JP2002048636A - 赤外線センサ - Google Patents

赤外線センサ

Info

Publication number
JP2002048636A
JP2002048636A JP2000236146A JP2000236146A JP2002048636A JP 2002048636 A JP2002048636 A JP 2002048636A JP 2000236146 A JP2000236146 A JP 2000236146A JP 2000236146 A JP2000236146 A JP 2000236146A JP 2002048636 A JP2002048636 A JP 2002048636A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
infrared sensor
diaphragm structure
membrane
leg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000236146A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoyoshi Yoshioka
智良 吉岡
Haruhiko Deguchi
治彦 出口
Tomohisa Komoda
智久 薦田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2000236146A priority Critical patent/JP2002048636A/ja
Publication of JP2002048636A publication Critical patent/JP2002048636A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)
  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Radiation Pyrometers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程が少なく、脚の強度が高いダイアフ
ラム構造を有し、かつ配線部の断線を防止することがで
きる赤外線センサを提供する。 【解決手段】 ダイアフラム構造体1は、下部絶縁膜
5、感温抵抗変化膜6、上部絶縁膜8、赤外線吸収膜9
が、この順に積層されて構成されている。また、下部絶
縁膜5は、その上面の少なくとも一部に電気的に接続さ
れた電極配線膜7を有しており、電極配線膜7はその上
面及び側面を感温抵抗変化膜6に覆われている。ダイア
フラム構造体1を所定の間隔をおいて半導体基板2上に
支持する脚は、下部絶縁膜5、感温抵抗変化膜6、上部
絶縁膜8が半導体基板2側からこの順に形成されてい
る。ダイアフラム構造体1と同様、下部絶縁膜5上の一
部には電極配線膜7が形成されており、電極配線膜7は
その上面及び側面を感温抵抗変化膜6に覆われている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線を熱に変換
して検出するボロメータ型赤外線センサ等の赤外線セン
サに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、赤外線を熱に変換して検出する赤
外線検出素子からなる赤外線センサにおいては、非冷却
で動作させることができ、高感度であり、かつ、集積化
が容易なことから、ボロメータ型赤外線センサが注目さ
れている。このボロメータ型赤外線センサは、赤外線カ
メラの赤外線感知部等に応用されている。そして、例え
ば、「ボロメータ型非冷却赤外線センサ」(映像情報メ
ディア学会技術報告,Vol.21, No.80, pp.13〜18 (199
7) )には、基板にダイアフラム構造体を支持してなる
ボロメータ型赤外線センサが記載されている。
【0003】一般に、従来のボロメータ型赤外線センサ
(以下、赤外線センサと称する)は、図4(a)に示す
ように、赤外線を感知するダイアフラム構造体101が
半導体基板102上に支持されてなるダイアフラム構造
を備えている。半導体基板102の表面には図示しない
集積回路が形成されており、その集積回路は、ダイアフ
ラム構造体101と電気的に接続されている。ダイアフ
ラム構造体101は、接続部104を有する脚103・
103を備えており、所定の間隔をおいて半導体基板1
02上に支持されている。
【0004】ダイアフラム構造体101は、図4(b)
に示すように、SiO2 からなる下部絶縁膜105、V
2 やTi等からなる感温抵抗変化膜106、SiO2
からなる上部絶縁膜108、感知すべき赤外線110を
効率的に吸収するためのTiN等からなる赤外線吸収膜
109が、この順に積層されて構成されている。
【0005】感温抵抗変化膜106上の少なくとも一部
には、TiやAl等の良電気伝導性を有する材料からな
り、感温抵抗変化膜106と電気的に接続された電極配
線膜107を有している。電極配線膜107の上面及び
側面は、上部絶縁膜108が覆っている。電極配線膜1
07は、脚103の接続部104を介して半導体基板1
02の集積回路に電気的に接続されており、ダイアフラ
ム構造体101の温度変化に伴う感温抵抗変化膜106
の抵抗変化を検出するようになっている。
【0006】また、脚103は、電極配線膜107と上
部絶縁膜108と下部絶縁膜105とにより構成されて
いる。下部絶縁膜105上には電極配線膜107が形成
されており、その電極配線膜107は上部絶縁膜108
により覆われている。
【0007】図5は赤外線センサの製造方法の一例にお
ける工程を示すフローチャートである。まず、下部絶縁
膜105を所定の膜厚になるように成膜する(S1
1)。成膜した下部絶縁膜105上に、感温抵抗変化膜
106を所定の膜厚になるように成膜した後、エッチン
グ処理を行い所望の形状に加工する(S12)。感温抵
抗変化膜106上には電極配線膜107を所定の膜厚に
なるように成膜し、エッチング処理を行うことにより所
望の形状に加工する(S13)。電極配線膜107上に
は上部絶縁膜108を所定の膜厚になるように成膜する
(S14)。その上部絶縁膜108上には赤外線吸収膜
109を所定の膜厚になるように成膜した後、エッチン
グ処理を行い所望の形状に加工する(S15)。そし
て、下部絶縁膜105と上部絶縁膜108とにエッチン
グ処理を施し、それらが、ダイアフラム構造体101の
脚103になるように所望の形状に加工する(S1
6)。
【0008】以上のような工程で、ダイアフラム構造を
有する赤外線センサを得ることができる。
【0009】また、上記のようなダイアフラム構造体を
有するボロメータ型赤外線センサの感度Resは、定常
状態では一般に、次式(1) Res=η×V×α/G ……(1) によって求めることができる。
【0010】ただし、ηはダイアフラム構造体の赤外線
吸収係数、Vはダイアフラム構造体に印加されるバイア
ス電圧、αは感温抵抗変化膜の抵抗温度係数、Gは半導
体基板とダイアフラム構造体との熱コンダクタンスであ
る。
【0011】式(1)から明らかなように、ボロメータ
型赤外線センサの感度Resは熱コンダクタンスGに反
比例し、熱コンダクタンスGの値が小さい程、感度Re
sは大きくなる(高感度になる)。それゆえ、熱コンダ
クタンスGの値を小さくするために、ダイアフラム構造
体を半導体基板に支持する2本の脚を、厚さはできるだ
け薄く、幅はできるだけ小さく、長さはできるだけ長く
なるように形成する。また、ダイアフラム構造体の半導
体基板に対する断熱性を高めるためにも、脚は、厚さは
できるだけ薄く、幅はできるだけ小さく、長さはできる
だけ長くなるように形成される。
【0012】しかし、脚を、厚さはできるだけ薄く、幅
はできるだけ小さく、長さはできるだけ長くなるように
形成すると、脚の強度は低下する。これにより、ダイア
フラム構造体が半導体基板と接する虞れがある。ダイア
フラム構造体と半導体基板とが接すると、熱コンダクタ
ンスGが著しく増加することとなり、感度Resは極端
に低下することとなる。
【0013】このため、脚の強度を損なうことなくダイ
アフラム構造体と半導体基板とが接するのを防止する赤
外線センサの構造としては、以下のようなものがある。
【0014】(A)特開平7−225152号公報に
は、絶縁層に、応力の向きが異なる、あるいは応力の差
の大きい2種類の酸化シリコン膜を用いる構造が開示さ
れている。ダイアフラム構造体を半導体基板上に支持す
る脚における半導体基板寄りの領域では、下層に第1の
酸化シリコン膜を形成し、その上層には第2の酸化シリ
コン膜を形成している。また、脚における受光部寄りの
領域では、下層の第1の酸化シリコン膜はなく、第2の
酸化シリコン膜のみで構成されている。第1の酸化シリ
コン膜の応力は、第2の酸化シリコン膜の約2倍であ
る。また、ダイアフラム構造体の形状を、中心部が凸の
形状あるいは平坦に近い形状とするために、酸化シリコ
ン膜下部に窒化シリコン膜を形成している。こうして、
ダイアフラム構造体に形成する絶縁膜の応力を制御し
て、ダイアフラム構造体が半導体基板と離れる方向に反
るようにしている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
手法では次のような問題がある。
【0016】図5に示したように、多層膜で構成される
赤外線センサを製造するには、多くの成膜工程や加工工
程が必要であり、多くの時間を要して製造される。ま
た、上記(A)の構造においては、脚における受光部寄
りの領域と半導体基板寄りの領域とでその応力を制御す
るために、酸化シリコンからなる絶縁膜を加工してその
形状を複雑化している。また、ダイアフラム構造体の応
力を制御するために、ダイアフラム構造体上には新たに
窒化シリコン膜を形成している。これにより、成膜プロ
セスや加工プロセスが増加する。また、各加工工程で
は、所望の形状に膜を加工するために、RIE装置やミ
リング装置等を用いてエッチング処理を行う。このと
き、加工する膜の下面に配されている膜にもエッチング
処理が施されてしまい、膜厚が減少するといった影響が
生じる。このような膜厚の減少を防止し、また、製造時
間の短縮や、さらには製造コストの低減を図るために
は、少ない製造工程、特に、少ない加工工程で赤外線セ
ンサを製造することが望ましい。
【0017】また、図4に示した構造では、ダイアフラ
ム構造体101には感温抵抗変化膜106が積層されて
いるが、脚103には積層されていない。このため、電
極配線膜107はダイアフラム構造体101においては
感温抵抗変化膜106上に積層され、脚103において
は下部絶縁膜105上に積層されている。このように、
ダイアフラム構造体101と脚103には加工段差があ
る。脚103における電極配線膜107は細長い配線形
状に加工する必要があり、その配線部については、最も
微細加工が必要とされる部分の一つである。そのため、
ダイアフラム構造体101と脚103に加工段差がある
と、エッチング処理を施す際に、部分的に配線部が断線
する虞れがある。
【0018】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、製造工程が少なく、脚の強
度が高いダイアフラム構造を有し、かつ配線部の断線を
防止することができる赤外線センサを提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の赤外線センサ
は、上記の課題を解決するために、ダイアフラム構造体
が、所定の間隔をおいて基板上に支持されてなるダイア
フラム構造を備えている赤外線センサにおいて、上記ダ
イアフラム構造体を上記基板上に支持する脚に、半導体
膜が積層されていることを特徴としている。
【0020】上記の構成によれば、上記ダイアフラム構
造体を上記基板上に支持する脚に、半導体膜が積層され
ていることにより、赤外線センサを製造する際のダイア
フラム構造体と脚との間に加工段差がない。これによ
り、例えば、脚における配線部の断線を防止することが
できる。さらに、製造工程を少なくすることができ、製
造時間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。
また、脚に半導体膜を積層することにより、脚の強度が
向上する。これにより、赤外線センサの製造において、
歩留りが向上する。さらに、脚の強度が向上することに
より、脚を、厚さはできるだけ薄く、幅はできるだけ小
さく、長さはできるだけ長くなるように形成することが
できる。これにより、熱コンダクタンスの値を小さくす
ることができ、また、ダイアフラム構造体の基板に対す
る断熱性を高めることができる。従って、高感度な赤外
線センサを提供することができる。
【0021】上記の発明における赤外線センサは、脚に
は、電極配線膜が配設されており、該電極配線膜は上記
半導体膜により被覆されていることが好ましい。
【0022】上記の構成によれば、例えば、脚において
電極配線膜の配線部に断線が生じたとしても、半導体膜
を介して通電することができる。
【0023】上記の発明における赤外線センサは、半導
体膜は、感温抵抗材料からなる膜であることが好まし
い。
【0024】上記の構成によれば、脚において電極配線
膜の配線部に断線が生じていても、例えば、基板上の集
積回路部で抵抗値を補正すれば、赤外線センサは赤外線
を検出することができる。
【0025】上記の発明における赤外線センサは、感温
抵抗材料がチタン酸化物からなることが好ましい。
【0026】上記の構成によれば、温度管理をほとんど
行わなくても良い広範囲な温度域において、抵抗変化率
がほぼ一定であり、また、比抵抗は小さく、抵抗温度係
数の絶対値が大きい感温抵抗変化膜を得ることができ
る。これにより、高感度な赤外線センサを得ることがで
きる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。なお、本発明における「赤外線」には、遠赤外線も
含まれることとする。
【0028】集積回路デバイス上に形成されるボロメー
タ素子等のボロメータ型赤外線センサは、赤外線を熱に
変換して検出する赤外線検出素子からなり、図1に示す
ように、赤外線を感知するダイアフラム構造体1が半導
体基板2上に支持されてなるダイアフラム構造を備えて
いる。半導体基板2の表面には図示しない集積回路が形
成されており、その集積回路は、赤外線カメラを駆動さ
せたり、赤外線センサを動作させたりするものであり、
ダイアフラム構造体1と電気的に接続されている。ダイ
アフラム構造体1は、接続部4を有する脚3・3を備え
ており、所定の間隔を置いて半導体基板2上に支持され
ている。
【0029】ダイアフラム構造体1は、下部絶縁膜5、
感温抵抗材料からなる薄膜(以下、感温抵抗変化膜と称
する)6、上部絶縁膜8、赤外線吸収膜9が、この順に
積層されて構成されている。
【0030】また、ダイアフラム構造体1は、下部絶縁
膜5の上面の少なくとも一部に電極配線膜7を有してお
り、電極配線膜7の上面及び側面は感温抵抗変化膜6に
覆われている。
【0031】下部絶縁膜5及び上部絶縁膜8はシリコン
窒化物(例えば、Si3 4 )あるいはシリコン酸化物
(例えば、SiO2 )等の電気絶縁性を有する材料によ
って形成されている。また、感温抵抗変化膜6は半導体
からなり、チタン酸化物により形成されている。チタン
酸化物は、温度管理をほとんど行わなくても良い広範囲
な温度域において、抵抗変化率がほぼ一定であり、ま
た、比抵抗は小さく、抵抗温度係数αの絶対値は大き
い。これにより、感度Resを大きくすることができ
る。赤外線吸収膜9は、感知すべき赤外線10を効率的
に吸収するためのものであり、SiやTiN等から形成
されている。
【0032】なお、感温抵抗変化膜6は、酸化バナジウ
ム等の半導体により形成してもかまわない。
【0033】電極配線膜7は、例えばTiやAl等の良
電気伝導性を有する金属からなっている。また、電極配
線膜7は、脚3の接続部4を介して半導体基板2の集積
回路に電気的に接続されており、感温抵抗変化膜6の抵
抗変化を検出するための配線部となっている。ただし、
電極配線膜7の形成パターンは、特に限定されるもので
はない。
【0034】脚3においては、下部絶縁膜5、感温抵抗
変化膜6、上部絶縁膜8が半導体基板2側からこの順に
形成されている。ダイアフラム構造体1と同様、下部絶
縁膜5の上面の一部には電極配線膜7が形成されてお
り、電極配線膜7の上面及び側面は感温抵抗変化膜6に
覆われている。
【0035】電極配線膜7の厚さを30nm、感温抵抗
変化膜6の厚さを100nm、脚3の幅を1.0μm、
厚さを280nm、長さを35μmとした時の赤外線セ
ンサにおいて、該赤外線センサを製造した後、ダイアフ
ラム構造体1と半導体基板2とが接することなく中空状
態を維持している割合を、赤外線センサが本実施の形態
における構造を有する場合と図4に示した従来の構造を
有する場合とで比較する。
【0036】本実施の形態における構造を有する場合、
100%の割合で赤外線センサはダイアフラム構造体1
を半導体基板2から中空状態に維持することができる。
従来の構造を有する場合、97%の割合で赤外線センサ
はダイアフラム構造体1を半導体基板2から中空状態に
維持することができる。しかし、従来の構造を有する場
合においては、ダイアフラム構造体1を中空状態に維持
することができていても、多くの赤外線センサにおい
て、ダイアフラム構造体1と半導体基板2とが平行状態
ではなく、傾きが生じていた。
【0037】このように、脚3に感温抵抗変化膜6を形
成することにより、赤外線センサの製造における歩留ま
りを向上させることができる。つまり、脚3に感温抵抗
変化膜6を配置しない場合、ダイアフラム構造体1は半
導体基板2に対して安定して中空状態に維持することは
できず、ダイアフラム構造体1と半導体基板2とは接す
る虞れがある。これに対し脚3に感温抵抗変化膜6を配
置する場合は、脚3の強度を上げることができ、ダイア
フラム構造体1を半導体基板2に対して安定して中空状
態に維持することができる。従って、ダイアフラム構造
体1と半導体基板2との接触の防止を図ることができ
る。これにより、ダイアフラム構造体1と半導体基板2
との間隔が確保され、ダイアフラム構造体1の半導体基
板2に対する断熱性を高めており、それゆえ赤外線10
を高感度で感知することができるようになる。
【0038】また、脚3に感温抵抗変化膜6を形成し、
脚3の強度を上げることによって、脚3の厚さをより薄
く、幅をより小さく、長さをより長くすることができ
る。これにより、さらにダイアフラム構造体1の半導体
基板2に対する断熱性を高めることができる。また、熱
コンダクタンスGの値を小さくすることもでき、赤外線
センサの感度Resを約10%程度高めることができ
る。なお、熱コンダクタンスGの値は、脚3に感温抵抗
変化膜6を配置しない場合は1.1×e-7W/K、脚3
に感温抵抗変化膜6を配置する場合は9.7×e-8W/
Kである。
【0039】赤外線吸収膜9において、赤外線吸収膜9
の厚さdがλ/(4n)であれば、赤外線吸収膜9表面
での反射光と感温抵抗変化膜6からの反射光とによる干
渉作用により赤外線10がダイアフラム構造体1の外部
にもれることは少なくなる。ただし、λは赤外波長、n
は赤外線吸収膜の屈折率である。
【0040】脚3に感温抵抗変化膜6を配置し、脚3の
強度を上げることにより、撓みなどによるダイアフラム
構造体1の変形を抑制できる。従って、赤外線吸収膜9
の厚さdにバラツキが生じることもなく、干渉作用が乱
れない。これにより、赤外線吸収率を上げることがで
き、赤外線センサの感度Resの向上を図ることができ
る。
【0041】次に、本発明に係る赤外線センサの製造方
法の一例について図2に基づいて説明する。図2は本実
施の形態に係る赤外線センサの製造方法における工程を
示すフローチャートである。本発明に係る赤外線センサ
の製造方法は、半導体基板2上に犠牲層を形成し、その
上に多層構造の膜を形成した後、犠牲層を除去する方法
である。この犠牲層を形成することにより、後にダイア
フラム構造体1と半導体基板2との間の空間を確保する
ことができる。尚、赤外線センサの製造方法や各種条件
等は、下記方法や条件等にのみ限定されるものではな
い。
【0042】先ず、半導体基板2に集積回路を形成した
後、集積回路上に図示しない保護膜を形成する。次に、
保護膜の全面に塗布型ポリイミド樹脂等の有機材料をス
ピンコート等により塗布した後、所定の温度で焼成して
犠牲層を得る。このときの犠牲層の厚さは2μm程度と
する。なお、犠牲層は、後の工程で除去されるので、そ
の膜厚は特に限定されるものではなく、ダイアフラム構
造体1の製造プロセス等に応じて適宜設定すればよい。
【0043】次に、犠牲層の全面にレジストを塗布した
後、フォトエッチングにより所望の領域にパターニング
を施す。次いで、レジストに対して所定の温度でベーク
処理を施す。この際、後にダイアフラム構造体1の脚3
が形成される部分には、斜面を形成しておく。そして、
パターニングが施されたレジスト全面にRIE(Reacti
ve Ion Etching)装置等を用いてドライエッチング加工
を施し、レジストのパターンを犠牲層に転写した後、剥
離液を用いてレジストを除去する(S1)。
【0044】次に、犠牲層全面に、シリコン酸化物やシ
リコン窒化物等の電気的絶縁性を有する材料をスパッタ
リング装置あるいはP−CVD ( Plasma-Chemical Va
porDeposition )装置等の成膜装置を用いて、厚さが1
00nm程度になるように成膜し、下部絶縁膜5を形成
する(S2)。
【0045】TiやAlなどの良電気導電性を有する材
料を下部絶縁膜5上にスパッタリング装置あるいは蒸着
装置等の成膜装置を用いて、厚さが30〜50nm程度
になるように成膜する。その後、フォトリソグラフィー
処理、RIE装置あるいはミリング装置等を用いたエッ
チング処理を行うことにより、所望の形状に加工し、電
極配線膜7を形成する(S3)。
【0046】酸化バナジウムあるいはチタン酸化物等の
半導体をスパッタリング装置等を用いて厚さが100n
m程度になるように成膜し、感温抵抗変化膜6を形成す
る(S4)。
【0047】シリコン酸化物あるいはシリコン窒化物等
の電気的絶縁性を有する材料をスパッタリング装置、P
−CVD装置等を用いて、電極配線膜7が感温抵抗変化
膜6以外の導電性材料と接触しないように、かつ、厚さ
は50nm程度になるように成膜し、上部絶縁膜8を形
成する(S5)。
【0048】上部絶縁膜8上における感温抵抗変化膜6
に対応する部位に、SiあるいはTiNをスパッタリン
グ装置、P−CVD装置等の成膜装置を用いて、赤外線
吸収効果の高い膜厚となるように成膜する。その後、フ
ォトリソグラフィー処理と、RIE装置やミリング装置
等を用いたエッチング処理とを施し、所望の形状に加工
することにより、赤外線吸収膜9を形成する(S6)。
【0049】未加工の下部絶縁膜5、感温抵抗変化膜
6、上部絶縁膜8とに、フォトリソグラフィー処理やR
IE装置やミリング装置を用いたエッチング処理を行う
ことにより、脚3及びダイアフラム構造体1の形状に加
工する(S7)。
【0050】ステップ1で積層した犠牲層をアッシング
装置等を用いて除去する(S8)。以上の方法により、
2本の脚3・3で支持され所定の空間を開けたダイアフ
ラム構造を有する赤外線センサを製造することができ
る。
【0051】上記製造方法によって得られる赤外線セン
サは、脚3にも感温抵抗変化膜6を有しているので、ダ
イアフラム構造体1と脚3とに加工段差はない。これに
より、電極配線膜7における配線部に断線が生じること
を防止することができる。また、脚3において電極配線
膜7の配線部に断線が生じたとしても、半導体である感
温抵抗変化膜6を介して通電することができる。従っ
て、半導体基板2における集積回路部で抵抗値を補正す
れば赤外線10を検出することができる。このように、
脚3にも感温抵抗変化膜6を有することにより、赤外線
センサは高感度な状態で使用することができる。
【0052】また、脚3にも感温抵抗変化膜6を有して
いるので、ステップ4において、感温抵抗変化膜6を成
膜した後の感温抵抗変化膜6の加工工程がない。これに
より、従来の製造工程よりも少ない製造工程で赤外線セ
ンサを製造することができる。従って、製造時間を短縮
することができ、また、製造コストを低減することがで
きる。
【0053】なお、製造工程において、上記ステップ3
の電極配線膜7の成膜及び加工工程とステップ4の感温
抵抗変化膜6の成膜工程とを逆に行ってもよい。この工
程順に製造された赤外線センサの断面図を図3に示す。
下部絶縁膜5上には感温抵抗変化膜6が形成されてい
る。感温抵抗変化膜6の上面の一部には電極配線膜7が
形成されており、電極配線膜7の上面及び側面を覆うよ
うに上部絶縁膜8が形成されている。また、上部絶縁膜
8上には赤外線吸収膜9が形成されている。このような
赤外線センサも、脚3に感温抵抗変化膜6を有している
ので、上記図1に示した赤外線センサと同様に、脚3の
強度を上げることができる。また、感温抵抗変化膜6の
加工工程もなく、少ない製造工程で赤外線センサを製造
することができる。
【0054】また、脚3において、下部絶縁膜5を除去
し、電極配線膜7が感温抵抗変化膜6と上部絶縁膜8と
で被覆された構造としてもかまわない。あるいは、脚3
において、上部絶縁膜8を除去し、電極配線膜7が感温
抵抗変化膜6と下部絶縁膜5とで被覆された構造として
もかまわない。これにより、脚3の厚さをより薄くする
ことができる。従って、熱コンダクタンスGの値を小さ
くすることができ、また、ダイアフラム構造体1の半導
体基板2に対する断熱性を高めることができるので、赤
外線センサの感度Resを高めることが可能となる。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明の赤外線センサ
は、ダイアフラム構造体を基板上に支持する脚に、半導
体膜が積層されている構成である。
【0056】これにより、赤外線センサを製造する際の
ダイアフラム構造体と脚との間に加工段差がなくなり、
例えば、脚における配線部の断線を防止することができ
る。さらに、製造工程を少なくすることができ、製造時
間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。ま
た、脚に半導体膜を積層することにより、脚の強度が向
上する。これにより、赤外線センサの製造において、歩
留りが向上する。さらに、脚の強度が向上することによ
り、脚を、厚さはできるだけ薄く、幅はできるだけ小さ
く、長さはできるだけ長くなるように形成することがで
きる。これにより、熱コンダクタンスの値を小さくする
ことができ、また、ダイアフラム構造体の基板に対する
断熱性を高めることができる。従って、高感度な赤外線
センサを提供することができるといった効果を奏する。
【0057】上記の赤外線センサは、脚には、電極配線
膜が配設されており、該電極配線膜は上記半導体膜によ
り被覆されている構成である。
【0058】これにより、例えば、脚において電極配線
膜の配線部に断線が生じたとしても、半導体膜を介して
通電することができる。従って、高信頼性の赤外線セン
サを提供することができるといった効果を奏する。
【0059】上記の赤外線センサは、半導体膜は、感温
抵抗材料からなる膜である構成である。
【0060】これにより、脚において電極配線膜の配線
部に断線が生じていても、例えば、基板上の集積回路部
で抵抗値を補正すれば、赤外線センサは赤外線を検出す
ることができる。従って、高信頼性の赤外線センサを提
供することができるといった効果を奏する。
【0061】上記の赤外線センサは、感温抵抗材料がチ
タン酸化物からなる構成である。
【0062】これにより、温度管理をほとんど行わなく
ても良い広範囲な温度域において、抵抗変化率がほぼ一
定であり、また、比抵抗は小さく、抵抗温度係数の絶対
値が大きい感温抵抗変化膜を得ることができる。従っ
て、高感度な赤外線センサを得ることができるといった
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施の一形態に係るボロメ
ータ型赤外線センサの構造を示す斜視図であり、(b)
は(a)におけるA−A線矢視断面図である。
【図2】上記ボロメータ型赤外線センサの製造方法にお
ける製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施の一形態に係るボロメータ型
赤外線センサの構造を示す断面図である。
【図4】(a)は、従来のボロメータ型赤外線センサの
構造を示す斜視図であり、(b)は(a)におけるB−
B線矢視断面図である。
【図5】従来のボロメータ型赤外線センサの製造方法に
おける製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ダイアフラム構造体 2 半導体基板(基板) 3 脚 4 接続部 5 下部絶縁膜 6 感温抵抗変化膜(半導体膜) 7 電極配線膜 8 上部絶縁膜 9 赤外線吸収膜 10 赤外線
フロントページの続き (72)発明者 薦田 智久 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2G065 AB02 BA12 BA32 CA13 2G066 BA09 BA51 BB09 4M118 AA10 AB01 BA30 CA17 CB20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイアフラム構造体が、所定の間隔をおい
    て基板上に支持されてなるダイアフラム構造を備えてい
    る赤外線センサにおいて、 上記ダイアフラム構造体を上記基板上に支持する脚に、
    半導体膜が積層されていることを特徴とする赤外線セン
    サ。
  2. 【請求項2】上記脚には、電極配線膜が配設されてお
    り、該電極配線膜は上記半導体膜により被覆されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
  3. 【請求項3】上記半導体膜は、感温抵抗材料からなる膜
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外
    線センサ。
  4. 【請求項4】上記感温抵抗材料がチタン酸化物からなる
    ことを特徴とする請求項3に記載の赤外線センサ。
JP2000236146A 2000-08-03 2000-08-03 赤外線センサ Pending JP2002048636A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000236146A JP2002048636A (ja) 2000-08-03 2000-08-03 赤外線センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000236146A JP2002048636A (ja) 2000-08-03 2000-08-03 赤外線センサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002048636A true JP2002048636A (ja) 2002-02-15

Family

ID=18728248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000236146A Pending JP2002048636A (ja) 2000-08-03 2000-08-03 赤外線センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002048636A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005286239A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Nec Electronics Corp 集積回路装置、その製造方法及び酸化バナジウム膜の形成方法
US9423304B2 (en) 2014-03-27 2016-08-23 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Infrared ray detecting element and infrared ray detector including the same

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005286239A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Nec Electronics Corp 集積回路装置、その製造方法及び酸化バナジウム膜の形成方法
JP4620962B2 (ja) * 2004-03-30 2011-01-26 ルネサスエレクトロニクス株式会社 集積回路装置の製造方法及び酸化バナジウム膜の形成方法
US9423304B2 (en) 2014-03-27 2016-08-23 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Infrared ray detecting element and infrared ray detector including the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4978501B2 (ja) 熱型赤外線検出器及びその製造方法
US8080797B2 (en) Bolometer and method of producing a bolometer
US7554085B2 (en) Bolometric infrared sensor having two-layer structure and method for manufacturing the same
US6339220B1 (en) Thermal infrared detecting device
US7928388B2 (en) Infrared detection sensor and method of fabricating the same
JP5964543B2 (ja) ボロメータ型テラヘルツ波検出器
US7241998B2 (en) Microbolometer and its manufacturing method
JP2012194080A (ja) ボロメータ型THz波検出器
JPH08271344A (ja) 焦電膜を備えたモノリシック感熱検出器およびその製造方法
US7276698B2 (en) Thermal-type infra-red ray solid-state image sensor and method of fabricating the same
KR100324794B1 (ko) 적외선 감지소자 및 그 제조방법
US8692348B2 (en) Photodetector
EP3050105B1 (en) Semiconductor bolometer and method of fabrication thereof
JP2002048636A (ja) 赤外線センサ
WO2003012853A1 (en) Substrate and method for producing the same, and thin film structure
US20230045432A1 (en) Microelectromechanical infrared sensing device and fabrication method thereof
JP2002071450A (ja) 熱型赤外線検出素子及びその製造方法並びに熱型赤外線検出素子を用いた赤外線撮像素子
US20230040320A1 (en) Microelectromechanical infrared sensing device and fabrication method thereof
JP2000346704A (ja) ボロメーター型赤外線検出素子
JP4299303B2 (ja) 熱検出構造の製作
JP2002008905A (ja) 感温抵抗材料とその製造方法及び感温抵抗材料を用いた赤外線センサ
JP6552547B2 (ja) 赤外線センサおよび赤外線固体撮像装置
JP2000356546A (ja) 赤外線検知素子およびその製造方法
JP2006162470A (ja) 赤外線センサ素子及びそれを用いた赤外線センサ装置
JP2004294296A (ja) 赤外線センサアレイ