JP2002068755A - 光学素子製造方法 - Google Patents

光学素子製造方法

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JP2002068755A JP2000265163A JP2000265163A JP2002068755A JP 2002068755 A JP2002068755 A JP 2002068755A JP 2000265163 A JP2000265163 A JP 2000265163A JP 2000265163 A JP2000265163 A JP 2000265163A JP 2002068755 A JP2002068755 A JP 2002068755A
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正明 横山
Yoshiaki Sakurai
芳昭 櫻井
Tomoo Nagayama
智男 長山
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    • C03B19/12Other methods of shaping glass by liquid-phase reaction processes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロレンズなどの所望形状の光学素子を
ゾル−ゲル法により容易に作製する。 【解決手段】ポリシランから成る有機ケイ素樹脂被膜2
をガラス基板3上に形成し、その被膜2に対し、製造し
ようとするマイクロレンズのレンズ領域に開口をもつパ
ターンを形成したマスクを通して紫外光を照射する。そ
の後、ガラス基板3をゲル状シリカ1に浸漬すると、被
膜2の照射領域4にゲル状シリカ1が選択的に半球面上
に盛り上がって付着する。その後、ゲル状シリカ1を加
熱して固化させ、ゲルが付着していない部分の有機ケイ
素樹脂被膜2を有機溶媒で除去した後、300〜500
℃でさらに加熱してゲルから吸着水、水和物、結合水を
離脱させて透明レンズとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、液晶プロ
ジェクタ、通信機器、固体撮像素子その他の装置に用い
られる光学素子、特に微小光学系のレンズを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、CCD(Charge Coupled Devic
e)等を用いた固体撮像素子においては、半導体主面に
光電変換部および信号読出し部を備えているために、実
際に光電変換に寄与する領域は、20〜50%程度に制
眼されている。また例えば、液晶プロジェクタにおいて
は、各液晶の開口部周辺には配線部などの遮光体が配置
されているので、見かけの透過率が低下する問題があ
る。
【0003】このような問題を解決するための手段とし
て、集光のためのマイクロレンズを面素毎や液晶毎に設
け、入射光を光電変換部や液晶に集光する方法が種々提
案されている。マイクロレンズとしては、レンズ部分が
凸形状もしくは凹形状を有しレンズ内部の屈折率が均一
であるタイプのほか、レンズの部分の屈折率が変化して
いるタイプも知られている。
【0004】従来、形状によりレンズ作用をもたせたマ
イクロレンズの製造方法としては、ゾル−ゲル法が知ら
れている。その1つの方法として、ゾル液滴の表面張力
により凸レンズ形状に保ってゲル化させ、さらに熱処理
によりガラス化させてレンズを製造する方法が提案され
ている(持開平2−164731号公報参照)。また、
基板上のレンズを形成する領域に開口をもつマスクパタ
ーンを作製し、そのマスクパターンの開口部にゲル状材
料を盛り上がらせ、固化させた後、前記マスクパターン
を除去してレンズを製造する方法も提案されている(持
開平4−186301号公報参照)。
【0005】一方、屈折率分布を有するマイクロレンズ
を製造する方法としては、イオン交換法を利用した方法
が知られている。その方法では、ガラス基板上にマイク
ロレンズパターン形状の開口をもつマスクを設け、その
ガラス基板を溶融塩中に入れることにより、マスクに被
覆されずに露出しているガラス基板の表面から基板内部
へ金属イオンを拡散させて金属イオンの濃度分布を付与
した後、酸処理による溶解あるいは研磨等によりマスク
を除去してマイクロレンズをガラス基板内に形成する。
【0006】また、レンズパターンを有する母型に液状
ゾルを接触させながらゲル化させ、得られたウエットゲ
ルを乾燥させてドライゲルとした後に、レンズ部分又は
他の部分をマスキングした状態でドーパント溶液と接触
させ、そのマスキングの開口部からガラス体にドーパン
トを拡散させることによりガラス体の一部の屈折率を変
える方法も提案されている(持開平2−88433号公
報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】屈折率に分布を有する
マイクロレンズをイオン交換法により製造する揚合に
は、高温の熱処理や溶融炉等の高価な設備が必要とな
る。また、長時間の高温処理が必要となるために、作製
条件の制御によっても高コストとなる。また、イオン交
換法によれば、交換可能なイオンが一価イオンに限られ
るため。得られるレンズの持性も限定されてしまうとい
う欠点があった。
【0008】これに対し、持開平4−186301号公
報に開示されているゾル−ゲル法によれば、これらイオ
ン交換法における問題点を解決することができる。ゾル
−ゲル法においては、ゾルの表面張力により凸レンズ形
状を形成する。そのため、凸レンズの形状はゾルの表面
張力と、ゾルを設ける領域を画定するパターンの材料の
性質に大きく依存する。しかし、持開平4−18630
1号公報に開示されているゾル−ゲル法では、マスクパ
ターンをノボラック樹脂のホトレジストを使用して形成
している。ノボラック樹脂は接触角が低く、そのため撥
水性に乏しいため、開口部分にのみ液状ゾルを付与する
ことはきわめて困難である。
【0009】本発明は、かかる従来の問題点、すなわち
形状によりレンズ作用を有するマイクロレンズなどの光
学素子をゲルにより作製する際の作製の簡便化等に伴う
種々の問題点に鑑みてなされたもので、高精度で品質の
安定した所望形状の光学素子を容易に作製する方法を提
供することを日的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の工程
(A)から(D)を含んでガラス基板上に凸レンズを形
成する光学素子製造方法である。 (A)ガラス基板上に有機ケイ素樹脂を主成分とする被
膜を形成する工程、(B)前記被膜のうち、凸レンズを
形成する領域に選択的に放射線を照射する露光工程、
(C)凸レンズを形成するガラス成分組成に調製された
液状ゲルを前記被膜に接触させることにより、その被膜
のうち前記露光工程で放射線照射された領域にその液状
ゲルを選択的に付着させる工程、(D)その後、付着し
た液状ゲルを乾燥させてドライゲルとした後、熱処理に
よりガラス化させる工程。
【0011】有機ケイ素樹脂はSi−Si主鎖を有し、
半導体性を示す有機高分子であり、ポリシランはその代
表である。有機ケイ素樹脂は、露光、例えば、電子線
(EB)X線、又は紫外線の照射によって分解または架
橋反応を起こし、溶媒に対する溶解性および濡れ性が変
化する。有機ケイ素樹脂は、露光された部分のみに水酸
基を生じ、液状ゲル中の分子の官能基と相互作用を形成
して、ゲルの固定化を促進する。そのため、ガラス基板
上の有機ケイ素樹脂を主成分とする被膜の凸レンズを形
成する領域に露光によりパターンを形成し、この露光さ
れたパターンに液状ゲルを付着させると、その液状ゲル
は表面張力により半球面状に盛り上がる。そのように盛
り上がった液状ゲルを固化させてレンズを形成するた
め、レンズの製造工程において高温処理や、イオン注入
装置、拡散炉、溶融炉等を必要とせず、簡単なプロセス
でコストがかからず容易に作製が可能となる。
【0012】また、パターン形成用樹脂として有機ケイ
素樹脂を使用しているため、従来用いられているパター
ン形成材料に比へ、撥水性に優れ、所望部分のみに精度
よく、一度に均一の液状ゲルを導入することができる。
そのため、レンズアレイを短時間で作製することが可能
となり、生産性を上げることかできる。以上に示した本
発明の製造方法を用いることにより、レンズ形状および
品質の安定したマイクロレンズを提供することか可能と
なる。
【0013】
【発明の実施の形態】露光工程(B)においてマスクパ
ターンを用いれば、マスクパターンを忠実に再現した精
度のよいマイクロレンズをより容易に作製することが可
能となる。工程(C)と(D)の間に、液状ゲルを選択
的に付着させたガラス基板を、金属成分、無機酸もしく
は有機酸を含有する溶液、又は水に接触させて液状ゲル
がレンズになったときの屈折率を調整する工程をさらに
含んでいてもよい。有機ケイ素樹脂被膜に液状ゲルが選
択的に付着した部分は緻密な状態ではないので、金属成
分や酸を含有した溶液や水と接触させることにより、そ
の溶液の含有成分や水を付着ゲル部分に拡散させるのが
容易であり、屈折率を変化させるために長時間の高温処
理を必要としない。
【0014】有機ケイ素樹脂の代表はポリシランであ
り、例えば、側鎖にアルキル、アリール基を有するポ
リシラン(ポリメチルフェニルシラン等)、ジアルキル
系のポリシラン(ポリジメチルシラン等)、ジアリール
系のポリシラン(ポリジフェニルシラン等)、オリゴシ
ラン(上記化合物の低重合体)、主鎖にシリコン原子
と異なる原子を有する任意組成の上記ポリシランとの共
重合体(コポリマー)、ラダー骨格を有する上記ポリ
シラン、側鎖にハロゲン原子等の異種原子(トリフル
オロプロピル基等)を含む上記〜のポリシランを挙
げることができる。
【0015】液状ゲルとして好ましいものの1つは、1
種又は2種以上の金属アルコキシドを主原料として目的
ガラス成分組成に調製されたものであり、その金属アル
コキシドとして例えば化学組成式 M(OR1)m(R2)n
[ここで、MはSi,Al,Ge,Tiなどの金属元
素、R1,R2はCH3,C25,C37などのアルキル
基、C66などのアリール基(アルキル基、アリール基
にはC,H以外の異種原子を含んでも良い。たとえばア
ミノNH2基など。R1とR2同じでも異なっていても良
い)、(m+n)は各金属の酸化数]で表記される化合
物、化学組成式 M1(OR1)m(R2)nM2(OR3)x
(R4)y[ここで、M1,M2はSi,Al,Ge,Ti
などの金属元素(M1とM2は同じでも異なっていても良
い。R1,R2,R 3,R4はCH3、C25,C37など
のアルキル基、C66などのアリール基(アルキル基、
アリール基にはC,H以外の異種原子を含んでも良い。
たとえばアミノNH2基など。また、R1,R2,R3,R
4は同じでも異なっていても良い)、(m+n)は金属
原子M1の酸化数、(x+y)は金属原子M2の酸化数]
で表記される化合物、化学組成式 M1(OR1)m(R2)n
OM2(OR3)m(R4)n[ここで、M1,M2はSi,A
l,Ge,Tiなどの金属元素(M1とM2は同じでも異
なっていても良い。R1,R2,R3,R4はCH3,C2
5,C37などのアルキル基、C66などのアリール基
(アルキル基、アリール基にはC,H以外の異種原子を
含んでも良い。たとえばアミノNH2基など。また、
1,R2,R3,R 4は同じでも異なっていても良い)、
(m+n)は金属原子M1の酸化数、(x+y)は金属
原子M2の酸化数]で表記される化合物等を挙げること
ができる。さらに、一般に化学構造式M(acac)n(Mは
Be,Cu,Pd,Pt,Ni,Al,Ti,V,C
r,Mn,Fe,Co,Rh等、acac はアセチルアセ
トナト配位子、nは2〜4)などの組成式で表記される
アセチルアセトナト錯体、酢酸鉛等の金属酢酸塩なども
原料化合物として用いることができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例について図面に基づいて説明す
る。 〔実施例1〕図1は本発明によるマイクロレンズの製造
方法の一実施例を示す工程断面図である。 (a)液状ゲルとして、テトラエトキシシラン25g、
アセトニトリル38g、水24gを混合してゲル状シリ
カ1を調製した。アセトニトリルは、ゲル状シリカと透
明パターン材料である有機ケイ素樹脂としてのポリシラ
ンとの濡れ性を向上させるために用いている。このゲル
状シリカ1の粘度は0.5〜10cpsであった。
【0017】(b)ガラス基板3上に有機ケイ素樹脂被
膜としてポリメチルフェニルシランからなるポリシラン
被膜2を形成する。この被膜2は、ポリシランを溶媒で
あるトルエンに溶解した溶液をスピンコート法により塗
布し、60℃で乾燥させたものであり、乾燥後の膜厚は
約0.8μmであった。
【0018】(c)ポリシラン被膜2に、製造しようと
するマイクロレンズのレンズ領域に開口をもつパターン
を形成したマスクを通して紫外光を照射して露光する。
4は紫外線が照射された領域である。紫外線に代えて電
子線やX線を照射してもよい。
【0019】(d)露光後、図に示すように、この被膜
2を有するガラス基板3をゲル状シリカ1に浸漬し、被
膜2の照射領域4にゲル状シリカ1を選択的に付着させ
る。5は照射領域4にゲル状シリカ1が付着して形成さ
れた凸状部を表わしている。ゲル状シリカ1をポリシラ
ン被膜の照射領域4に付着させる方法として、図示の浸
漬法のほか、ロールコー夕ー塗布やスピンコーティング
法などの方法を用いることもできる。
【0020】ポリシラン被膜2は優れた撥水効果を有し
ているが、紫外光やX線、電子線などの放射線が照射さ
れた領域4は大きな濡れ性をもつようになる。領域4の
大きな濡れ性とその領域4以外の部分の被膜2の撥水性
との差のために、ゲル状シリカ1は照射領域4のみに選
択的に凝集して、符号5で示されるように半球面状に盛
り上がって付着するのである。
【0021】(e)次に、照射領域4に付着したゲル状
シリカ5を150℃で1時間ぐらいかけて加熱すること
により一次固化させる。このとき、ゲルは脱水するの
で、半球面状のものが収縮してその曲率が小さくなる
が、レンズの曲率の大きなものが必要なときはさらにゲ
ル状シリカ1を付着させ、再びゲルを150℃で1時間
ぐらいかけて加熱することにより二次固化させる。この
ような操作を繰り返すことにより、所望の曲率のレンズ
を得ることができる。
【0022】(f)最後に、ゲルが付着していない部分
のポリシラン被膜2を有機溶媒で除去した後、300〜
500℃で1時間程度焼成(アニール)して固化させる
ことで、ゲルから吸着水、水和物、結合水を離脱させて
透明レンズ5aが得られる。ここで、ポリシラン被膜2
を有機溶媒で除去する過程を設けなくても、700〜8
00℃で1時間程度焼成することで、ゲルから吸着水、
水和物、結合水を離脱させるとともにポリシラン被膜2
も焼去させることができて、透明レンズ5aが得られ
る。ゲルが付着していた部分のポリシラン被膜はゲルと
一体となってレンズ5aを構成する。
【0023】図2はこの実施例により製造したマイクロ
レンズアレイを示す写真であり、(a)は上方からみた
状態の顕微鏡写真、(b)はコンピュータにより表示し
た斜視断面図である。平面上に凸レンズが規則的に配列
されて形成されている様子がわかる。
【0024】〔実施例2〕図3は本発明によるマイクロ
レンズの製造方法の他の実施例を示す工程断面図であ
る。 (a)液状ゲルとして、3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン25g、アセトニトリル38g、水24gを混
合してゲル状シリカ11を調製した。アセトニトリル
は、ゲル状シリカと透明パターン材料である有機ケイ素
樹脂としてのポリシランとの濡れ性を向上させるために
用いている。このゲル状シリカ11の粘度は0.5〜1
0cpsであった。
【0025】(b)ガラス基板3上に有機ケイ素樹脂被
膜としてメチルフェニルシランとメチル(3,3,3−ト
リフルオロプロピル)シランから成るポリシラン(共重
合体(コポリマー、組成比は約10:1))被膜12を
形成する。この被膜12は、ポリシランを溶媒であるト
ルエンに溶解した溶液をスピンコート法により塗布し、
60℃で乾燥させたものであり、乾燥後の膜厚は約0.
8μmであった。
【0026】(c)ポリシラン被膜12に、製造しよう
とするマイクロレンズのレンズ領域に開口をもつパター
ンを形成したマスクを通して紫外光を照射して露光す
る。14は紫外線が照射された領域である。紫外線に代
えて電子線やX線を照射してもよい。
【0027】(d)露光後、図に示すように、このポリ
シラン被膜12を有するガラス基板3をゲル状シリカ1
1に浸漬し、ポリシラン被膜12の照射領域14にゲル
状シリカ11を選択的に付着させる。15は照射領域1
4にゲル状シリカ11が付着して形成された凸状部を表
わしている。ゲル状シリカ11をポリシラン被膜の照射
領域4に付着させる方法として、図示の浸漬法のほか、
ロールコ一夕ー塗布やスピンコーティング法などの方法
を用いることもできる。
【0028】このポリシラン被膜12は実施例1のポリ
シラン被膜2に比べてさらに優れた撥水効果を有してい
る。また、紫外光やX線、電子線などの放射線が照射さ
れた領域14は大きな濡れ性をもつようになる。領域1
4の大きな濡れ性とその領域14以外の部分の被膜12
の撥水性との差のために、ゲル状シリカ11は照射領域
14のみに選択的に凝集して符号15で示されるように
半球面状に大きく盛り上がって付着するのである。
【0029】(e)次に、照射領域14に付着したゲル
状シリカ15を150℃で1時間ぐらいかけて加熱する
ことにより一次固化させる。このとき、ゲルは脱水する
ので、半球面状のものが収縮してその曲率が小さくなる
が、レンズの曲率の大きなものが必要なときはさらにゲ
ル状シリカ11を付着させ、再びゲルを150℃で1時
間ぐらいかけて加熱することにより二次固化させる。こ
のような操作を繰り返すことにより、所望の曲率のレン
ズを得ることができる。
【0030】(f)最後に、ゲルが付着していない部分
のポリシラン被膜12を有機溶媒で除去した後、300
〜500℃で1時間程度焼成して固化させることで、ゲ
ルから吸着水、水和物、結合水を離脱させて透明レンズ
15aが得られる。ここで、ポリシラン被膜12を有機
溶媒で除去する過程を設けなくても、700〜800℃
で1時間程度焼成することで、ゲルから吸着水、水和
物、結合水を離脱させるとともにポリシラン被膜12も
焼去させることができて、透明レンズ15aが得られ
る。ゲルが付着していた部分のポリシラン被膜はゲルと
一体となってレンズ15aを構成する。この実施例によ
り製造したマイクロレンズの外形及び断面は、実施例1
について示した図2のものと同じであった。
【0031】このようにこれらの実施例は、マイクロレ
ンズの製造工程において従来のような高温処理や各種炉
などが不要となり、簡易なプロセスで、低コストにマイ
クロレンズを得ることが可能となる。また、ゲル状シリ
カを用いることでマイクロレンズのサイズおよび曲率を
自由に操作することができ、任意の仕様を設定すること
かできる。
【0032】さらに、パターン形成材料としてポリシラ
ンを用いているために、他のパターン形成材料に比べて
撥水性に優れるとともに、紫外光などの照射領域のみに
ゲル状シリカに対して、大きな濡れ性が発現し、露光部
分と非露光部分との間での濡れ性の差は相当大きなもの
となる。その結果、持開平4−186301号公報に開
示されたノボラック樹脂等を利用した方法に比べて、所
望部分により選択的かつ効率的にゲルを導入できる。
【0033】また、下地のガラス基板の表面に対してA
rプラズマやオゾンによる処理を行わなくても、ポリシ
ランの露光部分のみに発生する水酸基との相互作用によ
り、シリカガラスとの付着力を増大させることができ、
非常に簡単な方法で、マイクロレンズアレイを作製する
ことが可能となる。本発明はマイクロレンズに限らず、
通常の大ささのレンズにも適用することができる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明の光学素子の製造
方法によれば、レンズ形状を精度よく制御し、品質の安
定した光学素子を提供することが可能となる。また、一
度に精度の高い光学素子が作製できるために、レンズア
レイ等も効率よくでき、生産性の面でも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によりマイクロレンズを製造する方法
を示す工程断面図である。
【図2】実施例1により製造したマイクロレンズを示す
図であり、(a)は上方からみた状態の写真、(b)は
斜視断面図である。
【図3】実施例2によりマイクロレンズを製造する方法
を示す工程断面図である。
【符号の説明】
1 テトラエトキシシランからなるゲル状シリカ 2 ポリメチルフェニルシランから成る有機ケイ素
樹脂の被膜 3 ガラス基板 4 有機ケイ素樹脂の被膜の紫外線照射領域 5,15 ゲルが選択的に付着した形成された凸状
部 5a,15a マイクロレンズ 11 3アミノプロピルトリエトキシシランから成
るゲル状シリカ 12 メチルフェニルシランとメチル(3,3,3−
トリフルオロプロピル)シランから成る有機ケイ素樹脂
(コポリマー)の被膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程(A)から(D)を含んでガ
    ラス基板上に凸レンズを形成する光学素子製造方法。 (A)ガラス基板上に有機ケイ素樹脂を主成分とする被
    膜を形成する工程、 (B)前記被膜のうち、凸レンズを形成する領域に選択
    的に放射線を照射する露光工程、 (C)凸レンズを形成するガラス成分組成に調製された
    液状ゲルを前記被膜に接触させることにより、その被膜
    のうち前記露光工程で放射線照射された領域にその液状
    ゲルを選択的に付着させる工程、 (D)その後、付着した液状ゲルを乾燥させてドライゲ
    ルとした後、熱処理によりガラス化させる工程。
  2. 【請求項2】 前記工程(C)と(D)の間に、液状ゲ
    ルを選択的に付着させたガラス基板を、金属成分、無機
    酸もしくは有機酸を含有する溶液、又は水に接触させて
    前記液状ゲルがレンズになったときの屈折率を調整する
    工程をさらに含んでいる請求項1に記載の光学素子製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記有機ケイ素樹脂はポリシランである
    請求項1又は2に記載の光学素子製造方法。
  4. 【請求項4】 前記露光工程で照射する放射線は電子
    線、X線及び紫外線のうちのいずれかである請求項1か
    ら3のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  5. 【請求項5】 液状ゲルは1種又は2種以上の金属アル
    コキシドを主原料として目的ガラス成分組成に調製され
    たものである請求項1から4のいずれかに記載の光学素
    子製造方法。
  6. 【請求項6】 製造される光学素子はマイクロレンズア
    レイである請求項1から5のいずれかに記載の光学素子
    製造方法。
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