JP2002071595A - ゴムの架橋度評価方法 - Google Patents

ゴムの架橋度評価方法

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JP2002071595A JP2000260947A JP2000260947A JP2002071595A JP 2002071595 A JP2002071595 A JP 2002071595A JP 2000260947 A JP2000260947 A JP 2000260947A JP 2000260947 A JP2000260947 A JP 2000260947A JP 2002071595 A JP2002071595 A JP 2002071595A
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Toru Noguchi
徹 野口
Yosuke Suefuji
陽介 末藤
Satoshi Shimoo
聡 下尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少量の試料でも、短時間で、正確にゴムの架
橋度を評価することができるゴムの架橋度評価方法を提
供する。 【解決手段】 パルス法NMRでゴムのスピン−スピン
緩和時間T2を測定し、得られたスピン−スピン緩和時
間T2をもとにして、次の式で定義される平均緩和時間
MT2を算出する。 MT2=Σ(T2(i)×V(i)) (T2(i):i成分のスピン−スピン緩和時間T2、V
(i):i成分の組成) そしてこの平均緩和時間MT2からゴムの架橋度を評価
する。膨潤試験や架橋挙動試験などでゴムの架橋度を評
価する場合のような、多量の試料や長時間の測定時間を
要することなく、少量もしくは小さい試料でも、短時間
でゴムの架橋度を評価することが可能になるものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムの架橋度(架
橋密度)の評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴムの架橋度は、ゴム製品の様々な物性
を左右する重要な要因であり、製品設計においても、ま
た製造した製品のでき具合を検査する際にも、ゴムの架
橋度の評価は欠くことができない。
【0003】そしてゴム架橋度は一般に膨潤試験によっ
て求められている。膨潤試験は、ゴム試料を溶剤に浸漬
し、ゴム試料が溶剤を吸収して膨らむ程度を膨潤率とし
て測定することによって行なわれるものである。
【0004】しかし、膨潤試験などでゴムの架橋度を実
測する場合、架橋度の評価が出るまで2〜3日の長時間
を要する場合があり、また手間もかかり、簡便にゴム架
橋度を評価することができないという問題があった。ま
たゴム試料が少量もしくは小さい場合、測定の誤差が大
きくなり、正確に架橋度を評価することが困難になると
いう問題もあった。
【0005】また、架橋挙動試験によってゴムの架橋度
を評価する方法もある。これは、未加硫ゴムの試料を用
い、この未加硫ゴム試料について時間を横軸、トルクを
縦軸にとった加硫曲線を作成し、この加硫曲線からゴム
架橋度を評価するようにした方法である。
【0006】しかしこの方法でも、架橋度を短時間で評
価することはできないものであり、また架橋済みのゴム
については適用することができないので、製造されたゴ
ム製品の架橋度を評価することができないという問題が
あった。
【0007】一方、特開平8−122284号公報に
は、NMR(核磁気共鳴)による緩和時間の測定に基づ
いてゴムの架橋度を評価する方法が開示されている。し
かしこの特開平8−122284号公報では、緩和時間
の成分のうち成分比率の大きい2成分を架橋度を評価す
る指標として利用しているが、このような2成分だけに
よる評価では、ゴムの架橋度を正確に評価することが難
しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、小さく少量の試料でも、短時
間で、正確にゴムの架橋度を評価することができるゴム
の架橋度評価方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るゴムの架橋
度評価方法は、パルス法NMRでゴムのスピン−スピン
緩和時間T2を測定し、得られたスピン−スピン緩和時
間T2をもとにして、次の式で定義される平均緩和時間
MT2を算出し、 MT2=Σ(T2(i)×V(i)) (T2(i):i成分のスピン−スピン緩和時間T2、V
(i):i成分の組成) この平均緩和時間MT2からゴムの架橋度を評価するこ
とを特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明は、ゴムの架橋度を実
測すると共に、このゴムについてパルス法NMRでスピ
ン−スピン緩和時間T2を測定して平均緩和時間MT2
算出し、算出された平均緩和時間MT2と実測された架
橋度の関係を求め、この関係に基づいて、平均緩和時間
MT2からゴムの架橋度を評価することを特徴とするも
のである。
【0011】また請求項3の発明は、パルス法NMRに
よるスピン−スピン緩和時間T2の測定を、ゴムがプラ
トー領域にある温度範囲で行なうようにしたことを特徴
とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0013】ゴムの架橋密度が高いとゴム分子の分子運
動性は小さくなり、またゴムの架橋密度が低いとゴム分
子の運動性は増大するので、ゴム分子の分子運動性とゴ
ムの架橋度は密接な相関関係を有すると考えられる。本
発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、
ゴム分子の分子運動性をNMR(核磁気共鳴)で測定
し、NMRの測定結果に基づいてゴムの架橋度を評価す
るようにしたものである。
【0014】ここで、分子運動性はパルス法NMRで測
定して得られた緩和時間を指標として表わすことができ
る。この緩和時間にはスピン−格子緩和時間T1、回転
系でのスピン−格子緩和時間T、スピン−スピン緩
和時間T2があるが、本発明ではスピン−スピン緩和時
間T2を採用している。
【0015】またゴム分子は、低温では分子間相互作用
など、架橋とは別の要因で運動の抑制を受けるが、温度
を上昇させるとゴム分子はこの分子間相互作用から解放
されて自由な運動をするようになり、このときのゴム分
子の運動を抑制するものは主として架橋になる。従って
高温での分子運動性が架橋度の尺度となるものであり、
本発明においてパルス法NMRの測定温度はゴムのガラ
ス転移温度よりも高いプラトー領域の温度範囲が好まし
い。ガラス転移温度以下ではゴムの分子運動が凍結され
ており、またガラス転移温度付近では各種の運動モード
が重なり、これらの温度で測定してもゴム分子の運動性
を正確に評価することはできない。プラトー領域はゴム
状領域ともいわれるものであり、主鎖のミクロブラウン
運動が活発となり、様々な分子形態をとり得る液体に近
い運動状態にあり、ゴム分子の運動性を正確に評価する
ことが容易になるものである。このプラトー領域の温度
範囲は一般的に70〜200℃である。温度が200℃
を超えると、ゴムの分解が始まって測定が困難になる。
さらに本発明において、パルス法NMRによるスピン−
スピン緩和時間T2の測定は、ソリッドエコー(Sol
id Ecoh)法で行なうのが好ましい。
【0016】ここで、ゴムのスピン−スピン緩和時間T
2の測定は、パルス法NMRによって自由誘導減衰(F
ID)を検出することによって行なうことができる。測
定物質が単一の分子運動性を有する1成分系のFID曲
線曲線は、 M=M0exp(−t/T2) (M:磁場の強さ(FID強度)、M0:t=0時の磁
場の強さ、t:時間) の式で表わされる。この式の対数をとると、図3(a)
に示すような直線となり、 lnM=lnM0−(1/T2)t の式で表わされる。このようにFIDを測定してFID
曲線を得ることによって、T2を求めることができる。
【0017】一方、ゴムは複数の分子運動性を有する要
素を有する複数成分系であり、複数成分系の場合にはF
ID曲線は複数点の変曲点を有し、この変曲点を境にし
て複数の成分i(i=1,2,3,…n)に分けること
ができる。例えば3成分系のFID曲線は、2点の変曲
点により3成分に分けることができる。このFID曲線
の対数をとったものが図3(b)であり、図3(b)に
おいて点線は各成分のFID曲線の対数を延長したもの
である。そして成分1のFID曲線の対数は lnM=lnM0(1)−(1/T2(1))t (M0(1):成分1のM0、T2(1):成分1のT2
分) 成分2のFID曲線の対数は lnM=lnM0(2)−(1/T2(2))t (M0(2):成分2のM0、T2(2):成分2のT2
分) 成分3のFID曲線の対数は lnM=lnM0(3)−(1/T2(3))t (M0(3):成分3のM0、T2(3):成分3のT2
分) の式で表わされる。
【0018】ちなみに、ゴムの場合、その成分(相とも
いう)の主なものに、T2の短いほうから長いほうへ、
架橋点近傍凝集相、架橋点間分子相、ルース相(ゴム分
子末端及びブランチ運動に帰属する成分:L成分)の3
成分があり、少なくともこの3成分はゴムの架橋度と密
接に関係していることが判っている。従って既述の従来
の特開平8−122284号公報の場合のように2成分
だけによる評価では不十分であるので、本発明では、3
成分以上の各成分iのスピン−スピン緩和時間T
2(i)の平均である平均緩和時間MT2を求めて、ゴム
の架橋度を正確に評価できるようにしている。
【0019】平均緩和時間MT2を求めるには、成分i
が全n成分中にどれだけの割合を占めているかを示す組
成V(i)を求める必要がある。例えば3成分系の場
合、成分1の組成V(1)、成分2の組成V(2)、成
分3の組成V(3)はそれぞれ、 V(1)= 成分1のFID強度/(成分1のFID強
度+成分2のFID強度+成分3のFID強度) =M0(1)/(M0(1)+M0(2)+M0(3)) V(2)= 成分2のFID強度/(成分1のFID強
度+成分2のFID強度+成分3のFID強度) =M0(2)/(M0(1)+M0(2)+M0(3)) V(3)= 成分3のFID強度/(成分1のFID強
度+成分2のFID強度+成分3のFID強度) =M0(3)/(M0(1)+M0(2)+M0(3)) で表わされ、V(1)+V(2)+V(3)=1であ
る。
【0020】従って一般式で表わすと、 V(i)=M0(i)/(M0(1)+M0(2)+M
0(3)+…+M0(n)) V(1)+V(2)+V(3)+…+V(n)=1とな
る。
【0021】そして各々の成分iのスピン−スピン緩和
時間T2(i)と組成V(i)から、次の式で平均緩和
時間MT2を求めることができる。
【0022】MT2=T2(1)×V(1)+T2(2)
×V(2)+T2(3)×V(3)+…+T2(n)×V
(n) =Σ(T2(i)×V(i)) そして、ゴムの架橋度が高いときは、分子運動性が低い
ために平均緩和時間MT2は小さくなり、またゴムの架
橋度が低いときは、分子運動性が高いために平均緩和時
間MT2は大きくなる。従って、ゴムの架橋度と平均緩
和時間MT2との間には相関関係があり、パルス法NM
Rでゴムのスピン−スピン緩和時間T2を測定し、得ら
れたスピン−スピン緩和時間T2をもとにして、上式で
定義される平均緩和時間MT2を算出することによっ
て、この平均緩和時間MT2からゴムの架橋度を評価す
ることが可能になるものである。
【0023】例えば、試験をしたいゴム配合について、
架橋剤を変量で加えて、架橋度が異なる複数種の試料を
作製し、この架橋度が異なる複数種の試料について、膨
潤試験や架橋挙動試験などでゴムの架橋度を実測すると
共に、またこれらの試料について、パルス法NMRでゴ
ムのスピン−スピン緩和時間T2を測定して平均緩和時
間MT2を算出する。そして架橋度を横軸(あるいは縦
軸)に、平均緩和時間MT2を縦軸(あるいは横軸)に
とって、各試料について測定して得られた架橋度の実測
値と平均緩和時間MT2をプロットすると、各プロット
した点から、上記のゴム配合におけるゴムの架橋度と平
均緩和時間MT2の関係を示す近似線を得ることができ
る。
【0024】従って、上記のゴム配合物において、パル
ス法NMRでスピン−スピン緩和時間T2を測定して平
均緩和時間MT2を算出すると、上記のようにして得ら
れたゴムの架橋度と平均緩和時間MT2の関係を示す近
似線から、架橋度を知ることができるものである。NM
Rによる測定は、試料が少量もしくは小さくとも正確に
行なうことができ、また5分程度の短時間で行なうこと
ができるので、小さく少量の試料でも、短時間で、正確
にゴムの架橋度を評価することが可能になるものであ
る。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0026】(実施例1)クロロプレンゴム100質量
部、ステアリン酸1質量部、MgO4質量部、ZnO5
質量部を基本配合とし、これに架橋剤(パーオキサイ
ド)を1〜10質量部の範囲で10段階に変量して配合
し、これをオープンロールで混合した後に、153℃で
2mm厚にプレスして加硫することによって、10種類
の試料を作製した。
【0027】この10種類の試料について、それぞれ膨
潤試験を行なってゴムの架橋度を実測した。また、この
10種類の試料について、それぞれパルス法NMRでゴ
ムのスピン−スピン緩和時間T2を測定し、平均緩和時
間MT2を算出した。パルス法NMRによるゴムのスピ
ン−スピン緩和時間T2の測定は、70℃、110℃、
150℃の温度条件でそれぞれ行なった。
【0028】そして架橋度を横軸に、平均緩和時間MT
2を縦軸にとって、10種類の試料について測定して得
られた架橋度の実測値と平均緩和時間MT2を図1
(a)〜(c)のグラフのようにプロットする。図1
(a)は70℃の温度で測定して得られたMT2と架橋
度の関係を示すグラフ、図1(b)は110℃の温度で
測定して得られたMT2と架橋度の関係を示すグラフ、
図1(c)は150℃の温度で測定して得られたMT2
と架橋度の関係を示すグラフである。図1(a)〜
(c)のグラフにみられるように、各プロットした点か
ら、ゴムの架橋度の実測値と平均緩和時間MT2の関係
を示す直線の近似線を得ることができる。
【0029】図1(a)〜(c)のグラフにおいて近似
線はMT2=α−β・ν(α,βは定数、νは架橋度)
と表すことができるものであり、従って、上記の基本配
合のゴムついて、パルス法NMRでゴムのスピン−スピ
ン緩和時間T2を測定し、平均緩和時間MT2を算出する
と、この近似線から架橋度を直ちに得ることができる。
例えば、70℃の測定温度で試料を測定して得られたM
2が600μsecであると、図1(a)のグラフか
ら、この試料のゴムの架橋度は約500mol/m3
あると求めることができ、110℃の測定温度で試料を
測定して得られたMT2が700μsecであると、図
1(b)のグラフから、この試料のゴムの架橋度は約4
80mol/m3であると求めることができ、150℃
の測定温度で試料を測定して得られたMT2が800μ
secであると、図1(c)のグラフから、この試料の
ゴムの架橋度は約380mol/m3であると求めるこ
とができる。このように、プラトー領域の範囲の温度で
ゴムの架橋度を評価することが可能である。
【0030】(実施例2)エチレン−プロピレン−ジエ
ン三元共重合ゴム(EPDM)100質量部、ステアリ
ン酸1質量部、ZnO5質量部を基本配合とし、これに
架橋剤(パーオキサイド)を1〜10質量部の範囲で1
0段階に変量して配合し、これをオープンロールで混合
した後に、165℃で2mm厚にプレスして加硫するこ
とによって、10種類の純ゴムの試料を作製した。
【0031】また上記の基本配合にシリカを60質量部
配合し、これに架橋剤(パーオキサイド)を1〜10質
量部の範囲で5段階に変量して配合し、これをオープン
ロールで混合した後に、165℃で2mm厚にプレスし
て加硫することによって、5種類のシリカ配合系ゴムの
試料を作製した。
【0032】また上記の基本配合に炭酸カルシウムを6
0質量部配合し、これに架橋剤(パーオキサイド)を1
〜10質量部の範囲で5段階に変量して配合し、これを
オープンロールで混合した後に、165℃で2mm厚に
プレスして加硫することによって、5種類の炭酸カルシ
ウム配合系ゴムの試料を作製した。
【0033】さらに上記の基本配合にカーボンブラック
を60質量部配合し、これに架橋剤(パーオキサイド)
を1〜10質量部の範囲で6段階に変量して配合し、こ
れをオープンロールで混合した後に、165℃で2mm
厚にプレスして加硫することによって、6種類のカーボ
ンブラック配合系ゴムの試料を作製した。
【0034】上記の各の試料について、それぞれ膨潤試
験を行なってゴムの架橋度を実測した。また、これらの
試料について、それぞれパルス法NMRでゴムのスピン
−スピン緩和時間T2を測定し、平均緩和時間MT2を算
出した。パルス法NMRによるゴムのスピン−スピン緩
和時間T2の測定は、70℃、110℃、150℃の温
度条件でそれぞれ行なった。
【0035】そして架橋度を横軸に、平均緩和時間MT
2を縦軸にとって、各試料について測定して得られた架
橋度の実測値と平均緩和時間MT2を図2(a)〜
(c)のグラフのようにプロットする。図2(a)は7
0℃の温度で測定して得られたMT2と架橋度の関係を
示すグラフ、図2(b)は110℃の温度で測定して得
られたMT2と架橋度の関係を示すグラフ、図2(c)
は150℃の温度で測定して得られたMT2と架橋度の
関係を示すグラフである。また図2(a)〜(c)にお
いて、純ゴムの試料を「◇」、シリカ配合系ゴムの試料
を「▲」、炭酸カルシム配合系ゴムの試料を「□」、カ
ーボンブラック配合系ゴムの試料を「●」で示す。
【0036】図2(a)〜(c)のグラフにみられるよ
うに、各プロットした点から、ゴムの架橋度の実測値と
平均緩和時間MT2の関係を示す直線の近似線を得るこ
とができる。この直線はMT2=α−β・ν(α,βは
定数、νは架橋度)で表される。また、図2(a)〜
(c)のグラフにみられるように、純ゴムと、シリカ配
合系と、炭酸カルシウム配合系は、近似線として一つの
直線が得られるものであり、架橋度と平均緩和時間MT
2の関係は配合される充填剤の種類には影響されないこ
とがわかる。これに対して、カーボンブラック配合系の
近似線は別の直線として得られる。これは、カーボンブ
ラックは擬似架橋網目を形成して架橋度の評価に影響を
与えるためである。従って、この近似線に基づいて平均
緩和時間MT2から擬似架橋網目を評価することも可能
である。
【0037】
【発明の効果】上記のように本発明は、パルス法NMR
でゴムのスピン−スピン緩和時間T2を測定し、得られ
たスピン−スピン緩和時間T2をもとにして、次の式で
定義される平均緩和時間MT2を算出し、 MT2=Σ(T2(i)×V(i)) (T2(i):i成分のスピン−スピン緩和時間T2、V
(i):i成分の組成) この平均緩和時間MT2からゴムの架橋度を評価するよ
うにしたので、膨潤試験や架橋挙動試験などでゴムの架
橋度を評価する場合のような、多量の試料や長時間の測
定時間を要することなく、パルス法NMRによるゴムの
スピン−スピン緩和時間T2の測定は試料が小さく少量
でも短時間に行なうことができるものであり、少量の試
料でも、短時間でゴムの架橋度を評価することが可能に
なるものである。しかも多成分のスピン−スピン緩和時
間T2をもとにした平均緩和時間MT2から、ゴムの架橋
度を正確に評価することができるものである。
【0038】また請求項2の発明は、ゴムの架橋度を実
測すると共に、このゴムについてパルス法NMRでスピ
ン−スピン緩和時間T2を測定して平均緩和時間MT2
算出し、算出された平均緩和時間MT2と実測された架
橋度の関係を求め、この関係に基づいて、平均緩和時間
MT2からゴムの架橋度を評価するようにしたので、実
測して得られたゴムの架橋度と平均緩和時間MT2の関
係に基づいて、ゴムの架橋度を正確に評価することがで
きるものである。
【0039】また請求項3の発明は、パルス法NMRに
よるスピン−スピン緩和時間T2の測定は、ゴムがプラ
トー領域にある温度範囲で行なわれるようにしたので、
高温でのゴムの分子運動性に基づいて、架橋度を正確に
評価することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における架橋度の実測値と平均緩和時
間MT2を示すものであり、(a)は70℃の温度で測
定して得られたMT2と架橋度の関係を示すグラフ、
(b)は110℃の温度で測定して得られたMT2と架
橋度の関係を示すグラフ、(c)は150℃の温度で測
定して得られたMT2と架橋度の関係を示すグラフであ
る。
【図2】実施例2における架橋度の実測値と平均緩和時
間MT2を示すものであり、(a)は70℃の温度で測
定して得られたMT2と架橋度の関係を示すグラフ、
(b)は110℃の温度で測定して得られたMT2と架
橋度の関係を示すグラフ、(c)は150℃の温度で測
定して得られたMT2と架橋度の関係を示すグラフであ
る。
【図3】(a)は1成分系のFID曲線の対数をとった
グラフ、(b)は3成分系のFID曲線の対数をとった
グラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス法NMRでゴムのスピン−スピン
    緩和時間T2を測定し、得られたスピン−スピン緩和時
    間T2をもとにして、次の式で定義される平均緩和時間
    MT2を算出し、 MT2=Σ(T2(i)×V(i)) (T2(i):i成分のスピン−スピン緩和時間T2、V
    (i):i成分の組成) この平均緩和時間MT2からゴムの架橋度を評価するこ
    とを特徴とするゴムの架橋度評価方法。
  2. 【請求項2】 ゴムの架橋度を実測すると共に、このゴ
    ムについてパルス法NMRでスピン−スピン緩和時間T
    2を測定して平均緩和時間MT2を算出し、算出された平
    均緩和時間MT2と実測された架橋度の関係を求め、こ
    の関係に基づいて、平均緩和時間MT2からゴムの架橋
    度を評価することを特徴とする請求項1に記載のゴムの
    架橋度評価方法。
  3. 【請求項3】 パルス法NMRによるスピン−スピン緩
    和時間T2の測定は、ゴムがプラトー領域にある温度範
    囲で行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載
    のゴムの架橋度評価方法。
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