線が巻かれたコイルボビンと、前記コ
    イルボビンを組み込む第一コアと、前記第一コアの端部
    に突き合わされ閉磁路を形成する第二コアと、突き合わ
    された前記第一コアの端部と前記第二コアとの間に置か
    れコアギャップを形成する弾性部材と、前記第一コアと
    前記第二コアと前記弾性部材とを締め付けて固定する固
    定部材と、前記固定部材による締め付け具合を加減する
    締め付け調整部と、を備えるインダクタンス可変コイル
    と、 前記インダクタンス可変コイルに一次コイルが直列に接
    続され、二次コイルに高圧を発生させるトランスと、 前記トランスを抜き差しするための変換手段と、 前記インダクタンス可変コイルと並列に接続されたスイ
    ッチング素子で前記一次コイルに流れる電流を制御する
    スイッチング素子と、 前記インダクタンス可変コイルと並列に接続され、前記
    インダクタンス可変コイルと前記一次コイルとともに共
    振によってパルス電圧を発生させるコンデンサと、を用
    意し、 前記インダクタンス可変コイルのインダクタンス値を変
    えて、標準とされるトランスの所定の負荷状態に対して
    所定の高圧電圧値を得られるように設定し、 前記変換手段により差し替えられる検査対象の前記トラ
    ンスが発生する高圧電圧値を測定して、所定の電圧範囲
    内にあるトランスの選別を行うことを特徴とするトラン
    ス選別方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009240121A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Panasonic Electric Works Co Ltd 非接触給電装置
US7969266B2 (en) 2007-01-24 2011-06-28 Sumida Corporation Inductor
JP2012010463A (ja) * 2010-06-23 2012-01-12 Fujitsu Telecom Networks Ltd スイッチング電源装置
US20160225518A1 (en) * 2013-09-24 2016-08-04 Turtle Beach Corporation Tunable inductive device for parametric audio systems and related methods

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