JP2002050902A - 誘電体共振器フィルタ及びその不要モード抑制方法 - Google Patents

誘電体共振器フィルタ及びその不要モード抑制方法

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JP2002050902A
JP2002050902A JP2001150737A JP2001150737A JP2002050902A JP 2002050902 A JP2002050902 A JP 2002050902A JP 2001150737 A JP2001150737 A JP 2001150737A JP 2001150737 A JP2001150737 A JP 2001150737A JP 2002050902 A JP2002050902 A JP 2002050902A
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housing
dielectric
resonator filter
coupling
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Yasunao Okazaki
安直 岡崎
Toshihito Tachibana
橘  稔人
Kunihiko Minami
邦彦 南
Toshiaki Nakamura
俊昭 中村
Akira Enohara
晃 榎原
Michio Okajima
道生 岡嶋
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通過帯域における特性の乱れの発生を抑制し
て、低損失で急峻な通過帯域を有する,特性の優れた誘
電体共振器フィルタを提供する。 【解決手段】 誘電体共振器フィルタは、誘電体共振器
11と、筐体本体21,筐体蓋22及び隔壁23を有す
る筐体20と、段間結合調整窓24と、段間結合調整ボ
ルト31と、入力端子41及び出力端子42と、入力結
合プローブ51及び出力結合プローブ52とを備えてい
る。筐体蓋21には、導体板及びこれに連結されたボル
トが一体となった共振周波数調整部材61が取り付けら
れている。共振周波数調整部材61a,61fに、不要
モード励起空間に配置されたリング又はボルトからなる
不要モード抑制手段が取り付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信基地局
において受信フィルタ,送信フィルタ,アンテナ共用器
等として用いられる誘電体共振器フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、携帯電話などの移動体通信の
基地局においては、特定の周波数帯域の信号のみを通過
させるための帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)
が用いられている。たとえば、受信系においては他の周
波数帯域を使用する通信システムの信号を除去するため
に受信フィルタが用いられ、送信系においては他の周波
数帯域を使用するシステムに不要な電波を送信しないた
めに送信フィルタが用いられる。こうした基地局用のフ
ィルタは、基地局としての受信感度や電力効率を確保し
うる程度に低損失であること、隣接する通信システムの
周波数帯域との間隔の狭小化に対応するために急峻なフ
ィルタ特性を有すること、また、塔頂部への設置を容易
にするために小型・軽量であることなどが要求される。
こうした要求を満たすフィルタとして、複数個の誘電体
共振器を結合して構成される誘電体共振器フィルタがあ
り、種々の形状のものが提案されている。
【0003】図21は、従来の6段式誘電体共振器フィ
ルタの例を概略的に示す斜視図である。図21に示すよ
うに、従来の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉末を焼
結することにより成形された6個の円柱状の誘電体共振
器511a〜511fを備えている。各誘電体共振器5
11a〜511fの共振周波数は、円柱形状の高さ及び
直径により決定される。この例では、6個の誘電体共振
器511a〜511fが6段の帯域通過フィルタとして
動作する。誘電体共振器フィルタの筐体520は、底壁
と側壁とによって構成される筐体本体521と、筐体蓋
522と、筐体本体521によって囲まれる空間を小部
屋に仕切る互いに連結された隔壁523a〜523gと
によって構成されている。そして、各誘電体共振器51
1a〜511fは、筐体520の隔壁523a〜523
gによって仕切られた各小部屋に1つづつ配設されてい
る。また、7つの隔壁523a〜523gのうち5つの
隔壁523a〜523eと筐体本体521の側壁との間
には、各共振器問の電磁界結合をとるための段間結合調
整窓524a〜524eが設けられている。各段間結合
調整窓524a〜524eには、共振器間の電磁界結合
の結合の強さを調整するための段間結合調整ボルト53
1a〜531eが配設されている。また、筐体本体52
1には、外部からの高周波信号を入出力するための同軸
コネクターによる入出力端子541,542が配設され
ており、入出力端子541,542の中心導体には入出
力結合プローブ551,552が接続されている。
【0004】さらに、筐体蓋521には、各誘電体共振
器511a〜511fの共振周波数を調整するための,
円板及びボルトが一体となった共振周波数調整部材56
1a〜561fが取り付けられている。この共振周波数
調整部材561a〜561fは、各々の中心軸が誘電体
共振器511a〜511fの中心軸と同じ平面位置にあ
るように(つまり同心位置に)配設されている。
【0005】一般に、誘電体共振器フィルタでは、通過
帯域幅、減衰特性などの周波数特性は各共振器の共振周
波数,Q値,各誘電体共振器間の結合量等により決まる
ため、設計の際には、フィルタの周波数特性の仕様から
各誘電体共振器の形状等が算出される。しかし、現実に
は、誘電体共振器や筐体の形状誤差や取り付け誤差のた
めに設計通りのフィルタ特性が得られない。そこで、上
記従来の誘電体共振器フィルタには、共振周波数調整部
材561a〜561fが設けられて、各誘電体共振器5
11a〜511fの共振周波数が可変となっている。ま
た、段間結合調整ボルト531a〜531eが設けられ
て段間結合強度が可変になっている。これらの調整によ
り、所望のフィルタ特性の実現が図られている。
【0006】また、共振周波数調整部材561a〜56
1fの構造としては、図21に示すごとく、誘電体共振
器511a〜511fに対向する導体板と、導体板と誘
電体共振器511a〜511fとの間の距離をボルトに
よって調整することにより、誘電体共振器511a〜5
11fの周波数特性を可変にする構造が多く採用されて
いる。
【0007】このような構造を有する誘電体共振器フィ
ルタは、以下のように動作する。例えば信号源やアンテ
ナから伝送されてきた高周波信号が入出力端子541か
ら筐体520内に入力されると、高周波信号がフィルタ
の通過帯域内の周波数の信号の場合、入出力結合プロー
ブ551の作用により、入力段の誘電体共振器511a
の電磁界モードと結合し、基本共振モードであるTE01δ
が励起される。この共振モードは段間結合調整窓524
a,524b,…を通じて次段の誘電体共振器511
b,511c,…へと次々と結合してゆき、誘電体共振
器511fに励起された電磁界モードは出力側の入出力
プローブ552と結合し、高周波信号が入出力端子54
2から出力される。一方、フィルタの通過帯域外の高周
波信号は誘電体共振器の共振モードと結合することはで
きずに反射され、入出力端子541から送り返される。
【0008】図24は、従来の4段式の誘電体共振器フ
ィルタの例を概略的に示す斜視図である。図24に示す
ように、この従来の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉
末を焼結することにより成形された4個の円柱状の誘電
体共振器611a〜611dを備えている。この例で
は、4個の誘電体共振器611a〜611dが4段の帯
域通過フィルタとして動作する。誘電体共振器フィルタ
の筐体620は、底壁と側壁とによって構成される筐体
本体621と、筐体蓋622と、筐体本体621によっ
て囲まれる空間を小部屋に仕切る互いに連結された隔壁
623a〜623dとによって構成されている。そし
て、各誘電体共振器611a〜611dは、筐体620
の隔壁623a〜623dによって仕切られた各小部屋
に1つづつ配設されている。また、4つの隔壁623a
〜623dのうち3つの隔壁623a〜623cと筐体
本体621の側壁との間には、各共振器問の電磁界結合
をとるための段間結合調整窓624a〜624cが設け
られている。各段間結合調整窓624a〜624cに
は、共振器間の電磁界結合の結合の強さを調整するため
の段間結合調整ボルト631a〜631cが配設されて
いる。また、筐体本体621には、外部からの高周波信
号を入出力するための同軸コネクターによる入出力端子
641,642が配設されており、入出力端子641,
642の中心導体には入出力結合プローブ651,65
2が接続されている。
【0009】さらに、筐体蓋621には、各誘電体共振
器611a〜611dの共振周波数を調整するための,
円板及びボルトが一体となった共振周波数調整部材66
1a〜661dが取り付けられている。この共振周波数
調整部材661a〜661dは、それぞれその中心軸が
誘電体共振器611a〜611dの中心軸と同じ平面位
置にあるように(つまり同心位置に)配設されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の誘電体共振器フィルタにおいては、以下のような不
具合があった。
【0011】図23は、図21に示す誘電体共振器フィ
ルタの周波数特性の例を示す図である。同図において、
横軸は周波数(GHz)を表し、縦軸は通過特性(S2
1)(dB)を表している。同図に示すように、通過帯
域中に減衰極P1(谷)が発生しており、フィルタ特性
が劣化していることがわかる。このようなフィルタ特性
が劣化する原因について、発明者達は以下のように考え
ている。
【0012】図22は、図21に示す誘電体共振器フィ
ルタの共振周波数調整部材561の導体板付近の電磁界
モードを示す図である。同図は、FDTD法を使った電
磁界シミュレーションによる,共振周波数調整部材の軸
を通る断面における電界分布の解析結果を示している。
同図に示すように、共振周波数調整部材561の導体板
と、筐体蓋522とによって挟まれた空間部において、
不要な電磁界モードが発生している。
【0013】その結果、不要な電磁界モードが高周波信
号と結合して共振状態が生じ、図23に示すように、周
波数特性において不要な減衰極P1(谷部)が現れるも
のと思われる。そして、この不要モードは、共振周波数
調整部材の動きに対して、フィルタ特性の実現のために
必要な基本モードの共振周波数よりも敏感に反応し、大
きく変化する。したがって、フィルタ特性調整のために
共振周波数調整部材の縦方向位置を変化させる際に、通
過帯域付近を不要モードによる減衰極が頻繁に通過しフ
ィルタ特性の波形を乱すことになるため、調整作業の大
きな障害となる。また、最悪の場合、共振周波数調整作
業の終了後においても、フィルタの通過帯域内に不要モ
ードが入り、図23に示すようにフィルタ特性が悪化し
てしまうのである。
【0014】本発明の第1の目的は、上記従来の誘電体
共振器フィルタにおける特性劣化の原因が、フィルタ特
性の調整機構である共振周波数調整部材と筐体の壁面と
の間に発生する不要モードにある点に着目し、不要モー
ドを解消する手段を講ずることにより、誘電体共振器フ
ィルタの調整作業を平易にするとともに周波数特性の優
れた誘電体共振器フィルタを実現することにある。
【0015】また、上記従来の誘電体共振器フィルタに
おいては、誘電体共振器の基本共振モードと異なる高次
モード同士の結合により、フィルタの通過帯域よりも周
波数が高い帯域に不要な高調波成分が発生するという問
題がある。本来、通過帯域よりも周波数の高い成分はロ
ーパスフィルタによって除去されるのであるが、ローパ
スフィルタによって除去しうる信号のレベルには上限が
ある。したがって、携帯電話の基地局用フィルタ等で
は、通過帯域の仕様以外にも、この高調波成分に関して
厳しく仕様が定められており、高調波成分のレベルを抑
制しなければならない。
【0016】図25は、従来の4段式の誘電体共振器フ
ィルタの周波数特性の一例を示す図である。同図に示す
ように、上記従来の誘電体共振器フィルタにおいては、
ローパスフィルタによっても除去しきれないレベル(例
えば−40dB以上)の高周波成分が発生するおそれが
あった。本発明者達は、その原因が段間結合の調整機能
の不足にあると考えている。
【0017】本発明の第2の目的は、フィルタ特性にお
ける高調波成分のレベルを抑制する手段を講ずることに
より、周波数特性が優れ、かつ、調整範囲が広い誘電体
共振器フィルタを実現することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の誘電体共
振器フィルタは、少なくとも1つの誘電体共振器と、上
記誘電体共振器の周囲を覆い、電磁界シールドとして機
能する筐体と、上記筐体に囲まれる空間内に配置されて
上記誘電体共振器の1つの面に対向する第1面と上記筐
体の内表面に対向する第2面とを有する導体板を含み、
かつ、上記導体板と上記誘電体共振器との距離を変化さ
せることが可能に構成された共振周波数調整手段と、上
記導体板の上記第2面と上記筐体の内表面との間の空間
に発生する不要な電磁界モードの伝播を抑制するための
不要モード抑制手段とを備えている。
【0019】これにより、共振周波数調整手段の導体板
の第2面と筐体の内表面との間の空間に発生する不要な
電磁界モードの伝播が抑制されるので、誘電体共振器フ
ィルタの周波数特性のうち通過帯域(又は阻止帯域)
に、不要な電磁界モードに起因する特性の乱れが現れな
いように調整することが容易となる。
【0020】上記不要モード抑制手段は、上記導体板の
上記第2面と上記筐体の内表面との間の空間の一部を埋
める不要モード抑制部材であることにより、この空間内
で励起される不要モードの管内波長が短くなって高周波
側にシフトするなどの作用により、通過帯域(又は阻止
帯域)における特性の乱れの発生を抑制することができ
る。
【0021】上記共振周波数調整手段が、上記導体板と
上記誘電体共振器との距離を変化させるためのボルトを
さらに含み、上記不要モード抑制部材は、上記ボルトに
係合するネジ穴を有するリングにより構成されているこ
とにより、簡素な構成で不要モードを効果的に抑制する
ことができる。
【0022】上記不要モード抑制手段は、上記導体板及
び上記筐体のうちいずれか一方に支持されて、上記導体
板の上記第2面と上記筐体の内表面とによって囲まれる
空間の一部を埋める棒であっても、同様の効果を発揮す
ることができる。
【0023】上記不要モード抑制部材は、導体材料によ
り構成されているか、誘電体材料により構成されている
ことにより、電磁波が反射される作用が得られ、不要モ
ードを効果的に抑制することができる。
【0024】上記不要モード抑制手段は、上記導体板の
上記第2面と上記筐体の内表面との間の空間に露出した
表面部を有する,該表面部を流れる高周波誘導電流に対
する電気抵抗として機能する抵抗体によって構成されて
いることにより、当該空間内の不要な電磁界モードが減
衰し、不要モードの振幅レベルが抑制されるので、通過
帯域(又は阻止帯域)における特性の乱れの発生を抑制
することができる。
【0025】本発明の第2の誘電体共振器フィルタは、
複数の誘電体共振器と、上記複数の誘電体共振器の周囲
を覆い、電磁界シールドとして機能する筐体と、上記複
数の誘電体共振器の各誘電体共振器ごとに設けられ、上
記筐体に囲まれる空間内に配置されて上記誘電体共振器
の1つの面に対向する第1面と上記筐体の内表面に対向
する第2面とを有する導体板を含み、かつ、上記導体板
と上記誘電体共振器との距離を変化させることが可能に
構成された複数の共振周波数調整手段とを備え、上記複
数の共振周波数調整手段の各導体板のうち少なくとも1
つの導体板の大きさが他の共振周波数調整手段の導体板
の大きさとは異なっている。
【0026】一部の誘電体共振器に付設される共振周波
数調整手段の導体板の径を大きくしたり厚みを厚くする
などの調整を行なうと、導体板の大きさに応じて不要モ
ードの周波数が変わる。したがって、これを利用して、
不要モードに起因する特性の乱れを通過帯域(又は阻止
帯域)から他の周波数領域に移動させることが可能とな
り、通過帯域(又は阻止帯域)における特性の乱れの発
生を抑制することができる。
【0027】上記共振周波数調整手段の導体板は、円板
形状であることが好ましい。
【0028】本発明の第3の誘電体共振器フィルタは、
外部機器から高周波信号を受ける入力段の誘電体共振器
と、外部機器に高周波信号を出力する出力段の誘電体共
振器とを含む複数の誘電体共振器と、上記複数の誘電体
共振器の周囲を囲み、電磁界シールドとして機能する筐
体と、入力された高周波信号と上記入力段の誘電体共振
器との電磁界を互いに結合させる入力結合手段と、出力
される高周波信号と上記出力段の誘電体共振器との電磁
界を互いに結合させる出力結合手段と、上記複数の誘電
体共振器のうち互いに電磁界が結合する誘電体共振器同
士の間に設けられ、電磁界結合強度を調節するための段
間結合調整板とを備え、上記段間結合調整板の両側面の
うち少なくともいずれか一方の側面には切り込み部が設
けられている。
【0029】これにより、電流密度が高くなる位置に切
り込み部を設けるなど、段間結合調整板の電流分布に応
じて、通過帯域(又は阻止帯域)よりも高い周波数領域
に対するフィルタ機能を高めることができる。
【0030】上記段間結合調整板の切り込み部は、略四
角形状であってもよいが、長辺が上記筐体の底面と略平
行になるよう配設された略長方形形状であることが好ま
しい。
【0031】また、上記段間結合調整板の切り込み部
は、筐体の高さ方向の位置が上記誘電体共振器の配設さ
れた位置と略一致するよう配設されていることが好まし
く、筐体の外周部を構成する壁の内側面に接するように
形成されていることが好ましい。
【0032】上記筐体に設けられ、上記段間結合調整板
の切り込み部に向かって突出する段間結合調整部材をさ
らに備えていることにより、切り込み部を利用して段間
結合調整部材の調整範囲を拡大することが可能となる。
【0033】上記複数の誘電体共振器は、いずれもTE01
δモード共振器であることにより、本発明の効果を顕著
に発揮することができる。
【0034】本発明の誘電体共振器の不要モード抑制方
法は、少なくとも1つの誘電体共振器と、上記誘電体共
振器の周囲を覆い、電磁界シールドとして機能する筐体
とを備えた誘電体共振器フィルタの不要モード抑制方法
であって、上記筐体に囲まれる空間内に、上記誘電体共
振器の1つの面に対向する第1面と上記筐体の内表面に
対向する第2面とを有する導体板を含む共振周波数調整
部材を配置して、上記導体板と上記誘電体共振器との距
離を変化させることにより共振周波数を調整するステッ
プ(a)と、上記ステップ(a)の後、又は上記ステッ
プ(a)の前に、上記導体板の上記第2面と上記筐体の
内表面との間の空間に発生する不要な電磁界モードの伝
播を抑制するための不要モード抑制部材を配置するステ
ップ(b)とを含んでいる。
【0035】これにより、共振周波数調整部材の導体板
の第2面と筐体の内表面との間の空間に発生する不要な
電磁界モードの伝播が抑制されるので、誘電体共振器フ
ィルタの周波数特性のうち通過帯域(又は阻止帯域)
に、不要な電磁界モードに起因する特性の乱れが現れな
いように調整することが容易となる。
【0036】上記ステップ(b)では、上記導体板の上
記第2面と上記筐体の内表面との間の空間の一部を埋め
る不要モード抑制部材を配置することにより、この空間
内で励起される不要モードの管内波長が短くなって高周
波側にシフトするなどの作用により、通過帯域(又は阻
止帯域)における特性の乱れの発生を抑制することがで
きる。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1は、本発
明の第1の実施形態における誘電体共振器フィルタの構
造を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本
実施形態の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉末を焼結
することにより成形された6個の円柱状の誘電体共振器
11a〜11fを備えている。各誘電体共振器11a〜
11fの共振周波数は、円柱形状の高さ及び直径により
決定される。この例では、6個の誘電体共振器11a〜
11fが6段の帯域通過フィルタとして動作する。誘電
体共振器フィルタの筐体20は、底壁と側壁とによって
構成される筐体本体21と、筐体蓋22と、筐体本体2
1によって囲まれる空間を小部屋に仕切る互いに連結さ
れた隔壁23a〜23gとによって構成されている。そ
して、各誘電体共振器11a〜11fは、筐体20の隔
壁23a〜23gによって仕切られた各小部屋に1つづ
つ配設されている。また、7つの隔壁23a〜23gの
うち5つの隔壁23a〜23eと筐体本体21の側壁と
の間には、各共振器問の電磁界結合をとるための段間結
合調整窓24a〜24eが設けられている。各段間結合
調整窓24a〜24eには、共振器間の電磁界結合の結
合の強さを調整するための段間結合調整ボルト31a〜
31eが配設されている。また、筐体本体21には、外
部からの高周波信号を入出力するための同軸コネクター
による入力端子41及び出力端子42が配設されてお
り、入力端子41及び出力端子42の中心導体には、そ
れぞれ入力結合プローブ51及び出力結合プローブ52
が接続されている。
【0038】さらに、筐体蓋21には、各誘電体共振器
11a〜11fの共振周波数を調整するための,円形の
導体板及びこれに連結されたボルトが一体となった共振
周波数調整部材61a〜61f(共振周波数調整手段)
が取り付けられている。この共振周波数調整部材61a
〜61fは、それぞれその中心軸が誘電体共振器11a
〜11fの中心軸と同じ平面位置にあるように(つまり
同心位置に)配設されている。つまり、筐体蓋22は、
円柱状の誘電体共振器11a〜11fとほぼ同心位置に
ネジ穴が設けられていて、各共振周波数調整部材61a
〜61fのボルトが筐体蓋22のネジ穴に係合してい
る。そして、共振周波数調整部材61a〜61fを軸回
りに回転させることにより、その導体板と誘電体共振器
11a〜11fとの間隙を変化させて、共振周波数を調
整することが可能に構成されている。
【0039】一般に、誘電体共振器フィルタでは、通過
帯域幅、減衰特性などの周波数特性は各共振器の共振周
波数,Q値,各誘電体共振器間の結合量等により決まる
ため、設計の際には、フィルタの周波数特性の仕様から
各誘電体共振器の形状等が算出される。しかし、現実に
は、誘電体共振器や筐体の形状誤差や取り付け誤差のた
めに設計通りのフィルタ特性が得られない。そこで、上
記従来の誘電体共振器フィルタには、共振周波数調整部
材61a〜61fが設けられて、各誘電体共振器11a
〜11fの共振周波数を可変にし、かつ、段間結合調整
ボルト31a〜31eを設けて段間結合強度を可変にす
るなどの調整により、所望のフィルタ特性の実現が図ら
れている。
【0040】ここで、本実施形態の特徴は、入出力段の
共振周波数調整部材61a,61fのボルトには、この
ボルトに係合するネジ穴を有する,導体からなる不要モ
ード抑制用リング71,72(不要モード抑制手段)が
取り付けられている点である。
【0041】この不要モード抑制用リング71,72を
設けたことによる効果を説明するために、まず、本実施
形態の誘電体共振器フィルタの動作について説明する。
【0042】例えば信号源やアンテナ(図1には図示せ
ず)から伝送されてきた高周波信号は、入力端子41か
ら筐体20内に入力されるが、高周波信号がフィルタの
通過帯域内の周波数の信号の場合、入力結合プローブ5
1の作用により、高周波信号が入力段の誘電体共振器1
1aの電磁界モードと結合して、基本共振モードである
TE01δが励起される。この基本共振モードは、段間結合
調整窓24a,24b,…を通じて次段の誘電体共振器
11b,11c,…へと次々と結合してゆき、誘電体共
振器11fに励起された電磁界モードは出力側の出力結
合プローブ52と結合し、高周波信号が出力端子42か
ら出力される。一方、フィルタの通過帯域外の高周波信
号は誘電体共振器の基本共振モードと結合することはで
きずに反射され、入力端子41から送り返されるはずで
ある。
【0043】上述のようなフィルタとしての正確な動作
を実現するためには、各誘電体共振器11a〜11fの
共振周波数や、段間結合調整窓24a,24b,…によ
る段間結合の強さが正確に実現されなければならない。
しかし、誘電体共振器11a〜11fや筐体20の形状
誤差や取り付け誤差のために設計通りのフィルタ特性が
得られない。そこで、共振周波数調整部材61a〜61
fが設けられており、この共振周波数調整部材61a〜
61fのボルトを回転させることで、導体板が上下す
る。その結果、共振周波数調整部材61a〜61fの導
体板と下方の誘電体共振器11a〜11fとの距離が変
化するので、各誘電体共振器11a〜11fの共振周波
数が変化する。また、段間結合調整ボルト31a〜31
eが設けられており、段間結合強度が可変になってい
る。これらの調整により、所望のフィルタ特性の実現が
図られている。
【0044】たとえば、段間結合調整ボルト31a〜3
1eの挿入量を大きくして、その先端部とこれに対向す
る隔壁との距離を小さくすると、段間結合調整窓(例え
ば24b)を挟んで相隣接する誘電体共振器(例えば1
1b,11c)の電磁界結合が強くなるように作用す
る。共振周波数調整部材61a〜61fを下げ、誘電体
共振器と導体板の距離を小さくすれば誘電体共振器の共
振周波数が高くなる。以上の機能は、上記従来の誘電体
共振器フィルタと同じである。
【0045】ここで、本実施形態においては、不要モー
ド抑制手段である不要モード抑制用リング71,72
が、共振周波数調部材61a,61fと筐体蓋22との
間の領域である不要モード励起空間(図22に示す空間
R1)に配設されている。つまり、共振周波数調整部材
61a,61fの導体板の誘電体共振器11a,11f
に対向する面(下面)を第1面とし、導体板の筐体蓋2
2の内表面に対向する面(上面)を第2面とすると、導
体板の第2面と筐体の内表面との間の空間R1に不要モ
ード抑制用リング71,71が配置されていることにな
る。
【0046】これにより、図22に示す不要モードの発
生を阻害するよう作用する。電磁界的には、不要モード
抑制用リング71,72が配設され、不要モード励起空
間R1の高さ方向の寸法が低減されることにより、励起
される不要モードの管内波長が短くなるので、フィルタ
特性が高周波側ヘシフトすることになる。さらに、不要
モード励起空間R1(図22参照)から誘電体共振器1
1a,11fが配設された空間R2(図22参照)に通
じる狭い部分R3(図22参照)の距離が増大するため
電磁波が通過しにくくなり、不要モードと誘電体共振器
11a,11fのモードの結合が弱くなる。その結果、
6つの誘電体共振器11a〜11fによって構成される
誘電体共振器フィルタの通過帯域における不要な減衰極
P1(図23参照)などの特性の乱れの発生を抑制する
ことができる。
【0047】図2は、1段フィルタ(単体共振器)の場
合について不要モード抑制用リングの効果をみるために
測定した共振周波数調整部材の位置と基本モード及び不
要モードの周波数との関係を示す特性図である。図2の
データを得るために用いた1段フィルタは、比誘電率4
1の誘電体材料によって構成された,直径27mm、高
さ12mmの円柱形状の誘電体共振器と、内寸が1辺4
0mmの立方体形状の筐体と、直径25mmで厚み1m
mの導体板と規格M6のボルトとを有する共振周波数調
整部材と、高さ4mm又は8mm,外径20mmで中心
軸部に規格M6のネジ穴が形成された円筒形状の,銀メ
ッキ処理された銅製の不要モード抑制用リング(不要モ
ード抑制手段)とを備えている。
【0048】図2に示すように、不要モード抑制用リン
グを配設することにより不要モードが高周波側にシフト
することがわかる。例えば、同図における共振周波数調
整部材位置が12mmの場合、不要モード抑制用リング
がない場合(■印参照)の不要モードの周波数が約1.
8GHzであるのに対し、外径20mm,高さ4mmの
不要モード抑制用リングを取り付けた場合(○印参照)
の不要モードの周波数は約1.95GHzであり、外径
20mm,高さ8mmの不要モード抑制用リングを取り
付けた場合(△印参照)の不要モードの周波数が約2.
3GHzである。
【0049】図3は、不要モード抑制用リングを備えた
誘電体共振器フィルタの周波数特性を示す図である。同
図において、横軸は周波数(GHz)を表し、縦軸は通
過特性(dB)を表している。図3のデータを得るため
に用いた誘電体共振器フィルタは、比誘電率41の誘電
体材料によって構成された,直径27mm、高さ12m
mの円柱形状の誘電体共振器と、内寸が1辺40mmの
立方体形状の小部屋を有し,表面が銀メッキされたアル
ミニウム製の筐体と、直径25mmの導体板と規格M6
のボルトとを有する共振周波数調整部材と、高さ8m
m,外径20mmで中心軸部に規格M6のネジ穴が形成
された円筒形状の,銀メッキされた銅材からなる不要モ
ード抑制用リング(不要モード抑制手段)と、市販のS
MAコネクターからなる入出力端子41,42と、表面
が銀メッキ処理された直径1mmの銅線からなる入出力
結合プローブ51,52とを備えている。
【0050】図3に示すように、誘電体共振器にTEO1δ
モードの電磁界が励起されて、通過帯域における周波数
特性がほぼフラットな周波数特性が得られた。このよう
に、誘電体共振器フィルタに不要モード抑制用リングを
設けることにより、不要モードの振幅レベルが弱めら
れ、不要モードが通過帯域から十分離れた高周波側に追
いやられ、周波数調整時に不要モードが障害になること
もなく、図3に示す低損失で急峻なフィルタ特性が達成
できた。
【0051】なお、本実施形態においては、不要モード
抑制手段である不要モード抑制用リング71,72は入
出力段の2カ所のみに配設する構造となっているが、こ
れに限られるわけではなく、不要モード抑制手段を配設
する箇所および個数は、フィルタの仕様に応じて適宜選
択することができる。
【0052】ただし、多段フィルタの入出力段の小部屋
において発生する不要モードは、他の小部屋で発生する
不要モードよりも入出力結合プローブに近いために、フ
ィルタ特性にその不要モードの影響が現れやすい。実際
に、多段フィルタの特性劣化の原因のほとんどは、入出
力段の小部屋において発生した不要モードである。した
がって、入出力段の小部屋に不要モード抑制用リングな
どの不要モード抑制部材が配置されていることにより、
顕著な不要モード抑制機能が得られることになる。
【0053】また、本実施形態においては、不要モード
抑制手段である不要モード抑制用リング71,72を共
振周波数調整部材61a,61bに固定しているが、不
要モード抑制手段を筐体蓋に共振周波数調整部材と同軸
位置で固定しても同様の効果が得られる。
【0054】また、本実施形態においては、不要モード
抑制手段として、独立したリング構造を有する不要モー
ド抑制用リングを用い、これを共振周波数調整部材には
め込むという構造を採用しているが、例えば、不要モー
ド抑制手段及び共振周波数調整部材の導体板として機能
する段付き円板を共振周波数調整部材のボルトに取り付
けるなど、不要モード抑制手段と共振周波数調整部材と
を一体化した構造を採用してもよい。また、共振周波数
調整部材の導体板の厚みを3〜10mm程度に厚くして
も、本実施形態と同様の効果が得られる。ただし、実際
には個々の誘電体共振器フィルタによってフィルタ特性
が異なるので、リングのような脱着可能な部材を設ける
ことが好ましい。
【0055】また、本実施形態においては、不要モード
抑制手段である不要モード抑制用リング71,72の外
周形状を円形としたが、不要モード抑制用リングの外周
形状はこれに限られるわけではなく、三角形やその他の
多角形であっても同様の効果がある。以下、不要モード
抑制用リングの構造に関する変形例について説明する。
【0056】−第1の変形例− 図4は、第1の実施形態における第1の変形例に係る共
振周波数調整部材及び不要モード抑制用リングの構造を
示す斜視図である。同図に示すように、第1の変形例に
係る不要モード抑制用リング73は、六角形ナット形状
を有している。この変形例によると、市販規格品のナッ
トを使用することが可能であり、コストの低減と製造工
程の簡素化とを図ることができる。
【0057】−第2の変形例− 図5は、第1の実施形態における第2の変形例に係る共
振周波数調整部材及び不要モード抑制用リングの構造を
示す斜視図である。同図に示すように、第2の変形例に
係る不要モード抑制用リング74は、導体板を曲げ加工
した板バネ構造を有している。この変形例によると、不
要モード抑制用リング74の不要モードを阻害する機能
が共振周波数調整部材61の降下量によってほとんど影
響を受けないという効果が得られる。
【0058】−第3の変形例− 図6は、第1の実施形態における第3の変形例に係る共
振周波数調整部材及び不要モード抑制用リングの構造を
示す斜視図である。同図に示すように、第2の変形例に
係る不要モード抑制用リング75は、リング構造を分割
した構造を有している。この変形例によると、共振周波
数調整部材61を筐体蓋22から取り外すことなく、不
要モード抑制用リング75を脱着することが可能となる
ので、フィルタ特性の調整作業の容易化を図ることがで
きる。
【0059】なお、本実施形態においては、不要モード
抑制手段として、表面が銀メッキ処理された銅製の不要
モード抑制用リングを用いたが、本発明の不要モード抑
制手段の材料はこれに限られるものではなく、他の導体
材料でも効果を発揮することはいうまでもない。
【0060】さらに、不要モード抑制手段の材料は導体
に限られるわけでもなく、高誘電率誘電体など電磁波の
伝播に影響を与える素材であれば同様の効果を発揮す
る。
【0061】(第2の実施形態)図7は、本発明の第2
の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概略
的に示す斜視図である。図7に示すように、本実施形態
の誘電体共振器フィルタは、不要モード抑制手段とし
て、第1の実施形態における不要モード抑制用リング7
1,72に代えて、不要モード抑制用ボルト81,82
を備えている。不要モード抑制用ボルト81,82は、
その基端部が筐体蓋22に係合され、その先端部が共振
周波数調整部材61a,61fの導体板の上面に近接す
るように取り付けられている。
【0062】本実施形態における誘電体共振器フィルタ
の構造は、不要モード抑制用ボルト81,82の構造を
除くと、すでに説明した図1に示す第1の実施形態の誘
電体共振器フィルタの構造と同じであるので、図7にお
いては第1の実施形態と同じ機能の部材には図1と同じ
符号を付して、その説明を省略する。
【0063】本実施形態の誘電体共振器フィルタの基本
的な動作は、上述の第1の実施形態の誘電体共振器フィ
ルタの基本動作と同じである。
【0064】第2の実施形態の誘電体共振器フィルタに
よれば、不要モード励起空間R3(図22参照)に不要
モード抑制用ボルト81,82が挿入されることによ
り、不要モード励起空間R3を伝播する不要な電磁界モ
ードが阻害され、不要な電磁界モードの周波数が低周波
側にシフトする。その結果、通過帯域における不要な減
衰極P1(図23参照)などの特性の乱れの発生を抑制
することができる。
【0065】図8は、1段フィルタ(単体共振器)の場
合について不要モード抑制用ボルトの効果をみるために
測定した,不要モード励起空間への不要モード抑制用ボ
ルトの挿入量と基本モード及び不要モードの周波数との
関係を示す特性図である。図8のデータを得るために用
いた1段フィルタは、比誘電率41の誘電体材料によっ
て構成された,直径27mm、高さ12mmの円柱形状
の誘電体共振器と、内寸が1辺40mmの立方体形状の
筐体と、直径25mmで厚み1mmの導体板と規格M6
のボルトとを有する共振周波数調整部材と、規格M3の
ネジを外周部に有する銀メッキ処理された銅製の不要モ
ード抑制用ボルト(不要モード抑制手段)とを備えてい
る。また、図8のグラフの横軸は、不要モード抑制用ボ
ルトが筐体蓋の表面に接触した状態を0としたときの不
要モード励起空間R3への不要モード抑制用ボルトの挿
入量を表している。
【0066】このように、誘電体共振器フィルタに不要
モード抑制手段である不要モード抑制用ボルトを設ける
ことにより、不要モードを通過帯域から十分離れた低周
波側にシフトさせることができ、特性の優れたフィルタ
を得ることが可能である。
【0067】(第3の実施形態)図9は、本発明の第3
の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概略
的に示す斜視図である。図9に示すように、本実施形態
の誘電体共振器フィルタは、不要モード抑制手段とし
て、第1の実施形態における不要モード抑制用リング7
1,72に代えて、大径の導体板を有する不要モード抑
制機能付き共振周波数調整部材61x,61yを備えて
いる。
【0068】本実施形態における誘電体共振器フィルタ
の構造は、不要モード抑制機能付き共振周波数調整部材
61x,61yの構造を除くと、すでに説明した図1に
示す第1の実施形態の誘電体共振器フィルタの構造と同
じであるので、図9においては第1の実施形態と同じ機
能の部材には図1と同じ符号を付して、その説明を省略
する。
【0069】本実施形態の誘電体共振器フィルタの基本
的な動作は、上述の第1の実施形態の誘電体共振器フィ
ルタの基本動作と同じである。
【0070】第3の実施形態の誘電体共振器フィルタに
よれば、不要モード抑制機能付き共振周波数調整部材6
1x,61yの導体板の径が大きいことにより、これら
の導体板に平行な方向の電磁波の管内波長が長くなるの
で、不要モードは低周波側にシフトすることになる。そ
の結果、通過帯域における不要な減衰極P1(図23参
照)などの特性の乱れの発生を抑制することができる。
【0071】図10は、1段フィルタ(単体共振器)の
場合について不要モード抑制機能付き共振周波数調整部
材の効果をみるために測定した,共振周波数調整部材の
位置と基本モード及び不要モードの周波数との関係を示
す特性図である。図10のデータを得るために用いた1
段フィルタは、比誘電率41の誘電体材料によって構成
された,直径27mm、高さ12mmの円柱形状の強誘
電体共振器と、内寸が1辺40mmの立方体形状の筐体
と、直径15mm,25mm又は35mmで厚み1mm
の導体板と規格M6のボルトとを有する共振周波数調整
部材とを備えている。
【0072】図10に示すように、導体板の直径により
不要モードの周波数は異なる。したがって、複数の誘電
体共振器を配置した多段の誘電体共振器フィルタにおい
て、不要モードが通過帯域に侵入しフィルタ特性が乱れ
る場合には、不要モード発生の原因となっている共振周
波数調整部材の導体板の径を変えることにより不要モー
ドを帯域外へ追いやることが可能となる。この作用を電
磁界的に説明すると、不要モード抑制機能付き共振周波
数調整部材61x,61yの導体板の径が大きくなる
と、これらの導体板に平行な方向の電磁波の管内波長が
長くなるので不要モードは低周波側にシフトすることに
なる。
【0073】なお、本実施形態においては、第1段と第
6段の誘電体共振器11a,11fに、他の周波数調整
部材の導体板よりも大径の導体板を有する不要モード抑
制機能付き共振周波数部材61x,61yを付設した
が、本発明の誘電体共振器フィルタの構造は本実施形態
に限られるわけではなく、不要モード抑制機能付き共振
周波数調整部材を、第2,第3段など他の段の誘電体共
振器11に付設してもよい。どの段の共振周波数調整部
材の導体板の直径を大きくするかは、誘電体共振器や筐
体の構造等に応じて適宜選択することができる。
【0074】(第4の実施形態)図11は、本発明の第
4の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概
略的に示す斜視図である。図11に示すように、本実施
形態の誘電体共振器フィルタは、不要モード抑制手段と
して、第1の実施形態における不要モード抑制用リング
71,72に代えて、不要モード減衰シート91a〜9
1f,92a〜92f,93a〜93fを備えている。
不要モード減衰シート91a〜91fは、共振周波数調
整部材61a〜61fの導体板の上面(導体板の共振器
とは反対側の面)に設けられ、不要モード減衰シート9
2a〜92gは、筐体20の隔壁23a〜23gの両側
面上に設けられ、不要モード減衰シート93a〜93f
は、筐体蓋22の各小部屋の天井面に相当する面に設け
られている。
【0075】本実施形態における誘電体共振器フィルタ
の構造は、不要モード減衰シート91a〜91f,92
a〜92f,93a〜93fの構造を除くと、すでに説
明した図1に示す第1の実施形態の誘電体共振器フィル
タの構造と同じであるので、図11においては第1の実
施形態と同じ機能の部材には図1と同じ符号を付して、
その説明を省略する。
【0076】本実施形態の誘電体共振器フィルタの基本
的な動作は、上述の第1の実施形態の誘電体共振器フィ
ルタの基本動作と同じである。
【0077】ここで、本実施形態の誘電体共振器フィル
タによれば、不要モード減衰シート91a〜91f,9
2a〜92f,93a〜93fを設けることにより、金
属製の筐体蓋22と共振周波数調部材61a〜61fと
の間の領域である不要モード励起空間(図22に示す空
間R1)に発生する電磁波により不要モード減衰シート
91a〜91f,92a〜92f,93a〜93fの表
面に流れる電流が減衰され、電磁波も減衰する。一方、
誘電体共振器11a〜11fは不要モード励起空間R1
から隔離されているので、不要モード減衰シート91a
〜91f,92a〜92f,93a〜93fが誘電体共
振器11a〜11fの電磁界モードには影響を与えず、
誘電体共振器フィルタの通過帯域の特性にも影響を与え
ない。したがって、不要モードの発生が抑制され、特性
の優れたフィルタを得ることが可能である。例えば、不
要モード減衰シートとして抵抗体であるニクロム(ニッ
ケルクロム合金)箔を使用したところ不要モードが減衰
され、図3に示す特性と同様の低損失で急峻なフィルタ
特性が達成できた。
【0078】なお、本実施形態では、不要モード減衰手
段として不要モード減衰シートを配設する構造とした
が、本発明の不要モード減衰手段の構造は、シート構造
に限られるわけではなく、抵抗体を含有したペーストあ
るいは溶剤を塗布し硬化させて得られる導体膜であって
もよい。あるいは、筐体の隔壁、筐体蓋および共振周波
数調整部材を原則として導体メッキが施された抵抗体に
より構成しておいて、この抵抗体のうち,筐体蓋と共振
周波数調整部材の導体板との間の領域の空間R1を囲む
内壁面となる部分の上には導体メッキを施さず、抵抗体
の表面を空間R1に露出させるようにしても、本実施形
態と同じ効果を発揮することができる。
【0079】また、本実施形態では不要モード減衰シー
トの具体例として抵抗体であるニクロム箔を使用した
が、本発明はこれに限られるわけではなく、他の材料か
らなる抵抗体、例えば、銅ニッケル合金、フェライトな
どでも効果を発揮することはいうまでもない。
【0080】ただし、共振周波数調整部材61a〜61
fの導体板の縦方向位置は共振周波数の調整に応じて変
化するので、上記各不要モード減衰手段の構成におい
て、空間R1の内壁面全体が不要モード減衰機能を有す
る部材で構成されている必要はない。
【0081】なお、第1〜第4の実施形態においては、
本発明が適用される誘電体共振器フィルタとして、6段
の誘電体共振器を用いた多段フィルタを例に採っている
が、本発明の誘電体共振器フィルタの構造は上記各実施
形態に限られるわけではなく、4段など6段以外の段数
を有する誘電体共振器フィルタについても本発明の効果
を発揮することができる。
【0082】また、第1〜第4の実施形態においては、
本発明が適用される誘電体共振器フィルタとして、帯域
通過フィルタを例に採っているが、本発明の誘電体共振
器フィルタの構造は上記各実施形態に限られるわけでは
なく、他の例えば帯域阻止フィルタについても本発明の
効果を発揮することができる。
【0083】また、図2,図8,図10の測定結果は、
効果を実験で明確に示すために単体共振器を用い測定し
た結果を示しているが、各実施形態の構造を採用するこ
とにより、段数に関係なく他の多段フィルタでも同様に
効果を発揮することはいうまでもない。
【0084】上記第1〜第4の実施形態においては、誘
電体共振器が筐体本体が囲む空間の下部に配置され、誘
電体共振器の上方に共振周波数調整部材の導体板を設置
しているが、誘電体共振器を筐体本体が囲む空間の上部
に配置して、共振周波数調整部材の導体板を誘電体共振
器の下方に配置してもよい。その場合、不要モード抑制
部材を共振周波数調整部材の導体板と筐体本体の底面と
の間に配置することにより、本発明の効果を発揮するこ
とができる。
【0085】(第5の実施形態)図12は、本発明の第
5の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概
略的に示す斜視図である。図12に示すように、本実施
形態の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉末を焼結する
ことにより成形された4個の円柱状の誘電体共振器11
1a〜111dを備えている。各誘電体共振器111a
〜111dの共振周波数は、円柱形状の高さ及び直径に
より決定される。この例では、4個の誘電体共振器11
1a〜111dが4段の帯域通過フィルタとして動作す
る。強誘電体フィルタの筐体120は、底壁と側壁とに
よって構成される筐体本体121と、筐体蓋122と、
筐体本体121によって囲まれる空間を小部屋に仕切る
互いに連結された隔壁123a〜123dとによって構
成されている。そして、各誘電体共振器111a〜11
1dは、筐体120の隔壁123a〜123dによって
仕切られた各小部屋に1つづつ配設されている。また、
筐体本体121には、外部からの高周波信号を入出力す
るための同軸コネクターによる入力端子141及び出力
端子142が配設されており、入力端子141及び出力
端子142の中心導体には、それぞれ入力結合プローブ
151及び出力結合プローブ152が接続されている。
【0086】さらに、筐体蓋122には、各誘電体共振
器111a〜111dの共振周波数を調整するための,
円形の導体板及びこれに連結されたボルトが一体となっ
た共振周波数調整部材161a〜161dが取り付けら
れている。この共振周波数調整部材161a〜161d
は、それぞれその中心軸が誘電体共振器111a〜11
1dの中心軸と同じ平面位置にあるように(つまり同心
位置に)配設されている。つまり、筐体蓋122は、円
柱状の誘電体共振器111a〜111dとほぼ同心位置
にネジ穴が設けられていて、各共振周波数調整部材16
1a〜161dのボルトが筐体蓋122のネジ穴に係合
している。そして、共振周波数調整部材161a〜16
1dを軸回りに回転させることにより、その導体板と誘
電体共振器111a〜111dとの間隙を変化させて、
共振周波数を調整することが可能に構成されている。
【0087】一般に、誘電体共振器フィルタでは、通過
帯域幅、減衰特性などの周波数特性は各共振器の共振周
波数,Q値,各誘電体共振器間の結合量等により決まる
ため、設計の際には、フィルタの周波数特性の仕様から
各誘電体共振器の形状等が算出される。しかし、現実に
は、誘電体共振器や筐体の形状誤差や取り付け誤差のた
めに設計通りのフィルタ特性が得られない。そこで、上
記従来の誘電体共振器フィルタには、共振周波数調整部
材161a〜161dが設けられて、各誘電体共振器1
11a〜111dの共振周波数を可変にすることによ
り、所望のフィルタ特性の実現が図られている。
【0088】ここで、本実施形態の特徴は、4つの隔壁
123a〜123dのうち3つの隔壁123a〜123
cに、それぞれ各誘電体共振器111a〜111d問の
電磁界結合をとるための段間結合調整窓124a〜12
4cが設けられている点である。段間結合調整窓124
a〜124cは、隔壁123a〜123cが筐体本体1
21の内側面に接する部分(つまり外側面)において、
それぞれ隔壁123a〜123cの外側面から横方向に
切り込みを設けることにより形成されている。言い換え
ると、4つの隔壁123a〜123dのうち3つの隔壁
123a〜123cは、段間結合調整板として機能する
ことになる。
【0089】そして、隔壁123a〜123cの切り込
み部によって構成される段間結合調整窓124a〜12
4cには、それぞれ共振器間の電磁界結合の結合の強さ
を微調整するための段間結合調整ボルト131a〜13
1cが配設されている。この段間結合調整ボルト131
a〜131cは、それぞれ隔壁123a〜123cの切
り込み部の内側へと突き出すように配設されている。
【0090】次に、構成の誘電体共振器フィルタの動作
について説明する。例えば信号源やアンテナ(図12に
は図示せず)から伝送されてきた高周波信号は、入力端
子141から筐体120内に入力されるが、高周波信号
がフィルタの通過帯域内の周波数の信号の場合、入力結
合プローブ151の作用により、高周波信号が入力段の
誘電体共振器111aの電磁界モードと結合して、基本
共振モードであるTE01δが励起される。この共振モード
は、段間結合調整窓124a,124b,…を通じて次
段の誘電体共振器111b,111c,…へと次々と結
合してゆき、誘電体共振器111fに励起された電磁界
モードは出力側の出力結合プローブ152と結合し、高
周波信号が出力端子142から出力される。一方、フィ
ルタの通過帯域外の高周波信号は誘電体共振器の共振モ
ードと結合することはできずに反射され、入力端子14
1から送り返される。
【0091】上述のようなフィルタとしての正確な動作
を実現するためには、各誘電体共振器111a〜111
dの共振周波数や、段間結合調整窓124a〜124c
による段間結合の強さが正確に実現されなければならな
い。しかし、誘電体共振器111a〜111dや筐体1
20の形状誤差や取り付け誤差のために設計通りのフィ
ルタ特性が得られない。そこで、共振周波数調整部材1
61a〜161dが設けられており、この共振周波数調
整部材161a〜161dのボルトを回転させること
で、導体板が上下する。その結果、共振周波数調整部材
161a〜161dの導体板と下方の誘電体共振器11
1a〜111dとの距離が変化するので、各誘電体共振
器111a〜111dの共振周波数が変化する。
【0092】また、段間結合調整板として機能する隔壁
123a〜123cに設けられた段間結合調整窓124
a〜124cと段間結合調整ボルト131a〜131c
が、誘電体共振器111a〜111d間の電磁界結合の
強さを調整するのに使用される。まず、隔壁123a〜
123cの切り込み部により形成される段間結合調整窓
124a〜124cの面積によって大まかな段間結合強
度が決まり、段間結合調整ボルト131a〜131cの
挿入量により段間結合強度の微調整が可能である。これ
らの調整機構を調整することにより、誘電体共振器フィ
ルタの通過帯域の周波数、帯域幅などが決定される。
【0093】図13は、本実施形態の誘電体共振器フィ
ルタの周波数特性を示す図である。誘電体共振器フィル
タの通過帯域外の高周波信号の場合、基本的には誘電体
共振器の基本共振モードを励起することはできず反射
し、入力端子141から送り返される。したがって、誘
電体共振器フィルタの周波数特性は、基本的には図13
に示すように帯域通過特性となる。しかし、誘電体共振
器には基本共振モードであるTE01δモード以外にも高次
モードであるHE11δモードやEH11δモードが存在し、こ
れらの共振モードによる結合でも高周波信号がフィルタ
を通過するため通過帯域の高域側に不要な高調波のピー
クが現れる可能性がある。
【0094】図26は、図24に示す従来の誘電体共振
器フィルタの2.14GHz(通過帯域)における電界
分布のFDTD法による解析結果を示す図であり、筐体
の底面に平行で、かつ、共振器の高さ方向の中央部を通
る断面内(以後の解析結果の表示もすべて同様の断面
内)での電界分布を示している。図中の矢印はその位置
での電界ベクトルを示している。図26のデータを得る
ために用いた誘電体共振器フィルタは、図24に示す構
造において、比誘電率41の誘電体材料によって構成さ
れた,直径25mm、高さ11mmの円柱形状の強誘電
体共振器と、内寸が1辺40mmの立方体形状の4つの
小部屋を有する筐体とを有する共振周波数調整部材とを
備えている。そして、筐体本体の底面から14.5mm
の位置に誘電体共振器の下面が位置するように配置され
ている。
【0095】図26に示す電界分布の誘電体共振器中の
電界パターンから明確なように、従来の誘電体共振器フ
ィルタにおいては、通過帯域の周波数帯では基本モード
であるTE01δモードが励振される。
【0096】図27は、図24に示す従来の誘電体共振
器フィルタの2.82GHz(高調波)における電界分
布のFDTD法による解析結果を示す図である。図27
に示す電界パターンでは、HE11δモードやEH11δモード
などの誘電体共振器の高次モードが見られ、誘電体共振
器フィルタの高調波が誘電体共振器の高次モードにより
発生していることが分かる。
【0097】図28は、図24に示す従来の誘電体共振
器フィルタの2.82GHz(高調波)においてHE11δ
モードにより隔壁(段間結合調整板)623bの誘電体
共振器611c側の表面を流れる電流のFDTD法によ
る解析結果を示す図であり、図24に示す矢印Xの方向
から見た図である。図28から分かるように、誘電体共
振器に近接する隔壁(段間結合調整板)623cの高さ
方向の中央部付近の電流が比較的大きくなっている。
【0098】それに対し、本実施形態の隔壁(段間結合
調整板)123a〜123cの場合、図28において比
較的大きな電流が流れる領域に段間結合調整用窓124
a〜124cが設けられていて、この領域には導体が存
在しないため、HE11δモードの発生が抑制されフィルタ
の高調波も抑制されるのではないかと推測される。
【0099】図16は、図12に示す本実施形態の誘電
体共振器フィルタの2.14GHz(通過帯域)におけ
る電界分布の解析結果を示す図である。図16のデータ
が得られた誘電体共振器フィルタは、段間結合調整窓の
形状を横25mm×縦16mmの長方形とし、段間結合
調整窓の下辺が筐体本体の底面から12mmに位置する
として計算を行なっている。他のファクタは上記従来例
の解析モデルと同様にしている。
【0100】図16に示されるように、本実施形態にお
いても、図26と同様に基本モードのTE01δモードが励
振されており、本実施形態にかかる誘電体共振器フィル
タの通過帯域の特性は、従来例と同等のものであると推
測される。
【0101】図17は、図12に示す本実施形態の誘電
体共振器フィルタの2.82GHz(高調波)における
電界分布の解析結果を示す図である。図17のデータが
得られた誘電体共振器フィルタは、図16のデータが得
られたものと同じである。同図に示す誘電体共振器11
1aの電界パターンを見れば分かるように、HE11δモー
ドは不明確になっており、抑制されると推測される。
【0102】図14(a)〜(c)は、図12に示す誘
電体共振器フィルタの段間結合調整窓の形状を種々変え
たときの周波数特性を窓形状と共に示す図である。同図
に示すデータを得るために用いた誘電体共振器フィルタ
は、比誘電率41の誘電体材料によって構成された,直
径25mm、高さ11mmの円柱形状の強誘電体共振器
と、内寸が1辺40mmの立方体形状の4つの小部屋を
有し,表面が銀メッキされたアルミニウム製の筐体と、
直径25mmの導体板と規格M6のボルトとを有する表
面が銀メッキされた銅製の共振周波数調整部材と、市販
のSMAコネクターからなる入出力端子と、表面が銀メ
ッキ処理された直径1mmの銅線からなる入出力結合プ
ローブとを備えている。このとき、隔壁123a〜12
3cの切り込み部である段間結合調整窓124a〜12
4cの横方向の中心軸を筐体本体の底面から20mmの
高さに固定して、段間結合強度が同程度となる段間結合
調整窓123a〜123cの四角形状を、横15mm×
縦27mm,横20mm×縦20mおよび横25mm×
縦16mmの3通りとした。
【0103】図14(a)〜(c)に示す特性のいずれ
においても、2.7GHz〜3GHzの高調波帯域にお
ける高調波のレベルは、従来構造の高調波のレベル(図
25参照)にくらべて抑制されている。
【0104】また、図14(a)〜(c)を比較する
と、切り込み部の四角形状の縦横の辺長さの比率に関し
ては、図14(c)に示す構造が、最も高調波のレベル
が低く、段間結合調整窓における筐体の底面に平行な辺
を長くする方がより高調波抑制効果が高いことが確認で
きた。
【0105】図15(a)〜(c)は、図12に示す誘
電体共振器フィルタの段間結合調整窓の隔壁123a〜
123cにおける上下方向の位置を種々変えたときの周
波数特性を窓位置と共に示す図である。段間結合調整窓
124a〜124cの形状を横20mm×縦20mmに
固定し、窓の下辺が筐体本体の底面から0mm,10m
m及び20mmに位置する3通りの場合について示して
いる。図15(a)〜(c)を比較すると、段間結合調
整窓124a〜124cの上下方向位置に関しては、図
15(b)に示す位置に段間結合調整窓を設けることに
より、最も低い高調波レベルが得られる。つまり、段間
結合調整窓と誘電体共振器とがより近接するように、段
間結合調整窓を中央部に位置することにより、より高い
高調波抑制効果が得られることがわかる。
【0106】以上のように、本実施形態の誘電体共振器
フィルタによれば、段間結合調整板として機能する隔壁
123a〜123cに切り込み部を設けて段間結合調整
窓124a〜124cを形成することにより、通過帯域
の特性に影響を与えることなく、高調波のレベルを抑制
することができる。
【0107】特に、段間結合調整窓124a〜124c
の形状は、横方向の辺を縦方向の辺よりも長くする方が
高調波レベルの抑制効果が高いこともわかった。さら
に、段間結合調整窓124a〜124cの横方向の辺が
長いことにより、従来の誘電体共振器フィルタに比べて
段間結合調整ボルト131a〜131cの可動範囲を大
きくすることができ、段間結合の調整範囲をより大きく
確保することができる。その場合、段間結合調整ボルト
131a〜131cの先端と段間結合調整窓124a〜
124cの縦方向の辺との間隙も広くとることができる
ので、大電力に対する耐電力性も向上できる。
【0108】つまり、図24に示す従来の誘電体共振器
フィルタにおいては、段間結合調整ボルト631a〜6
31cの可動量が小さく、段間結合調整ボルト631a
〜631cによる段間結合の調整幅が狭い。さらに、誘
電体共振器フィルタの調整状態によっては、段間結合調
整ボルト631aの先端と隔壁623a〜623cとの
間隙が狭いので、誘電体共振器フィルタに高電力信号が
投入されると、放電が発生し、誘電体共振器フィルタが
破損するおそれもある。それに対し、本実施形態の誘電
体共振器フィルタにより、これらの不具合の発生を有効
に抑制することができる。
【0109】(第6の実施形態)図18は、本発明の第
6の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概
略的に示す斜視図である。図18に示すように、本実施
形態の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉末を焼結する
ことにより成形された4個の円柱状の誘電体共振器21
1a〜211dを備えている。各誘電体共振器211a
〜211dの共振周波数は、円柱形状の高さ及び直径に
より決定される。この例では、4個の誘電体共振器21
1a〜211dが4段の帯域通過フィルタとして動作す
る。強誘電体フィルタの筐体220は、底壁と側壁とに
よって構成される筐体本体221と、筐体蓋222と、
筐体本体221によって囲まれる空間を小部屋に仕切る
互いに連結された隔壁223a〜223cとによって構
成されている。
【0110】本実施形態においては、筐体本体221
は、平面形状が長方形であり、誘電体共振器211a〜
211dは直線状に配設されている。また、隔壁(段間
結合調整板)223a〜223cの切り込み部である段
間結合調整窓224a〜224cは、相隣り合う隔壁の
間で互い違いになるように形成されている。そして、各
誘電体共振器211a〜211dは、筐体220の隔壁
223a〜223cによって仕切られた4つの小部屋に
1つづつ配設されている。また、筐体本体221には、
外部からの高周波信号を入出力するための同軸コネクタ
ーによる入力端子241及び出力端子242が配設され
ており、入力端子241及び出力端子242の中心導体
には、それぞれ入力結合プローブ251及び出力結合プ
ローブ252が接続されている。
【0111】さらに、筐体蓋222には、各誘電体共振
器211a〜211dの共振周波数を調整するための,
円形の導体板及びこれに連結されたボルトが一体となっ
た共振周波数調整部材261a〜261dが取り付けら
れている。この共振周波数調整部材261a〜261d
は、それぞれその中心軸が誘電体共振器211a〜21
1dの中心軸と同じ平面位置にあるように(つまり同心
位置に)配設されており、共振周波数調整部材261a
〜261dの構造や機能は、上記第5の実施形態と同様
である。
【0112】本実施形態の誘電体共振器フィルタによっ
ても、第5の実施形態と同様に、通過帯域の高域側に現
れる不要な高調波のレベルが低く、段間結合の調整範囲
が大きく、しかも、耐電力性の高い帯域通過フィルタと
して動作する誘電体共振器フィルタを実現することが可
能である。
【0113】(第7の実施形態)図19は、本発明の第
7の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概
略的に示す斜視図である。図19に示すように、本実施
形態の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉末を焼結する
ことにより成形された4個の円柱状の誘電体共振器31
1a〜311dを備えている。各誘電体共振器311a
〜311dの共振周波数は、円柱形状の高さ及び直径に
より決定される。この例では、4個の誘電体共振器31
1a〜311dが4段の帯域通過フィルタとして動作す
る。強誘電体フィルタの筐体320は、底壁と側壁とに
よって構成される筐体本体321と、筐体蓋322と、
筐体本体321によって囲まれる空間を小部屋に仕切る
互いに連結された隔壁323a〜323dとによって構
成されている。
【0114】本実施形態においては、段間結合調整窓3
24a〜324cは、隔壁323a〜323cが直接切
り込まれて形成されたものではなく、隔壁323a〜3
23cによって支持される上下2つの梁によって形成さ
れている。しかし、上下2つの梁も隔壁(段間結合調整
板)の一部として機能するので、本実施形態の段間結合
調整窓324a〜324cも、上記第5,第6の実施形
態と同様に、隔壁に形成された切り込み部と捉えること
ができる。
【0115】そして、各誘電体共振器311a〜311
dは、筐体320の隔壁323a〜323dによって仕
切られた4つの小部屋に1つづつ配設されている。ま
た、筐体本体321には、外部からの高周波信号を入出
力するための同軸コネクターによる入力端子341及び
出力端子342が配設されており、入力端子341及び
出力端子342の中心導体には、それぞれ入力結合プロ
ーブ351及び出力結合プローブ352が接続されてい
る。
【0116】さらに、筐体蓋322には、各誘電体共振
器311a〜311dの共振周波数を調整するための,
円形の導体板及びこれに連結されたボルトが一体となっ
た共振周波数調整部材361a〜361dが取り付けら
れている。この共振周波数調整部材361a〜361d
は、それぞれその中心軸が誘電体共振器311a〜31
1dの中心軸と同じ平面位置にあるように(つまり同心
位置に)配設されており、共振周波数調整部材361a
〜361dの構造や機能は、上記第5の実施形態と同様
である。
【0117】本実施形態の誘電体共振器フィルタは、例
えば、筐体本体321の隔壁323a〜323dを筐体
本体全体と一体的に切削加工により形成し、上側梁およ
び下側梁を導体板により形成し隔壁323a〜323c
に接合することで実現される。例えば上側梁および下側
梁を銅薄板により形成し、各梁を例えば鉛はんだによ
り、隔壁(段間結合調整板)に電気的に接合する形成方
法を採れば、上側梁および下側梁を異なる寸法のものに
容易に交換可能となり、また、例えばリュータ等の切削
工具で容易に形状変更が可能となる。したがって、図1
2に示す構成においては、段間結合調整ボルト151a
〜151cによる段間結合の調整範囲を越えるような場
合でも、本実施形態により、段間結合調整窓324a〜
324cの面積を容易に変更することができる。
【0118】すなわち、本実施形態の誘電体共振器フィ
ルタによれば、第5の実施形態の効果に加えて、段間結
合調整ボルト331a〜331cによる段間結合の調整
範囲の拡大を図ることができる。
【0119】(第8の実施形態)図20は、本発明の第
8の実施形態における誘電体共振器フィルタの構造を概
略的に示す斜視図である。図20に示すように、本実施
形態の誘電体共振器フィルタは、誘電体粉末を焼結する
ことにより成形された4個の円柱状の誘電体共振器41
1a〜411dを備えている。各誘電体共振器411a
〜411dの共振周波数は、円柱形状の高さ及び直径に
より決定される。この例では、4個の誘電体共振器41
1a〜411dが4段の帯域通過フィルタとして動作す
る。強誘電体フィルタの筐体420は、底壁と側壁とに
よって構成される筐体本体421と、筐体蓋422と、
筐体本体421によって囲まれる空間を小部屋に仕切る
互いに連結された隔壁423a〜423dとによって構
成されている。
【0120】本実施形態においては、隔壁423a〜4
23dのうち段間結合調整板として機能する3つの隔壁
423a〜423cは、筐体本体421の内側面には接
触しておらず、両者間には間隙が設けられている。そし
て、誘電体共振器411a〜411d間の電磁界結合は
主にこの間隙を通じて行われる。また、隔壁423a〜
423cには、段間結合調整ボルト431a〜431c
の可動範囲を拡大するための切り込み部が設けられてい
る。隔壁423a〜423cと筐体本体421の内側面
との間隙及び切り込み部により、段間結合調整窓424
a〜424cが構成されている。ただし、本実施形態に
おいても、隔壁423a〜423cの切り込み部の両側
が削除されただけで、実質的には切り込み部によって段
間結合の調整機能が高められている。
【0121】そして、各誘電体共振器411a〜411
dは、筐体420の隔壁423a〜423cによって仕
切られた4つの小部屋に1つづつ配設されている。ま
た、筐体本体421には、外部からの高周波信号を入出
力するための同軸コネクターによる入力端子441及び
出力端子442が配設されており、入力端子441及び
出力端子442の中心導体には、それぞれ入力結合プロ
ーブ451及び出力結合プローブ452が接続されてい
る。
【0122】さらに、筐体蓋422には、各誘電体共振
器411a〜411dの共振周波数を調整するための,
円形の導体板及びこれに連結されたボルトが一体となっ
た共振周波数調整部材461a〜461dが取り付けら
れている。この共振周波数調整部材461a〜461d
は、それぞれその中心軸が誘電体共振器411a〜41
1dの中心軸と同じ平面位置にあるように(つまり同心
位置に)配設されており、共振周波数調整部材461a
〜461dの構造や機能は、上記第5の実施形態と同様
である。
【0123】本実施形態の誘電体共振器フィルタによれ
ば、段間結合調整ボルト431a〜431cの可動範囲
が大きくなるため、第5の実施形態と同じ効果に加え
て、段間結合の調整範囲が大きくできるという効果が得
られる。
【0124】(その他の実施形態)第5〜第8の実施形
態においては、本発明が適用される誘電体共振器フィル
タとして、4段の誘電体共振器を用いた多段フィルタを
例に採っているが、本発明の誘電体共振器フィルタの構
造は上記各実施形態に限られるわけではなく、6段,8
段など4段以外の段数を有する誘電体共振器フィルタに
ついても本発明の効果を発揮することができる。
【0125】また、第5〜第8の実施形態においては、
本発明が適用される誘電体共振器フィルタとして、帯域
通過フィルタを例に採っているが、本発明の誘電体共振
器フィルタの構造は上記各実施形態に限られるわけでは
なく、他の例えば帯域阻止フィルタについても本発明の
効果を発揮することができる。その場合、本発明におけ
る通過帯域を阻止帯域に置き換えると、本発明の効果を
発揮することは容易に理解することができる。
【0126】また、第5〜第8の実施形態においては、
段間結合調整板として機能する隔壁の切り込み部である
段間結合調整窓の形状を、各隔壁についてすべて同じ大
きさとしたが、本発明の段間結合調整窓の形状は、これ
らの実施形態に限られるわけではなく、各隔壁ごとに異
なる形状を有している構成を採ることも可能である。
【0127】さらに、第5〜第6の実施形態において
は、段間結合調整板として機能する隔壁の切り込み部を
隔壁の外側面に設けたが、本発明の段間結合調整窓の形
状はかかる実施形態に限定されるものではなく、図12
の破線に示すように、隔壁の内側面に切り込み部を形成
し、これを段間結合調整窓としてもよい。
【0128】また、各実施形態における切り込み部(段
間結合調整窓)の大きさや位置は、各実施形態で例示し
た寸法や位置に限定されるものではなく、必要とされる
段間結合強度により決定され、必要とされる段間結合強
度は誘電体共振器フィルタの仕様、誘電体共振器の設
計、段間結合調整ボルトの可動範囲の設定などに応じ
て、適宜選択することができる。
【0129】
【発明の効果】本発明の誘電体共振器フィルタによれ
ば、誘電体共振器に付設される共振周波数調整手段の導
体板と筐体との間の空間に不要モード抑制手段を配置
し、あるいは、各誘電体共振器同士の段間結合調整板に
切り込み部を設けることにより、通過帯域における特性
の乱れを抑制することができ、低損失で急峻な通過帯域
を有する,特性の優れた誘電体共振器フィルタの提供を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における誘電体共振器
フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】1段フィルタの共振周波数調整部材の位置と基
本モード及び不要モードの周波数との関係を示す特性図
である。
【図3】不要モード抑制用リングを備えた誘電体共振器
フィルタの周波数特性を示す図である。
【図4】第1の実施形態における第1の変形例に係る共
振周波数調整部材及び不要モード抑制用リングの構造を
示す斜視図である。
【図5】第1の実施形態における第2の変形例に係る共
振周波数調整部材及び不要モード抑制用リングの構造を
示す斜視図である。
【図6】第1の実施形態における第3の変形例に係る共
振周波数調整部材及び不要モード抑制用リングの構造を
示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における誘電体共振器
フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図8】1段フィルタの不要モード励起空間への不要モ
ード抑制用ボルトの挿入量と基本モード及び不要モード
の周波数との関係を示す特性図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における誘電体共振器
フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図10】不要モード抑制機能付き共振周波数調整部材
の効果をみるために測定した,共振周波数調整部材の位
置と基本モード及び不要モードの周波数との関係を示す
特性図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における誘電体共振
器フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施形態における誘電体共振
器フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図13】本発明の第5の実施形態の誘電体共振器フィ
ルタの周波数特性を示す図である。
【図14】(a)〜(c)は、図12に示す誘電体共振
器フィルタの段間結合調整窓の形状を変えたときの周波
数特性を窓形状と共に示す図である。
【図15】(a)〜(c)は、図12に示す誘電体共振
器フィルタの段間結合調整窓の隔壁における上下方向の
位置を種々変えたときの周波数特性を窓位置と共に示す
図である。
【図16】図12に示す第5の実施形態の誘電体共振器
フィルタの2.14GHz(通過帯域)における電界分
布の解析結果を示す図である。
【図17】図12に示す第5の実施形態の誘電体共振器
フィルタの2.82GHz(高調波)における電界分布
の解析結果を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施形態における誘電体共振
器フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図19】本発明の第7の実施形態における誘電体共振
器フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図20】本発明の第8の実施形態における誘電体共振
器フィルタの構造を概略的に示す斜視図である。
【図21】従来の6段式誘電体共振器フィルタの例を概
略的に示す斜視図である。
【図22】図21に示す誘電体共振器フィルタの共振周
波数調整部材の導体板付近の電磁界モードを示す図であ
る。
【図23】図21に示す誘電体共振器フィルタの周波数
特性の例を示す図である。
【図24】従来の4段式の誘電体共振器フィルタの例を
概略的に示す斜視図である。
【図25】従来の4段式の誘電体共振器フィルタの周波
数特性の一例を示す図である。
【図26】図24に示す従来の誘電体共振器フィルタの
2.14GHz(通過帯域)における電界分布のFDT
D法による解析結果を示す図である。
【図27】図24に示す従来の誘電体共振器フィルタの
2.82GHz(高調波)における電界分布のFDTD
法による解析結果を示す図である。
【図28】図24に示す従来の誘電体共振器フィルタの
2.82GHzにおいてHE11δモードにより段間結合調
整板の誘電体共振器側の表面を流れる電流のFDTD法
による解析結果を示す図である。
【符号の説明】
11 誘電体共振器 20 筐体 21 筐体本体 22 筐体蓋 23 隔壁(段間結合調整部材) 24 段間結合調整窓 31 段間結合調整ボルト 41 入力端子 42 出力端子 51 入力結合プローブ 61 共振周波数調整部材 71,72 不要モード抑制用リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南 邦彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中村 俊昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 榎原 晃 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岡嶋 道生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5J006 HC03 HC12 HC22 JA01 JA31 LA03 LA12 MA01 MB03 NA01 ND03 NE01 NE11 PA01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの誘電体共振器と、 上記誘電体共振器の周囲を覆い、電磁界シールドとして
    機能する筐体と、 上記筐体に囲まれる空間内に配置されて上記誘電体共振
    器の1つの面に対向する第1面と上記筐体の内表面に対
    向する第2面とを有する導体板を含み、かつ、上記導体
    板と上記誘電体共振器との距離を変化させることが可能
    に構成された共振周波数調整手段と、 上記導体板の上記第2面と上記筐体の内表面との間の空
    間に発生する不要な電磁界モードの伝播を抑制するため
    の不要モード抑制手段とを備えている誘電体共振器フィ
    ルタ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の誘電体共振器フィルタ
    において、 上記不要モード抑制手段は、上記導体板の上記第2面と
    上記筐体の内表面との間の空間の一部を埋める不要モー
    ド抑制部材であることを特徴とする誘電体共振器フィル
    タ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の誘電体共振器フィルタ
    において、 上記共振周波数調整手段は、上記導体板と上記誘電体共
    振器との距離を変化させるためのボルトをさらに含み、 上記不要モード抑制部材は、上記ボルトに係合するネジ
    穴を有するリングにより構成されていることを特徴とす
    る誘電体共振器フィルタ。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の誘電体共振器フィルタ
    において、 上記不要モード抑制手段は、上記導体板及び上記筐体の
    うちいずれか一方に支持されて、上記導体板の上記第2
    面と上記筐体の内表面とによって囲まれる空間の一部を
    埋める棒であることを特徴とする誘電体共振器フィル
    タ。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のうちいずれか1つに記載
    の誘電体共振器フィルタにおいて、 上記不要モード抑制部材は、導体材料により構成されて
    いることを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  6. 【請求項6】 請求項2〜4のうちいずれか1つに記載
    の誘電体共振器フィルタにおいて、 上記不要モード抑制部材は、誘電体材料により構成され
    ていることを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の誘電体共振器フィルタ
    において、 上記不要モード抑制手段は、上記導体板の上記第2面と
    上記筐体の内表面との間の空間に露出した表面部を有す
    る,該表面部を流れる高周波誘導電流に対する電気抵抗
    として機能する抵抗体によって構成されていることを特
    徴とする誘電体共振器フィルタ。
  8. 【請求項8】 複数の誘電体共振器と、 上記複数の誘電体共振器の周囲を覆い、電磁界シールド
    として機能する筐体と、 上記複数の誘電体共振器の各誘電体共振器ごとに設けら
    れ、上記筐体に囲まれる空間内に配置されて上記誘電体
    共振器の1つの面に対向する第1面と上記筐体の内表面
    に対向する第2面とを有する導体板を含み、かつ、上記
    導体板と上記誘電体共振器との距離を変化させることが
    可能に構成された複数の共振周波数調整手段とを備え、 上記複数の共振周波数調整手段の各導体板のうち少なく
    とも1つの導体板の大きさが他の共振周波数調整手段の
    導体板の大きさとは異なっていることを特徴とする誘電
    体共振器フィルタ。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のうちいずれか1つに記載
    の誘電体共振器フィルタにおいて、 上記共振周波数調整手段の導体板は、円板形状であるこ
    とを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  10. 【請求項10】 外部機器から高周波信号を受ける入力
    段の誘電体共振器と、外部機器に高周波信号を出力する
    出力段の誘電体共振器とを含む複数の誘電体共振器と、 上記複数の誘電体共振器の周囲を囲み、電磁界シールド
    として機能する筐体と、 入力された高周波信号と上記入力段の誘電体共振器との
    電磁界を互いに結合させる入力結合手段と、 出力される高周波信号と上記出力段の誘電体共振器との
    電磁界を互いに結合させる出力結合手段と、 上記複数の誘電体共振器のうち互いに電磁界が結合する
    誘電体共振器同士の間に設けられ、電磁界結合強度を調
    節するための段間結合調整板とを備え、 上記段間結合調整板の両側面のうち少なくともいずれか
    一方の側面には切り込み部が設けられていることを特徴
    とする誘電体共振器フィルタ。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の誘電体共振器フィ
    ルタにおいて、 上記段間結合調整板の切り込み部は、略四角形状である
    ことを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の誘電体共振器フィ
    ルタにおいて、 上記段間結合調整板の切り込み部は、長辺が上記筐体の
    底面と略平行になるよう配設された略長方形形状である
    ことを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  13. 【請求項13】 請求項10に記載の誘電体共振器フィ
    ルタにおいて、 上記段間結合調整板の切り込み部は、筐体の高さ方向の
    位置が上記誘電体共振器の配設された位置と略一致する
    よう配設されていることを特徴とする誘電体共振器フィ
    ルタ。
  14. 【請求項14】 請求項10〜13のうちいずれか1つ
    に記載の誘電体共振器フィルタにおいて、 上記段間結合調整板の切り込み部は、筐体の外周部を構
    成する壁の内側面に接するように形成されていることを
    特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  15. 【請求項15】 請求項10〜14のうちいずれか1つ
    に記載の誘電体共振器フィルタにおいて、 上記筐体に設けられ、上記段間結合調整板の切り込み部
    に向かって突出する段間結合調整部材をさらに備えてい
    ることを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  16. 【請求項16】 請求項10〜15のうちいずれか1つ
    に記載の誘電体共振器フィルタにおいて、 上記複数の誘電体共振器は、いずれもTE01δモード共振
    器であることを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
  17. 【請求項17】 少なくとも1つの誘電体共振器と、上
    記誘電体共振器の周囲を覆い、電磁界シールドとして機
    能する筐体とを備えた誘電体共振器フィルタの不要モー
    ド抑制方法であって、 上記筐体に囲まれる空間内に、上記誘電体共振器の1つ
    の面に対向する第1面と上記筐体の内表面に対向する第
    2面とを有する導体板を含む共振周波数調整部材を配置
    して、上記導体板と上記誘電体共振器との距離を変化さ
    せることにより共振周波数を調整するステップ(a)
    と、 上記ステップ(a)の後、又は上記ステップ(a)の前
    に、上記導体板の上記第2面と上記筐体の内表面との間
    の空間に発生する不要な電磁界モードの伝播を抑制する
    ための不要モード抑制部材を配置するステップ(b)と
    を含む誘電体共振器フィルタ。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の誘電体共振器フィ
    ルタの不要モード抑制方法において、 上記ステップ(b)では、上記導体板の上記第2面と上
    記筐体の内表面との間の空間の一部を埋める不要モード
    抑制部材を配置することを特徴とする誘電体共振器フィ
    ルタの不要モード抑制方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20040043232A (ko) * 2002-11-16 2004-05-24 주식회사 케이엠더블유 무선 주파수 필터의 커버 고정 수단
KR100489698B1 (ko) * 2003-05-21 2005-05-17 주식회사 케이엠더블유 무선 주파수 필터
KR100844163B1 (ko) * 2007-03-15 2008-07-04 주식회사 케이엠더블유 다중노치필터
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