JP2002072195A - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

反射型液晶表示装置

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JP2002072195A JP2000259790A JP2000259790A JP2002072195A JP 2002072195 A JP2002072195 A JP 2002072195A JP 2000259790 A JP2000259790 A JP 2000259790A JP 2000259790 A JP2000259790 A JP 2000259790A JP 2002072195 A JP2002072195 A JP 2002072195A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光散乱型液晶を用いた反射型液晶表示装置に
おいて、白表示時における前方散乱光の利用効率を上げ
て明度の向上を図ると共に、視差の問題による画質劣化
や、コントラストの低下を防止できる反射型液晶表示装
置を提供する。 【解決手段】 液晶パネルの表示面側から順に、液晶パ
ネルの表示面から入射される光を透過させる際に、表示
面法線とのなす角が大きい光を表示面法線とのなす角が
小さい光に変換し、表示面法線とのなす角が小さい光を
表示面法線とのなす角が大きい光に変換するプリズムシ
ート6と、上記プリズムシート6を透過した後の光に対
し、表示面法線とのなす角が大きい光を吸収する吸収層
4と、液晶層1よりも背面側に配置され、上記吸収層4
を透過した入射光を表示面側に反射する反射板5とを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光板を用いず、
白表示の明度が高く、且つ、コントラスト比の高い良好
な表示を行う反射型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、反射型液晶表示装置は携帯電話等
のモバイル機器や携帯型ゲーム機を中心として、各種分
野に用途が拡大している。
【0003】反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装
置に対して、バックライトを必要としないため光源用電
力が削減可能であり、さらに、バックライトのスペース
や重量が節約できる等の特徴を有している。すなわち、
表示装置全体として、消費電力の低減が実現でき、小型
のバッテリを用いることが可能になり、軽量薄型を目的
とする機器に適している。また、機器の大きさまたは重
量を同一にするように作製すれば、大型のバッテリを用
いることが可能になり、動作時間の飛躍的な拡大が期待
できる。
【0004】また、表示面のコントラスト特性の面から
も、自発光型のCRT(Cathode Ray Tube)や透過型液
晶表示装置では、日中の屋外で大幅なコントラスト比の
低下が見られるのに対し、反射型液晶表示装置は、周囲
光量に比例した表示光が得られ、屋外での使用時には特
に好適である。
【0005】上述のような非常に有望な応用分野を有し
ながら、十分なコントラスト比や反射率、フルカラー
化、高精細表示や動画への対応等の性能が不十分なた
め、現在まで十分な実用性を有する反射型カラー液晶表
示装置は得られていない。
【0006】以下、従来の反射型液晶表示装置につい
て、さらに詳細に説明する。
【0007】現在、偏光板を二枚もしくは一枚用いた反
射型液晶表示装置が広く使用されており、電界により液
晶層の旋光性を制御して表示を行うツイステッドネマテ
ィックモード(以下、「TNモード」という)、電界に
より液晶層の複屈折を制御して表示を行う複屈折モード
(以下、「ECBモード」という)、または、TNモー
ドとECBモードとを組み合わせたミックスモードなど
が主に使用されている。
【0008】これに対し、偏光板を用いない方式で、染
料を液晶に添加したゲストホスト型液晶素子が開発され
てきたが、二色性染料を添加しているために信頼性に欠
け、また、染料の二色性比が低いため、高いコントラス
ト比が得られないといった問題がある。特に、コントラ
ストの不足は、カラーフィルタを用いるカラー表示にお
いては、色純度を大幅に低下させるため、色純度の高い
カラーフィルタと組み合わせる必要があり、色純度の高
いカラーフィルタのために明度が低下し、偏光板を用い
ないことによる本方式の高明度という利点が損なわれる
という問題を有している。
【0009】これらを背景に、偏光板や染料を用いずに
高明度、高コントラスト表示の期待ができる方式とし
て、高分子分散型液晶、コレステリック液晶等を利用し
た方式の液晶表示素子の開発がなされている。これらの
方式は、液晶層に印加する電圧を制御することにより、
液晶層が光学的に透過状態と散乱状態との間で、もしく
は透過状態と反射状態との間で切り替わる特性を利用し
たものである。
【0010】液晶層における光散乱作用を利用した上記
方式では、偏光板を用いないことから、光の利用効率を
上げることができるのみでなく、色味の観点から評価を
行った場合においても、上記TNモードやECBモード
と比べ波長依存性が小さいこと、さらに、偏光板自体の
吸収プロファイル、すなわち、偏光板が青色の光を吸収
し、入射光が黄色味を帯びるといった問題点から解放さ
れることから、良好な白表示を実現することが期待され
る。
【0011】このような散乱型の液晶を用いた反射型液
晶表示装置では、通常、液晶層を透過状態とした時に黒
表示を行い、液晶層を散乱状態とした時に該液晶層にて
散乱される光によって白表示を行っている。
【0012】例えば特開平3−186816号公報に
は、黒表示の動作時において、表示面から入射されて液
晶層を透過した光を液晶パネルの背面に配置された吸収
体にて吸収することで黒表示を行う技術が開示されてい
る。
【0013】しかしながら、この場合、上記吸収体が液
晶層を透過した全ての光を吸収するように設定すること
で、白表示動作時において、液晶層に入射した光の前方
散乱光まで吸収体によって吸収されることとなる。この
ため、白表示に使用されるのは後方散乱光のみとなり、
白表示の明度が十分に得られない。
【0014】また、US3,905,682には、白表
示の明度を向上させるために、液晶層の背面側に吸収体
でなく再帰性反射板を配置する構成が開示されている。
この構成では、液晶層が散乱状態にある時に、前方散乱
光を上記再帰性反射板にて反射し、白表示に利用するこ
とで白表示の明度を向上させることができる。また、液
晶層が透過状態にある時には、液晶層を透過した光を再
帰性反射板によって反射し、その反射光を視認されない
方向へ出射させることにより黒表示を行う。
【0015】しかし、一般的な再帰性反射板の再帰性能
は完全ではなく、該公報には不完全な再帰性能を補う具
体的な構造は開示されていないため、黒表示時において
観察者に視認される出射光を無くすためには表示面に入
射される光の入射方向を限定する必要がある。すなわ
ち、表示面に対して観察者側から入射される光を考えた
場合、その出射方向から逆にたどった入射光は、観察者
側に出射されることとなる。したがって、このような入
射光の存在しない特定の使用環境でなければ十分な黒表
示を行うことが困難となる。
【0016】これらの問題を解決するものとしては、特
開昭54−105998号公報や特開平6−25863
8号公報に開示された技術がある。
【0017】特開昭54−105998号公報には、光
散乱型液晶あるいはゲストホスト液晶を用いた光変調層
とルーバーと再帰性反射体とから構成される反射形式液
晶表示装置が開示されている。
【0018】すなわち、特開昭54−105998号公
報に記載の反射形式液晶表示装置は、図15に示すよう
に、基板101・102の間に光変調層(液晶層)10
3が形成されており、基板102のさらに背面側にルー
バー104および再帰性反射板105が配置されてい
る。また、上記ルーバー104の吸収部位は、表示面法
線方向に対して傾斜して形成されている。
【0019】上記構成において、光変調層103が透過
状態(黒表示)にある場合、表示面法線に近い方向から
入射される光106や、ルーバー104の吸収部位の傾
斜面法線に近い方向から入射される光107は、ルーバ
ー104にて吸収される。また、ルーバー104の吸収
部位の傾斜面に平行に近い方向から入射される光108
は、ルーバー104を透過して再帰性反射板105によ
って反射される。再帰性反射板105によって反射され
た光108は、入射光路を逆にたどって表示面から比較
的大きな出射角にて出射されるが、この出射光は、表示
面法線に近い方向にいる観察者には視認されない。
【0020】一方、光変調層103が散乱状態(白表
示)にある場合には、入射光106ないし108の後方
散乱光が白表示に利用されるのみでなく、さらにこれら
の入射光の前方散乱光のうちのルーバー104を透過す
る光も利用できるため、白表示の明度が向上する。
【0021】また、特開平6−258638号公報に
は、光散乱型液晶層とプリズムシートと光吸収手段を有
する部材とから構成される液晶表示装置が開示されてい
る。この公報の方式では、後方散乱光と前方散乱光の一
部とを利用することによって白表示の輝度を向上させて
いる。
【0022】すなわち、特開平6−258638号公報
に記載の液晶表示装置は、図16に示すように、基板1
11・112の間に液晶層113が形成されており、基
板112のさらに背面側にプリズムアレイシート114
および光吸収手段115が配置されている。また、上記
プリズムアレイシート114の前面側および背面側に
は、低屈折率層として空気層116・117が形成され
ている。
【0023】上記構成において、液晶層113が透過状
態(黒表示)にある場合、表示面法線に近い方向から入
射される光118は、プリズムアレイシート114を透
過した後、光吸収手段115にて吸収される。また、表
示面に平行に近い方向から入射される光119は、プリ
ズムアレイシート114と空気層116との界面は透過
するが、プリズムアレイシート114と空気層117と
の界面(平坦面)によって全反射を受けることにより、
表示面から比較的大きな出射角にて出射される。この出
射光は表示面法線に近い方向にいる観察者には視認され
ない。
【0024】一方、液晶層113が散乱状態(白表示)
にある場合には、入射光118および119の後方散乱
光が白表示に利用されるのみでなく、さらにこれらの入
射光の前方散乱光のうちのプリズムアレイシート114
と空気層117との界面にて反射される光も利用できる
ため、白表示の明度が向上する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
構成では、以下に示すような問題が生じる。
【0026】しかしながら、特開昭54−105998
号公報に開示された反射形式液晶表示装置は、黒表示の
際に観察者側(表示面法線方向)に出射される光を吸収
するために、ルーバー104の吸収部位が傾斜して形成
されており、これによって白表示時には、表示面から入
射した光の前方散乱光のうち、上記ルーバー104の傾
斜面に平行に近い方向の光しか利用できないといった問
題がある。すなわち、上記構成では、前方散乱光の多く
はルーバー104にて吸収されてしまい、前方散乱光の
十分な利用効率を達成しているとは言えない。
【0027】また、特開平6−258638号公報に開
示された液晶表示装置は、プリズムアレイシート114
において屈折・反射作用を与えるため、該プリズムアレ
イシート114の前面および背面に十分に低い屈折率を
有する空気層116・117を設けている。このため、
上記プリズムアレイシート114および空気層116・
117を液晶セル内部に作ることは困難であり、よっ
て、プリズムアレイシート114および空気層116・
117は液晶セルに対して外付けされることとなり、こ
の外付けによって視差の問題が生じる。
【0028】すなわち、上記プリズムアレイシート11
4を液晶セルに対して外付けした場合には、該プリズム
アレイシート114における反射面(すなわち、プリズ
ムアレイシート114と空気層117との界面)と液晶
層113との距離が大きくなることから、図16に示す
入射光119が、プリズムアレイシート114での反射
前と反射後とで異なる画素に入射され画質品位の低下を
招来する虞がある。
【0029】また、黒表示における明度を十分に低下さ
せるために吸収体を設けると共に、前方散乱光の一部を
反射させて白表示の明度向上を図る構成では、表示面に
対して小さな入射角にて入射される光を上記吸収体にて
吸収し、表示面に対して大きな入射角にて入射される光
を反射する構成とする必要がある。
【0030】ここで、上記特開平6−258638号公
報の液晶表示装置では、このような入射光の吸収および
反射の選択を、プリズムアレイシート114と空気層1
17との界面における選択的透過/反射によって行って
いる。この場合、光吸収手段115にて吸収させるべき
光は上記界面を透過させることになるが、実際には全て
の光を透過させることは困難であり、一部反射も生じ
る。この反射光は、液晶パネルの表示面から観察者側に
出射されるため、これによって黒表示の明度が増加し、
コントラストの低下が発生するといった問題も生じる。
【0031】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、その目的は、光散乱型液晶を用いた反
射型液晶表示装置において、白表示時における前方散乱
光の利用効率を上げて明度の向上を図ると共に、視差の
問題による画質劣化や、コントラストの低下を防止でき
る反射型液晶表示装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明の反射型液晶表示
装置は、上記の課題を解決するために、一対の基板と、
該一対の基板の間に挟持された光散乱型の液晶層とを備
え、液晶パネルの表示面側から入射される外部光を利用
して表示を行う反射型液晶表示装置において、上記液晶
パネルの表示面側から順に、液晶パネルの表示面から入
射される光を透過させる際に、表示面法線とのなす角が
大きい光を表示面法線とのなす角が小さい光に変換し、
表示面法線とのなす角が小さい光を表示面法線とのなす
角が大きい光に変換する光線変換層と、上記光線変換層
を透過した後の光に対し、表示面法線とのなす角が大き
い光を吸収する吸収層と、上記液晶層よりも背面側に配
置され、上記吸収層を透過した入射光を表示面側に反射
する反射層とを備えていることを特徴としている。
【0033】上記の構成によれば、液晶パネルの表示面
法線とのなす角が大きい光(すなわち、表示面に対して
大きな入射角にて入射される光)は、上記光線変換層を
透過することにより、表示面法線とのなす角が小さい光
に変換される。逆に、表示面法線とのなす角が小さい光
(すなわち、表示面に対して小さな入射角にて入射され
る光)は、上記光線変換層を透過することにより、表示
面法線とのなす角が大きい光に変換される。
【0034】尚、上記光線変換層において、液晶パネル
の表示面法線とのなす角が大きい光を表示面法線とのな
す角が小さい光に変換する前者の作用と、表示面法線と
のなす角が小さい光を表示面法線とのなす角が大きい光
に変換する後者の作用とは、ある所定値以上の入射角を
有する入射光に対しては前者の作用を行い、所定値以下
の入射角を有する入射光に対しては後者の作用を行うと
いった明確な閾値でもって分けられるものとは限らな
い。
【0035】言い換えれば、上記光線変換層において、
例えば、プリズムシートを用いた場合には、ある特定の
入射角を有する入射光に関して前者の作用を受ける光の
割合を考えた場合、上記入射角と前者の作用を受ける光
の割合とは関数的な関係となる。すなわち、入射角が大
きな入射光については前者の作用を受ける光の割合が高
く、入射角が小さな入射光については前者の作用を受け
る光の割合が低くなるが、この割合は、ある入射角の閾
値の前後で100%と0%とに分けられるものではな
い。また、上記光線変換層においては、同時に、入射角
が大きな入射光については後者の作用を受ける光の割合
が低く、入射角が小さな入射光については後者の作用を
受ける光の割合が高くなる。
【0036】上記光線変換層を透過した光に関して、上
記吸収層は、液晶パネルの表示面法線とのなす角が大き
い光、すなわち、表示面に対して小さな入射角にて入射
された光を吸収する。また、上記吸収層への入射時にお
いて表示面法線とのなす角が小さい光は、一部は該吸収
層にて吸収されるものの、多くは該吸収層を透過して反
射層にて反射される。上記反射層にて反射された光は、
液晶層が透過状態にある時は光線変換層にて表示面法線
とのなす角が大きい光(すなわち、表示面に対して大き
な出射角にて出射される光)に変換されて表示面から出
射されるため、観察者に視認されることがなく、また、
液晶層が散乱状態にある時には、該液晶層の散乱作用に
よって白表示の明度向上に寄与する。
【0037】ここで、上記吸収層は、光吸収作用によっ
て表示面の法線方向に出射される光を無くし良好な黒表
示を与えるものであるが、このためには、表示面に対し
小さな入射角で入射される光を吸収する必要がある。一
方で、上記吸収層には、壁状の構造を持つ吸収部位と透
過部位とからなるルーバーを用いることが好適である
が、上記ルーバーは、吸収層への入射時に表示面法線と
のなす角が大きい光を吸収する。これは、上記光線変換
層にて、表示面法線とのなす角が小さい光を表示面法線
とのなす角が大きい光に変換することによって可能とな
る。
【0038】また、上記構成では、黒表示における観察
者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上のた
めの反射の選択は、上記吸収層における選択的透過/吸
収作用によって行われる。このような選択的透過/吸収
による方法は、特開平6−258638号公報のような
選択的透過/反射による方法に比べ、表示面からの出射
を許容すべきでない光が確実にカットされるので、明度
が十分に抑えられた良好な黒表示を得ることができる。
【0039】さらに、上記光線変換層は、表示面法線と
のなす角が大きい光を表示面法線とのなす角が小さい光
に変換するため、上記吸収層の透過方向、および上記反
射層の反射面法線方向を、表示面法線方向と一致させれ
ば、表示面に対して所定値以上の入射角を有する入射光
に対し、その入射される向きに関係なくこれを反射させ
て白表示の明度向上に寄与させることが可能となる。す
なわち、液晶層での前方散乱光の利用効率を上げて、白
表示の明度を向上させることが可能となる。
【0040】また、上記特開平6−258638号公報
の課題として挙げた視差の問題に関しては、上記光線変
換層を液晶層の前面側に配置するか、上記反射層を再帰
性反射板とすることによって解決できる。
【0041】すなわち、上記光線変換層を液晶層の前面
側に配置した場合、表示面に対して大きな入射角で入射
された光は、光線変換層を通過することによって、表示
面法線とのなす角が小さい光となって液晶層を通過す
る。そして、反射層にて反射された後、再度液晶層を通
過して表示面から出射される。この場合、上記液晶層を
通過する光は、表示面法線とのなす角が小さい光線とな
っているため、反射層における反射前と反射後とで液晶
層における通過位置が大きくずれることなく、視差の問
題を低減することができる。
【0042】また、上記光線変換層には例えばプリズム
シートが用いられ、該光線変換層は、屈折および反射作
用によって光線の進行方向の変換を行うため空気層との
接触を必要とする。このため、上記光線変換層を液晶セ
ル内部に作り込むことは困難となる。したがって、上記
光線変換層を液晶セルに外付けされる(基板の外側に配
置される)が、該光線変換層を液晶層の背面側に設置す
ると、反射層も液晶セルに対して外付けされることとな
る。この場合、上記液晶層と反射層との間には、背面側
基板が存在し、液晶層と反射層との距離が遠くなること
によって視差の問題が顕著化する。
【0043】しかしながら、上記光線変換層を液晶層の
前面側に設置すると、反射層は液晶セル内部に作り込む
ことが可能となり、この場合には、上記液晶層と反射層
とを近接して配置することが可能となるため、視差の問
題をより低減することが可能となる。
【0044】一方、上記反射層を再帰性反射板とする場
合には、上記反射層によって反射された光は、反射前と
ほぼ同じ光路を逆にたどるため、この場合も、反射層に
おける反射前と反射後とで液晶層における通過位置が大
きくずれることなく、視差の問題を低減することができ
る。
【0045】また、本発明の他の反射型液晶表示装置
は、上記の課題を解決するために、一対の基板と、該一
対の基板の間に挟持された光散乱型の液晶層とを備え、
液晶パネルの表示面側から入射される外部光を利用して
表示を行う反射型液晶表示装置において、上記液晶層の
背面側に、上記液晶パネルの表示面側から順に、特定範
囲の入射角を有する光を透過し、残りを反射する透過反
射層と、上記透過反射層のさらに背面側に、入射角に依
存して吸収率が変化する吸収層と、上記吸収層を透過し
た入射光を入射光と平行な方向に反射する再帰性反射板
とを備えていることを特徴としている。
【0046】上記の構成において、液晶パネルの表示面
上方から入射される光は、上記透過反射層の反射面によ
って表示面側に反射され、液晶パネルの表示面法線に近
い方向、もしくは表示面下方から入射される光は、上記
透過反射層を透過して吸収層に到達するものとする。
【0047】また、上記吸収層は、上記透過反射層を透
過した光のうち、液晶パネルの表示面法線に近い方向か
ら入射される光を吸収し、表示面下方から入射される光
を透過させる。そして、上記吸収層を透過した光は、再
帰性反射板によって反射され、入射時と同一の経路を逆
にたどって表示面から出射される。
【0048】上記透過反射層または再帰性反射板によっ
て反射された光は、液晶層が透過状態にある時は光線変
換層にて表示面法線とのなす角が大きい光(すなわち、
表示面に対して大きな出射角にて出射される光)に変換
されて表示面から出射されるため、観察者に視認される
ことがなく、また、液晶層が散乱状態にある時には、該
液晶層の散乱作用によって白表示の明度向上に寄与す
る。
【0049】また、上記構成では、黒表示における観察
者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上のた
めの反射の選択は、上記透過反射層における選択的透過
/反射作用によって行われる。尚、ここでの選択的透過
/反射は、特開平6−258638号公報のような選択
的透過/反射による方法とは異なり、屈折率の異なる媒
質の境界面における透過/反射作用を利用していないた
め、表示面からの出射を許容すべきでない光が確実にカ
ットされるので、明度が十分に抑えられた良好な黒表示
を得ることができる。
【0050】さらに、表示面に対して大きな入射角にて
入射される光のうち、表示面上方から入射される光は上
記透過反射層によって反射され、表示面下方から入射さ
れる光は再帰性反射板によって反射されるため、表示面
に対して所定値以上の入射角を有する入射光に対し、そ
の入射される向きに関係なくこれを反射させて白表示の
明度向上に寄与させることが可能となる。すなわち、液
晶層での前方散乱光の利用効率を上げて、白表示の明度
を向上させることが可能となる。
【0051】また、上記再帰性反射板によって反射され
た光は、反射前とほぼ同じ光路を逆にたどるため、反射
層における反射前と反射後とで液晶層における通過位置
が大きくずれることなく、視差の問題を低減することが
できる。
【0052】また、本発明のさらに他の反射型液晶表示
装置は、上記の課題を解決するために、一対の基板と、
該一対の基板の間に挟持された光散乱型の液晶層とを備
え、液晶パネルの表示面側から入射される外部光を利用
して表示を行う反射型液晶表示装置において、上記液晶
層の背面側に、上記液晶パネルの表示面側から順に、表
示面の上下方向について特定範囲の入射角を有する光を
透過し、残りを反射する透過反射層と、上記透過反射層
のさらに背面側に、表示面の上下方向の入射角に依存し
て吸収率が変化する第1の吸収層と、上記第1の屈折層
から入射される光を透過させる際に、表示面の左右方向
について、表示面法線とのなす角が大きい光を表示面法
線とのなす角が小さい光に変換し、表示面法線とのなす
角が小さい光を表示面法線とのなす角が大きい光に変換
する光線変換層と、上記光線変換層のさらに背面側に、
表示面の左右方向の入射角に依存して吸収率が変化する
第2の吸収層と、上記第2の吸収層を透過した入射光を
入射光と平行な方向に反射する再帰性反射板とを備えて
いることを特徴としている。
【0053】上記の構成において、液晶パネルの表示面
上方から入射される光は、上記透過反射層の反射面によ
って表示面側に反射され、液晶パネルの表示面法線に近
い方向、もしくは表示面下方から入射される光は、上記
透過反射層を透過して第1の吸収層に到達するものとす
る。
【0054】また、上記第1の吸収層は、上記透過反射
層を透過した光のうち、液晶パネルの表示面法線に近い
方向から入射される光を透過させ、表示面下方から入射
される光を吸収する。そして、上記第1の吸収層を透過
した光は、光線変換層にて、表示面の左右方向につい
て、進行方向を代えられることになり、表示面の左右方
向から入射された光は、表示面法線とのなす角が小さく
なるように変換されるため、この光は、該光線変換層の
背面側にある第2の吸収層を透過する。逆に、表示面法
線に近い方向から入射された光は、上記光線変換層にて
表示面法線とのなす角が大きくなるように変換されるた
め、この光は第2の吸収層によって吸収される。
【0055】また、上記構成では、黒表示における観察
者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上のた
めの反射の選択は、上記第2の吸収層における選択的透
過/吸収作用によって行われるため、表示面からの出射
を許容すべきでない光が確実にカットされ、明度が十分
に抑えられた良好な黒表示を得ることができる。
【0056】さらに、表示面に対して大きな入射角にて
入射される光のうち、表示面上方から入射される光は上
記透過反射層によって反射され、表示面左右方向から入
射される光は再帰性反射板によって反射される。このよ
うな、表示面左右方向から入射される光は、表示面下方
から入射される光のように観察者の体によって遮られる
ことがないため、このような表示面左右方向から入射光
を効率よく使用することで、液晶層での前方散乱光の利
用効率を上げて、白表示の明度を向上させることが可能
となる。
【0057】また、上記再帰性反射板によって反射され
た光は、反射前とほぼ同じ光路を逆にたどるため、反射
層における反射前と反射後とで液晶層における通過位置
が大きくずれることなく、視差の問題を低減することが
できる。
【0058】また、上記反射型液晶表示装置において、
特定範囲の入射角を有する光を透過し、残りを反射する
透過反射層としては、その前面および背面側に水平基板
面を備え、その内部に埋設された反射面と透過面とから
なるプリズム面を備えた傾斜反射部材等を使用すること
ができる。
【0059】上記傾斜反射部材を用いた構成では、大気
中の屈折率をn0、反射面上に隣接する物質の屈折率を
n1とし、 θ=1/2 × arcsin(n0/n1) の式を満たすθを定義した時、上記透過反射層の反射面
は、該透過反射層の水平基板面に対して、θ以上、2×
θ未満の角度を成して配置されている構成とすることが
好ましい。
【0060】上記構成によれば、表示面法線に対して傾
斜した反射面と基板水平面とがなす傾斜角の最適化を行
うことにより、散乱状態もしくは反射状態で明度が高
く、かつ色付きの少ない良好な白表示を実現することが
できる。
【0061】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、
以下の通りである。
【0062】本実施の形態1に係る液晶表示装置の表示
パネルは、図1に示すように、液晶層1が、透明なガラ
ス板や高分子フィルム等の材料からなる前面側基板2お
よび背面側基板3によって挟持された構成である。背面
側基板3上には、角度に依存して吸収率が変化する吸収
層4および反射板5が形成されている。上記液晶パネル
の最前面側にはプリズムシート6が設けられている。
【0063】吸収層4は、壁状の構造を持つ吸収部位4
aおよび透過部位4bからなるものを使用している。ま
た、上記反射板5は、上記吸収層4の背面側に配置され
ており、例えば、反射面にAg膜等を蒸着によって20
00Åの膜厚に形成したものを使用している。
【0064】上記前面側基板2および背面側基板3に
は、それぞれ液晶層1に電圧を印加するための電極7お
よび8が所定パターンにて形成されている。尚、これら
の電極対への電圧印加手段としては、例えばアクティブ
素子等を用いることができるが、本発明における該電圧
印加手段の種類は特に限定されるものではない。
【0065】さらに、上記電極7および8の上には、水
平配向膜9および10が塗布により形成されており、上
記液晶層1が電圧無印加状態で水平配向状態となる。ま
た、上記図1では水平配向膜を用いているが、本発明の
液晶表示装置にて用いられる配向膜の種類は特に限定さ
れるものではない。
【0066】本実施の形態1では、液晶層1には、光散
乱型液晶の一例として、高分子分散型液晶を用いてい
る。但し、本発明はこれに限定されず、以下に列挙する
何れの液晶を用いても同様な効果が得られる。
【0067】すなわち、本発明の液晶表示装置の液晶層
には、光散乱型液晶として、高分子分散型液晶、ネマテ
ィック−コレステリック相転移型液晶、液晶ゲル等の何
れを用いてもよい。さらに、液晶層が透過状態と、少な
くとも散乱作用が含まれる状態との間で変調されるモー
ド、具体的には、例えば、液晶分子のドメインサイズを
制御して拡散性を付与した透過−反射状態でスイッチン
グするコレステリック液晶、拡散光による露光により拡
散性を付与した透過−反射状態でスイッチングするホロ
グラフィック機能を有する高分子分散型液晶等を用いて
もよい。
【0068】上記高分子分散型液晶は、低分子液晶組成
物と未重合プレポリマーの混合物を相溶させて基板間に
配置し、プレポリマーを重合させることによって得られ
るものであり、本発明において使用されるプレポリマー
の種類は特に限定されるものではない。ここでは、液晶
性を示す紫外線硬化性プレポリマーと液晶組成物との混
合物を紫外線等の活性光線の照射により光硬化させるこ
とにより得られる硬化物(紫外線硬化液晶)を用いてい
る。高分子分散型液晶として紫外線硬化液晶を用いるこ
とにより、重合性液晶の重合を行う際に加熱を行う必要
がなくなり、他の部材への悪影響を防止できる。
【0069】上記のプレポリマー液晶混合物としては、
例えば、紫外線硬化材料と液晶(メルク社製:商品名
“TL213”、Δn=0.238)とを20:80の重量比
にて混合した混合物に対して少量の重合開始剤(チバ・
ガイギー社製)を添加することによって得られた、常温
でネマティック液晶層を示すプレポリマー液晶混合物を
用いることができる。
【0070】以上のようにして、作製された液晶層に入
射する光は、印加された電圧に対応して配向した液晶層
の散乱・透過状態にしたがって変調される。尚、本実施
の形態1における液晶層1は、電圧無印加時に透過状態
に、電圧印加時に散乱状態になるように設定されてい
る。
【0071】ここで、本実施の形態1に係る液晶表示装
置の表示原理を図2および図3を用いて説明する。但
し、上記図2および図3においては、図1における前面
側基板2、液晶層1、電極7・8、および水平配向膜9
・10の詳細な図示を省略し、これらをスイッチング層
11(図中、斜線ハッチングにて示す)として記載して
いる。
【0072】先ず、黒表示の動作について、図2を参照
して説明する。黒表示を行う場合には、電圧が印加され
ない液晶層1は透過状態となっている。この透過状態の
液晶層1に外部光が入射すると、表示面法線に平行もし
くは平行に近い方向からの入射光(すなわち、表示面に
対する入射角が小さい光)12については、プリズムシ
ート6で屈折作用を受け、屈折作用を受けた後の入射光
12は、スイッチング層11と吸収層4との界面に対し
て比較的大きい入射角にて入射される。このため、上記
入射光12は、吸収層4への入射後、直接、または反射
板5によって反射された後、吸収部位4aにて吸収され
る。
【0073】一方、表示面に平行に近い方向からの入射
光(すなわち、表示面に対する入射角が大きい光)13
は、プリズムシート6で屈折作用を受け、表示面の法線
に対する角度がより大きくなるように屈折される。上記
屈折作用を受けた後の入射光13は、プリズムシート1
1の入射面に対向する面に到達する。すなわち、上記入
射光13は、プリズムシート6の面6aに入射して屈折
された後、面6bに到達する。この時、上記入射光13
は、面6bに対する入射角が大きいために面6bにて全
反射されることとなり、スイッチング層11と吸収層4
との界面に対しては比較的小さい入射角にて入射する。
このため、上記入射光13は、吸収層4において吸収部
位4aにて確実に吸収されるとは限らず、一部の光は反
射板5にて反射された後、吸収層4から表示面側へ出射
する。上記吸収層4から出射した入射光13は、プリズ
ムシート6と空気との境界面への到達時において、該境
界面に対して大きな入射角にて入射するため該境界面に
て全反射され、液晶パネルの表示面に対しては大きな出
射角にて出射される。
【0074】尚、上記プリズムシート6の作用におい
て、液晶パネルの表示面法線とのなす角が大きい光(表
示面に対する入射角が大きい光)を表示面法線とのなす
角が小さい光に変換する前者の作用と、表示面法線との
なす角が小さい光(表示面に対する入射角が小さい光)
を表示面法線とのなす角が大きい光に変換する後者の作
用とは、ある所定値以上の入射角を有する入射光に対し
ては前者の作用を行い、所定値以下の入射角を有する入
射光に対しては後者の作用を行うといった明確な閾値で
もって分けられるものでなくてもよい。
【0075】言い換えれば、上記プリズムシート6にお
いて、ある特定の入射角を有する入射光に関して前者の
作用を受ける光の割合を考えた場合、通常、上記入射角
と前者の作用を受ける光の割合とは関数的な関係とな
る。すなわち、入射角が大きな入射光については前者の
作用を受ける光の割合が高く、入射角が小さな入射光に
ついては前者の作用を受ける光の割合が低くなるが、こ
の割合は、ある入射角の閾値の前後で100%と0%と
に分けられるものではない。また、上記プリズムシート
6においては、同時に、入射角が大きな入射光について
は後者の作用を受ける光の割合が低く、入射角が小さな
入射光については後者の作用を受ける光の割合が高くな
る。
【0076】上記液晶パネルの黒表示においては、外部
からの入射光は、吸収層4にて吸収されるか、もしくは
該液晶パネルの表示面から出射される場合であっても該
表示面に対する出射角が大きくなる。したがって、観察
者が液晶パネルの表示面法線に平行もしくは平行に近い
方向から観察している条件のもとでは、この観察者によ
って液晶パネルの表示面から出射された光が視認される
ことはなく、良好な黒表示が実現される。
【0077】尚、上記説明にて、入射光12は表示面法
線に平行もしくは平行に近い方向からの入射光(すなわ
ち、表示面に対する入射角が小さい光)としているが、
上記入射光12とすべき光の表示面に対する入射角は、
液晶パネルからの出射が許容されるべきでない光の出射
角を基に設定することが必要である。
【0078】すなわち、本液晶表示装置の出射光のう
ち、観察者が観察する光を観察者側から逆にたどって考
えた時に、その光路が全て吸収部位4aに到達していれ
ば、そのような出射光は実際に発生しないものと考えら
れる。言い換えれば、入射角がある範囲内にある入射光
について、その入射光が全て吸収部位4aに吸収される
のであれば、上記入射角と同一の範囲の出射角となるよ
うな出射光は発生しないこととなる。また、任意の入射
角で入射される光を吸収層4において確実に吸収するこ
とは、吸収層4における吸収部位4aの間隔を適切に設
定することで可能となる。
【0079】次に、白表示の動作について、図3を参照
して説明する。白表示を行う場合には、電圧が印加され
た液晶層1は散乱状態となっている。この散乱状態の液
晶層1に外部光が入射すると、表示面法線に平行もしく
は平行に近い方向からの入射光12’は、液晶層1にお
いて散乱作用を受け、後方散乱(図示せず)または前方
散乱した光の一部が観察者側へ出射される。すなわち、
前方散乱光の一部は、吸収層4に対し小さな入射角にて
入射されるため、反射板5にて反射されることによって
た液晶層1に戻り、白表示に寄与する。
【0080】また、表示面に平行に近い方向からの入射
光13’についても、上記入射光12’と同様に、液晶
層1の散乱作用によって後方散乱または前方散乱した光
の一部が観察者方向へ出射する。
【0081】これにより、白表示に効率のわるい後方散
乱光のみでなく、前方散乱光をも効率よく利用できるた
め良好な白表示が実現される。
【0082】以上のようにして作製した本実施の形態1
に係る反射型液晶表示装置、および比較用に作製した2
種類の反射型液晶表示装置の反射率およびコントラスト
比を測定した。尚、以下の説明では、本実施の形態1に
係る装置をサンプルA、比較用の装置をサンプルR1,
R2と称する。
【0083】サンプルAの構造は図1に示すものとし、
サンプルR1およびサンプルR2の構造はそれぞれ図4
および図5に示すものとする。また、サンプルR1およ
びサンプルR2の構造は、それぞれ特開平3−1868
16号公報および特開平6−258638号公報に記載
された反射型液晶表示装置の構造に相当するものであ
る。
【0084】サンプルR1は、図4に示すように、図1
に示すサンプルAの構造と比較すると、吸収層4および
反射板5が配置される代わりに液晶パネルの最背面側に
吸収層14が配置されており、他はサンプルAと同条件
にて作製されている。また、サンプルR2は、図5に示
すように、サンプルAの構造と比較すると、吸収層4お
よび反射板5が配置されておらず、背面側基板3のさら
に背面側にプリズムシート15および光吸収手段16が
配置されている。また、上記プリズムシート15の前面
側および背面側には、空気層17が設けられている。サ
ンプルR2についても、他はサンプルAと同条件にて作
製されている。
【0085】ここで、上記測定において使用された測定
装置の構成を図6に示す。上記測定装置では、測定され
るサンプル18の測定面上に球面体19を配置し、該球
面体19の側方に設けられた開口19aから測定光を投
光する。上記球面体19の内周面には等方散乱体が形成
されており、上記測定光は上記等方散乱体による散乱作
用を受けることによって、球面体19の内周面の全ての
方向から等しい輝度にて上記サンプル18の測定面へ照
射される。そして、上記サンプル18の測定面における
反射光が、測定面法線方向から8°傾いた方向に設置さ
れた受光器20によって受光され測定される。
【0086】但し、上記受光器20によって測定される
反射光の正反射成分は遮光板21によって除外される。
また、上記測定装置における測定値は、サンプル18に
完全拡散反射板を用いた時の反射率を100%としてい
る。
【0087】上記サンプルA,R1,R2のそれぞれに
ついて、白表示における反射率、およびコントラスト比
の測定結果を以下の表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】上記表1に示した結果においてサンプルA
とサンプルR1とを比較した場合、サンプルAにおける
反射率、すなわち白表示の明度がサンプルR1に比べて
著しく向上していることが分かる。また、上記サンプル
R1においては、白表示の明度が低いため、コントラス
ト比に関してもサンプルAのコントラスト比よりも低い
値となっている。
【0090】次に、サンプルAとサンプルR2とを比較
した場合、白表示の反射率についてはほぼ同レベルの値
が得られているが、コントラスト比についてはサンプル
R2の結果が低くなっている。
【0091】以上のように、本実施の形態1にかかる反
射型液晶表示装置は、前面側基板2及び背面側基板3の
一対の基板の間に挟持された光散乱型の液晶層1とを備
え、液晶パネルの表示面側から入射される外部光を利用
して表示を行うものである。そして、上記液晶パネルの
表示面側から順に、液晶パネルの表示面から入射される
光を透過させる際に、表示面法線とのなす角が大きい光
を表示面法線とのなす角が小さい光に変換し、表示面法
線とのなす角が小さい光を表示面法線とのなす角が大き
い光に変換するプリズムシート6と、上記プリズムシー
ト6を透過した後の光に対し、表示面法線とのなす角が
大きい光を吸収する吸収層4と、上記液晶層1よりも背
面側に配置され、上記吸収層4を透過した入射光を表示
面側に反射する反射板5とをが備えている。
【0092】上記の構成では、液晶パネルの表示面法線
とのなす角が大きい光(すなわち、表示面に対して大き
な入射角にて入射される光)は、上記プリズムシート6
を透過することにより、表示面法線とのなす角が小さい
光に変換される。逆に、表示面法線とのなす角が小さい
光(すなわち、表示面に対して小さな入射角にて入射さ
れる光)は、上記プリズムシート6を透過することによ
り、表示面法線とのなす角が大きい光に変換される。
【0093】上記プリズムシート6を透過した光に関し
て、上記吸収層4は、液晶パネルの表示面法線とのなす
角が大きい光、すなわち、表示面に対して小さな入射角
にて入射された光を吸収する。また、上記吸収層4への
入射時において表示面法線とのなす角が小さい光は、一
部は該吸収層4にて吸収されるものの、多くは該吸収層
4を透過して反射板5にて反射される。上記反射板5に
て反射された光は、液晶層1が透過状態にある時はプリ
ズムシート6にて表示面法線とのなす角が大きい光(す
なわち、表示面に対して大きな出射角にて出射される
光)に変換されて表示面から出射されるため、観察者に
視認されることがなく、また、液晶層1が散乱状態にあ
る時には、該液晶層1の散乱作用によって白表示の明度
向上に寄与する。
【0094】ここで、上記吸収層4は、光吸収作用によ
って表示面の法線方向に出射される光を無くし良好な黒
表示を与えるものであるが、このためには、表示面に対
し小さな入射角で入射される光を吸収する必要がある。
一方で、上記吸収層4には、壁状の構造を持つ吸収部位
と透過部位とからなるルーバーを用いることが好適であ
るが、上記ルーバーは、吸収層4への入射時に表示面法
線とのなす角が大きい光を吸収する。これは、上記プリ
ズムシート6にて、表示面法線とのなす角が小さい光を
表示面法線とのなす角が大きい光に変換することによっ
て可能となる。
【0095】また、上記構成では、黒表示における観察
者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上のた
めの反射の選択は、上記吸収層4における選択的透過/
吸収作用によって行われる。このような選択的透過/吸
収による方法は、特開平6−258638号公報のよう
な選択的透過/反射による方法に比べ、表示面からの出
射を許容すべきでない光が確実にカットされるので、明
度が十分に抑えられた良好な黒表示を得ることができ
る。
【0096】さらに、上記プリズムシート6は、表示面
法線とのなす角が大きい光を表示面法線とのなす角が小
さい光に変換するため、上記吸収層4の透過方向、およ
び上記反射板5の反射面法線方向を、表示面法線方向と
一致させれば、表示面に対して所定値以上の入射角を有
する入射光に対し、その入射される向きに関係なくこれ
を反射させて白表示の明度向上に寄与させることが可能
となる。すなわち、液晶層1での前方散乱光の利用効率
を上げて、白表示の明度を向上させることが可能とな
る。
【0097】また、上記特開平6−258638号公報
の課題として挙げた視差の問題に関しては、上記プリズ
ムシート6を液晶層1の前面側に配置していることで解
決している。
【0098】すなわち、上記プリズムシート6を液晶層
1の前面側に配置した場合、表示面に対して大きな入射
角で入射された光は、プリズムシート6を通過すること
によって、表示面法線とのなす角が小さい光となって液
晶層1を通過する。そして、反射板5にて反射された
後、再度液晶層1を通過して表示面から出射される。こ
の場合、上記液晶層1を通過する光は、表示面法線との
なす角が小さい光線となっているため、反射板5におけ
る反射前と反射後とで液晶層1における通過位置が大き
くずれることなく、視差の問題を低減することができ
る。
【0099】また、上記プリズムシート6には例えばプ
リズムシートが用いられ、該プリズムシート6は、屈折
および反射作用によって光線の進行方向の変換を行うた
め空気層との接触を必要とする。このため、上記プリズ
ムシート6を液晶セル内部に作り込むことは困難とな
る。したがって、上記プリズムシート6を液晶セルに外
付けされる(基板の外側に配置される)が、該プリズム
シート6を液晶層1の背面側に設置すると、反射板5も
液晶セルに対して外付けされることとなる。この場合、
上記液晶層1と反射板5との間には、背面側基板が存在
し、液晶層1と反射板5との距離が遠くなることによっ
て視差の問題が顕著化する。
【0100】しかしながら、上記プリズムシート6を液
晶層1の前面側に設置すると、反射板5は液晶セル内部
に作り込むことが可能となり、この場合には、上記液晶
層1と反射板5とを近接して配置することが可能となる
ため、視差の問題をより低減することが可能となる。
【0101】また、本実施の形態における変形例として
は、図7ないし9に示すような構造の液晶パネルが考え
られる。
【0102】図7に示す液晶パネルは、図1に示す液晶
パネルの構造と比較して、吸収層4が省略されると共
に、液晶層1の代わりに液晶層22が形成されている。
他の構成は、図1の液晶パネルと同一である。
【0103】上記液晶層22には、吸収部位22aが形
成されており、すなわち、上記液晶層22は、図1にお
ける液晶層1と吸収層4との両方の役割を兼ね備えた層
として形成されている。このように、本実施の形態1に
おける吸収層は、少なくとも、プリズムシートと反射板
との間に形成されていれば、その配置箇所は特に限定さ
れず、また、液晶層に吸収層の機能を兼ね備える構成と
することも可能である。
【0104】また、図8に示す液晶パネルは、図1に示
す液晶パネルの構造と比較して、パネル前面のプリズム
シート6が無く、代わりに液晶層1の背面側にプリズム
シート23が設けられている。このようにプリズムシー
ト23を液晶層1の背面側に配置する場合には、該プリ
ズムシート23に接して空気層24を設ける必要があ
り、この場合、プリズムシート23および空気層24を
液晶セル内部に作り込むことができないため、図8の液
晶パネルでは、中間基板25を設け、該中間基板25の
背面側にプリズムシート23および空気層24を外付け
している。また、上記プリズムシート23の背面側に吸
収層4が配置され、該吸収層4のさらに背面側には反射
板5の代わりに再帰性反射板26が配置されている。他
の構成は、図1の液晶パネルと同一である。尚、上記再
帰性反射板26としては、例えば、コーナーキューブ、
微小ビーズ、またはマイクロレンズアレイを用いたもの
が使用できる。
【0105】このように、本実施の形態1におけるプリ
ズムシートは、液晶層1の前面側ではなく背面側に配置
することも可能であるが、この場合、吸収層4の背面側
における反射板を通常の平坦な反射面を備えたものとす
ると、視差の問題が発生する。
【0106】すなわち、図8の構成において、反射板2
6によって反射され表示面から出射される光は、プリズ
ムシート23が液晶層1の背面側にあることから、液晶
層1の通過時には表示面法線とのなす角が大きい光とな
っている。このため、上記反射板26が再帰性を有する
ものでなければ、上記光は反射板26による反射前と反
射後とで液晶層1の大きく離れた位置を通過することに
なり視差が生じる。
【0107】しかしながら、実際には、上記反射板26
は再帰性を有するものであり、この場合には、上記反射
板26による反射前と反射後との光線は液晶層1のほぼ
同じ位置を通ることになるため、上記視差の問題が解消
できる。
【0108】また、プリズムシートを液晶層の背面側に
配置する場合には再帰性反射板を用いる必要があるが、
逆に、再帰性反射板を用いる場合に必ずしもプリズムシ
ートを液晶層の背面側に配置する必要はない。すなわ
ち、図1の構成において反射板5を再帰性反射板26に
代えた図9に示すような構成とすることも可能である。
さらに、図9の構成において、再帰性反射板を26を背
面側基板3に対して外付けし、プロセスの付加を低減す
る構成とすることも可能である。
【0109】尚、以上の図7ないし9に示した変形例で
は、白表示における反射率およびコントラスト比におい
て、図1に示す構造のサンプルAとほぼ同程度の結果が
得られることを確認している。
【0110】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の一形
態について図10および図11に基づいて説明すれば、
以下の通りである。
【0111】本実施の形態2に係る液晶表示装置の表示
パネルは、図1の液晶パネルと同様に、図10に示すよ
うに、液晶層1が透明なガラス板や高分子フィルム等の
材料からなる前面側基板2および背面側基板3によって
挟持された構成である。背面側基板3上には、傾斜反射
板27と、角度に依存して吸収率が変化する吸収層28
とが形成されている。上記傾斜反射板27と吸収層28
とでは、吸収層28が背面側に位置する。
【0112】さらに、上記前面側基板2および背面側基
板3には、それぞれ液晶層1に電圧を印加するための電
極7および8、さらに、上記液晶層1を電圧無印加状態
で水平配向状態とするための水平配向膜9および10が
図1の液晶パネルと同様に形成されている。
【0113】吸収層28は、傾斜した壁状の構造を持つ
吸収部位28aおよび透過部位28bからなるものを使
用している。また、傾斜反射板27は、傾斜面27bと
垂直面27cとを有する透明体27aが連続して配置さ
れた構成であり、上記傾斜面27bは反射面であり、上
記垂直面27cは透過面として形成されている。上記傾
斜面27bは、該面にAg等を斜方蒸着することにより
反射面とすることができる。さらに、上記透明体27a
上には平坦化膜27dが形成されており、上記傾斜反射
板27は該平坦化膜27dの形成された側にて上記電極
8の形成層と接するように配置される。
【0114】また、上記傾斜面27bの傾斜方向は、表
示面の上方から下方にかけて表示面側に突出するように
設定されている(この理由については後述する)。ま
た、上記吸収層28における吸収部位28aの傾斜方向
も、上記傾斜反射板27における傾斜面27bの傾斜方
向とほぼ同方向に設定される。すなわち、上記吸収層2
8は、斜め下方から入射され特定範囲の入射角を有する
光のみを透過するように設定されている。
【0115】さらに、上記吸収層28のさらに背面側に
は、再帰性反射板26が配置されている。
【0116】ここで、本実施の形態2に係る液晶表示装
置の黒表示の表示原理を図11を用いて説明する。但
し、図11においては、図10における前面側基板2、
液晶層1、電極7・8、および水平配向膜9・10の詳
細な図示を省略し、これらをスイッチング層29(図
中、斜線ハッチングにて示す)として記載している。
【0117】黒表示を行う場合には、電圧が印加されな
い液晶層1は透過状態となっている。この透過状態の液
晶層1に外部光が入射すると、表示面法線に平行もしく
は平行に近い方向からの入射光(すなわち、表示面に対
する入射角が小さい光)30については、スイッチング
層29を透過後、スイッチング層29と平坦化膜27d
との界面から傾斜反射板27に到達し、該傾斜面27b
にて反射される。傾斜面27bにて反射された入射光3
0の一部は、隣接する透明体27aの垂直面27cを透
過して、該透明体27aの傾斜面27bにて反射される
ことによって吸収層28に入射し吸収部位28aにて吸
収される。また、傾斜面27bにて反射された入射光3
0の残りの光は、前面側基板2と空気層との界面におけ
る全反射を介して、吸収層28に入射し吸収部位28a
にて吸収される。
【0118】また、表示面に平行に近い方向からの入射
光(すなわち、表示面に対する入射角が大きい光)であ
り、かつ表示面の上方から入射される入射光31は、前
面側基板2と空気層との界面に入射する時に屈折作用を
受け、傾斜反射板27の傾斜面27bに到達する。この
時、上記入射光31は、傾斜面27bに対して比較的小
さな入射角にて入射するため、その反射方向は入射光と
ほぼ同方向、すなわち、表示面に対して上方へ向けて反
射される。上記傾斜面27bにて反射された光は、前面
側基板2と空気層との界面から出射する際に屈折作用を
受け、表示面に平行に近い方向、かつ表示面の上方へ向
けて出射する。
【0119】また、表示面に平行に近い方向からの入射
光(すなわち、表示面に対する入射角が大きい光)であ
り、かつ表示面の下方から入射される入射光32は、傾
斜反射板27の傾斜面27bにて2回の反射を受けた
後、吸収層28へ至るが、この時、その光線の進行方向
が吸収層28における吸収部位28aの傾斜方向と近く
なるため、一部の光は上記吸収層28を通過し、再帰性
反射板26によって反射される。再帰性反射板26によ
って反射された光線32は、入射経路と同一の光路を通
って表示面から出射される。
【0120】すなわち、上記液晶パネルの黒表示におい
ては、外部からの入射光は、吸収層28にて吸収される
か、もしくは該液晶パネルの表示面から出射される場合
であっても該表示面に対する出射角が大きくなる。した
がって、観察者が液晶パネルの表示面法線に平行もしく
は平行に近い方向から観察している条件のもとでは、こ
の観察者によって液晶パネルの表示面から出射された光
が視認されることはなく、良好な黒表示が実現される。
【0121】次に、白表示を行う場合には、電圧が印加
された液晶層1は散乱状態となっており、散乱状態の液
晶層1に外部光が入射すると、その後方散乱光が白表示
に用いられる。さらに、前方散乱光については、図11
に示した光線31のように、傾斜反射板27の傾斜面2
7bによって反射され表示面側に向かう光や、光線32
のように、吸収層28を透過して再帰性反射板26によ
って反射される光が液晶層1にて再度散乱作用を受けて
白表示に寄与する。
【0122】尚、上記傾斜反射板27において、傾斜面
27bの傾斜方向を、表示面の上方から下方にかけて表
示面側に突出するように設定する構成は、特に、表示面
に平行に近い方向からの入射光であり、かつ表示面の上
方から入射される入射光31’の利用効率を高めること
を目的とするものである。
【0123】すなわち、表示面の斜め上方から入射され
る入射光の液晶層1への最初の入射時における前方散乱
光は、上記傾斜反射板27の傾斜面27bにて表示面側
に反射されることによって白表示に寄与する。この時、
上記傾斜面27bは、上述のような傾斜方向を有するこ
とにより、表示面の斜め上方からの入射光を観察者側に
より多く反射し、これによって白表示の明度が増す。こ
こで、反射型液晶表示方式(以下、反射モード)で用い
られる外部光は、それが日光であるにしろ、室内の照明
光であるにしろ、殆どの場合、表示面の斜め上方から入
射されることとなる。したがって、このような表示面の
斜め上方からの入射光の利用効率を高める上記構成で
は、実質的に白表示の明度を向上させることが可能とな
る。
【0124】また、上記反射型液晶表示装置において、
特定範囲の入射角を有する光を透過し、残りを反射する
傾斜反射板27としては、その前面および背面側に水平
基板面を備え、その内部に埋設された反射面27bと透
過面27cとからなるプリズム面を備えた傾斜反射部材
27を使用している。
【0125】また、上記傾斜反射部材27においては、
大気中の屈折率をn0、反射面上に隣接する物質の屈折
率をn1とし、 θ=1/2 × arcsin(n0/n1)・・・・(1) の式(1)を満たすθを定義した時、上記傾斜面27b
は、該傾斜反射板27の水平基板面に対して、θ以上、
2×θ未満の角度を成して配置されている構成とするこ
とが好ましい。
【0126】すなわち、上記傾斜反射板27では、黒表
示の動作時において、電源オフ時(電圧無印加時)、入
射光が透過状態の液晶層1を傾斜面27bに対して法線
方向から入射する光よりも観察者から遠い側(液晶パネ
ルの上側)から入射すると、前面側基板2に入射した際
に屈折作用を受け、スイッチング層29、平坦化膜27
dを透過し、またそれぞれの層における屈折率の違いに
応じた屈折作用を受け、傾斜面27bに達する。その
後、傾斜面27b上で正反射され、同様に平坦化膜27
d、スイッチング層29を透過し、前面側基板2から出
射される際に、屈折作用を受け出射する。この際、傾斜
面27bの傾斜角(傾斜面27bと表示面とが成す角
度)を、式(1)で決定されるθよりも大きい値(但
し、2×θ未満)に設定しておけば、出射光は基板法線
方向から観察者側から遠い方向(液晶パネルの上側)へ
出射されることになり、この場合は観察者の目に観察さ
れることはない。
【0127】また、傾斜面27bと表示面とが成す角度
の上限については、2×θ未満であることが好ましい。
実用的な液晶層1の散乱効率を考慮すると、散乱光は該
液晶層1を透過する光線の近傍で得られるため、十分な
明度の白表示を得るには、本反射型液晶表示装置に入射
し、液晶層1を透過した光線が、黒表示を損なわない範
囲で本液晶表示装置外に出射するような条件に設定する
ことが望ましい。そのためには、反射面が境界面に対し
て成す角度は式(1)で定義される2×θよりも小さい
ことが必要である。
【0128】ここで、傾斜面27bの傾斜角θ(上記の
式1を満たす値)は、前面側基板2に液晶パネル上側か
ら水平に入射してくる光があると仮定したときの入射光
が、基板に垂直方向に出射されるように決定したもので
ある。ただし、n0は大気中の屈折率の大きさであり、
n1は傾斜面27aを平坦化する物質(ここでは、平坦
化膜27d)の屈折率の大きさである。
【0129】これにより、表示面法線に対して傾斜した
反射面となる傾斜面27bと基板水平面とがなす傾斜角
の最適化を行うことにより、散乱状態もしくは反射状態
で明度が高く、かつ色付きの少ない良好な白表示を実現
することができる。
【0130】以上のようにして作製した本実施の形態2
に係る反射型液晶表示装置(図10の構成)をサンプル
Bとして、反射率を図6に示す計測装置で計測し、実施
の形態1で用いたサンプルR1の結果と比較した。結果
を以下の表2に示す。
【0131】
【表2】
【0132】上記表2に示した結果においてサンプルB
とサンプルR1とを比較した場合、サンプルBにおける
反射率、すなわち白表示の明度がサンプルR1に比べて
著しく向上していることが分かる。また、上記サンプル
R1においては、白表示の明度が低いため、コントラス
ト比に関してもサンプルBのコントラスト比よりも低い
値となっている。
【0133】〔実施の形態3〕本発明の他の実施の一形
態について図12および図13に基づいて説明すれば、
以下の通りである。
【0134】本実施の形態3に係る液晶表示装置の表示
パネルは、実施の形態2の液晶パネルと類似した構成で
あり、図12(a)に示すように、前面側基板2から傾
斜反射板27までの構成は図10の液晶パネルと同一の
構成である。そして、上記図12の液晶パネルでは、傾
斜反射板27の背面側に、第1の吸収層33、第1の中
間基板34、空気層35、プリズムシート36、第2の
吸収層37、再帰性反射板26、および背面側基板3が
配置されている。
【0135】上記第1の吸収層33は、壁状の構造を持
つ吸収部位33aおよび透過部位33bからなるものを
使用しており、その構造は、図1に示した吸収層4と同
じである。
【0136】空気層35およびプリズムシート36は、
図8に示す空気層24およびプリズムシート23と同様
に、これらの層を透過する光に対してその進行方向を変
える作用を与えるものであるが、プリズムシート36の
配置方向はプリズムシート23の配置方向と面内にて9
0°異なっている。すなわち、上記プリズムシート36
は、複数のリニアプリズムが、表示面の左右方向に沿っ
て連続的に配置された構造となっている(各リニアプリ
ズムの長手方向が、表示面上下方向と一致する)。ま
た、上記プリズムシート36は、その前面側にて空気層
35が設けられているため液晶セル内部に作り込むこと
ができず、このため上記液晶パネルでは中間基板34を
設けて上記プリズムシート36を中間基板34に外付け
している。
【0137】また、第2の吸収層37は、上記第1の吸
収層33と同様に、壁状の構造を持つ吸収部位37aお
よび透過部位37bからなるものを使用しているが、上
記吸収部位37aの配列方向は、第1の吸収層33にお
ける吸収部位33aの配列方向とは、面内にて90°異
なっている。
【0138】上記第2の吸収層37の背面側には、再帰
性反射板26が配置され、さらにその背面側に背面側基
板3が配置される。
【0139】本実施の形態3に係る構造、すなわち図1
2に示す液晶パネルの構造は、実施の形態2に係る構造
の液晶パネル(図10に示す構造)と比較し、3次元的
な観念において、より周囲外光の効率的利用を図ってい
るものである。
【0140】具体的に説明すると、実施の形態2におい
ての説明は、液晶パネルの表示面の上下方向のみを考慮
しての2次元平面内での議論であったため、表示面に入
射される光について、その表示面左右方向からの入射成
分は考慮されていなかった。すなわち、図10に示す構
造の液晶パネルにおいて、3次元立体的に周囲外光の利
用効率を反射率のダイアグラムにて表したところ、図1
4(b)に示すようなものとなっていた。
【0141】尚、図14(b)のダイアグラムは、図1
4(a)に示すように円グラフの円周方向が表示面に入
射する光の方位角方向を示しており、これは表示面の上
下左右に合わせて表されている。また、円の径方向は表
示面に入射する光の極角を示している。
【0142】図10の構造の液晶パネルでは、図14
(b)に示すように、パネルの上方から入射される光に
ついては、傾斜反射板27によって反射されることによ
りほぼ100%の反射率が達成されている。そして、パ
ネル表示面の上下方向の中心付近から入射される光につ
いては、吸収層28にて吸収されることにより0%の反
射率となっている。さらに、パネルの下方から入射され
る光については、傾斜反射板27および吸収層28を透
過して再帰性反射板26によって反射される。この時、
一部の光は吸収層28にて吸収されるため、反射率は約
75%程度となっている。
【0143】上記図10の構造の液晶パネルでは、パネ
ルの下方から入射される光を反射することで、白表示の
明度向上を図るものであるが、実際には、パネル下方か
らの入射光は観察者の体によって遮られることが多く、
白表示の明度向上に寄与する部分は他の方位から入射さ
れる光に比べて小さいと言える。
【0144】これに対して、本実施の形態3に係る構造
の液晶パネル(図12の構造)では、パネルの下方では
なく、パネルの左右方向から入射される光の反射効率を
高め、より明度の高い白表示を行おうとするものであ
る。
【0145】ここで、本実施の形態3に係る液晶表示装
置の黒表示の表示原理を図13を用いて説明する。但
し、図13においては、図12における前面側基板2、
液晶層1、電極7・8、および水平配向膜9・10の詳
細な図示を省略し、これらをスイッチング層29(図
中、斜線ハッチングにて示す)として記載している。
【0146】黒表示を行う場合には、電圧が印加されな
い液晶層1は透過状態となっている。この透過状態の液
晶層1に外部光が入射すると、表示面の上下方向に関し
て、表示面法線に平行もしくは平行に近い方向からの入
射光(すなわち、表示面に対する入射角が小さい光)3
8,38’,38”については、スイッチング層29を
透過後、スイッチング層29と平坦化膜27dとの界面
から傾斜反射板27に到達し、該傾斜面27bにて反射
される。傾斜面27bにて反射された入射光のうち、入
射光38は、前面側基板2と空気層との界面における全
反射を介して、吸収層28に入射し吸収部位28aにて
吸収される。また、入射光38’,38”は、隣接する
透明体27aの垂直面27cを透過して、該透明体27
aの傾斜面27bにて反射されることによって吸収層2
8に入射するが、この入射角が表示面法線と近い方向と
なるため該吸収層28を透過する。
【0147】ここで、上記吸収層28を透過した光線3
8’は、表示面の左右方向に関しても表示面法線に平行
もしくは平行に近い方向からの入射光であるとする。こ
のような入射光38’は、観察者側からの入射光である
ため、この光を表示面から出射させる黒表示の明度上昇
を招くこととなり好ましくない。したがって、上記入射
光38’は、吸収層28の透過後、空気層35とプリズ
ムシート36との界面にて屈折を受けることにより、吸
収層37の吸収部位37aにより吸収される。
【0148】一方、上記吸収層28を透過した光線3
8”は、表示面の左右方向に関しては、表示面法線との
なす角が大きい入射光であるとする。上記入射光38”
は、吸収層28の透過後、空気層35とプリズムシート
36との界面にて屈折を受け、吸収層37を透過して、
再帰性反射板26にて反射される。上記再帰性反射板2
6にて反射された光線38”は、該再帰性反射板26へ
の入射前と同一の光路を逆にたどって表示面から出射さ
れるが、その出射方向は、表示面の左右方向の何れかに
傾いた光であるため、黒表示時には観察者には視認され
ない。
【0149】また、表示面の上方から入射される入射光
39は、前面側基板2と空気層との界面に入射する時に
屈折作用を受け、傾斜反射板27の傾斜面27bに到達
する。この時、上記入射光31は、傾斜面27bに対し
て比較的小さな入射角にて入射するため、その反射方向
は入射光とほぼ同方向、すなわち、表示面に対して上方
へ向けて反射される。上記傾斜面27bにて反射された
光は、前面側基板2と空気層との界面から出射する際に
屈折作用を受け、表示面に平行に近い方向、かつ表示面
の上方へ向けて出射する。
【0150】また、表示面の下方から入射される入射光
40は、傾斜反射板27の傾斜面27bにて2回の反射
を受けた後、吸収層28へ至り、吸収部位28aによっ
て吸収される。
【0151】次に、白表示を行う場合には、電圧が印加
された液晶層1は散乱状態となっており、散乱状態の液
晶層1に外部光が入射すると、その後方散乱光が白表示
に用いられる。さらに、前方散乱光については、図13
に示した光線39のように、傾斜反射板27の傾斜面2
7bによって反射され表示面側に向かう光や、光線3
8”のように、吸収層33および37を透過して再帰性
反射板26によって反射される光が液晶層1にて再度散
乱作用を受けて白表示に寄与する。
【0152】ここで、図12に示す構造の液晶パネルに
おいて、周囲外光の反射率を3次元立体的に示したダイ
アグラムを図14(c)に示す。
【0153】上記液晶パネルでは、図14(c)に示す
ように、パネルの上方から入射される光については、傾
斜反射板27によって反射されることによりほぼ100
%の反射率が達成されている。そして、パネルの下方か
ら入射される光については、吸収層33にて吸収される
ことにより0%の反射率となっている。さらに、パネル
表示面の上下方向の中心付近から入射される光について
は、パネル表示面の左右方向についても中心付近からの
入射となる光が吸収層37にて吸収されることにより0
%の反射率となっている。一方、パネル表示面の左右方
向からの入射となる光は、傾斜反射板27および吸収層
33・37を透過して再帰性反射板26によって反射さ
れる。この時、一部の光は吸収層33・37にて吸収さ
れるため、反射率は約75%程度となっている。
【0154】このように、上記図12の構造の液晶パネ
ルでは、パネルの左右方向から入射される光を反射する
ことで、白表示の明度向上を図るものである。ここで、
図14(b)および図14(c)のダイアグラムを比較
すると、分布形状が異なるのみで、反射率と領域面積
(正確には立体角)との積分値は大きく異ならない。し
かしながら、実際には、パネル下方からの入射光よりも
パネルの左右方向からの入射光の方が観察者の体によっ
て遮られない分、白表示の明度向上に寄与する部分が大
きく、本実施の形態3に係る液晶パネルは、実施の形態
2に係る液晶パネルよりも外部光の利用効率が高いと言
える。
【0155】以上のようにして作製した本実施の形態3
に係る反射型液晶表示装置(図12の構成)をサンプル
Cとして、反射率を図6に示す計測装置で計測し、実施
の形態1で用いたサンプルR1の結果と比較した。結果
を以下の表3に示す。
【0156】
【表3】
【0157】上記表3に示した結果においてサンプルC
とサンプルR1とを比較した場合、サンプルCにおける
反射率、すなわち白表示の明度がサンプルR1に比べて
著しく向上していることが分かる。また、上記サンプル
R1においては、白表示の明度が低いため、コントラス
ト比に関してもサンプルCのコントラスト比よりも低い
値となっている。
【0158】
【発明の効果】本発明の反射型液晶表示装置は、以上の
ように、上記液晶パネルの表示面側から順に、液晶パネ
ルの表示面から入射される光を透過させる際に、表示面
法線とのなす角が大きい光を表示面法線とのなす角が小
さい光に変換し、表示面法線とのなす角が小さい光を表
示面法線とのなす角が大きい光に変換する光線変換層
と、上記光線変換層を透過した後の光に対し、表示面法
線とのなす角が大きい光を吸収する吸収層と、上記液晶
層よりも背面側に配置され、上記吸収層を透過した入射
光を表示面側に反射する反射層とを備えている構成であ
る。
【0159】それゆえ、上記構成では、黒表示における
観察者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上
のための反射の選択が、上記吸収層における選択的透過
/吸収作用によって行われ、表示面からの出射を許容す
べきでない光が確実にカットされるので、明度が十分に
抑えられた良好な黒表示を得ることができるという効果
を奏する。
【0160】さらに、上記光線変換層は、表示面法線と
のなす角が大きい光を表示面法線とのなす角が小さい光
に変換するため、上記吸収層の透過方向、および上記反
射層の反射面法線方向を、表示面法線方向と一致させれ
ば、表示面に対して所定値以上の入射角を有する入射光
に対し、その入射される向きに関係なくこれを反射させ
て白表示の明度向上に寄与させることができるという効
果を奏する。
【0161】また、上記光線変換層を液晶層の前面側に
配置した場合には、表示面に対して大きな入射角で入射
された光は、光線変換層を通過することによって、表示
面法線とのなす角が小さい光となって液晶層を通過す
る。そして、反射層にて反射された後、再度液晶層を通
過して表示面から出射される。この場合、上記液晶層を
通過する光は、表示面法線とのなす角が小さい光線とな
っているため、反射層における反射前と反射後とで液晶
層における通過位置が大きくずれることなく、視差の問
題を低減することができるという効果を奏する。
【0162】さらに、上記反射層を再帰性反射板とする
場合には、上記反射層によって反射された光は、反射前
とほぼ同じ光路を逆にたどるため、この場合も、反射層
における反射前と反射後とで液晶層における通過位置が
大きくずれることなく、視差の問題を低減することがで
きるという効果を奏する。
【0163】また、本発明の他の反射型液晶表示装置
は、以上のように、上記液晶層の背面側に、上記液晶パ
ネルの表示面側から順に、特定範囲の入射角を有する光
を透過し、残りを反射する透過反射層と、上記透過反射
層のさらに背面側に、入射角に依存して吸収率が変化す
る吸収層と、上記吸収層を透過した入射光を入射光と平
行な方向に反射する再帰性反射板とを備えている構成で
ある。
【0164】それゆえ、上記構成では、黒表示における
観察者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上
のための反射の選択は、上記透過反射層における選択的
透過/反射作用によって行われる。尚、ここでの選択的
透過/反射は、特開平6−258638号公報のような
選択的透過/反射による方法とは異なり、屈折率の異な
る媒質の境界面における透過/反射作用を利用していな
いため、表示面からの出射を許容すべきでない光が確実
にカットされるので、明度が十分に抑えられた良好な黒
表示を得ることができるという効果を奏する。
【0165】さらに、表示面に対して大きな入射角にて
入射される光のうち、表示面上方から入射される光は上
記透過反射層によって反射され、表示面下方から入射さ
れる光は再帰性反射板によって反射されるため、表示面
に対して所定値以上の入射角を有する入射光に対し、そ
の入射される向きに関係なくこれを反射させて白表示の
明度向上に寄与させることができるという効果を奏す
る。
【0166】また、上記再帰性反射板によって反射され
た光は、反射前とほぼ同じ光路を逆にたどるため、反射
層における反射前と反射後とで液晶層における通過位置
が大きくずれることなく、視差の問題を低減することが
できるという効果を奏する。
【0167】また、本発明のさらに他の反射型液晶表示
装置は、以上のように、上記液晶層の背面側に、上記液
晶パネルの表示面側から順に、表示面の上下方向につい
て特定範囲の入射角を有する光を透過し、残りを反射す
る透過反射層と、上記透過反射層のさらに背面側に、表
示面の上下方向の入射角に依存して吸収率が変化する第
1の吸収層と、上記第1の屈折層から入射される光を透
過させる際に、表示面の左右方向について、表示面法線
とのなす角が大きい光を表示面法線とのなす角が小さい
光に変換し、表示面法線とのなす角が小さい光を表示面
法線とのなす角が大きい光に変換する光線変換層と、上
記光線変換層のさらに背面側に、表示面の左右方向の入
射角に依存して吸収率が変化する第2の吸収層と、上記
第2の吸収層を透過した入射光を入射光と平行な方向に
反射する再帰性反射板とを備えていることを特徴として
いる。
【0168】それゆえ、上記構成では、黒表示における
観察者方向への出射光の吸収、および白表示の明度向上
のための反射の選択は、上記第2の吸収層における選択
的透過/吸収作用によって行われるため、表示面からの
出射を許容すべきでない光が確実にカットされ、明度が
十分に抑えられた良好な黒表示を得ることができるとい
う効果を奏する。
【0169】さらに、表示面に対して大きな入射角にて
入射される光のうち、表示面上方から入射される光は上
記透過反射層によって反射され、表示面左右方向から入
射される光は再帰性反射板によって反射される。このよ
うな、表示面左右方向から入射される光は、表示面下方
から入射される光のように観察者の体によって遮られる
ことがないため、このような表示面左右方向から入射光
を効率よく使用することで、液晶層での前方散乱光の利
用効率を上げて、白表示の明度を向上させることができ
るという効果を奏する。
【0170】また、上記再帰性反射板によって反射され
た光は、反射前とほぼ同じ光路を逆にたどるため、反射
層における反射前と反射後とで液晶層における通過位置
が大きくずれることなく、視差の問題を低減することが
できるという効果を奏する。
【0171】また、上記反射型液晶表示装置において、
特定範囲の入射角を有する光を透過し、残りを反射する
透過反射層としては、その前面および背面側に水平基板
面を備え、その内部に埋設された反射面と透過面とから
なるプリズム面を備えた傾斜反射部材等を使用すること
ができる。
【0172】上記傾斜反射部材を用いた構成では、大気
中の屈折率をn0、反射面上に隣接する物質の屈折率を
n1とし、 θ=1/2 × arcsin(n0/n1) の式を満たすθを定義した時、上記透過反射層の反射面
は、該透過反射層の水平基板面に対して、θ以上、2×
θ未満の角度を成して配置されている構成とすることが
好ましい。このように、表示面法線に対して傾斜した反
射面と基板水平面とがなす傾斜角の最適化を行うことに
より、散乱状態もしくは反射状態で明度が高く、かつ色
付きの少ない良好な白表示を実現することができるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、液晶パ
ネルの構成を示す断面図である。
【図2】上記液晶パネルの黒表示の表示原理を示す説明
図である。
【図3】上記液晶パネルの白表示の表示原理を示す説明
図である。
【図4】上記液晶パネルの反射率の計測において、比較
例として用いられた液晶パネルの構成を示す断面図であ
る。
【図5】上記液晶パネルの反射率の計測において、比較
例として用いられた他の液晶パネルの構成を示す断面図
である。
【図6】上記液晶パネルの反射率の計測において用いら
れた計測装置を示す説明図である。
【図7】実施の形態1に示す液晶パネルの、図1とは異
なる変形例を示す断面図である。
【図8】実施の形態1に示す液晶パネルの、図1とは異
なる他の変形例を示す断面図である。
【図9】実施の形態1に示す液晶パネルの、図1とは異
なる更に他の変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態を示すものであり、液
晶パネルの構成を示す断面図である。
【図11】図10の上記液晶パネルの黒表示の表示原理
を示す説明図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態を示すものであ
り、液晶パネルの構成を示す断面図である。
【図13】図12の上記液晶パネルの黒表示の表示原理
を示す説明図であり、(a)は上記液晶パネルを横から
見た図、(b)は上記液晶パネルをうえから見た図であ
る。
【図14】液晶パネルの表示面に入射される周囲が以降
の反射率を示す説明図であり、(a)はダイアグラムの
説明図、(b)は図10の構成の液晶パネルにおける反
射率を示す説明図、(c)は図12の構成の液晶パネル
における反射率を示す説明図である。
【図15】従来の液晶パネルの構成を示す断面図であ
る。
【図16】従来の液晶パネルの構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 液晶層 2 前面側基板(基板) 3 背面側基板(基板) 4,28 吸収層 5 反射板(反射層) 6,23,36 プリズムシート(光線変換層) 22 液晶層(液晶層,吸収層) 26 再帰性反射板(反射層) 27 傾斜反射板(透過反射層) 33 吸収層(第1の吸収層) 37 吸収層(第2の吸収層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富川 昌彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H042 CA12 CA17 2H091 FA14Y FA14Z FA21X FA21Z FA34Y FA34Z FD04 FD05 FD06 JA02 KA01 KA10 LA17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の基板と、該一対の基板の間に挟持さ
    れた光散乱型の液晶層とを備え、液晶パネルの表示面側
    から入射される外部光を利用して表示を行う反射型液晶
    表示装置において、 上記液晶パネルの表示面側から順に、 液晶パネルの表示面から入射される光を透過させる際
    に、表示面法線とのなす角が大きい光を表示面法線との
    なす角が小さい光に変換し、表示面法線とのなす角が小
    さい光を表示面法線とのなす角が大きい光に変換する光
    線変換層と、 上記光線変換層を透過した後の光に対し、表示面法線と
    のなす角が大きい光を吸収する吸収層と、 上記液晶層よりも背面側に配置され、上記吸収層を透過
    した入射光を表示面側に反射する反射層とを備えている
    ことを特徴とする反射型液晶表示装置。
  2. 【請求項2】上記光線変換層が液晶層の前面側に配置さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示
    装置。
  3. 【請求項3】上記反射層が、上記吸収層を透過した入射
    光を入射光と平行な方向に反射する再帰性反射板である
    ことを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示装
    置。
  4. 【請求項4】一対の基板と、該一対の基板の間に挟持さ
    れた光散乱型の液晶層とを備え、液晶パネルの表示面側
    から入射される外部光を利用して表示を行う反射型液晶
    表示装置において、 上記液晶層の背面側に、上記液晶パネルの表示面側から
    順に、 特定範囲の入射角を有する光を透過し、残りを反射する
    透過反射層と、 上記透過反射層のさらに背面側に、入射角に依存して吸
    収率が変化する吸収層と、 上記吸収層を透過した入射光を入射光と平行な方向に反
    射する再帰性反射板とを備えていることを特徴とする反
    射型液晶表示装置。
  5. 【請求項5】一対の基板と、該一対の基板の間に挟持さ
    れた光散乱型の液晶層とを備え、液晶パネルの表示面側
    から入射される外部光を利用して表示を行う反射型液晶
    表示装置において、 上記液晶層の背面側に、上記液晶パネルの表示面側から
    順に、 表示面の上下方向について特定範囲の入射角を有する光
    を透過し、残りを反射する透過反射層と、 上記透過反射層のさらに背面側に、表示面の上下方向の
    入射角に依存して吸収率が変化する第1の吸収層と、 上記第1の屈折層から入射される光を透過させる際に、
    表示面の左右方向について、表示面法線とのなす角が大
    きい光を表示面法線とのなす角が小さい光に変換し、表
    示面法線とのなす角が小さい光を表示面法線とのなす角
    が大きい光に変換する光線変換層と、 上記光線変換層のさらに背面側に、表示面の左右方向の
    入射角に依存して吸収率が変化する第2の吸収層と、 上記第2の吸収層を透過した入射光を入射光と平行な方
    向に反射する再帰性反射板とを備えていることを特徴と
    する反射型液晶表示装置。
  6. 【請求項6】上記透過反射層は、その前面および背面側
    に水平基板面を備え、その内部に埋設された反射面と透
    過面とからなるプリズム面を備えた傾斜反射部材である
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の反射型液晶
    表示装置。
  7. 【請求項7】大気中の屈折率をn0、反射面上に隣接す
    る物質の屈折率をn1とし、 θ=1/2 × arcsin(n0/n1) の式を満たすθを定義した時、 上記透過反射層の反射面は、該透過反射層の水平基板面
    に対して、θ以上、2×θ未満の角度を成して配置され
    ていることを特徴とする請求項6に記載の反射型液晶表
    示装置。
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