JP2002054650A - 摺動型等速自在継手およびそれを用いたドライブシャフト - Google Patents

摺動型等速自在継手およびそれを用いたドライブシャフト

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JP2002054650A
JP2002054650A JP2000241491A JP2000241491A JP2002054650A JP 2002054650 A JP2002054650 A JP 2002054650A JP 2000241491 A JP2000241491 A JP 2000241491A JP 2000241491 A JP2000241491 A JP 2000241491A JP 2002054650 A JP2002054650 A JP 2002054650A
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ball
joint
constant velocity
velocity universal
universal joint
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JP2000241491A
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English (en)
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Akio Sakaguchi
明夫 坂口
Kaga Shioda
佳雅 潮田
Masaru Komatsu
優 小松
Katsuhiro Suzuki
勝博 鈴木
Haruo Hase
陽夫 長谷
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 急停止後の発進加速時に生じる不快な振動音
を抑制する。 【解決手段】 直線状案内溝35を持つ円筒状孔36を
備えた継手外輪31と、継手外輪31の案内溝35に対
応した直線状案内溝37を有し、部分球面状とした外表
面38を備えた継手内輪32と、継手内外輪32,31
の案内溝37,35が協働して形成するボールトラック
に配され、トルクを伝達するボール33と、ボール33
を収容するボールポケット39を備え、ボールポケット
39とボール33との間にポケットすきまを設け、継手
内輪32の外表面38の軸方向略中央部と継手外輪31
の円筒状孔36で接触案内され、ボール中心Bを含む継
手中心面Pに対して軸線方向に等距離オフセットした曲
率中心を有する部分球面状の内外表面40,41を備え
た保持器34とからなり、継手外輪31の円筒状孔36
と保持器34の外表面41との接触位置がボール中心B
よりも継手外輪31の開口端側に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は摺動型等速自在継手
およびそれを用いたドライブシャフトに関し、詳しく
は、自動車や各種産業機械の動力伝達機構において使用
されるもので、駆動側と従動側の二軸間で軸方向変位お
よび角度変位を許容する摺動型等速自在継手およびそれ
を用いたドライブシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジンから駆動車輪に動力を
伝達する動力伝達機構では、エンジンと車輪との相対的
位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する
必要があるため、例えば、図5に示すようにエンジン側
と駆動車輪側との間に中間軸1を介装し、その中間軸1
の一端部を摺動型等速自在継手2を介してディファレン
シャル3に連結し、他端部を固定型等速自在継手4およ
び車輪軸受5を介して駆動車輪6に連結している。これ
ら固定型等速自在継手4および摺動型等速自在継手2と
中間軸1との間には、内部への異物などの侵入や外部へ
のグリースの漏出を防止するための密封用ブーツ7,8
がそれぞれ装着されている。
【0003】前記摺動型等速自在継手2は角度変位だけ
でなく、いわゆるプランジングによって軸方向変位も吸
収されるのに対して、固定型等速自在継手4は、角度変
位のみが可能となっている。摺動型等速自在継手2と固
定型等速自在継手4と中間軸1とをユニット化してドラ
イブシャフト9が構成され、車体に装着された状態で等
速自在継手2,4に所定の作動角がついている。これら
等速自在継手2,4の作動角は逐次変化することから、
一般的に、一対の等速自在継手2,4のうち、固定型等
速自在継手4をアウトボード側に、摺動型等速自在継手
2をインボード側にそれぞれ使用し、その作動角の変化
に対応している。
【0004】図6および図7に示す摺動型等速自在継手
2は、ダブルオフセット型等速自在継手である。このダ
ブルオフセット型等速自在継手は、車体側のディファレ
ンシャル3に取り付けられた継手外輪11と、中間軸1
の一端に取り付けられた継手内輪12と、継手外輪11
および継手内輪12の間に組み込まれた複数のボール1
3と、継手外輪11と継手内輪12との間に介在してボ
ール13を支持する保持器14とを主要な構成要素とし
ている。
【0005】継手外輪11は、その軸線に平行な複数の
直線状案内溝15が円周方向等間隔に形成された円筒状
孔16を有する。継手内輪12は、継手外輪11の案内
溝15に対応した軸線に平行な複数の直線状案内溝17
が円周方向等間隔に形成され、かつ、部分球面状とした
外表面18を有する。なお、この継手内輪12の内径に
は、前記中間軸1(図5参照)の一端がセレーション嵌
合により圧入され、トルク伝達可能となっている。
【0006】ボール13は、継手外輪11の案内溝15
と継手内輪12の案内溝17が協働して形成するボール
トラックに配され、トルクを伝達する。保持器14は、
ボール13を収容するボールポケット19を有し、この
ボールポケット19とボール13との間にポケットすき
まS3を設け、かつ、継手内輪12の外表面18の軸方
向略中央部と継手外輪11の円筒状孔16でそれぞれ接
触案内され、ボール中心Bを含む継手中心面Pに対して
軸線方向に等距離オフセットした曲率中心O3,O4を有
する部分球面状の内表面20および外表面21を備えて
いる。
【0007】この等速自在継手2では、継手外輪11と
継手内輪12との間に作動角が付与された場合、保持器
14によりボール13を作動角の二等分面上に制御させ
て等速性を維持する構造となっている。継手内部のスラ
イド抵抗を減少して、継手外輪11と継手内輪12との
間で角度変位を持った状態で軸方向変位がスムーズにな
されるようにしている。ここで、前記スライド抵抗と
は、ボール13がボールトラックに沿って転動する際、
継手内輪12と一体になって移動する保持器14に拘束
されるために生じる抵抗を意味する。
【0008】等速自在継手2における保持器14の内表
面20は、その略中央部に軸方向長さFを有する円筒面
20aと、その軸方向両側に連続して形成された部分球
面20b,20cとからなり、部分球面20b,20c
の曲率半径Rb,Rcは、継手内輪12の外表面18の
曲率半径Riと見掛け上同一である。保持器14の外表
面21の曲率中心O4は、継手中心面Pに対して軸方向
にオフセットされており(オフセット量:f1)、内表
面20の曲率中心O3は、継手中心面Pに対して外表面
21の曲率中心O4と反対側に等距離だけオフセットさ
れている(オフセット量:f2)。
【0009】そして、部分球面20b,20cの曲率中
心O1,O2は、内表面20の軸方向中心O3から軸方向
両側へ等距離だけオフセットされており(オフセット量
Δf、これによって保持器14の内表面20と継手内輪
12の外表面18の間にすきまS1,S2が形成されてい
る。このすきまS1,S2の存在により、継手内輪12と
保持器14との相対的な軸方向の比較的小さな移動が可
能となる。また、ボール13と保持器14のボールポケ
ット19との間には、ボール13のスムーズな転がりを
確保するために僅かなポケットすきまS3が設けられて
いる。このポケットすきまS3の存在により、ボール1
3がスムーズに転がるため、継手の軸方向のスライド抵
抗の低減が達成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、この
等速自在継手2で車体側のディファレンシャル3と中間
軸1とを連結することにより、等速自在継手2におい
て、保持器14と継手内輪12の間のすきまS1,S2
及びボール13と保持器14のボールポケット19の間
のポケットすきまS3を利用してエンジンからの振動を
吸収して車体各部に伝わらないようにしている。
【0011】しかしながら、自動車の走行中や停止時の
アイドリング中のようにエンジン自体の振動が小さい場
合には、その振動を吸収することができるが、自動車の
急停止後に急発進させた場合、その発進加速時にブルブ
ルという振動音が発生し、車室内で不快な振動音を搭乗
者が感じるという不具合があった。
【0012】図8は自動車の急停止、急発進時における
中間軸1の挙動を表したものであり、(a)は自動車の
上下動、(b)は継手外輪11に対する保持器14およ
び継手内輪12の位置、(c)は中間軸1の回転をそれ
ぞれ示す。同図(b)に示すように継手外輪11に対し
て保持器14および継手内輪12は、中間軸1の回転停
止時に継手外輪11の開口端側へ引き出され、自動車の
発進時にさらに引き出されつつ、中間軸1の回転が始ま
る。なお、この中間軸1の回転中、継手内輪12は、そ
の継手内輪12と保持器14とのがたつき領域の中心に
センタリングされており、自動車の停止時や発進時に引
き出されることにより片寄りが発生し、継手内輪12と
保持器14とが接触する。
【0013】従来の等速自在継手2において、図7に示
すように前記継手内輪12と保持器14とは接触点B1
で接触するのに対して、保持器14は継手外輪11と接
触点A1でもって接触するため、前記二つの接触点A1
1とが軸方向距離L1だけ離隔していることから、保持
器14に作用するモーメント力は大きい。そのため、保
持器14の挙動が不安定となって、車室内での不快な振
動音が発生する。
【0014】特に、継手外輪11がプレス加工により成
形されている場合には、冷鍛加工品に比べて内径の精度
(真円度)の関係で、保持器14の外表面21と継手外
輪11の円筒状孔16とのすきまを確保するために、冷
鍛加工品よりもすきまを大きく設定する必要がある。し
たがって、保持器14の外表面21と継手外輪11の円
筒状孔16との間のすきまが大きい場合、前述した発進
加速時に保持器14の挙動が不安定となって車室内で不
快な振動音が発生する虞がある。なお、冷鍛加工品につ
いても、保持器14の外表面21と継手外輪11の円筒
状孔16とのすきまが大きい場合には、車室内で不快な
振動音が発生することも考えられる。
【0015】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、急停止後の発
進加速時に生じる車室内での不快な振動音を抑制するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、請求項1に係る発明は、軸線に平
行な複数の直線状案内溝を設けた円筒状孔を備える外方
部材と、この外方部材の案内溝に対応した軸線に平行な
直線状案内溝を有し、かつ、部分球面状とした外表面を
備える内方部材と、前記外方部材の案内溝と内方部材の
案内溝が協働して形成するボールトラックに配され、ト
ルクを伝達する複数のボールと、これらのボールを収容
するボールポケットを備え、このボールポケットとボー
ルとの間にポケットすきまを設け、かつ、前記内方部材
の外表面の軸方向略中央部と前記外方部材の円筒状孔で
それぞれ接触案内され、前記ボール中心を含む継手中心
面に対して軸線方向に等距離オフセットした曲率中心を
有する部分球面状の内表面および外表面を備えた保持器
とからなる摺動型等速自在継手において、前記外方部材
の円筒状孔と前記保持器の外表面との接触位置が、前記
ボール中心よりも前記外方部材の開口端側にくるように
配置したことを特徴とする。
【0017】自動車の急停止時に、外方部材に対して保
持器および内方部材は、外方部材が一旦押し込まれた
後、開口端側へ引き出され、自動車の発進時にさらに引
き出されることにより、片寄りが発生して内方部材と保
持器の両者が接触する。ここで、前述したように外方部
材と保持器との接触位置がボール中心よりも外方部材の
開口端側にくるように配置したことにより、内方部材と
保持器の接触点と、外方部材と保持器との接触点との軸
方向距離が従来の等速自在継手よりも短くなり、その結
果、保持器に作用するモーメント力は小さくなる。その
ため、保持器の挙動が安定化して急停止後の発進加速時
に生じる車室内での不快な振動音を抑制できる。
【0018】請求項2の発明のように、前記保持器の内
表面を、その中央部に所定の軸方向長さを有する円筒面
とその軸方向両側に位置する部分球面とを滑らかに結ん
で形成し、かつ、中央部以外の部分に前記内方部材との
間ですきまが形成されていることが、スライド抵抗を抑
制する上で望ましい。その場合、前記すきまを0.02
〜0.10とすることが好ましい(請求項3)。また、
前記保持器のボールポケットとボールとの間のポケット
すきまを5〜50μmとし、かつ、内表面の円筒面の軸
方向長さを2〜4mmとすることが好ましい(請求項
4)。
【0019】また、請求項5の発明のように、前記外方
部材の円筒状孔と前記保持器の外表面との間に所定のす
きまを形成することが、スライド抵抗を抑制する上で望
ましい。その場合、前記すきまを0.02〜0.25と
することが好ましい(請求項6)。さらに、請求項7の
発明のように、前記内方部材に対して、前記保持器の軸
方向動き量を2.5〜3.5mmとすることが望まし
い。
【0020】本発明では、プレス加工により成形された
外方部材を使用した場合であっても適用可能である(請
求項8)。プレス加工品は、冷鍛加工品に比べて内径の
精度(真円度)の関係で、保持器の外表面と継手外輪の
円筒状孔とのすきまを確保するために、冷鍛加工品より
もすきまを大きく設定する必要がある。したがって、外
方部材がプレス加工により製作され、保持器の外表面と
のすきまが大きい場合であっても、発進加速時に保持器
の挙動が安定して車室内で不快な振動音を効果的に抑制
できる。
【0021】固定型等速自在継手と請求項1乃至8のい
ずれかに記載された摺動型等速自在継手とを中間軸にて
連結すれば、急停止後の発進加速時に生じる車室内での
不快な振動音を抑制するのに好適なドライブシャフトを
構成することができる(請求項9)。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下に詳述す
る。図5乃至図7と同一又は相当部分には同一参照符号
を付す。
【0023】図1および図2に示す実施形態の摺動型等
速自在継手2は、ダブルオフセット型等速自在継手であ
り、このダブルオフセット型等速自在継手は、車体側の
ディファレンシャル3に取り付けられた外方部材である
継手外輪31と、中間軸1の一端に取り付けられた内方
部材である継手内輪32と、継手外輪31および継手内
輪32の間に組み込まれた複数のボール33と、継手外
輪31と継手内輪32との間に介在してボール33を支
持する保持器34とを主要な構成要素としている。
【0024】継手外輪31は、その軸線に平行な複数の
直線状案内溝35が円周方向等間隔に形成された円筒状
孔36を有する。継手内輪32は、継手外輪31の案内
溝35に対応し、軸線に平行な複数の直線状案内溝37
が円周方向等間隔に形成され、かつ、部分球面状とした
外表面38を有する。なお、この継手内輪32の内径に
は、前記中間軸1の一端がセレーション嵌合により圧入
され、トルク伝達可能となっている。
【0025】ボール33は、継手外輪31の案内溝35
と継手内輪32の案内溝37が協働して形成するボール
トラックに配され、トルクを伝達する。保持器34は、
ボール33を収容するボールポケット39を有し、この
ボールポケット39とボール33との間にポケットすき
まS3を設け、かつ、継手内輪32の外表面38の軸方
向略中央部と継手外輪31の円筒状孔36でそれぞれ接
触案内され、ボール中心Bを含む継手中心面Pに対して
軸線方向に等距離オフセットした曲率中心O3,O4を有
する部分球面状の内表面40および外表面41を備えて
いる。
【0026】この等速自在継手2では、継手外輪31と
継手内輪32との間に作動角が付与された場合、保持器
34によりボール33を作動角の二等分面上に制御させ
て等速性を維持する構造となっている。継手内部のスラ
イド抵抗を減少して、継手外輪31と継手内輪32との
間で角度変位を持った状態で軸方向変位がスムーズにな
されるようにしている。
【0027】図1および図2に示す実施形態では、継手
外輪31の円筒状孔36と保持器34の外表面41との
接触位置が、ボール中心Bよりも継手外輪31の開口端
側にくるように配置している。すなわち、従来の保持器
14(図6及び図7参照)は、その外径が継手外輪11
の開口端に向かって縮径するように配置されていたのに
対して、この実施形態における保持器34は、その外径
が継手外輪31の開口端に向かって拡径するように配置
されている。つまり、この実施形態の保持器34は、従
来の保持器14を軸方向逆向きに配置した状態となって
いる。
【0028】なお、この実施形態の保持器34は、単に
従来の保持器14を軸方向逆向きに配置しただけではな
く、以下の要件を満足するものである。
【0029】保持器34の内表面40は、その中央部に
所定の軸方向長さFを有する円筒面40aと、その軸方
向両側に連続して形成された部分球面40b,40cと
からなり、部分球面40b,40cの曲率半径Rb,R
cは、継手内輪32の外表面38の曲率半径Riと見掛
け上同一である。保持器34としては、円筒面40aの
軸方向長さFが、1mm程度のRPCF(ローリング・
プランジ・クリアランス・フラット)タイプのものや、
3mm程度のRPE(ローリング・プランジ・エクステ
ンド)タイプのものが使用可能である。特に、保持器3
4の内表面40における円筒面40aの軸方向長さF
は、2〜4mmが好適である。この円筒面40aの軸方
向長さFが2mmより小さいと、スライド量の不足とな
り、逆に、4mmより大きいと、等速性が悪化する。
【0030】保持器34の外表面41の曲率中心O
4は、継手中心面Pに対して軸方向にオフセットされて
おり(オフセット量:f1)、内表面40の曲率中心O3
は、継手中心面Pに対して外表面41の曲率中心O4
反対側に等距離だけオフセットさている(オフセット
量:f2)。
【0031】そして、部分球面40b,40cの曲率中
心O1,O2は、内表面40の軸方向中心O3から軸方向
両側へ等距離だけオフセットされており(オフセット量
Δf、これによって保持器34の内表面40と継手内輪
32の外表面38の間にすきまS1,S2が形成されてい
る。このすきまS1,S2としては、0.02〜0.10
が好適である。すきまS1,S2が0.02より小さい
と、継手内輪32と保持器34間のスライドが確保でき
ず、逆に、0.10より大きいと、保持器34の動きが
不安定となる。このすきまS1,S2の存在により、継手
内輪32と保持器34との相対的な軸方向の比較的小さ
な移動が可能となる。
【0032】また、ボール33と保持器34のボールポ
ケット39との間には、ボール33のスムーズな転がり
を確保するために僅かなポケットすきまS3が設けられ
ている。このポケットすきまS3としては、5〜50μ
mが好適である。このポケットすきまS3が5μmより
小さいと、ボール33が転がらなくなり、逆に、50μ
mより大きいと、異音が発生する。このポケットすきま
3の存在により、ボール33がスムーズに転がるた
め、継手の軸方向のスライド抵抗の低減が達成される。
【0033】さらに、継手外輪31の円筒状孔36と保
持器34の外表面41の間にすきまS5が形成されてい
る。このすきまS5としては、0.02〜0.25が好
適である。このすきまS5が0.02より小さいと、継
手外輪31と保持器34間に引っかかりが発生し、逆
に、0.25より大きいと、異音が発生する。このすき
まS5の存在により、継手外輪31に対する保持器34
の軸方向の比較的小さな移動が可能となる。
【0034】なお、継手内輪32に対して、保持器34
の軸方向動き量は、2.5〜3.5mmとすることが好
ましい。この保持器34の軸方向動き量が2.5より小
さいと、自動車の発進時にスライド量が不足し、逆に、
3.5より大きいと、等速性が悪化する。
【0035】自動車の急停止時、継手外輪31に対して
保持器34および継手内輪32は、中間軸1の回転停止
時に継手外輪31の開口端側へ引き出され、自動車の発
進時にさらに引き出されつつ、中間軸1の回転が始まる
〔図8(b)参照〕。この中間軸1の回転中、継手内輪
32は、その継手内輪32と保持器34とのがたつき領
域の中心にセンタリングされており、自動車の停止時や
発進時に引き出されることにより片寄りが発生し、継手
内輪32と保持器34とが接触する。
【0036】この実施形態の等速自在継手2において、
図2に示すように前記継手内輪32と保持器34とは接
触点B2で接触するのに対して、継手外輪31と保持器
34との接触位置がボール中心Bよりも継手外輪31の
開口端側にくるように配置したことから、保持器34は
継手外輪31と接触点A2でもって接触するため、前記
二つの接触点A2とB2とが軸方向距離L2しか離隔しな
いことから、保持器34に作用するモーメント力は小さ
い。そのため、保持器34の挙動が安定化して急停止後
の発進加速時に生じる車室内での不快な振動音を抑制で
きる。
【0037】図3は前輪駆動(FF)車のフロントホイ
ール側ストラット部における左右方向の振動加速度につ
いて、従来品と本発明品とを比較するために行った実験
結果である。この実験では、自動車の急停止後の急発進
直後、その急加速時に見られる左右方向の振動波形(加
速度)のピーク値を測定した。同図に示すように本発明
品を使用した二例X,Yは、従来品を使用した二例U,
Vと比べ、振動加速度が小さく、そのばらつきも少な
く、車室内での不快な振動音が抑制されていることが明
らかである。
【0038】この実施形態の等速自在継手2では、プレ
ス加工により成形された継手外輪31に適用することが
好適である。つまり、プレス加工品は、冷鍛加工品に比
べて内径の精度(真円度)の関係で、保持器34の外表
面41と継手外輪31の円筒状孔36とのすきまS5
確保するために、冷鍛加工品よりもすきまを大きく設定
する必要がある。したがって、この実施形態の等速自在
継手2では、保持器34の外表面41とのすきまS5
大きい場合であっても、発進加速時に保持器34の挙動
が安定して車室内で不快な振動音を効果的に抑制でき
る。なお、冷鍛加工による継手外輪31を使用する場
合、保持器34の外表面41と継手外輪31の円筒状孔
36とのすきまS5が大きくても、車室内で不快な振動
音を効果的に抑制できる。
【0039】以上で説明した摺動型等速自在継手2を、
固定型等速自在継手4に中間軸1を介して連結すれば、
急停止後の発進加速時に生じる車室内での不快な振動音
を抑制するのに好適なドライブシャフト9を構成するこ
とができる(図5参照)。
【0040】固定型等速自在継手4は、図4に示すよう
にその継手外輪51とハブ輪52と車輪軸受53とでユ
ニット化されている。継手外輪51は、軸方向に延びる
ステム部54をハブ輪52の貫通孔55に挿通し、その
ステム部54の外径及び貫通孔55の内径に形成された
セレーションによりハブ輪52とトルク伝達可能なよう
に結合されてナット56で螺着固定されている。
【0041】なお、ハブ輪52と継手外輪51との結合
構造としては、ハブ輪52の貫通孔55に継手外輪51
の中実状のステム部54を挿通し、ハブ輪52の端部か
ら突出するステム部54の端部を加締めによる塑性変形
でもって両者を結合させた構造であってもよい。また、
継手外輪51のステム部54が中空状で、ハブ輪52の
貫通孔55に挿通されたステム部54の端部を径方向内
側から外側に向けて拡径させ、この加締めによる塑性変
形でもって両者を結合させた構造であってもよい。
【0042】この等速自在継手4は、継手外輪51の
他、中間軸1の端部に取り付けられた継手内輪57と、
継手内輪57及び継手外輪51のトラック溝間に組み込
まれた複数のボール58と、継手内輪57の外球面と継
手外輪51の内球面との間に介在してボール58を支持
する保持器59とで構成されている。
【0043】ハブ輪52は車輪軸受53によって回転自
在に支持され、そのハブ輪52に車輪ホイール(図示せ
ず)が固定され、車輪軸受53がナックル60を介して
車体の懸架装置(図示せず)によって支持される。ハブ
輪52はフランジ61を有し、このフランジ61の円周
方向等間隔位置に車輪ホイールを固定するためのハブボ
ルト62が取り付けられている。
【0044】車輪軸受53は、複列アンギュラ玉軸受構
造で、外輪63の内径面に複列の軌道面64,65が形
成され、ハブ輪52の外周面に形成された一方の軌道面
66とそのハブ輪52の小径端部の外周に圧入された内
輪68の外周面に形成された他方の軌道面67とで、外
輪63の軌道面64,65と対向する複列の軌道面6
6,67が形成され、外輪63とハブ輪52及び内輪6
8の軌道面間に複列の転動体69,70を介在させ、各
列の転動体69,70を保持器71,72により円周方
向等間隔に支持した構造を具備する。なお、車輪軸受5
3に対して外部からの異物の侵入や内部に充填したグリ
ースの漏出を防止するため、シール73,74が設けら
れている。
【0045】なお、車輪軸受53において、外輪63の
内径に形成された複列の軌道面64,65に対向する複
列の軌道面66,67のうち、一方の軌道面67(イン
ボード側)をハブ輪52とは別体の部材(内輪68)で
形成した第三世代の構造であるが、他方の軌道面66
(アウトボード側)もハブ輪52と別体の部材で形成し
た第二世代の構造のものにも適用可能であり、また、ア
ウトボード側の軌道面66をハブ輪52の外周面に形成
し、インボード側の軌道面67を等速自在継手2の外周
面に直接形成した第四世代の構造のものにも適用可能で
ある。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、軸線に平行な複数の直
線状案内溝を設けた円筒状孔を備える外方部材と、この
外方部材の案内溝に対応した軸線に平行な直線状案内溝
を有し、かつ、部分球面状とした外表面を備える内方部
材と、前記外方部材の案内溝と内方部材の案内溝が協働
して形成するボールトラックに配され、トルクを伝達す
る複数のボールと、これらのボールを収容するボールポ
ケットを備え、このボールポケットとボールとの間にポ
ケットすきまを設け、かつ、前記内方部材の外表面の軸
方向略中央部と前記外方部材の円筒状孔でそれぞれ接触
案内され、前記ボール中心を含む継手中心面に対して軸
線方向に等距離オフセットした曲率中心を有する部分球
面状の内表面および外表面を備えた保持器とからなる摺
動型等速自在継手において、前記外方部材の円筒状孔と
前記保持器の外表面との接触位置が、前記ボール中心よ
りも前記外方部材の開口端側にくるように配置したこと
により、自動車の急停止後の発進加速時、外方部材に対
して保持器が安定して移動するため、車室内での不快な
振動音を抑制でき、高品質の摺動型等速自在継手を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摺動型等速自在継手の実施形態を
示す断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】従来品と本発明品とを比較するためのテスト結
果を示す特性図である。
【図4】図1の摺動型等速自在継手と中間軸を介して連
結される固定型等速自在継手および車輪軸受の一例を示
す断面図である。
【図5】自動車の動力伝達機構の一例を示す断面図であ
る。
【図6】摺動型等速自在継手の従来例を示す断面図であ
る。
【図7】図6の要部拡大断面図である。
【図8】自動車の急停止、急発進時における中間軸の挙
動を表した特性図であり、(a)は自動車の上下動、
(b)は継手外輪に対する保持器および継手内輪の位
置、(c)は中間軸の回転をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 中間軸 2 摺動型等速自在継手 4 固定型等速自在継手 9 ドライブシャフト 31 外方部材(継手外輪) 32 内方部材(継手内輪) 33 ボール 34 保持器 35 外方部材の直線状案内溝 36 円筒状孔 37 内方部材の直線状案内溝 38 内方部材の外表面 39 ボールポケット 40 保持器の内表面 40a 保持器の円筒面 40b,40c 保持器の部分球面 41 保持器の外表面 B ボール中心 P 継手中心面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 優 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 鈴木 勝博 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 長谷 陽夫 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線に平行な複数の直線状案内溝を設け
    た円筒状孔を備える外方部材と、この外方部材の案内溝
    に対応した軸線に平行な直線状案内溝を有し、かつ、部
    分球面状とした外表面を備える内方部材と、前記外方部
    材の案内溝と内方部材の案内溝が協働して形成するボー
    ルトラックに配され、トルクを伝達する複数のボール
    と、これらのボールを収容するボールポケットを備え、
    このボールポケットとボールとの間にポケットすきまを
    設け、かつ、前記内方部材の外表面の軸方向略中央部と
    前記外方部材の円筒状孔でそれぞれ接触案内され、前記
    ボール中心を含む継手中心面に対して軸線方向に等距離
    オフセットした曲率中心を有する部分球面状の内表面お
    よび外表面を備えた保持器とからなる摺動型等速自在継
    手において、 前記保持器の外表面と前記外方部材の円筒状孔との接触
    位置が、前記ボール中心よりも前記外方部材の開口端側
    にくるように配置したことを特徴とする摺動型等速自在
    継手。
  2. 【請求項2】 前記保持器の内表面を、その中央部に所
    定の軸方向長さを有する円筒面とその軸方向両側に位置
    する部分球面とを滑らかに結んで形成し、かつ、前記中
    央部以外の部分に、前記内方部材との間ですきまが形成
    されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動型等
    速自在継手。
  3. 【請求項3】 前記すきまを0.02〜0.10とした
    ことを特徴とする請求項2に記載の摺動型等速自在継
    手。
  4. 【請求項4】 前記保持器のボールポケットとボールと
    の間のポケットすきまを5〜50μmとし、かつ、内表
    面の円筒面の軸方向長さを2〜4mmとしたことを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の摺動型等速自
    在継手。
  5. 【請求項5】 前記外方部材の円筒状孔と前記保持器の
    外表面との間に所定のすきまを形成したことを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の摺動型等速自在継
    手。
  6. 【請求項6】 前記すきまを0.02〜0.25とした
    ことを特徴とする請求項5に記載の摺動型等速自在継
    手。
  7. 【請求項7】 前記内方部材に対して、前記保持器の軸
    方向動き量を2.5〜3.5mmとしたことを特徴とす
    る請求項1乃至6のいずれかに記載の摺動型等速自在継
    手。
  8. 【請求項8】 前記外方部材が、プレス加工により成形
    されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか
    に記載の摺動型等速自在継手。
  9. 【請求項9】 固定型等速自在継手と請求項1乃至8の
    いずれかに記載の前記摺動型等速自在継手とを中間軸に
    て連結したことを特徴とするドライブシャフト。
JP2000241491A 2000-08-09 2000-08-09 摺動型等速自在継手およびそれを用いたドライブシャフト Withdrawn JP2002054650A (ja)

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WO2023026831A1 (ja) 2021-08-26 2023-03-02 Ntn株式会社 摺動式等速自在継手

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