JP2002053488A - 冬虫夏草の活性画分および活性化合物を含む薬学組成物およびそれを用いて腎臓機能を改善する方法 - Google Patents

冬虫夏草の活性画分および活性化合物を含む薬学組成物およびそれを用いて腎臓機能を改善する方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冬虫夏草の活性画分と活性化合物を含む薬学
組成物およびそれを用いて腎臓機能を改善する方法を提
供すること。 【解決手段】 冬虫夏草の被子体部分を45〜50℃で
加熱乾燥し、粉砕後、20倍のメタノール(w/v)に浸漬
し、抽出液を減圧濃縮した後、粗抽出物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにかけ、1:1のn−ヘキサン
/酢酸エチル混合溶媒で溶出し、溶出液を濃縮して得ら
れた抽出物である活性画分F2、以下の化学構造式を有
する活性化合物、および必要に応じて薬学的に受容可能
な基剤を含む薬学組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冬虫夏草(Cordyc
eps sinensis (Berk) Sacc)の活性画分および活性化合
物を含有する薬学組成物およびこれを用いて腎臓機能を
改善するための方法に関する。本発明はまた、エリテマ
トーデス性腎炎およびIgA腎炎を予防および/または
治療するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エリテマトーデス性腎炎は、多器官侵食
性かつ全身炎症性の慢性の病気である。この病気は、免
疫系障害および広範な分布の免疫複合体に関連してい
る。全身性エリテマトーデス患者の体内には、多くの自
己抗原に対する自己抗体が見つかる。これらの自己抗原
は、細胞膜、細胞核、または細胞質の組織成分であり、
産生される自己抗体は、抗核抗体、抗ds-DNA抗体、抗カ
ルジオリピン抗体、抗Ro抗体、抗La抗体などが含ま
れる。全身性エリテマトーデスの臨床における特徴は、
患者が発症と緩和との過程を繰り返すことである。しか
し、その病因が、未だに見つかっていない。従って、現
在、全身性エリテマトーデスの臨床診断は、1982年の
「Revised Rheumatism Association Criteria for SL
E」(表I-I)に基づいて行われている。全身性エリテマ
トーデスの病因については、現在、遺伝子の遺伝、環境
要因、外来抗原(例えばウイルス)、ホルモンおよびス
トレスなどに関連していると推測されている。その症状
は、全身性病変または局部的病変に分けられる。全身性
病変は次のような状態を指している。すなわち、免疫調
節がアンバランスになり、B細胞がT細胞による調節を
受けずに自動的にポリクロナール増殖および活性化し
て、大量の自己抗体を生じる状態である。あるいは、T
h1/Th2両者のT細胞間のアンバランスおよびT細
胞の耐性の欠陥が存在し、これにより、Ag駆動(Ag-d
riven)T細胞誘導によるB細胞拡張、体細胞変異、お
よび形質転換がもたらされる。両方の場合においても、
多くの自己抗体および免疫複合体が産生される。これら
の免疫複合体の沈着によって、局部的病変が誘発され
る。したがって、全身性エリテマトーデス患者の体内で
は、各器官に免疫複合体の沈着が見られると同時に、細
胞質、接着分子、および炎症細胞が共同で誘発した炎症
反応が見られる。
【0003】児童と大人との全身性エリテマトーデスの
異なる点は、大人では男女比が1:10であるのに対し
て、児童では1:5である。それ以外、思春期前の児童
には、紅斑および光感作性などの典型的な皮膚症状があ
まり見られないが、血液(例えば、溶血性貧血、血小板
減少症)または腎臓(蛋白尿、血尿、腎炎症候群)の症
状が比較的に多く見られる。腎炎が重篤な場合、特に重
篤なエリテマトーデス性腎炎が併発する場合は、予後不
良になり、比較的高い罹病率および死亡率がもたらされ
る。
【0004】世界保険機構(WHO)によるエリテマトー
デス性腎炎の分類では、エリテマトーデス性腎炎が5つ
に分類されている。I類からIV類が、メサンギウム細
胞増殖の重篤度および糸球体硬化の程度に基づいて分類
されている。V類は、病理変化および臨床の症状におい
てその他の類と異なり、単純な膜性糸球体の変化であり
得るが、II類、III類およびIV類の症状が並存す
る病理変化でもあり得る。これらの5種類の腎炎のう
ち、IV類は、いわゆる膜性増殖性糸球体腎炎(MPG
N)であり、最も予後不良な腎炎である。MPGNの病
理切片には、内皮細胞増殖、メサンギウム細胞増殖、毛
細血管壁の肥厚、血管塞栓、びまん性細胞壊死、炎症性
細胞浸潤、半月体形成性糸球体硬化、萎縮および繊維化
などの顕著な症状が見られている。これらの病変のう
ち、例えば、メサンギウム細胞増殖、白血球浸潤、繊維
性壊死、硝子様物質血栓および間質性炎症などは、疾病
の活性に関連しており、活性指数(activity index)と
呼ばれている。なお、糸球体硬化、線維化半月体、腎小
管萎縮および間質線維化などは、慢性で回復不可の病変
であり、慢性指数(chronicity index)と呼ばれてい
る。腎臓切片の活性および慢性指数の高さにより、腎炎
の程度が分かり、そして患者の症状が末期腎炎まで進行
する可能性が予測される。
【0005】全身性エリテマトーデス性腎炎の発症メカ
ニズムにおいて、糸球体メサンギウム細胞、糸球体上皮
細胞、および腎基質が、共に急性糸球体病変および糸球
体硬化に対して重要な役割を果している。そのうち、メ
サンギウム細胞の作用が主導的である。メサンギウム細
胞は、非常に興味深い細胞であり、その95%が内因性
腎細胞に由来している。その機能は、血管壁筋細胞、マ
クロファージと似ている。他の5%が骨髄細胞に由来
し、胚成長時に糸球体内に移る。メサンギウム細胞の活
性化は、膜性増殖性糸球体腎炎および糸球体硬化症の発
症メカニズムに大いに関連している。文献によれば、メ
サンギウム細胞は、感染、免疫複合体の刺激、血流動力
学の変化、新陳代謝産物および脂肪蓄積、または腎組織
の喪失による残存腎組織の増殖などの影響によって活性
化される。全身性エリテマトーデス性腎炎の発症メカニ
ズムにおいて、これらの外界からの刺激により、抗原お
よび自己抗体が形成した免疫複合体沈着物を生じる。メ
サンギウム細胞は免疫複合体によって活性化された後、
サイトカイン、増殖因子、および接着分子を放出する。
これらの物質は、自己分泌、傍分泌、および内分泌の機
能を有し、糸球体内のメサンギウム細胞の再増殖、再活
性化をもたらすだけでなく、腎臓内の他の細胞(例え
ば、腎上皮細胞、尿細管細胞、血管内皮細胞)をも再活
性化させる。メサンギウム細胞、腎上皮細胞、および尿
細管細胞の活性化により、腎臓はさらに多量および多種
のサイトカイン、増殖因子、接着分子を分泌し、さらに
多くの線維細胞および炎症細胞(例えば、マクロファー
ジ、B細胞、T細胞)および活性化補体をもたらす。こ
れらの内因性腎臓細胞、外因性炎症細胞、線維細胞およ
び血管内皮細胞間の相互作用により、メサンギウム基質
が次第に集積し、最後に腎糸球体硬化、尿細管萎縮、お
よび腎臓間質組織の線維化に発展する。
【0006】事実上、全身性エリテマトーデス性腎炎お
よび腎糸球体の硬化は、相当複雑な過程であるが、メサ
ンギウム細胞・腎上皮細胞も相当重要な役割を演じてい
る。その全体の過程は、原因、時間、および順序によ
り、3つの段階に分けられる。その第1の段階とは、免
疫複合体の沈着である。その第2の段階とは、メサンギ
ウム細胞、腎上皮細胞の活性化およびそれに誘導された
一連のサイトカインネットワークの変化である。この段
階で、メサンギウム細胞は以下の変化が見られる:1.
細胞の代謝回転を速める;2.細胞の外観の変化;3.
細胞の分泌形態の変化;4.ある炎症を引き起した媒質
を放出する;および5.腎基質の合成を加速する。その
第3段階とは、メサンギウム細胞が分泌細胞因子および
接着分子より線維細胞をもたらし、同時に、血管形成を
刺激する。メサンギウム細胞の増殖、腎基質の合成、さ
らに、組織の線維化、血管形成を加えて、腎糸球体硬化
症になる。
【0007】臨床経験およびMRL lpr/lprの全身性エリ
テマトーデス動物モデルによると、短期間内に全身性エ
リテマトーデス性腎炎の免疫の蓄積(すなわち、第1段
階の腎臓病変である)を阻止または除くことは難しい。
そのため、比較的実行可能な治療方針は、第2段階のメ
サンギウム細胞の増殖、活性化、分泌および腎基質の合
成をいかに阻止し、腎臓を第3段階の腎糸球体硬化症に
入ることを避けることである。
【0008】今までに、全身性エリテマトーデス性腎炎
の治療方法は、全身に対して、薬物による免疫抑制また
は免疫調節治療であり、その中に、副腎皮質ホルモン
(コルチコステロイド)、高用量のメチルプレドニゾロ
ン、シクロホスファミド、アザチオプリン、MTX、抗
マラリア薬のプラクエニル、非ステロイド性抗炎症薬、
高用量の免疫グロブリンまたはデヒドロエピアンドロス
テロン(DHEA)、タモキシフェンなどのホルモン治
療を含んでいる。近年、全身性エリテマトーデス性腎炎
の治療には、シクロスポリン、FK506が次第に幅広く使
用されている。
【0009】しかし、以上の治療方法は、全身性エリテ
マトーデス性腎炎の進行を完全に、有効に抑制すること
ができず、さらに非選択性の免疫抑制が、常に臨床上の
致死性の合併症を引き起こし得るので、多くの文献に
は、次々と異なる治療案が提案された。その1つの治療
モデルは、全身性エリテマトーデス性腎炎に対する全身
性免疫治療を、局部の治療に変えることである。そこで
は、ヘパリン治療が、腎臓局部の血流を改善させる;A
CE抑制剤カプトプリルが、アンジオテンシンIIの産
生を抑制する;オルニチンカルボキシラーゼ抑制剤が、
腎臓局部の酸化窒素産生を抑制する。これらの治療効果
が、マウスの動物モデルで証明された。
【0010】もう1つの治療モデルは、全身性エリテマ
トーデス性腎炎の病因により、免疫治療を選択的に行う
ことである。以上述べたように、全身性エリテマトーデ
スは、T細胞の機構のバランスが崩れ、T細胞およびB
細胞間の協力の欠如またはTh1/Th2間のアンバラ
ンスを引き起こす原因になり得るので、近年、多くの文
献には、新生児の胸腺切除手術が、ホーミングレセプタ
ーのモノクローナル抗体、IL−2/ワクシニアの組換
えワクチン、トランスジェニックT細胞遺伝子の導入な
どに対し、全身性エリテマトーデスマウスの動物モデル
での効果を見ることができると報告されている。しか
し、これらの治療のヒトへの使用は、技術および合併症
の面で、慎重に考えなければならない。したがって、将
来の全身性エリテマトーデス性腎炎の治療方法は、その
進行性悪化の原因を明確に理解することであり、それに
より適当な時期に適切な治療ができ、不必要な全身性副
作用が避けられる。
【0011】一方、IgA腎炎の臨床では、発作性血尿
および/または蛋白尿が、常に慢性病の様式で現れた。
IgA腎炎になる原因は、IgAの免疫複合体が、腎糸
球体のメサンギウムに沈着し、メサンギウム細胞を活性
化させるためである。活性化されたメサンギウム細胞
は、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキ
ン6(IL−6)、腫瘍壊死因子α(TNFα)を放出
し、メサンギウム細胞を増殖させる。増殖したメサンギ
ウム細胞は、IL−1、IL−6、血小板由来増殖因子
(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β (TG
F−β)などを放出する。これらの細胞性ホルモンおよ
び増殖因子の役割は、自己分泌と同じで、メサンギウム
の増殖を悪循環させており、メサンギウム細胞が、O
、H 、血小板活性化因子(PAF)、プロスタグ
ランジンE(PGE)、トロンボキサンB(TX
)、および中性プロテアーゼなどを放出できるよう
にする。したがって、メサンギウム増殖により、糸球体
が硬化し、腎基底膜が損傷する。ヒトでは病気にかかっ
た後、約20%が、次第に尿毒症に進行する。今まで
に、適当な治療剤で、その病気を阻止することがまだで
きていない。したがって、治療薬を研究することが一番
重要な課題である。
【0012】免疫調節剤は、潜在力を持つ治療剤であ
り、免疫亢進を抑制すると同時に、免疫不全を治療する
こともできる。中国には、免疫調節機能を持つ漢方薬が
たくさんある。その1つは、有名な冬虫夏草である。
【0013】冬虫夏草(Cordyceps Sinensis (Berk) Sac
c)は、以下に分類されるように麦角菌科冬虫夏草属の虫
生真菌がコウモリ蛾昆虫の幼虫(Hepialus armoricanus
Oberthur)に寄生した子座および幼虫死体の複合体であ
る。宿主は、鱗子目、鞘子目などの昆虫の幼虫であるた
め、冬に、菌糸が土中の幼虫体に侵入し、虫体に菌糸を
充満させ、死亡させる;夏になると子座が出てくる。し
たがって、「冬虫夏草」と言われる。その産地は四川、
雲南、青海、チベットなどであるが、それを取得しにく
いため、値段が非常に高い。
【0014】分類(Taxonomy) 菌門(Fungi) 子嚢菌亜門(Ascomycotina) 核菌網(Pyrenomycetes) タマカビ目(Sphaeriales) 麦角菌科(Clavicipitaceae) 冬虫夏草属(Cordyceps)
【0015】冬虫夏草の治療効果についての報告は以下
のようなものがある。
【0016】(1)免疫系に対する影響 冬虫夏草は、細胞の免疫に対し、双方向の調節機能を持
つといわれている。細胞の免疫を促進する面で、1990年
にZhangらは、冬虫夏草の水抽出物が、胸腺細胞の有糸
分裂を促進し、さらにTリンパ球の増殖を促進できるこ
とを報告した。1985年にZhangらは、同様に、その抽出
物が、マウス腹膜のマクロファージを活性化することが
できるとも報告した。冬虫夏草と桃の実とを併用する
と、肝炎および肝硬変を治癒することができ、さらに、
Tリンパ球の転換率、ナチュラルキラー細胞の機能、お
よびCD4/CD8細胞の比を増加させることができる
(Zhu、1992年)。冬虫夏草は、脾臓リンパ球に刺激分
裂の役割を持っており、慢性腎臓不全ラットの脾臓細胞
を刺激し、IL−2を増加させ、さらに、血中の尿素窒
素およびクレアチニンの値を下げ、血球数を上昇させる
ことができる。この結果によると、冬虫夏草が、慢性腎
臓不全ラットの細胞免疫に対する調節の機能を持ってい
ることを示す(Cheng Q、1992)。その他、冬虫夏草が
Tヘルパー細胞を保護することができ、Th/Tsの値
を高め、ステロイドおよびシクロホスファミドの免疫抑
制作用と対抗する。そのため、冬虫夏草は、細胞の免疫
に対する一種の免疫調節剤または生物学的応答調節剤で
あると推測される。したがって、Chenらは1991年に、冬
虫夏草が、免疫不全または後天性免疫抑制を受けた患者
を治療することができると報告した。
【0017】その一方、冬虫夏草は、細胞免疫を抑制す
る作用を持っている。Zhangらは、1990年に、冬虫夏草
の菌糸粉が、マウス末梢白血球の取り込み機能および脾
臓リンパ細胞の増殖を抑制できることを報告した。その
抽出物は、異種移植心臓の排斥作用を抑制し、または器
官の生存時間を延長させる。
【0018】冬虫夏草は、体液性免疫に対し、同じく双
方向調節作用を持っており、体液性免疫を促進し、Th
y−1細胞の増殖を直接誘導し、またはIgGおよびI
gMの抗体含有量を高めることもできる。しかし、Zhu
らは1992年に、冬虫夏草が、体液性免疫にも抑制作用を
持っていることを指摘した。肝炎になった後の肝臓硬化
の治療観察中にて、IgGおよびIgAを低下させるこ
とが見られるが、Zhuらは1990年に、冬虫夏草がシクロ
スポリンA(5mg/kg)に類似する免疫作用を持つこと
も指摘した。
【0019】(2)腎臓機能に対する効果 冬虫夏草は、ゲンタマイシンの近位尿細管の損傷を避け
ることができる。その作用の1つは、細胞の修復を促進
することである。その他、カナマイシンに対して誘発さ
れた腎臓毒性急性腎臓不全モデルのラットにおいて、冬
虫夏草がラットの急性尿細管の損傷程度を顕著に軽減
し、または腎臓不全のラットの腎臓機能に対する損傷を
早めに回復させることを発見した。その原因は、尿細管
細胞の溶媒体の急性損傷を軽くし、細胞膜Na,K
−ATPアーゼに関係があるかもしれない。この作用
は、細胞脂質の過酸化を減少することに関係がある(Zh
en、1992年)。冬虫夏草は、慢性腎臓機能不全ラットの
死亡率を下げ、血中の尿素窒素および血清クレアチニン
値を下げることができる;その臨床応用にて、腎不全の
腎臓状態を改善することがはっきり見られる。その他、
冬虫夏草は、シクロスポリンによって引き起こされる腎
臓毒性を改善し、腎臓機能を改善することができる。
【0020】(3)冬虫夏草の抗腫瘍作用 冬虫夏草の水剤および人工栽培の冬虫夏草菌糸水剤は、
マウス肉腫180に対する抑制作用を有し、シクロホスフ
ァミドの抗癌作用を増強することもできる。冬虫夏草お
よび人工栽培の冬虫夏草菌糸は、マウス皮下移植Lewis
肺癌の原発性増殖および自発性肺部転移に対し、すべて
顕著な抑制作用がある。
【0021】その可能なメカニズムとしては、その中に
含まれるコルジセピンが、DNAおよびRNAの合成を
抑制し、核酸のメチル化を抑制し、プロテインキナーゼ
の活性を抑制し、そして細胞の分化を促進するので、膀
胱癌、大腸癌、および肺癌に対して、抗癌作用を有す
る。
【0022】(4)心臓血管系に対する作用 野生の冬虫夏草は、実験動物モデルの不整脈に対して効
果がある。人工栽培の冬虫夏草の菌糸は、麻酔をかけた
イヌにおいて冠状動脈血流量を顕著に増加し、冠状動脈
・脳および末梢血管の抵抗力を増し、血圧を降下させる
役割を持っており、またムスカリンレセプターを興奮さ
せる。その有効成分は、アデノシンであり、血管平滑筋
に対する直接弛緩作用があり、これは血管を拡張する主
要メカニズムである。
【0023】(5)血液に対する影響 人工栽培の冬虫夏草アルコール抽出物は、ウサギの腹部
大動脈における血栓の形成に抑制作用を有する。野生の
冬虫夏草および人工栽培の冬虫夏草菌糸は、血小板の形
成を促進し、かつ形成された血小板の超微構造は正常な
ものと同じである。
【0024】(6)その他の臨床作用 冬虫夏草自体は肝臓機能改善効果がある。HbsAgの
セロコンバージョンに一定の作用があり、また患者の血
漿アルブミンを顕著に向上することもできる。冬虫夏草
は脳のモノアミンオキシダーゼ(MAO-B)の活性に対
し、顕著な抑制作用を持っており、老化を緩和し、また
老年の健康を保持するために有益である。その他、冬虫
夏草は、鎮静、酸素不足の防止、抗喘息、抗炎症などの
作用を持っており、また男性ホルモンに類似する作用を
持っている。
【0025】(7)毒性 冬虫夏草をマウスの腹腔内に注射した場合、そのLD50
値は21.7±2.6g/kgであり、静脈内注射では、そのLD
50値は24.5±2.2g/kgである。静脈内注射、腹腔内注
射、または経口投与のいずれの場合も、毒性が低いこと
が証明されている。
【0026】(8)冬虫夏草の既知成分およびその活性 現在、冬虫夏草属(Cordyceps)から分離され得る成分
としては、以下がある:ヌクレオシドおよびヌクレオチ
ド:アデニン、アデノシン、ウラシル、ウリジン、チミ
ジン、リボシルヒポキサンチン、ヒポキサンチン、コル
ジセピン(3'-デオキシアデノシン)、3'-L-リジルアミ
ノ-3'-デオキシアデノシン、N6-(2-ヒドロキシ)-アデノ
シンである。アルカロイド:オピオコルジン(ophiocor
din)。糖類:多糖類、D-マンニトール。ステロール:
エルゴステロール、エルゴステリル-β-D-グルコピラノ
シド、22-ジヒドロエルゴステリル-β-D-グルコピラノ
シド、5α,8α-エピジオキシ-5α-エルゴスタ-6,22-ジ
エン-3β-オール。脂肪酸:パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、およびコレステロールパ
ルミテート(cholesterol palmitate)。冬虫夏草にお
いて、既に分離された天然物としては、アデニン、アデ
ノシン、ウラシル、ウリジン、コレステロールパルミテ
ート、パルミチン酸、および5α,8α-エピジオキシ-5α
-エルゴスタ-6,22-ジエン-3β-オールがある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】冬虫夏草は、薬理作用
が非常に広く、かつ毒性が非常に小さい薬物であり、さ
らに、その主要作用が免疫調節および腎臓機能改善であ
るため、免疫により引き起こされた全身性エリテマトー
デス性腎炎、特に、臨床上、慢性メサンギウム増殖かつ
同時に腎臓機能が退化しているIV類全身性エリテマト
ーデス性腎炎には、かなりの効果を持っている。これま
での研究では、冬虫夏草の複合物か、またその粗精製物
かのいずれかが用いられたにすぎなかった。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明では、単離された
天然物を用いて、全身性エリテマトーデス性腎炎の治療
および治療効果について研究を進めた。
【0029】その結果、本発明は、冬虫夏草(Cordycop
s Sinensis (Berk) Sacc)から分離された活性部分、活
性化合物の医薬組成物、およびそれらを用いて腎臓機能
を改善するための方法を見出した。さらに、本発明は、
エリテマトーデス性腎炎および/またはIgA腎炎を予
防および/または治療するための方法も見出した。
【0030】したがって、本発明は、冬虫夏草から分離
された活性画分F2、活性化合物H1−A、および必要
に応じて薬学的に受容可能な基剤を含む、薬学組成物を
提供する。
【0031】好適な実施態様では、上記活性画分F2
は、冬虫夏草の被子体部分を45〜50℃で加熱乾燥
し、粉砕後、20倍量(w/v)のメタノールに浸漬し、抽
出液を減圧濃縮した後、粗抽出物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにかけ、1:1のn−ヘキサン/酢酸
エチル混合溶媒で溶出し、溶出液を濃縮して得られた抽
出物である。
【0032】より好適な実施態様では、上記活性化合物
は、以下の化学構造式:
【0033】
【化2】
【0034】で示される、冬虫夏草から分離された(24
R)-エルゴスタ-7,22-ジエン-3b,5a,6b-トリオールであ
る。
【0035】好適な実施態様では、上記薬学組成物は、
腎機能改善用であって、インビトロでは、PHAによっ
て活性化された末梢血中の単球細胞によるIL−2の産
生および活性化されたメサンギウム細胞の増殖を抑制
し、インビボでは、MRL lpr/lpr動物モデルにおいてリ
ンパ節の増殖を阻止し、抗ds-DNA自己抗体の産生を抑制
し、蛋白尿の進行を遅らせ、そしてIgA腎炎の悪化を
阻止することができる。
【0036】より好適な実施態様では、腎臓機能改善用
の治療有効量の前記F2またはH1−Aを含む。
【0037】別の好適な実施態様では、上記薬学組成物
は、エリテマトーデス性腎炎および/またはIgA腎炎
を治療するための腎臓機能改善用である。
【0038】さらに好適な実施態様では、上記薬学組成
物は、エリテマトーデス性腎炎を予防および/または治
療するための有効量の前記F2またはH1−Aを含む。
【0039】より好適な実施態様では、上記薬学組成物
は、IgA腎炎を予防および/または治療するための有
効量の前記F2またはH1−Aを含む。
【0040】
【発明の実施の形態】以下は、添付される図を参考にし
て、さらに本発明を説明する。
【0041】本発明は、全身性エリテマトーデス性腎炎
を治療するための医薬組成物と、該医薬組成物を使って
全身性エリテマトーデス性腎炎を治療するための方法を
提供し、該医薬組成物は、冬虫夏草(Cordyceps Sinens
is(Berk)Sacc)より分離される活性画分および活性化
合物を含む。冬虫夏草(Cordyceps Sinensis(Berk)Sa
cc)より分離される活性画分および活性化合物は、既に
本発明者による台湾特許第78584号に詳細に説明されて
いる。
【0042】冬虫夏草の活性成分の抽出および分離は、
冬虫夏草の子実体部分を取り、乾燥し(45〜50
℃)、粉砕後、20倍容量メタノール(w/v)中に浸漬
し、抽出する。さらに、減圧エバポレーターで、その溶
剤を留去して抽出物を得る。それから、抽出物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン、酢酸
エチル、メタノールの3種類の溶剤を各種の比で混合
し、極性の大小によって、6つの画分(F1〜F6)に
大きく分ける。例えば、分離手順を図1に示す。生物活
性を試験した結果、活性の大部分がF2(ヘキサン:酢
酸エチル=1:1(v/v))の溶出液で見られる。したが
って、F2を引続き分離し、F2に対し再びシリカゲル
カラムクロマトグラフィーを行い、異なる極性溶剤で溶
出し、極性によって18画分(C1〜C18)に細分す
る。生物活性を試験した結果、活性の大部分がC11
(ヘキサン:酢酸エチル=1:2(v/v))の溶出液で見
られる。したがって、C11について分取用シリカゲル
薄層クロマトグラフィーを利用し、分離する。展開液:
ヘキサン/酢酸エチル=1:1(v/v)で、2回展開す
ると、さらに6つの画分(T1〜T6)に細分される。
【0043】生物活性を試験した結果、T4(Rf:0.53
〜0.72)の活性が比較的強いので、さらにT4に逆相高
速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)分離を行う。使
用される条件は以下の通りである。 カラム:逆相式、5C18(半分取用、250×8mm) 移動相:メタノール 検出:UV、波長254nm 流速:2ml/分
【0044】このHPLC方法を利用し、5つ主要な画分
(H1〜H5)を収集した。それらの活性を測定した結
果、H1(tR:10.0〜10.9分)にピークが現れた。そ
の後、さらに別の高速液体クロマトグラフィーで完全に
精製を行う。使用される条件は以下の通りである。 カラム:逆相式、cosmosil 5C18(250×8mm) 保護カラム 10C 18 (50×4.6 mm) 移動相:メタノール:HO=90:10(v/v) 検出:UV、波長254nm 流速:2ml/分
【0045】最後にAおよびB化合物が得られる。その
活性分析によると、その主要な活性はA成分(以下、H
1−Aという)にある。H1−Aの純度は、HPLC純度分
析により、ほぼ100%である。純化されたH1−A化合
物の化学構造を、質量分析(MS)および核磁気共鳴(NM
R)などのスペクトル法で分析および同定する。その構
造を図2に示す。分子式はC2842、分子量は
410である。
【0046】冬虫夏草の天然物を分離する手順におい
て、各画分の活性は、IL−1βおよびPDGFBB
(血小板由来増殖因子)によって活性化したメサンギウム
細胞増殖に対する抑制作用を指標として測定する。その
方法は以下の通りである。
【0047】まず、培養するメサンギウム細胞を、トリ
プシン処理し、そしてウシ胎児血清のRPMI-1640培養液
で3回洗浄し、最後に、細胞懸濁液を、2%ウシ胎児血
清を含むRPMI-1640培養液で培養して、その濃度を1×1
0細胞/mlに調整する。この濃度に調整したメサンギウム
細胞を、96ウェル培養皿(100μl/ウェル)に入れ、6
時間後、IL−1β(30単位/ml)およびPDGF(500
単位/ml)を各25μl加え、その上に、種々の冬虫夏草抽
出物の画分(例えば、F1〜F6、C1〜C18、T1
〜T6、H1〜H5)を50μl加える。3日の培養後、
「2-H」チミジン(1μCi/ウェル)を20μl加え、
さらに18時間培養する。その後、細胞の上清液を除き、
細胞をPBSで洗い、その上に、トリプシンを加え、細胞
を懸濁する。自動細胞収集器で、細胞をガラス繊維濾紙
に収集し、濾紙を乾燥させた後、濾紙を計数バイアル中
に入れる。液体シンチレーションカウンターにより、
[2- H]チミジンの、メサンギウム細胞DNAへの
取り込み量を測定する。理論上、細胞の分裂が多けれ
ば、細胞に吸収された「2-H」チミジンも多くな
る。したがって、取り込み率を細胞DNA合成の指標と
する。種々の成分により処理された後、細胞DNAに含
まれる放射活性値(cpmで表示)を比較すると、この成
分が抑制作用を持つかどうかが判断できる。抑制の大小
を百分率で表示する。 抑制百分率(%)=(薬を入れない群(cpm)−薬を入れた群
(cpm))/薬を入れない群(cpm)×100 抑制百分率: >50%の場合、顕著な抑制作用を持つと認
められる。
【0048】分離された活性成分は、活性画分および活
性化合物を含み、医薬組成物に用いられる。これらの活
性画分または活性化合物は、単独でまたは医薬組成物の
形態で利用される。該化合物には1種または多種の常用
の賦形剤を加えて、各種用途に合う医薬組成物を作るこ
とができる。本発明の活性成分または活性化合物は、例
えば、錠剤、カプセル剤、粒剤、散剤、液剤、およびそ
の他の形態に作られる。内服用固体製剤を作る場合、通
常の賦形剤、結合剤、潤滑剤、着色剤、崩解剤、および
その他の材料を使うことができる。
【0049】賦形剤は、乳糖、澱粉、滑石、ステアリン
酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、
ヒドロキシメチルセルロース、グリセリン、アルギン酸
ナトリウム、アート(阿膠)などが含まれる。結合剤の
例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、
エチルセルロース、アート、セラック、ショ糖と類似も
のが含まれている。潤滑剤の例には、滑石、ステアリン
酸マグネシウムなどが含まれている。普通良く利用され
る着色剤、崩解剤と類似ものを適当に採用することもで
きる。錠剤は、周知の方法でコーティングされ得る。
【0050】液体製剤は、水性または油性懸濁液、溶
液、シロップ剤またはその他の形態で、これらの製剤を
調製するための通常の方法で調製することができる。注
射剤を調製する際、本発明の化合物に、pH調節剤、緩
衝剤、安定化剤、等張化剤、局部麻酔剤およびその他の
物を加えることができる。その上に、通常の方法で皮
下、筋肉内または静脈内の注射用製剤を作ることができ
る。座剤を作る際、その基質として使用される材料とし
ては、例えば、油、脂肪、ココア脂、ポリグリコールお
よびその他の類似物がある。
【0051】以上調製された医薬組成物の使用量は、徴
候、患者の体重および年齢などにより異なり、そして、
同一の剤量が、常に使用されるわけではない。一般に、
成人に使用される場合、本発明の化合物の使用量を1日
約0.01〜2000mgとすればよい。この使用量は、毎日1回
でも良いが、1日2〜4回で飲むこともできる。
【0052】全身性エリテマトーデスは、上記のように
慢性的自己免疫性疾患である。その病理の主要な原因
は、体内に産生された種々の自己抗体が、体の各システ
ムおよび器官の機能を喪失させることにある。臨床で見
られる現象は、リンパ節の肥大、血管炎、および致命的
な全身性エリテマトーデス性腎炎である。MRL lpr/lpr
マウスは自発性の自己免疫病の動物モデルであり、マウ
スの成長過程で、ヒト全身性エリテマトーデスの症状が
発生し、その中には、自己抗体(抗DNA抗体)の産
生、晩発性関節炎、顕著なリンパ病変および腎糸球体腎
炎が含まれる。大部分のマウスは、3ヶ月〜6ヶ月の
時、進行性腎臓機能が喪失する。20週になると、50
%のマウスが死亡する。腎臓不全がマウス死亡の主要な
原因である。
【0053】MRL lpr/lpr病変になる病理原因は、現時
点では解明されていない。多くの文献には、種々の治療
方法でマウスの治療の研究が報告され、その中には、シ
クロホスファミド、シクロスポリン、FK506、ヘパリ
ン、カプトプリル、オルニチンカルボキシラーゼ抑制
剤、新生児の胸腺切除手術、ホーミングレセプターに対
するモノクローナル抗体、IL−2/ワクシニア組換え
ワクチン、トランスジェニックT細胞遺伝子の導入、お
よび免疫調節と言われる漢方薬の治療が含まれる。冬虫
夏草は、以上述べたように、免疫調節を持つ漢方薬と報
告されたが、全身性エリテマトーデス性マウスの生存率
を高めることができ、かつ抗ds-DNA自己抗体の産生を抑
制すると報告する文献もある。後述の実施例のように、
本発明は、単離した天然物H1−Aを使ったMRL lpr/lp
rマウスの体外試験の結果では、H1−Aは、PHA
(フィトヘマグルチニン)で活性化した末梢血単球細胞
によるIL−2の産生を有効に抑制する。
【0054】その他、以下の実施例において、冬虫夏草
より分離されたF2が、体外で腎間質細胞の活性化を抑
制することが可能であり、体内にて、IgA腎炎の発生
または悪化を阻止することも可能であることを示す。F
2は急性毒性を生じることがなく、かつIgA ICよ
り誘発される肝臓腫脹の現象を軽減する。F2から純化
される活性天然物(H1−A)は、「体内のIgA腎炎
の発生」を阻止する動物モデルに、良好な作用を示して
いる。
【0055】したがって、本発明は、さらにエリテマト
ーデス性腎炎およびIgA腎炎の治療方法を提供する。
また、これらの治療方法を希望する患者に、治療有効量
の本発明の医薬組成物を投与することも包含する。
【0056】以下は、実施例を参照し、本発明をさらに
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
なお、実施例において、必要があるときは、結果を、平
均値±標準誤差で表示し、統計分析はStudentのt検定
で2つの群間の差を比較した。
【0057】
【実施例】実施例1:末梢血単核球細胞(PBMNC)
によるIL−2の産生に対するH1−Aの影響 PBMNCは、正常かつ健康な献血者の血液から分離さ
れた末梢血単核球細胞である。細胞の濃度を2×106
胞/mlに調節する。また、2×105細胞を96ウェル培養皿
の各ウェルに入れた。細胞を、2%ウシ胎児血清のRPMI
-1640培養液中で培養した。その半分の細胞を同時にPHA
(10μg/ml)および異なる濃度のH1−A(0μmol/
L、3.125μmol/L、12.5μmol/L、6.25μmol/L、9.375μ
mol/L)よって処理した。残りの半分の細胞を、異なる
濃度のH1−A(0μmol/L、3.125μmol/L、12.5μmol
/L、6.25μmol/L、9.375μmol/L)よって処理した。細
胞に、H1−Aを加えた後、37℃にて5% CO2のインキュ
ベーター中で72時間培養した。72時間後、細胞の上清を
取り、分析を行った。IL-2 ELISA Kit(T Cell Diagnos
is Inc.,Cambridge、MA)を用いて、IL−2の濃度を
測定し、その最低の濃度は3.0×10-11g/mlであった。
【0058】H1−Aの、活性化された末梢血単核球細
胞または休止している末梢血単核球細胞に対する影響
を、図3に示す。休止している末梢血単核球細胞は、I
L−2の産生量が低く(262±26.6/ml)、H1−Aは休
止末梢血単核球細胞のIL−2の産生に対する顕著な作
用を持っていなかった。PHA(10μg/mL)は、末梢血単
核球細胞のIL−2の産生を刺激するが、H1−Aは、
IL−2の産生を抑制した。その抑制作用は薬剤量に関
連している。統計結果は、6.25μmol/Lおよび12.5μmol
/Lの濃度での抑制作用が統計学的に有意な差があること
を示している。
【0059】実施例2:冬虫夏草の単純天然物H1−A
によるMLR lpr/lprマウスの治療 Jackson Laboratoriesの動物センターより12匹のMLR lp
r/lprマウスを購入した。全てのマウスは同胎に生まれ
たものである。これらのマウスは、本試験に入れる時、
全部12週齢であり、かつ全部リンパ節腫脹、毛落ち、血
管炎および蛋白尿の症状が出ていた。実験を始める前
に、同胎に生まれた別の1匹のMLR lpr/lprマウスを屠
殺し、実験前の腎臓病理の変化を観察した;結果は、既
に高い増殖性の腎糸球体腎炎を持っており、その病理
が、IV類の全身性エリテマトーデス性腎炎と似てい
た。
【0060】次いで、マウスをランダムに2群に分け
た。性別による体内ホルモンの影響を避けるために、治
療群およびコントロール群の雌雄比は3:3であった。
実験の前に、先ず冬虫夏草(H1−Aを含む原始複合
物)を別のMLR lpr/lprマウスに摂取させた。その結果
は、冬虫夏草の複合物が確かに全身性エリテマトーデス
性腎炎を改善することができ、かつ、薬量に関連性があ
った。その最低有効濃度は1%(wt/wt)であった。さ
らに、冬虫夏草より抽出されたH1−Aの抽出率に基づ
き、H1−Aの濃度を算出した。その最低有効剤量は、
H1−A 40μg/kg/日に相当した。したがって、H1−
Aを最少量のアルコールに入れ、治療群のMLR lpr/lpr
マウスに8週間摂取させた。全てのマウスは、特定の病
原体のない(SPF)環境で飼育した。
【0061】(1)H1−AのMLR lpr/lprマウスの生
存期間に対する影響 治療群およびコントロール群のマウスの生存期間を比較
した結果は、図4の通りであった。治療群のマウスはす
べて試験の最後まで生存していた。すなわち、20週まで
生存していたが、コントロール群の2匹のマウスは、17
週および18週の時点で病気で死亡した。マウスは死亡時
に、全身浮腫、重篤な蛋白尿、および寡尿の症状を示し
た。20週までの生存率は、治療群のマウスが100%であ
るのに対し、コントロール群のマウスでは66.6%であっ
た。
【0062】(2)H1−Aのマウスのリンパ病変およ
び蛋白尿に対する影響 リンパ節の大きさを測定し、点数をつけて評価した。リ
ンパ節の大きさは、2週間ごとに記録し、その点数を計
算する方法は以下の通りである。<5mmは0点、6〜10m
mは1点、11〜15mmは2点、16〜20mmは3点、および20m
m以上は4点である。毎回の点数は、わきの下および径
部リンパ節の点数を合計し、記録時のリンパ節の大きさ
の指標とした。
【0063】治療群マウスおよびコントロール群マウス
のリンパ病変過程の相違を比較した。H1−Aの治療を
受けてから6週後に、リンパ病変に逆行性の変化が発生
し得るが、統計学的に有意な抑制効果は、H1−Aでマ
ウスを治療開始から8週後であった(図5を参照のこ
と)。
【0064】尿液は、MLR lpr/lprマウスの尿が少な
く、取得し難いため、膀胱をマッサージする方式で取得
した。2週間ごとに尿液を収集した。収集された尿液
を、−70℃の冷凍庫に、分析まで保存した。尿蛋白につ
いては、尿中のアルブミン(μg/ml)およびクレアチニ
ン(mg/kg)の比を記録した。尿中のアルブミンの定量
には、アルブミンの診断剤(Albumin Diagnostic Reage
nt)(Sigma 631-2;Sigma Chemical Co.,ST.Louis,
MO)のELISAキットを用いた。そのスタンダードは、精
製されたマウスアルブミン(Cappel、Organon Teknik
a、Durham、NC)が、異なる濃度で希釈されたものであ
り、その濃度範囲は、5〜50μg/mlである。
【0065】マウス蛋白尿に対するH1−Aの影響につ
いては、コントロール群のマウスが進行性蛋白尿を有す
るが、治療群では、H1−Aの治療の4週後、尿のアル
ブミン/クレアチニンの値が逐次に下がる傾向にあっ
た。2群間の数値の差は、マウスが20週になった場合、
統計学的に有意であった。コントロール群および治療群
の尿液には、アルブミン「μg/ml」とクレアチニン「mg
/kg」の比が、それぞれ0.88±2.94および0.293±0.19で
あった(P<0.05)(図6を参照のこと)。
【0066】(3)H1−AのMLR lpr/lprマウスの腎
臓機能に対する影響 H1−Aが、マウスの腎臓機能を改善することができる
か、また逆に腎臓毒性になるかを検討するために、2週
間毎に後眼窩から血液を取る方式で、MLR lpr/lprマウ
スの血液を得た。さらに、1000rpm、5分間の遠心分離
で血清を得た。得られた血清を、試験まで全部−70℃の
冷凍庫に保存した。マウスの種々の段階の血清を得、血
液尿素窒素およびクレアチニンの測定を行った。血清ク
レアチニンの測定は、ピクリン酸(Sigma 555A)で比色
分析を行った。血中の尿素窒素の測定は、Urease Assay
Kit(Sigma 640-A)で行った。すべて、二重試験の結
果である。平均値±標準誤差およびmg/dlで表示され
る。
【0067】コントロール群のMRL lpr/lprマウスは、
試験の追跡過程において、腎臓機能が次第に悪くなり、
その血中の尿素窒素の数値が、25±18mg/kgから35.94±
3.75mg/kgに上昇し、血清クレアチニンの値が、1.33±
0.09mg/kgから3.04±0.47mg/kgに上昇した。相対的に言
えば、治療群の腎臓機能が、コントロール群より良く、
マウス血液中の尿素窒素およびクレアチニンの値は、マ
ウスが20週になった場合に、それぞれ24±1.8mg/kgおよ
び1.23±0.19mg/kgであった。20週の時点で、2群は、
血中尿素窒素およびクレアチニンの値において統計学的
有意差があった(P<0.05)(図7を参照のこと)。
【0068】(4)H1−AのMLR lpr/lprマウスによ
る抗ds-DNA自己抗体の産生に対する影響 抗ds-DNA自己抗体の分析を行うために、12、16および20
週齢のマウスの血清を採集した。血清中の抗ds-DNA I
gG群自己抗体の分析を、ELISAの方法で行った。先
ず、100μlのメチル化されたウシ血清アルブミン(10μ
g/ml)で96ウェルプレート(Corning 25801 ELISA Plat
e)をカバーした。4℃で一晩放置した後、0.05% Tween
20を含むPBSで3回洗浄した。そしてウェルごとに、0.
1mmol/lリン酸塩を含むウシ胎児胸腺DNA(濃度が2.5μg
/ml)100μlを添加し、4℃で一晩置き、さらに、0.05%
Tween 20を含むPBSで3回洗浄した後、乾燥させた。次
いで、ウェルごとに200μlの1mg/mlゼラチンでブロッ
キングし、37℃で2時間後、0.05% Tween 20を含むPBS
で3回洗浄した。これとは別に、予め調製されたマウス
血清試料を1:500に希釈し、ウェルごとに100μlを
添加し、1時間後に洗浄した。その上に、100μlのヤギ
抗マウスIgG(H+L)−西洋ワサビペルオキシダー
ゼ(PBSにて1:2000)を入れ、37℃で1時間後に
洗浄し、最後に、2,2'-アジノ-ジ-[3-エチルベンズチア
ゾリンスルホネート(6)]および過酸化水素を含む基礎
溶液を100μl加えた。室温にて30分後、10%ドデシル硫
酸ナトリウムを50μl加え、反応を停止させた。405nmに
てその吸光度を測定し、結果を平均値±標準誤差で表示
した。
【0069】12週、16週および20週になった治療群およ
びコントロール群のマウス血清中のIgGおよび抗ds-D
NA自己抗体の相違を比較した結果は、図8に示す通りで
あった。すなわち、コントロール群のマウス血液中の抗
ds-DNA値は、8週間の追跡後、405nmでの吸光度が0.141
±0.036から0.198±0.047に上昇したが、治療群の405nm
での吸光度が0.172±0.009から0.112±0.015に下がっ
た。H1−Aの治療で、8週になった後、すなわちマウ
スが20週になった時、治療群とコントロール群とのマウ
スの血液中の抗ds-DNA自己抗体値が、統計学的に有意で
あった(P<0.005)(図8を参照のこと)。
【0070】(5)H1−AのMRL lpr/lprマウス腎臓
組織病理の変化に対する影響 17週および18週で死亡した2匹のマウスを除き、全部の
マウスを20週後に、頚椎を切断する方法で屠殺した。マ
ウスの腎臓組織(17週および18週の自然死したマウスを
含んでいる)を取り出した。その半分の腎臓組織を急速
冷凍し、他の半分の腎臓組織をCarson-Milloning's sol
utionで固定し、切片検査および電子顕微鏡検査用とし
て調製した。急速冷凍した組織を、冷凍切片機によって
厚さ4μmの薄片を切り出し、蛍光顕微鏡の検査用とし
て調製した。
【0071】固定された腎臓組織を、まず、異なる濃度
のアルコールで脱水を行い、その後、パラフィン包埋し
た3μmの切片を切り出した後、過ヨウ素酸−シッフ試
薬で染色し、光学顕微鏡の検査のために調製した。Gesu
aldoらの方法で、半定量分析を行った。簡単に言えば、
腎皮質を置いたガラス片につき、最低40個腎糸球体を検
査し、そしてメサンギウム細胞の増殖程度により、0〜
の種々の等級の計数を行った。0は正常を示す;微
量はメサンギウム部分に2〜3個の核が見られることを
示す;1はメサンギウム細胞に軽く増殖が見られ、各
メサンギウム部分に4〜6個の核が見られることを示
す;2は、メサンギウム細胞に中等程度の増殖が見ら
れ、ほとんどのメサンギウム部分に4〜6個の核が存在
し、その他の部分に7個以上の核が見られることを示
す;3は、メサンギウム細胞に顕著な増殖が見られ、
各メサンギウム部分に7個またはそれ以上の核が存在す
ることを示す。2人の判断者(L.F.S.およびW.H.L)が
各自の病理切片の判断を行い、かつ試験全体の設計は二
重盲検試験の方式で行った。各サンプルの細胞増殖計数
の総数を、以下の方式で計算した。総増殖指数=(腎糸
球体増殖指数が0である時の百分比×0)+(腎糸球体
増殖指数が微量である時の百分比×0.5)+(腎糸球体
増殖指数が1である時の百分比×1)+(腎糸球体増
殖指数が2である時の百分比×2)+(腎糸球体増殖
指数が3である時の百分比×3)。各サンプルの総増
殖指数は0〜300であった。
【0072】蛍光顕微鏡の検査については、冷凍切片を
先ず自然乾燥させ、さらに、アセトンで室温にて10分間
固定した後に、PBSで洗浄した。各サンプルの切片ご
とに、フルオレセインイソチオシアネート結合ヤギ抗マ
ウスIgA、IgG、IgMおよびC3(Cappel)で染
色し、再び蛍光顕微鏡(Olympus)で観察した。判断の
方式は、上で述べた計数方式に基づいた。簡単に言え
ば、観察者が40個以上の腎糸球体を検査し、かつ腎糸球
体ごとに0〜3等級の計数を行った(0は蛍光が見ら
れないことを示す;微量は蛍光があったが、はっきり見
えないことを示す;1は軽度の蛍光を示す;2は中
等程度の蛍光染色を示す;3は強い蛍光染色を示
す)。総蛍光強度指数を以下の方式で計算した。総蛍光
強度指数=(蛍光強度が0である時の腎糸球体百分比×
0)+(蛍光強度が微量である時の腎糸球体百分比×0.
5)+(蛍光強度が1である時の腎糸球体百分比×
1)+(蛍光強度が2である時の腎糸球体百分比×
2)+(蛍光強度が3である時の腎糸球体百分比×
3)。各サンプルの総蛍光強度指数は0〜300であった。
【0073】コントロール群マウスの腎臓組織切片に、
自然死した2匹のマウスおよび20週時に屠殺されたマウ
スのいずれにおいても、すべて重篤な腎臓増殖が見られ
た。治療群では、H1−Aの治療を受けた後、顕著な組
織病理の変化が見られた(図9のAおよびBを参照のこ
と)。メサンギウム増殖が明らかに抑制され、さらに逆
行性な変化もあった。治療群の腎臓切片には、ヘマトキ
シリン-エオシンより染色され、全部軽いメサンギウム
増殖が見られた。腎小管、腎間質、または血管変化につ
いて、治療群とコントロール群との間には、顕著な差が
見られなかった。また蛍光染色で、2群間にはいかなる
統計学的な差も見られなかった(表1を参照のこと)。
【0074】
【表1】
【0075】以上の結果から、冬虫夏草より単離された
純粋な天然物H1−Aは、インビトロではPHAに活性
化された末梢血単核球細胞よりもIL−2の産生を抑制
することができた。MRL lpr/lpr動物モデルでは、リン
パ節の増殖を阻止し、抗ds-DNA自己抗体の産生を抑制す
ることもできた。またMRL lpr/lprマウスの生存期間を
延長することもできた。同時に、腎糸球体のメサンギウ
ム増殖を抑制し、蛋白尿の進行を遅らせることができた
が、驚くことに、本研究においては、免疫複合体の沈着
に有意な変化が見られなかった。本研究の結果は、この
化学構造が明確な単離された天然物が、MRL lpr/lprマ
ウスの自己免疫病を治療する潜在力を持っていることを
明らかにした。その他、血清中の抗ds-DNA自己抗体濃度
と、腎臓組織病理変化と腎臓免疫複合体沈着との3者間
は関連していないが、将来的に、全身性エリテマトーデ
ス性腎炎の原因に対し、より多い検討空間を提供するこ
とが可能となる。
【0076】本発明のインビトロ試験結果は、H1−A
が、PHAによって活性化された末梢血単球細胞による
IL−2の産生を有効に抑制することが可能であること
を示した。この薬物の効果は、周知の免疫抑制剤である
シクロスポリンAと似ている。前述したように、冬虫夏
草の原始複合物であるH1−Aは、細胞免疫に対し、免
疫抑制の作用を持っている。この結果は、シクロスポリ
ンAの皮膚移植における結果と類似している。換言すれ
ば、H1−Aは免疫調節剤と呼ばれたほうがよりふさわ
しい。シクロスポリンAは、ヒトの全身性エリテマトー
デスの治療に有効であると言われている。シクロスポリ
ンAは、Tリンパ球に対し、選択的に使用されている。
したがって、T細胞の反応を主とする病変への治療に用
いられる。シクロスポリンAは、いくつかの抗体と関係
している反応にも抑制作用があるが、その主な作用は、
Tヘルパー細胞より生じた反応に対するものである。比
較すると、シクロスポリンAは、抗原が直接B細胞を刺
激して生じた抗体反応に対する作用が少ない。H1−A
は、抗ds-DNA抗体に対する抑制作用が顕著に見られるた
め、シクロスポリンAと類似の作用メカニズムを持って
いるかもしれない。それは、抗ds-DNAの産生が、抗原の
起動によるT細胞調節の過程であるためである。H1−
Aは、T細胞増殖を主な症状とするリンパ節増殖にも抑
制作用を有する。全身性エリテマトーデスのメカニズム
に関する新観点は、CD4T細胞が、MRL lpr/lprマ
ウス自己免疫疾患発生の主因であることである。したが
って、現在、このような病気になる原因は、T細胞の機
能のバランスが崩れたか、またはT細胞およびB細胞間
の協力に欠如があるためである。抗CD3、抗CD4、
および抗CD8モノクローナル抗体は、マウスのエリテ
マトーデスの治療で有効であると報告されている。した
がって、H1−A治療効果は、T細胞の産生を抑制する
こと、またはTh1/Th2の産生を抑制することによ
って発揮すると推測されている。
【0077】Th1およびTh2への抑制作用により、
マウス体内での抗ds-DNA抗体の産生が顕著に下がった。
腎臓局部Th1の産生が抑制されたことによるものかも
しれない。腎糸球体内のメサンギウム細胞の増殖はこれ
によって停止した。これらの仮説を、将来の研究でさら
に証明することが必要である。本発明は、腎臓切片に免
疫複合体沈着の変化が見られないことについて、3つの
可能な解釈を提供した。
【0078】第1に、腎臓組織病理変化と免疫複合体沈
着との間の不関連性は、臨床上で良く見られる。したが
って、免疫複合体で全身性エリテマトーデス性腎炎の全
ての現象を解釈するのが不可能である。その他の介入可
能な因子は、細胞因子または化学因子を含んでいる。し
たがって、H1−Aのメサンギウム増殖への抑制作用
は、免疫複合体沈着を下げる以外のメカニズムを通じて
発揮しているかもしれない。
【0079】第2に、既に沈着した免疫複合体の除去
は、多くの時間を要する。IV類全身性エリテマトーデ
ス性腎炎の臨床経験によると、患者がシクロホスファミ
ドの治療を受けた後、疾病の症状の軽減に伴い、血液中
の抗ds-DNA抗体値が先に低下する。腎臓組織中の免疫複
合体の排除は、臨床の症状改善よりも遅い。通常、最低
6ヶ月の治療を経過した後、腎臓組織に顕著な変化が初
めて見られる。
【0080】第3に、H1−Aは、マクロファージの、
免疫複合体を排除する能力を改善しない。以上、H1−
Aは、ヒト全身性エリテマトーデスを治療するための潜
在的な単離された天然物である。H1−Aは、シクロス
ポリンAよりも安全性が高い。冬虫夏草が中国伝統的な
治療に用いられるのは、千年以上の歴史を持っているに
もかかわらず、今までに、腎臓毒性に関する報告が全く
なかったからである。反対に、冬虫夏草は、シクロスポ
リンAおよびアミノグリコシドによってもたらされた腎
臓毒性を有効に避けることができると報告されている。
本研究も、このような観点を証明した。腎臓切片には、
いかなる腎臓毒性を全く見ることがなく、逆にH1−A
がMRL lpr/lprマウスの腎臓機能に対し、保護作用さえ
有している。
【0081】免疫のメカニズムから見ると、最近、全身
性エリテマトーデス患者のT細胞機能に欠陥があると多
くの文献に述べられている。その中に、IL−2の産生
が減少し、かつIL−2によって誘発されたT細胞増殖
の反応も顕著に下がることが含まれている。Gutierrez-
Ramosらは、IL−2/ワクシニアの組換えワクチン
で、MRL lpr/lprマウスの治療に成功した。いくつかの
いわゆる免疫調節剤は、IL−2による欠陥を修正し、
胸腺内の細胞分裂および末梢T細胞の活性を促進すると
いわれてきた。しかし、ある人は、完全に反対な意見を
提出した。Cuadradoらは、全身性エリテマトーデス患者
の血液中にIL−4、IL−2、およびsIL−2Rの
比較的正常かつ顕著な上昇が見られると報告した。これ
に対し、Razらは、IL−2 cDNAをMRL lpr/lprマ
ウスの体内に導入することで、その病状を悪化させ、さ
らに、自己抗体の産生も促進すると報告した。発明者ら
の結果は、後者の意見とほぼ一致している。インビトロ
で、H1−Aは、末梢単核球細胞でのIL−2の産生を
抑制する;MRL lpr/lprマウス動物モデルでは、H1−
Aは、臨床の症状および腎臓の組織病変を改善すること
ができる。
【0082】以上のように、本発明は、中国の伝統的な
漢方薬である冬虫夏草から分離された、明確な構造を有
する単離された天然物H1−Aを用いて、自己免疫疾患
モデルのMRL lpr/lpr体内の治療効果を上げることに成
功した。
【0083】実施例3:誘発IgA腎炎を持つマウスに
対する冬虫夏草抽出物(1%および0.5%のF2)の効
【0084】1.IgA腎炎を誘発する方法:使用され
る抗原はR36Aであり、抗体はa−R36A−IgA
−mAbである。まず、Balb/cマウスの腹部に2mgの抗
体を注射し、2時間後、尾静脈に100μgの抗原を注射し
た。次いで、24時間ごとに100μgの抗原を注射し(1週
間連続)、これにより、免疫複合体が腎間質に沈着し、
最初の注射後約5日間、血尿および蛋白尿が現れた。
【0085】2.IgA腎炎を誘発するマウスを、投薬
群(n=6)および対照群(n=6)に分けた。投薬群
は、1%および0.5%のF2を摂取させた。毎日、各マ
ウスに約3gの正常飼料を摂取させた。試験群と対照群
とのマウスを、毎日、血尿および蛋白尿を測定し、7日
後、マウスを屠殺した。その腎臓を取り、組織病理学検
査および免疫蛍光検査を行い、そして血清中のALT、
AST、および肝臓中のコレステロール、チトクロムP
450の変化を観察した。
【0086】I.血尿および蛋白尿の測定:尿液試験紙
(Urine Strip)で検査した。
【0087】II.腎臓組織病理学検査:腎臓組織を10
%中性ホルマリンで固定し、漸増濃度のアルコールで脱
水した後、パラフィン包埋し、厚さ4μmの切片を切
り、ヘマトキシリン-エオシンで染色し、光学顕微鏡に
て観察した。各マウスについて50個の糸球体を観察し、
糸球体の破壊程度を5等級に分け、点数が高ければ、糸
球体の破壊程度が高くなる。最後に点数を累計し、総数
(Total)で表示する。
【0088】III.免疫蛍光検査:腎臓組織をO.C.T.
compoundで包埋し、−70℃の冷凍庫に保存した。免疫染
色を行う際に、冷凍切片機で4μmの組織切片を切り出
し、そしてアセトンで固定し、次いで、蛍光標識された
ヤギ抗マウスIgA、ヤギ抗マウスC3、およびヤギ抗
フィブリノーゲンで直接免疫蛍光の染色を実施し、蛍光
顕微鏡で観察した。蛍光染色強度を4等級に分け、点数
が高ければ、蛍光の強度が強くなり、IgA、IC沈着
およびC3補体の活性化が高くなることを表す。
【0089】3.統計方法:血尿、蛋白尿、組織病理学
検査および免疫蛍光検査は、χ2乗検定で分析を行っ
た。血清中のALT、ASTおよび肝臓中のコレステロ
ール、チトクロムP450の統計は、Studentのt検定
で分析を行った。P<0.05は、統計学的に有意であると
みなす。
【0090】結果: 1.血尿および蛋白尿を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】抗原を注射した5日後、血尿および蛋白尿
が現れた。7日目に、1%F2群および0.5%F2群で
は、血尿および蛋白尿の顕著な軽減が見られた(P<0.0
5)。
【0093】2.腎臓組織病理学検査の結果を表3に示
す。
【0094】
【表3】
【0095】総数(Total)から見ると、1%F2群
は、腎糸球体の破壊程度が有意に軽減したが(P<0.0
5)、0.5%F2群では、統計学的有意差が認められなか
った。
【0096】3.免疫蛍光検査の結果を表4および5に
示す。
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】総数(Total)評価より、投薬の1%F2
群および0.5%F2群は、対照群と比較すると、IgA
IC沈着またはC3補体の活性化の両方とも、薬剤量
に比例して軽減されていた。1%F2群は、対照群と比
較すると、統計学的有意差が認められた(P<0.05)。
【0100】4.肝臓機能検査の結果を表6に示す。
【0101】
【表6】
【0102】肝重量および体重について、投薬群と対照
群とは、すべて差がなかった:100倍の肝重量対体重の
比率から見ると、1%F2群は6.75±0.09であり、対照
群は7.12±0.12であった。1%F2は肝重量は明らかに
減少した(P<0.05)。血清中のALTおよびAST
は、投薬群と対照群との間に、顕著な変化がなかった。
肝臓中のコレステロールの含有量は、投薬群と対照群と
の間に、統計学的有意差がなかった。肝臓中のチトクロ
ムP450の含有量は、1%F2群が0.31±0.03nmol/m
gタンパク質であり、対照群は0.23±0.01nmol/mgタンパ
ク質であった。1%F2は、チトクロムP450の含有
量を顕著に増加させた(P<0.05)。肝重量対体重の比
率から見ると、急性毒性試験では、2%F2を投与する
と、肝臓腫脹が見られた。IgA腎炎が誘発された動物
モデルでは、1%F2を投与すると、肝臓の萎縮が見ら
れた。これらは反対の結果を示している。急性毒性試験
は、正常ICRマウスを対照群とし、その100倍肝重量対体
重の比率は5.44±0.17であった。IgA腎炎が誘発され
たBalb/cマウス試験では、正常の飼料の飼育を対照群と
した。予めIgA腎炎が誘発された動物自体は、その10
0倍肝重量対体重の比率が7.12±0.12であり、IgA腎
炎のマウスには、肝臓腫脹の現象が見られる。2つの試
験に使用された動物は異なる品種であった。さらに、正
常のBalb/cマウスに、「冬虫夏草抽出物で飼育する」方
式で、正常飼料を飼育すると、最後には、100倍肝重量
対体重の比率は5.50±0.24となり(図8を参照のこ
と)、これは、ICRマウスの正常な100倍肝重量対体重の
比率(5.44±0.17)と一致していた。これは、IgA
IC自体が、顕著な肝臓腫脹現象を引き起こすことを示
した(P<0.05)。そのメカニズムは不明である。ただ
し、1%F2を投与すると、IgA IC誘発の肝臓腫
脹が有意に軽減されたが(P<0.05)、正常値までに回
復することができなかった。
【0103】実施例4:体外でH1−Aの細胞に対する
安全性 H1−Aの細胞に対する活性および毒性について検討
し、その結果を図9に示した。最上方の図9(a)は、
トリパンブルー染色で細胞の活性を測定した結果であ
り、72時間培養した3群(ヒトメサンギウム細胞のみ、
ヒトメサンギウム細胞+IL−1とIL−6、およびヒ
トメサンギウム細胞+IL−1とIL−6および40μM/
mlのH1−A)の細胞活性に差異がないことを示した。
死滅した細胞がLDHを放出するため、同じ(a)試験で、7
2時間後、培養液中のLDHの濃度を測定し、その結果を図
9(b)に示した。3群は、共に統計上の差異がなかっ
た。細胞が生存すれば、メサンギウム細胞も増殖する。
そこで、MTT方法で、細胞増殖の状況を分析した。そ
の結果を図9(c)に示した。3群は共に統計上の差が
なかったことが分かる。
【0104】実施例5:IgA腎炎が誘発されたマウス
に対するH1−Aの影響 実施例3で誘発したIgA腎炎マウスに、10mg/mlのH
1−Aを、腹部に1回注射し、7日間連続して注射し
た。
【0105】治療群のIgA腎炎マウスとコントロール
群の血尿/蛋白尿に対する影響を比較した。表7に示し
た結果から、治療群の血尿/蛋白尿が顕著に改善され、
かつ統計学的に有意であると分かる。
【0106】腎臓組織の病理変化について、コントロー
ル群では、重篤なメサンギウム増生およびメサンギウム
細胞増殖が見られたが、治療群はH1−Aの治療を受け
た後、組織病理変化の顕著な改善が見られた。治療群の
腎臓切片は、ヘマトキシリン-エオシン染色で、僅かな
メサンギウム増殖があっただけであり、蛍光染色の改善
は表7に示されている。治療群には顕著な改善があり、
かつ統計学的に有意である。
【0107】
【表7】
【0108】
【発明の効果】冬虫夏草より分離されたF2は、体外に
おいて、腎間質細胞の活性化を抑制することが可能で、
体内において、IgA腎炎の発生または悪化を阻止する
ことができる。F2は急性毒性がほとんどなく、かつI
gA ICより誘発された肝臓腫脹を軽減することもで
きる。F2より単離された活性天然物(H1−A)は、
「体内IgA腎炎の発生」を阻止する動物モデルで、良
好な治療効果を持っている。
【0109】本発明は、好ましい実施例について説明し
ているものの、それらの種々の変更は、この明細書を読
めば、当業者に明かなことが理解されるべきである。従
って、ここで開示の発明は、添付の請求の範囲に入るよ
うなこれらの変更を含むべく意図されていることが理解
されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】冬虫夏草から活性画分と活性化合物とを分離す
る工程を示すフローチャートである。
【図2】本発明のH1−Aの構造式を示す図である。
【図3】本発明のH1−Aが、末梢血単核球細胞による
IL−2の産生に対する影響を示すグラフである。●:
H1−Aのみ ;▽:単核球細胞をPHA(10μg/ml)
+H1−Aで刺激。
【図4】H1−AのMRL lpr/lprマウスの生存期間に対
する影響を示すグラフである。■:H1−Aを投与した
治療群;:未治療の対照群。
【図5】本発明のH1−AのMRL lpr/lprマウスのリン
パ病変に対する影響を示すグラフである。■:H1−A
を投与した治療群;:未治療の対照群。
【図6】本発明のH1−AのMRL lpr/lprマウスの蛋白
尿に対する影響を示すグラフである。■:H1−Aを投
与した治療群;:未治療の対照群。
【図7】本発明のH1−AのMRL lpr/lprマウスの腎臓
機能に対する影響を示すグラフである。■:H1−Aを
投与した治療群;:未治療の対照群。
【図8】本発明のH1−Aの、MRL lpr/lprマウスにお
ける抗ds-DNA自己抗体の産生に対する影響を示すグラフ
である。■:H1−Aを投与した治療群;:未治療の対
照群。
【図9】本発明のH1−Aの細胞活性に対する影響を示
すグラフである。■:対照群で、ヒトのメサンギウム細
胞のみ;□:ヒトのメサンギウム細胞+IL−1、IL
−6;□:ヒトのメサンギウム細胞+IL−1、IL−
6およびH1−A 40μM/mlの72時間の培養。(a)ト
リパンブルー染色による細胞の活性の観察;(b)放出
されたLDHの測定による細胞の死亡の観察;(c)MTT試
験による細胞の増殖の観察。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/02 A61P 37/02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冬虫夏草から分離された活性画分F2、
    活性化合物H1−A、および必要に応じて薬学的に受容
    可能な基剤を含む、薬学組成物。
  2. 【請求項2】 前記活性画分F2が、冬虫夏草の被子体
    部分を45〜50℃で加熱乾燥し、粉砕後、20倍量(w
    /v)のメタノールに浸漬し、抽出液を減圧濃縮した後、
    粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにか
    け、1:1のn−ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒で溶出
    し、溶出液を濃縮して得られた抽出物である、請求項1
    に記載の薬学組成物。
  3. 【請求項3】 前記活性化合物が、以下の化学構造式: 【化1】 で示される、冬虫夏草から分離された(24R)-エルゴスタ
    -7,22-ジエン-3b,5a,6b-トリオールである、請求項1に
    記載の薬学組成物。
  4. 【請求項4】 前記薬学組成物が、腎機能改善用であっ
    て、インビトロでは、PHAによって活性化された末梢
    血中の単球細胞によるIL−2の産生および活性化され
    たメサンギウム細胞の増殖を抑制し、インビボでは、MR
    L lpr/lpr動物モデルにおいてリンパ節の増殖を阻止
    し、抗ds-DNA自己抗体の産生を抑制し、蛋白尿の進行を
    遅らせ、そしてIgA腎炎の悪化を阻止することができ
    る、請求項1に記載の薬学組成物。
  5. 【請求項5】 腎臓機能改善用の治療有効量の前記F2
    またはH1−Aを含む、請求項1に記載の薬学組成物。
  6. 【請求項6】 エリテマトーデス性腎炎および/または
    IgA腎炎を治療するための腎臓機能改善用である、請
    求項2に記載の薬学組成物。
  7. 【請求項7】 エリテマトーデス性腎炎を予防および/
    または治療するための有効量の前記F2またはH1−A
    を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
  8. 【請求項8】 IgA腎炎を予防および/または治療す
    るための有効量の前記F2またはH1−Aを含む、請求
    項1に記載の薬学組成物。
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