JP2002051909A - 多気室蒸気釜及び該釜による食品加熱方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸気釜によって食品を煮込む場合に、加熱量
を細かく調節しなくとも吹きこぼれなどが発生せず、適
正な煮込みを行えるようにする。 【解決手段】 内釜１下部にジャケット２を設け、途中
に蒸気供給制御弁６・７を設けている蒸気供給配管５を
前記ジャケット２に接続しておき、ジャケット内へ蒸気
を導入することにより、釜内部に収納した食品１２を加
熱する蒸気釜であって、前記ジャケットは独立した複数
の気室３・４に分割し、複数の気室３・４に蒸気供給配
管５を接続している多気室蒸気釜において、途中に温水
供給制御弁９を設け、ジャケット内へ温水を供給する温
水供給配管８を前記ジャケット２に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は多気室蒸気釜及び該釜に
よる食品加熱方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】内釜の下部壁面を覆うジャケットを設
け、ジャケットに蒸気供給配管を接続している蒸気釜が
広く使用されている。蒸気釜は内釜内に加熱する食品を
収納しておき、蒸気供給配管を通じてジャケット内に蒸
気を導入し、導入した蒸気の熱によって内釜壁面を加熱
して内釜内の食品を加熱する。また、蒸気釜のジャケッ
ト内部に仕切りを設け、ジャケットを複数の気室に分割
した多気室の蒸気釜もある。この場合、ジャケットは高
さ方向で分割するものであり、２つの気室を設ける場合
には、上部気室及び下部気室となる。蒸気供給配管は上
部気室と下部気室の両方に接続し、上部気室と下部気室
へは独立して蒸気供給を行えるようにしておく。ジャケ
ットを多気室としているため、加熱する食品量が多い場
合には両方の気室へ蒸気を供給し、食品量が少ない場合
には下部気室へのみ蒸気を供給するなど、加熱量を調節
することができる。

【０００３】蒸気釜で煮込みを行う場合、食品が沸騰温
度に達するまでは、吹きこぼれなどが発生することはな
いため、蒸気供給量の細かな制御は必要なく、蒸気供給
配管の蒸気供給制御弁を全開として急速に加熱すること
ができる。食品が沸騰温度に達した以降は、蒸気供給量
が多すぎると、食品の沸き上がりによって吹きこぼれが
発生するため、蒸気供給量を少なくする必要がある。た
だし蒸気供給量を少なくしすぎると、熱量が不足して十
分に煮込むことができなくなる。そのため蒸気釜の使用
者は、食品が沸騰温度に達した以降は、加熱量が適正と
なるように蒸気供給量の細かな調節を行い続けなければ
ならず、加熱量を適正とすることができないと食品の品
質が低下する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、蒸気釜によって食品を煮込む場合に、加熱
量を細かく調節しなくとも吹きこぼれなどが発生せず、
適正な煮込みを行えるようにすることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】内釜下部にジャケットを
設け、途中に蒸気供給制御弁を設けている蒸気供給配管
を前記ジャケットに接続しておき、ジャケット内へ蒸気
を導入することにより、釜内部に収納した食品を加熱す
る蒸気釜であって、前記ジャケットは独立した複数の気
室に分割し、複数の気室に蒸気供給配管を接続している
多気室蒸気釜において、途中に温水供給制御弁を設け、
ジャケット内へ温水を供給する温水供給配管を前記ジャ
ケットに接続しておく。釜内の食品に沸き上がりが発生
するまでは、複数の気室へ蒸気の供給を行い、食品の沸
き上がり発生後は、一部の気室に対して蒸気供給を停止
し、該気室には蒸気に代えて温水を供給する。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面を用いて
説明する。図１は本発明を実施している多気室蒸気釜の
フロー図である。内釜１は底部が半球形であって、上部
は開口した容器であり、内釜下部をジャケット２で覆っ
ている。ジャケット２は、仕切りを設けて内部を分割し
ており、側面部分に設けた上部気室３と中央底部に設け
た下部気室４の２気室とする。上部気室３と下部気室４
には、それぞれに蒸気供給配管５を接続しており、上部
気室３に接続している蒸気供給配管５に上部用蒸気供給
制御弁６、下部気室４に接続している蒸気供給配管５に
下部用蒸気供給制御弁７を設ける。上部気室３には温水
供給配管８も接続しておき、温水供給配管８の途中には
温水供給制御弁９を設ける。温水供給配管８は１００℃
未満の温水を循環するものであり、温水タンク１１を別
に設け、上部気室３と温水タンク１１の間で温水の循環
を行えるように接続しておく。上部気室３と下部気室４
には排水配管１０を接続し、気室内からの排水を行える
ようにしている。

【０００７】食品の加熱を行う場合、内釜１内へ加熱す
る食品１２を収納しておき、上部用蒸気供給制御弁６及
び下部用蒸気供給制御弁７を開く。蒸気供給配管５を通
して、上部気室３及び下部気室４内へ１００℃を越える
蒸気の供給を行い、上部気室３及び下部気室４の内部に
入った蒸気は、内釜１の壁面を加熱する。蒸気の熱は内
釜１を通して食品１２に達し、食品１２の温度が上昇す
る。食品１２の温度が低く、沸き上がりが発生していな
い時には、上部気室３と下部気室４の両方から加熱する
ことで、食品１２を急速に加熱する。

【０００８】食品１２の温度が上昇し、食品に沸き上が
りが発生しはじめると、上部用蒸気供給制御弁６を閉じ
て、上部気室３への蒸気供給を停止する。そして温水供
給制御弁９を開き、上部気室３には蒸気に代えて温水の
供給を行う。上部気室３へは１００℃未満の温水を供給
し、下部気室４へは１００℃を越える蒸気を供給するこ
とにより、食品１２の底部では沸き上がりが発生する
が、食品１２の上部では温度が上がりすぎることはな
く、ふきこぼれなどの発生しない適度の加熱を続けるこ
とが可能となる。

【０００９】上部気室３内の温水は、釜内の食品温度が
高い場合には食品を冷却する働きを行い、釜内の食品温
度が低い場合には食品を加熱する働きを行うため、食品
温度を安定化することができる。そのため煩わしい加熱
調整を行わずとも、吹きこぼれや熱量の不足を招くこと
がなく、煮込みの品質を高めることができる。

【００１０】沸き上がりが発生している時の加熱は底部
から行う方がよく、下部気室４には蒸気供給を行うた
め、上部気室３には温水供給配管８を接続するが、下部
気室４には温水供給配管８を接続していない。気室は３
気室以上に分割してもよいが、最も底部の気室へは温水
の供給を行わないため、該気室へは温水供給配管８の接
続は行わず、それ以外の気室に温水供給配管８を接続す
る。

【００１１】

【発明の効果】本発明を実施することで、加熱量を細か
く制御しなくとも、吹きこぼれなどの発生を防止でき、
煮込みを適正に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例でフロー図

【符号の説明】

１ 内釜 ２ ジャケット ３ 上部気室 ４ 下部気室 ５ 蒸気供給配管 ６ 上部用蒸気供給制御弁 ７ 下部用蒸気供給制御弁 ８ 温水供給配管 ９ 温水供給制御弁 １０ 排水配管 １１ 温水タンク １２ 食品

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内釜下部にジャケットを設け、途中に蒸
   気供給制御弁を設けている蒸気供給配管を前記ジャケッ
   トに接続しておき、ジャケット内へ蒸気を導入すること
   により、釜内部に収納した食品を加熱する蒸気釜であっ
   て、前記ジャケットは独立した複数の気室に分割し、複
   数の気室に蒸気供給配管を接続している多気室蒸気釜に
   おいて、途中に温水供給制御弁を設け、ジャケット内へ
   温水を供給する温水供給配管を前記ジャケットに接続し
   たことを特徴とする多気室蒸気釜。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の多気室蒸気釜におい
   て、釜内の食品に沸き上がりが発生するまでは、複数の
   気室へ蒸気の供給を行い、食品の沸き上がり発生後は、
   一部の気室に対して蒸気供給を停止し、該気室には蒸気
   に代えて温水を供給することを特徴とする食品加熱方
   法。