JP2002069891A - ガラスコーティング絶縁紙 - Google Patents

ガラスコーティング絶縁紙

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JP2002069891A
JP2002069891A JP2000262218A JP2000262218A JP2002069891A JP 2002069891 A JP2002069891 A JP 2002069891A JP 2000262218 A JP2000262218 A JP 2000262218A JP 2000262218 A JP2000262218 A JP 2000262218A JP 2002069891 A JP2002069891 A JP 2002069891A
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JP2000262218A
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Yoko Iwamiya
陽子 岩宮
Osamu Yagi
修 八木
Hiroshi Serizawa
浩 芹澤
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KAZARIICHI KK
Kazari Ichi Co Ltd
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KAZARIICHI KK
Kazari Ichi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紙素材の柔軟性等の性質に鑑み、身近に存在す
る和紙、洋紙、布等の紙素材に処理することにより、
「厚み」、「密度」、「引張強度」、「伸び」、「絶縁
破壊強度」、「表面抵抗率」、「体積固有抵抗」、「1
時間吸水率」、そして、「撥水度」等の、絶縁紙に必要
な種々の特性を有するガラスコーティング絶縁紙を提供
する。 【解決手段】紙素材に、シラン系コート液を塗布し、触
媒の作用で硬化・固化させて、表面にガラスコーティン
グ膜を形成したことを特徴とする、ガラスコーティング
絶縁紙により、前記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器や電気部品の
絶縁用素材として好適な絶縁紙に関し、詳しくは、電気
特性に優れ、物理的な劣化が少なく、しかも任意形状、
寸法への加工工作が容易であるという特徴を有する、ガ
ラスコーティング絶縁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気機器や電気部品用の絶縁材として、
従来より、例えば特開平7−262860号公報に記載
された絶縁板等が知られている。この絶縁板は、導電性
の金属板(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、
金、銅、チタン、クロム、そして、ステンレス鋼等)の
片面又は両面に、粉末ガラス質(例えば、B−P
bO、SiO−PbO−B、B−ZnO
−PbO、そしてSiO −B−SrO等)の絶
縁性物質を、厚さ50μmから1mm程度の厚みで塗布
し、500℃から1100℃で溶融接着して、ガラス質
の絶縁層を形成したものである(特開平7−26286
0号公報参照)。
【0003】また、金属板ではなく、紙を利用した絶縁
紙も知られている。具体的には、例えば、メタ系芳香族
ポリアミド繊維及びフィブリッドを原料とし、原料スラ
リー中に酸化劣化防止剤を添加したシート状の絶縁紙が
知られている(特開平6−68734号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記絶縁板は、上記の
ようなガラス質の絶縁層を、金属板の表面に溶融形成す
ることによって、本来は導電性である金属板を絶縁性に
するものである。しかしながら、金属板の厚さは10m
m程度と厚く、しかも、かなりの硬度があるために、そ
の加工工作性に大きな課題があった。すなわち、絶縁板
を折り曲げたり切断したりして、所定の寸法・形状に加
工工作しようとすると、特殊な工具が必要となり、ま
た、かかる特殊な工具を使用したとしても、かかる加工
工作を容易に行い得るというものではなかった。
【0005】また、絶縁板では、金属板の表面に粉末ガ
ラス質を塗布し、加熱して溶融接着させる場合に、金属
板及びガラス質の熱膨張係数を考慮しておかないと、加
熱後には、絶縁板が湾曲したり、ガラス質の絶縁層が割
れて剥離してしまう、等という課題がある。むろん、金
属板及びガラス質の熱膨張係数を考慮しただけでは不十
分であり、当然、加熱を500℃から1000℃の温度
範囲に制御したり、実際の加熱温度が前記範囲に保たれ
ているか否かを監視することが必要で、ある程度の製造
設備が必要となるなど、製造に製造することが困難であ
った。
【0006】更に、金属板にガラス質を溶融接着した絶
縁板は、焼却することができないという課題がある。こ
のため、絶縁板は、環境保護の観点から、その廃棄方法
が近年の社会問題の一つとなりつつある。絶縁板から金
属板だけでも取り出して再利用することも考えられる
が、金属板とガラス質との接着強度は、1mmあたり
1kg以上であるため、ガラス質を金属板から剥離して
再利用しようとするとコストが大きくなってしまい、実
際上は困難であった。
【0007】前記した、メタ系芳香族ポリアミド繊維及
びフィブリッドを原料とし、原料スラリー中に酸化劣化
防止剤を添加したシート状の絶縁紙等では、前記絶縁板
に比較して厚みが薄く、また金属板を使用していないこ
とから柔軟である。このため、絶縁板に比較して、折り
曲げや切断等の加工工作を行うことが容易である。しか
しながら、メタ系芳香族ポリアミド繊維からなるシート
状の絶縁体は、焼却等すると、人体に過大な影響を及ぼ
す、毒性の高いダイオキシンや、環境ホルモン(内分泌
破壊性物質)と称される有害物質が発生してしまう。こ
のため、従来の絶縁紙においても、環境保護の観点か
ら、その廃棄方法が近年の社会問題の一つとなりつつあ
る。
【0008】本出願人は、紙等の表面に、ゾルーゲル液
の硬化に必要な触媒としてホウ素イオン及びハロゲンイ
オンを含む所定の配合溶液を塗布して、紙等の表面にガ
ラスのコーティング層を形成することにより、絶縁破壊
強度や表面抵抗率といった、電気特性の高い絶縁紙を提
供し得ることを見出している(特開2000−1640
56号公報参照)。本出願人が提案したガラスコーティ
ング絶縁紙は、加工工作や廃棄が容易で、従来技術に見
られる課題を解決し得るものではあったが、前記塗布液
中にハロゲンイオンが含まれるために、紙の中性化が生
じ、必ずしも長期保存には適さないことが知見された。
また、このコーティング絶縁紙の、加工工作性や絶縁破
壊強度及び表面抵抗率といった電気特性については、更
なる改善の余地があった。
【0009】例えば、特開2000−164056号公
報に記載したガラスコーティング絶縁紙では、テトラア
ルコキシシラン(Si(OR))やそのオリゴマー体
を原料として用い、その加水分解反応によってガラスコ
ーティング膜を形成するが、このガラスコーティング膜
は、ケイ素原子の4個の結合全てが硬いシロキサン結合
でネットワークを形成したものである。したがって、ガ
ラスコーティング膜は、セラミックと同様に硬いが、同
時に脆いものであり、紙の柔軟性を生かし切れない、と
いう点で、なおも改善の余地がある。
【0010】そこで本発明の目的は、加工工作が容易
で、したがって、特別な工具を用いる必要なしに所定の
寸法・形状に加工可能であり、製造が容易で、したがっ
て、製造の際には特に厳密な温度管理等が不要であり、
また焼却によって廃棄することが可能で、しかもその際
にはダイオキシンや環境ホルモン(内分泌破壊性物質)
と称される有害物質の発生させないか、又はその発生を
極力抑制可能であり、紙の中性化等の物理的変化が生ず
ることがないく、したがって、長期使用や長期保存に適
しており、そして、紙の柔軟性を生かして、例えば湾曲
したりすることが容易な、絶縁破壊強度及び表面抵抗率
といった絶縁紙としての電気特性が極めて良好なガラス
コーティング絶縁紙を提供することにある。
【0011】
【課題を解決する手段】前記目的を達成するために成さ
れた本願請求項1の発明は、紙素材に、式1で示される
化合物を主成分とするシラン系コート液を塗布し、触媒
の作用で硬化・固化させて、表面にガラスコーティング
膜を形成したことを特徴とする、ガラスコーティング絶
縁紙である。
【0012】
【式1】 (式1において、R、R、R及びRは、それぞ
れ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1から4
のアルキル基である)
【0013】本願請求項2に記載した発明は、前記請求
項1に記載したガラスコーティング絶縁紙に係り、前記
コート液の塗布に先立ち、前記紙素材をアルコールに浸
漬し、乾燥し、更に紫外線を照射して表面にガラスコー
ティング膜を形成したことを特徴とする。
【0014】本願請求項3に記載した発明は、前記請求
項1に記載したガラスコーティング絶縁紙に係り、前記
シラン系コート液を硬化・固化させる触媒として、加水
分解可能な有機金属化合物を使用して表面にガラスコー
ティング膜を形成したことを特徴とする。本願請求項4
に記載した発明は、前記請求項3に記載したガラスコー
ティング絶縁紙に係り、前記加水分解可能な有機金属化
合物として、チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成
る群から選ばれる一種以上の有機金属化合物を使用して
表面にガラスコーティング膜を形成したことを特徴とす
る。
【0015】本願請求項5に記載した発明は、前記請求
項1に記載したガラスコーティング絶縁紙に係り、前記
シラン系コート液として、前記主成分に加え、3個の加
水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を
有する、式2で示される化合物を含むコート液を使用し
て表面にガラスコーティング膜を形成したことを特徴と
する。
【0016】
【式2】 (式2において、R、R及びRは、それぞれ同一
又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケ
ニル基からなるモノマーであり、RO、R0及びR
OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマ
ーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシ
ジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル
基である)
【0017】本願請求項6に記載した発明は、前記請求
項1に記載したガラスコーティング絶縁紙に係り、前記
シラン系コート液として、前記主成分に加え、2個の加
水分解可能な置換基と2個の加水分解不可能な置換基を
有する、式3で示される化合物を含むコート液を使用し
て表面にガラスコーティング膜を形成したことを特徴と
する。
【0018】
【式3】 (式3において、R及びR11は、それぞれ同一又は
異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル
基からなるモノマーであり、RO及びR11OとSi
との結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、
10及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリ
シジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル
基又はフェニル基である)
【0019】本願請求項7に記載した発明は、前記請求
項1に記載したガラスコーティング絶縁紙に係り、前記
シシラン系コート液として、前記主成分に加え、前記式
2で示される化合物及び前記式3で示される化合物を含
むコート液を使用して表面にガラスコーティング膜を形
成したことを特徴とする。
【0020】
【式2】
【式3】 (式2において、R、R及びRは、それぞれ同一
又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケ
ニル基からなるモノマーであり、RO、R0及びR
OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマ
ーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシ
ジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル
基であり、式3において、R及びR11は、それぞれ
同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はア
ルケニル基からなるモノマーであり、RO及びR11
OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマー
であり、R10及びR12は、その分子内にエポキシ基
又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、ア
ルケニル基又はフェニル基である)
【0021】そして本願請求項8に記載した発明は、前
記請求項1に記載したガラスコーティング絶縁紙に係
り、前記シラン系コート液は、前記紙素材に対し、噴
霧、刷毛、ロール又は含浸により塗布され、触媒の作用
で硬化・固化して表面にガラスコーティング膜を形成し
たことを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】本願発明では、前記式1に示した通り、ケ
イ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解不可能
な置換基で置換されたものを繰り返し単位として含む化
合物によって、紙をコートし、その表面にコーティング
膜を形成することにより、従来技術に見られる課題を解
決したものである。式1の化合物は、その後の加水分解
・重縮合反応によって、強固な結合である、シロキサン
結合(Si−O−Si)を生成し、ガラスコーティング
膜を形成するが、これにより、紙に耐水性や耐摩耗性、
そして、絶縁破壊強度や表面抵抗率といった、絶縁紙と
しての電気特性を付与するものである。
【0023】しかしながら、式1の化合物を使用する
と、隣接するケイ素原子との間で、その後の加水分解・
重縮合反応においても加水分解されず、シロキサン結合
に関与しないR4が、いわば「宙ぶらりん」の形で残る
ために、特開2000−164056号公報に記載され
ている、従来のコーティング膜形成用の化合物を使用し
てコーティング膜を形成した場合等と比較して、紙の表
面に形成されるコーティング膜には柔軟性が与えられ、
そして結果的には、コーティング膜を形成した紙の柔軟
性を生かすことが可能となるのである。このように、式
1の化合物によって紙の表面に形成される、ガラスコー
ティング膜は、絶縁破壊強度及び表面抵抗率といった電
気特性が良好であり、前記ガラスコーティング膜を形成
した紙を、良好な絶縁紙として使用することができる。
なお、コーティング膜への柔軟性の付与は、後述する式
2及び/又は式3の化合物を使用することによっても達
成される。
【0024】安価であるが、しかし無機性が強く、柔軟
性に欠けるテトラアルコキシシランと比較しても、式1
の化合物を得るための原料(単量体)は同程度の安さで
購入できる。したがって、式1の化合物を用いることに
より、ガラスコーティング膜形成のため、あえて高価な
材料を使用しなくとも、絶縁破壊強度及び表面抵抗率と
いった電気特性が良好であるとともに、十分な有機性
と、十分な強度とを兼ね備えたガラスコーティング膜を
形成することができる。このように、本願発明は、前記
目的を達成するため、式1で示される化合物を使用する
ことに特徴を有する。
【0025】本願発明では、和紙や洋紙等の紙素材に、
式1で示される化合物を主成分とするコート液を塗布
し、触媒の作用でこれを硬化・固化させるものである。
式1におけるR、R及びRは、それぞれ同一又は
異なっても良い、水素又は炭素数が1から4のアルキル
基であり、nは2から10であることが好ましい。
【0026】かかる化合物は、単量体(例えば、メチル
トリメトキシシラン)を縮合することにより調整するこ
とができる。主鎖の繰り返しがn=2から10であるの
は、n=1、即ち単量体を用いると、ポリマー化に時間
が掛かかり、短時間で十分な強度を持ったコート膜を製
造することが困難となるからである。しかしながら、n
が11以上となると、逆に、紙素材に塗布した時に、紙
素材上でのポリマー化のためのアルコキシ基等の数が不
足して、十分な強度を持ったコート膜を製造することが
困難になる。したがって、本願発明においては好ましい
のは、n=2から10、中でもn=2から8の縮合体で
ある。
【0027】なお、一般に単量体から式1のような縮合
体を合成する場合、その重合度を正確に制御すること
は、技術的にいって、事実上不可能である。したがっ
て、本願発明でn=2から10、好ましくはn=2から
8のものを使用するとの意味は、重合度の分布から見
て、主としてnが2から10、好ましくは主として2か
ら8のものが含まれているようなコート液を使用するこ
とに他ならず、例えばnが11以上である化合物が含ま
れていたとしても、差し支えない。
【0028】式1で示される化合物としては、具体的に
例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキ
シシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチル
トリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エ
チルトリプロポキシシラン、プロピルトリプロポキシシ
ラン、ブチルトリプロポキシシラン等の縮合体を例示で
きる。また、式1の化合物は、前記例示したような単量
体の1種類のみを縮合した縮合体であっても、また前記
例示したような単量体の2種類以上を縮合した縮合体で
あっても良い。
【0029】前記したように、式1の化合物における加
水分解不可能な置換基(R)の第一義的な役割は、ガ
ラスコーティング膜に柔軟性を与えることにあるが、R
としてアルキル基を有する式1化合物を使用すると、
これと同時に、コーティング膜に撥水性を付与し、結果
的には、コーティング絶縁紙に撥水性をも付与すること
ができる。一般に有機性置換基は、炭素数が増えるほ
ど、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があま
り大きくなると、立体障害によりガラスコーティング膜
の中に歪が生じてしまい、ガラスコーティング膜の強度
低下の原因となることもある。したがって、絶縁紙に対
して撥水性を付与する場合には、Rとするアルキル基
の炭素数や、式1の化合物(縮合体)を構成する各単量
体の種類・量を、本願明細書の実施例などを参照しつ
つ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好ま
しい。もっとも、ガラスコーティング膜への撥水性の付
与は、後述する式2又は式3の化合物を添加することに
よっても達成可能であるため、式1の化合物におけるR
4をアルキル基とすることは、撥水性の付与に際して必
須となるわけではない。
【0030】式1で示される化合物を硬化・固化させる
触媒としては、一般に用いられている触媒が特別の制限
なしに使用可能である。例えば酸触媒であれば、塩酸、
硝酸、硫酸、リン酸、ぎ酸又は酢酸等を例示できる。塩
基触媒であれば、アンモニア、水酸化テトラメチルアン
モニウム、水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアン
モニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン又は
トリエタノールアミン等が例示できる。これら通常の触
媒を用いる場合は、式1の化合物を硬化・固化させるた
め、反応水を共存させる。
【0031】本願発明において、紙素材のガラスコーテ
ィングに使用するコート液は、このように、式1の化合
物、触媒及び反応水を含むものである。通常使用する場
合には特に問題は生じないが、これを長期保存する場
合、反応水によってコート液がゲル化し易い、という課
題を生じる。これを解決するためには、上記したような
通常の触媒ではなく、触媒として加水分解可能な有機金
属化合物を用いると良い。加水分解可能な有機金属化合
物を使用すれば、反応水を共存させる必要はなくなり、
長期保存安定性のため好ましくなる。
【0032】有機金属化合物を式1の化合物と混合して
コート液とし、これを紙素材に塗布すると、紙上の水分
や空気中の水分(湿気)を吸い、有機金属化合物が自ら
加水分解するが、この時、式1の化合物とネットワーク
を形成し、式1の化合物を硬化・固化する。本願発明に
おいて好ましく用いられる有機金属化合物としては、例
えばチタン、ジルコン、アルミ又はスズを含むものを例
示できる。より具体的には、テトラプロポキシチタネー
ト、テトラブトキシチタネート、テトラプロポキシジル
コネート、テトラブトキシジルコネート、トリプロポキ
シアルミネート、アルミニウムアセチルアセトナート、
ジブチルスズジアセテート又はジブチルスズジラウレー
ト等を例示できる。
【0033】また本願発明のコート液には、式1の化合
物、触媒、そして場合により必要となる反応水を均一に
混合させるため、有機溶剤を添加することが出来る。こ
の目的で使用される有機溶剤としては、アルコール類を
例示できる。より具体的には、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペ
ンタノール又はヘキサノール等を例示できる。また、そ
の添加量を制御することによって、コート液の粘度や乾
燥速度の調整も可能である。
【0034】このような調整の目的では、特に、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコー
ル類、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブ
トキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプ
ロパノール、プロポキシプロパノール又はブトキシプロ
パノール等のセルソルブ類等の粘度や沸点の高い有機溶
剤を単独又は二種以上混合して使用することが好まし
い。むろん、上記粘度や沸点の高い有機溶媒の1種以上
と共に、上記アルコール類を同時に添加しても良い。な
おコート液の粘度や乾燥速度の調整を目的とする場合
は、前記有機溶媒のみならず、界面活性剤によっても同
様の効果を達成することができる。
【0035】特に、前記したグリコール類やセルソルブ
類は、その分子内に水酸基を有しているため、式1の化
合物の縮合反応によって形成されるシロキサン結合のネ
ットワーク内に導入される事がある。グリコール類やセ
ルソルブ類は有機性を有しているため、これが導入され
る事により、得られるガラスコーティング膜の柔軟性や
有機性は増し、結果的にガラスコーティング絶縁紙の柔
軟性や有機性が増すことになる。
【0036】本願発明のガラスコーティング絶縁紙は、
まず、任意の紙素材を、任意の寸法・形状に切断、加工
し、これに前記したコート液を塗布することにより製造
される。具体的な塗布の方法は、特に制限されないが、
例えば、コート液を、前記紙素材に対し、噴霧、刷毛、
ロール又は含浸により行い得る。
【0037】本願発明では、例えば樹皮の紙を漉いて乾
燥したもの、手漉きによる高級和紙、機械漉きされた普
通和紙、洋紙又は友禅紙等、不敷布を用いた紙等、種々
の紙を素材として、ガラスコーティング絶縁紙とするこ
とができる。なお、紙素材に対しては、コート液の塗布
に先立ち、所定の前処理を施しておくことで、紙素材表
面とコート膜との間の結合を、当該前処理を施さないも
のと比べて強化することができる。
【0038】この前処理の一例として、例えば、紙素材
を98%程度の高純度のイソプロピルアルコールに30
分程度浸漬し、その後、100℃程度の高温下に放置
し、完全に乾燥させ、その後に30分間程度紫外線を照
射する前処理が例示できる。
【0039】上記のように、所定の前処理を施した、又
は施していない紙素材に、コート液を塗布すると、式1
の化合物が加水分解し、次の反応式1の(1)から
(3)に示した反応を経て、シロキサン結合(Si-O-
Si)が生成する。
【0040】
【反応式1】
【0041】このようにして生成したシロキサン結合
(Si-O-Si)内のSi-Oの結合エネルギーは10
6kcal/molである。一方、有機化合物の典型的
な結合であるC-C結合の結合エネルギーは82.6k
cal/molである。したがって、式1の化合物が加
水分解することによって生成する、シロキサン結合を有
するガラスコーティング膜は、有機化合物に比べ、はる
かに熱的安定な結合を有していることが分かる。この熱
的安定な結合により、本願発明のガラスコーティング絶
縁紙は、絶縁破壊強度や表面抵抗率といった、電気特性
が良好となるだけでなく、耐熱性・耐摩耗性に優れたも
のとなるのである。
【0042】また、コート液が、触媒として前記した有
機金属化合物(例えばテトラブトキシチタニウム等)を
含む場合は、コート液中に反応水が含まれなくとも、上
記の反応式1における(1)から(3)の反応が進行す
るのであるが、この場合の反応は、詳しくは下記反応式
2における(4)及び(5)のようになる。
【0043】
【反応式2】
【0044】前記反応式2におけるTi-O結合がコー
ト膜内に導入されることにより、シロキサン結合のみの
ガラスコーティング膜に比較して、更に耐熱性及び耐摩
耗性が向上する。このように、触媒として有機金属化合
物を使用すると、反応水を共存させる必用が無いばかり
でなく、ガラスコーティング膜の耐熱性・耐摩耗性を更
に向上させることができるので、結果的に、ガラスコー
ティング絶縁紙のの耐熱性・耐摩耗性をよりいっそう向
上することができるのである。
【0045】本願発明では、式1の化合物に加え、式2
の化合物を含むコート液を使用することにより、これを
使用せずに製造したガラスコーティング絶縁紙と比較し
たときに、式2の化合物が有する有機性等の性質を新た
に付与したり、有機性等の性質を増加したり、また更に
は、柔軟性を高くすることが可能である。かかる目的で
加えられる式2の化合物は、4個の置換基のうち、3個
が加水分解可能な置換基であり、残り1個が加水分解不
可能な置換基から成り立つ化合物である。
【0046】式2において、R、R及びRは、そ
れぞれ同一又は異なっていても良く、水素若しくは炭素
数1から10のアルキル基又はアルケニル基からなるモ
ノマーであり、RO、R0及びROとSiとの結
合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、R
は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含ん
でいても良い、炭素数が1から10のアルキル基、アル
ケニル基又はフェニル基である。
【0047】式2で示される化合物としては、具体的
に、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシ
シラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシ
シラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラ
ン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメ
トキシエトキシ)シラン等や、これらの2から10分子
程度の縮合体を例示できる。
【0048】なお、式2の化合物は、かかる単量体の2
種以上であっても良い。式2の化合物として、2分子以
上の縮合体を使用する場合には、かかる単量体の2種以
上を縮合したものであっても良い。
【0049】また本願発明では、式1の化合物を含むコ
ート液に加え、又は、式1の化合物及び式2の化合物の
両方を含むコート液に加え、更に式3の化合物を添加し
たコート液を使用することによって、これを使用せずに
製造したガラスコーティング絶縁紙と比較したときに、
式3の化合物が有する有機性等の性質を新たに付与した
り、有機性等の性質を増加したり、また更には、柔軟性
を高くすることが可能である。
【0050】式3において、R及びR11は、それぞ
れ同一又は異なっていても良く、水素若しくは炭素数1
から10のアルキル基又はアルケニル基からなるモノマ
ーであり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキ
サン結合からなるオリゴマーであり、R10及びR12
は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んで
いても良い、炭素数が1から10のアルキル基、アルケ
ニル基又はフェニル基である。このように、式3の化合
物は、4個の置換基のうち、2個が加水分解可能な置換
基であり、他の2個が加水分解不可能な置換基から成り
立つ化合物である。したがって、特に式3の化合物を使
用して製造することによって、より柔軟なガラスコーテ
ィング絶縁紙を得ることが可能である。
【0051】式3で示される化合物としては、具体的
に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチル
ビニルジエトキシシラン等や、これらの2から10分子
程度の縮合体を例示できる。なお、式3の化合物は、か
かる単量体の2種以上であっても良く、また更に2分子
以上の縮合体を使用する場合にも、かかる単量体の2種
以上の縮合体であっても良い。
【0052】上記したような、式2の化合物又は式3の
化合物のいずれかをコート液に添加することで、ガラス
コーティング膜の有機性を増加できるが、式2及び式3
の化合物の両者をコート液に添加すれば、ガラスコーテ
ィング膜の有機性を更に向上させ、結果的にガラスコー
ティング絶縁紙の撥水性等を更に向上できる。またこれ
と同時に、前記したようにガラスコーティング膜をより
いっそう柔軟なものとするうえでも、効果的である。
【0053】式2の化合物及び/又は式3の化合物は、
コート液の主成分である、前記式1で示される化合物に
対し、一般的には総量が50%を超えない範囲にてコー
ト液に添加することが好ましい。両者の合計添加量がこ
の範囲を越えると、コート液を紙素材に塗布した時に、
主成分である式1の化合物との間でうまく結合せず、ガ
ラスコーティング膜の強度が不十分となる可能性がある
からである。したがって、実際に式2の化合物及び/又
は式3の化合物を添加する場合には、添加量に依存して
ガラスコーティング膜の強度が低下することを想定し、
本願明細書の実施例を参照しつつ、予備的な製造試験を
行う等し、目的を達成し得る添加量の範囲を明らかにし
たうえで、添加を最小限に抑えるようにすることが好ま
しい。
【0054】なお、式2の化合物及び式3の化合物にお
ける加水分解不可能な置換基(R、R10、R12
は、アルキル基等の有機性置換であるため、これらの役
割は、ガラスコーティング膜に撥水性を付与すること
と、同時に、柔軟性を与えることにある。しかしなが
ら、一般に有機性置換基は、炭素数が増える程、有機性
すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくな
ると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度
低下の原因となる。したがって、有機性置換基の炭素数
や式2及び/又は式3の化合物(縮合体)を構成する各
単量体の種類・量は、本願明細書の実施例などを参照し
つつ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好
ましい。
【0055】耐熱性・耐摩耗性の強いシロキサン結合
は、一方でいわゆる「硬い」結合でもある。この「硬
さ」のため、紙素材に塗布すると、該素材に耐摩耗性を
付与できるわけである。しかし、紙素材は柔軟性を有す
ることが特徴であり、また、絶縁用素材には、時として
紙等と同様な柔軟性が求められる。
【0056】特開2000−164056号公報に記載
されている、従来のコーティング膜形成用の化合物は、
テトラアルコキシシラン(Si(OR))やそのオリ
ゴマー体である。この化合物を完全に加水分解反応(前
記反応式1における(1)から(3))させてガラスコ
ーティング膜を形成させると、ケイ素原子の4個の結合
全てが硬いシロキサン結合のネットワークを形成し、セ
ラミックと同様に硬いが、しかし、柔軟性に欠けた脆い
膜となってしまうため、紙等の柔軟性を生かしたガラス
コーティング絶縁紙とすることは事実上不可能であっ
た。
【0057】しかしながら本願発明は、ケイ素原子の4
個の置換基のうち、1個が加水分解されない、式1の化
合物をコート液の主成分に用いることで、この課題を解
決したものである。また本願発明は、加水分解されない
置換基をそれぞれ1個又は2個有する式2の化合物と式
3の化合物をコート液に添加することにより、更に柔軟
性等を増すことを可能とするものである。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を実施例に基づい
て更に詳細に説明するが、実施例はあくまで一例であっ
て、本願発明を限定するものではない。 実施例1 アルコキシシラン縮合体の製造 以下のようにして、メチルトリメトキシシラン縮合体
(MTM)、エチルトリメトキシシラン縮合体(ET
M)及びメチルトリエトキシシラン縮合体(MTE)を
合成した。
【0059】(1)MTMの合成 500ml三つ口フラスコに、メチルトリメトキシシラン
181g、メタノール50g及び純水18gを加え十分
に撹拌した。さらに61%硝酸2gを加え撹拌しながら
3時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反応
容器内を減圧にしメタノールを除去した。このようにし
て得られたMTMは、ガスクロマトグラフィー分析によ
り3から4量体が中心であった。
【0060】(2)ETMの合成 500ml三つ口フラスコに、エチルトリメトキシシラン
200g、メタノール50g及び純水18gを加え十分
に撹拌した。さらに61%硝酸2gを加え撹拌しながら
7時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反応
容器内を減圧にしメタノールを除去した。このようにし
て得られたETMは、ガスクロマトグラフィー分析によ
り3から4量体が中心であった。
【0061】(3)MTEの合成 500ml三つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン
273g、エタノール50g及び純水18gを加え十分
に撹拌した。さらに61%硝酸2gを加え撹拌しながら
12時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反
応容器内を減圧にしメタノールを除去した。このように
して得られたMTEは、ガスクロマトグラフィー分析に
より3から4量体が中心であった。
【0062】実施例2 コート液の調製とガラスコーテ
ィング絶縁紙の製造 (1)コート液の調製 実施例1で合成したアルコキシシラン縮合体を用い、こ
れらを主成分として含む、表1に示したコート液17種
類(以下、表1で付した番号を引用し、コート液1から
17等という)を調製した。また比較のため、表2に示
したように、メチルトリメトキシシラン単量体を主成分
として含むコート液4種類(以下、表2で付した番号を
用い、比較コート液1から4等という)、テトラメトキ
シシランの縮合体(平均縮合度3から4)(略号MSー
51)(以下、表2で付した番号を用い、比較コート液
5から8等という)、そして、テトラエトキシシラン
(平均縮合度4から5)(略号ESー40)(以下、表
2で付した番号を用い、比較コート液9から12等とい
う)を調製した。なお、比較コート液5から10は、特
開2000−164056号公報にて使用されているコ
ート液である。
【0063】(2)ガラスコーティング絶縁紙の製造 前記のようにして調製したコート液を使用して、本願発
明のガラスコーティング絶縁紙を製造した。本願発明の
ガラスコーティング絶縁紙の一実施形態について、図面
を参照して詳細に説明する。図1は、ガラスコーティン
グ絶縁紙1の構成を示すための図であり、同(a)は構
成の概略を示した図、そして(b)は、その断面の構成
概略を示した図である。図中、2は紙素材、3は紙素材
2の表面に、コート液を含浸又は塗布することによって
形成された、ガラスコーティング膜である。
【0064】紙素材2は、原料や寸法・形状に特別の制
限はないが、例えばパルプ等を抄造したものである。本
実施例においては、厚みが0.1mmないし0.2mm
程度で、横2560mm、縦5600mmの長方形状の
紙素材2を使用して、その表及び裏面にガラスコーティ
ング膜3を形成し、以下の評価実験に使用した。
【0065】具体的には、まず、厚さ約0.18mmの、
100%パルプからなるプレスボード(三木特種製紙社
製)を、前記寸法・形状にカットして、紙素材とした。
次に、該紙素材の両面に、前記のようにして調製した各
種コート液を塗布した後、乾燥することにより、厚さ5
μm程度のガラスコーティング膜3を形成させ、これに
より、ガラスコーティング絶縁紙を得て、必要に応じて
更に所定の寸法・形状にカットする等して、「試験片」
とした。なお、特性測定を行うにあたっては、ガラスコ
ーティング膜を形成していない、前記紙素材そのものを
「ブランク」試験片とした。
【0066】そして、本願出願人は、平成12年7月1
4日に本願出願人会社の実験室(室温27℃、湿度75
%)において、以下のように、各種評価実験を行った。
【0067】実施例3 ガラスコーティング絶縁紙の評
価 製造したガラスコーティング絶縁紙について、後述する
ような、「厚み」、「密度」、「引張強度」、「伸
び」、「絶縁破壊強度」、「表面抵抗率」、「体積固有
抵抗」、「1時間吸水率」、そして、「撥水度」に関す
る評価実験を行った。
【0068】表1に、本願発明のガラスコーティング絶
縁紙を調製するために使用したコート液1から17の組
成と、それによって調製(製造)された本願発明の各ガ
ラスコーティング絶縁紙の評価結果を、これらを総合的
に勘案し、二重丸、丸、三角そしてバツにて示した表で
ある。二重丸は非常に優れていたことを、丸は優れてい
たことを、三角はやや劣っていたことを、そしてバツは
非常に劣っていたことをそれぞれ示すものである。表2
は、比較のためのガラスコーティング絶縁紙を調製する
ために使用した比較コート液1から12の組成と、それ
によって調製(製造)された比較のための各ガラスコー
ティング絶縁紙の評価結果を、これらを総合的に勘案
し、二重丸、丸、三角そしてバツにて示した表である。
二重丸は非常に優れていたことを、丸は優れていたこと
を、三角はやや劣っていたことを、そしてバツは非常に
劣っていたことをそれぞれ示すものである。そして表3
は、コート液2、コート液5又はコート液10を用いて
製造した、本願発明のガラスコーティング絶縁紙、比較
コート液(特開2000−164056号)を用いて製
造した、比較のためのガラスコーティング絶縁紙、そし
て、前記した「ブランク」試験片についての、各種評価
の具体的結果を示した表である。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】(1)厚み 「厚み」は、各試験片の厚みの実測値であり、以下の、
「密度」、「引張強度」、「絶縁破壊強度」、「体積固
有抵抗」を求めるために必要な値である。試験片の厚み
の測定は、JIS−C2315(JIS−C2111)
に準拠して行った。しわのないガラスコーティング絶縁
紙を、長さ200mm、幅250mmにカットして試験
片とし、この試験片の厚みを、ほぼ均等間隔で5点づつ
測定した。そしてこの測定値の中央値、又は平均値を、
「厚み」とした。計測には、心棒の径が約6.35mm
で、測定長が25mm以下、或いはこれと同程度の精度
を有する、圧力が155±15kPaの外側マイクロメ
ータを用いた。試験片を毎秒約0.05mmの速さで移
動させ、試験片の測定面に、該マイクロメータの測定面
を平行に、かつ、軽く接触させた後、ラチェエットが3
回音を立てたときの目盛を測定値とした。
【0073】(2)密度 「密度」は、各試験片において、以下の「体積固有抵
抗」値に影響する。コート液を紙素材に含浸又は塗布す
ると、コート液が紙素材に浸透するが、各試験片に対し
てコート液を含浸又は塗布する厚さ(量)により、各試
験片の質量と体積が変化することから、各試験片の質量
と体積を測定し、算出したものを単位「g/cm」で
表した。試験片の密度の測定は、JIS−C2315
(JIS−C2111)に準拠して行った。大きさが約
200mm×250mmの試験片3枚を用意し、標準状
態(温度23±2℃、相対湿度50±5%)でのそれぞ
れの体積と、0.5%の精度で計測した質量から、密度
を算出し、それらの中央値又は平均値を密度とした。
【0074】(3)引張強度・伸び 「引張強度」及び「伸び」は、実施例2のようにして製
造した各ガラスコーティング絶縁紙から、それぞれ縦2
50mm×横15mmの大きさのものと、縦15mm×
横250mmの大きさのもの2種類を、それぞれ5枚用
意して行った。つまり、この2種類の試験片は、長尺辺
を一致させた場合には、紙素材における繊維方向が異な
る(直行する)以外は、同一の寸法・形状である。引張
試験機(JIS−P8113による)で、つかみの間隔
が180±10mmとなるようにこの試験片の長尺方向
両端をつかみ、引張試験機の最大の力を300N(3
0.6kgf)、引張速さを200mm/min又は2
0±5secとして切断することによって、引張強度及
び伸びを求めた。なお、引張強度(MPa)は、式4に
より求められ、各試験片が切断されたときの力(N)
を、各試験片の断面積(mm)で割った値で、単位
(kgf/mm)で表される。
【0075】 T=F/S 式4 ここで、T:引張強度(MPa) F:切断時の力(N) S:試験片の断面積(mm
【0076】また、伸びは、式5により求められ、各試
験片のつかみ間隔(mm)と、各試験片が切断されたと
きの距離(mm)に基づいて算出される値で、単位
(%)表される。
【0077】 E={(D−D)/D}×100 式5 ここで、E:伸び(%) D:つかみ間隔(mm) D:切断時の間隔(mm)
【0078】(4)絶縁破壊強度 絶縁破壊強度は、絶縁紙としての電気的な特性を示すも
のであり、各試験片の片面と他の片面間に所定の電圧を
印加した場合に、試験片が導電したときの電圧を測定
し、これを各試験片の厚みで除算したものであり、単位
「kv/mm」で表される。絶縁破壊強度の測定にあた
っては、まず、周辺に2.5mmの丸みをもった、径2
5mmの、底面が平滑で、キズがないステンレス鋼製、
又は黄銅製の上部及び下部電極の間に、各試験片を接触
配置し、これを上部電極と下部電極で、約5N(0.5
kgf)の力で挟んだ。この状態で、波高率1.34か
ら1.48の商用周波数の電圧を、前記上部電極と下部
電極間に印加した。このときの電圧の印加方法は、電圧
を0から、平均10から20秒で絶縁破壊が起きるま
で、一定の速度で上昇させ、試験片が絶縁破壊したとき
の電圧を測定した。以上のような測定を、各試験片の1
0ヶ所について行ない、式6により絶縁破壊強度(kV
/mm)を算出し、中央値及び最小値、又は、平均値及
び最小値を求めた。なお絶縁破壊強度は、上記のような
測定を、試験片の「常温」及び「加熱後」のそれぞれの
状態について、行った。「常温」とは、試験片を標準状
態(温度23±2℃、相対湿度50±5%)の室内で、
十分空気に触れるように置いた状態を意味し、「加熱
後」とは、試験片を温度105±3℃の状態に24時間
おいて加熱した後、0%の湿度雰囲気下で冷却した状態
を意味するものである。
【0079】 S=V/t 式6 ここで、S:絶縁破壊の強さ(kV/mm) V:絶縁破壊電圧(kV) t:試料の厚さ(mm)
【0080】(5)表面抵抗率及び体積固有抵抗 「表面抵抗率」、「体積固有抵抗」は、それぞれJIS
−K6911に準拠して測定した。そのうち「表面抵抗
率」は、試験片の片面に所定の距離だけ離間配置した2
つの電極間に電圧を印加し、印加した電圧を、該試験片
の片面を流れる電圧で除算して得た値で、単位「MΩ」
で表わされるものである。一方、「体積固有抵抗」は、
各試験片の片面(上面)と他の片面(底面)に配置した
2つの電極間に電圧を印加し、印加した電圧を、該試験
片の単位体積に通電する電流で除算した値で、単位「M
Ω/cm」で表わされるものである。なお、参考のた
め、図2に、「表面抵抗率」、「体積固有抵抗」を測定
する電極の配置及び接続方法を示す。図2(a)は、
「表面抵抗率」及び「体積固有抵抗」を測定するための
電極を示した構成図であり、図2(b)は、「表面抵抗
率」を測定するための電極の接続方法を示した図であ
り、そして、図2(c)は、「体積固有抵抗」を測定す
るための電極の接続方法を示した図である。
【0081】表面抵抗率及び体積固有抵抗の測定を、図
2を参照しつつ、具体的に説明する。まず、試験片を、
直径100mmの円板にカットし、この試験片の片面
(上面)には、中央部に直径50mm±0.5mmの内
円電極4を配置した。次に、この内円電極4に対して、
環状に、環状電極5を配置した。両電極の配置は、導電
性ゴムの圧着又は透湿性の導電性ペイントで描いて行
い、片面(上面)の内円電極4の外径と、環状電極5の
内径は、ノギスで0.02mmまで測定した。この一方
で、試験片の他の片面(底面)には、中央部に直径83
mm×2mmの円形の裏面電極6を、導電性ゴムの圧着
又は透湿性の導電性ペイントで描いて配置した。上記の
ように電極を配置した後、試験片の表面抵抗率の測定に
あたっては、内円電極4には正極を、環状電極5には負
極を接続(図2(b)参照)して、そして試験片の体積
固有抵抗の測定にあたっては、内円電極4及び環状電極
5には正極を、裏面電極6には負極を接続(図2(c)
参照)し、電極、電源、万能分流器、スイッチ等を有す
る絶縁抵抗測定装置を用いて、直流電源500Vを印加
し、絶縁抵抗を測定した。そして、式7に基づき、表面
抵抗率及び体積固有抵抗を算出した。なお、表面抵抗率
は、上記のような測定を、試験片の「常温」及び「吸湿
後」のそれぞれの状態について行った。ここで、「常
温」とは、試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±
5%の室内で、十分空気に触れるように置いた状態を意
味し、「吸湿後」とは、温度40℃、相対湿度90の雰
囲気下に、24時間放置した後の状態を意味するもので
ある。
【0082】 ργ=(πd/4t)Rγ 式7 ρ=(π(D+d)/(D−d))R ここで、ργ:体積抵抗率(MΩcm) ρ:表面抵抗率(MΩ) d:表面電極の内円の外径(cm) t:試験片の厚さ(cm) Rγ:体積抵抗(MΩ) D:表面の環状電極の内径(cm) R:表面抵抗(MΩ)
【0083】(6)1時間吸水率及び撥水度 「1時間吸水率」は、「電気用品取締法(昭和36年1
1月6日法律第234号、電気用品取締法施行規則別表
第八(指定試験機関指定区分、試験施設並びに試験員の
条件並びにかず))」に基づいて定められるものであ
り、所定量の水が注入された水槽に、1時間漬けた場合
に、試験片が吸水した水分量を測定して、その比率を単
位(%)で表したものである。具体的には、まず、5c
m×5cmにカットした試験片を、105℃で1時間加
熱した後、0%湿度雰囲気下で冷却し、重量を測定した
後、試験片を、23℃の水に1時間浸漬し、試験片の表
面に付着した水を拭き取って重量を測定した。また、
「撥水度」は、「紙およびいた紙のはっ水度試験方法
(JIS−P8137)」に基づいて測定した。まず、
折り目、しわ、すきむらなどのない長さ300mm以
上、幅200mmの試験片1をJIS−P8110(試
験用紙採取方法)によって採取し、これをJIS−P8
111(試験用紙の前処理)に示す条件によって前処理
を施した。そして、図3に示したように、試験片1を、
平滑かつ平らに固定できる取り付け台7(350mm、
横200mm、斜度45度)に取り付け、温度20±1
℃の蒸留水を入れたビェレット8の先端を、試験片1か
ら垂直方向に10mm離し、水滴が前記試験片1の上を
流下できる長さが、約300mmになるように調整し、
前記ビェレット38ら水滴を一滴滴下し、流下の後を観
察した。この結果、水滴はいずれも完全に転がり落ち、
JISーP8137に基づく撥水度はR10と判定され
た。
【0084】(7)評価結果 以上の測定を行った結果、表1、表2及び表3から明ら
かなように、本願発明のガラスコーティング絶縁紙(式
1に示したシラン化合物を含む、表1のコート液1から
17によってガラスコーティング膜を形成した絶縁紙)
は、引張強度、伸び、絶縁破壊強度、表面抵抗率、体積
固有抵抗、1時間吸水率、撥水度等の特性が、全て、ブ
ランク及び比較コート液1から12によってガラスコー
ティング膜を形成した絶縁紙よりも優れていた。特に、
式1の化合物に加え、コート液に式2又は式3の化合物
を添加したものを利用して製造したガラスコーティング
絶縁紙は、式1の化合物のみを含むコート液によって製
造したものに比べ、前記種々の性質が更に改善された、
極めて良好なガラスコーティング絶縁紙であること分か
る(表1中の4、5、9、10、そして、14から1
6)。
【0085】なお、比較用のコート液を用いて製造し
た、比較のためのガラスコーティング絶縁紙は、コート
液の主剤が本願発明のガラスコーティング絶縁紙と異な
るため、式2又は式3の化合物を添加しても、引張強
度、伸び、絶縁破壊強度、表面抵抗率、体積固有抵抗、
1時間吸水率、撥水度等の特性は、本願発明のガラスコ
ーティング絶縁紙ほど改善されない(表2中の、8及び
12)。更に、式1の化合物の単量体を用いて製造した
ガラスコーティング絶縁紙では、本願発明のガラスコー
ティング絶縁紙によって達成される効果が得られないこ
とも分かる(表2中の1から4)。
【0086】このように、式1で示される化合物を含む
コート液を使用して製造される、本願発明のガラスコー
ティング絶縁紙が、絶縁紙として極めて優れた特質を示
すのは、コート液中に含まれる、式1のシラン化合物、
必要に応じてこれに添加される式2及び/又は式3の化
合物、そして触媒等が、紙上で加水分解・重縮合し、ポ
リマー化してガラスコーティング膜を形成する過程で、
紙の微細な部分へ入り込み、紙繊維と物理的に結合して
機械的な絡み合ったり、有機部分どうしの疎水結合を生
じたりして、機械的強度等が増したことによると推定さ
れる。また、紙の主成分であるセルロースの水酸基と、
式1のシラン化合物等が化学的に結合するため、これよ
っても、機械的強度が増すと考えられる。この様子を模
式的に示したのが、反応式3である。
【0087】
【反応式3】
【0088】このように、本願発明のガラスコーティン
グ絶縁紙は、ガラスコーティング膜の物理的及び化学的
な作用によって、紙素材に対して、「引張強度」、「伸
び」、「絶縁破壊強度」、「表面抵抗率」、「体積固有
抵抗」、「1時間吸水率」、「撥水度」等の、絶縁紙と
して重要な機能を与えるものである。
【0089】
【発明の効果】本願発明は、式1に示した、ケイ素原子
の4個の置換基のうち、1個が加水分解が不可能で、化
合物同士の重縮合に関与しない置換基Rであるものの
縮合体を用いて、ガラスコーティング膜を形成すること
によって、「厚み」、「密度」、「引張強度」、「伸
び」、「絶縁破壊強度」、「表面抵抗率」、「体積固有
抵抗」、「1時間吸水率」、そして、「撥水度」といっ
た、絶縁紙として要求される種々の特性を紙素材に付与
した、ガラスコーティング絶縁紙を提供するものであ
る。しかも、本願発明によれば、前記ガラスコーティン
グ膜は柔軟なものであるから、前記した種々の特性を付
与しつつ、紙素材が本来有している、柔軟性を維持した
ガラスコーティング絶縁紙を提供することが可能とな
る。
【0090】このため、本願発明のガラスコーティング
絶縁紙によれば、実施例の記載からも明らかなように、
身近に存在する和紙、洋紙、布等の紙素材の、柔軟性を
有するという性質と、更に前記のような種々の特性を併
せ持つ、これまでにないガラスコーティング絶縁紙を提
供できる。しかも、本願発明では、柔軟性や、「厚
み」、「密度」、「引張強度」、「伸び」、「絶縁破壊
強度」、「表面抵抗率」、「体積固有抵抗」、「1時間
吸水率」、そして、「撥水度」といった種々の特性を、
例えば、触媒として使用する有機金属触媒の選択や使用
量、式2及び/又は式3の化合物の選択と使用量、そし
て、コート液の紙素材への塗布量等を任意に選択・調整
することにより、実施者が比較的自由に調整可能である
という効果もある。
【0091】このような種々の特性が付与されたことに
より、本願発明のガラスコーティング絶縁紙は、その厚
さが0.1mmから0.2mm程度と、従来の絶縁板等
と比較すると非常に薄くしたとしても、電気的特性は高
く、絶縁性という面では、従来のものにひけをとらな
い。むしろ、本願発明のガラスコーティング絶縁紙は、
前記したように柔軟性を有しているため、所定形状に折
り曲げたりすることが容易であり、しかもその際には特
殊な工具等を使用する必要がない等、加工工作性の面に
おいては、より優れたものである。この結果、本願発明
のガラスコーティング絶縁紙は、例えばポリエステルコ
ンデンサー、マイカコンデンサーのように、薄型コンデ
ンサーの絶縁材として好適であるほか、自由な形状に加
工工作することが容易であるという特徴を生かして、曲
げたり、軸線に巻き付けて使用する事ができるため、例
えば、同軸ケーブルにおける絶縁紙等としても使用でき
る。図4には、本願発明のガラスコーティング絶縁紙を
用いて製造したペーパーコンデサの構成を、そして図5
には、本願発明のガラスコーティング絶縁紙を用いて製
造した単心OFケーブルの構成を、それぞれ示す。
【0092】上記した効果に加えて、本願発明のガラス
コーティング絶縁紙は、紙素材にコート液を塗布するこ
とにより製造することができるから、工場生産によって
大規模に製造する必要は必ずしもなく、通常の紙素材等
の、身近に存在し、簡単に入手できるものについて、少
量規模で製造することが可能である。この結果、形状・
寸法が特殊であったり、絶縁性のスペックが特殊である
ために、需要が少ない絶縁紙であっても、必要な時に、
必要な量だけ、供給する等ということが可能である。
【0093】また本願発明のガラスコーティング絶縁紙
は、シランカップリング剤を用いることなく、製造する
ことが可能であるから、ガラスコーティング膜の形成反
応が不均一になることがなく、したがって、ガラスコー
ティング膜の機械強度が大きいという特徴もある。更に
は、式1の化合物等は合成が容易で安価であることか
ら、本願発明のガラスコーティング絶縁紙は、非常に安
価に提供し得るという効果もある。
【0094】そして、特開2000−164056号公
報に記載されたガラスコーティング絶縁紙との比較で
は、本願発明のガラスコーティング絶縁紙は、これを製
造するのに使用するコート液中にホウ素イオンやハロゲ
ンイオンを含まないから、以下のような効果を達成でき
る。 (1)絶縁紙中の紙素材が中性化することがなく、長期
間に渡る使用や保存が可能である、(2)ガラスコーテ
ィング膜は硬いシロキサン結合のネットワークのみで形
成されたものではないから、一定の硬さとともに、柔軟
性を併せ持ち、機械強度がより向上しているばかりか、
前記の通り、加工工作性が格段に向上している、(3)
ガラスコーティング絶縁紙を製造した後の、使用済のコ
ート液の廃棄が、当該液が前記イオンを含まないが故
に、より容易である。
【0095】また、本願発明のガラスコーティング絶縁
紙を、例えば色つき紙や、文字をプリントした紙を紙素
材として製造した場合には、色やプリント文字が鮮明な
絶縁紙とすることができる。このため、本願発明のガラ
スコーティング絶縁紙を利用して、例えば色つきのコン
デンサ等とし、これを用いて電気回路を構成する等すれ
ば、大衆の購買意欲をかき立てるような製品を提供する
ことも可能となる。特に近年では、スケルトンタイプ等
と称されるコンピューター等が販売されているから、こ
れに上記のような色つきコンデンサ等を使用することが
考えられる。このように色を付けたり、或いは文字をプ
リントできる本願発明のガラスコーティング絶縁紙は、
前記したコンデンサの他にも、例えば、一般家庭におい
て、電源部に幼児が誤って触れるのを防止するための安
全器具として使用する上でも、有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の一実施の形態に係るガラス
コーティング絶縁紙の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態に係るガラスコ
ーティング絶縁紙の電気特性試験(表面抵抗率、体積固
有抵抗)を測定する場合の、電極の配置及び接続方法を
説明するための図である。
【図3】図3は、撥水性を測定(評価)するために使用
した試験装置を説明するための図である。
【図4】本願発明の一実施の形態に係るガラスコーティ
ング絶縁紙を用いたペーパーコンデサの構成図である。
【図5】本願発明の一実施の形態に係るガラスコーティ
ング絶縁紙を用いた単心OFケーブルの断面図である。
【符号の説明】
1・・ガラスコーティング絶縁紙 2・・紙素材 3・・ガラスコーティング膜 4・・内円電極 5・・環状電極 6・・裏面電極 7・・取り付け台 8・・ビュレット 9・・ペーパーコンデンサ 10・・絶縁材(ガラスコーティング絶縁紙) 11・・電極(金属箔) 12・・油通路 13・・撚線導体 14・・内部遮蔽材 15・・絶縁材(ガラスコーティング絶縁紙) 16・・外部遮蔽材 17・・金属シース 18・・防食材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芹澤 浩 静岡県富士市大渕3040−40 Fターム(参考) 4L055 AG32 AG86 AH49 AH50 AJ01 AJ03 BE08 FA11 FA19 GA02 5G333 AA02 AB07 AB14 BA06 CA01 CA02 CB02 CC04 DA06 DA22 FB01 FB11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙素材に、式1で示される化合物を主成分
    とするシラン系コート液を塗布し、触媒の作用で硬化・
    固化させて、表面にガラスコーティング膜を形成したこ
    とを特徴とする、ガラスコーティング絶縁紙。 【式1】 (式1において、R、R、R及びRは、それぞ
    れ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1から4
    のアルキル基である)
  2. 【請求項2】前記コート液の塗布に先立ち、前記紙素材
    をアルコールに浸漬し、乾燥し、更に紫外線を照射して
    表面にガラスコーティング膜を形成したことを特徴とす
    る、請求項1のガラスコーティング絶縁紙。
  3. 【請求項3】前記シラン系コート液を硬化・固化させる
    触媒として、加水分解可能な有機金属化合物を使用して
    表面にガラスコーティング膜を形成したことを特徴とす
    る、請求項1のガラスコーティング絶縁紙。
  4. 【請求項4】前記加水分解可能な有機金属化合物とし
    て、チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成る群から
    選ばれる一種以上の有機金属化合物を使用して表面にガ
    ラスコーティング膜を形成したことを特徴とする、請求
    項3のガラスコーティング絶縁紙。
  5. 【請求項5】前記シラン系コート液として、前記主成分
    に加え、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解
    不可能な置換基を有する、式2で示される化合物を含む
    コート液を使用して表面にガラスコーティング膜を形成
    したことを特徴とする、請求項1のガラスコーティング
    絶縁紙。 【式2】 (式2において、R、R及びRは、それぞれ同一
    又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケ
    ニル基からなるモノマーであり、RO、R0及びR
    OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマ
    ーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシ
    ジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル
    基である)
  6. 【請求項6】前記シラン系コート液として、前記主成分
    に加え、2個の加水分解可能な置換基と2個の加水分解
    不可能な置換基を有する、式3で示される化合物を含む
    コート液を使用して表面にガラスコーティング膜を形成
    したことを特徴とする、請求項1のガラスコーティング
    絶縁紙。 【式3】 (式3において、R及びR11は、それぞれ同一又は
    異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル
    基からなるモノマーであり、RO及びR11OとSi
    との結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、
    10及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリ
    シジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル
    基又はフェニル基である)
  7. 【請求項7】前記シシラン系コート液として、前記主成
    分に加え、前記式2で示される化合物及び前記式3で示
    される化合物を含むコート液を使用して表面にガラスコ
    ーティング膜を形成したことを特徴とする、請求項1の
    ガラスコーティング絶縁紙。 【式2】 【式3】 (式2において、R、R及びRは、それぞれ同一
    又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケ
    ニル基からなるモノマーであり、RO、R0及びR
    OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマ
    ーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシ
    ジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル
    基であり、式3において、R及びR11は、それぞれ
    同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はア
    ルケニル基からなるモノマーであり、RO及びR11
    OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマー
    であり、R10及びR12は、その分子内にエポキシ基
    又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、ア
    ルケニル基又はフェニル基である)
  8. 【請求項8】前記シラン系コート液は、前記紙素材に対
    し、噴霧、刷毛、ロール又は含浸により塗布され、触媒
    の作用で硬化・固化して表面にガラスコーティング膜を
    形成したことを特徴とする、請求項1のガラスコーティ
    ング絶縁紙。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009209457A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Daio Paper Corp クラフト紙
JP2010520362A (ja) * 2007-03-05 2010-06-10 モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド フレキシブルな熱硬化型シリコーンハードコート

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