JP2002053930A - 動力伝達部品用鋼および動力伝達部品 - Google Patents

動力伝達部品用鋼および動力伝達部品

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JP2002053930A JP2000234770A JP2000234770A JP2002053930A JP 2002053930 A JP2002053930 A JP 2002053930A JP 2000234770 A JP2000234770 A JP 2000234770A JP 2000234770 A JP2000234770 A JP 2000234770A JP 2002053930 A JP2002053930 A JP 2002053930A
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Tomoaki Nishikawa
友章 西川
Kazue Nomura
一衛 野村
Yukio Ito
幸夫 伊藤
Izuru Yamamoto
出 山本
Hideo Aihara
秀雄 相原
Masazumi Onishi
昌澄 大西
Osamu Nakano
修 中野
Akihiko Shinohara
明彦 篠原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高面圧で,かつ,大きな摩擦力と高温という
非常に苛酷な環境となる動力伝達部品に関して,良好な
接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼,および動力伝達
部品の提供すること。 【解決手段】 C:0.65超〜0.90wt%,S
i:0.5超〜2.0wt%,Mn:1.0wt%以
下,P:0.025wt%以下,S:0.035wt%
以下,Cu:0.3wt%以下,Cr:4.0超〜6.
0wt%,Al:0.05wt%以下,O:0.001
5wt%以下,N:0.030wt%以下,Ti:0.
005wt%以下を含有し,残部がFeおよび不可避的
不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した鋼であって,この鋼
からなる部品を焼入焼もどしした時に,その部品の未固
溶炭化物を除くマトリックス中の固溶C量が0.40超
〜0.65wt%を有し,その部品の硬さがHv700
以上になることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,摩擦係数の大きい潤滑油を介し
て,接触の摩擦力により動力を伝達する部品,例えばト
ロイダル式無段変速機等に使用される鋼,および部品に
関して,良好な接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼,
およびその鋼を用いた動力伝達部品について提案する。
【0002】
【従来技術】一般に,自動車や産業機械等に用いられ,
接触疲労を受ける部品としては歯車や軸受が代表され
る。歯車は動力伝達部品として,特に自動車用変速機
に,また,軸受は回転体の支持部に使用されており,動
力損失の原因となる接触による摩擦力の低減が重要とさ
れている。
【0003】近年,この歯車による変速機に代るものと
して,ドロイダル式無段変速機が採用され始めている。
このトロイダル式無段変速機は,歯車の機械的かみ合い
で動力を伝達するのではなく,駆動側回転体(円盤状部
品,ディスクと呼ぶ)と従動側回転体(円盤状部品,デ
ィスクと呼ぶ)との間に複数のローラを配置し,それぞ
れの接触部に発生する摩擦力によって回転し,動力を伝
達するものである。従って,円盤状部品の上をローラが
転がるため,その接触部においてスピンすべりが生じて
発熱し,さらに,動力を伝達するため接触部表面には通
常の転がり接触にはない大きな摩擦力が発生する。この
ため,構成部品に使用される鋼にとって,軸受等と比べ
て非常に苛酷な環境と考えられている。ここで,スピン
すべりとは,円盤状部品の上をローラが転動する時,接
触面内における周速の差から生じるすべりを意味する。
【0004】従来から,接触疲労をともなう歯車や軸受
等には,SCR420やSCM420に代表される肌焼
鋼や,SUJ2に代表される高炭素クロム軸受鋼が主に
使用されている。しかし,これらの鋼をトロイダル式無
段変速機等の用途に用いると,早期破損を起こす問題が
あった。そこで,このような特殊な使用環境下におい
て,良好な接触疲労特性を有する鋼,およびその鋼を用
いた部品が要望されている。
【0005】
【解決しようとする課題】こうした状況のもとに提案さ
れた鋼はこれまでに,特開平8−326862,特開平
10−103440,などに開示されている。たとえ
ば,特開平8−326862は表面硬化処理として高周
波焼入を採用しているが,本用途に対して疲労寿命向上
効果が十分ではない。また,特開平10−103440
は表面硬化処理として浸炭を採用しているが,浸炭や浸
炭窒化含めた方法は,十分な疲労寿命向上効果が得られ
ておらず,また,これらの処理はその処理に膨大な時間
とエネルギーを必要とし,同時にCO2排出等の環境問
題も生じる問題があった。
【0006】これらの問題点を考慮し,本発明の目的
は,熱処理として通常の焼入焼もどし,または高周波焼
入において,軸受等とは異なり,高面圧で,かつ,大き
な摩擦力と高温という非常に苛酷な環境となる動力伝達
部品,たとえばトロイダル式無段変速機等に関して,良
好な接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼,および動力
伝達部品を提供することにある。
【0007】
【課題の解決手段】発明者らは鋭意検討を実施した結
果,上記の課題を解決するために,C:0.65超〜
0.90wt%,Si:0.5超〜2.0wt%,M
n:1.0wt%以下,P:0.025wt%以下,
S:0.035wt%以下,Cu:0.3wt%以下,
Cr:4.0超〜6.0wt%,Al:0.05wt%
以下,O:0.0015wt%以下,N:0.030w
t%以下,Ti:0.005wt%以下を含有し,残部
がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を球状化焼鈍し
た鋼であって,この鋼からなる部品を焼入焼もどしした
時に,その部品の未固溶炭化物を除くマトリックス中の
固溶C量が0.40超〜0.65wt%を有し,その部
品の硬さがHv700以上になることを特徴とし,更
に,Ni:1.0%以下,Mo:1.0%以下の1種お
よび2種を含有することができ,更に,焼入および焼も
どしに関して,高周波誘導加熱を用いることができる,
良好な接触疲労特性を有する摩擦力により動力を伝達す
る動力伝達部品用鋼を提供する。
【0008】また,更に,C:0.65超〜0.90w
t%,Si:0.5超〜2.0wt%,Mn:1.0w
t%以下,P:0.025wt%以下,S:0.035
wt%以下,Cu:0.3wt%以下,Cr:4.0超
〜6.0wt%,Al:0.05wt%以下,O:0.
0015wt%以下,N:0.030wt%以下,T
i:0.005wt%以下を含有し,残部がFeおよび
不可避的不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した鋼からなる
部品を焼入焼もどしした後に,その部品の未固溶炭化物
を除くマトリックス中の固溶C量が0.40超〜0.6
5wt%を有し,その部品の硬さがHv700以上であ
ることを特徴とし,更に,Ni:1.0%以下,Mo:
1.0%以下の1種および2種を含有することができ,
更に,焼入および焼もどしに関して,高周波誘導加熱を
用いることができる,良好な接触疲労特性を有する摩擦
力により動力を伝達する動力伝達部品を提供する。
【0009】以下に各合金元素の限定理由について説明
する。 C:0.65超〜0.90wt% Cは鋼の強度を保持するために必須の元素であり,焼入
焼もどし処理の後に未固溶炭化物を残留させた上で所要
の硬さを得るためには,0.65wt%超の含有量が必
要である。しかし,その含有量が多過ぎれば,大型の共
晶炭化物や粒界にネット状の炭化物を析出し易くなり,
冷間および熱間加工性を阻害し製造性を悪化させるため
上限を0.90wt%とした。好ましくは0.70〜
0.80wt%が望ましい。
【0010】Si:0.5超〜2.0wt% Siは本発明にとって重要な元素の1つであり,発明者
らは焼戻し軟化抵抗を与えるだけでなく,接触摩擦力に
よって動力伝達する部品において,その接触疲労特性の
劣化を抑制する効果を見出した。その効果のためには
0.5wt%を超えた含有量が必要である。しかし過剰
に添加してもその効果は飽和するばかりでなく,鋼の変
態点を高めるので熱処理温度を高温とする必要を生ずる
ほか,鍛造性および冷間加工性を損なうなどの弊害をも
たらすので,Si含有量の上限を2.0wt%とする。
好ましくは1.1〜1.7wt%が望ましい。
【0011】Mn:1.0wt%以下 Mnは鋼の焼入れ性を向上することにより基地マルテン
サイトの靭性,硬度を向上させる元素であるが,過剰に
添加すると素材の軟化焼鈍を困難とし,また加工性およ
び熱間加工性をも劣化させるため上限を1.0wt%と
する。 P:0.025wt%以下 Pは鋼中に多量に存在すると結晶粒界に偏析し,粒界を
脆化させる原因になる元素である。従って,可能な限り
低いことが望ましく,上限を0.025wt%に規制す
る。 S:0.035wt%以下 Sは切削性を向上させる元素であるが,多量に添加する
と大型のMnS等の非金属介在物を生成し,疲労特性を
劣化させるため上限を0.035wt%とする。
【0012】Cu:0.3wt%以下 Cuは鋼の焼入れ性,耐食性を向上させる元素である
が,しかし本発明においては,その含有量が多すぎれば
赤熱脆性等の不具合を起こし,製造性を悪化させるので
上限を0.3wt%とする。 Ni:1.0wt%以下 Niは鋼中マトリックスを強化して靭性を向上させる点
で,疲労特性の向上に有効な元素である。しかし含有量
が多くなるとその効果が飽和するばかりか冷間加工性を
阻害し,また焼入れ時に残留オーステナイト量が増加
し,硬さが低下して疲労特性を劣化させ,さらに材料コ
ストの上昇を招くことからその含有量は1.0wt%以
下とする。
【0013】Cr:4.0〜6.0wt% Crは本発明にとって必須の元素の1つで,焼戻し軟化
抵抗性を与えるだけでなく,炭化物を生成することで耐
摩耗性を付与し,さらに,本発明において,Siと同時
に添加することにより,接触摩擦力によって動力伝達す
る部品において,接触疲労特性の劣化を抑制する効果を
見出した。その効果のためには4.0wt%を超えて添
加する必要がある。しかし過剰に添加してもその効果は
飽和し,むしろ巨大な炭化物を析出させることで返って
疲労特性を劣化させる場合があり,さらにはいたずらに
コストを高めるのみなので,その含有量上限を6.0w
t%とする。
【0014】Mo:1.0wt%以下 MoはCrと同様に炭化物形成元素であり,硬度や耐摩
耗性に影響を与え,さらに焼戻し軟化抵抗性も向上させ
る。本発明においては,その添加により接触疲労特性を
さらに改善できることを見出したことから添加すること
ができる。しかし,MoはCrよりもより安定な炭化物
を形成することから,その含有量が多くなると,疲労特
性を劣化させる大型の共晶炭化物の生成を促進させ,さ
らに固溶C量を確保するために焼入れ温度の高温化を招
くことで熱処理コストを上昇させ,さらに熱間加工性等
の鋼の生産性にも悪影響を及ぼすので,1.0wt%以
下とする。
【0015】Al:0.05wt%以下 Alは鋼を製造する上で脱酸剤として使用するため不可
避に存在するもので,Nと結合して,結晶粒の成長を抑
制することが知られている一方,過剰に添加すると酸化
物系介在物となりやすく,接触疲労特性に悪影響を及ぼ
すので,上限を0.05wt%とする。 O:0.0015wt%以下 OはAlと結合することで,接触疲労特性の低下を招く
硬質な非金属介在物を形成する元素であるため,可能な
限り低いことが望ましく,0.0015wt%以下に規
制した。
【0016】N:0.030wt%以下 NはAlと結合して結晶粒の成長を抑制することが知ら
れており,その効果のために添加することが可能である
が,しかし過剰に添加すると,鋳造欠陥等の不具合を生
じるので,その含有量上限を0.030wt%とする。 Ti:0.005wt%以下 TiはNと結合して,大型で硬質な非金属介在物を生成
しやすく接触疲労特性を劣化させるので,可能な限り低
いことが望ましく,0.005wt%以下に規制した。
焼入後のマトリックス中の固溶C量:0.40超〜0.
65wt%本発明において,部品を焼入焼もどしした時
のマトリックス中の固溶C量が,摩擦力によって動力伝
達する際の接触疲労特性に影響することを見出した。そ
の向上のためにはその固溶C量を0.40超〜0.65
wt%の範囲にする必要がある。0.40wt%以下に
なると焼入焼もどし硬さが低下して接触疲労特性の劣化
を招き,また,0.65wt%を超える固溶C量になる
と,たとえば,必要な硬さは維持できていても接触疲労
特性を劣化させることを見出したので上限を0.65w
t%とした。好ましくは0.45〜0.60wt%が望
ましい。
【0017】焼入焼もどし硬さ:Hv700以上 本発明に係わる対象部品は接触荷重を受けるため,塑性
変形を防止し,その面圧に耐える必要があることから下
限をHv700とした。
【0018】
【発明の実施の形態】発明者らは本発明を成すために,
対象となる鋼あるいは部品が使用される環境を再現した
試験を実施する必要があると考えた。すなわち,高面
圧,摩擦力による動力伝達,高温,また接触面内におけ
るスピンすべり等が考慮された試験でなければならな
い。
【0019】図1は本発明に係わる試験で用いた接触疲
労試験機を示す。本試験機は円盤状試験片(従動円盤)
2上において,垂直荷重を受けた2ないし3つの駆動ロ
ーラ1が駆動モータ3にて転動し,十分な摩擦力を与え
るために動力吸収機4によって制動している従動円盤2
を,接触面21に発生する摩擦力を利用して駆動させる
ものである。
【0020】表1は,本試験機と,一般に歯車の代用評
価として用いられるローラピッチング試験機と,軸受の
代用評価として用いられるスラスト型転動寿命試験機の
特徴を合わせて示す。表1より,本試験機は,スピンす
べりを伴いながら,接触摩擦力により動力伝達をおこな
う部品を,評価するのに適している。表2は本発明を成
すために各種検討を実施した供試材の化学成分の一覧表
を示す。これらの供試材は,VIMで溶製し,分塊圧延
後,熱間で鍛伸および据込み鍛造した素形材を用い,硬
さを低減して機械加工を容易にするため,球状化焼鈍と
して,850℃で5hr保持後,550℃まで15℃/
hrの徐冷を施した後に,所定の寸法に機械加工して,
所定の焼入熱処理を施した。さらに表面を仕上加工する
ことでスケールや脱炭層を除去して試験に供した。
【0021】表3は各供試材の熱処理(熱処理の詳細
は,表4,図2,図3及び図4に記載),および仕上加
工後の表面のマトリックス中の固溶C量と表面硬さを示
す。なお,図3および図4中のC.P.とは浸炭雰囲気
中のカーボン・ポテンシャルを意味する。ここで,固溶
C量はX線回折によるγ(220)の格子定数測定から
求めており,表面硬さは10kgのビッカース硬度計で
測定した。測定は,円盤状試験片(従動円盤)2におけ
る駆動ローラ1との接触面21において行った。これら
の供試材を図1に示した接触疲労試験機において,表5
に示す条件で試験を実施し,接触疲労特性は,接触面に
おける剥離損傷の発生までの回転数として計測した。そ
の結果を表6に示し,ここで,平均寿命比は鋼R(JI
S−SUJ2)を1とした比で表わしている。
【0022】以下に本発明に係わる実施例について説明
する。本発明鋼は表2における鋼A〜Jであり,表3に
おける鋼E2および鋼E3は,鋼Eに関して熱処理条件
を変化させて,マトリックス中の固溶C量および硬さを
変化させたものである。また表3における鋼H2は,鋼
Hの熱処理に高周波焼入を用いたものである。これらの
本発明鋼は,表6に示す平均寿命比が4.1〜6.2の
良好な接触疲労特性を有することがわかる。
【0023】一方,比較鋼は表2における鋼K〜鋼Pで
あり,本発明鋼に対し,鋼KはC量が多く,また,鋼N
はC量が低くなっており,表6に示すごとく十分な寿命
向上が得られず,また,鋼LはSi量が,鋼MはCr量
が本発明鋼より低く,同様に十分な寿命向上が得られて
いない。さらに,鋼OはTi量が本発明鋼より高く,非
金属介在物が多くなっていると考えられるため十分な効
果がえられていない。ここで,鋼Pは化学成分は本発明
の範囲内であるが,表3中の鋼P,P2およびP3とし
て,それぞれ表4中の,およびの熱処理条件とし
たものであり,鋼Pは焼入温度が高く,マトリックス中
の固溶C量が多くなっており,また,鋼P2は焼入温度
が低く,マトリックス中の固溶C量が少なくなってお
り,また,鋼P3はマトリックス中の固溶C量は本発明
の範囲内であるが,焼もどし温度が高く,硬さが本発明
の範囲よりも低いものである。従って,これら鋼P〜P
3に関して,表6に示すごとく,本発明鋼に比べて十分
な寿命向上が得られていない。
【0024】さらに,表2における鋼Q〜Tは従来鋼を
示しており,表3にその熱処理とマトリックス中の固溶
C量および硬さを示している。ここで,鋼QはJIS−
SUJ2であり,鋼RはJIS−SCM420であり,
鋼Sは特開平8−326862に相当し,鋼Tは特開平
10−103440に相当するものである。いずれの従
来鋼も本発明鋼に対して合金量が低く,さらに浸炭する
鋼Rと鋼Tはマトリックス中の固溶C量が高く,表6に
示すごとく十分な寿命向上が得られていない。これらの
比較鋼および従来鋼の結果は発明の妥当性を示すもので
ある。
【0025】以上に本発明の実施例を詳述したが,これ
は一例であり,本発明の意図を逸脱しない範囲で,摩擦
力によって動力を伝達する動力伝達部品用鋼,および動
力伝達部品に適用可能である。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【発明の効果】本発明は潤滑油を介して接触し,その摩
擦力を利用することで動力伝達を行う動力伝達部品用鋼
および動力伝達部品に関して,溶製時の適正な化学成分
と熱処理後の固溶C量と硬さを制御することにより,摩
擦力により動力を伝達する部品に関して,一般的に用い
られるSUJ2,SCM420および他の従来鋼に対し
て,十分な接触疲労特性向上効果を確保するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触疲労特性を測定する接触疲労試験
機の概要を示す。
【図2】表3における熱処理のうち,高周波焼入に関す
るヒートパターンを示す。
【図3】表3における熱処理のうち,一部の浸炭に関す
るヒートパターンを示す。
【図4】表3における熱処理のうち,一部の浸炭に関す
るヒートパターンを示す。
【符号の説明】
1...駆動ローラ, 2...円盤状試験片(従動円盤), 21...接触面, 3...駆動モータ, 4...動力吸収機,
フロントページの続き (72)発明者 西川 友章 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 野村 一衛 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 伊藤 幸夫 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 山本 出 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 相原 秀雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 大西 昌澄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中野 修 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 篠原 明彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 BE09 EC08 FA02 FA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.65超〜0.90wt%,S
    i:0.5超〜2.0wt%,Mn:1.0wt%以
    下,P:0.025wt%以下,S:0.035wt%
    以下,Cu:0.3wt%以下,Cr:4.0超〜6.
    0wt%,Al:0.05wt%以下,O:0.001
    5wt%以下,N:0.030wt%以下,Ti:0.
    005wt%以下を含有し,残部がFeおよび不可避的
    不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した鋼であって,この鋼
    からなる部品を焼入焼もどしした時に,その部品の未固
    溶炭化物を除くマトリックス中の固溶C量が0.40超
    〜0.65wt%を有し,その部品の硬さがHv700
    以上になることを特徴とする,良好な接触疲労特性を有
    する摩擦力により動力を伝達する動力伝達部品用鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1において,更に,Ni:1.0
    %以下,Mo:1.0%以下の1種および2種を含有
    し,残部がFeおよび不可避的不純物よりなっているこ
    とを特徴とする,良好な接触疲労特性を有する摩擦力に
    より動力を伝達する動力伝達部品用鋼。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,焼入および焼
    もどしに関して,高周波誘導加熱を用いる,良好な接触
    疲労特性を有する摩擦力により動力を伝達する動力伝達
    部品用鋼。
  4. 【請求項4】 C:0.65超〜0.90wt%,S
    i:0.5超〜2.0wt%,Mn:1.0wt%以
    下,P:0.025wt%以下,S:0.035wt%
    以下,Cu:0.3wt%以下,Cr:4.0超〜6.
    0wt%,Al:0.05wt%以下,O:0.001
    5wt%以下,N:0.030wt%以下,Ti:0.
    005wt%以下を含有し,残部がFeおよび不可避的
    不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した鋼からなる部品を焼
    入焼もどしした後に,その部品の未固溶炭化物を除くマ
    トリックス中の固溶C量が0.40超〜0.65wt%
    を有し,その部品の硬さがHv700以上であることを
    特徴とする,良好な接触疲労特性を有する摩擦力により
    動力を伝達する動力伝達部品。
  5. 【請求項5】 請求項4において,更に,Ni:1.0
    %以下,Mo:1.0%以下の1種および2種を含有
    し,残部がFeおよび不可避的不純物よりなっているこ
    とを特徴とする,良好な接触疲労特性を有する摩擦力に
    より動力を伝達する動力伝達部品。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5において,焼入および焼
    もどしに関して,高周波誘導加熱を用いる,良好な接触
    疲労特性を有する摩擦力により動力を伝達する動力伝達
    部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2009078314A1 (ja) * 2007-12-17 2011-04-28 Nok株式会社 密封装置
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