JP2002063813A - エーテル化合物からなるゲル電解質及びそれを用いた電気化学素子 - Google Patents

エーテル化合物からなるゲル電解質及びそれを用いた電気化学素子

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JP2002063813A JP2000250688A JP2000250688A JP2002063813A JP 2002063813 A JP2002063813 A JP 2002063813A JP 2000250688 A JP2000250688 A JP 2000250688A JP 2000250688 A JP2000250688 A JP 2000250688A JP 2002063813 A JP2002063813 A JP 2002063813A
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electrolyte
ether compound
gel electrolyte
gel
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Masahito Tabuchi
雅人 田渕
Katsuto Miura
克人 三浦
Seiji Nakamura
誠司 中村
Yoshihiko Wada
嘉彦 和田
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Daiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分なイオン伝導性と、液漏れの心配がな
く、長期安定性に優れた電気化学素子を提供する。 特
に金属リチウムに対して安定な電解質及びシール剤を劣
化しない電解質を用いる。 【解決手段】 エーテル化合物と、ネットワーク構造を
形成する化合物、例えば架橋型高分子化合物やオイルゲ
ル化剤、および電解質塩化合物から構成されうるゲル電
解質を用いて電気化学素子を作製する。エーテル化合物
は25℃で液体性質を示すが、非常に沸点が高く、オリゴ
エチレンオキシド構造を有する。これからなるゲル電解
質は、液漏れの心配がなく、イオン伝導性に優れてお
り、これを用いることにより長期安定性に優れた電気化
学素子を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、高イオン伝導性を
有するエーテル化合物からなるゲル電解質に関する。更
に、そのゲル電解質を用いたリチウム電池ならびに光電
変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、リチウム電池を構成する電解質には、イオン伝導性
の点から、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネ
ートなどのカーボネート化合物が用いられているが、液
漏れによる機器の損傷の恐れがあることが問題視されて
いる。そのため、最近ポリマーとそれらの電解液を組み
合わせたゲル状の高分子固体電解質が開発されてきてい
る。そこでは、電解液がポリマーゲルの中に拘束されて
いるため、液の漏れや枯渇は多少は改善されている。更
に、負極にリチウム金属を用いた場合は、カーボネート
化合物はリチウム金属と反応し、リチウム金属表面状に
炭酸リチウムが析出するため、耐久性を短くするという
欠点があった。
【0003】また、最近注目されている太陽電池に使わ
れる光電変換素子用のイオン伝導体としても、カーボネ
ート化合物が用いられているが、シール剤の溶解、膨潤
を招きやすいという課題があった。
【0004】これらの問題点に対しては、テトラヒドロ
フラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエ
ーテル化合物は比較的良好である。しかしながら、ゲル
電解質においても、低沸点のエーテル化合物では蒸発に
よる液の枯渇による性能安定性の低下を免れない。
【0005】そこで、高沸点の直鎖状エーテル化合物を
用いる方法(特開平5−120912)が提案されてい
るが、高沸点の直鎖状エーテル化合物は、室温以下では
結晶性が高いためイオン伝導性は著しく低下する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、式(I)、
式(II)、及び式(III)からなる群より選ばれたエーテル
化合物を含有してなることを特徴とするゲル電解質を用
いることにより前記問題点を解決できることを見いだし
た。該エーテル化合物と、ネットワーク構造を形成する
化合物、および電解質塩化合物から構成されうるゲル電
解質が、広い温度範囲で優れたイオン伝導性を示すこと
を見出し、従来の電解液と比較して、このエーテル化合
物の沸点は非常に高いために蒸発による液の枯渇の心配
がなく、金属リチウムに対して安定であるためリチウム
電池、光電変換素子用の電解質として有用であることを
見出して本発明を完成した。すなわち、本発明は、充分
なイオン伝導性と優れた安定性を有する電解質を用いる
ことにより、長期安定性に優れた電気化学素子を提供す
る。
【0007】
【化4】
【0008】[R1、R2、R3は炭素数1〜6のアルキル
基又は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる基であ
る。但し、R2は水素原子であってもよい。l、m、nは
0〜12である。但し、l、m、nの全てが同時に0で
あることはない。]
【0009】
【化5】
【0010】[R4、R5、R6、R7は炭素数1〜6のア
ルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる
基である。o、p、q、r、sは0〜12である。但し、o、
p、q、r、sの全てが同時に0であることはない。]
【0011】
【化6】
【0012】[R8、R9、R10、R11は炭素数1〜6の
アルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれ
る基である。但し、R10は水素原子であってもよい。
t、u、v、w は0〜12である。但し、t、u、v、wの全
てが同時に0であることはない。]
【0013】本発明に係るゲル電解質は、式(I)、式(I
I)、及び式(III)からなる群より選ばれたエーテル化合
物と、ネットワーク構造を形成する化合物と、電解質塩
化合物とからなることを特徴とする。ここで式(I)、式
(II)、及び式(III)で表されるエーテル化合物を2つ以
上併用しても良い。本エーテル化合物は25℃で液体であ
る事が望ましく、特に式(I)の化合物で分子量が200〜60
0のものが望ましい。分子量が200未満であると蒸気圧が
高くなり、600を越えると粘性が高くなる。
【0014】本発明では、ネットワーク構造を形成する
化合物を用いた電解質をゲル電解質と称し、ネットワー
ク構造を形成する化合物は、有機溶媒をネットワークの
中に閉じこめる効果があり、溶媒保持ならびに機械的強
度に優れている。本発明において、ネットワーク構造を
形成する化合物としては、架橋型高分子化合物ならびに
オイルゲル化剤などが挙げられる。
【0015】架橋型高分子化合物としては、高分子化合
物自体が電解液に膨潤してイオン伝導性を示すものを用
いることができる。電解液に膨潤してイオン伝導性を示
す高分子化合物としては、主鎖にポリアクリレート、ポ
リメタクリレート、ポリアルキレンオキシド(例えば、
ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド)、ポ
リアクリロニトリル、ポリフォスファゼン、ポリシロキ
サンなどの構造を有し、側鎖にオリゴアルキレンオキシ
ド構造を有する共重合体等からなる高分子化合物などが
挙げられる。その中でも特にオリゴアルキレンオキシド
構造を主鎖及び/又は側鎖として有するものが好まし
い。本発明では、主鎖及び/又は側鎖にオリゴエチレン
オキシド構造を有する高分子化合物がイオン伝導性が良
好なため好ましく、本オリゴエチレンオキシド構造を有
する高分子化合物の架橋前重量平均分子量が104〜107
あると膨潤しやすく更に好ましい。
【0016】架橋型高分子化合物としては、メタクリレ
ート基、アクリレート基、ビニル基、アリル基、などの
重合性基を多官能有する高分子化合物などを用いること
ができる。またこれらの高分子化合物に架橋構造を持た
せるためには、オリゴアルキレンジメタクリレート、オ
リゴアルキレングリコールジアクリレート、アルキルジ
アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、などの多
官能性基を有する架橋剤を併用することができる。これ
らの架橋剤を用いることにより、ゲル化が促進し、得ら
れる架橋型高分子化合物の機械的強度は向上する。
【0017】前述の高分子化合物は、一般的な高分子合
成法の一つであるラジカル重合によってゲル化させて架
橋型高分子化合物を得ることができる。高分子化合物
は、加熱、光、電子線、および電気化学的な方法でゲル
化することができる。加熱によってゲル化させる場合に
好ましく用いられる重合開始剤は、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミ
ルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパ
ーオキシドなどの過酸化物系開始剤、2,2’−アゾイ
ソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)などのアゾ系開始剤等である。開
始剤の添加量は開始剤の種類により異なるが、通常、高
分子化合物と架橋剤の総量100重量部に対して、0.1〜10
重量部の範囲である。
【0018】架橋型高分子化合物としては、水酸基、ア
ミノ基、カルボニル基などの反応性基を多官能有する高
分子化合物を用いることができる。この場合、架橋構造
を形成する目的として、エポキシ基、イソシアネート基
などの多官能性基を有する架橋剤を併用することができ
るが、これらに限定されるものでない。ゲル化方法とし
ては、加熱縮合反応法を用いることが一般的である。
【0019】重合性モノマーと電解液とを含む混合物を
電極に含浸させ、次いで、該モノマーを重合させてゲル
電解質を製造することができる。モノマーを重合させて
得られる架橋型高分子化合物としては、オリゴアルキレ
ングリコールジメタクリレート、オリゴアルキレングリ
コールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレートなどの多官能性基を有するモノマーの少な
くとも一種を重合させたものを用いると、良好なイオン
伝導性を示すゲル電解質が得られるため好ましい。重合
性モノマーは、加熱、光、電子線、および電気化学的な
方法で重合することができる。
【0020】エーテル化合物と架橋型高分子化合物の配
合割合は任意であるが、通常、エーテル化合物100重量
部に対して、架橋型高分子化合物が1〜50重量部であ
る。
【0021】エーテル化合物は分子中にエーテル基とい
う極性基を有する化合物であるため、オイルゲル化剤を
用いてゲル状態にすることができる。オイルゲル化剤と
は、非水系有機溶媒に配合して得られる混合物を、室温
よりも高い温度に加熱すると均一な溶液を形成し、この
溶液を室温付近まで冷却するとゲル状組成物を形成する
物質をいう。
【0022】オイルゲル化剤は、例えば、「高分子加
工」第45巻第1号第21〜26頁(1996年)に記
載されているように、既に、種々のものが知られている
おり、特に、限定されることなく、いずれでも用いるこ
とができるが、好ましい具体例として、例えば、12−
ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタ
ミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド、1,2,
3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、ジアルキ
ルリン酸アルミニウム、2,3−ビス−n−ヘキサデシ
ロキシアントラセン、トリアルキル−シス−1,3,5
−シクロヘキサントリカルボキシアミドなどが挙げられ
る。
【0023】オイルゲル化剤の配合量は、混合するエー
テル化合物と電解質塩化合物からなる混合液への溶解度
を限度として任意に選択することができる。一般にオイ
ルゲル化剤の配合量が多いほど、更に高温域、40℃以
上の温度下でさえゲル状を保持することができる。しか
し、配合量が多すぎると、イオン伝導度が低下する場合
がある。オイルゲル化剤の配合量は、エーテル化合物10
0重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0024】本発明において用いられる電解質塩化合物
としては、本発明のエーテル化合物に可溶なものなら
ば、いずれでもよいが、以下に挙げるものが好ましく用
いられる。即ち、金属陽イオン、アンモニウムイオン、
アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ば
れた陽イオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオ
ン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフル
オロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF6 -、PF6 -
ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオ
ン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンス
ルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオ
ン、7,7,8,8-テトラシアノ-p- キノジメタンイオン、R
12SO3 -、[(R12SO2)(R13SO2)N]-、[(R12
2)(R13SO2)(R14SO2)C]-、及び[(R12SO2)
(R13SO2)YC]- から選ばれた陰イオンとからなる化
合物が挙げられる。
【0025】但し、R12、R13、R14、およびYは電子
吸引性基である。好ましくはR12、R13、及びR14は各
々独立して炭素数が1から6迄のパーフルオロアルキル
基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、
ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ
基、又はトリアルキルアンモニウム基である。R12、R
13、及びR14は各々同一であっても、異なっていてもよ
い。
【0026】金属陽イオンとしては遷移金属の陽イオン
を用いる事ができる。この陽イオンは使用する用途によ
って好ましい種が異なる。たとえば、本発明の方法を用
いてリチウム電池を製造する場合は、添加する電解質化
合物としてリチウム塩を用いることが好ましい。特に、
リチウム二次電池を製造する場合、広い電位領域を使用
するため、電解質化合物として電気化学的に安定なリチ
ウム塩が好ましく、この例として、LiCF3SO3、L
iC49SO3などのフルオロアルキルスルホン酸リチ
ウム塩、LiN(CF3SO22等のスルホニルイミド
リチウム塩、LiBF4、LiPF6、LiClO4、L
iAsF6を挙げることができる。電解質塩化合物とし
て前述の化合物を2種以上併用することは自由である。
【0027】本発明において、前述の電解質塩化合物の
使用量は、エーテル化合物とネットワーク構造を形成す
る化合物の混合物100重量部に対して、1〜50重量部、例
えば2〜40重量部であってよい。
【0028】前述で示されたゲル電解質は正極の活物質
および負極活物質としてのリチウム金属に安定であり、
その性質を利用したリチウム電池の作製が可能である。
本発明の電池をリチウム一次電池として構成する場合、
正極活物質としてはMnO2又は(CF)n等を使用すること
が出来る。また、リチウム二次電池として構成する場
合、正極活物質としては、MnO2等のマンガン酸化
物、V25、V613等のバナジウム酸化物、リチウム
−コバルト複合酸化物、リチウム−ニッケル複合酸化物
等の無機系材料、ポリアセン、ポリピレン、ポリアニリ
ン、ポリフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリアズレン
等の有機系材料を使用することが出来る。負極活物質と
しては、リチウム金属、リチウム−アルミニウム合金、
リチウム−鉛合金、リチウムがグラファイトあるいはカ
−ボンの層間に吸蔵された層間化合物等の使用が可能で
ある。
【0029】エーテル化合物とネットワーク構造を形成
する化合物の混合物に電解質塩化合物を溶かし、キャス
ティング、コ−ティング等の方法でガラス基板、ポリテ
トラフルオロエチレン基板等にキャストした後、ゲル化
反応を行い、得られたゲル電解質フィルムを正極、負極
で挟むことが可能である。また、エーテル化合物とネッ
トワーク構造を形成する化合物の混合物に電解質塩化合
物を溶かし、キャスティング、コ−ティング等の方法に
より、正極、負極上に液流失防止のガイドを設けて直接
電解液を塗布し、これをゲル化させ、電解質層を形成し
てもよい。ここで負極へ電解質を塗布する場合は不活性
ガス雰囲気中又は乾燥空気中での作業が必要である。負
極に反応性の高いリチウム金属を使用する場合には、作
業中にリチウムの腐蝕などによる電極の劣化が生じやす
いので、正極上に塗布することが好ましい。
【0030】更に本発明に係るエーテル化合物と電解質
塩化合物とからなる電解液と、ネットワーク構造を形成
する化合物とからなるゲル電解質は容易に太陽電池用の
光電変換素子に利用することができる。光電変換素子と
して用いる場合は、電解質塩化合物としては酸化還元対
を用いることが好ましい。本発明でいう酸化還元対と
は、可逆的酸化還元反応を行う一対の化合物で、酸化体
・還元体を独立に系内に添加したとき、速やかに電気化
学的平衡に達するような物質を意味する。酸化還元対
は、ヨウ素−ヨウ素化合物の組み合わせまたは臭素−臭
素化合物の組み合わせである。
【0031】ヨウ素−ヨウ素化合物の組み合わせの酸化
還元対は、例えばI2とLiI、NaI、KI、Cs
I、CaI2等の金属ヨウ化物の組み合わせ、またはI2
とアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨー
ダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩もしくは
それらを側鎖に持つ高分子化合物等の組み合わせにより
構成されることが好ましい。
【0032】臭素−臭素化合物の組み合わせの酸化還元
対は、例えばBr2とLiBr、NaBr、KBr、C
sBr、CaBr2等の金属臭化物、あるいは、Br2
アルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマ
イドなどの4級アンモニウム化合物の臭素塩またはそれ
らを側鎖に持つ高分子化合物等の組み合わせにより構成
されることが好ましい。
【0033】酸化還元対の混合割合は、任意に選択する
ことが出来る。一般に酸化還元対の混合量が多いほど高
いイオン伝導度を示す電解質を得ることが出来る。しか
し、混合量が多すぎると、イオンの解離が起こりにくく
なり、伝導度が低下してくる。また、酸化還元対の平衡
電位が問題になる場合は、必要な平衡電位が得られるよ
う混合量を調整することができる。
【0034】上記酸化還元対の使用量は、エーテル化合
物とネットワーク構造を形成する化合物の混合物100重
量部に対して1〜50重量部、例えば5〜35重量部で
あってよい。酸化還元対におけるヨウ素:ヨウ素化合物
(および臭素:臭素化合物)のモル比は、1:5〜5:
1が好ましい。
【0035】光電変換素子とは、電極間の電気化学反応
を利用して、光エネルギーを電気エネルギーに変換する
素子である。この光電変換素子に光を照射すると、一方
の電極で電子が発生し、電極間に設けられた電線を通っ
て対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質
中の酸化還元対を還元する。還元された酸化還元対は、
電解質中を陰イオンとして一方の電極から他方の電極へ
移動して、他方の電極に達し自らは酸化体に戻ること
で、電子を他方の電極に戻す。このようにして、本発明
の光電変換素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変
換できる素子である。
【0036】本発明における光電変換素子は、エーテル
化合物を含むゲル電解質および一対(2つ)の電極を有
してなる。電極としては、ガラス板(光を透過する透明
基板)に付着された導電体が挙げられる。電極を有する
ガラス板は、金属、炭素、もしくは金属酸化物などの導
電性材料をコーティングしたガラス板であってよい。こ
の中でもインジウム−スズ複合酸化物をコーティングし
た表面が導電性のガラスが好ましい。
【0037】電極に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タング
ステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、
チタン酸カリウム、タンタル酸カリウム、酸化タングス
テン、酸化鉄などの酸化物半導体、硫化カドミウム、C
dTe、ケイ素、フタロシアニン、ポリチエニレン、ポ
リピロール、ポリアニリンなどの半導体微粒子、これら
の半導体微粒子を色素や他の無機物で増感したものなど
を一層または二層以上担持させると、より好ましい光電
変換素子が得られる。すなわち、本発明の光電変換素子
は、エーテル化合物よりなるゲル電解質、半導体(例え
ば、n型半導体またはp型半導体)を含んでなる1つの
電極、半導体(例えば、p型半導体またはn型半導体)
または金属である1つの対電極を有してなってよい。
【0038】電極に担持する半導体としては、酸化物半
導体が好ましく、特に、酸化チタンまたは色素で増感し
た酸化チタンが、安定性、安全性、価格の点から好まし
い。色素としては、有機金属錯体、例えばルテニウム−
ビピリジン錯体、特にシス−ジチオシアナト−N,N’
−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン
酸)ルテニウム(II)(cis-dithiocyanato-N,N'-bis
(2,2'-bipyridyl-4,4'-dicarboxylic acid)ruthenium(I
I))を用いることができる。
【0039】半導体微粒子を表面が導電性のガラス上に
塗設する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコ
ロイド溶液を表面が導電性のガラス上に塗布する方法が
挙げられる。半導体微粒子の分散液を調製する方法とし
ては、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら
分散する方法などが挙げられる。分散液としてはメタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセ
トニトリルなどの有機溶媒が挙げられる。
【0040】半導体微粒子は表面が導電性のガラス上に
塗布した後に電気的な粒子同士の密着性、またガラスと
の密着性を高めるために焼成することが好ましい。好ま
しい焼成温度範囲は50〜700℃である。
【0041】半導体微粒子に色素を吸着させるには色素
溶液中に乾燥した半導体微粒子を浸漬する方法が一般的
である。半導体微粒子を表面が導電性のガラス上に塗布
した後に吸着させる場合は、半導体を表面が導電性のガ
ラス上に塗布し焼成した後に色素を吸着させるのが好ま
しい。
【0042】本発明のゲル電解質は、エーテル化合物、
ネットワーク構造を形成する化合物、重合開始剤(架橋
型高分子化合物の場合)、酸化還元対からなる溶液を調
製し、色素を担持した電極上に溶液状の電解質層を塗布
法、浸漬法、含浸法などにより形成させて、その後ゲル
化させることにより作製することが好ましい。
【0043】電解質として、酸化還元対を用いる場合に
は、酸化還元対の一方、特に還元状態の化合物がラジカ
ル重合禁止剤として働き、ゲル化を阻害する場合があ
る。そこで本発明においては、酸化還元対の一方とモノ
マーとを多孔性物質中に含浸させ、次いで適当な方法で
重合させ、次いで、前記の酸化還元対の残る一方を吸収
させて、電極上にゲル電解質を存在させる方法が好まし
い。例えば、酸化還元対として、ヨウ素とヨウ素化合物
とを用いる場合、ヨウ素は、ラジカル重合禁止剤として
働くため、まずヨウ素化合物とエーテル化合物、前述の
架橋型高分子ゲル化合物を構成する高分子化合物あるい
はモノマー類、重合開始剤からなる溶液を電極上に塗布
あるいは含浸させて、次いでゲル化させる。次にこのよ
うにして得られたものをヨウ素と共に密閉容器中に置く
と、容器中に拡散したヨウ素が架橋型高分子ゲル化合物
中に吸収され、あらかじめ混合したヨウ素化合物と酸化
還元対を形成して、本発明の複合体を製造することがで
きる。また、本発明の複合体を光電変換素子に適用する
場合には、光電変換素子を構成する対電極に酸化還元対
の残る一方を塗布あるいは蒸着などの方法により担持さ
せておくこともできる。
【0044】光電変換素子に本発明のゲル電解質を用い
た複合体を用いると、優れたイオン伝導性を有しかつ電
気的接続が良好であるため、電解質溶液を用いた場合と
同様に良好な変換効率を有する光電変換素子を得ること
ができる。さらに、エーテル化合物はシール剤に対して
も安定であり、また電解液の蒸気圧が低いため、液の枯
渇や液漏れなどの心配が無く長期安定性が向上する。
【0045】本発明は、リチウム電池用の電解質、なら
びに太陽電池、光センサー用の光電変換素子として使用
できる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。
【0047】合成例1 <エーテル化合物(IV)の合成> (工程1)ジエチレングリコールモノメチルエーテル3
60g(3.0モル)にペレット状のNaOH 44.0
g(1.1モル)を加え、70℃で攪拌しながら、2−
(2−メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル 1
76g(1.0モル)を少量ずつ滴下した。滴下終了
後、約1時間攪拌した後室温で放冷した。その後、塩酸
で中和し、析出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧蒸留
により精製し、1,3−ビス[2−(2−メトキシエトキ
シ)エトキシ]−2−プロパノール222g(収率75
%)を得た。蒸留温度は171〜175℃/0.8mm
Hgであった。 (工程2)工程1で選られた1,3−ビス[2−(2−メト
キシエトキシ)エトキシ]−2−プロパノール 100g
(0.34モル)にペレット状のNaOH 20.4g
(0.51モル)を加え、60℃で攪拌しながら、2−
クロロエチルメチルエーテル 48.2g(0.51モ
ル)を少量ずつ滴下した。滴下終了後、約2時間攪拌
し、析出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧蒸留により
精製し、1,3−ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エト
キシ]−2−(2−メトキシエトキシ)プロパン(IV)10
2g(収率 85%)を得た。蒸留温度は155〜16
1℃/0.2mmHgであった。
【0048】
【化7】
【0049】合成例2 <エーテル化合物(V)の合成>合成例1の工程1と同
様の方法で合成した1,3−ビス(2−メトキシエトキ
シ)−2−プロパノール 100g(0.48モル)にペ
レット状のNaOH 9.6g(0.24モル)を加え、
70℃で攪拌しながら2−クロロエチルエーテル11.
4g(0.08モル)を少量ずつ滴下した。滴下終了
後、約2時間攪拌した後、室温で放冷した。その後、析
出した塩をろ過し、濃縮した後、減圧下(180℃/0.1mmH
g)で低沸物を除いて、(V)式の化合物 31.2g(収
率80%)を得た。
【0050】
【化8】
【0051】合成例3 <ポリエーテル共重合体(VI)の合成>内容量3Lのガラ
ス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒と
してトリブチル錫クロライド0.1g及びトリブチルホ
スフェート0.3gを250℃で20分間加熱して得ら
れた有機錫−リン酸エステル縮合物と水分10ppm以
下に調整した2―(2―メトキシエトキシ)エチルグリ
シジルエーテル300g、アリルグリシジルエーテル1
5g及び溶媒としてヘキサン2,000gを仕込み、エ
チレンオキシド75gはグリシジルエーテル化合物の重
合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添
加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテー
ションにより生成物を取り出した後、減圧下40℃で2
4時間乾燥することによって、ポリエーテル共重合体
(VI)340gを得た。1H-NMRスペクトルから求
めたこの共重合体のモノマー換算組成は、2―(2―メ
トキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル:エチレン
オキシド:アリルグリシジルエーテル=49:51:1
モル%、またゲルパーミュエションクロマトグラフィに
よる重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で125万
であった。
【0052】実施例1 <ゲル電解質フィルムの作製>エーテル化合物(IV)8.
0g、ポリエーテル共重合体(VI)2.0g、架橋剤とし
てジエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂株
式会社製 ブレンマーPDE-100)0.10g、およ
びベンゾイルパーオキシド0.020gとの混合物に、
電解質塩LiClO4を、全体のエーテル系酸素原子に
対して5モル%を添加して均一にした。この混合液を1
0分間真空脱気し、ポリテトラフルオロエチレン製モー
ルド上にキャストした後、不活性ガス雰囲気中、80℃
で3時間加熱して、厚み約0.20mmのゲル電解質フ
ィルムを得た。このフィルムを10mmφの円盤状に打ち
抜き、伝導度測定ホルダーに設けられた電極にはさみ、
インピーダンスアナライザーにて、印加電圧10mV、
周波数範囲5Hz〜13MHzの交流法を用い、複素イ
ンピーダンスプロットよりイオン伝導度σを算出した。
イオン伝導度は25℃で、5.2×10-4S/cmであ
った。
【0053】実施例2 <正極の作製方法>LiCoO2粉末85gに対してア
セチレンブラック12gとポリフッ化ビニリデン共重合
体(アトケム社製カイナ−2801)13g、ジメチルホ
ルムアミド30gをディスパーを用いて混合した後、ア
ルミニウム箔(厚さ25μm)上に均一に塗布し、脱溶媒
させた。さらに、これを加圧成形し、真空加熱(100
℃)下で十分に脱溶媒し、ロ−ルプレスで圧延し、厚さ
80μmの正極を作成した。
【0054】実施例3 <リチウム電池の組立と充放電試験>実施例1で調製し
たゲル電解質フィルム、負極としてリチウム金属箔(厚
さ0.10mm)、及び上記正極を張り合わせて二次電
池を構成した。電池の組立作業はアルゴンガス雰囲気の
グロ−ブボックス中で行った。組上がったセルを50℃
の恒温槽で16時間保持した後、10℃、60℃で電池の
充放電特性を調べた。電圧2.8V−4.1Vの間で
4.1Vまで電流密度0.10mA/cm2で定電流(C
C)、以後定電圧4.1V(CV)で充電を行った。次
に電流密度0.10mA/cm2の定電流(CC)条件で
4.1Vから2.8V迄放電した。初期容量は60℃で
128mAh/g、10℃で90mAh/gを示した。こ
のセルを50℃の恒温槽で二ヶ月間保存した後、充放電
を行ったが、いずれの温度においても放電容量の低下は
なかった。
【0055】実施例4 実施例1において、エーテル化合物(IV)8.0gに代え
て、エーテル化合物(V)8.0gを用いること以外は、
実施例1と同様の方法にてゲル電解質フィルムを得た。
このフィルムのイオン伝導度は25℃で、4.6×10
-4S/cmであった。このようにして得られたゲル電解
質フィルムを用いて、実施例3と同様の方法にて、セル
を組上げて充放電試験及び保存試験を行った。初期容量
は60℃で125mAh/g、10℃で92mAh/gを
示した。保存による放電容量の低下はなかった。
【0056】実施例5 エーテル化合物(IV)9.6gに、オイルゲル化剤として
12−ヒドロキシステアリン酸0.4gを添加した混合
物に、LiClO4を全体のエーテル系酸素原子に対して5モ
ル%を添加して、これを60℃に加熱して均一にした。
この混合物を、ポリテトラフルオロエチレン製モールド
上にキャストした後、室温に冷却して、厚み約0.30
mmのゲル電解質フィルムを得た。このフィルムのイオ
ン伝導度は25℃で、1.0×10-3S/cmであっ
た。
【0057】比較例1 電解液に1.0 mol/l−LiClO4/エチレンカーボネ
ート:ジエチルカーボネート(重量比1:1)の混合液を用
い、負極としてリチウム金属箔、及び実施例2で作成し
た正極を用いてリチウム電池を組上げた。正負極、電解
質層を重ねたのちアルミラミネートで外装するが、50℃
保存することにより溶媒揮発により電解質層から液が抜
けて密封セルが膨張してしまう。
【0058】比較例2 実施例1において、エーテル化合物(IV)8.0gに代え
て、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(重量
比1:1)の混合液8.0gを用いること以外は、実施例
1と同様に処理して、ゲル電解質フィルムを得た。この
フィルムのイオン伝導度は25℃で、3.8×10-3
/cmであった。このようにして得られたゲル電解質フ
ィルムを用いて、実施例3と同様の方法にて、セルを組
上げて充放電試験を行ったが、液漏れによる放電容量の
著しい低下が認められた。
【0059】比較例3 実施例1において、エーテル化合物(IV)8.0gに代え
て、分子量574のポリエチレンオキシドジメチルエー
テル8.0gを用いること以外は、実施例1と同様に処
理して、ゲル電解質フィルムを得た。このフィルムのイ
オン伝導度は25℃で、8.1×10-5S/cmであっ
た。このようにして得られたゲル電解質フィルムを用い
て、実施例3と同様の方法にて、セルを組上げて充放電
試験を行ったが、初期容量は60℃で130mAh/g
であり、10℃では36mAh/gと非常に低かった。
【0060】実施例6 <光電変換素子の組立と特性評価> (工程1)ITO(インジウム−スズ酸化物)をスパッ
タ法によりコーティングした大きさ20mm×20mm
の透明ガラス板(ガラス板の厚さ:2mm、ITO膜の
厚さ:20μm)に酸化チタンのイソプロパノール懸濁
液を塗布して、室温で1日間乾燥した後、450℃で3
0分間焼結して多孔質酸化チタン被膜(厚さ:10μ
m)を形成した。得られた多孔質酸化チタン被膜に、増
感色素として、シス−ジチオシアナト−N,N’−ビス
(2、2−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテ
ニウム(II)のルテニウム−ビピリジン錯体のエタノール
溶液を含浸させて、多孔質酸化チタン被膜10mm2
たり増感色素を100μg吸着させた。
【0061】(工程2)エーテル化合物(IV)8.0g、
ポリエーテル共重合体(VI)2.0g、架橋剤としてジエ
チレングリコールジメタクリレート(日本油脂株式会社
製 ブレンマーPDE-100)0.10g、ベンゾイル
パーオキシド0.020g、およびヨウ化リチウムLi
I1.0gからなる溶液を、上記で得られた多孔質酸化
チタン被膜上に塗布した。次に、これを10分間真空脱
気して、溶液の脱気および多孔性物質中の気泡を除き溶
液の浸透を促した後、80℃で3時間加熱してゲル化合
物を形成させた。このようにして得られた物質をヨウ素
雰囲気下に、30分間曝してゲル化合物中にヨウ素を拡
散させた。
【0062】(工程3)対電極として、白金をスパッタ
法によりコーティングした透明ガラス(ガラス厚さ:2
mm、白金膜の厚さ:20μm)に工程2と同様に溶液
を塗布後、ゲル化を行い、ゲル電解質を形成させた。 (工程4)工程2と工程3で作製した電極を圧着し、導
電性ペースト(銀ペースト)によりリード線(銅線)を
白金電極およびITO電極に取り付けて、次いで側面を
エポキシ樹脂で封止した後、光電変換素子を得た。つま
り、得られた光電変換素子は、図1に示すようなもので
あった。光電変換素子は、透明のガラス板1および6、
ITO電極2および白金電極5、半導体層3およびゲル
電解質層4を有する。光電変換素子の側面は、エポキシ
樹脂7で封止されている。電極2および電極5にはリー
ド線8が接続されている。リード線8は、銀ペースト、
カーボンペースト等の導電性ペーストによって電極2お
よび5に取付けられている。得られた光電変換素子は、
三ヶ月間屋外暴露された後、AM1.5のソーラーシミ
ュレータを光源として、86W/m2の光を照射して、
電流・電圧特性を測定した。本発明の光電変換素子の特
性は、短絡電流が0.41mA/cm2であり、フィル
ファクター(曲線因子)が0.67であった。
【0063】実施例7 エーテル化合物(IV)8.0gに代えて、エーテル化合物
(V)8.0gを用いること以外は、実施例6と同様に処
理して、光電変換素子を得た。得られた光電変換素子
は、三ヶ月間屋外暴露された後、AM1.5のソーラー
シミュレーターを光源として、86W/m2の光を照射
して、電流・電圧特性を測定した。本発明の光電変換素
子の特性は、短絡電流が0.39mA/cm2であり、
フィルファクターが0.66であった。
【0064】実施例6ならびに7の光電変換素子は、1
0℃から50℃の広い温度範囲において、安定な一定の
電流を発生し続けた。これらのゲル電解質は、光照射に
より直流電流を継続して流し、光電変換素子が太陽電池
として良好に機能していることがわかった。
【0065】比較例4 ゲル電解質の代わりに電解液として0.7 mol/l−Li
I/0.1 mol/l−I2/エチレンカーボネート:ジエチル
カーボネート(重量比1:1)の混合液を用い、ゲル電解
質を使用しない以外は実施例6の工程1及び工程3と同
様に作製した電極を用い、電極間にテフロン(登録商
標)製のスペーサを用いて光電変換素子を得た。得られ
た光電変換素子は、三ヶ月間屋外暴露されると、液が枯
渇した。シール剤としてエポキシ樹脂を使用するが、ジ
エチルカーボネートはエポキシ樹脂を冒しやすく、結果
的に溶媒が抜けるという状態になる。
【0066】比較例5 実施例6において、エーテル化合物(IV)8.0gに代え
て、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(重量
比1:1)の混合液8.0gを用いること以外は、実施例
6と同様の方法にて光電変換素子を得た。得られた光電
変換素子は、三ヶ月間屋外暴露されると、液が枯渇し
た。シール剤としてエポキシ樹脂を使用するが、ジエチ
ルカーボネートはエポキシ樹脂を冒しやすく、結果的に
溶媒が抜けるという状態になる。
【0067】比較例6 実施例6において、エーテル化合物(IV)8.0gに代え
て、分子量574のポリエチレンオキシドジメチルエー
テル8.0gを用いること以外は、実施例6と同様に処
理して、光電変換素子を得た。得られた光電変換素子
は、三ヶ月間屋外暴露された後、AM1.5のソーラー
シミュレーターを光源として、86W/m 2の光を照射
して、電流・電圧特性を測定した。本発明の光電変換素
子の特性は、短絡電流が0.15mA/cm2であり、
フィルファクターが0.45であった。この光電変換素
子は、20℃以下になると、著しく電流・電圧特性が低
下した。
【0068】
【発明の効果】本発明のエーテル化合物は沸点が高く、
またリチウム金属に対して安定であるため、炭酸エステ
ル系の電解液と比べて安全性やハンドリング性の面で優
れている。したがってエーテル化合物からなるゲル電解
質はリチウム電池への応用、更に電解液保持性が非常に
高くしかも封止材を冒さないので液漏れしないので光電
変換素子などへの応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例6で得られた光電変換素子の断面図で
ある。
【符号の説明】
1、6:透明ガラス板 2:ITO電極 3:多孔質TiO2層 4:高分子ゲル電解質層 5:白金電極 7:樹脂 8:リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 嘉彦 大阪府大阪市西区江戸堀1丁目10番8号 ダイソー株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA14 CB13 FA04 FA06 GA03 5G301 CA08 CA16 CA30 CD01 5H024 AA01 AA02 AA03 AA07 AA09 AA12 CC04 FF23 GG01 HH11 5H029 AJ15 AK02 AK03 AK05 AK16 AL07 AL08 AL12 AM00 AM16 BJ04 BJ12 DJ09 HJ11 HJ14 5H032 AA06 AS16 CC17 EE04 EE14 EE20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)、式(II)、及び式(III)からなる群
    より選ばれたエーテル化合物を含有してなることを特徴
    とするゲル電解質。 【化1】 [R1、R2、R3は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数
    2〜6のアルケニル基より選ばれる基である。但し、R
    2は水素原子であってもよい。l、m、nは0〜12であ
    る。但し、l、m、nの全てが同時に0であることはな
    い。] 【化2】 [R4、R5、R6、R7は炭素数1〜6のアルキル基又は
    炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる基である。
    o、p、q、r、s、は0〜12である。但し、o、p、q、
    r、sの全てが同時に0であることはない。] 【化3】 [R8、R9、R10、R11は炭素数1〜6のアルキル基又
    は炭素数2〜6のアルケニル基より選ばれる基である。
    但し、R10は水素原子であってもよい。t、u、v、w は
    0〜12である。但し、t、u、v、wの全てが同時に0で
    あることはない。]
  2. 【請求項2】 エーテル化合物が25℃で液体であること
    を特徴とする請求項1に記載のゲル電解質。
  3. 【請求項3】 ゲル電解質のネットワーク構造を形成す
    る化合物として架橋型高分子化合物またはオイルゲル化
    剤を用いた請求項1または2に記載のゲル電解質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のゲル電
    解質を用いることを特徴とするリチウム電池。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載のゲル電
    解質を用いることを特徴とする光電変換素子。
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