JP2002067888A - 噴射方向可変ノズルと液体噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、例えば、自動車のフロントガラス
に洗浄液を拡散させて噴射する噴射装置に設けられる拡
散ノズルに関し、噴射角度を容易に変更できるようにす
ることが課題である。 【解決手段】 ノズルボディの噴射口における凹部に挿
着されるノズルであって、該ノズルの躯体における前記
凹部への挿着方向に沿った躯体軸芯に対して該ノズルの
内部流路による液体の噴射軸芯が所望角度で傾斜されて
いる噴射方向可変ノズル１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車の
フロントガラスに洗浄液を拡散させて噴射する噴射装置
に設けられる拡散ノズルとそれを装備した液体噴射装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、洗浄液等の液体を被噴射対象物で
ある、例えば自動車のフロントガラスに噴射する液体噴
射装置としては、図８に示すように、ノズルボディ２０
の噴射口における凹部２１が、断面形状を矩形状にして
所要深さにして形成されていて、該凹部２１に、矩形体
のノズル２２が圧入して構成されているのが知られてい
る。

【０００３】この液体噴射装置は、液体供給タンク等か
ら供給ポンプでノズルボディに液体が所要圧力で供給さ
れ、前記ノズル２２の噴口２２ａからフロントガラスに
噴射させるものである。また、ノズル２２には、その内
部の液体流路が直線状に形成されたもの若しくはフイー
ドバック流路を有したものに形成されたもの（特公昭５
９−９３７８号）等が知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記液
体噴射装置では、液体の噴射軸芯２３が構造上固定され
たものであり、これを自動車等のボディに取り付ける
と、噴射方向を変えることが出来ない。一方、メーカー
等においては、種々の車種によってノズルボディの取付
位置等が異なるので、微妙に液体噴射角度を変えたい場
合がある。このような場合に、ノズルボディの噴射口の
形状や、ノズルの噴射軸芯を変えるように金型を各種用
意するのは、製造コストが嵩み、異なる噴射角度毎に部
品を揃えると部品点数の増加により部品管理の労務が嵩
み、組み合わせの過誤が生じる恐れがある。本発明に係
る噴射方向可変ノズルと液体噴射装置は、このような課
題を解消するために提案されるものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る噴射方向可
変ノズルの上記課題を解決するための要旨は、ノズルボ
ディの噴射口における凹部に挿着されるノズルであっ
て、該ノズルの躯体における前記凹部への挿着方向に沿
った躯体軸芯に対して該ノズルの内部流路による液体の
噴射軸芯が所望角度で傾斜されていることである。

【０００６】前記内部流路は、ノズルの噴口から液体を
振動させて拡散させるフィードバック流路を有するこ
と、；更に、前記ノズルの躯体がその躯体軸芯に沿って
上下に二つ割りにして形成されること、：ノズルの躯体
が円筒状に形成され、当該ノズルの躯体軸芯の回りに任
意に回転させてノズルボディの凹部に挿着できることを
含むものである。

【０００７】本発明に係る液体噴射装置の要旨は、ノズ
ルボディに液体供給流路が設けられるとともに、該液体
供給流路に連通させて設けられた噴射口の凹部に、ノズ
ルの躯体における前記凹部への挿着方向に沿った躯体軸
芯に対して該ノズルの内部流路による液体の噴射軸芯が
所望角度で傾斜されている噴射方向可変ノズルが挿着さ
れていることである。

【０００８】本発明に係る噴射方向可変ノズルによれ
ば、ノズルボディの凹部に当該拡散ノズルを挿着するだ
けで、液体噴射装置の躯体軸芯に対して液体の噴射軸芯
を、上下方向若しくは左右方向若しくは斜め方向にある
角度で傾斜させて、液体を噴射させることができる。

【０００９】また、ユーザー又はメーカーの要望によ
り、車種等に対応させて噴射角度を変更したいときに
は、前記噴射方向可変ノズルを、例えば、上下反対にし
て若しくは左右反対にして、またはノズル躯体の軸芯回
りに所要回転角度変化させて、ノズルボディの凹部に挿
着することで、簡単に噴射角度を変更できる。

【００１０】また、この噴射方向可変ノズルを備えた液
体噴射装置は、予めノズルをノズルボディの凹部に挿着
する際にメーカー等の要望に応じた噴射角度になるよう
に挿着することが出来て、迅速な対応が可能な噴射装置
となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】次に、本発明に係る噴射方向可変
ノズル１と液体噴射装置５について図面を参照して説明
する。

【００１２】前記噴射方向可変ノズル１は、図１に示す
ように、例えば、全体が合成樹脂製であって所要厚さの
ほぼ直方体状の躯体１ａであり、その躯体１ａ内部に内
部流路１ｂを有して、当該躯体１ａの形状において噴射
方向ａ側の長さｂの方が、噴射方向ａに直交する側の長
さｃよりも若干長いものである。

【００１３】前記躯体１ａ内部の内部流路１ｂは、図１
及び図２に示すように、ノズルの噴口２から液体を自励
振動させて拡散させるフィードバック流路３，４を有す
るものである。

【００１４】更に、内部流路１ｂにおいて、図２に示す
ように、噴射方向ａにおける、躯体軸芯ｄに対して液体
の噴射軸芯ｅが、傾斜角度θにして傾斜されている。こ
の図２に示す第１実施例では、躯体１ａの躯体軸心ｄを
水平であるとすると、前記噴射軸芯ｅが上方向に傾斜し
ているものである。

【００１５】なお、傾斜角度θは、例えば、１°〜１０
°程度の範囲で設定するが、液体噴射装置５を取付ける
各車種に応じて適宜設定されるものであり特に限定する
ものではない。

【００１６】更に、躯体１ａは、金型によって形成され
るものであるが、その躯体内部に流路１ｂ，３，４等を
設けて、更に、前述のように、内部流路１ｂにおける噴
射軸芯ｅを角度θ分傾斜させなければならないので、金
型成型上の要請から、躯体軸芯ｄに沿って、上下に二つ
割りにして形成される。

【００１７】前記躯体１ａを上下に二つ割りにするに
は、金型製作上の容易性と製造コストの側面から考慮し
て、図３に示すように、Ａ−Ａ線を分割ラインとして紙
面垂直方向に分断して、内部流路１ｂの無い上側躯体１
ｃと、内部流路１ｂを有する下側躯体１ｄとに分けて形
成する。なお、図中に示す他の分割ラインで二つ割りに
すること妨げるものではない。

【００１８】前記二つ割りに形成した上側躯体１ｃと下
側躯体１ｄとの合体方法は、図４に示すように、両躯体
１ｃ，１ｄの合わせ面において、一例として、位置決め
嵌合突起１ｅと嵌合凹部１ｆとからなる合体手段Ｂを設
けて、この突起１ｅと凹部１ｆとを嵌合させて当該両躯
体を一体的に合体させるものである。

【００１９】なお、前記突起１ｅと凹部１ｆとは、図示
した関係に限らず、例えば、一方の躯体側の合わせ面に
突起１ｅと凹部１ｆとを設けるようにしても良い。ま
た、合体手段Ｂの設置箇所を３カ所以上にしても良い。
更に、両躯体１ｃ，１ｄを合体手段Ｂで合体させた後
に、熱溶着手段若しくは超音波溶着手段等で固着しても
良い。

【００２０】前記複数箇所に設けられる合体手段Ｂは、
突起１ｅの高さ及び凹部１ｆの深さの寸法を他の合体手
段Ｂと変えることにより、下側躯体１ｄに対する上側躯
体１ｃの位置合わせの誤りを防止することが出来る。ま
た、合体手段Ｂを奇数箇所にすることでも同様に位置合
わせの誤りを防止することが出来る。

【００２１】このようにして形成される噴射方向可変ノ
ズル１は、図５に示すように、ノズルボディ２０の凹部
２１に圧入して挿着される。この噴射方向可変ノズル１
は、従来例（図８参照）におけるノズル２２と形状及び
寸法が同じなので従来のノズルボディ２０にそのまま挿
着することができる。

【００２２】また、ノズルボディ２０の噴射軸芯２３
（便宜的に水平とする）と噴射方向可変ノズル１の躯体
軸芯ｄとが一致しており、噴射方向可変ノズル１の噴口
２から噴射される液体は、傾斜角度θ分だけ上向きの噴
射軸芯ｅに沿って、フロントガラス表面等に噴射され
る。

【００２３】更に、噴射方向可変ノズル１の内部流路１
ｂが、フィードバック流路３，４を有するので、自励振
動され拡散されるものである。この自励振動は、図１に
示すように、噴射方向可変ノズル１の供給口１ｇから進
入し、噴口２から噴出し、側壁１ｈに沿って付着噴流と
なりスロートを通って噴口２の側壁１ｉに向かい外部に
噴射される。そして、前記付着噴流の一部が側壁１ｈに
ある制御ポート１ｊに入り込んで、フィードバック流路
３から制御ノズル１ｋに送られ、制御流となる。

【００２４】この制御ノズル１ｋからの制御流によっ
て、主噴流は前記側壁１ｈを離れて反対側の側壁に付着
して付着流となる。この付着流の一部によるフィードバ
ック流路４からの制御流によって、主噴流が前記側壁１
ｈに切り換えられ、この繰り返しにより、洗浄液等の液
体が自励発振するものである。

【００２５】かかる図５に示すノズルボディ２０に対し
て、メーカー等から液体の噴射角度を下向きに変えたい
との要望があった場合には、図６に示すように、噴射方
向可変ノズル１を躯体軸芯ｄの回りに回転させ、図５に
おけるＡ面を上下反対にしてノズルボディ２０の凹部２
１に圧入して挿着する。

【００２６】これにより、噴口２から噴射される液体が
噴射軸芯ｅに沿って下向きに噴射される。このように、
噴射方向可変ノズル１を凹部２１に対してＡ面を上又は
下にして凹部２１に挿着することで、液体の噴射角度を
変えることが出来るものである。また、噴射方向可変ノ
ズル１を用意することで、ノズルボディ２０は何ら変更
する必要もなく、従来のものを使用できる。

【００２７】上記第１実施例では、液体の噴射角度を上
下方向において可変させた例を示したが、第２実施例と
して、噴射方向可変ノズル１の内部流路１ｂを左右方向
において角度θで傾斜させることができる。こうした実
施例においても、左右方向において液体噴射角度を変更
したい場合には、噴射方向可変ノズル１を凹部２１に圧
入する際に、該ノズル１のＡ面を上又は下にすることで
噴射角度が変更されるものである。

【００２８】更に、第３実施例として、前記第１実施例
と第２実施例とを同時に組み合わせて噴射方向可変ノズ
ルを形成するものである。これにより、当該ノズルの液
体の噴射軸芯ｅを、上下及び左右に各々角度θで傾斜さ
せることができるのは勿論である。

【００２９】本発明の第４実施例は、図７に示すよう
に、噴射方向可変ノズル１０の外形形状を円形にして二
つ割りを合体させた円筒体に形成して、当該ノズル１０
をその躯体軸芯１０ａの回りに所望角度で回転させ、液
体の噴射方向を変えるものである。液体の噴射軸芯ｅ
は、躯体軸芯１０ａに対して傾斜角度θで傾斜されてい
るので、該躯体軸芯１０ａを中心軸とした円錐状にな
る。

【００３０】この実施例においては、ノズルボディ２０
ａには、円形状の凹部２１ａが設けられており、該凹部
２１ａに前記円筒状の噴射方向可変ノズル１０が圧入し
て挿着される。当該ノズル１０の液体噴射角度を変える
方法として、例えば、前方の噴口１０ｂと後方の取付位
置決め用のスリット１０ｃ（上下方向に２カ所）との円
筒体周方向における位置関係を変えることで行うもので
ある。そして、前記スリット１０ｃに嵌合する位置決め
突起が前記凹部２１ａの奥側の周壁面の上下に突設され
ている（図示せず）。

【００３１】図７（イ）に示す状態で、前記噴口１０ｂ
の長手方向とスリット１０ｃ，１０ｃの上下方向とが略
９０°の直交状態とした場合で、当初、噴射軸芯ｅが傾
斜角度θで鉛直面内にて上向きであるとすると、その状
態から噴射方向可変ノズル１０を１８０°回転させて凹
部２１ａに圧入し挿着すると、噴射軸芯ｅが鉛直面内に
て下向きとなる。

【００３２】同様にして、位置決め突起を前記凹部２１
ａの奥側の周壁面の左右に突設して、前記噴射方向可変
ノズル１０を、時計方向又は反時計方向に９０°回転さ
せて凹部２１ａに圧入し挿着すると、噴口１０ｂの長手
方向が上下方向に向いて縦に噴射されると共に、噴射軸
芯ｅが躯体軸心１０ａに対して右方向又は左方向に振ら
れて噴射角度が変更されるものである。

【００３３】なお、この円筒体による噴射方向可変ノズ
ル１０の場合、位置決め用のスリット１０ｃとノズルボ
ディ２０ａ側の位置決め突起を設けずに、圧入作用のみ
で噴射方向可変ノズル１０を凹部２１ａに挿着すること
ができ、上下方向・左右方向のみならず任意の角度に液
体の噴射方向を設定することができるのは勿論である。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る噴射
方向可変ノズルは、ノズルボディの噴射口における凹部
に挿着されるノズルであって、該ノズルの躯体における
前記凹部への挿着方向に沿った躯体軸芯に対して該ノズ
ルの内部流路による液体の噴射軸芯が所望角度で傾斜さ
れているので、前記ノズルボディの凹部に挿着する際に
噴射方向可変ノズルだけを適宜に回転させて挿着させる
ことで、噴射方向を変えることが出来る。また、ノズル
ボディはそのまま使用することができ、噴射角度毎の専
用ノズルボディを必要とせず、需用者・メーカー等の要
求に迅速に対応出来ると共に、部品点数の増加を抑える
ことが出来る。

【００３５】前記内部流路は、ノズルの噴口から液体を
振動させて拡散させるフィードバック流路を有するの
で、自励発振する液体において更に噴射方向を変えるこ
とが出来る。

【００３６】前記ノズルの躯体が、その躯体軸芯に沿っ
て上下に二つ割りにして形成されるので、金型での製作
に当たって、金型設計が容易になり低コストで噴射方向
可変ノズルを製造できるという優れた効果を奏するもの
である。

【００３７】前記ノズルの躯体が円筒状に形成され、当
該ノズルの躯体軸芯の回りに任意に回転させてノズルボ
ディの凹部に挿着できるので、液体の噴射方向を自由に
変えることが出来る。

【００３８】本発明の液体噴射装置は、ノズルボディに
液体供給流路が設けられるとともに、該液体供給流路に
連通させて設けられた噴射口の凹部に、ノズルの躯体に
おける前記凹部への挿着方向に沿った躯体軸芯に対して
該ノズルの内部流路による液体の噴射軸芯が所望角度で
傾斜されている噴射方向可変ノズルが挿着されているの
で、ノズル挿着時に需用者・メーカー等の要求に対応し
た液体噴射角度にしてノズルをノズルボディに挿着する
だけで容易にニーズに対応した液体噴射装置になるとい
う優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る噴射方向可変ノズルの全体斜視図
である。

【図２】同本発明に係る噴射方向可変ノズルの断面図で
ある。

【図３】同本発明に係る噴射方向可変ノズルを断面にし
て、上下２分割する際の分割ラインを示す説明図であ
る。

【図４】同本発明に係る噴射方向可変ノズルの分解組立
図である。

【図５】同本発明に係る噴射方向可変ノズルにより、本
発明の液体噴射装置を組み立てを示す組立図である。

【図６】同本発明に係る噴射方向可変ノズルにより、液
体噴射方向を変えて本発明の液体噴射装置を組み立てる
様子を示す組立図である。

【図７】同本発明に係る噴射方向可変ノズルの第４実施
例に係る説明図（イ）、（ロ）である。

【図８】従来例に係る液体噴射装置の組立を示す説明図
である。

【符号の説明】

１ 噴射方向可変ノズル、１ａ 躯体、１ｂ 内部流
路、１ｃ 上側躯体、１ｄ 下側躯体、１ｅ 位置決め
嵌合突起、１ｆ 嵌合凹部、１ｇ 供給口、１ｈ，１ｉ
側壁、１ｊ 制御ポート、１ｋ 制御ノズル、２ 噴
口、３，４ フィードバック流路、５ 液体噴射装置、
１０ノズル、１０ａ 躯体軸芯、１０ｂ 噴口、１０ｃ
スリット、２０，２０ａ ノズルボディ、２１，２１
ａ 凹部、２２ ノズル、２３ 噴射軸芯。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ノズルボディの噴射口における凹部に挿着
   されるノズルであって、該ノズルの躯体における前記凹
   部への挿着方向に沿った躯体軸芯に対して該ノズルの内
   部流路による液体の噴射軸芯が所望角度で傾斜されてい
   ること、 を特徴とする噴射方向可変ノズル。
2. 【請求項２】内部流路は、ノズルの噴口から液体を振動
   させて拡散させるフィードバック流路を有すること、 を特徴とする請求項１に記載の噴射方向可変ノズル。
3. 【請求項３】ノズルの躯体が、その躯体軸芯に沿って上
   下に二つ割りにして形成されること、 を特徴とする請求項１または２に記載の噴射方向可変ノ
   ズル。
4. 【請求項４】ノズルの躯体が円筒状に形成され、当該ノ
   ズルの躯体軸芯の回りに任意に回転させてノズルボディ
   の凹部に挿着できること、 を特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の噴射方
   向可変ノズル。
5. 【請求項５】ノズルボディに液体供給流路が設けられる
   とともに、該液体供給流路に連通させて設けられた噴射
   口の凹部に、ノズルの躯体における前記凹部への挿着方
   向に沿った躯体軸芯に対して該ノズルの内部流路による
   液体の噴射軸芯が所望角度で傾斜されている噴射方向可
   変ノズルが挿着されていること、 を特徴とする液体噴射装置。