JP2002053811A - 防湿性塗料 - Google Patents

防湿性塗料

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JP2002053811A
JP2002053811A JP2000240967A JP2000240967A JP2002053811A JP 2002053811 A JP2002053811 A JP 2002053811A JP 2000240967 A JP2000240967 A JP 2000240967A JP 2000240967 A JP2000240967 A JP 2000240967A JP 2002053811 A JP2002053811 A JP 2002053811A
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film
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Chitose Yoshimura
千登勢 吉村
Takashi Sako
隆 河向
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の防湿性塗料に比較してより防湿性能が
高く、薄い防湿層で十分な防湿性を得ることが可能な、
非塩素系樹脂を使用した高性能の防湿性塗料を得る。 【解決手段】防湿性塗料を下記条件により塗工乾燥して
得た塗膜の膜厚(単位:μm)の逆数をxとし、カップ
法(JIS−Z−0208:40℃、90%RH)によ
り測定した該塗膜の透湿度(単位:g/m2・24hr)をyと
して、最小二乗法により回帰直線y=ax+bを求めた
とき相関係数Rが0.85以上であり、傾きaが0<a
<1000、y切片bが−10≦b≦10である防湿性
塗料。 <条件>防湿性塗料をガラス板上に塗工、110℃で1
分、さらに130℃で5分乾燥させて、膜厚が5μm、
10μm、15μm、20μm(許容誤差±2μm)の
4種類の膜厚の塗膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙、段ボールシー
ト等の紙製基材、石膏ボード、屋根材、壁材、化粧板等
の建築材料、鉄板や鋼板等の金属板、電子部品等の各種
基材に塗工することによって、防湿層を形成する防湿性
塗料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、紙や段ボールシート等の紙製基
材、石膏ボード、屋根材、壁材、化粧板等の建築材料、
各種金属板、電子部品等の基材そのものの保護、又は基
材の内容物の保護などの目的のために各種基材に防湿層
を設けて水蒸気の透過を防止するには、前記基材上に被
膜形成性の防湿性高分子化合物フィルムを貼合、もしく
は高分子化合物のエマルジョンからなる防湿性塗料を塗
工して防湿層を形成する方法が存在する。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】しかし、前述の方法
には下記のような問題があった。例えば、紙や段ボール
シート等の主として包装材料に用いられる紙製基材にお
いては、その内容物、例えば上質紙、晒クラフト紙、未
晒クラフト紙、各種塗工紙等の紙類、資材や機械等、青
果物等の吸湿あるいは脱湿を防ぐために、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系やポリ塩化ビ
ニリデン等の塩化ビニリデン系の被膜形成性を有する防
湿性高分子化合物フィルムを前記紙製基材にラミネー
ト、あるいは貼合して防湿層とする技術は公知である。
しかし、この種の紙は防湿層が強固であるため、防湿性
の機能は十分発揮できるが、再離解する際にパルプ繊維
がフロック状に残存したり、被膜そのものが大きなシー
ト状に残存するなどの問題があり、古紙原料として使用
できず、使用後に焼却処分あるいは埋め立て処分するし
かなく、環境保護や資源の再利用の面から問題がある。
また、前記のような高分子化合物をエマルジョンとして
塗工する方法で防湿被膜を形成する方法がある。しかし
ながら、通常合成樹脂エマルジョン塗工によって得た被
膜は強固ではないため、再離解が容易である反面、優れ
た防湿性を発揮することは難しい。また、優れた防湿機
能を有するポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂のエマル
ジョンを用いた場合、防湿性は良好であっても、焼却時
にダイオキシン発生など環境汚染の原因となると懸念さ
れ、使用が避けられているのが現状である。また、石膏
ボード、屋根材、壁材、化粧板等の建築材料にも同様に
高分子化合物フィルムをラミネートあるいは貼合して防
湿性を付与する技術は公知である。例えば、グラスウー
ルや石綿等の無機質断熱材は、それ自体の透湿性が大き
いためこれを外壁等の建物外郭部の内側に断熱材として
取り付けた場合、そのままでは室内の水蒸気が断熱材内
部に進入し、外郭部表面あるいはその近傍で冷却され結
露し、いわゆる内部結露の現象を生じて、室内への結露
水の滲みだし、汚斑、断熱性の低下などの被害をもたら
す。このため断熱材の室内側に合成樹脂フィルムを貼り
合わせる。また、建築材料表面にポリ塩化ビニリデンを
塗装して水蒸気の進入を防いで耐腐食性を付与したり結
露を防止する。さらに建築施工時に必要な部位にポリ塩
化ビニリデンの水性エマルジョンを吹き付け塗装して防
湿性を高め、家屋の結露によるカビの発生や湿気による
腐敗を防止する方法が知られている。これらの防湿性を
付与した建築材料は広く普及しているが、要求される防
湿性が高く、例えば透湿度として10g/m2・24hr以下が
必要とされる場合、ポリエチレン等のポリオレフィン系
樹脂を貼合する方法では、100μm以上の膜厚が必要
となり、使用できる建築材料が限られるだけでなく、不
燃性の点で問題が生じ、対策が必要となる。また、優れ
た防湿性被膜を得る方法として塩化ビニリデン系樹脂を
用いる方法が存在する。例えば、特開平5−98711
公報には石膏ボード表面に塩化ビニリデン系共重合体を
形成した防湿石膏ボード、特開平11−269425公
報にはポリ塩化ビニリデン樹脂を主体とする建材用防湿
水性塗料を用いて板材表面に防湿塗装層を形成する方
法、特開平11−348180公報には木質化粧板の表
面にポリ塩化ビニリデン共重合体を含む防湿防水塗膜層
を形成する方法が記載されている。これらポリ塩化ビニ
リデンを主体とする塗料組成物を塗布乾燥して建築材料
に防湿性を付与する方法は、ポリ塩化ビニリデンの膜厚
として数十μm程度で、透湿度が一桁程度の高性能の防
湿層が得られる。しかし、最近の環境重視の情勢から、
これら建築材料としてもやはり廃棄焼却時のダイオキシ
ン発生の恐れが問題となって、紙基材と同様に、非塩素
系素材を用いた防湿塗料が望まれている。非塩素系素材
を用いた建材用防湿水性塗料としては特開平9−328
672公報には合成樹脂エマルジョン、タッキフアイヤ
ーエマルジョン、ワックスエマルジョン、シリコン樹脂
エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン等の撥水剤を含
む防湿性接着剤組成物が開示されている。これら撥水剤
を含む防湿塗料を塗布乾燥して形成した防湿層は、表面
の撥水性のため建材内部への水の進入を防ぐことができ
るが、透湿度が一桁の高性能の防湿層を形成することは
できず、また、できたとしても塗工層の乾燥に長時間を
要したり、膜厚を非常に厚くする必要があり経済的に成
り立たない。また、鉄板や鋼板等の金属板は用途分野に
合わせて加工、成形されるが、その際水蒸気が直接金属
に到達するのを防ぎ、錆の発生を抑えるためのプライマ
ー層を設けることは公知技術である。また、このプライ
マー層に防錆顔料を配合することもある。しかしなが
ら、防錆顔料にはクロムが多量に含まれており、毒性の
高いクロムの溶出による公害が懸念される。非クロム系
防錆顔料もあるが、これらは従来のクロム系の防錆顔料
と比べ防錆力が見劣りするものであり、所望の防湿性、
防錆性を得るためには塗膜を厚くしなければならないな
どの問題がある。また、電子部品等の防湿処理として
は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を基板に塗布する方法
などが広く用いられてきたが、防湿性能が不十分であっ
た。以上に述べた通り、従来の防湿性塗料は、防湿性能
が不十分であったり、そのために十分な防湿性を得るた
めに防湿層を厚くしなければならず製品加工が難しかっ
たり、塩素系樹脂を使用するため廃棄時の環境負荷が高
いなどの多くの問題が存在し、これらを解決する高性能
の防湿性塗料の開発が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために以下の方法とする。即ち、本発明の1は、
防湿性塗料を下記条件により塗工乾燥して得た塗膜の膜
厚(単位:μm)の逆数をxとし、カップ法(JIS−
Z−0208:40℃、90%RH)により測定した該
塗膜の透湿度(単位:g/m2・24hr)をyとして、最小二
乗法により回帰直線y=ax+bを求めたとき相関係数
Rが0.85以上であり、傾きaが0<a<1000、
y切片bが−10≦b≦10である防湿性塗料である。 <条件>防湿性塗料をガラス板上に塗工、110℃で1
分、さらに130℃で5分乾燥させて、膜厚が5μm、
10μm、15μm、20μm(許容誤差±2μm)の
4種類の膜厚の塗膜を得る。また、本発明の2は、防湿
性塗料が合成樹脂を含有する本発明1記載の防湿性塗料
である。また、本発明の3は、防湿性塗料が平板状顔料
を含有する本発明2記載の防湿性塗料である。また、本
発明の4は、平板状顔料が、フィロケイ酸塩鉱物、無機
層状化合物及び粘土鉱物からなる群から選択される一種
以上である本発明3記載の防湿性塗料である。また、本
発明の5は、合成樹脂が、α−オレフィン・不飽和カル
ボン酸共重合体である本発明2〜4記載の防湿性塗料で
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明者らは、高度の防湿性を有する防湿性塗膜
について鋭意検討した結果、防湿性塗料を塗工、乾燥し
て得た塗膜の膜厚と透湿度の間に、特定の関係があるも
のが驚異的に優れた防湿性を示すことを見出し本発明に
至った。なお、本発明においては、防湿性はカップ法
(JIS−Z−0208)における条件B(40℃、9
0%RH)に基づき測定した透湿度で評価する。透湿度
とは一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の
量を示し、膜状物質を境界線として一方の空気を相対湿
度90%、他方の空気を脱湿剤によって乾燥状態に保
ち、24時間にこの境界線を通過する水蒸気の量をその
膜状物質1m2当たりに換算した値である。また、本発
明では透湿度は防湿性塗料の塗工面が高湿側となるよう
にして測定するものとする。
【0006】本発明者らはまず、防湿性を有する各種合
成樹脂のエマルジョン単独で塗膜を作製し、実験を行っ
た。具体的には、メイヤーバーによってガラス板上に各
種樹脂の塗膜を形成し、110℃の乾燥機に1分放置、
さらに130℃の乾燥機に5分間放置することにより乾
燥させて安定な塗膜とし、さらにガラス板を室温まで冷
却させた後、フィルム状となった塗膜を剥がして試料と
した。次いで前記試料につき膜厚を測定し、さらにカッ
プ法にて透湿度の測定を行い、防湿性を評価した。その
結果、各種合成樹脂塗膜の膜厚の逆数と透湿度の間に
は、膜厚の逆数が大きくなると透湿度が大きくなるとい
う比例関係にあることが判明した。これらの関係をさら
に詳しく検討したところ、膜厚の逆数をx軸、透湿度を
y軸とし、最小二乗法による回帰直線y=ax+bを求
めることが可能であることが判明した。
【0007】ここでの回帰直線の傾きaは透湿率を表
し、またy切片bは塗膜の膜厚が無限大のときの透湿度
の値を意味する。理論上、防湿、防水機能を有する樹脂
単独のフィルムであれば、b=0になるはずであるが、
実際にはbが正負いずれかの値を示すものがある。y切
片が正の値の場合、樹脂単独のフィルムを水蒸気が通過
することを意味する。これは合成樹脂エマルジョンによ
る塗膜形成時に樹脂が十分に融着せず、樹脂の界面が連
なって水路(Channel)が形成されているような
状態で塗膜が形成され、このChannelの存在によ
り水蒸気が透過するため、ホースを長くしても流れる水
量は変わらないのと同様に、塗膜の膜厚をいくら厚くし
ても透湿度が0にならないためと考えられる。
【0008】これを実証するため、樹脂単独の塗膜につ
いて、前述したメイヤーバーで1回塗りにより得た塗
膜、及び2〜15回重ね塗りすることによって得た各塗
膜について各々の塗膜の膜厚の逆数と透湿度の関係より
同様に回帰直線を求めたところ、重ね塗り回数が増加す
る程、y切片bの値が小さくなった。これは重ね塗りに
よって、積層した塗膜の界面でChannelが切断さ
れることにより透湿度が減少したものと考えられる。こ
のようなChannelをなくす方法(Y切片を10以下にする
方法)としては以下のような方法が挙げられる。平板状
顔料を均一に分散し、塗膜を形成した時に顔料同士の重
なり合いがないような状態にする。顔料同士が重なると
顔料と樹脂の界面がChannelとなってしまうために平板
状顔料の重なり合いをなくすことが大事である。また、
平板状顔料に含まれる粒子径の小さい顔料(平均粒子径
の10分の1未満の顔料)の割合を極力減らすこともCh
annel減少に効果的である。このような粒子径の小さい
顔料は、平板状顔料の表面にくっつき樹脂と顔料の耐水
接着性を低下させるとともにその界面の体積を増大させ
る。その結果Channelとなる流路の径が大きくなりChann
elによる透過を増大させる。そのためなるべく小さい粒
子径の顔料を少なくし、平板状顔料の粒度分布をシャー
プにすることによりChannelを減少できる。また、平板
状顔料をシランカップリング剤などのカップリング剤や
カチオン性の化合物により表面処理しChannelとなりう
る顔料と樹脂との界面の接着性および耐水性を向上させ
ることもChannel減少に効果的である。一方、樹脂とし
ては水系樹脂が本発明では好適に用いられるが、耐水性
の連続被膜を形成する樹脂は親水性の乳化剤や樹脂に親
水性成分を共重合させることで水中で分散あるいは可溶
化されている。乳化剤やその他の親水性成分は被膜中で
均一に分散されているというよりある程度集まった状態
で存在している。そのため、これら親水性成分の量が多
すぎると親水性成分が連続的につながった状態となりCh
annelを形成してしまう。そのため親水性成分、特に乳
化剤などのような親水性の低分子化合物の量は極力少な
くした方が良い。また、カルボン酸変性のような親水性
基で自己乳化させたものは、親水基が膜中に均一に分散
して好ましい。しかしラテックスやエマルジョンのよう
に粒子形状のものは粒子表面にカルボン酸などの極性基
が局在しておりこれがChannelとなりうる。このChannel
をなくすためには、親水性基と架橋反応して耐水性を向
上させる化合物(エポキシ化合物など)やイオン結合や
水素結合により耐水性を高める化合物(含窒素有機化合
物のようなカチオン性化合物)を樹脂と併用して使用す
る。また、カルボン酸変性された樹脂はアルカリ化合物
により中和されて水中で分散あるいは可溶化されている
が、耐水性の面ではアンモニアやアルカノールアミンな
どの乾燥後に被膜から蒸発してしまうアルカリ化合物が
好ましい。また、用いる水性樹脂の表面張力と粘度もCh
annel減少にとって重要な要因である。平板状顔料の分
散は既に述べた通りChannelに大きな影響を与えるが、
平板状顔料の分散性は樹脂の表面張力と粘度により影響
を受ける。表面張力が高すぎると平板状顔料が分散しづ
らくなり、低すぎると泡を含みやすくなり好ましくな
く、好適な範囲は10dyne/cm〜70dyne/cmである。ま
た、粘度は高すぎても低すぎても分散性は悪くなる。粘
度の好適な範囲は10cps〜5000cpsである。
平板状顔料の分散にはプロペラ式分散機、カウレス分散
機、ホモミキサー、高圧分散機などが好適に使用され
る。これらの中でもシェアがかかりやすいホモミキサー
や高圧分散機(マイクロフルイタイザー社、DeBee社)
が好ましい。またy切片bが負の値をとる場合は、該樹
脂は、膜厚が小さい程ピンホールが多数発生し、ばらつ
きが大きいことが原因と考えられる。低塗工量における
ピンホールを減少(Y切片を−10以上にする)方法と
して、Channel同様平板状顔料の分散を良くすることと
粒子径のコントロールが重要である。被膜中にその膜厚
より大きな顔料や顔料の凝集物があるとその部分がピン
ホールとなる。このようなピンホールは膜厚の薄いとこ
ろ(10μm以下)で特に発生しやすい。このようなピ
ンホールを防ぐために被膜に耐水性のあるオーバーコー
トを施したりアンカー層を設けることも有効である。樹
脂としては成膜欠損を起こしにくい樹脂が好ましい。例
えば粒子径0.1μm未満の超微粒子エマルジョンタイ
プの樹脂やアルカリ水溶液に可溶化したような樹脂はピ
ンホールができにくい。
【0009】塗膜の膜厚が無限大(膜厚の逆数x=0)
の透湿度であるy切片b(単位:g/m2・24hr)は−10
≦b≦10であることが必要である。bが10を越える
塗料では、高度な防湿性が望めず、−10未満となる塗
料は、膜厚が薄い場合にピンホール等が生じ易く、安定
した防湿性が望めるものではない。さらに解析した結
果、高い防湿性の塗膜を得るためには、最小二乗法によ
る相関係数Rが0.85以上の直線性を示し、かつ傾き
aが0<a<1000の範囲であることがより好ましいこ
とが判明した。相関係数Rが0.85より小さいものは
塗料として不安定であり、膜厚が小さい場合ピンホール
などができやすいので、相関係数はできるだけ1に近似
するものが望ましい。また傾き、即ち透湿率aが100
0以上を示す塗料は、物性的に透湿度が高いため高い防
湿性を発揮することができない。同様の理由で、aは5
00以下であることがさらに好ましい。回帰直線の傾き
を小さくするためには、平板性の高い顔料で粒度分布が
シャープなものが好ましい。また、平板性の高さはアス
ペクト比(本発明では平均粒子径/厚さ)で表されるが
アスペクト比は高いほど傾きは小さくなる。また、樹脂
自体の耐水性や成膜性を高めることも傾きを小さくする
ことに効果的である。樹脂の耐水性はその単独被膜の水
に対する溶解係数を小さくする(樹脂単独被膜の吸湿率
を小さくする)ことで達成できる。具体的には乳化剤や
共重合されている親水基や他の親水性成分などを極力少
なくすることが挙げられる。また、成膜性は樹脂のTgや
ゲル分率や水中での状態(粒子径や溶解成分の量)で決
定される。成膜性の良い樹脂ほど水分子の拡散係数(水
の膜中の移動のしやすさ)が小さくなり傾きが小さくな
る。
【0010】本発明の第2として、前記第1の条件を満
たす防湿性塗料として、合成樹脂を含有するものが好適
であることが判明した。また本発明の第3として、前記
第2の条件を満たす防湿性塗料として、さらに平板状顔
料を含有するものが好適であることが判明した。即ち、
合成樹脂単独の防湿性塗料と比較して、合成樹脂に平板
状顔料を加えることにより透湿度の値が大幅に小さくな
る。平板状顔料と合成樹脂からなる塗膜の断面を電子顕
微鏡で観察すると、塗膜中では平板状顔料が、ある程度
の配向の乱れはあるものの、塗工面に対してほぼ平行に
配向していることが判明した。平板状顔料自体は水蒸気
を通さないと考えられるため、塗膜に進入してきた水蒸
気は平板状顔料を迂回するように透過せざるを得ない。
そのため水蒸気の透過距離が何倍にも増大し、その結果
防湿性が向上する(曲路効果による透過係数の減少)。
また、平板状顔料を加えることで塗膜に占める合成樹脂
の体積分率が小さくなり、塗膜に溶解する水蒸気量(溶
解係数)が減少することにより防湿性が向上する。塗膜
の透湿係数は、透過係数と溶解係数の積で表されるた
め、平板状顔料の防湿性向上のメカニズムは、曲路効果
による透過係数の減少と樹脂の体積分率が減少すること
による溶解係数の減少の相乗効果、さらに、平板状顔料
を加えることによる、前述のChannel遮断効果に
よるものと考えられる。
【0011】本発明で使用できる平板状顔料としては、
第1にはフィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。フィロケイ
酸塩鉱物に属するものは板状又は薄片状で明瞭な劈開性
を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、
緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘
土鉱物等がある。これらの中でも産出されるときの粒子
が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族やタルクが好
ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母
(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バ
イオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイ
カ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イラ
イト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ
四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテ
ニオライト、リチウムテニオライト等が挙げられる。組
成的にタルクに類似する合成雲母等の合成品も本発明の
範疇に含むものとする。カオリン等の粘土鉱物も一般的
には平板状結晶といわれているが、結晶一個をとれば平
板状の部分はあるが全体としては粒状である。しかし、
カオリンのうち、意識的に結晶層を剥離し平板になるよ
うに切りだしたデラミカオリン等は本発明ににおける平
板状顔料として用いることができる。また、平板状顔料
の粒子径は、防湿層の膜厚に対応したものを使用したほ
うが好ましい。その場合は、平板状顔料をボールミル、
サンドグラインダー、コボルミル、ジェットミル等の粉
砕機で粉砕、分級して所望の粒子径を得た後、本発明に
使用するものとする。
【0012】本発明に用いる平板状顔料の第2は、積み
重なった構造やイオンで結合した平板性の高い、いわゆ
る無機層状化合物である。無機層状化合物の具体例とし
ては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン
酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化合物〔一般式
MX2で表わされるジカルコゲン化合物が例示される。
ここで、MはIV族(Ti、Zr、Hf)、V族(V、
Nb、Ta)又はVI族(Mo、W)の元素を、Xはカ
ルコゲン(S、Se、Te)を示す。〕が挙げられる。
【0013】本発明に用いる平板状顔料の第3として、
スメクタイト族、バーミキュライト族等の粘土鉱物を挙
げることができる。より具体的には、ディッカイト、ナ
クライト、スメクタイト、ハロイサイト、アンチゴライ
ト、クリソタイル、パイロフィライト、テトラシリリッ
クマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、バ
ーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石、等を挙げ
ることができる。特にスメクタイトが好ましく、スメク
タイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロ
ナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソ
ーコナイト、スチブンサイト等を挙げることができる。
【0014】また、本発明で使用する平板状顔料の粒子
径は、水あるいは溶剤等の溶媒中で分散された状態での
平均粒子径が20nm〜100μmの範囲が好適であ
り、さらに好ましくは1μm〜50μmの範囲である。
平均粒子径が20nm未満であると、アスペクト比が小
さくなり、防湿性向上効果が小さい。一方100μmを
越えると、塗工層表面から顔料が突き出し、外観不良や
防湿性の低下を招き、好ましくない。
【0015】本発明で用いる平板状顔料の平均粒子径の
測定は、平均粒子径が0.1μm以上のものについて
は、光散乱理論を応用したレーザー回折による粒度分布
測定装置により行う。また、平均粒子径が0.1μm未
満のものについては、動的光散乱法を用いて測定した値
である。
【0016】また、本発明で用いる平板状顔料の好まし
いアスペクト比は5以上であり、特に好ましくはアスペ
クト比が10以上である。アスペクト比は大きいほど平
板状顔料の塗工層中における層数が大きくなるため高い
防湿性能を発揮するので望ましい。アスペクト比が5未
満のものは、曲路効果が小さいために防湿性の向上効果
が低い。平板状顔料の厚みは、防湿膜の断面写真より測
定する。厚みが0.1μm以上のものは電子顕微鏡写真
より画像解析して求める。厚みが0.1μm未満のもの
は透過型電子顕微鏡写真より画像解析して求める。本発
明でいうアスペクト比は前述した平均粒子径を防湿膜の
断面写真より求めた平板状顔料の厚さで除したものであ
る。
【0017】本発明に用いられる合成樹脂は成膜性が良
好で、かつその膜が耐水性、防湿性を示すものであれば
特に限定されない。これらの合成樹脂はエマルジョンや
水あるいは溶媒に溶解した状態のものがより好ましい。
例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリル−
スチレン系共重合体、メタクリレート−ブタジエン系共
重合体、アクリルニトリル−ブタジエン系共重合体、ア
クリル系共重合体、ポリエステル系共重合体、ポリウレ
タン系共重合体、ポリアミド系共重合体、ポリカーボネ
ート系共重合体、ポリオレフィン系重合体、α−オレフ
ィン・不飽和カルボン酸共重合体、(変性)ロジン樹
脂、(変性)テルペン樹脂等が挙げられる。これらの中
でも特にα−オレフィン・不飽和カルボン酸共重合体が
好適である。α−オレフィン・不飽和カルボン酸共重合
体単独膜における防湿性は塗膜の膜厚約20μm〜30
μmで透湿度が30〜40g/m2・24hrという、ほ
ぼポリエチレンラミネート紙なみの高い防湿性を示すも
のであった。
【0018】本発明で使用できるα−オレフィン・不飽
和カルボン酸低分子量共重合体を構成するα−オレフィ
ンとしては、エチレン、プロピレン等が好ましく、エチ
レンが特に好ましい。不飽和カルボン酸としては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマ
ル酸等が好ましく、特に好ましいものはアクリル酸、メ
タクリル酸である。エチレンとアクリル酸又はメタクリ
ル酸(以下両者を合わせて(メタ)アクリル酸という)共重
合体、さらにはエチレンと(メタ)アクリル酸共重合体の
重量平均分子量が5000〜10万が好ましく、特に1
万〜5万が好ましい。重量平均分子量が5000未満に
なると低分子量成分が増えるため、防湿面が滑ったり、
防湿面がブロッキング(熱、圧力、経時変化によって発
生する融着や張り付き等の現象)し易くなるため好まし
くない。また、重量平均分子量が10万を越えるものは
製造が困難になるとともに、防湿性、耐ブロッキング
性、耐滑り性に対する効果が頭打ちとなる。
【0019】本発明で使用されるα−オレフィン・不飽
和カルボン酸低分子量共重合体は、水性媒体に分散され
ているもの(ラテックス型)が成膜性の面から好まし
い。上記の様なラテックス型のα−オレフィン・不飽和
カルボン酸低分子量共重合体として、利用できる市販品
の例としてはハイテックS−3121、ハイテックS−
7024、ハイテックS−3125、ハイテックS−3
123、ハイテックS−3127(全て東邦化学工業
製)等を挙げることができる。また、α−オレフィン・
不飽和カルボン酸共重合体をアルカリで水溶化させたも
の(アルカリ可溶型)も成膜性の面から好ましい。アル
カリの種類としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、アンモニア、アルカノールアミン
などのアミン類等が好ましい。これらアルカリの中では
防湿性の面でアンモニアとアミン類が好ましい。特にア
ンモニアや、低沸点(沸点150℃以下)の、あるいは
水と共沸するアミン類は、塗膜の乾燥中に防湿膜から蒸
発し易いため、α−オレフィン・不飽和カルボン酸共重
合体による塗膜の耐水性が向上、防湿性が良好となるた
め好ましい。上記の様なアルカリ可溶型のα−オレフィ
ン・不飽和カルボン酸低分子量共重合体として市販品が
利用でき、市販品の例としてはザイクセン−AC、ザイ
クセン−N、ザイクセン−L(全て住友精化製)等を挙
げることができる。また、α−オレフィン・不飽和カル
ボン酸共重合体はアルコール類やトルエンなどの溶剤に
溶かしたタイプでも使用可能である
【0020】α−オレフィン・不飽和カルボン酸共重合
体と平板状顔料の配合量は質量換算で95/5〜30/
70が好ましく、より好ましくは90/10〜35/6
5、特に好ましくは85/15〜40/60である。平
板状顔料の配合量が5%未満になると、防湿性向上効果
及び離解性向上効果が小さくなる。平板状顔料の配合量
が70%を越えると、平板状顔料の間を埋める樹脂が不
足して空隙やピンホールの増大を招き防湿性が悪化す
る。
【0021】本発明における防湿性塗料は、平板状顔料
を水中で分散しα−オレフィン・不飽和カルボン酸共重
合体と混合するかあるいはα−オレフィン・不飽和カル
ボン酸共重合体中で顔料を分散し、所定の固形分に調整
して塗料とする。分散方法はカウレス分散機などの機械
的分散で行い泡を巻き込まないようまた顔料が均一に混
ざるようにする。
【0022】本発明における防湿性塗料の塗装方法は特
に限定されるものではないが、例えば、ブレードコータ
ー、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイ
コーター、カーテンフローコーター、スプレー、刷毛塗
り、浸漬法等を挙げることができる。塗布した後の乾燥
方法についても特に限定されず、例えば熱風乾燥機、接
触加熱板、接触加熱ロール、赤外線乾燥機、高周波加熱
乾燥機等を用いることができる。乾燥温度は防湿性塗料
の成分の種類や量などに応じて変動するが、70℃〜1
70℃であることが好ましく、より好ましくは100℃
〜150℃である。特に防湿性を高めるにはこれら加熱
環境に滞留させて被膜形成樹脂の融着を進行させ、より
水分の透過を防止するような構造にすることが望まし
い。例えば110℃で1分経過後、さらに130℃で5
分間経過させる2段乾燥等の方法がより好ましい。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、下記の実施例は本発明を限定するものではな
い。また、特に断らない限り実施例中の部は質量部を示
す。
【0024】<実施例1>水233部に合成マイカ(商
品名PDM−GUC、トピー工業製、合成フッ素金雲
母、組成式KMg3AlSi3102、平均粒子径20
μm、アスペクト比80)30部を添加、攪拌後、エチ
レン・アクリル酸共重合体水溶液(商品名:ザイクセン
−AC、住友精化製、分子量25000、アクリル酸/
エチレン共重合比率=15/85、固形分30%、アン
モニア中和タイプ)233部を加え、さらに攪拌して防
湿性塗料を調製した(平板状顔料とα−オレフィン・不
飽和カルボン酸共重合体の配合比=30/70)。
【0025】<実施例2>水300部に天然マイカ(商
品名FA−500、山口雲母工業所製、白雲母、組成式
2O・3Al23・6SiO2・2H2O、平均粒子径
18μm、アスペクト比20)30部を添加、攪拌後、
エチレン・アクリル酸共重合体エマルジョン(商品名S
−3123、東邦化学製、分子量27500、アクリル
酸/エチレン共重合比率=15/85、固形分25%)
280部を加え、さらに攪拌して防湿性塗料を調製した
(平板状顔料とα−オレフィン・不飽和カルボン酸共重
合体の配合比=30/70)。
【0026】<実施例3>水300部に合成マイカ(商
品名PDM−9L−20、トピー工業製、合成フッ素金
雲母、組成式KMg3AlSi3102、平均粒子径2
0μm、アスペクト比60)30部を添加、攪拌後、エ
チレン・アクリル酸共重合体水溶液(商品名ザイクセン
−L、住友精化製、分子量25000、アクリル酸/エ
チレン共重合比率=15/85、固形分25%、アルカ
ノールアミン中和タイプ)280部を加え、さらに攪拌
して防湿性塗料を調製した(平板状顔料とα−オレフィ
ン・不飽和カルボン酸共重合体の配合比=30/7
0)。
【0027】<比較例1>ポリエステルエマルジョン樹
脂(商品名バイロナールMD−1200、東洋紡製、分
子量15000、固形分34%)を防湿塗料とした。
【0028】<比較例2>水300部に天然マイカ(商
品名A−11、山口雲母工業所製、白雲母、組成式 K2
O・3Al23・6SiO2・2H2O、平均粒子径5μ
m、アスペクト比16)30部を添加、攪拌後、エチレ
ン・アクリル酸共重合体水溶液(商品名ザイクセン−
L、住友精化製、分子量25000、アクリル酸/エチ
レン共重合比率=15/85、固形分25%、アルカノ
ールアミン中和タイプ)280部加え攪拌して防湿性塗
料を調製した(平板状顔料とα−オレフィン・不飽和カ
ルボン酸共重合体の配合比=30/70)。
【0029】<比較例3>水300部に中国産白雲母
(組成式 K2O・3Al23・6SiO2・2H2O、平
均粒子径31μm、アスペクト比20〜30)30部を
添加、攪拌後、エチレン・アクリル酸共重合体水溶液
(商品名ザイクセン−L、住友精化製、分子量2500
0、アクリル酸/エチレン共重合比率=15/85、固
形分25%、アルカノールアミン中和タイプ)280部
加え攪拌して防湿性塗料を調製した(平板状顔料とα−
オレフィン・不飽和カルボン酸共重合体の配合比=30
/70)。
【0030】<比較例4>水100部に合成マイカ(商
品名PDM−GUC、トピー工業製、合成フッ素金雲
母、組成式KMg3AlSi3102、平均粒子径20
μm、アスペクト比80)30部を添加、攪拌後、カル
ボン酸変性SBRラテックス(商品名S1X2、日本ゼ
オン製、カルボン酸変性スチレン−ブタジエンラテック
ス、酸変性率約20%、Tg18℃、固形分濃度50
%)140部を添加、さらに攪拌して防湿性塗料を調製
した(平板状顔料とSBRラテックスの配合比=30/
70)。
【0031】<比較例5>パラフィンワックス(融点7
0℃)、及び、フマル化ロジンとグリセリンとのエステ
ル化合物(軟化点100℃)を主成分とし、これに液状
ポリブテン、ロジンポリオキシアルキレンモノアルキレ
ンエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル
を含有してなるワックス含有乳化物(商品名OKW−4
0、荒川化学製、固形分濃度45%)5部と、カルボン
酸変性SBRラテックス(商品名S1X2、日本ゼオン
製、カルボン酸変性スチレン−ブタジエンラテックス、
酸変性率約20%、Tg18℃、固形分濃度45%)9
5部を添加、攪拌して防湿性塗料を調製した(ワックス
とSBRラテックスの配合比=5/95)。
【0032】<塗膜の作成方法>実施例、及び比較例で
得た各塗料をメイヤーバーを用いてガラス板上に塗工
し、110℃の乾燥機内に1分放置し、さらに130℃
の乾燥機内に5分間放置して安定な塗膜を作製し、ガラ
ス板及び塗膜が室温まで冷却してからフィルム状となっ
た塗膜を剥がして塗膜を得た。なお、各塗料につき、膜
厚が5μm、10μm、15μm、20μm(各々誤差
±2μmの範囲)のもの4種類の膜厚の試料を得た。 <膜厚の測定方法>JIS−K−7130、A−2法に
基づき、前述の方法で得た各防湿塗膜について膜厚を測
定した。測定点数は10点とし、最小と最大の値を除外
した8点の平均値を塗膜の膜厚とした。 <防湿性評価方法>カップ法(JIS−Z−020
8)、条件B(40℃、90%RH)に基づき、前述の
方法で得た各防湿塗膜について透湿度を測定した。透湿
度は24時間ごとに測定し、透湿度の前後のバラツキ
(ある点での透湿度から、直前の透湿度を引いた絶対値
を透湿度で除し、100分率で表した値)が5回連続で
5%以下となった点で測定終了点とする。測定終了点を
含めた最後の3点の平均値を透湿度の値とした。さら
に、各防湿塗膜の透湿度は、測定点数を5点とし、最小
の値と最大の値を除外した3点の平均値をその膜厚での
透湿度とした。なお、透湿度の測定には恒温恒湿機はヤ
マトエンジニアリング製の恒温恒湿機(型番IG43
M)を使用、温度は40±0.5℃、湿度は90±2%
RH以内であることを温湿度レコーダーにより常に監視
した。 <回帰直線の算出方法>実施例、比較例の各膜厚の逆数
をx、各透湿度をyとし、最小二乗法による回帰直線y
=ax+bを求めた。 以上実施例、比較例の測定結果、及び測定結果より得ら
れた回帰直線の傾き、相関係数、切片の値を表1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】塗膜の膜厚の逆数xと40℃90%RHに
おける透湿度yの間に、最小二乗法による回帰直線y=
ax+bを求めた場合、相関係数Rが0.85以上の直
線性を示し、かつ、傾きaが0<a<1000の範囲であ
る塗料は、高い防湿性を示す。
【0035】
【発明の効果】本発明により、従来の防湿性塗料に比較
してより防湿性能が高く、薄い防湿層で十分な防湿性を
得ることが可能な、非塩素系樹脂を使用した高性能の防
湿性塗料を得ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 123/02 C09D 123/02 133/02 133/02 Fターム(参考) 4D075 CA33 CA40 DA04 DA06 DA23 DB02 DB12 DB18 DC01 DC21 DC31 DC36 EA06 EA07 EA13 EB12 EB13 EB14 EB20 EB22 EB35 EB38 EB39 EC01 EC23 4J038 BA231 CA041 CA071 CB001 CB061 CB071 CB091 CC041 CC061 CG141 CG161 CJ031 CJ201 CR071 DD001 DE011 DG001 DH001 EA011 HA036 HA066 HA416 HA536 HA546 HA556 KA08 KA20 NA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】防湿性塗料を下記条件により塗工乾燥して
    得た塗膜の膜厚(単位:μm)の逆数をxとし、カップ
    法(JIS−Z−0208:40℃、90%RH)によ
    り測定した該塗膜の透湿度(単位:g/m2・24hr)をyと
    して、最小二乗法により回帰直線y=ax+bを求めた
    とき相関係数Rが0.85以上であり、傾きaが0<a
    <1000、y切片bが−10≦b≦10であることを
    特徴とする防湿性塗料。 <条件>防湿性塗料をガラス板上に塗工、110℃で1
    分、さらに130℃で5分乾燥させて、膜厚が5μm、
    10μm、15μm、20μm(許容誤差±2μm)の
    4種類の膜厚の塗膜を得る。
  2. 【請求項2】防湿性塗料が合成樹脂を含有することを特
    徴とする請求項1記載の防湿性塗料。
  3. 【請求項3】防湿性塗料が平板状顔料を含有することを
    特徴とする請求項2記載の防湿性塗料。
  4. 【請求項4】平板状顔料が、フィロケイ酸塩鉱物、無機
    層状化合物及び粘土鉱物からなる群から選択される一種
    以上であることを特徴とする請求項3記載の防湿性塗
    料。
  5. 【請求項5】合成樹脂が、α−オレフィン・不飽和カル
    ボン酸共重合体であることを特徴とする請求項2〜4記
    載の防湿性塗料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005343766A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 National Institute Of Advanced Industrial & Technology タンパク質結晶形成制御剤
JP2013500211A (ja) * 2009-07-24 2013-01-07 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 被覆容器装置、その製造方法
JP2017154397A (ja) * 2016-03-02 2017-09-07 味の素株式会社 支持体付き樹脂シート

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