JP2002060993A - 時計用外装部品 - Google Patents

時計用外装部品

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JP2002060993A JP2000247930A JP2000247930A JP2002060993A JP 2002060993 A JP2002060993 A JP 2002060993A JP 2000247930 A JP2000247930 A JP 2000247930A JP 2000247930 A JP2000247930 A JP 2000247930A JP 2002060993 A JP2002060993 A JP 2002060993A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 梨地調の外観を保ちながら耐蝕性を向上さ
せ、更に金属アレルギー対策をとることを可能とした時
計用外装部品を提供することにある。 【解決手段】 この時計用外装部品は、Cu梨地メッキ
を施すことにより形成される7〜12μmのメッキ層6
と、その上にCu−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Z
n合金メッキを施すことにより形成される2〜5μmの
メッキ層8を有している。メッキ層6は固体微粒子6a
により表面が梨地となっている。メッキ層8は梨地感を
損なうことなく、耐蝕性を向上させる。Cu−Sn合金
メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキを施すことで、
Ni金属を使用することなく、所望の梨地感や光沢を得
ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛キャスト素材
あるいは真鍮キャスト素材を用いる時計用外装部品に関
するものであり、特に表面に梨地調仕上げを施すと共に
Ni金属を含まないメッキによる表面処理を施したもの
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ケース、レジスターリング、
バンド等の時計用外装部品には、亜鉛素材や真鍮素材が
よく使用されている。この時計用外装部品は、亜鉛キャ
ストや真鍮キャストの形成方法により素材を形成し、こ
の素材に所要の加工を施した後、耐蝕性や装飾性を高め
るため数種類のメッキを施して表面にメッキ層を形成
し、完成されるものであった。このような部品形成の中
で、携帯時計等として落ち着いた装飾性を得るために、
ホーニングを施して光沢を抑えた梨地調に仕上げること
がある。このような梨地調の外装部品の場合、以下に示
すような構成となっていた。
【0003】即ち、素材が亜鉛キャストの場合、高級感
のある外観色を得るために、素材の表面にCuメッキを
施して第1のメッキ層を形成し、この第1のメッキ層の
上に光沢Niメッキを施して第2のメッキ層を形成し、
ここでホーニングを施して表面に梨地調の模様を形成
し、更に光沢Niメッキを施して第3のメッキ層を形成
し、仕上げメッキとしてPdメッキやAuメッキを施し
て第4のメッキ層を形成し、白色外観色や金色外観色を
得ていた。
【0004】また、真鍮キャスト素材の場合、下地メッ
キとしてのCuメッキを削減して素材の表面に光沢Ni
メッキを施して第1のメッキ層を形成し、このメッキ層
にホーニングを施し、更に光沢Niメッキを施して第2
のメッキ層を形成し、PdメッキやAuメッキを施して
第3のメッキ層を形成し、白色外観色や金色外観色を得
ていた。
【0005】上記のような形成工程におけるメッキ厚
は、概ね、Cuメッキが10〜20μm、ホーニング前
の光沢Niメッキが10〜15μm、ホーニング後の光
沢Niメッキが0.1〜0.2μm、Pdメッキが0.
1〜2μm、Auメッキが0.03〜2μmに設定され
ていた。
【0006】上記Cuメッキは亜鉛キャスト素材の腐食
を防止するために施すものであるため、かなり厚くする
ことが必要である。また、ホーニング前の光沢Niメッ
キは、Cuメッキあるいは真鍮キャスト素材の腐食を防
止するために施している。この光沢Niメッキのメッキ
厚は、ホーニングを施すことから、通常のホーニングを
施さない部品に比べて厚くなるように設定されている。
また、ホーニング後の光沢Niメッキは、模様の梨地感
を保ちながら所望の光沢を出すために施すものであり、
そのメッキ厚を厚くし過ぎると梨地感が薄れて光沢が増
すため、非常に薄いメッキ厚に設定されている。更に、
PdメッキやAuメッキは外観色を出すために施される
ものであり、非常に高価であると共に耐摩耗性等を考慮
して概ね2μm以下のメッキ厚となるように管理されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、ホーニングにより梨地調の模様を形成したときに、
深く打痕が形成される場合があり、その上にメッキを施
しても耐蝕性が低下することがあった。特に、梨地感を
保つため、ホーニング後の光沢Niメッキのメッキ厚を
薄くしなければならなかったため、梨地調の外観に仕上
げながら耐蝕性を高めることは困難であった。
【0008】仮に耐蝕性だけを高めるのであれば、ホー
ニング後の光沢Niメッキのメッキを厚くして対処する
ことが考えられるが、このようにメッキ厚を厚くすると
梨地感が薄れて光沢が増してしまい、所望の梨地感や光
沢を得ることができなくなってしまう。また、光沢Ni
メッキに代えて通常のNiメッキを厚く形成して耐蝕性
を高めることも考えられるが、これでは全く艶が出ずに
曇りが現われてしまい、外観品質が著しく低下すること
になる。更に、仕上げメッキであるPdメッキやAuメ
ッキを厚くして耐蝕性を高めることも考えられるが、コ
ストが大幅に上昇することになる。上記のように梨地調
の模様を設ける場合、耐蝕性と外観品質、あるいは耐蝕
性と製造コストに関する条件を全て満足させなければな
らなかった。
【0009】また、ホーニングにより梨地調の模様を形
成すると、部品表面の形状によっては模様にバラツキが
生じることがあった。
【0010】更に、ホーニングで形成した梨地調の模様
は、その表面の粗さにより、上に形成されるメッキ層と
の密着性があまり良くないため、熱による膨張時に剥が
れ等の不良が発生することがあった。
【0011】更にまた、ホーニングで梨地調の模様を形
成する場合、部品の側面等、部品全面にホーニングを施
すことが必要であると、作業に時間がかかり、生産性が
悪いという課題もあった。
【0012】また、現在では、梨地調の模様を有する時
計用外装部品であっても、金属アレルギー対策の一つと
して、アレルギー症状を引き起こすNi金属を使用しな
いものを商品化することが急務とされている。このよう
に梨地調の模様を有する時計用外装部品の場合、金属ア
レルギー対策を取りながら、更に前述したような耐蝕性
あるいは外観品質等に関する条件を満足させなければな
らないという課題があった。
【0013】本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなさ
れたもので、梨地調の外観を保ちながら耐蝕性、外観品
質及び生産性を向上させ、更に金属アレルギー対策をと
ることを可能とした時計用外装部品を提供するものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の時計用外装部品
は、請求項1に示すように、亜鉛キャストの素材に、C
uメッキを施すことにより形成される第1のメッキ層
と、この第1のメッキ層の上にCu梨地メッキを施すこ
とにより形成される第2のメッキ層と、この第2のメッ
キ層の上にCu−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn
合金メッキを施すことにより形成される第3のメッキ層
と、この第3のメッキ層の上にPdメッキを施すことに
より形成される第4のメッキ層と、を有するものであ
る。この時計用外装部品における前記第1のメッキ層は
10〜23μmの厚みを有し、前記第2のメッキ層は7
〜12μmの厚みを有し、前記第3のメッキ層は2〜5
μmの厚みを有し、前記第4のメッキ層は0.03〜2
μmの厚みを有している。また、この時計用外装部品に
おける前記第4のメッキ層の上には、Auメッキ又はA
u−Fe合金メッキ又はAu―Fe―In合金メッキ又
はAu−In合金メッキを施すことにより形成される第
5のメッキ層が設けられている。そして、前記第5のメ
ッキ層は0.03〜2μmの厚みを有している。
【0015】また、本発明の時計用外装部品は、請求項
5に示すように、真鍮キャストの素材に、Cu梨地メッ
キを施すことにより形成される第1のメッキ層と、この
第1のメッキ層の上にCu−Sn合金メッキ又はCu−
Sn−Zn合金メッキを施すことにより形成される第2
のメッキ層と、この第2のメッキ層の上にPdメッキを
施すことにより形成される第3のメッキ層と、を有する
ものである。この時計用外装部品における前記第1のメ
ッキ層は7〜12μmの厚みを有し、前記第2のメッキ
層は2〜5μmの厚みを有し、前記第3のメッキ層は
0.03〜2μmの厚みを有している。また、この時計
用外装部品における前記第3のメッキ層の上には、Au
メッキ又はAu−Fe合金メッキ又はAu―Fe―In
合金メッキ又はAu−In合金メッキを施すことにより
形成される第4のメッキ層が設けられている。そして、
前記第4のメッキ層は0.03〜4μmの厚みを有して
いる。
【0016】更に、上記本発明における時計用外装部品
における前記Cu梨地メッキは、固体微粒子をCuメッ
キに混入する複合メッキからなる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の時計用外装部品において
は、梨地調の模様を形成するためにCu梨地メッキを7
〜12μm施してメッキ層を形成した後、その上にCu
−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキを施
して2〜5μmのメッキ層を形成することを特徴とする
ものである。
【0018】即ち、亜鉛キャスト素材の場合にはCuメ
ッキを下地メッキとして施した後、また、真鍮キャスト
素材の場合には直接表面に、Cu梨地メッキを施し、そ
の上に、Cu−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn合
金メッキを施している。このCu梨地メッキは、Cuメ
ッキに固体微粒子を混入することでメッキ層の表面に固
体微粒子で凹凸を形成して、梨地調にするものである。
このCu梨地メッキの場合、通常のメッキと同様の工程
を経て梨地を形成することができ、また、仕上がりも通
常のメッキと同様に一様にすることができる。このた
め、ホーニングのようにメッキ層の表面に深い打痕が形
成されるものと異なり、耐蝕性は向上し、梨地のバラツ
キもなくなる。また、通常のメッキと同様に、その上に
形成されるメッキ層との密着性も向上させることができ
る。
【0019】また、ホーニングを廃止してCu梨地メッ
キを採用したことにより耐蝕性が向上し、これにより上
記Cu梨地メッキによるメッキ層の上に施されるCu−
Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキは、メ
ッキ厚を2〜5μmと薄くすることが可能となる。この
ため、Cu梨地メッキで形成した凹凸による梨地感が損
なわれることがなく、また十分な光沢も確保することが
できる。また、このように形成されたメッキ層により耐
蝕性が高められているため、仕上げとしてのPdメッ
キ、Auメッキ等のメッキ厚を増す必要もなく、コスト
を考慮しながらメッキ厚を薄く設定することが可能とな
る。
【0020】この結果、従来、ホーニングを行うと耐蝕
性の低下と、それを補うと生じる外観品質の低下という
問題を全て解決することができる。
【0021】また、Ni金属を使用していないため、金
属アレルギーに対処することもできる。特に、ホーニン
グを行わないため、下地メッキとして硬度の高いNiメ
ッキを施す必要がなく、また錆を防止するためにNiメ
ッキを施す必要もなく、Cu梨地メッキを7〜12μm
施した後、Cu−Sn合金メッキ又はCU−Sn−Zn
合金メッキを2〜5μmのメッキ厚となるように施すだ
けで、金属アレルギーを引き起こすNi金属を使用する
ことなく、所望の梨地感や光沢を得ることができる。
【0022】
【実施例】以下本発明の一実施例に係る時計用外装部品
の構成を説明する。図1は本発明の第1実施例に係る白
色金属光沢を有する時計用外装部品のメッキ構成を示す
断面図である。図1において、2は亜鉛キャストからな
る素材であり、4は素材2の表面にCuメッキを施すこ
とにより形成された第1のメッキ層、6は第1のメッキ
層4の上にCu梨地メッキを施すことにより形成された
第2のメッキ層である。この第2のメッキ層6は、Cu
メッキに固体微粒子を混入した複合メッキにより形成さ
れるものであり、Cuメッキ層6bの表面から固体微粒
子6aが突出してその表面に微細な凹凸が形成され、こ
れが梨地となる。8は第2のメッキ層6の上にCu−S
n合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキを施すこ
とにより形成された第3のメッキ層、10は第3のメッ
キ層8の上にPdメッキを施すことにより形成された第
4のメッキ層である。
【0023】上記Cuメッキにより形成される第1のメ
ッキ層4は、素材2の腐食を防ぐと共に第2のメッキ層
6の密着性向上と光沢を出すために設けられている。こ
の第1のメッキ層4を形成するCuメッキは、シアン系
のストライク銅メッキをした後に硫酸銅メッキを施すこ
とにより成されている。その際のメッキ厚は、ストライ
ク銅メッキを2〜3μm施した後に硫酸銅メッキを施し
て、総厚が10〜23μmとなるように設定している。
【0024】また、Cu梨地メッキにより形成される第
2のメッキ層6は、前述したように表面を梨地調に仕上
げるために設けられており、7〜12μmの厚みに設定
されている。このCu梨地メッキは、Cuメッキ層6b
を形成するためのCuに、酸化アルミニウム、酸化ケイ
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、炭化
タングステン、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、窒化ホ
ウ素、ホウ化クロム等からなる固体微粒子6aを混入し
てメッキを施すものである。このCu梨地メッキを施す
場合、図5に示すように、メッキ浴14中に複合すべき
固体微粒子6を入れ、メッキ液吸引及びエアー吹き出し
孔16から吹き出されるメッキ液及びエアーにより固体
微粒子6aを攪拌させて、均一に素材2の表面(第1の
メッキ層4の上)に固体微粒子6aを付着させながら第
2のメッキ層6を形成する。本実施例における固体微粒
子6aの粒径は、3〜5μmのものを用いているが、第
2のメッキ層6の厚み等を考慮して0.01〜10μm
程度の粒径の固体微粒子6aを用いることが可能であ
る。また、粒子の添加量は求める梨地の度合いにより、
少ない梨地のときは30g/lが最適で、それより少な
いと梨地にはなるが光沢が強く現れて梨地とは云いがた
くなる。また、100g/l以上では梨地が強くなり過
ぎザラザラ感が出現し、時計の外装としては好ましいも
のではなくなる。
【0025】また、梨地調の表面を有する第2のメッキ
層6の上にCu−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn
合金メッキで形成される第3のメッキ層8はレベリング
作用が弱く、第2のメッキ層6の表面に良く馴染んで、
その梨地感を損なうことがないものとなっている。従っ
て、この第3のメッキ層8の厚みを2〜5μmに設定し
ても、その下の第2のメッキ層6の梨地感を損なうこと
がなく、耐蝕性を更に向上させることができる。
【0026】更に、Pdメッキにより形成される第4の
メッキ層10は、白色金属光沢に仕上げるために形成さ
れるものであり、0.03〜2μmのメッキ厚に設定し
ている。
【0027】上記メッキ構成において、第1乃至第3の
メッキ層4,6,8は、それぞれ素材2や下側のメッキ
層の腐食を防止することを目的として設けられているも
のであるため、これら第1乃至第3のメッキ層4,6,
8の厚みを変えながら耐蝕性等についての評価試験を行
った。具体的には、メッキの密着性を見るための折曲試
験として、素材2の上に第1乃至第3のメッキ層4,
6,8を形成したものを、360度に折り曲げたときの
メッキのはがれを見て確認した。
【0028】また、変色等を見るための人工汗試験とし
て、塩化ナトリウム9.9g/l、硫化ナトリウム0.
8g/l、尿素1.9g/l、乳酸1.7ml/l、ア
ンモニア水0.2ml/lを調合して人工汗組成液を作
り、40度の液温の下で24時間浸漬し、変色の状態を
確認した。
【0029】更に、錆の発生を見るための塩水噴霧試験
として、塩化ナトリウム5%溶液を、35度の液温にし
て、24時間噴霧し、錆の発生を確認した。
【0030】上記各試験を行った結果、メッキのはが
れ、変色及び錆の発生が認められないものを選定する
と、第1のメッキ層4(Cuメッキ)10〜23μm、
第2のメッキ層6(Cu梨地メッキ)7〜12μm、第
3のメッキ層8(Cu−Sn合金メッキ又はCu−Sn
−Zn合金メッキ)2〜5μmの範囲が好適であること
を確認した。尚、前記各試験の結果から、各メッキ厚の
下限を腐食の生じない下限の限度と確認することがで
き、また、各メッキ厚の上限に関しては前記試験の結果
だけでなく、メッキコストや寸法管理に関しても考慮す
ることにより設定している。
【0031】即ち、Cuメッキによる第1のメッキ層4
の場合、10〜23μmのメッキ厚までは耐蝕性が向上
するが、それ以上厚くしても顕著な耐蝕性の向上は認め
られず、逆にメッキコストが上昇し、寸法管理も難しく
なるという問題が生じる。このため、メッキ厚の上限を
23μmにすることが最適であると認められた。また、
他のメッキ層に関しても同様にその上限を設定してい
る。尚、第3のメッキ層8の場合、あまり厚く形成する
と、色調に曇りが発生して光沢が低下することがあるた
め、耐蝕性を保持しつつ光沢が得られるように設定して
いる。
【0032】一方、Pdメッキによる第4のメッキ層1
0は、仕上げメッキであるため、所望の白色色調を得る
と共に耐蝕性の保証、及びメッキコストを考慮してその
厚さが設定されている。
【0033】前述したCuメッキ、Cu梨地メッキ、C
u−Sn合金メッキ、Cu−Sn−Zn合金メッキ、P
dメッキのメッキ加工条件は表1及び表2に示すように
設定している。各メッキのメッキ厚は、表1及び表2に
示すメッキ条件において浴液中の浸漬時間により決定さ
れ、また電流値を変えることによりメッキ厚を調整する
ことも可能である。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】上記のように、Cuメッキによる第1のメ
ッキ層4を10〜23μmの厚みに形成し、Cu梨地メ
ッキによる第2のメッキ層6を7〜12μmの厚みに形
成し、Cu−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金
メッキによる第3のメッキ層8を2〜5μmの厚みに形
成し、Pdメッキによる第4のメッキ層10を0.03
〜2μmの厚みに形成することにより、十分な耐蝕性を
得ることができると共に、白色の金属光沢を持つ梨地調
の時計用外装部品を形成することができる。
【0037】図2は本発明の第2実施例に係る時計用外
装部品のメッキ構成を示す断面図である。図1に示す第
1実施例におけるメッキ構成は白色の金属光沢を得るも
のであったが、本実施例においては金色の金属光沢を得
ることができるメッキ構成となっている。即ち、素材
2、第1のメッキ層4、第2のメッキ層6、第3のメッ
キ層8及び第4のメッキ層10に関しては、その材質、
メッキ方法及び厚みが全て第1実施例と同一であり、仕
上げメッキとして更に金色のメッキを施すことのみが異
なっている。この仕上げメッキは、第4のメッキ層10
の上に、Auメッキ又はAu−Fe合金メッキ又はAu
−Fe−In合金メッキ又はAu−In合金メッキによ
り形成される第5のメッキ層12であり、この第5のメ
ッキ層12を0.03〜2μmの厚みに形成することに
より、十分な耐蝕性を得ることができると共に、光沢を
有した所望の金色を得ることができる。また、当然なが
ら、この第5のメッキ層12の厚みを必要以上に厚くし
なければAuの使用量を少なくすることができ、コスト
の上昇を抑えることができる。尚、このAuメッキ又は
Au−Fe合金メッキ又はAu−Fe−In合金メッキ
又はAu−In合金メッキのメッキ加工条件に関しては
表2に示すように設定している。
【0038】また、この第2実施例において、Au−F
e合金メッキ又はAu−Fe−In合金メッキ又はAu
−In合金メッキのように、FeやInを含む金合金メ
ッキを施すことにより、メッキ表面硬度を高めて耐摩耗
性を向上させることができる。
【0039】図2及び図3は素材に真鍮キャストを用い
た第3実施例及び第4実施例に係る時計用外装部品のメ
ッキ構成を示す断面図である。素材22に真鍮キャスト
を用いた場合、図1及び図2に示す第1及び第2実施例
のようにCuメッキによる第1のメッキ層4を形成する
必要がないものであり、素材22自体の耐蝕性及び光沢
をそのまま活かすことができる。
【0040】このため、白色金属光沢の梨地調模様に仕
上げる第3実施例の場合には、図3に示すように、素材
22の表面に直にCu梨地メッキにより第1のメッキ層
26を7〜12μmの厚みに形成し、その上にCu−S
n合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキにより第
2のメッキ層28を2〜5μmの厚みに形成し、その上
にPdメッキにより第3のメッキ層30を0.03〜2
μmの厚みに形成している。
【0041】金色金属光沢の梨地調模様に仕上げる第4
実施例の場合には、図4に示すように、第3実施例と同
様にして素材22の上にCu梨地メッキによる第1のメ
ッキ層26を7〜12μmの厚みに形成し、その上にC
u−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキに
より第2のメッキ層28を2〜5μmの厚みに形成し、
その上にPdメッキにより第3のメッキ層30を0.0
3〜2μmの厚みに形成し、その上にAuメッキ又はA
u−Fe合金メッキ又はAu−Fe−In合金メッキ又
はAu−In合金メッキにより第4のメッキ層32を
0.03〜4μmの厚みに形成している。
【0042】尚、上記第3実施例と第4実施例における
各メッキのメッキ加工条件も、第1実施例及び第2実施
例と同様に表1及び表2に示す条件に設定している。
【0043】また、第3実施例と第4実施例における真
鍮キャストからなる素材22の表面の状態によっては、
亜鉛キャストからなる素材2と同様に、下地メッキとし
てCuメッキを10μm以下の厚みに形成しても良い。
【0044】一方、上記各実施例においては、何れもN
i金属を含まない金属又は合金によるメッキを施すこと
で各メッキ層を形成しているため、梨地調の外観を持ち
ながら金属アレルギーに対処することが可能なものとな
っている。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、亜鉛キャストからなる
素材の上に、Cuメッキを施して第1のメッキ層を10
〜23μmの厚みに形成し、その上にCu梨地メッキを
施して第2メッキ層を7〜12μmの厚みに形成し、そ
の上にCu−Sn合金メッキ又はCu−Sn−Zn合金
メッキを施して第3のメッキ層を2〜5μmの厚みに形
成し、その上に仕上げメッキとしてPdメッキを施して
第4のメッキ層を0.03〜2μmで形成し、更に金色
に仕上げるためにAuメッキ又はAu−Fe合金メッキ
又はAu−Fe−In合金メッキ又はAu−In合金メ
ッキにより第4のメッキ層32を0.03〜4μmの厚
みに形成しているので、ホーニングを廃止して、耐蝕性
に優れ、白色又は金色の金属光沢を持った梨地調の模様
を有する時計用外装部品を提供することができる。
【0046】また、Cu梨地メッキで梨地を形成してい
るので、ホーニングに比べて梨地のバラツキが少なくな
り、外観品質をより高めることができる。
【0047】更に、メッキ層の表面にホーニングを施す
ことなく、一連のメッキ層を形成しているので、梨地調
の表面を有するメッキ層とその上のメッキ層との密着性
を高めることができる。
【0048】更にまた、メッキを施すことで部品の表面
全体に梨地を形成することができるので、ホーニングに
比べて作業にかかる時間と手間を削減することができ、
生産性を向上させることができる。
【0049】また、Ni金属を使用せずに全てのメッキ
層を形成することができるので、耐蝕性と外観品質に優
れるだけでなく、金属アレルギーにも対処することがで
きる梨地調模様を有する時計用外装部品を提供すること
ができる。
【0050】更に、真鍮キャストからなる素材の場合に
も、亜鉛キャストにおいて必要としていたCuメッキを
削減し、他のメッキ層を同様に形成するだけで、優れた
耐蝕性と光沢を持った梨地調模様を有する時計用外装部
品を提供することができる。
【0051】更にまた、耐蝕性の向上を図ることができ
るCu梨地メッキを施すと共にその上にCu−Sn合金
メッキ又はCu−Sn−Zn合金メッキを施しているの
で、仕上げメッキとしてのPdメッキ、Auメッキ、A
u−Feメッキ、Au−Fe−Inメッキ、Au−In
メッキのメッキ厚を厚くすることなく、十分な耐蝕性を
得ることができ、仕上げメッキのメッキ厚増加によるメ
ッキコストの上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る時計用外装部品のメ
ッキ構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る時計用外装部品のメ
ッキ構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施例に係る時計用外装部品のメ
ッキ構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施例に係る時計用外装部品のメ
ッキ構成を示す断面図である。
【図5】本発明におけるCu梨地メッキを施すためのメ
ッキ装置を示す説明図である。
【符号の説明】
2,22 素材 4 第1のメッキ層 6 第2のメッキ層 6a 固体微粒子 6b Cuメッキ層 8 第3のメッキ層 10 第4のメッキ層 12 第5のメッキ層 26 第1のメッキ層 28 第2のメッキ層 30 第3のメッキ層 32 第4のメッキ層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛キャストの素材に、Cuメッキを施
    すことにより形成される第1のメッキ層と、 この第1のメッキ層の上にCu梨地メッキを施すことに
    より形成される第2のメッキ層と、 この第2のメッキ層の上にCu−Sn合金メッキ又はC
    u−Sn−Zn合金メッキを施すことにより形成される
    第3のメッキ層と、 この第3のメッキ層の上にPdメッキを施すことにより
    形成される第4のメッキ層と、を有することを特徴とす
    る時計用外装部品。
  2. 【請求項2】 前記第1のメッキ層は10〜23μmの
    厚みを有し、前記第2のメッキ層は7〜12μmの厚み
    を有し、前記第3のメッキ層は2〜5μmの厚みを有
    し、前記第4のメッキ層は0.03〜2μmの厚みを有
    することを特徴とする請求項1記載の時計用外装部品。
  3. 【請求項3】 前記第4のメッキ層の上にAuメッキ又
    はAu−Fe合金メッキ又はAu―Fe―In合金メッ
    キ又はAu−In合金メッキを施すことにより形成され
    る第5のメッキ層を設けることを特徴する請求項1記載
    の時計用外装部品。
  4. 【請求項4】 前記第1のメッキ層は10〜23μmの
    厚みを有し、前記第2のメッキ層は7〜12μmの厚み
    を有し、前記第3のメッキ層は2〜5μmの厚みを有
    し、前記第4のメッキ層は0.03〜2μmの厚みを有
    し、前記第5のメッキ層は0.03〜2μmの厚みを有
    することを特徴とする請求項3記載の時計用外装部品。
  5. 【請求項5】 真鍮キャストの素材に、Cu梨地メッキ
    を施すことにより形成される第1のメッキ層と、 この第1のメッキ層の上にCu−Sn合金メッキ又はC
    u−Sn−Zn合金メッキを施すことにより形成される
    第2のメッキ層と、 この第2のメッキ層の上にPdメッキを施すことにより
    形成される第3のメッキ層と、を有することを特徴とす
    る時計用外装部品。
  6. 【請求項6】 前記第1のメッキ層は7〜12μmの厚
    みを有し、前記第2のメッキ層は2〜5μmの厚みを有
    し、前記第3のメッキ層は0.03〜2μmの厚みを有
    することを特徴とする請求項5記載の時計用外装部品。
  7. 【請求項7】 前記第3のメッキ層の上にAuメッキ又
    はAu−Fe合金メッキ又はAu―Fe―In合金メッ
    キ又はAu−In合金メッキを施すことにより形成され
    る第4のメッキ層を設けることを特徴する請求項5記載
    の時計用外装部品。
  8. 【請求項8】 前記第1のメッキ層は7〜12μmの厚
    みを有し、前記第2のメッキ層は2〜5μmの厚みを有
    し、前記第3のメッキ層は0.03〜2μmの厚みを有
    し、前記第4のメッキ層は0.03〜4μmの厚みを有
    することを特徴とする請求項7記載の時計用外装部品。
  9. 【請求項9】 前記Cu梨地メッキは、固体微粒子をC
    uメッキに混入する複合メッキからなることを特徴とす
    る請求項1乃至8のひとつに記載の時計用外装部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015128160A (ja) * 2013-12-30 2015-07-09 モレックス インコーポレイテドMolex Incorporated 指紋/引掻き傷防止構造を有する電気装置およびその製造方法
EP3312309A1 (en) * 2016-10-18 2018-04-25 COVENTYA S.p.A. Electroplated product having a precious metal finishing layer and improved corrosion resistance, method for its production and uses thereof

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