JP2002066308A - 化学物質の分解方法および分解装置 - Google Patents

化学物質の分解方法および分解装置

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JP2002066308A
JP2002066308A JP2000259312A JP2000259312A JP2002066308A JP 2002066308 A JP2002066308 A JP 2002066308A JP 2000259312 A JP2000259312 A JP 2000259312A JP 2000259312 A JP2000259312 A JP 2000259312A JP 2002066308 A JP2002066308 A JP 2002066308A
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chemical
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decomposing
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English (en)
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Shukuji Asakura
祝治 朝倉
Kazuo Unoki
和夫 鵜木
Yuichi Shoji
裕一 東海林
Kenichi Nagayama
賢一 永山
Ritsuo Yoshioka
律夫 吉岡
Kazuhiro Utsunomiya
一博 宇都宮
Reiko Fujita
玲子 藤田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毒性を有する化学物質、この化学物質を含む
か又はこの化学物質により汚染された廃棄物を、従来の
処理技術よりももっと穏やかな条件の下で、しかも処理
の過程で有害な化合物を一切環境中に排出することなし
に、無毒な物質にまで分解することのできる方法、及び
装置の提供すること。 【解決手段】 毒性を有する化学物質又はかかる化学物
質を含有する廃棄物を、溶融塩又はその蒸気の中で酸化
剤と接触させて化学物質を分解する化学物質分解工程
と、化学物質分解工程に用いた後の溶融塩から不純物を
分離除去する溶融塩浄化工程と、浄化後の溶融塩を、化
学物質を化学物質分解工程における溶融塩として再使用
する溶融塩再使用工程とを具備する化学物質の分解方法
及び装置。従来の処理技術よりももっと穏やかな条件
(400〜600℃)の下で、しかも処理の過程で有害
な化合物を一切環境中に排出することなしに、化学物質
を無毒な物質にまで効率的に分解することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学物質、特に、
例えばシアン化水素、ホスゲン(塩化カルボニル)、イ
ペリット(ビス(2−クロロエチル)スルフィド)、ト
リクロロアルシン(塩化ヒ素(III))、ルイサイト
(ジクロロ(2−クロロビニル)アルシン)、クロロジ
フェニルアルシン、シアノジフェニルアルシン、サリ
ン、タブン、ソマン及びVXガス等を始めとする種々の
毒性を有する化学物質又はこれらの化学物質を含む若し
くは前記化学物質で汚染された気体状、液体状、若しく
は固体状の廃棄物の分解方法及びその分解装置に関す
る。
【0002】上記の各化学物質は、従前にはそのままの
形態で、又はこれを砲弾類の中に充填した状態で生産さ
れて使用若しくは貯蔵されてきた。現在これらの化学物
質の製造や使用は国際条約により完全に禁止されている
が、過去に製造され未使用の化学物質はそのまま大量に
地中、水中、海中等に遺棄又は投棄されて現存してお
り、また、かなりの量が現在もなお専用貯蔵容器で貯蔵
されている。これらの化学物質の専用貯蔵容器の一部は
既にかなり腐食が進行し、その中から大気、土壌、河川
水、海水、地下水等の環境中に漏れ出している可能性が
ある。さらにその中の一部は、火薬の中に加えてある安
定化剤が劣化しているために、自然に爆発して撒き散ら
される恐れも出てきている。したがって、こうした化学
物質を分解して無害化することが求められる。
【0003】さらに、既述した国際条約では、新たな製
造の禁止だけではなく、過去に製造してそのまま放置さ
れている化学物質についても、10年以内に全面廃棄
(分解処理)を行うことが義務付けられている。この点
からも、これら化学物質を分解し無害化する技術の開発
は急務である。
【0004】
【従来の技術】従来から、これらの化学物質を分解する
方法として、以下のような方法が用いられ、又は提案さ
れてきている。
【0005】第一の方法は、化学物質を十分な酸素雰囲
気の下に1000℃程度の高温で燃やして二酸化炭素、
水及び(分子中にハロゲン原子を含んでいる場合には)
ハロゲン化水素酸等にまで完全に分解する方法(燃焼
法)である。
【0006】この方法は、従来から最も広く用いられて
いた方法で、最近、この方法の一形態として、特開平1
0−141636号公報及び特開平10−141637
号公報で、テルミット反応により発生する高熱を利用し
た燃焼分解法が提案されている。
【0007】第二の方法は、化学反応、例えば化学物質
のハロゲン原子を水素原子等で置換する反応等により化
学物質を無害な物質に変える方法(化学的分解法)であ
る。第三の方法は、温度380℃以上、圧力22MPa
以上の超臨界水を用いて化学物質を二酸化炭素と水及び
(化学物質がハロゲン原子を含んでいる場合には)ハロ
ゲン化水素酸にまで分解させる方法である。
【0008】第四の方法は、例えば特開平09−117
735号公報に示されているように、水の臨界点近傍の
アルカリ溶液中で化学物質に水熱加水分解反応を行なわ
せ、無毒な化合物にまで分解するとともに分解液中に残
る重金属類を水熱固化・安定化させる方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来技術には、それぞれ次のような問題点があった。
【0010】第一の燃焼法では、特に塩素原子を含む化
合物の場合には、塩素や塩化水素ガスが生成するほか、
猛毒の化学物質が副生する恐れも大きい。高温の塩化水
素ガスは有毒である上に焼却炉の炉壁材質を腐食させ
る。その上ルイサイトを始めとする多くの化学剤の分子
中に存在しているヒ素原子は殆どが猛毒の三酸化二ヒ素
(沸点:465℃)になり、焼却排ガスとして大気中に
放出される。
【0011】当然ながら、このことは上述したテルミッ
ト反応を利用した処理方法の場合にも当てはまる。
【0012】第二の化学的分解法の場合には、化学反応
だけで化学剤の持つ強い毒性のために要求される残留量
がngないしpgレベルになるまで分解させることは事
実上不可能である。その上、一部の化学剤の場合には、
通常の化学反応(例えば既述したハロゲン原子の置換反
応)を行った程度では毒性が殆ど低下しない。
【0013】第三の超臨界水酸化法の場合には、水を超
臨界状態にするのに多量のエネルギーを必要とする上
に、超高圧下で分解を行うことによる危険性があり、ま
た特に化学物質が含塩素化合物である場合には、分解で
生成した高温高圧の塩酸が非常に強い腐食作用を有して
いるので、装置に用いることができる材質は非常に強い
耐食性を持つ特殊な高価な物に限定される。
【0014】第四の水熱分解法の場合には、水を臨界点
近傍の温度及び圧力にするのに多量のエネルギーが必要
な上、超高圧下で分解を行うことによる危険性があるの
は、上述の超臨界水酸化法の場合と同様である。
【0015】本発明は上記のような従来技術の問題点を
解消すべくなされたもので、毒性を有する化学物質、及
びこれらの化学物質を含むか又は化学物質により汚染さ
れた廃棄物を、従来の処理技術よりももっと穏やかな条
件の下で、しかも処理の過程で有害な化合物を一切環境
中に排出することなしに、無毒な物質にまで分解するこ
とのできる化学物質の分解方法、及びその分解装置を提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の化学物
質の分解方法は、上記目的を達成するため、銃砲弾類の
中に充填されているか、若しくは専用の貯蔵容器類の中
に貯蔵されている毒性を有する化学物質、又は前記化学
物質を含む、若しくは前記化学物質で汚染された気体
状、液体状、若しくは固体状の廃棄物を、溶融塩又は溶
融塩の蒸気の中で酸化剤と接触させて前記化学物質を分
解する化学物質分解工程と、分解に用いた後の前記溶融
塩から該溶融塩中に含まれている不純物を分離除去する
溶融塩浄化工程と、浄化後の前記溶融塩を、化学物質を
溶融塩又は溶融塩の蒸気の中で分解する際の溶融塩とし
て再使用する溶融塩再使用工程とを具備することを特徴
としており、これらの化学物質等を酸化剤の存在下に溶
融塩の中で酸化して分解することにより達成されるもの
である。
【0017】本発明によって分解する対象となる化学物
質としては、シアン化水素、ホスゲン(正式名称は塩化
カルボニル)、イペリット(正式名称はビス(2−クロ
ロエチル)スルフィド)、トリクロロアルシン(正式名
称は塩化ヒ素(III))、ルイサイト(正式名称はジク
ロロ(2−クロロビニル)アルシン)、クロロジフェニ
ルアルシン、シアノジフェニルアルシン、サリン、タブ
ン、ソマン及びVXガス(以下、これらを総称して「化
学物質」と称する。)が例示され、これらは、主として
過去に製造されて未使用のまま地中、水中、海中等に遺
棄又は投棄された銃砲弾類の中に充填されていたり、専
用の貯蔵容器類の内に貯蔵・保管されているものであ
る。
【0018】また、本発明によって分解する対象となる
化学物質を含む、若しくは前記化学物質で汚染された気
体状、液体状、若しくは固体状の廃棄物の代表的な例と
しては、例えば貯蔵・保管されている銃砲弾類や貯蔵容
器類の中から漏れ出した化学物質で汚染された大気、環
境水(海水、河川水、地下水等)、土壌等が挙げられ
る。この他にも上記廃棄物としては、化学物質が充填さ
れている銃砲弾類や専用貯蔵容器類を解体する際に発生
する二次廃棄物、すなわち銃砲弾類や貯蔵容器類を解体
してその中から化学物質を取出す際に用いた気密セル内
の雰囲気ガス、化学物質が充填されている銃砲弾の中か
ら化学物質を取出した後の銃砲弾内部の洗浄に用いた洗
浄液又は洗浄ガス、化学物質が充填されている銃砲弾類
の中から火薬筒部分と化学物質を取除いた後の残留物、
化学物質を取出した後の銃砲弾類や専用貯蔵容器類等も
該当する(以下、これらを総称して「化学物質含有廃棄
物」と称する。)。
【0019】本発明で使用する溶融塩は、基本的には化
学物質の分解によって生じる酸性の無機ガス等を中和し
て無機アルカリ塩を形成できる性質を有するアルカリ性
の無機塩であれば任意の種類のものが使用可能である。
しかし、化学物質であるガスとの反応の容易性、その反
応によって形成される中性の無機アルカリ塩の安定性、
さらには融点(なるべく低い操作温度で分解を行うため
に融点は低い方がよい)等を考慮すると、アルカリ金属
又はアルカリ土類金属の水酸化物、又は炭酸塩、若しく
はこれら各塩の混合物が主成分であることが最も望まし
い。このような溶融塩としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム(融点328℃)、水酸化カリウム(融点360
℃)、水酸化ナトリウム−水酸化カリウム共晶塩(融点
218℃)、水酸化ナトリウム−炭酸ナトリウム共晶塩
(融点286℃)、炭酸リチウム−炭酸ナトリウム−炭
酸カリウム三元共晶塩(融点397℃)等が挙げられ
る。
【0020】ただし、溶融塩又は溶融塩の蒸気の温度が
低過ぎると化学物質の分解反応速度が遅くなり、一方逆
に温度が高過ぎると大きいエネルギーが必要になる上
に、装置材料の腐食速度も増加する。したがって、本発
明で用いる溶融塩又は溶融塩の蒸気の温度は400〜6
00℃程度が望ましい。
【0021】なお、本発明において溶融塩として用いる
アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩は必ずしも
純粋である必要はなく、これらの塩を主成分として、そ
の融点や、化学物質の分解によって生成するハロゲン化
水素等の酸性ガスを捕集して無機ハロゲン化物等の中性
塩を形成する能力に影響しない範囲内で、他の無機塩
(例えば硝酸塩、塩化物、硫酸塩)が少量混じっている
ことを何ら妨げるものではない。
【0022】本発明において化学物質を溶融塩又はその
蒸気の中で酸化分解させるために用いる酸化剤は特定の
物質に限定されるものではないが、反応系への供給の容
易さを考慮すると固体状や液体状であるよりは気体状で
ある方が望ましく、その意味で酸素ガス又は酸素を含む
混合ガス(例えば空気)が最も良い。この他にも高温の
溶融塩又はその蒸気の中で分解して酸素ガスを生じるよ
うな気体の場合にも同様に非常に有効であり、そのよう
な気体の代表例としてはオゾン、水蒸気及び過酸化水素
の蒸気を挙げることができる。しかしながら、ガス状の
酸化剤が好ましいことは本発明において固体状あるいは
液体状の酸化剤を用いることを何ら排除するものではな
い。
【0023】本発明において、化学物質等を分解する場
合には、事前にこれらの廃棄物の中から化学物質を分離
する必要な前処理操作を行うことができる。このような
前処理操作としては例えば、 有機溶媒で抽出分離する、 適当な吸着剤に吸着させる、 加熱して気体状態にさせる、 等の方法が適用できる。
【0024】以下、上述した前処理操作をそれぞれ説明
する。
【0025】[抽出分離]抽出分離前処理を行うことに
よって、廃棄物中に低濃度で含まれている化学物質を分
離して濃縮することができる。抽出用溶媒としては、こ
れらの化学物質に対して十分大きな溶解性を有し、且つ
その溶融塩の中での分解反応に悪影響を与えるものでな
ければ公知の任意の溶剤を用いることができる。
【0026】抽出分離された化学物質は、溶融塩に供給
されて分解される。
【0027】化学物質を抽出分離した溶液を溶融塩の中
に供給する方法としては、そのままの溶液で供給する方
法が最も普通ではあるが、必要に応じて溶媒を蒸発除去
し(この溶媒は回収して化学物質を抽出分離するのに繰
り返し用いる)、残った化学物質だけを溶融塩中に供給
する方法を用いることもできる。
【0028】[吸 着]また、吸着前処理を行うことに
よっても、気体状又は液体状の廃棄物中に低濃度で含ま
れている化学物質を分離して濃縮することができる。吸
着剤としては、これらの化学物質に対して十分大きな吸
着能力を有し、且つ化学物質の溶融塩の中での分解反応
に悪影響を与えるものでなければ任意の吸着剤を用いる
ことができることは当然である。しかし、この吸着剤は
溶融塩の中で化学物質と共に容易に分解される物質であ
ることが望ましい。
【0029】以上述べたような事情から、気体状又は液
体状の化学物質含有廃棄物の中に低濃度で含まれている
化学物質の吸着前処理に用いる吸着剤としては、活性炭
が最も望ましいが、活性炭のみに限定されるものでな
い。
【0030】[加熱前処理]含まれているか又は汚染し
ている液体状又は気体状の化学物質の沸点以上に化学物
質含有廃棄物を加熱すると、化学物質が沸騰して気体状
態になる。これによって化学物質を容易に溶融塩の中へ
供給することができる。化学物質の中にはシアン化水素
やホスゲンのように常温で気体の物質があるが、常温で
は液体状や固体状の物質の場合であっても、その大半は
沸点が200℃程度までであり、加熱により容易に気化
することができる。なお、ジフェニルシアノアルシン
(沸点:約380℃)等一部にはかなり高沸点の化学物
質もあるが、この加熱前処理操作では必ずしも化学物質
自体を蒸発させる目的で行うばかりでなく、化学物質が
熱分解して気体状態になる場合にも適用することができ
る。
【0031】さらに窒素やアルゴン等の不活性ガスをキ
ャリアガスとして流しながら加熱前処理操作を行うよう
にすれば、沸点以下の加熱温度であっても微少な液滴と
して不活性キャリアガスに随伴させることもできる。し
たがって加熱前処理温度は200〜300℃程度までで
十分である。
【0032】なお、この化学物質の吸着前処理操作を単
独で用いるのではなく、他の前処理操作と組合せて用い
るとさらに効果的である。具体的には、例えば、初めに
化学物質を含む廃棄物を加熱して気体状態にさせること
で分離濃縮し、次いで気体状態になった化学物質を活性
炭等に吸着させ、この活性炭等を溶融塩の中に供給した
り、或いは、初めに廃棄物中から化学物質を抽出分離し
て濃縮し、次いで抽出後の溶液中から化学物質を、直接
又は溶液を加熱気体状態にさせた後で、活性炭等の吸着
剤に吸着させ、この吸着剤を溶融塩の中に供給する、等
の処理操作が挙げられる。
【0033】ところで本発明では水酸化物や炭酸塩等の
アルカリ性の溶融塩は、供給された化学物質の分解に伴
って、化学物質の種類に応じて生成する二酸化炭素、ハ
ロゲン化水素、二酸化イオウ、リン酸等と結合して、そ
の一部分が炭酸塩(溶融塩として水酸化物を用いた場合
のみ)、ハロゲン化物、硫酸塩、あるいはリン酸塩に変
化する。これらの反応生成塩の濃度が高くなると、沈殿
の生成、融点の上昇、分解発生酸性ガス捕集能力の低
下、分解率の低下等の悪影響が現れる恐れがある。した
がって、使用後の溶融塩を再使用する前に浄化して元の
溶融塩に再生することが望ましい。
【0034】溶融塩の再生に用いる手法としては、例え
ば隔壁としてβ−アルミナを用いる溶融塩電解法、水溶
液化してイオン交換する方法、等任意の既存技術を単独
で、又は組合せて用いることができる。もし溶融塩の再
生処理を行ったことによってロスが生じ、分解に必要な
溶融塩の量に不足を来す場合には、別途新たな溶融塩を
補充することもできる。
【0035】このように使用後の溶融塩の全部を再生す
るのではなく、単に不純物と反応して生成した反応生成
溶融塩だけを未反応の溶融塩から分離・除去して元の溶
融塩にまで精製するようにしてもよい。この精製法とし
ては、例えば各々の塩の水に対する溶解度の違いに基づ
いて分別結晶化する方法等が適用できる。もちろん結晶
化溶媒として水以外を用いても構わないし、さらには分
別結晶化法以外の精製法を用いるようにしてもよい。溶
融塩を精製するだけの場合でも、必要に応じて別途新た
な溶融塩を補充してもよいことは言うまでもない。
【0036】いずれの場合にも、浄化処理によって純粋
な元の溶融塩に戻す必要はなく、本発明の目的に支障の
ない範囲内で不純物が残っていても問題がないことは既
述の通りである。また溶融塩の浄化処理を行ったことに
よってロスが生じ、分解に必要な溶融塩の量に不足を来
す場合には、別途新たな溶融塩を補充することもでき
る。
【0037】ところで本発明で分解対象とする化学物質
の中には、ルイサイトやクロロジフェニルアルシン等の
分子中にヒ素原子を有する化合物がある。これらの化合
物を溶融塩の中で酸化剤と接触させて分解させると、分
子中のヒ素原子は亜ヒ酸塩またはヒ酸塩の形態に変り、
分解に用いた後の溶融塩の中に溶解して残存する。イオ
ウ、リン、或いはハロゲン等の原子と違って、ヒ素はそ
の単体が毒性を持っている元素であるので、どのような
化学形態に変化しても毒性は無くならない。したがっ
て、このような分子中にヒ素原子を有する化合物を分解
した場合に生成する(亜)ヒ酸塩(又は金属ヒ素)は、
処理後の溶融塩の中から分離除去し、さらに例えばセメ
ント等を用いてコンクリート中に固化する等の処理によ
り、安定化させることが望ましい。
【0038】この(亜)ヒ酸塩(又は金属ヒ素)の分離
は溶融塩の状態で行ってもよいし、溶融塩を一旦水溶液
化した後で行ってもよい。
【0039】溶融塩の状態のままで溶解している(亜)
ヒ酸塩を分離する方法としては、 (亜)ヒ酸塩を溶融塩の中で電解還元し、金属ヒ素
として陰極に析出させて分離する、 (亜)ヒ酸塩に対して還元剤として作用する金属
(例えば金属ナトリウムや金属リチウム)を加え溶融塩
に不溶な金属ヒ素に還元してろ過分離する、 と同様にして(亜)ヒ酸塩を還元剤で還元し、生
成した金属ヒ素を蒸留により溶融塩から分離する、 等の方法を適用することができる。
【0040】また、溶融塩を一旦水溶液化した後で溶解
している(亜)ヒ酸塩を分離する方法としては、 鉄、アルミニウム等の塩を加えて難水溶性の(亜)
ヒ酸塩を形成させ、沈殿させる、 イオン交換樹脂、キレート樹脂、アルミナ等に吸着
させる、 電解により金属ヒ素として陰極に析出させる、 等の方法が適用できる。なお溶融塩の中、水溶液中のい
ずれの状態で分離する場合にも、上記した〜の各方
法を単独ではなく幾つか組合せて、さらには溶融塩の中
での方法と水溶液中での方法とを組合せて用いることも
できる。
【0041】なお、上記した各方法等によって含まれて
いる(亜)ヒ酸塩(又は金属ヒ素)を分離・除去した後
の溶融塩は、そのまま、または必要に応じてさらに精製
操作を行った後で、化学物質を分解する際に再使用でき
ることは、既述した(亜)ヒ酸塩(又は金属ヒ素)の分
離・除去操作を行わない場合と全く同様である。溶融塩
を一旦水溶液化した後でこの(亜)ヒ酸塩の分離・除去
操作を行った場合でも、水溶液中から水を蒸発させて得
られる固形塩を再加熱して溶融塩にすれば、溶融塩状態
のままで(亜)ヒ酸塩の分離・除去操作を行った場合と
同様に十分に再使用できる。
【0042】次に、本発明の化学物質の分解装置につい
て説明する。
【0043】本発明の化学物質分解装置は、銃砲弾類の
中に充填されているか若しくは専用の貯蔵容器類の中に
貯蔵されている、毒性を有する化学物質又は化学物質含
有廃棄物を、前記銃砲弾類若しくは貯蔵容器類の中から
取出す化学物質等取出手段と、溶融塩又は溶融塩の蒸気
を内部に保持する溶融塩反応槽と、前記溶融塩反応槽中
の溶融塩又は溶融塩の蒸気を加熱する加熱手段と、前記
化学物質等取出手段により取出した前記化学物質又は前
記廃棄物を前記溶融塩反応槽内に供給する化学物質等供
給手段と、酸化剤を前記溶融塩反応槽内に供給する酸化
剤供給手段と、前記溶融塩反応槽の中から使用後の溶融
塩を抜出し該溶融塩の中に含まれている不純物を取除く
溶融塩浄化手段とを備えたことを特徴としている。
【0044】毒性を有する化学物質を含む若しくは毒性
を有する化学物質を含有する廃棄物中の化学物質を分解
する場合には、前記化学物質の分解装置は、前記廃棄物
の中から前記化学物質を溶媒によって抽出分離する抽出
手段と、前記抽出分離手段により抽出分離された化学物
質を濃縮する濃縮手段と、溶融塩又は溶融塩の蒸気を内
部に保持する溶融塩反応槽と、前記溶融塩反応槽中の溶
融塩又は溶融塩の蒸気を加熱する加熱手段と、濃縮され
た化学物質をその媒質とともに前記溶融塩反応槽内に供
給する化学物質供給手段と、酸化剤を前記溶融塩反応槽
内に供給する酸化剤供給手段と、前記溶融塩反応槽の中
から使用後の溶融塩を抜出し該溶融塩の中に含まれてい
る不純物を取除く溶融塩浄化手段とを備えたものとする
ことができる。
【0045】前記濃縮手段の例としては、抽出分離され
た化学物質の溶液の中から溶媒を蒸発させて溶液中の化
学物質を濃縮する蒸発濃縮手段と、抽出分離された化学
物質の溶液の中から化学物質を吸着剤に吸着させて濃縮
する吸着手段が挙げられる。濃縮手段により濃縮された
化学物質は、蒸発により濃縮された化学物質の濃厚溶液
は溶液のまま、吸着により濃縮されたものは吸着剤とと
もに溶融塩反応槽に供給されて分解される。
【0046】また、分解対象の化学物質が気化しやすい
物質である場合には、化学物質の分解装置は、前記化学
物質含有廃棄物を不活性キャリアガス気流中で加熱して
該廃棄物中に含まれている化学物質を気体状態にさせる
気化槽と、溶融塩又は溶融塩の蒸気を内部に保持する溶
融塩反応槽と、前記溶融塩反応槽中の溶融塩又は溶融塩
の蒸気を加熱する加熱手段と、前記気化槽で気体状態に
された化学物質を、不活性キャリヤガスとともにそのま
ま、又は濃縮手段を介して濃度を高めて、前記溶融塩反
応槽内に供給する化学物質供給手段と、酸化剤を前記溶
融塩反応槽内に供給する酸化剤供給手段と、前記溶融塩
反応槽の中から使用後の溶融塩を抜出し該溶融塩の中に
含まれている不純物を取除く溶融塩浄化手段とを備えた
ものとすることができる。
【0047】化学物質を不活性キャリヤガスとともにそ
のまま溶融塩反応槽内に、供給する場合には、これらの
ガスを溶融塩内に吹き込むことが望ましい。
【0048】気体状態にされた化学物質の濃縮手段は、
例えば、化学物質を加熱気化させた後の不活性キャリア
ガスの中から化学物質を吸着剤に吸着させる吸着装置
と、化学物質を吸着した吸着剤を溶融塩の中に供給する
吸着剤供給手段とで構成することができる。
【0049】
【作 用】代表的な無機塩の溶融塩は、密度が2g/c
m3 程度、粘性率が10-3NS/m2 程度でいずれも常
温の水と同オーダーであり、導電率が10〜50S/m
程度、熱伝導率が1W/m・K程度と金属と同程度に大
きい、融点は500〜1000℃程度と大半の金属より
も低い、溶融金属に比べて化学的安定性が大きく化学変
化を起こしにくい、全体がほぼ完全に均一である、他の
多くの無機塩や金属に対する溶解性が有る、等の性質を
有している。
【0050】このような性質によって、溶融塩は化学反
応の溶媒や熱媒体として用いることができることが知ら
れている。
【0051】本発明においても、化学物質は、溶媒及び
熱媒体として作用する溶融塩の中で、酸素ガス等の酸化
剤の存在下に酸化されて、容易に二酸化炭素、水、ハロ
ゲン化水素、二酸化イオウ、酸化ヒ素等の無機化合物に
まで分解される。
【0052】例として、化学物質がイペリット、ルイサ
イト、クロロジフェニルアルシン、およびシアノジフェ
ニルアルシンの4種類で、酸化剤が酸素の場合の本発明
における酸化分解は、それぞれ次の(1)式〜(4)式
(及び(3′)式、(4′)式)に示す分解反応式で表
される。
【0053】 2(C2 H4 Cl)2 S+13O2 = 4CO2 + 6H2 O+ 4HCl+ 2SO2 ………………(1) 4(ClC2 H2 )AsCl2 +13O2 = 8(CO2 + 4H2 O+12HCl+ 2As2 O3 または 4(ClC2 H2 )AsCl2 +15O2 = 8CO2 + 4H2 O+12HCl+ 2As2 O5 …………(2) 2(C6 H5 )2 AsCN+11O2 = 7CO2 + 5H2 O+N2 +As2 O3 …………………(3) または 4(C6 H5 )2 AsCN+12O2 = 7CO2 + 5H2 O+N2 +As2 O5 ………………(3′) 4(C6 H5 )2 AsCl+31O2 = 24CO2 + 8H2 O+ 4HCl+ 2As2 O3 …………(4) または 4(C6 H5 )2 )2 AsCl+33O2 = 24CO2 + 8H2 O+ 4HCl+ 2As2 O5 …………(4′) 上記の各式に示したように、化学物質が分解すると、そ
の種類に応じて、塩化水素ガス、二酸化イオウガス、お
よび酸化ヒ素(III)または酸化ヒ素(V)等の酸性の無
機化合物が生成する。しかし、溶融塩としてアルカリ性
の塩を用いれば、生成した酸性物質はいずれも次の
(5)式〜(8)(及び(8′)式)に示すようにアル
カリ(溶融塩)によって中和され、それぞれ安定な中性
のハロゲン化アルカリ塩(例えば塩化ナトリウム)、硫
酸塩および(亜)ヒ酸塩と成りいずれも過剰のアルカリ
溶融塩の中に保持されて環境中には一切排出されない。
【0054】 CO2 + 2NaOH=Na2 CO3 +H2 O ………………(5) HCl+ 2NaOH= 2NaCl+H2 O ………………(6) SO2 + 2NaOH=Na2 SO4 +H2 O ………………(7) As2 O3 + 2NaOH= 2NaAsO2 +H2 O…………(8) または As2 O5 + 6NaOH= 2Na3 AsO 4+ 3H2 O……(8′)
【0055】
【発明の実施の形態】
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1から図13を用
いて説明する。
【0057】実施例1 図1は、本発明による化学物質の分解方法の一実施例の
フロー図である。
【0058】この実施例では、化学物質の充填された銃
砲弾類又は化学物質の貯蔵された専用の貯蔵容器類(以
下、化学物質充填銃砲弾類等と略称する。)1の中に充
填若しくは貯蔵されている化学物質3を所定の取出手段
により取出し2、取出した化学物質3を溶融塩4の中で
酸化剤5と接触させて化学物質3を分解6する。
【0059】分解生成ガス7は、その中に含まれている
有害成分を除去してガス浄化8して無害ガス9にした後
に、大気放出10する。一方、分解に用いた後の使用済
溶融塩11は、含まれている不純物を除去し溶融塩精製
12して精製溶融塩13とした後に、新たな化学物質の
分解に再使用14する。
【0060】なお、この実施例において、使用済溶融塩
11の中に含まれている不純物の割合が少ない場合に
は、溶融塩精製12の操作を省略して、精製溶融塩13
の代わりに、使用済溶融塩11をそのまま再使用14す
ることも可能である。
【0061】不純物の割合の少ない使用済溶融塩11を
そのまま再使用14しても、新たな化学物質の分解に際
して殆ど悪影響は無く、これによって工程を単純化する
ことができる。
【0062】また、ガス浄化8の操作は、分解6の操作
で化学物質3の分解率が不十分で、分解生成ガス7の中
に何らかの有毒物質が含まれていた場合のためのバック
アップ操作であるから、化学物質分解6の操作で化学物
質3が十分に分解している場合には、ガス浄化8の操作
を省略して分解生成ガス7をそのまま大気放出10する
ことも可能である。
【0063】上述した溶融塩精製12の操作の省略とガ
ス浄化8の操作の省略は、状況に応じて、いずれか一方
だけを省略することも双方を省略することも可能であ
る。
【0064】なお、以下の実施例のフロー図において、
実施例1と同一の操作や物質にはそれぞれ同一の符号を
付して重複する説明を省略する。
【0065】実施例2 図2は、本発明による化学物質の分解方法の他の実施例
のフロー図である。
【0066】この実施例では、化学物質充填銃砲弾類等
1を解体15し、その際に漏洩した化学物質を含むか、
または化学物質で汚染された化学物質含有ガス16を、
実施例1と同様にして溶融塩4の中で酸化剤5と接触さ
せて分解6させる。分解生成ガス7の浄化8、大気放出
18や使用済溶融塩11の精製12、精製溶融塩13の
再使用14の操作も、実施例1と同様である。この実施
例においても、状況によって、ガス浄化8の操作の省略
と溶融塩精製12の操作の省略が可能なことは実施例1
の場合と同様である。
【0067】実施例3 図3は本発明による化学物質の分解方法のさらに他の実
施例のフロー図である。
【0068】この実施例では、まず、例えば専用の貯蔵
容器から取出した化学物質を含む、又は化学物質で汚染
された気体状、液体状又は固体状の廃棄物17の中から
化学物質を溶媒抽出18により分離し、この化学物質の
溶液(抽出液)19の中から溶媒20の一部を蒸発させ
て溶液を濃縮し21、残った濃縮溶液22から化学物質
を活性炭等の吸着剤に吸着させる23。
【0069】化学物質を吸着した活性炭等24は実施例
1と同様にして溶融塩4の中で酸化剤5と接触させて分
解6させる。
【0070】分解生成ガス7は、その中に含まれている
有害成分を除去してガス浄化8し無害ガス9にした後
に、大気放出10する。一方、分解に用いた後の使用済
溶融塩11は、含まれている不純物を除去し溶融塩精製
12して精製溶融塩13とした後に、新たな化学物質の
分解に再使用14する。この実施例においても、状況に
よって、溶融塩精製12の操作の省略とガス浄化8の操
作の省略が可能なことは実施例1と同様である。
【0071】また、この実施例では蒸発濃縮21および
化学物質吸着23の両操作を共に省略して、化学物質を
抽出した後の溶液18をそのまま溶融塩4の中で酸化剤
5と接触させて化学物質3を分解6させることもでき
る。
【0072】この場合、蒸発濃縮21の操作のみを省略
して、化学物質を溶媒抽出18した後の溶液19の中か
ら化学物質を直接活性炭等に吸着22させ、吸着に用い
た活性炭等を溶融塩4の中で酸化剤5と接触させて分解
6したり、吸着23の操作のみを省略して、溶液19を
蒸発濃縮21した後の濃縮溶液22をそのまま溶融塩4
の中で酸化剤5と接触させて分解6することもできる。
【0073】さらに、化学物質含有廃棄物17が気体状
または液体状である場合には、溶媒抽出18を省略し
て、廃棄物17の中から直接化学物質を活性炭等に吸着
させ、次いでこの活性炭等を実施例1と同様に溶融塩4
中で酸化剤5と接触させて分解6することもできる。分
解生成ガス7を浄化8して無害化9し、大気放出するこ
と10や使用済溶融塩11を精製12して精製溶融塩1
3を再使用14する操作は実施例1と同様である。
【0074】実施例4 図4は本発明による化学物質の分解方法のさらに他の実
施例のフロー図である。
【0075】この実施例は、化学物質含有廃棄物等17
が液体状または固体状の場合に好適する。
【0076】まず、専用の貯蔵容器から取出した化学物
質含有廃棄物17を、例えば窒素ガスのような不活性ガ
スの気流中で加熱して化学物質をガス化25させる。次
に、このガス状の化学物質を含む窒素ガス26の中の化
学物質を活性炭等の吸着剤に吸着させ23、化学物質を
吸着した活性炭等24を実施例1と同様に溶融塩4の中
で酸化剤5と接触させて分解6させる。分解生成ガス7
の浄化8、大気放出10や使用済溶融塩11の精製1
2、精製溶融塩13の再使用14の操作は、実施例1と
同様に行う。この実施例においても、状況によって、ガ
ス浄化8の操作の省略と溶融塩精製12の操作の省略が
可能なことは実施例1と同様である。
【0077】なお、この実施例で化学物質含有廃棄物等
17が気体状または液体状の場合には、加熱ガス化25
の操作を省略して、直接化学物質を活性炭等の吸着剤に
吸着させ、この活性炭等を実施例1と同様にして溶融塩
4の中で酸化剤5と接触させて化学物質を分解6させ
る。この実施例においても、状況によって、ガス浄化8
の操作の省略と溶融塩精製12の操作の省略が可能なこ
とは実施例1と同様である。
【0078】実施例5 図5は本発明による化学物質の分解方法のさらに他の実
施例のフロー図である。
【0079】この実施例は化学物質が、ヒ素化合物のル
イサイト(ジクロロ(2−クロロビニル)アルシン)で
ある場合の分解方法である。
【0080】この実施例では、まず、実施例1と同様に
して化学物質充填銃砲弾類等1からルイサイト3′を所
定の取出手段により取出し2、取出したルイサイト3′
を溶融塩4の中で酸化剤5と接触させて分解6′する。
【0081】分解生成ガス7は、その中に含まれている
有害成分を除去してガス浄化8して無害ガス9にした後
に、大気放出10する。
【0082】ところで、この実施例の場合には、使用済
の溶融塩11の中にルイサイトの分解によって生成した
(亜)ヒ酸塩が溶解しているので、このヒ素分が次の操
作で除去される。すなわち、使用済の溶融塩11の中に
還元剤であるアルカリ金属、本実施例の場合には金属リ
チウム27を加えると、(亜)ヒ酸塩は金属ヒ素35に
還元28されて、溶融塩4に不溶となり、一方金属リチ
ウム27は酸化されて酸化リチウム29になり、溶融塩
4中に溶解する。金属ヒ素含有溶融塩30から不溶性に
なった金属ヒ素32を濾過31して分離除去し、さらに
セメント固化33して安定化する。金属ヒ素32を分離
した後の精製溶融塩13は新たな化学物質の分解に再使
用する14。
【0083】実施例6 図6は本発明による化学物質の分解方法のさらに他の実
施例のフロー図である。
【0084】この実施例は、化学物質がルイサイトであ
る場合の使用済溶融塩からの(亜)ヒ酸塩の除去を、実
施例5の金属リチウム27による還元分離に代えて、
(亜)ヒ酸塩電界還元を用いて行った例である。
【0085】この実施例では化学物質充填銃砲弾類等1
からルイサイト3′を取出し2、取出したルイサイト
3′を溶融塩4の中で酸化剤5と接触させて分解6′す
る。分解生成ガス7は、その中に含まれている有害成分
を除去しガス浄化8して無害ガス9にした後に大気放出
10する。
【0086】この実施例の場合には、使用済の溶融塩1
1の中にルイサイトの分解によって生成した(亜)ヒ酸
塩が溶解しているが、(亜)ヒ酸塩は次のような処理操
作で金属ヒ素として除去される。すなわち、使用済の
(亜)ヒ酸塩溶融塩11′の電界還元を行う34。これ
により(亜)ヒ酸塩は金属ヒ素32に還元されると共に
電極上に析出して溶融塩中4から分離される。電解終了
後、析出した金属ヒ素32を電極上から掻き落とし濾過
分離し、セメント固化33して安定化させる。なお、金
属ヒ素32を分離除去した後の溶融塩13を新たな化学
物質の分解に再使用する14ことは、実施例5の場合と
同様である。
【0087】実施例7 図7は本発明による化学物質の分解方法のさらに他の実
施例のフロー図である。
【0088】この実施例は、(亜)ヒ酸塩を還元して生
成した金属ヒ素の除去を、濾過に代えて蒸留により行う
ようにした例である。
【0089】この実施例でも、化学物質充填銃砲弾類等
1からルイサイト3′を取出し2、取出したルイサイト
3′を溶融塩4の中で酸化剤5と接触させて分解6′
し、分解生成ガス7は、その中に含まれている有害成分
を除去してガス浄化8して無害ガス9にした後大気放出
10する点は実施例5と同様である。
【0090】この実施例の場合には、使用済の溶融塩1
1′の中に溶解している(亜)ヒ酸塩は、実施例5のよ
うな金属リチウムによる還元方法、実施例6のような電
界還元等の任意の還元方法等の任意の方法で金属ヒ素3
2に還元28される。
【0091】次に、金属ヒ素32を含む溶融塩30を、
蒸留34して金属ヒ素32を蒸発により分離除去し、セ
メント固化33によって安定化する。金属ヒ素32を分
離した後の溶融塩13は新たな化学物質の分解に再使用
する14。
【0092】実施例8 図8は本発明による化学物質の分解方法のさらに他の実
施例のフロー図である。
【0093】この実施例は、(亜)ヒ酸塩を還元して生
成した金属ヒ素の除去を、濾過に代えて蒸留により行う
ようにした例である。
【0094】この実施例でも、化学物質充填銃砲弾類等
1からルイサイト3′を取出し2、取出したルイサイト
3′を溶融塩4の中で酸化剤5と接触させて分解6′
し、分解生成ガス7は、その中に含まれている有害成分
を除去してガス浄化8して無害ガス9にした後、大気放
出10する点は実施例5と同様である。
【0095】この実施例の場合には、使用済の溶融塩1
1′の中に溶解している(亜)ヒ酸塩は、実施例5のよ
うな金属リチウムによる還元、実施例6のような電界還
元等の任意の還元方法等の任意の方法で金属ヒ素32に
還元される28。
【0096】次に、金属ヒ素32を含む溶融塩30を水
に溶解35して水溶液化する。この水溶液に対して既知
のヒ素化合物含有廃水の処理方法に従って液調整を行い
36、溶解している(亜)ヒ酸塩を全て水に不溶なヒ酸
鉄(III)39として共沈させ、濾過37して分離す
る。分離したヒ酸鉄(III)39を含むスラッジはセメ
ント固化33して安定化させる。
【0097】実施例9 図9は本発明による化学物質の分解装置の一実施例の構
成を概略的に示した図である。
【0098】この実施例の装置は、ヒーター103を備
えた溶融塩反応槽101と、化学物質又は化学物質含有
廃棄物等を溶融塩反応槽101内に供給する化学物質供
給装置104と、酸素等の酸化剤を溶融塩反応槽内に供
給する酸化剤供給装置105と、化学物質の分解に用い
た後の溶融塩を溶融塩反応槽101内から抜き出して精
製した後で再度溶融塩反応槽101内に戻す溶融塩精製
装置107と、溶融塩反応槽101内のガスを浄化する
ガス浄化装置117と、図示を省略した、化学物質又は
化学物質含有廃棄物を銃砲弾類若しくは貯蔵容器類の中
から取出す化学物質等取出手段並びに前記溶融塩反応槽
101と他の装置類とを連結する配管類、バルブ類、制
御装置等で構成されている。
【0099】この装置では、溶融塩反応槽101の中に
無機塩が装入され、この無機塩は溶融塩反応槽101の
周囲に設置されたヒーター103により融点以上の温度
(400〜600℃)に加熱されて溶融塩102となっ
ている。
【0100】図示を省略した化学物質等取出手段により
化学物質充填銃砲弾類等の中から取出された化学物質又
は化学物質含有廃棄物は化学物質供給装置104から供
給管119を通って溶融塩反応槽101内に供給され
る。
【0101】溶融塩反応槽101に供給された化学物質
等は、溶融塩反応槽101内の溶融塩102の中で、酸
化剤供給系105から同じ供給管119を通って溶融塩
反応槽101内に供給される気体状の酸化剤または酸化
剤を含むカバーガスと接触して分解される。
【0102】溶融塩反応槽101を出たカバーガスは、
未分解の化学物質が完全になくなるまで何度でも繰り返
してベーパートラップ116で同伴した溶融塩の蒸気や
ミストを除去し、次いでガス浄化系117で分解生成ガ
ス等気体状の不純物を除去した後にガス循環ポンプ11
8によって再び溶融塩反応槽101内に戻される。溶融
塩反応槽101内の溶融塩102は溶融塩抜出し装置1
06によって抜出され、溶融塩浄化装置107で浄化さ
れた後、再び溶融塩反応槽101内に戻される。なおそ
の際に、必要に応じて溶融塩供給系(図示せず)から新
たな溶融塩を追加するようにしてもよい。
【0103】実施例10 図10は、本発明による化学物質の分解装置の他の実施
例の構成を概略的に示したものである。
【0104】この実施例の装置は、化学物質含有廃棄物
から化学物質を溶媒抽出によって分離した後に分解する
方式の分解装置である。
【0105】この分解装置は、実施例9の分解装置にお
ける化学物質供給装置104の上に、化学物質を抽出す
るための抽出装置109と抽出分離された化学物質の溶
液を濃縮するための濃縮装置111を設け、この濃縮装
置111で濃縮された化学物質濃縮液を化学物質供給装
置104に供給するように構成したものである。なお、
実施例9と同一構成の部分には同一符号を伏して重複す
る説明を省略する。
【0106】抽出装置109には、化学物質を含むか、
または化学物質で汚染された気体状、液体状、又は固体
状の廃棄物が廃棄物供給装置121から供給され、一
方、抽出溶媒供給装置122から抽出溶媒が抽出装置1
09内に供給される。
【0107】符号108Aは止め弁、108Bは酸化剤
供給系の減圧弁、108Cは廃棄物供給装置からの廃棄
物の供給を制御する遮断弁、108Dは酸化剤供給系へ
の化学物質の逆流を防ぐ逆止弁である。
【0108】抽出装置109において化学物質を抽出し
た溶液は、濃縮装置111において加熱され、溶媒の一
部が蒸発して濃縮され、化学物質供給装置104を経て
溶融塩反応槽101の中に供給され、溶液中の化学物質
が分解される。なお、濃縮装置111で蒸発した溶媒蒸
気は冷却されて凝縮し溶媒溜めタンク122に収容され
る。
【0109】図10の実施例において、濃縮装置111
は必要に応じて省略することも可能である。この場合に
は、抽出装置109で抽出分離された化学物質の溶液を
そのまま溶融塩反応槽101中に供給して分解させる。
溶融塩反応槽101を出たカバーガスの処理、使用後の
溶融塩102の処理は、実施例9と同様であるので説明
を省略する。
【0110】実施例11 図11は、本発明による化学物質の分解装置のさらにま
た他の実施例の構成を概略的に示したものである。
【0111】この実施例の装置は、化学物質含有廃棄物
から化学物質を溶媒抽出し抽出液を加熱濃縮し、化学物
質を活性炭等の適当な吸着剤に吸着させて分離した後に
分解する方式の分解装置である。
【0112】この分解装置は、実施例10の化学物質供
給装置104を、吸着装置114および吸着剤供給装置
115で置き換えた構造のもので、抽出装置109で抽
出され濃縮装置111で濃縮した化学物質溶液を、一旦
吸着装置114の吸着剤に吸着させ、この化学物質を吸
着した吸着剤を吸着剤供給装置115により溶融塩反応
槽101に供給するように構成したものである。
【0113】この実施例では、化学物質含有廃棄物から
抽出装置で抽出された化学物質の溶液は、濃縮装置で濃
縮されて吸着装置114において吸着剤供給口114a
から供給される活性炭のような吸着剤に吸着される。化
学物質を吸着した吸着剤は、吸着装置114のスクリュ
ー114bにより推進されつつ吸着剤供給装置115か
ら溶融塩反応槽101に供給されて溶融塩により分解さ
れる。
【0114】溶融塩反応槽101を出たカバーガスの処
理、使用後の溶融塩102の処理は、図9で説明した実
施例9と同様なので説明を省略する。
【0115】なお、図11の装置において、状況に応じ
て濃縮装置111を省略したり、あるいは抽出装置10
9と濃縮装置111を省略することも可能である。
【0116】実施例12 図12は本発明による化学物質の分解装置のさらにまた
他の実施例の構成を概略的に示したものである。
【0117】この実施例の装置では、化学物質含有廃棄
物を加熱して、その中の化学物質を気体化させて分離し
た後に分解する方式の分解装置である。
【0118】この実施例の分解装置では、図9に示した
実施例における化学物質供給装置104の代わりに加熱
気化装置112とガス供給管115を設けた点を除い
て、図9に示した実施例と同一構成である。
【0119】例えば、専用の貯蔵容器から取出手段によ
り取出された化学物質含有廃棄物は、廃棄物供給装置1
21から加熱気化装置112内に供給されて加熱され、
廃棄物中の化学物質は気化する。気化した化学物質は、
ガス供給管115から供給される窒素ガスのような不活
性キャリアガスの気流により廃棄物から離脱して化学物
質供給管119から溶融塩反応槽101中に供給されて
分解される。
【0120】その他の構造並びに溶融塩反応槽101を
出たカバーガスの処理、使用後の溶融塩102の処理
は、図9で説明した実施例9と同様なので説明を省略す
る。
【0121】実施例13 図13は本発明による化学物質の分解装置のさらにまた
他の実施例の構成を概略的に示したものである。
【0122】この実施例の装置は、化学物質含有廃棄物
から、化学物質を加熱気体化と吸着剤への吸着との両方
を組合せて分離した後に分解する方式の分解装置であ
る。
【0123】この分解装置は、図11に示した実施例に
おける化学物質供給装置104の代わりに加熱気化装置
112、吸着装置114、および吸着剤供給装置115
を設けた点を除いて、図9に示した実施例と同一構成で
ある。
【0124】化学物質含有廃棄物は、廃棄物供給装置1
21に供給されて加熱され、廃棄物中の化学物質は気化
する。気化した化学物質は、ガスを吸着装置114内で
吸着剤に吸着される。
【0125】化学物質を吸着した吸着剤は、吸着剤供給
装置115から溶融塩反応槽101の中に供給されて分
解される。
【0126】その他の構造並びに溶融塩反応槽101を
出たカバーガスの処理、使用後の溶融塩102の処理
は、図9で説明した実施例9と同様なので説明を省略す
る。
【0127】
【発明の効果】以上述べた様に、本発明によれば、大気
圧の下、数百℃という比較低い温度で、しかも処理の過
程でヒ素化合物等の化学物質を一切環境中に排出するこ
となしに、ほぼ完全に分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学物質の分解方法の一実施例のフロ
ー図である。
【図2】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図3】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図4】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図5】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図6】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図7】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図8】本発明の化学物質の分解方法の他の実施例のフ
ロー図である。
【図9】本発明の化学物質の分解装置の一実施例の構成
を概略的に示す図である。
【図10】本発明の化学物質の分解装置の他の実施例の
構成を概略的に示す図である。
【図11】本発明の化学物質の分解装置の他の実施例の
構成を概略的に示す図である。
【図12】本発明の化学物質の分解装置の他の実施例の
構成を概略的に示す図である。
【図13】本発明の化学物質の分解装置の他の実施例の
構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1:化学物質充填銃砲弾類等、2:取り出し工程、3:
化学物質、3′:ルイサイト、4:溶融塩、5:酸化
剤、6:化学物質分解工程、6′:ルイサイト分解、
7:分解生成ガス、8:ガス浄化工程、9:無害ガス、
10:大気放出、11:使用済溶融塩、11′:ヒ酸塩
含有溶融塩、12:溶融塩精製工程、13:精製溶融
塩、14:再使用、15:解体工程、16:化学物質含
有ガス、17:化学物質含有廃棄物、18:溶媒抽出工
程、19:化学物質の溶液、21:蒸発濃縮工程、2
2:濃縮液、23:化学物質吸着工程、24:化学物質
吸着活性炭等、25:加熱ガス化工程、26:化学物質
含有ガス、28:ヒ酸塩還元工程、32:酸化リチウ
ム、30:金属ヒ素含有溶融塩、32:金属ヒ素、3
3:セメント固化、34:ヒ酸塩電解還元、35:水溶
解工程、36:液調整工程、37:濾過工程、38:水
溶液、39:ヒ酸鉄、101:溶融塩反応槽、102:
溶融塩、103:ヒーター、104:化学物質供給装
置、105:酸化剤供給装置、106:溶融塩抜出しラ
イン、107:溶融塩精製装置、108A:止め弁、1
08B:減圧弁、108C:遮断弁、108D:逆止
弁、109:抽出装置、111:濃縮装置、112:加
熱気化装置、103:ガス吹込み管、114:吸着装
置、115:吸着剤供給装置、116:ベーパートラッ
プ、117:ガス浄化装置、118:ガス循環ポンプ、
119:化学物質等供給管、120:廃棄物排出装置、
121:廃棄物供給装置、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東海林 裕一 神奈川県川崎市川崎区浮島町2−1 株式 会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 永山 賢一 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 吉岡 律夫 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 宇都宮 一博 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 藤田 玲子 神奈川県川崎市川崎区浮島町2−1 株式 会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 2E191 BA01 BA11 BA12 BB00 BB01 BC01 BD11 4D004 AA41 AB03 AB05 AB06 AC05 CA12 CA22 CA27 CA34 CA36 CA37 CA40 CA44 CA45 CA47 CA50 CB04 CB05 CB31 CB42 CB44 CB45 CC01 CC02 CC03 CC11 CC13 4G075 AA37 BA01 BA05 BA06 BB01 BB02 BB03 BB04 BB05 BD12 BD13 CA02 CA20 CA51 CA62 DA01 DA02 DA13

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銃砲弾類の中に充填されているか若しく
    は専用の貯蔵容器類の中に貯蔵されている、毒性を有す
    る化学物質又は前記化学物質を含む若しくは前記化学物
    質で汚染された気体状、液体状、若しくは固体状の廃棄
    物を、溶融塩又は溶融塩の蒸気の中で酸化剤と接触させ
    て前記化学物質を分解する化学物質分解工程と、 前記化学物質分解工程に用いた後の前記溶融塩から該溶
    融塩中に含まれている不純物を分離除去する溶融塩浄化
    工程と、 前記溶融塩浄化工程において浄化した後の前記溶融塩
    を、前記化学物質を溶融塩又は溶融塩の蒸気の中で酸化
    剤と接触させて分解する際の溶融塩として再使用する溶
    融塩再使用工程とを具備することを特徴とする化学物質
    の分解方法。
  2. 【請求項2】 前記溶融塩の主成分が、アルカリ金属又
    はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩の一種類又は
    二種類以上の混合物から成ることを特徴とする請求項1
    に記載の化学物質の分解方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化剤が、酸素ガス、酸素を含む混
    合ガス、及び水蒸気、過酸化水素のような溶融塩又は溶
    融塩の蒸気の中で分解して酸素を生じる物質から選ばれ
    た一種類又は二種類以上から成ることを特徴とする請求
    項1又は2記載の化学物質の分解方法。
  4. 【請求項4】 前記化学物質分解工程に先立って、前記
    化学物質が含まれているか又は化学物質で汚染された気
    体状、液体状、若しくは固体状の廃棄物の中から化学物
    質を分離する前処理工程を具備することを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれか1項に記載の化学物質の分解方
    法。
  5. 【請求項5】 前記前処理工程においては、廃棄物又は
    毒性を有する化学物質の形態に応じて有機溶媒抽出法、
    吸着法、及び加熱・気体化法の中の一種類又は二種類以
    上の組み合わせから成る処理が施されることを特徴とす
    る請求項4に記載の化学物質の分解方法。
  6. 【請求項6】 ヒ素を含む化学物質の分解に用いた後の
    前記溶融塩から該溶融塩中に含まれている分解生成無機
    ヒ素化合物を含む不純物を分離除去するにあたり、前記
    溶融塩の中に溶解している分解生成無機ヒ素化合物の塩
    を分離除去し、さらに前記分解生成無機ヒ素化合物を固
    化して安定化することを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載の化学物質の分解方法。
  7. 【請求項7】 ヒ素を含む化学物質の分解に用いた後の
    前記溶融塩から該溶融塩中に含まれている分解生成無機
    ヒ素化合物を含む不純物を分離除去するにあたり、前記
    溶融塩の中に溶解している分解生成無機ヒ素化合物の塩
    を金属ヒ素に還元した後前記金属ヒ素を分離除去し、さ
    らに前記金属ヒ素を固化して安定化することを特徴とす
    る請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化学物質の分
    解方法。
  8. 【請求項8】 銃砲弾類の中に充填されているか若しく
    は専用の貯蔵容器類の中に貯蔵されている、毒性を有す
    る化学物質又は前記化学物質を含む若しくは前記化学物
    質で汚染された気体状、液体状、若しくは固体状の廃棄
    物を、前記銃砲弾類若しくは貯蔵容器類の中から取出す
    化学物質等取出手段と、 溶融塩又は溶融塩の蒸気を内部に保持する溶融塩反応槽
    と、 前記溶融塩反応槽中の溶融塩又は溶融塩の蒸気を加熱す
    る加熱手段と、 前記化学物質等取出手段により取出した前記化学物質又
    は前記廃棄物を前記溶融塩反応槽内に供給する化学物質
    等供給手段と、 酸化剤を前記溶融塩反応槽内に供給する酸化剤供給手段
    と、 前記溶融塩反応槽の中から使用後の溶融塩を抜出し該溶
    融塩の中に含まれている不純物を取除く溶融塩浄化手段
    とを備えたことを特徴とする化学物質の分解装置。
  9. 【請求項9】 前記廃棄物の中から前記化学物質を溶媒
    によって抽出分離する抽出手段と、 前記抽出分離手段により抽出分離された化学物質を濃縮
    する濃縮手段と、 溶融塩又は溶融塩の蒸気を内部に保持する溶融塩反応槽
    と、 前記溶融塩反応槽中の溶融塩又は溶融塩の蒸気を加熱す
    る加熱手段と、 濃縮された化学物質をその媒質とともに前記溶融塩反応
    槽内に供給する化学物質供給手段と、 酸化剤を前記溶融塩反応槽内に供給する酸化剤供給手段
    と、 前記溶融塩反応槽の中から使用後の溶融塩を抜出し該溶
    融塩の中に含まれている不純物を取除く溶融塩浄化手段
    とを備えたことを特徴とする化学物質の分解装置。
  10. 【請求項10】 前記廃棄物を不活性キャリアガス気流
    中で加熱して該廃棄物中に含まれている毒性を有する化
    学物質を気体状態にさせる気化槽と、 溶融塩又は溶融塩の蒸気を内部に保持する溶融塩反応槽
    と、 前記溶融塩反応槽中の溶融塩又は溶融塩の蒸気を加熱す
    る加熱手段と、 前記気化槽で気体状態にされた毒性を有する化学物質
    を、不活性キャリヤガスとともにそのまま、又は濃縮手
    段を介して濃度を高めて、前記溶融塩反応槽内に供給す
    る化学物質供給手段と、 酸化剤を前記溶融塩反応槽内に供給する酸化剤供給手段
    と、 前記溶融塩反応槽の中から使用後の溶融塩を抜出し該溶
    融塩の中に含まれている不純物を取除く溶融塩浄化手段
    とを備えたことを特徴とする化学物質の分解装置。
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