JP2002046508A - 前後輪駆動車両の駆動力制御装置 - Google Patents

前後輪駆動車両の駆動力制御装置

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JP2002046508A JP2000234090A JP2000234090A JP2002046508A JP 2002046508 A JP2002046508 A JP 2002046508A JP 2000234090 A JP2000234090 A JP 2000234090A JP 2000234090 A JP2000234090 A JP 2000234090A JP 2002046508 A JP2002046508 A JP 2002046508A
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尚弘 米倉
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Toshihiko Fukuda
俊彦 福田
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健司 本多
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低摩擦路や下り坂での減速走行中に、ハンド
ル操作が行われたときでも、進行方向の後ろ側の車輪に
よる適正なグリップ力を得ることができ、それにより、
安定した走行状態を確保することができる前後輪駆動車
両の駆動力制御装置を提供する。 【解決手段】前輪WFL,WFRをエンジン3で、後輪
WRL,WRRを電気モータ4で駆動する前後輪駆動車
両2の駆動力制御装置1は、ECU11を備える。EC
U11は、アクセルペダル17がオフで且つ降坂走行中
である(ステップ30,41がYES)ときに、操舵角
θSTRに基づき、目標減速度DIC_Gを設定し(ス
テップ45)、車速Vcarに応じ、エンジンブレーキ
力FENG_OFFを算出し(ステップ58,60)、
目標減速度DIC_Gおよびエンジンブレーキ力FEN
G_OFFに基づき、後輪WRL,WRRを制動するた
めの制動時目標制動力FCMD_RGNを設定する(ス
テップ60〜63)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前輪をエンジンで
駆動し、後輪を電気モータで駆動するタイプの前後輪駆
動車両の駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の駆動力制御装置として、
アクセルペダルが踏まれていない解放状態での車両の減
速走行中、エンジンによるエンジンブレーキ力を前輪
に、電気モータによる制動力を後輪にそれぞれ作用させ
ることにより、車両を制動するものが知られている(例
えば特開平9−298802号公報)。この場合の電気
モータによる制動は、減速走行中、電気モータにより後
輪に対する回転抵抗力を発生させることによって、行わ
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記駆動力制
御装置によれば、前進減速走行が雪道などの低摩擦路で
行われている場合には、ハンドル操作により後輪に対し
て横方向への力が加えられると、後輪がグリップを失っ
て横滑りしやすく、最悪の場合、スピンしてしまうこと
がある。これは、後輪に加えられる電気モータの制動力
(制動トルク)が大きいほど、後輪の横方向のグリップ
力がより小さくなること、および減速によって重心が一
時的に前方に移動し、軸重配分が前輪側の車軸に偏るこ
とにより、前輪のグリップ力が増大すると同時に後輪の
横方向のグリップ力が低下することによる。特に、下り
坂を減速走行している際には、重心が平地走行中よりも
前側に移動し、軸重配分が前輪の車軸側に偏ることによ
って、後輪の横方向のグリップ力がより一層、低下する
ので、上記の問題は顕著になる。
【0004】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、低摩擦路や下り坂を減速走行中
に、ハンドル操作が行われたときでも、後輪による適正
な横方向のグリップ力を得ることができ、それにより、
安定した走行状態を確保することができる前後輪駆動車
両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の請求項1に係る発明は、前輪WFL,WF
Rをエンジン3で駆動し、後輪WRL,WRRを電気モ
ータ4で駆動する前後輪駆動車両2の駆動力制御装置1
であって、車速Vcarを検出する車速検出手段(EC
U11、車輪回転数センサ12)と、アクセルペダル1
7が解放状態であるか否かを検出するアクセル状態検出
手段(アクセル開度センサ16)と、前後輪駆動車両2
が降坂走行中であるか否かを判定する降坂走行判定手段
(ECU11、ステップ31〜43)と、ハンドルの操
舵角θSTRを検出する操舵角検出手段(操舵角センサ
20)と、アクセル状態検出手段によりアクセルペダル
17の解放状態が検出され且つ降坂走行判定手段により
降坂走行中であると判定されているとき(ステップ30
の判別結果がYESかつステップ43の判別結果がYE
Sのとき)に、検出された操舵角θSTRに基づき、目
標減速度DIC_Gを設定する目標減速度設定手段(E
CU11、ステップ44,45)と、アクセルペダル1
7の解放状態が検出されているとき(ステップ30の判
別結果がYESのとき)に、検出された車速Vcarに
応じ、エンジン3のエンジンブレーキ力FENG_OF
Fを算出するエンジンブレーキ力算出手段(ECU1
1、ステップ60)と、設定された目標減速度DIC_
Gおよび算出されたエンジンブレーキ力FENG_OF
Fに基づき、後輪WRL,WRRを制動するための電気
モータ4の目標制動力(最終後輪目標制動力FCMD)
を設定する目標制動力設定手段(ECU11、ステップ
69,70,73,74)と、設定された目標制動力
(最終後輪目標制動力FCMD)に基づき、電気モータ
4を駆動制御する駆動制御手段(モータドライバ10、
ECU11)と、を備えることを特徴とする。
【0006】この前後輪駆動車両の駆動力制御装置によ
れば、アクセルペダルの解放状態が検出され且つ前後輪
駆動車両が降坂走行中であると判定されているときに、
目標減速度が、検出された操舵角に基づいて設定される
とともに、アクセルペダルの解放状態が検出されている
ときに、エンジンブレーキ力が、検出された車速に応じ
て算出される。そして、設定された目標減速度および算
出されたエンジンブレーキ力に基づき、前後輪駆動車両
を制動するための電気モータの目標制動力が設定され
る。この場合、電気モータの目標制動力は、目標減速度
およびエンジンブレーキ力に基づいて設定されるので、
目標減速度すなわち車両全体としての減速度が大きいほ
ど、それに応じて電気モータの目標制動力が大きく設定
されることになる。そして、この設定された目標制動力
に基づき、電気モータが駆動制御される。したがって、
目標減速度を、降坂走行中の操舵角が反映された適切な
値に設定することができるので、例えばハンドルの操舵
角が大きいほど、目標減速度すなわち車両全体としての
減速度を小さく設定することによって、後輪側に加えら
れる制動力を抑制することができ、また、それに伴い軸
重配分の前輪の車軸側への偏りを抑制できる。その結
果、後輪の制動力の抑制と、軸重配分における前輪の車
軸側への偏りの抑制とによって、後輪の横方向のグリッ
プ力を高めることができる。これにより、低摩擦路の降
坂走行中、ハンドルの操舵により横方向への力が後輪に
作用したときでも、横滑りを確実に抑制することがで
き、その結果、安定した走行状態を確保できる。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
前後輪駆動車両2の駆動力制御装置1において、ブレー
キが作動中であるか否かを検出するブレーキ作動検出手
段(ブレーキスイッチ26)と、ブレーキ作動検出手段
(ブレーキスイッチ26)によりブレーキが作動中であ
ることが検出されているとき(ステップ48の判別結果
がYESのとき)に、設定された目標減速度DIC_G
を、ブレーキが不作動中であるときよりも大きな値に増
大補正する目標減速度増大補正手段(ECU11、ステ
ップ49,100〜111)と、をさらに備えることを
特徴とする。
【0008】この前後輪駆動車両の駆動力制御装置によ
れば、目標減速度は、ブレーキが作動中であることが検
出されているときに、不作動中のときよりも大きな値に
増大補正される。すなわち、運転者によるブレーキ操作
によって前後輪が制動されているときには、非制動中の
ときよりも目標減速度を大きくすることにより、運転者
の意図に沿って車両全体の制動力を高めることができ
る。
【0009】請求項3に係る発明は、請求項2に記載の
前後輪駆動車両2の駆動力制御装置1において、車両2
には、後輪WRL,WRRと電気モータ4の間を遮断・
接続するクラッチ手段(電磁クラッチ8)がさらに設け
られており、クラッチ手段(電磁クラッチ8)を、車速
Vcarが所定車速(クラッチ接続上限速度VcarC
L)より大きいときに遮断し、所定車速(クラッチ接続
上限速度VcarCL)以下のときに接続するクラッチ
駆動手段(ECU11)と、クラッチ手段(電磁クラッ
チ8)が遮断状態にあり且つブレーキ作動検出手段(ブ
レーキスイッチ26)によりブレーキが作動中であるこ
とが検出されているとき(ステップ121の判別結果が
YESのとき)に、設定された目標減速度DIC_G
を、目標減速度増大補正手段により増大補正される目標
減速度DIC_Gよりも小さい値に減少補正する目標減
速度減少補正手段(ECU11、ステップ50,120
〜130)と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】この前後輪駆動車両の駆動力制御装置によ
れば、後輪と電気モータの間を遮断・接続するクラッチ
手段が、車速が所定車速より大きいときに遮断され、所
定車速以下のときに接続されるとともに、クラッチ手段
が遮断状態にあり且つブレーキが作動中であることが検
出されているときに、目標減速度が、増大補正された目
標減速度よりも小さい値に減少補正される。この目標減
速度の減少補正に伴い、電気モータの制動力がより小さ
い値に設定されるので、その後、車速が所定車速以下ま
で低下することによってクラッチ手段が接続されたとき
に、この小さい電気モータの制動力が、後輪に加えられ
る。これにより、電気モータの大きな制動力が後輪に瞬
間的に加えられることを防止でき、それにより、制動シ
ョックや低摩擦路での車輪の軽いロック状態などが後輪
に発生するのを防止できる。
【0011】請求項4に係る発明は、前輪WFL,WF
Rをエンジン3で駆動し、後輪WRL,WRRを電気モ
ータ4で駆動する前後輪駆動車両2の駆動力制御装置1
であって、車速Vcarを検出する車速検出手段(EC
U11、車輪回転数センサ12)と、アクセルペダル1
7の操作状態を検出するアクセル状態検出手段(アクセ
ル開度センサ16)と、ハンドルの操舵角θSTRを検
出する操舵角検出手段(操舵角センサ20)と、アクセ
ル状態検出手段によりアクセルペダル17の解放状態が
検出されているとき(ステップ30の判別結果がYES
のとき)に、検出された車速Vcarに応じ、エンジン
3のエンジンブレーキ力FENG_OFFを算出するエ
ンジンブレーキ力算出手段(ECU11、ステップ6
0)と、後輪WRL,WRRを制動するための電気モー
タ4の目標制動力(制動時目標制動力FCMD_RG
N)を、算出されたエンジンブレーキ力FENG_OF
Fと同等の値に設定する目標制動力設定手段(ECU1
1、ステップ46,123,128)と、設定された目
標制動力(制動時目標制動力FCMD_RGN)を、検
出された操舵角θSTRに応じて補正する目標制動力補
正手段(ECU11、ステップ44,45)と、補正さ
れた目標制動力(最終後輪目標制動力FCMD)に基づ
き、電気モータ4を駆動制御する駆動制御手段(モータ
ドライバ10、ECU11)と、を備えていることを特
徴とする。
【0012】一般に、前後輪駆動車両では、前後輪の制
動力を互いに同等に設定することにより、制動中の車両
の挙動が乱れにくく、安定する。したがって、この前後
輪駆動車両の駆動力制御装置によれば、アクセルペダル
の解放状態が検出されているときに、エンジンブレーキ
力が検出された車速に応じて算出されるとともに、この
算出されたエンジンブレーキ力と同等に、電気モータの
目標制動力が設定されるので、アクセルペダルの解放に
よる減速走行時の挙動を安定させることができる。ま
た、目標制動力が検出された操舵角に応じて補正される
ので、目標減速度を、減速走行中の操舵角を反映した適
切な値に設定することができる。このため、例えばハン
ドルの操舵角が大きいほど、電気モータの制動力をより
小さく抑制することにより、この後輪の制動力の抑制、
およびそれに伴う軸重配分の前輪の車軸側への偏りの抑
制によって、後輪の横方向のグリップ力を高めることが
できる。その結果、例えば低摩擦路での減速走行中のと
きでも、ハンドル操作による後輪の横滑りを確実に抑制
することができる(なお、この場合の「同等の値」と
は、全く同じ値に限らず、同等の範囲を含む)。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の好ましい実施形態を説明する。図1は、本発明によ
る駆動力制御装置1を適用した前後輪駆動車両(以下
「車両」という)2の概略構成を示している。同図に示
すように、この車両2は、左右の前輪WFL、WFRを
エンジン3で駆動するとともに、左右の後輪WRL、W
RRを電気モータ(以下「モータ」という)4で駆動す
るものである。
【0014】エンジン3は、車両2の前部に横置きに搭
載されており、トルクコンバータ5aを有する自動変速
機5、および減速ギヤ(図示せず)を有するフロントデ
ィファレンシャル6を介して、前輪WFL、WFRに接
続されている。
【0015】モータ4は、その駆動源であるバッテリ7
に接続されるとともに、電磁クラッチ8、および減速ギ
ヤ(図示せず)を有するリヤディファレンシャル9を介
して、後輪WRL、WRRに接続されている。モータ4
がバッテリ7で駆動されており、かつ電磁クラッチ8が
接続されているときに、後輪WRL、WRRが駆動さ
れ、このとき、車両2は四輪駆動状態になる。なお、モ
ータ4の出力は、最大12kWの範囲内で任意に変更す
ることが可能である。一方、モータ4は、車両2の運動
エネルギにより回転駆動されているとき(回生減速モー
ド)に発電を行い、発電した回生電力(回生エネルギ)
をバッテリ7に充電するジェネレータとしての機能を有
している。このバッテリ7の充電残量SOCは、検出さ
れたバッテリ7の電流・電圧値に基づき、後述するEC
U11によって算出される。
【0016】モータ4は、モータドライバ10(駆動制
御手段)を介して、後述するECU11に接続されてお
り、モータ4の駆動モードおよび回生モードの切換え、
駆動モード時における最大出力の設定や駆動トルク、な
らびに回生モード時における回生量などは、ECU11
で制御されるモータドライバ10によって、制御され
る。電磁クラッチ8の接続・遮断もまた、そのソレノイ
ド(図示せず)への電流の供給・停止がECU11で制
御されることによって、制御される。電磁クラッチ8
(クラッチ手段)は、ECU11により、後述する車速
Vcarが所定のクラッチ接続上限速度VcarCL
(所定速度、例えば65km/h)以上のときに遮断さ
れるとともに、クラッチ接続上限速度VcarCL未満
になったときに接続される。
【0017】左右の前輪WFL、WFRおよび後輪WR
L、WRRには、磁気ピックアップ式の車輪回転数セン
サ12(車速検出手段)がそれぞれ設けられており、こ
れらの車輪回転数センサ12から、各車輪回転数N_F
L、N_FR、N_RL、N_RRを表すパルス信号が
ECU11にそれぞれ出力される。ECU11は、これ
らのパルス信号から、左右前輪回転数平均値N_Fwh
eel、左右後輪回転数平均値N_Rwheel、後輪
平均速度V_RRおよび車速Vcarなどを算出する。
また、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)に
は、所定のクランク角ごとにクランクパルス信号CRK
を出力するクランク角センサ13が、自動変速機5のメ
インシャフト5bおよびカウンタシャフト(図示せず)
には、それらの回転数Nm、Ncounterを表すパ
ルス信号を出力する磁気ピックアップ式のメイン・カウ
ンタシャフト回転数センサ14a、14bが、それぞれ
設けられており、これらの信号もまた、ECU11に出
力される。ECU11は、カウンタシャフト回転数Nc
ounterに基づいて前輪平均回転数相当値NC_F
Rを算出し、クランクパルス信号CRKに基づいてエン
ジン回転数NEを算出するとともに、このエンジン回転
数NEとメインシャフト回転数Nmから、トルクコンバ
ータ5aの速度比eを算出する(e=Nm/NE)。ま
た、モータ4にはその回転数Nmotを表すパルス信号
を出力するレゾルバによるモータ回転数センサ15が設
けられており、この信号もECU11に出力される。
【0018】また、ECU11には、アクセル開度セン
サ16(アクセル状態検出手段)からアクセルペダル1
7のON/OFFを含む開度(以下「アクセル開度」と
いう)θAPを表す検出信号が、充電量センサ18から
バッテリ7の充電残量SOCを表す検出信号が、それぞ
れ入力される。ECU11にはさらに、ブレーキのマス
タシリンダ(図示せず)に取り付けたブレーキ圧センサ
19からブレーキ圧PBRを表す検出信号が、操舵角セ
ンサ20(操舵角検出手段)からハンドル(図示せず)
の操舵角θSTRを表す検出信号が、シフト位置センサ
21から自動変速機5のシフトレバー位置POSIを表
す検出信号が、加速度センサ22、23から前後の車輪
の加速度GF、GRを表す検出信号が、ブレーキスイッ
チ26(ブレーキ作動検出手段)から図示しないブレー
キペダルのON/OFFを表す信号が、それぞれ入力さ
れる。
【0019】上記ECU11(車速検出手段、降坂走行
判定手段、目標減速度設定手段、エンジンブレーキ力算
出手段、目標制動力設定手段、駆動制御手段、目標減速
度増大補正手段、クラッチ駆動手段、目標減速度減少補
正手段、目標制動力補正手段)は、RAM、ROM、C
PUおよびI/Oインターフェースなどからなるマイク
ロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されてい
る。ECU11は、上述した各種センサからの検出信号
に基づいて、車両2での走行状態を検出し、制御モード
を判定するとともに、その結果に基づいて、車両2の目
標駆動力、前輪目標駆動力および後輪目標駆動力を算出
する。そして、算出した前輪目標駆動力に基づく駆動信
号DBW_THを、DBW式のアクチュエータ24に出
力することで、スロットル弁25の開度(スロットル弁
開度θTH)を制御し、エンジン3の駆動力を制御す
る。また、後輪目標駆動力に基づくモータ要求トルク信
号TRQ_MOTをモータドライバ10に出力すること
で、モータ4の駆動力を制御する。
【0020】図2は、ECU11で実行される制御処理
のメインフローを示すフローチャートである。このプロ
グラムは、所定時間(例えば10msec)ごとに実行
される。この制御処理ではまず、ステップ21(「S2
1」と図示。以下同じ)において車両2の状態を検出す
る。具体的には、前述した各種センサで検出されたパラ
メータ信号を読み込み、これらに基づき、車速Vcar
の算出などの所定の演算を行うとともに、車両2が前
進、後退および停止のいずれの走行状態にあるかを判定
する。
【0021】次いで、ステップ21で検出された、自動
変速機5のシフトレバー位置POSIおよびアクセルペ
ダル(以下「AP」という)17のON/OFF状態、
ならびに車両2の走行状態から、車両2の制御モードを
判定する(ステップ22)。具体的には、制御モード
を、車両2が走行状態でかつAP17がONのときには
駆動モードと判定し、車両2が走行状態でかつAP17
がOFFのときには減速回生モードと判定し、車両2が
停止状態のときには停止モードと判定とそれぞれ判定す
る。
【0022】次に、ステップ22で判定された制御モー
ドに応じて、車両2の全体の目標制動力、前輪目標駆動
力および後輪目標駆動力を算出する(ステップ23)。
特に、ステップ22で減速回生モードと判定されたとき
には、後述する減速回生モードの制動力算出処理を実行
し、前輪目標駆動力としてエンジンブレーキ力FENG
_OFFを、後輪目標駆動力として最終後輪目標制動力
FCMDをそれぞれ算出する。
【0023】次いで、電磁クラッチ8のON/OFF制
御を実行する(ステップ24)。具体的には、車速Vc
ar、およびモータ4と後輪WRL、WRRとの差回転
数に基づいて、電磁クラッチ8をONまたはOFFする
かを判定するとともに、その判定結果に基づいて電磁ク
ラッチ8をON/OFF制御する。
【0024】次に、ステップ23で算出した後輪目標駆
動力と、ステップ24で制御した電磁クラッチ8のON
/OFF状態に基づいて、モータ4の要求トルクTRQ
_MOTを算出し(ステップ25)、これに基づく駆動
信号をモータドライバ10に出力して、モータ4の駆動
力を制御する。
【0025】次いで、ステップ23で算出した前輪目標
駆動力に基づいて、アクチュエータ出力値DBW_TH
を算出し(ステップ26)、これに基づく駆動信号をア
クチュエータ24に出力し、スロットル弁開度θTHを
制御することで、エンジン3の駆動力を制御し、本プロ
グラムを終了する。
【0026】以下、図3〜図10を参照しながら、上記
ステップ23で実行される減速回生モードの制動力算出
処理について説明する。本処理は、所定時間(例えば1
0msec)ごとに実行される。本処理では、以下に述
べるように、アクセルペダル17のON/OFF状態、
および車両2が降坂中であるか否かが判別され(ステッ
プ30〜42)、それらの状態に応じて、後述する目標
減速度DIC_Gが設定され(ステップ43〜47)、
ブレーキ圧PBR、操舵角θSTR、充電残量SOCお
よび電磁クラッチ8の接続・遮断状態などに応じて目標
減速度DIC_Gが補正される(ステップ48〜5
2)。次に、目標減速度DIC_G、車速Vcarおよ
びエンジンブレーキ力FENG_OFFなどに基づい
て、後述する制動時目標制動力FCMD_RGNが算出
され(ステップ53〜60)、これに制限処理などが施
される(ステップ61〜73)ことにより、後輪WR
L,WRRをモータ4で制動するための最終後輪目標制
動力FCMDが算出される。
【0027】この最終後輪目標制動力FCMDは、負値
として算出され、その絶対値が大きいほど、減速回生モ
ード中のモータ4の回生電力がより大きくなる。なお、
本処理では、後述する各種の減速度、各種の制動力およ
びエンジンブレーキ力はいずれも負値として算出される
ので、説明の簡略化のために、これらの大小関係や増減
などについては、特に断らない限り、すべて絶対値とし
て述べるとともに、数式上は、負値のままで表記する。
【0028】まず、ステップ30において、アクセル・
オフフラグF_APOFFが「1」であるか否かを判別
する。このアクセル・オフフラグF_APOFFは、ア
クセル開度センサ16の検出信号に基づき、アクセルペ
ダル17がOFFのとき、すなわちこれが解放状態のと
きに「1」に、これが踏まれているときに「0」にそれ
ぞれセットされるものである。
【0029】この判別結果がYESのとき、すなわちア
クセルペダル17が解放状態であるときには、ステップ
31に進み、降坂中フラグF_RGNS1が「0」であ
るか否かを判別する。この降坂中フラグF_RGNS1
は、後述するように、車両2が降坂走行中のときに
「1」に、それ以外のときに「0」にそれぞれセットさ
れる。
【0030】この判別結果がYESのとき、すなわち前
回のループで車両2が降坂走行中でなかったときには、
ステップ32に進み、降坂判別タイマおよび非降坂判別
タイマのタイマ値TM_DOWNHILL,TM_N_
DOWNHILLの和が、所定の降坂判別値TM_DO
WNHILL_END(例えば値100)よりも小さい
か否かを判別する。なお、これらのタイマ値TM_DO
WNHILL,TM_N_DOWNHILLはそれぞ
れ、初期状態では値0にリセットされる。
【0031】この判別結果がYESのとき、すなわちT
M_DOWNHILL+TM_N_DOWNHILL<
TM_DOWNHILL_ENDのときには、ステップ
33に進み、前輪回転偏差dN_NC_FR50mse
cが値0よりも大きいか否かを判別する。この前輪回転
偏差dN_NC_FR50msecは、前輪平均回転数
相当値NC_FRの今回値と、今回のループよりも50
msec前のループ(5回前のループ)で求めた前輪平
均回転数相当値NC_FRの値との偏差として求められ
る。
【0032】この判別結果がYESのとき、すなわちd
N_NC_FR50msec>0が成立し、今回の前輪
回転数が50msec前よりも上昇しているときには、
降坂走行中であるとして、降坂判別タイマのタイマ値T
M_DOWNHILLをインクリメントし(ステップ3
4)、次に、後述するステップ41に進む。一方、判別
結果がNOのとき、すなわち前輪回転数が50msec
前と比べて変化していないかまたは減少しているときに
は、降坂走行中ではないとして、非降坂判別タイマのタ
イマ値TM_N_DOWNHILLをインクリメントし
(ステップ35)、次に、後述するステップ41に進
む。
【0033】一方、ステップ32の判別結果がNOのと
き、すなわちTM_DOWNHILL+TM_N_DO
WNHILL=TM_DOWNHILL_ENDのとき
には、ステップ36に進み、ステップ33と同様に、前
輪回転偏差dN_NC_FR50msecが値0よりも
大きいか否かを判別する。
【0034】この判別結果がYESのときには、降坂走
行中であるとして、降坂判別タイマの前回値CN_DO
WNHILLを値1だけインクリメントした値を、今回
値TM_DOWNHILLとしてセットすると同時に、
非降坂判別タイマの前回値CN_N_DOWNHILL
を値1だけデクリメントした値を、今回値TM_N_D
OWNHILLとしてセットし(ステップ37)、次
に、後述するステップ39に進む。
【0035】一方、ステップ36の判別結果がNOのと
きには、降坂走行中ではないとして、降坂判別タイマの
前回値CN_DOWNHILLを値1だけデクリメント
した値を、今回値TM_DOWNHILLとしてセット
すると同時に、非降坂判別タイマの前回値CN_N_D
OWNHILLを値1だけインクリメントした値を今回
値TM_N_DOWNHILLとしてセットし(ステッ
プ38)、次に、ステップ39に進む。
【0036】このステップ39では、降坂判別タイマの
タイマ値TM_DOWNHILLが値0以下であるか否
かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち
TM_DOWNHILL≦0のときには、ステップ40
に進み、降坂判別タイマのタイマ値TM_DOWNHI
LLを値0に、非降坂判別タイマのタイマ値TM_N_
DOWNHILLを降坂判別値TM_DOWNHILL
_ENDにそれぞれ保持するようにし、次に、後述する
ステップ41に進む。一方、ステップ39の判別結果が
NOのとき、すなわちTM_DOWNHILL>0のと
きには、ステップ40をスキップして、図4のステップ
41に進む。
【0037】以上のステップ34,35,39,40の
いずれかに続き、図4のステップ41において、降坂判
別タイマのタイマ値TM_DOWNHILLが、降坂判
別値TM_DOWNHILL_ENDの8割以上の値で
あるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、
すなわちTM_DOWNHILL≧TM_DOWNHI
LL_END*0.8のときには、降坂走行中であると
して、それを表すために、降坂中フラグF_RGNS1
を「1」にセットするとともに、降坂判別タイマおよび
非降坂判別タイマのタイマ値TM_DOWNHILL,
TM_N_DOWNHILLをそれぞれ「0」にセット
し(ステップ42)、次に、後述するステップ43に進
む。
【0038】一方、ステップ41の判別結果がNOのと
き、すなわちTM_DOWNHILL<(TM_DOW
NHILL_END*0.8)のときには、ステップ4
2をスキップして、後述するステップ43に進む。
【0039】一方、前記ステップ31の判別結果がNO
のとき、すなわち降坂中であるときには、以上のステッ
プ32〜42をスキップして、下記のステップ43に進
む。
【0040】以上のステップ31,41,42のいずれ
かに続き、ステップ43で、降坂中フラグF_RGNS
1が「1」であるか否かを判別する。この判別結果がY
ESのとき、すなわち降坂走行中であるときには、ステ
ップ44に進み、操舵角θSTRに基づき、図11に一
例を示す操舵角補正係数テーブルを検索することによ
り、目標減速度DIC_Gを算出するための操舵角補正
係数KSTR_Slipを求める。
【0041】同図に示すように、このテーブルでは、操
舵角補正係数KSTR_Slipは、操舵角θSTRの
正負の値(ハンドルをその中立位置から正・逆方向にそ
れぞれ回したときの値)に対して、その絶対値が同じで
あれば、同じ値に設定されているので、以下、操舵角θ
STRが値0以上の範囲を例にとって説明する。この操
舵角補正係数KSTR_Slipは、操舵角θSTRが
値0、すなわち直進走行時には値1.0に設定され、所
定の操舵角θSTR1(例えば60deg)までの範囲
では、操舵角θSTRが大きいほど、小さい値に設定さ
れている。これは、後輪WRL,WRRが、降坂前進走
行中、直進状態ではスリップしにくいのに対して、操舵
角θSTRが大きくなると、スリップしやすくなるの
で、後述する車両2の目標減速度DIC_Gを小さくす
ることにより、後輪WRL,WRRのスリップを抑制す
るためである。また、操舵角補正係数KSTR_Sli
pは、所定の操舵角θSTR1以上の範囲では、操舵角
θSTRが大きいほど、大きい値に設定されている。こ
れは、このような大きな操舵角θSTRが現れるのは、
運転者が雪道などでタイヤを路面にグリップさせようと
しているのではなく、むしろ意図的にハンドルを大きく
操作している状況と推定されるので、その意志を尊重す
るためである。
【0042】次に、ステップ45に進み、降坂時減速度
DIC_G_DHにステップ44で求めた操舵角補正係
数KSTR_Slipを乗算した値を、車両2の目標減
速度DIC_Gとして設定した後、後述する図5のステ
ップ48に進む。この降坂時減速度DIC_G_DH
は、負値の所定の加速度(例えば−0.07G)であ
り、目標減速度DIC_Gも負値の加速度として設定さ
れる。上述したように、操舵角θSTRが所定の操舵角
θSTR1までの範囲では、操舵角補正係数KSTR_
Slipは、操舵角θSTRが大きいほど、小さい値に
設定されるので、このステップ45の処理により、目標
減速度DIC_Gは、操舵角θSTRが大きいほど、よ
り小さく設定される(絶対値が小さく設定される)。
【0043】一方、ステップ43の判別結果がNOのと
き、すなわち今回のループで降坂走行中でないときに
は、ステップ46に進み、目標減速度DIC_Gを所定
の自然減速度DIC_G_CDに設定した後、後述する
ステップ48に進む。この自然減速度DIC_G_CD
は、所定のシフトポジション(例えばD4)で減速回生
走行中、後輪WRL,WRR側の制動力と、これにより
低下する後輪WRL,WRRの横方向のグリップ力とを
バランスよく得ることができ、それにより、可能な限り
大きな回生電力を確保しながら、低摩擦路でも安定して
走行できるような所定の値(例えば−0.05G)に設
定されている。また、この自然減速度DIC_G_CD
に設定した目標減速度DIC_Gを、そのままとして最
終後輪目標制動力FCMDを求めた場合、後述するよう
に、最終後輪目標制動力FCMDは、エンジンブレーキ
力FENG_OFFとほぼ同じ値になる。
【0044】一方、前記ステップ30の判別結果がNO
のとき、すなわちアクセルペダル17が踏まれていると
きには、降坂中ではないとして、ステップ47に進み、
目標減速度DIC_Gを上記自然減速度DIC_G_C
Dに設定するとともに、降坂中フラグF_RGNS1を
「0」にセットする。
【0045】以上のステップ45〜47のいずれかに続
き、図5のステップ48において、ブレーキ・オンフラ
グF_BrkSwが「1」であるか否かを判別する。こ
のブレーキ・オンフラグF_BrkSwは、ブレーキペ
ダルが踏まれ、これに接続されたブレーキスイッチ26
がオンされたときに「1」にセットされ、ブレーキスイ
ッチ26がオフ状態のときに「0」にセットされるもの
である。この判別結果がYESのとき、すなわちブレー
キペダルが踏まれているときには、ステップ49に進
み、減速度増大補正処理を実行する。
【0046】以下、図9を参照しながら、このステップ
49の減速度増大補正処理のサブルーチンについて説明
する。本処理では、以下に述べるように、ブレーキ圧P
BRおよび操舵角絶対値STRG_ANG_dataに
応じて目標減速度DIC_Gを補正する。
【0047】まず、ステップ100において、操舵角θ
STRの絶対値である操舵角絶対値STRG_ANG_
dataが第1所定角θ1(例えば20deg)以上で
第2所定角θ2(例えば60deg)以下の範囲内にあ
るか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、す
なわちθ1≦STRG_ANG_data≦θ2である
ときには、ステップ101に進み、下式(1)により、
操舵角・ブレーキ補正係数KSTR_BRKを求め、次
に、後述するステップ105に進む。 KSTR_BRK=1.0 −(STRG_ANG_data−θ1)/(θ2−θ1) ……(1)
【0048】この式(1)から明らかなように、操舵角
・ブレーキ補正係数KSTR_BRKは、操舵角絶対値
STRG_ANG_dataが上記範囲内で大きいほ
ど、値0に近い値として求められる。
【0049】一方、ステップ100の判別結果がNOの
とき、すなわち操舵角絶対値STRG_ANG_dat
aが上記範囲にないときには、ステップ102に進み、
操舵角絶対値STRG_ANG_dataが第2所定角
θ2よりも大きいか否かを判別する。この判別結果がY
ESのとき、すなわちSTRG_ANG_data>θ
2のときには、ステップ103に進み、操舵角・ブレー
キ補正係数KSTR_BRKを値0に設定した後、後述
するステップ105に進む。
【0050】一方、ステップ102の判別結果がNOの
とき、すなわちSTRG_ANG_data<θ1のと
きには、ステップ104に進み、操舵角・ブレーキ補正
係数KSTR_BRKを値1.0に設定し、次に、ステ
ップ105に進む。
【0051】以上のステップ101,103,104の
いずれかに続き、ステップ105において、操舵角・ブ
レーキ補正係数の今回値KSTR_BRKが、前回値K
STR_BRK_OLDよりも大きいか否かを判別す
る。この判別結果がYESのとき、すなわちハンドルが
前回のループ時よりも中立位置側に戻されているときに
は、操舵角・ブレーキ補正係数の前回値KSTR_BR
K_OLDを今回値KSTR_BRKとして設定し、次
に、ステップ107に進み、今回値KSTR_BRKを
前回値KSTR_BRK_OLDとして設定する。
【0052】一方、ステップ105の判別結果がNOの
とき、すなわちハンドルが前回よりも中立位置側と反対
側に回されているか、または前回と同じ操舵角θSTR
であるときには、ステップ106をスキップして、上記
ステップ107に進み、今回値KSTR_BRKを前回
値KSTR_BRK_OLDとして設定する。
【0053】次に、ステップ108に進み、ブレーキ圧
PBRに基づき、図12に一例を示す増大補正値テーブ
ルを検索することにより、目標減速度DIC_Gの直進
用の増大補正値ADD_DIC_Gを求める。同図にお
いて、破線で示す曲線が、直進用の増大補正値ADD_
DIC_Gのテーブル値を表しており、実線で示す曲線
が、後述する旋回用の増大補正値ADD_DIC_G_
BASEのテーブル値を表しているとともに、両者はい
ずれも負値として設定されている。また、この増大補正
値テーブルでは、ブレーキ圧PBRが高いほど、2つの
増大補正値ADD_DIC_G,ADD_DIC_G_
BASEが大きくなる(絶対値として大きくなる)よう
に設定されているとともに、所定のブレーキ圧PBR1
以下の範囲では、直進用の増大補正値ADD_DIC_
Gの値の方が、旋回用の増大補正値ADD_DIC_G
_BASEの値よりも大きく設定されている(絶対値と
して大きく設定されている)。これは、所定のブレーキ
圧PBR1以下のとき、すなわちブレーキペダルが弱い
力で踏まれているときには、低摩擦路を走行している可
能性があり、そのような低摩擦路では、旋回時と比べて
安定している直進時にのみ、直進用の増大補正値ADD
_DIC_Gを用いて目標減速度DIC_Gを旋回時よ
りも大きく設定し、それ以外の旋回時には、前後の理想
制動力配分から設定される旋回用の増大補正値ADD_
DIC_G_BASEを用いて目標減速度DIC_Gを
設定するためである。また、所定のブレーキ圧PBR1
よりも大きい範囲では、2つの増大補正値ADD_DI
C_G,ADD_DIC_G_BASEは、互いに同じ
値に設定されている。これは、ブレーキ圧PBRが大き
い範囲では、運転者が大きな制動力を求めていると想定
されるので、その要求に応えて目標減速度DIC_Gを
大きく設定するためである。
【0054】次に、ステップ109に進み、上記と同様
に、ブレーキ圧PBRに基づき、増大補正値テーブルを
検索することにより、目標減速度DIC_Gの旋回用の
増大補正値ADD_DIC_G_BASEを求める。
【0055】次いで、ステップ110に進み、前記ステ
ップ45〜47で求めた目標減速度DIC_Gに、旋回
用の増大補正値ADD_DIC_G_BASEと、直進
用の増大補正値ADD_DIC_Gおよび旋回用の増大
補正値ADD_DIC_G_BASEの偏差に操舵角・
ブレーキ補正係数KSTR_BRKを乗算した値((A
DD_DIC_G−ADD_DIC_G_BASE)*
KSTR_BRK)とをそれぞれ加算した値を、今回の
目標減速度DIC_Gとして設定する(DIC_G←DIC_G+
ADD_DIC_G_BASE+(ADD_DIC_G−ADD_DIC_G_BASE)*KSTR
_BRK)。この場合、所定のブレーキ圧PBR1以下の範
囲においては、同じブレーキ圧PBRに対しては、直進
用の増大補正値ADD_DIC_Gの値の方が、旋回用
の増大補正値ADD_DIC_G_BASEの値よりも
大きいので、目標減速度DIC_Gは、ADD_DIC
_G_BASE値に加えて、(ADD_DIC_G−A
DD_DIC_G_BASE)*KSTR_BRK値分
だけ、増大補正される。
【0056】次に、ステップ111に進み、減速中にブ
レーキペダルが踏まれたことを表す減速中ブレーキ・オ
ンフラグF_RGNS2を「1」にセットして、本処理
を終了する。
【0057】以上の減速度増大補正処理により、目標減
速度DIC_Gは、ブレーキ圧PBRが大きいほど、直
進用の増大補正値ADD_DIC_Gおよび旋回用の増
大補正値ADD_DIC_G_BASEがより大きくな
ることによって、ADD_DIC_G_BASE値に加
えて、(ADD_DIC_G−ADD_DIC_G_B
ASE)*KSTR_BRK値分だけ、より大きく増大
補正される。これにより、運転者による要求度合に応じ
て、制動力を増大させることができる。また、目標減速
度DIC_Gは、KSTR_BRK=1.0のとき、す
なわち操舵角絶対値STRG_ANG_dataがθ1
より小さいときには、ADD_DIC_G値の分、増大
補正され、KSTR_BRK=0のとき、すなわち操舵
角絶対値STRG_ANG_dataがθ2より大きい
ときには、ADD_DIC_G_BASE値の分、増大
補正される。さらに、0<KSTR_BRK<1.0の
とき、すなわちθ1≦STRG_ANG_data≦θ
2のときには、操舵角絶対値STRG_ANG_dat
aが大きいほど、操舵角・ブレーキ補正係数KSTR_
BRKが小さくなることにより、これと両増大補正値の
偏差との積(ADD_DIC_G−ADD_DIC_G
_BASE)*KSTR_BRKが小さくなるので、目
標減速度DIC_Gの増大補正分が小さくなる。
【0058】また、前記ステップ105で、操舵角・ブ
レーキ補正係数の今回値KSTR_BRKが、前回値K
STR_BRK_OLDよりも大きいとき、すなわち運
転者がハンドルを中立位置側に戻そうとしているときに
は、前記ステップ106で、操舵角・ブレーキ補正係数
の今回値KSTR_BRKが前回値KSTR_BRK_
OLDに保持されるので、目標減速度DIC_Gが前回
値と変わらない値として算出される。このように、運転
者がハンドルを中立位置側に戻しているときには、目標
減速度DIC_Gが増大補正されることなく、前回値に
保持されるので、これによって得られる実際の制動力が
前回よりも大きくなるのを防止でき、それにより、後輪
WRL,WRRの横方向のグリップが小さくなるのを抑
制できる。
【0059】図5に戻り、以上の減速度増大補正処理に
続いてステップ50に進み、減速度置換処理を実行す
る。一方、ステップ48の判別結果がNOのとき、すな
わちブレーキペダルが踏まれていないときには、ステッ
プ49をスキップして、ステップ50に進み、下記の減
速度置換処理を実行する。
【0060】以下、図10を参照しながら、減速度置換
処理のサブルーチンについて説明する。この処理は、以
下に述べるように、電磁クラッチ8の接続・遮断状態や
ブレーキスイッチのオン・オフ状態に基づき、上記ステ
ップ49で増大補正した目標減速度DIC_Gを、自然
減速度DIC_G_CDまたはクラッチ・オン制限減速
度DIC_G_CLON_maxに置き換えるものであ
る。
【0061】まず、ステップ120で、今回ブレーキ・
オフフラグF_BrkSw_OFFを、ブレーキ・オン
フラグの前回値F_BrkSw_OLDから今回値F_
BrkSwを減算した値として算出する。これにより、
今回ブレーキ・オフフラグF_BrkSw_OFFは、
今回のループでブレーキペダルが踏まれた状態から解放
状態に変化したときに「1」に、それ以外のときに
「0」に設定される。
【0062】次に、ステップ121に進み、ブレーキ・
オンフラグF_BrkSwが「1」であり、かつモータ
クラッチ締結フラグF_MCLONが「0」であるか否
かを判別する。このモータクラッチ締結フラグF_MC
LONは、電磁クラッチ8の接続中に「1」に、遮断中
に「0」にそれぞれ設定されるものである。この判別結
果がYESのとき、すなわち電磁クラッチ8が遮断中で
かつブレーキペダルが踏まれているときには、ステップ
122に進み、それを表すためにクラッチ・オフ減速フ
ラグF_CL_OFF_RGNを「1」にセットした
後、次に、後述するステップ123に進む。
【0063】一方、ステップ121の判別結果がNOの
とき、すなわち電磁クラッチ8が接続中、またはブレー
キペダルが解放状態であるときには、上記ステップ12
2をスキップして、ステップ123に進む。
【0064】このステップ123では、電磁クラッチ8
が遮断状態から接続されたときの目標減速度DIC_G
の制限値であるクラッチ・オン制限減速度DIC_G_
CLON_maxを、自然減速度DIC_G_CDに設
定する。すなわち、クラッチ・オン制限減速度DIC_
G_CLON_maxは、これ以降のループにおいて、
電磁クラッチ8を接続することにより、そのときの目標
減速度DIC_Gを用いて求めた最終後輪目標制動力F
CMDによって後輪WRL,WRRを制動しても、減速
ショックなどを生じないようにするためのリミット値と
して設定される。
【0065】次に、ステップ124に進み、目標減速度
DIC_Gがクラッチ・オン制限減速度DIC_G_C
LON_max以下であり(絶対値として以下であるこ
と。数式上は、DIC_G≧DIC_G_CLON_m
ax)、または今回ブレーキ・オフフラグF_BrkS
w_OFFが「1」であるか否かを判別する。この判別
結果がYESのとき、すなわちDIC_G≧DIC_G
_CLON_maxが成立し、そのときの目標減速度D
IC_Gを用いても減速ショックなどを生じないと想定
されるか、または今回のループがブレーキペダルが踏ま
れた状態から解放状態に変化した直後のループであると
きには、ステップ125に進み、それを表すためにクラ
ッチ・オフ減速フラグF_CL_OFF_RGNを
「0」にセットする。次に、後述するステップ126に
進む。
【0066】一方、ステップ124の判別結果がNOの
とき、すなわちそのときの目標減速度DIC_Gを用い
ると減速ショックなどを生じると想定され、かつ今回の
ループが上記ブレーキペダルの変化が検出された最初の
ループでないときには、上記ステップ125をスキップ
して、ステップ126に進む。
【0067】このステップ126では、クラッチ・オフ
減速フラグF_CL_OFF_RGNが「1」であるか
否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわ
ち今回のループで電磁クラッチ8の遮断中にブレーキペ
ダルが踏まれたときには、ステップ127に進み、目標
減速度DIC_Gがクラッチ・オン制限減速度DIC_
G_CLON_maxより大きいか否かを判別する。こ
の判別結果がYESのときには、そのときの目標減速度
DIC_Gを用いると、減速ショックなどが生じるおそ
れがあるとして、目標減速度DIC_Gをクラッチ・オ
ン制限減速度DIC_G_CLON_maxに置き換え
て設定し(ステップ128)、次に、ステップ129に
進む。
【0068】一方、ステップ126またはステップ12
7の判別結果がNOのときには、電磁クラッチ8が接続
中、またはDIC_G≧DIC_G_CLON_max
で、ブレーキペダルが解放状態であるか、またはそのと
きの目標減速度DIC_Gを用いても減速ショックなど
を生じないと想定されるときには、この目標減速度DI
C_Gを変えることなく、ステップ129に進む。
【0069】このステップ129では、今回ブレーキ・
オフフラグF_BrkSw_OFFが「1」であるか否
かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち
今回のループがブレーキペダルが踏まれた状態から解放
状態に変化した直後のループであるときには、ステップ
130に進み、目標減速度DIC_Gを自然減速度DI
C_G_CDにセットし(置き換える)、操舵角・ブレ
ーキ補正係数の今回値KSTR_BRKおよび前回値K
STR_BRK_OLDを双方とも値1.0にセット
し、降坂中フラグF_RGNS1および減速中ブレーキ
・オンフラグF_RGNS2を双方とも「1」にセット
する。ここで、目標減速度DIC_Gを自然減速度DI
C_G_CDに置き換える理由は、前述したステップ4
9でブレーキ圧PBRにより増大補正したままの今回の
目標減速度DIC_Gを用いると、運転者の要求以上の
制動力が生じるので、これを防止するためである。
【0070】次に、ステップ131に進み、ブレーキ・
オンフラグF_BrkSwの前回値F_BrkSw_O
LDを今回値F_BrkSwにセットして、本処理を終
了する。
【0071】一方、ステップ129の判別結果がNOの
とき、すなわち今回のループがブレーキペダルが踏まれ
た状態から解放状態に変化した直後のループでないとき
には、ステップ130をスキップし、上記ステップ13
1を実行して、本処理を終了する。
【0072】以上の減速度置換処理によれば、電磁クラ
ッチ8の遮断中で、かつブレーキペダルが踏まれている
ときには、前記ステップ49で増大補正した目標減速度
DIC_Gが、クラッチ・オン制限減速度DIC_G_
CLON_maxすなわち自然減速度DIC_G_CD
に置き換えられる。すなわち目標減速度DIC_Gが減
少補正されることにより、その後、電磁クラッチ8が接
続されたときに、運転者の要求以上の過大な制動力が後
輪WRL,WRRに加えられるのを防止でき、制動ショ
ックなどを防止することができる。
【0073】図5に戻り、以上のステップ50の減速度
置換処理に続いて、ステップ51に進み、充電残量SO
C(%)に基づき、図13に一例を示す減速時充電残量
係数テーブルを検索することにより、減速時充電残量係
数KSOC_RGNを求める。この減速時充電残量係数
KSOC_RGNは、後述するステップ51で、目標減
速度DIC_Gの乗算係数として用いられる。
【0074】このテーブルでは、減速時充電残量係数K
SOC_RGNは、充電残量SOCが第1所定値SOC
1(例えば75%)未満の範囲では、所定値KSOC1
(例えば値1.0)に設定され、第1所定値SOC1以
上で、第2所定値SOC2以下の範囲では、充電残量S
OCが大きいほど、小さい値に設定されるとともに、第
2所定値SOC2よりも大きい範囲では、値0に設定さ
れている。この第2所定値SOC2は、100%に近く
かつこれよりも小さい値(例えば95%)に設定されて
いる。これは、充電残量SOCが第1所定値SOC1未
満の範囲では、モータ4による回生量、すなわち後輪W
RL,WRRをモータ4により制動する際に発生する回
生電力を可能な限り多く確保するとともに、SOC1≦
SOC≦SOC2の範囲では、充電要求が小さくなるの
に従って、回生電力すなわち後輪WRL,WRRの制動
力を漸減させるためである。これにより、充電残量SO
Cが100%に到達した時点で、後輪WRL,WRRの
制動力が急減するのを防止できる。
【0075】次に、ステップ52に進み、目標減速度D
IC_Gを、そのときの目標減速度DIC_Gにステッ
プ51で求めた減速時充電残量係数KSOC_RGNを
乗算した値に設定する。
【0076】次いで、ステップ53に進み、非制動時目
標制動力FCMD_RGN_ZEROを、モータ4の回
転抵抗FMOT_OFFに設定する。この回転抵抗FM
OT_OFFは、値0に極めて近い負値である。
【0077】次に、ステップ54に進み、ABS作動中
フラグF_AbsActが「1」であるか否かを判別す
る。この判別結果がNOのとき、すなわちABSが不作
動中であるときには、図6のステップ56に進み、車両
2の空気抵抗Air_RGS、転がり抵抗Rollin
g_RGSおよび加速抵抗Acc_RGSを、下式
(3)〜(5)によりそれぞれ求める。なお、これらは
すべて負値として算出される。
【0078】 Air_RGS=MU_AIR*Vcar*Vcar …… (3 ) Rolling_RGS=MU_ROLLING*(FR_DYN_WT+RR_DYN_WT)*K_WT …… (4 ) Acc_RGS=(FR_DYN_WT+RR_DYN_WT)*DIC_G*K_WT …… (5 ) ここで、MU_AIRは空気抵抗係数、MU_ROLL
INGは転がり抵抗係数、FR_DYN_WTは前輪荷
重、RR_DYN_WTは後輪荷重、K_WTは車重補
正係数である。
【0079】次に、ステップ57に進み、制動スロープ
フラグF_RGN_Vが「0」であり、かつ今回アクセ
ル・オフフラグF_APOFF_Firstが「1」で
あるか否かを判別する。この制動スロープフラグF_R
GN_Vは、減速回生モードに入る直前に、後輪平均速
度V_RRの前回値V_RR_OLD(以下「前回後輪
平均速度V_RR_OLD」という)が第2所定車速V
_RGN_SLOPE2以上であったときに「1」に、
それ未満であったときに「0」にそれぞれ設定されるも
のであり、この第2所定車速V_RGN_SLOPE2
は、停止状態よりも若干大きい値(例えば8Km/h)
に設定される。また、この今回アクセル・オフフラグF
_APOFF_Firstは、今回のループにおいて、
アクセルペダル17が踏み込まれた状態から初めて解放
状態になったときに「1」に、それ以外のときに「0」
にそれぞれ設定される。
【0080】ステップ57の判別結果がYESのとき、
すなわち減速回生モードに入る直前に前回後輪平均速度
V_RR_OLDが第2所定車速V_RGN_SLOP
E2未満の状態であって、アクセルペダル17が初めて
解放されたときには、ステップ58に進み、下式(6)
〜(7)により、空気抵抗Air_RGSと、制動時目
標制動力FCMD_RGNを求めて、次に、後述するス
テップ59〜62をスキップして、後述するステップ6
3に進む。
【0081】 Air_RGS=MU_AIR*V_RGN_SLOPE2*V_RGN_SLOPE2 …… (6 ) FCMD_RGN={[(Air_RGS+Rolling_RGS+Acc_RGS)−FENG_OFF]*(V_RR_OLD-V_RG N_SLOPE1)}/(V_RGN_SLOPE2−V_RGN_SLOPE1) …… (7 ) ここで、V_RGN_SLOPE1は、第2所定車速V
_RGN_SLOPE2よりも低く、停止状態に極めて
近い値(例えば1km/h)の第1所定車速であり、上
記式(7)のエンジンブレーキ力FENG_OFFは、
図14に一例を示すエンジンブレーキ力テーブルを検索
することにより、車速Vcarに応じて求められる。こ
のステップ58では、車速Vcarとして、第2所定車
速V_RGN_SLOPE2を用いる。
【0082】このエンジンブレーキ力テーブルでは、エ
ンジンブレーキ力FENG_OFFは、アクセルペダル
17が解放状態でシフトレバー位置がD4相当のときの
値を示しており、車速Vcarが値0のときは値0に、
それ以外は負値で、車速Vcarが高いほど、その絶対
値がより大きく設定されている。また、エンジンブレー
キ力FENG_OFFは、車速Vcarの変化に対する
変化度合がかなり小さくなるように設定されている。
【0083】一方、ステップ57の判別結果がNOのと
き、すなわち減速回生モードに入る直前に前回後輪平均
速度V_RR_OLDが第2所定車速V_RGN_SL
OPE2以上であったか、または今回のループがアクセ
ルペダル17が初めて解放された直後のループでないと
きには、上記ステップ58をスキップして、ステップ5
9に進む。
【0084】このステップ59では、制動スロープフラ
グF_RGN_Vが「1」であるか否かを判別する。こ
の判別結果がYESのとき、すなわち減速回生モードに
入る直前に前回後輪平均速度V_RR_OLDが第2所
定車速V_RGN_SLOPE2以上であったときに
は、ステップ60に進み、下式(8)により制動時目標
制動力FCMD_RGNを算出する。 FCMD_RGN=(Air_RGS+Rolling_RGS+Acc_RGS)−FENG_OFF …… (8)
【0085】この場合、前述したように、エンジンブレ
ーキ力FENG_OFFが、車速Vcarの変化に対す
る変化度合がかなり小さくなるように設定されているの
で、前述した自然減速度DIC_G_CDを用いて求め
た加速抵抗Acc_RGSにより制動時目標制動力FC
MD_RGNを算出すると、制動時目標制動力FCMD
_RGNは、エンジンブレーキ力FENG_OFFとほ
ぼ同等の値として求められる。これにより、エンジンブ
レーキ力FENG_OFFとほぼ同等の値の制動時目標
制動力FCMD_RGNが、後述するステップ70で最
終後輪目標制動力FCMDとして設定されたときに、前
後輪間の制動力が互いに同等に設定されることにより、
制動中の車両2の挙動を安定させることができる。
【0086】次に、ステップ61に進み、前回後輪平均
速度V_RR_OLDが、第1所定車速V_RGN_S
LOPE1より大きく第2所定車速V_RGN_SLO
PE2未満の範囲にあるか否かを判別する。この判別結
果がYESのとき、すなわち前回後輪平均速度V_RR
_OLDが上記範囲内にあるときには、ステップ62に
進み、下式(9)により、制動時目標制動力FCMD_
RGNを算出した後、後述する図7のステップ63に進
む。 FCMD_RGN=FCMD_OLD+{(FCMD_RGN_ZERO−FCMD_OLD)*(V_RR_OLD-V_RR)} /(V_RR_OLD−V_RGN_SLOPE1) …… (9)
【0087】この場合、後述するように、車両2が減速
走行中である限り、最終後輪目標制動力FCMDの前回
値FCMD_OLDは、非制動時目標制動力FCMD_
RGN_ZERO以上の値に設定されるので、上記式
(9)において、右辺の第2項は値0または正値とな
る。このため、減速走行中の前回後輪平均速度V_RR
_OLDが小さいほど、すなわち低速であるほど、右辺
の第2項が大きい値になることにより、制動時目標制動
力FCMD_RGNがより小さい値に設定される。した
がって、前回後輪平均速度V_RR_OLDが上記範囲
内にあるときには、それの減少に従って制動力が小さく
なるように制御される。
【0088】一方、上記ステップ59の判別結果がNO
のとき、すなわち減速回生モードに入る直前の前回後輪
平均速度V_RR_OLDが第2所定車速V_RGN_
SLOPE2未満であったときには、上記ステップ62
を実行した後、後述する図7のステップ63に進む。
【0089】一方、ステップ61の判別結果がNOのと
き、すなわち前回後輪平均速度V_RR_OLDが第1
所定車速V_RGN_SLOPE1以下か、または第2
所定車速V_RGN_SLOPE2以上であるときに
は、上記ステップ62をスキップして、後述する図7の
ステップ63に進む。
【0090】一方、前記ステップ54の判別結果がYE
Sのとき、すなわちABSが作動中であるときには、ス
テップ55に進み、制動時目標制動力FCMD_RGN
を非制動時目標制動力FCMD_RGN_ZEROに設
定し、次に、図7のステップ63に進む。
【0091】以上のステップ55,61,62のいずれ
かに続き、ステップ63では、前回後輪平均速度V_R
R_OLDが第1所定車速V_RGN_SLOPE1以
下であるか否かを判別する。この判別結果がYESのと
き、すなわち車両2が停止状態にあるときには、ステッ
プ64に進み、モータ4による後輪WRL,WRRの制
動を禁止するために、制動時目標制動力FCMD_RG
Nを非制動時目標制動力FCMD_RGN_ZEROに
設定し、次に、後述するステップ65に進む。一方、ス
テップ63の判別結果がNOのとき、すなわち車両2が
停止状態にないときには、ステップ64をスキップし
て、ステップ65に進む。
【0092】このステップ65では、制動時目標制動力
FCMD_RGNが非制動時目標制動力FCMD_RG
N_ZERO以下(ただし、数式上はFCMD_RGN
≧FCMD_RGN_ZERO)であるか否かを判別す
る。この判別結果がYESのときには、後輪WRL,W
RRの制動力が不要であるとして、ステップ66に進
み、制動時目標制動力FCMD_RGNを非制動時目標
制動力FCMD_RGN_ZEROに設定し、後述する
ステップ67に進む。
【0093】一方、ステップ65の判別結果がNOのと
き、すなわち制動時目標制動力FCMD_RGNが非制
動時目標制動力FCMD_RGN_ZEROよりも大き
い(FCMD_RGN<FCMD_RGN_ZERO)
ときには、ステップ66をスキップして、ステップ67
に進む。
【0094】このステップ67においては、制動力制限
フラグF_RGNS1_IHBが「1」であるか否かを
判別する。この制動力制限フラグF_RGNS1_IH
Bは、後述するように、最終後輪目標制動力FCMDが
目標制動力制限値LMT_FCMD_RGNを上回らな
いように制限されているときに「1」に、制限中でない
ときに「0」にセットされるものである。
【0095】この判別結果がNOのとき、すなわち最終
後輪目標制動力FCMDの制限中でないときには、ステ
ップ68に進み、左右前輪回転数平均値N_Fwhee
lがその切換回転数Vn_change1(例えば車速
5km/h相当の回転数)以上で、かつ後輪スリップ率
Slip_ratioがその判別値RGN_Slip_
ratio(例えば3%)以上であるか否かを判別す
る。なお、この場合の後輪スリップ率Slip_rat
ioは、左右前輪回転数平均値N_Fwheelと左右
後輪回転数平均値N_Rwheelを用い、Slip_
ratio=(N_Fwheel−N_Rwheel)
/N_Fwheelにより、簡易後輪スリップ率として
定義される。この定義により後輪スリップ率Slip_
ratioは、前輪WFL,WFRと後輪WRL,WR
Rとの速度差に比例した値になる。
【0096】ステップ68の判別結果がYESのとき、
すなわちN_Fwheel≧Vn_change1かつ
Slip_ratio≧RGN_Slip_ratio
のときには、後輪スリップが大きく、制動力の制限を開
始すべきとして、ステップ69に進み、制動力制限フラ
グF_RGNS1_IHBを「1」にセットし、そのと
きの制動時目標制動力FCMD_RGNを制動力制限値
LMT_FCMD_RGNとしてセットするとともに、
この制動力制限値LMT_FCMD_RGNを最終後輪
目標制動力FCMDとしてセットした後、本処理を終了
する。一方、ステップ68の判別結果がNOのときに
は、ステップ69に進み、制動時目標制動力FCMD_
RGNを最終後輪目標制動力FCMDとしてセットした
後、本処理を終了する。
【0097】一方、前記ステップ67の答がYES、す
なわち制動力制限フラグF_RGNS1_IHB=1で
あって、制動力の制限中のときには、ステップ71に進
み、今回の制動時目標制動力FCMD_RGNが、制動
力制限値LMT_FCMD_RGNより小さい(数式上
はFCMD_RGN>LMT_FCMD_RGN)か否
かを判別する。この答がNO、すなわちFCMD_RG
N≦LMT_FCMD_RGNが成立し、後輪制動力が
大きいときには、制動力の制限を継続すべきとして、ス
テップ72に進み、後輪スリップ率Slip_rati
oに基づき、制動力制限補正値KRGN_LMTを検索
する。
【0098】図15(a)は、制動力制限補正値テーブ
ルの一例を示しており、図15(b)はその一部を拡大
したものである。このテーブルでは、制動力制限補正値
KRGN_LMTは、値0または正値に設定されてお
り、後輪スリップ率Slip_ratioが判別値RG
N_Slip_ratio(例えば3%)付近では値0
に設定され、Slip_ratio値がそれよりも大き
い範囲では階段状に大きくなるとともに、判別値RGN
_Slip_ratioよりも大きな所定値Slip1
(例えば30%)以上では一定値KRGN1に設定され
ている。このように階段状に制動力制限補正値KRGN
_LMTが設定されるのは、後輪スリップ率Slip_
ratioの変化に過敏に反応して変化しないようにす
るためである。
【0099】次いで、ステップ73に進み、制動力制限
値の前回値LMT_FCMD_RGNに制動力制限補正
値KRGN_LMTを加算した値を、今回の制動力制限
値LMT_FCMD_RGNとして設定するとともに、
この制動力制限値LMT_FCMD_RGNを、最終後
輪目標制動力FCMDとして設定して、本処理を終了す
る。この場合、制動力制限補正値KRGN_LMTは正
値であるので、その分、最終後輪目標制動力FCMDが
減少補正される。
【0100】一方、前記ステップ71の答がYES、す
なわちFCMD_RGN>LMT_FCMD_RGNに
なったときには、制動力の制限を解除すべきとして、ス
テップ74に進み、制動力制限フラグF_RGNS1_
IHBを「0」にセットし、最終後輪目標制動力FCM
Dを制動時目標制動力FCMD_RGNに設定するとと
もに、制動力制限値LMT_FCMD_RGNを所定の
最大制動力制限値LMT_FCMD_RGN_MAX
(例えば−420kgf)に設定した後、本処理を終了
する。
【0101】以上のステップ67〜74の処理により、
後輪スリップが大きく、制動力の制限が必要な場合に
は、その後輪スリップ率Slip_ratioに応じて
最終後輪目標制動力FCMDが制限される。これによ
り、後輪WRL,WRRの制動力、すなわち最終後輪目
標制動力FCMDが過大になるのを防止することがで
き、それにより、車両2の安定性を向上させることがで
きる。
【0102】図17は、本発明の制御により得られる電
磁クラッチ8の遮断中にブレーキペダルが踏まれたとき
のブレーキ圧PBR、および最終後輪目標制動力FCM
Dの時間的変化を示している。同図において、実線で示
す曲線が、本実施形態のステップ120〜131の減速
度置換処理によりブレーキ圧PBRによる増大補正を禁
止した場合の最終後輪目標制動力FCMDの例を示して
おり、破線で示す曲線は、本発明との対比のために、そ
のようなブレーキ圧PBRによる増大補正を禁止しなか
った場合の最終後輪目標制動力FCMDの例を示してい
る。
【0103】まず、電磁クラッチ8の遮断中、車速Vc
arがクラッチ接続上限速度VcarCLよりも大きい
状態で、ブレーキペダルが踏まれると(時刻t1)、時
間の経過に伴って車速Vcarが減少する。そして、車
速Vcarがクラッチ接続上限速度VcarCLより小
さくなった時点(時刻t2)から所定時間が経過した時
点(時刻t3)で、電磁クラッチ8が接続されることに
より、ブレーキ圧PBRにより増大補正されていない最
終後輪目標制動力FCMDに応じた制動力が、後輪WR
L,WRR側に加えられる。これにより、電磁クラッチ
8の接続時に、ブレーキ圧PBRにより増大補正された
最終後輪目標制動力FCMDに応じた大きな制動力が後
輪WRL,WRRに加えられるのが防止され、それによ
る制動ショックが防止される。そして、後輪平均速度V
_RRが第1所定車速V_RGN_SLOPE1より小
さくなった時点(時刻t4)で、最終後輪目標制動力F
CMDが非制動時目標制動力FCMD_RGN_ZER
Oとされる。
【0104】以上のように本実施形態の駆動力制御装置
1によれば、アクセルペダル17が解放状態の減速降坂
走行中、操舵角θSTRが大きいほど、目標減速度DI
C_Gがより小さく設定されるとともに、目標減速度D
IC_Gが小さいほど、最終後輪目標制動力FCMDよ
りが小さく設定される。したがって、操舵角θSTRが
大きいほど、後輪WRL,WRRに加えられる制動力を
小さく抑制でき、また、それに伴い軸重配分の前輪側へ
の偏りを抑制できる。その結果、後輪WRL,WRRの
制動力の抑制と、軸重配分の前輪側への偏りの抑制とに
よって、後輪WRL,WRRの横方向へのグリップ力を
高めることができる。それにより、低摩擦路の減速走行
中でも、車両2の安定した走行状態を確保することがで
きる。また、ブレーキ圧PBRが大きいほど、最終後輪
目標制動力FCMDよりが大きく設定されるので、運転
者の意図に沿って車両2全体の制動力を高めることがで
きる。さらに、電磁クラッチ8の遮断中にブレーキペダ
ルが踏まれているときには、最終後輪目標制動力FCM
Dが、電磁クラッチ8の接続中にブレーキペダルが踏ま
れているときよりも小さく設定されるので、その後、電
磁クラッチ8を接続した際の制動ショックなどを抑制で
きる。さらに、アクセルペダル17が解放状態で、降坂
中でないときの減速走行時などには、目標減速度DIC
_Gが自然減速度DIC_G_CDに設定されることに
より、エンジンブレーキ力FENG_OFFと最終後輪
目標制動力FCMDとがほぼ同一に設定されるととも
に、操舵角θSTRが大きいほど、最終後輪目標制動力
FCMDがより小さく設定される。以上により、減速走
行中の車両2の挙動を安定させることができる。
【0105】なお、減速回生モード中、運転者により、
自動変速機5の低速シフト位置側へのシフトダウン操作
や低速段ギヤにホールドされるホールドシフト位置の選
択操作が行われた場合には、前述した自然減速度DIC
_G_CDの値をより大きな値(例えば−0.07)に
設定するようにしてもよい。これにより、運転者がより
大きな後輪制動力を要求していると想定される場合に、
それに応じて後輪制動力を高めることができる。
【0106】また、アクセルペダル17が解放状態のと
きのエンジンブレーキ力は、車速Vcarに基づいてテ
ーブルを検索することにより求める実施形態の手法に限
らず、ギヤレシオと車速Vcar(または後輪平均速度
V_RR)、またはシフトポジションと車速Vcar
(または後輪平均速度V_RR)から求めるようにして
もよい。さらに、本発明は、説明した実施形態に限定さ
れることなく、種々の態様で実施することができる。例
えば、実施形態では、モータ4と後輪WRL、WRRの
間を接続・遮断するクラッチとして、電磁クラッチ8を
用いているが、伝達容量を制御可能なクラッチであれば
よく、例えば油圧式多板クラッチを採用してもよい。
【0107】
【発明の効果】以上のように、本発明の前後輪駆動車両
の駆動力制御装置によれば、目標減速度を、降坂走行中
の操舵角が反映された適切な値に設定することができる
ので、例えばハンドルの操舵角が大きいほど、目標減速
度を小さく設定し、車両全体としての減速度を小さくす
ることによって、後輪側に加えられる制動力を抑制する
ことができ、また、それに伴い軸重配分の前輪の車軸側
への偏りを抑制できる。その結果、後輪の制動力の抑制
と、軸重配分における前輪の車軸側への偏りの抑制とに
よって、後輪の横方向のグリップ力を高めることができ
る。これにより、低摩擦路の降坂走行中、ハンドルの操
舵により横方向への力が後輪に作用したときでも、横滑
りを確実に抑制することができ、その結果、安定した走
行状態を確保できる。また、運転者によるブレーキ操作
によって前後輪が制動されているときには、これが行わ
れていないときよりも目標減速度を大きくすることによ
り、運転者の意図に沿って車両全体の制動力を高めるこ
とができる。さらに、電気モータと後輪の間が遮断され
かつブレーキが踏まれているときには、電気モータの制
動力が抑制されることにより、その後、電気モータと後
輪の間が接続された際に大きな制動力が後輪に瞬間的に
加えられることを防止でき、それにより、制動ショック
などが後輪に発生するのを防止できる。また、前後輪の
制動力を互いに同等に設定することにより、アクセルペ
ダルの解放による減速走行時の挙動を安定させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による駆動力制御装置を適
用した前後輪駆動車両の概略構成図である。
【図2】駆動力制御のメインフローを示すフローチャー
トである。
【図3】減速回生モードの制動力算出処理の一部を示す
フローチャートである。
【図4】図3のフローチャートの続きである。
【図5】図4のフローチャートの続きである。
【図6】図5のフローチャートの続きである。
【図7】図6のフローチャートの続きである。
【図8】図7のフローチャートの続きである。
【図9】図5のステップ49の減速度増大補正処理のサ
ブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図5のステップ50の減速度置換処理のサブ
ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】操舵角補正係数テーブルの一例を示す図であ
る。
【図12】増大補正値テーブルの一例を示す図である。
【図13】減速時充電残量係数テーブルの一例を示す図
である。
【図14】エンジンブレーキ力テーブルの一例を示す図
である。
【図15】(a)制動力制限補正値テーブルの一例を示
す図と(b)その一部を拡大した図である。
【図16】ブレーキペダルが踏まれた状態で、電磁クラ
ッチが遮断状態から接続状態に変化する間の最終後輪目
標制動力FCMDの変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 駆動力制御装置 2 前後輪駆動車両 3 エンジン 4 電気モータ 8 電磁クラッチ(クラッチ手段) 10 モータドライバ(駆動制御手段) 11 ECU(車速検出手段、降坂走行判定手段、目標
減速度設定手段、エンジンブレーキ力算出手段、目標制
動力設定手段、駆動制御手段、目標減速度増大補正手
段、クラッチ駆動手段、目標減速度減少補正手段、目標
補正手段) 12 車輪回転数センサ(車速検出手段) 16 アクセル開度センサ(アクセル状態検出手段) 17 アクセルペダル 20 操舵角センサ(操舵角検出手段) 26 ブレーキスイッチ(ブレーキ作動検出手段) WFL、WFR 前輪 WRL、WRR 後輪 Vcar 車速 VcarCL クラッチ接続上限速度(所定速度) θSTR 操舵角 FCMD_RGN 制動時目標制動力(目標制動力) FCMD 最終目標制動力(目標制動力) FENG_OFF エンジンブレーキ力 DIC_G 目標減速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 29/02 F02D 29/02 D (72)発明者 内山 直樹 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 福田 俊彦 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 本多 健司 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3D041 AA33 AA47 AB01 AC01 AC10 AD00 AD02 AD10 AD31 AD41 AD47 AD51 AE02 AE04 AE14 AF01 3D043 AB17 EA03 EA05 EA11 EA42 EA45 EB07 EB13 EE01 EE02 EE03 EE09 EE12 EF09 EF14 EF27 3G093 AA07 BA01 CB07 CB09 DA01 DA06 DA07 DB00 DB02 DB03 DB05 DB11 DB15 DB18 EA09 EB08 EC02 FA02 FA08 FA11 FA12 FB01 FB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪をエンジンで駆動し、後輪を電気モ
    ータで駆動する前後輪駆動車両の駆動力制御装置であっ
    て、 車速を検出する車速検出手段と、 アクセルペダルが解放状態であるか否かを検出するアク
    セル状態検出手段と、 前記前後輪駆動車両が降坂走行中であるか否かを判定す
    る降坂走行判定手段と、 ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、 前記アクセル状態検出手段により前記アクセルペダルの
    解放状態が検出され且つ前記降坂走行判定手段により前
    記降坂走行中であると判定されているときに、前記検出
    された操舵角に基づき、目標減速度を設定する目標減速
    度設定手段と、前記アクセルペダルの解放状態が検出さ
    れているときに、前記検出された車速に応じ、前記エン
    ジンのエンジンブレーキ力を算出するエンジンブレーキ
    力算出手段と、 前記設定された目標減速度および前記算出されたエンジ
    ンブレーキ力に基づき、前記後輪を制動するための前記
    電気モータの目標制動力を設定する目標制動力設定手段
    と、 当該設定された目標制動力に基づき、前記電気モータを
    駆動制御する駆動制御手段と、 を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の駆動力制御
    装置。
  2. 【請求項2】 ブレーキが作動中であるか否かを検出す
    るブレーキ作動検出手段と、 当該ブレーキ作動検出手段により前記ブレーキが作動中
    であることが検出されているときに、前記設定された目
    標減速度を、前記ブレーキが不作動中であるときよりも
    大きな値に増大補正する目標減速度増大補正手段と、 をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の前後
    輪駆動車両の駆動力制御装置。
  3. 【請求項3】 前記車両には、前記後輪と前記電気モー
    タの間を遮断・接続するクラッチ手段がさらに設けられ
    ており、 当該クラッチ手段を、前記車速が所定車速より大きいと
    きに遮断し、当該所定車速以下のときに接続するクラッ
    チ駆動手段と、 前記クラッチ手段が遮断状態にあり且つ前記ブレーキ作
    動検出手段により前記ブレーキが作動中であることが検
    出されているときに、前記設定された目標減速度を、前
    記目標減速度増大補正手段により増大補正される目標減
    速度よりも小さい値に減少補正する目標減速度減少補正
    手段と、 をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の前後
    輪駆動車両の駆動力制御装置。
  4. 【請求項4】 前輪をエンジンで駆動し、後輪を電気モ
    ータで駆動する前後輪駆動車両の駆動力制御装置であっ
    て、 車速を検出する車速検出手段と、 アクセルペダルが解放状態であるか否かを検出するアク
    セル状態検出手段と、 ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、 前記アクセル状態検出手段により前記アクセルペダルの
    解放状態が検出されているときに、前記検出された車速
    に応じ、前記エンジンのエンジンブレーキ力を算出する
    エンジンブレーキ力算出手段と、 前記後輪を制動するための前記電気モータの目標制動力
    を、前記算出されたエンジンブレーキ力と同等の値に設
    定する目標制動力設定手段と、 当該設定された目標制動力を、前記検出された操舵角に
    応じて補正する目標制動力補正手段と、 当該補正された目標制動力に基づき、前記電気モータを
    駆動制御する駆動制御手段と、 を備えることを特徴とする前後輪駆動車両の駆動力制御
    装置。
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