JP2002046345A - インクジェット記録用添加剤、及び当該添加剤を用いた記録紙 - Google Patents

インクジェット記録用添加剤、及び当該添加剤を用いた記録紙

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JP2002046345A
JP2002046345A JP2000237115A JP2000237115A JP2002046345A JP 2002046345 A JP2002046345 A JP 2002046345A JP 2000237115 A JP2000237115 A JP 2000237115A JP 2000237115 A JP2000237115 A JP 2000237115A JP 2002046345 A JP2002046345 A JP 2002046345A
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methyl methacrylate
additive
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emulsion
ink jet
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JP2000237115A
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English (en)
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Yoshiharu Hashiguchi
芳春 橋口
Kazuhiro Ishii
和広 石井
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度発色性、耐光性などに優れ、蛍光染料
への悪影響のないインクジェット記録用添加剤を開発す
る。 【解決手段】 構成単量体として、メタクリル酸メチル
98重量%以上を含有する乳化重合物を有効成分とし、
或は、メタクリル酸メチルを60重量%以上、(メタ)ア
クリルアミドを40重量%以下の割合で含有するメタク
リル酸メチルと(メタ)アクリルアミドとの乳化共重合物
を有効成分とするインクジェット記録用添加剤である。
当該添加剤の有効成分をメタクリル酸メチルを単量体成
分として所定以上の含有率で有する重合物又は共重合物
とし、且つ、これらのポリマーをエマルション形態とす
ることで、高濃度発色性、耐光性に優れる。また、本発
明の添加剤はカチオン性ではないため、蛍光染料の効果
を阻害しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
用添加剤、並びに当該添加剤を用いた記録紙に関して、
高濃度発色性、耐候性、耐光性などに優れ、蛍光染料へ
の悪影響のないものを提供する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット用記録紙として
は、下記の〜などが知られている。 パルプを主成分とした一般の紙に澱粉等と表面サイズ
剤を混合したものやカチオン性薬剤を塗工したもの。 特開昭56−148585号公報に示すように、一般
の上質紙等のインク吸収性の低い基紙上に、多孔質の無
機顔料を用いてインク吸収層を設けたもの。
【0003】近年、記録の多色化、或は高速化に伴い、
インクジェット用記録媒体に対してもより高度の特性が
要求され、高品位かつ高解像度のカラー画像を得るため
には、次のような諸性能を満たすことが必要である。 (a)インクの発色性に優れ、光学濃度、彩度の高い画像
が得られること。 (b)インクが滲みすぎず、シャープな画像が得られるこ
と。 (c)付着したインク滴を速やかに吸収できること。 (d)記録画像の保存性に優れること。
【0004】しかし、上記諸性能を満たすには、顔料を
含んだコート層を厚くして多量のインクを急速に吸収し
且つ定着させる必要があるが、これらの顔料コート記録
紙では、筆記性に乏しく、紙粉が発生し易いうえ、製造
コストが増大するなどの問題がある。
【0005】一方、本出願人は、先に、上記諸性能を追
及する見地から、顔料コート方式ではないインクジェッ
ト用記録紙として、下記のものを開示した。 (1)特開平8−108618号公報(従来技術1) メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニ
ウムクロライド等のようなベンジル基を有する(メタ)ア
クリル酸アルキル第4級アンモニウム塩、或はアクリル
アミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライ
ド等のような(メタ)アクリルアミドアルキル第4級アン
モニウム塩を骨格とする重合物を内添或は塗工した記録
媒体である。
【0006】(2)特開平8−216504号公報(従来技
術2) 特定の(メタ)アクリル酸エステルと、エチレン、スチレ
ン、ブタジエン等のようなノニオン性ビニル単量体重合
物とを、第4級アンモニウム塩を有するカチオン性界面
活性剤の存在下で重合するなどして得られるカチオン性
のインクジェット記録用添加物を内添或は塗工した記録
媒体である。
【0007】また、上記顔料コート方式ではないインク
ジェット用記録紙としては、特開昭57−173194
号公報(以下、従来技術3という)に、(イ)セルロースエ
ーテルとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成
物、トウモロコシデンプン、アクリルアミド等との反応
生成物などの吸水性樹脂と、(ロ)ポリメタクリル酸メチ
ルなどの高分子結合剤とを、メチルエチルケトンなどの
溶剤で溶解したものを紙に塗工したものが開示されてい
る(同公報の実施例1及び表−1参照)。
【0008】さらに、特開平11−291612号公報
(以下、従来技術4という)には、顔料コート紙の耐光性
を向上する見地から、シリカなどを主成分とするインク
受容層の上に、紫外線吸収剤を含有するポリマー微粒子
を積層化したインクジェット用記録紙が開示されてい
る。ちなみに、紫外線吸収剤を含有するポリマー微粒子
は、例えば、メチルメタクリレート、アクリルアミド、
アクリル酸及びベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤
などを混合し、重合反応して得られる(同公報の段落2
4及び段落28参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術1では、
耐水性などの記録画像の保存性には優れるが、印字濃度
や文字品位が劣り、フェザリングが発生する問題があ
る。また、従来技術2では、記録画像の発色性には優れ
るが、インクジェット印字の耐侯性が劣り、塗工成分な
どに蛍光染料を併用した場合に、この蛍光染料の効果を
低下させるという問題がある。一方、従来技術3では、
特に、高濃度発色性に課題が残り、耐光性の改善を主眼
とした従来技術4でも、やはり高濃度発色性が不充分で
ある。
【0010】本発明は、顔料コートのような特殊なコー
ティングを施さない普通紙の風合いを持ったインクジェ
ット用記録紙において、上記(a)〜(d)の要求性能を満
足しつつ、特に、高濃度発色性と耐光性の両性能に優
れ、また、蛍光染料の効果を阻害しない添加剤の開発を
技術的課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、殊に、上
記従来技術2に示された添加剤を出発点として、鋭意研
究を重ねた結果、インクジェット用記録紙の印字濃度、
耐光性、耐候性の向上には、第一に、特殊な組成のノニ
オン或はアニオン性のポリマーであること、第二に、当
該ポリマーは溶液形態ではなくエマルション形態である
ことが大きく関与し、より具体的には、メタクリル酸メ
チルを構成単量体として所定以上の含有率で有する重合
又は共重合乳化物が高濃度発色性などに顕著な有効性を
示し、また、これらのポリマーは蛍光染料の効果を阻害
しないことを突き止め、本発明を完成した。
【0012】即ち、本発明1は、単量体成分として、メ
タクリル酸メチル98重量%以上を含有する乳化重合物
を有効成分とするインクジェット記録用添加剤である。
【0013】本発明2は、単量体成分として、メタクリ
ル酸メチルを60重量%以上、(メタ)アクリルアミドを
40重量%以下の割合で含有するメタクリル酸メチルと
(メタ)アクリルアミドとの乳化共重合物を有効成分とす
るインクジェット記録用添加剤である。
【0014】本発明3は、上記本発明2において、単量
体成分として、メタクリル酸メチルを80重量%以上、
アクリルアミドを20重量%以下の割合で含有すること
を特徴とするインクジェット記録用添加剤である。
【0015】本発明4は、上記本発明2又は3におい
て、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステ
ルを20重量%以下の割合で含有するインクジェット記
録用添加剤である。
【0016】本発明5は、上記本発明1〜3のいずれか
において、重合性不飽和カルボン酸を2重量%以下の割
合で含有するインクジェット記録用添加剤である。
【0017】本発明6は、上記本発明1〜5のいずれか
のインクジェット記録用添加剤を基紙に塗工又は内添し
たインクジェット用記録紙である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、第一に、メタクリル酸
メチルの高含有乳化物を有効成分とするインクジェット
記録用添加剤であり、第二に、メタクリル酸メチルと
(メタ)アクリルアミドとの乳化共重合物を有効成分とす
るインクジェット記録用添加剤であり、第三に、これら
のインクジェット記録用添加剤を基紙に塗工又は内添し
たインクジェット用記録紙である。上記(メタ)アクリル
アミドは、アクリルアミドとメタクリルアミドの両方を
包含する概念である。
【0019】前述のように、構成単量体としてメタクリ
ル酸メチルを所定含有率以上で有する乳化重合物が、イ
ンクジェット印字の際の高濃度発色性などに強く影響す
る。即ち、本発明1の乳化重合物は、構成単量体とし
て、メタクリル酸メチルを98重量%以上の割合で含有
する乳化重合物である。本発明1のポリマーの代表例は
1成分系のポリメタクリル酸メチルであるが、他の成分
を2重量%以下の割合で含んでも良い。好ましくは、本
発明5に示すように、単量体成分として、メタクリル酸
メチルを98重量%以上、重合性不飽和カルボン酸を2
重量%以下の割合で含むメタクリル酸メチルと不飽和カ
ルボン酸との2成分系ポリマーである。不飽和カルボン
酸が2重量%を超えると、印字濃度向上効果が得られな
い恐れがある。上記重合性不飽和カルボン酸としてはカ
ルボキシル基を有するビニル系単量体が好ましく、具体
的には、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸などが挙げられる。
【0020】また、本発明2の乳化重合物は、構成単量
体として、メタクリル酸メチルを60重量%以上で、且
つ、(メタ)アクリルアミドを40重量%以下の割合で含
有するメタクリル酸メチルと(メタ)アクリルアミドとの
共重合乳化物である。上記メタクリル酸メチルと(メタ)
アクリルアミドとの共重合乳化物においては、本発明3
に示すように、メタクリル酸メチルを80重量%以上、
(メタ)アクリルアミドを20重量%以下の割合の共重合
物が好ましい。メタクリル酸メチルが60重量%より少
ないと、インクジェット印字した場合の印字濃度の増加
が低くなり、また、(メタ)アクリルアミドが40重量%
を超えると、添加剤の粘度が増して作業性が悪くなり、
インクジェット印字の際の印字濃度の増加も望めない。
本発明2の共重合乳化物は、構成単量体の成分とその含
有率だけを限定したものであり、従って、この条件を満
たす限り、他の単量体成分を含むことができるが、好ま
しくは、メタクリル酸メチルと(メタ)アクリルアミドと
の2成分系の共重合乳化物である。また、他の単量体成
分を含む場合にも、本発明4又は5に示すように、所定
の単量体成分を所定の含有率で含む3成分系の共重合乳
化物が好ましい。
【0021】本発明4に示すように、メタクリル酸メチ
ルと(メタ)アクリルアミドを共重合する場合、他の単量
体成分として、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリ
ル酸エステルを20重量%以下の割合で含有することが
できる。20重量%を超えると、インクジェット印字の
際の印字濃度が低下する恐れがある。メタクリル酸メチ
ル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル
基の炭素数が4以下のエステルが好ましく、具体的に
は、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタ
クリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イ
ソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸n−ブチルなどが挙げられる。
【0022】また、本発明5に示すように、メタクリル
酸メチルと(メタ)アクリルアミドを共重合する場合、他
の単量体成分として、重合性不飽和カルボン酸を2重量
%以下の割合で含有することができる。2重量%を超え
ると、印字濃度向上効果が得られない恐れがある。上記
重合性不飽和カルボン酸は、本発明1のポリマーと共通
である。尚、メタクリル酸メチルと(メタ)アクリルアミ
ドとの共重合乳化物の場合、本発明4の(メタ)アクリル
酸エステルと本発明5の不飽和カルボン酸との両成分を
構成単量体として含有することができる。
【0023】本発明のインクジェット記録用添加剤の有
効成分であるメタクリル酸メチルの重合物又はメタクリ
ル酸メチルと(メタ)アクリルアミドとの共重合物は、共
に乳化重合で得られる生成物であり、従って、懸濁重
合、溶液重合、塊状重合などで得られる重合物は排除さ
れる。冒述の従来技術3の実施例には、ポリメチルメタ
クリレートなどの高分子結合剤を吸水性樹脂と共に有機
溶媒に溶解することが記載されているが、本発明のポリ
マーはエマルション形態であることを特徴とするため、
例えば、この従来技術3に準拠して、メタクリル酸メチ
ルの重合物又はメタクリル酸メチルと(メタ)アクリルア
ミドとの共重合物を溶媒に溶かした溶液を本発明の添加
剤として適用することはできない。本発明1〜5のポリ
マー乳化物は、一括乳化重合法、滴下乳化重合法、或は
その他の公知の乳化重合方式で製造される。上記一括乳
化重合法は、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活
性剤の存在下で、水とメタクリル酸メチル、或はさらに
他の単量体を混合し、一定温度で、過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩
や水性アゾ系などの水溶性重合開始剤を加え、或はさら
にチオグリコール酸、チオグリセロール、エチレングリ
コールジチオグリコレート、アリルスルホン酸ナトリウ
ムなどの水溶性連鎖移動剤や還元剤を加えて、ラジカル
重合等によって一括方式で行われる。また、上記滴下乳
化重合法は、温水中に界面活性剤を加えたり、単量体混
合物に界面活性剤を加えたものを滴下しながら、過硫酸
塩や水性アゾ系などの開始剤水溶液などを滴下して行わ
れる。ちなみに、本発明の重合物はノニオン性又はアニ
オン性であることに特徴があるため、乳化重合に際して
は、乳化剤として、カチオン性界面活性剤ではなく、ア
ニオン性、或はノニオン性の界面活性剤を使用すること
が重要である。蓋し、カチオン性界面活性剤の使用は、
乳化重合物がカチオン性を帯びることになるからであ
る。
【0024】本発明6は、上記本発明1〜5の添加剤を
基紙に塗工或は内添したインクジェット用記録紙であ
り、インクジェット印字に際して、高濃度発色性などを
より有効に発揮するためには塗工方式が好ましい。当該
塗工処理は、塗工機による塗布処理、スプレーでの噴霧
処理などの外、本発明1〜5の重合エマルションに基紙
を浸漬する含浸処理を含む概念である。上記塗工処理に
際しては、本発明の添加剤の他に、デンプン誘導体やP
VA系ポリマー、ポリビニルピロリドン、セルロース誘
導体、ポリエチレンオキサイド等の親水性ポリマー、或
は、さらに必要に応じて、スチレン・アクリル酸塩、ス
チレン・マレイン酸塩、その他のポリカルボン酸塩型表
面サイズ剤類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系エマル
ション等の表面サイズ剤類、カチオン性の表面サイズ剤
類、カチオン性の耐水化剤などを併用添加することがで
きる。上記記録紙の基紙としては、化学パルプ、機械パ
ルプ、或は古紙パルプなどのセルロースパルプを主とす
る一般の酸性紙や中性紙、或は合成紙などが使用でき
る。
【0025】また、本発明は顔料コート方式のインクジ
ェット用記録紙を排除するものではなく、例えば、顔料
コート層からなるインク受容層を設けた記録紙におい
て、顔料コート層中に本発明の添加剤を混合することも
できる。
【0026】
【作用】一般に、インクジェット用のインクはアニオン
性で水溶性染料が多用されており、インク中にはアルコ
ール系溶剤も含有されている。本発明のインクジェット
記録用添加剤は、メタクリル酸メチルを主要単量体成分
として所定以上の含有率で有するポリマー乳化物である
ため、適度の親水性を表面に持つエマルション粒子であ
り、粒子表面にインク染料、顔料を吸着保持する性質が
あると考えられる。従って、メカニズム的には未だ不明
な部分もあるが、インク染料や顔料が添加剤の粒子表面
に多く保持された状態で記録紙表面に広く均一に分散し
て存在するため、画像濃度が高く視覚にとらえらて高濃
度の発色作用を発現し、もって、耐光性を向上させるも
のと推定できる。
【0027】また、本発明のポリマー粒子自体はノニオ
ン性又はアニオン性であり、カチオン性粒子ではないた
め、当該粒子がアニオン性を帯びたインク染料等と反応
して退色を促進することもないし、蛍光染料と併用塗工
しても蛍光染料を凝集させたり、蛍光染料と化学的に相
互作用することもないと推測できるため、蛍光増白効果
を阻害することはない。
【0028】
【発明の効果】(1)本発明のインクジェット記録用添加
剤は、メタクリル酸メチルの高含有乳化物、或は単量体
成分としてメタクリル酸メチルと(メタ)アクリルアミド
を所定以上の含有率で有する乳化共重合物を有効成分す
るものなので、後述の試験例に示すように、アクリル酸
エチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸メ
チル以外のエステルを構成単量体とする乳化重合物、冒
述の従来技術2に準拠したカチオン性の乳化重合物、或
は、メタクリル酸メチルのポリマー溶液を使用した添加
剤に比べて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの
各色相共に、インクジェット印字の際の高濃度発色性に
優れる。即ち、インクジェット記録用添加剤の有効成分
をメタクリル酸メチルを構成単量体として所定以上の含
有率で有する重合物又は共重合物とし、且つ、これらの
ポリマーをエマルション形態とすることにより、インク
の発色性を高めて、光学濃度、彩度の高い画像を獲得す
ることができる。また、本発明の添加剤は所定成分のポ
リマーエマルションを有効成分とするので、顔料コート
などの特殊なコーティングを施さないPPC用紙などの
普通紙の風合いをインクジェット用記録紙に付与させる
ことができる。
【0029】(2)後述の試験例に示すように、メタクリ
ル酸メチルを構成単量体として所定以上の含有率で有す
るポリマー乳化物をインクジェット用添加剤として使用
した本発明の記録紙は、記録画像の耐光性、耐候性に優
れ、高い保存性を有する。また、本発明の添加剤と共
に、蛍光染料を塗工層などに併用した場合でも、本発明
の添加剤はカチオン性ではなくノニオン性又はアニオン
性であるため、蛍光染料の増白効果に悪影響を及ぼすこ
ともない。
【0030】
【実施例】以下、インクジェット記録用添加剤の合成
例、当該添加剤を塗工したインクジェット用記録紙の製
造実施例を順次説明するとともに、この記録紙の発色
性、耐光性、蛍光染料への影響評価の各種試験例を述べ
る。また、実施例中に示される「部」及び「%」は、退
色率、白色度、蛍光を除いて、基本的に重量基準であ
る。尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束され
るものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の
変形をなし得ることは勿論である。
【0031】《インクジェット記録用添加剤の合成例》
下記の合成例1〜7のうち、合成例1は構成単量体とし
てメタクリル酸メチルを70%、アクリルアミドを30
%含有した例、合成例2は同様にメタクリル酸メチルを
90%、アクリルアミドを10%含有した例、合成例3
はポリメタクリル酸メチルの合成例、合成例4は同様に
メタクリル酸メチルを93.6%、アクリルアミドを5
%、メタクリル酸を1.4%含有した例、合成例5は同
様にメタクリル酸メチルを75%、アクリルアミドを1
0%、メタクリル酸イソブチルを15%含有した例、合
成例6は同様にメタクリル酸メチルを98.5%、アク
リル酸を1.5%含有した例、合成例7は同様にメタク
リル酸メチルを91.3%、アクリルアミドを2.9%、
アクリル酸を5.8%含有したもので、紫外線吸収剤を
含むポリマー粒子を開示した冒述の従来技術4に準拠し
た例である。
【0032】また、比較合成例1〜7のうち、比較合成
例1は構成単量体としてメタクリル酸メチルを58.8
%、アクリルアミドを41.2%含有した例、比較合成
例2は同様にアクリル酸エチルを90%、アクリルアミ
ドを10%含有した例、比較合成例3は同様にメタクリ
ル酸イソブチルを90%、アクリルアミドを10%含有
した例、比較合成例4は同様にメタクリル酸メチルを9
6.7%、アクリル酸を3.3%含有した例、比較合成例
5は同様にメタクリル酸メチルを60%、アクリル酸2
−エチルヘキシルを24.8%、スチレンを12.7%、
アクリル酸を2.5%含有した例、比較合成例6は冒述
の従来技術2に準拠してカチオン性の乳化重合物を使用
した例、比較合成例7は同様にメタクリル酸メチルを5
7%、アクリルアミドを10%、アクリル酸2−エチル
ヘキシルを33%含有した例である。
【0033】(1)合成例1 反応容器に、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
ナトリウム系乳化剤(ペレックスSS−H:花王社製)5
0%品の4gと、連鎖移動剤としてチオグリコール酸
0.6gと、水500gを入れて溶解した。これに、5
0%アクリルアミド94gとメタクリル酸メチル110
gを加えて、攪拌しながら55℃まで加温した。次い
で、重合開始剤として5%過硫酸アンモニウム水溶液5
gと2.5%重亜硫酸ナトリウム水溶液5gを添加して
重合を始め、90℃まで発熱温度上昇した後、80℃に
温度を保って、さらに5%過硫酸アンモニウム3gを添
加した後、80℃で2時間保持した。これに水75gを
加えて、固形分20%、粘度160mPa・sの乳白色
エマルションを得た。
【0034】(2)合成例2 反応容器に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム系
乳化剤(エマルゲンSC:第一工業製薬社製)63%品の
10gと、連鎖移動剤としてチオグリコール酸0.7g
と、水400gを入れて溶解した。これに、50%アク
リルアミド42gとメタクリル酸メチル75gを加え
て、攪拌しながら60℃に加温した。次いで、重合開始
剤として5%過硫酸カリウム水溶液4gと2.5%重亜
硫酸ナトリウム水溶液4gを加えて重合した。これを8
0℃に保って、メタクリル酸メチル114gと1%過硫
酸カリウム25gを3時間かけて滴下して、添加した。
その後、これを冷却して水55gを加え、固形分30
%、粘度40mPa・sの乳白色エマルションを得た。
【0035】(3)合成例3 反応容器に、乳化剤(ペレックスSS−H:花王社製)5
0%品の15gと、水420gを入れて、80℃まで加
熱した。これに、メタクリル酸メチル210gと0.5
%過硫酸カリウム水溶液60gを3時間かけて滴下し、
添加した。80℃で2時間熟成した後、水15gを加え
て、固形分30%、粘度10mPa・sの乳白色エマル
ションを得た。
【0036】(4)合成例4 反応容器に、乳化剤(ペレックスSS−H:花王社製)5
0%品の10gと、水400gを入れて、80℃まで加
熱した。これに、メタクリル酸メチル196.5gと5
0%アクリルアミド21gとメタクリル酸3gとアルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム系乳化剤(ネオゲンS
C:第一工業製薬社製)63%品の4.7gと水20gの
乳化混合物を3時間かけて滴下し、添加した。次いで、
80℃で2時間熟成した後、25%アンモニア水3gと
水72gを加えて、固形分30%、粘度40mPa・s
の乳白色エマルションを得た。
【0037】(5)合成例5 反応容器に、乳化剤(エマルゲンSC:第一工業製薬社
製)63%品の10gと、チオグリコール酸0.7gと、
水400gを入れて、溶解した。これに、50%アクリ
ルアミド42gとメタクリル酸メチル75gを加え、攪
拌しながら60℃に加温した。次いで、5%過硫酸カリ
ウム水溶液4gと2.5%重亜硫酸ナトリウム水溶液4
gを加えて、重合した。これを80℃に保って、メタク
リル酸メチル82.5gとメタクリル酸イソブチル31.
5gの混合物と1%過硫酸カリウム25gを3時間かけ
て滴下しながら添加した。これを冷却して水55gを加
え、固形分30%、粘度32mPa・sの乳白色エマル
ションを得た。
【0038】(6)合成例6 上記合成例3を基本としながら、メタクリル酸メチル2
10gを、メタクリル酸メチル206.8gとアクリル
酸3.2gに変更し、それ以外は合成例3と同様の条件
で合成し、合成後に25%アンモニア水で中和して、固
形分29%、粘度10mPa・sの乳白色エマルション
を得た。
【0039】(7)合成例7 反応容器に、乳化剤(エマルゲンSC:第一工業製薬社
製)63%品の3.2gと、水400gを入れて、70℃
まで加熱した。これに、過硫酸カリウム4gを入れ、メ
タクリル酸メチル158gとアクリル酸10gと50%
アクリルアミド10gと水10gとn−ドデシルメルカ
プタン0.4gの混合物を2時間かけて滴下しながら添
加した後、70℃で2時間熟成した。これを冷却してア
ンモニア水で中和したところ、凝集物が多量に生成した
ので、200メッシュフィルターで濾過し、固形分20
%、粘度22mPa・sの乳白色エマルションを得た。
【0040】(8)比較合成例1 反応容器に、乳化剤(エマルゲンSC:第一工業製薬社
製)63%品の10gと、チオグリコール酸1.2gと、
水650gを入れて、溶解した。これに、50%アクリ
ルアミド175gとメタクリル酸メチル35gを加え、
攪拌しながら60℃に加温した。次いで、5%過硫酸カ
リウム水溶液8gと2.5%重亜硫酸ナトリウム水溶液
8gを加えて、重合した。これを80℃に保って、メタ
クリル酸メチル90gと1%過硫酸カリウム40gを3
時間かけて滴下しながら添加した。これを冷却して水7
0gを加え、固形分20%、粘度900mPa・sの乳
白色エマルションを得た。
【0041】(9)比較合成例2 反応容器に、乳化剤(エマルゲンSC:第一工業製薬社
製)63%品の10gと、チオグリコール酸0.7gと、
水460gを入れて、溶解した。これに、50%アクリ
ルアミド42gとアクリル酸エチル15gを加え、攪拌
しながら60℃に加温した。次いで、5%過硫酸カリウ
ム水溶液4gと2.5%重亜硫酸ナトリウム水溶液4g
を加えて、重合した。これを80℃に保って、アクリル
酸エチル174gと0.5%過硫酸カリウム80gを3
時間かけて滴下しながら添加した。その後、これを冷却
して水60gを加え、固形分25%、粘度280mPa
・sの乳白色エマルションを得た。
【0042】(10)比較合成例3 上記合成例2と同様の条件で、メタクリル酸メチルの全
量をメタクリル酸イソブチルに変更して合成し、固形分
30%、粘度165mPa・sの乳白色エマルションを
得た。
【0043】(11)比較合成例4 上記合成例3を基本としながら、メタクリル酸メチル2
10gを、メタクリル酸メチル203gとアクリル酸7
gに変更し、それ以外は合成例3と同様の条件で合成
し、合成後に25%アンモニア水1.8gで中和して、
固形分30%、粘度60mPa・sの乳白色エマルショ
ンを得た。
【0044】(12)比較合成例5 反応容器に、乳化剤(ペレックスSS−H:花王社製)5
0%品の15gと、水350gを入れて、80℃まで加
熱した。これに、メタクリル酸メチル126gとアクリ
ル酸2−エチレヘキシル52gとスチレン26.7gと
アクリル酸5.3gの混合物と5%過硫酸カリウム水溶
液42gを3時間かけて滴下しながら添加した。これを
80℃で2時間熟成した後、冷却してアンモニア水で中
和し、固形分35%、粘度15mPa・sの乳白色エマ
ルションを得た。
【0045】(13)比較合成例6 反応容器に、アクリルアミドトリメチルアンモニウムプ
ロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド20.
4gと、メタクリル酸メチル64gと、カチオン性界面
活性剤(カチオンBB:日本油脂社製)4gと、水300
gを入れ、攪拌しながら60℃まで加熱した後、2,
2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロライ
ド0.1gを加え、85℃で3時間保持して、固形分2
5%、粘度40mPa・sの乳白色エマルションを得
た。
【0046】(14)比較合成例7 反応容器に、乳化剤(エマルゲンSC:第一工業製薬社
製)63%品の10gと、チオグリコール酸0.7gと、
水400gを入れて、溶解した。これに、50%アクリ
ルアミド42gとメタクリル酸メチル50gとアクリル
酸2−エチルヘキシル25gを加え、撹拌しながら60
℃に加温した。次いで、5%過硫酸カリウム水溶液4g
と2.5%重亜硫酸ナトリウム水溶液4gを加えて重合
した。これを80℃に保って、メタクリル酸メチル70
gとアクリル酸2−エチルヘキシル44gの混合物と1
%過硫酸カリウム25gを3時間かけて滴下しながら添
加した。これを冷却して水55gを加え、固形分30
%、粘度20mPa・sの乳白色エマルションを得た。
【0047】《インクジェット用記録紙の製造実施例》
そこで、上記合成例などの添加剤を上質紙の表面に塗工
して、各種のインクジェット用記録紙を製造した。即
ち、実施例1〜7及び比較例3〜9の記録紙は、上記合
成例1〜7及び比較合成例1〜7の添加剤を使用したも
のである。比較例1は未塗工の記録紙であって、添加剤
を使用しないブランク例であり、比較例2は酸化デンプ
ンのみを塗工した例である。また、上記合成例1〜7な
どの添加剤は全て乳化物であるが、この乳化物と対比さ
せる見地から、冒述の従来技術3に準拠して、ポリメタ
クリル酸メチルを有機溶媒に溶解したポリマー溶液を塗
工し、乾燥したものを比較例10とした。一方、蛍光染
料への影響を調べるため、上記合成例2の添加剤と共に
蛍光染料を塗工層に添加した例を実施例8として、比較
例11〜12と対比させた。
【0048】(1)実施例1〜7 合成例1〜7の各添加剤を固形分で1重量%と、酸化澱
粉(MS−3800:日本食品化工社製)4重量%とを含
有する塗工液を調製し、軽質炭酸カルシウムとAKD系
サイズ剤を内添したステキヒトサイズ度15秒の上質紙
の片面に、上記塗工液を吸液量が15g/m2になるよ
うにバーコーターで塗工し、90℃で90秒間かけて回
転式ドラムドライヤーにて乾燥し、実施例1〜7の記録
紙を得た。尚、合成例1〜7の添加剤と実施例1〜7の
記録紙の対応関係は図1に示す通りである。
【0049】(2)比較例1 軽質炭酸カルシウムとAKD系サイズ剤内添のステキヒ
トサイズ度15秒の上質紙をそのまま記録紙に採用し
て、比較例1とした。
【0050】(3)比較例2 酸化澱粉(MS−3800:日本食品化工社製)5重量%
を含有する塗工液を調製し、軽質炭酸カルシウムとAK
D系サイズ剤を内添したステキヒトサイズ度15秒の上
質紙の片面に、上記塗工液を吸液量が15g/m2にな
るようにバーコーターで塗工し、90℃で90秒間かけ
て回転式ドラムドライヤーにて乾燥し、比較例2とし
た。
【0051】(4)比較例3〜9 前記比較合成例1〜7の各添加剤を固形分で1重量%
と、酸化澱粉(MS−3800:日本食品化工社製)4
重量%とを含有する塗工液を調製し、軽質炭酸カルシウ
ムとAKD系サイズ剤を内添したステキヒトサイズ度1
5秒の上質紙の片面に、上記塗工液を吸液量が15g/
2になるようにバーコーターで塗工し、90℃で90
秒間かけて回転式ドラムドライヤーにて乾燥し、比較例
3〜9の記録紙を得た。比較合成例1〜7の添加剤と比
較例3〜9の記録紙の対応関係は図1に示す通りであ
る。
【0052】(5)比較例10 ポリメタクリル酸メチル(PARALOID A−21:ロームアン
ドハース社製)2gをメチルエチルケトン198gに室
温で溶解し、軽質炭酸カルシウムとAKD系サイズ剤を
内添したステキヒトサイズ度15秒の上質紙の片面に、
上記ポリメタクリル酸メチルの溶液を吸液量が15g/
2になるようにバーコーターで塗工し、90℃で90
秒間かけて回転式ドラムドライヤーにて乾燥し、比較例
10の記録紙を得た。
【0053】(6)実施例8 前記合成例2の添加剤を固形分で1重量%と、酸化澱粉
4重量%と、さらに蛍光染料1重量%を含有する塗工液
を調製し、軽質炭酸カルシウムとAKD系サイズ剤を内
添したステキヒトサイズ度15秒の上質紙の片面に、上
記塗工液を吸液量が15g/m2になるようにバーコー
ターで塗工し、90℃で90秒間かけて回転式ドラムド
ライヤーにて乾燥し、実施例8の記録紙を得た。
【0054】(7)比較例11 上記実施例8を基本として、前記合成例2の添加剤を比
較合成例6のカチオン性ポリマーに変更し、それ以外を
実施例8と同様の条件にして、比較例11の記録紙を得
た。
【0055】(8)比較例12 上記実施例8の添加剤を用いないで、酸化澱粉5重量%
と蛍光染料1重量%を含有する塗工液を調製し、軽質炭
酸カルシウムとAKD系サイズ剤を内添したステキヒト
サイズ度15秒の上質紙の片面に、上記塗工液を吸液量
が15g/m2になるようにバーコーターで塗工し、9
0℃で90秒間かけて回転式ドラムドライヤーにて乾燥
し、比較例12の記録紙を得た。
【0056】《インクジェット用記録紙の高濃度発色性
試験例》インクジェットカラープリンター(BJF−6
00:キヤノン社製)を用いて、実施例1〜7及び比較
例1〜10の各記録紙にブラック、シアン、マゼンタ、
イエロー各色のベタ印字を行って、印字後1日経過時点
での画像濃度をマクベス濃度計(RD920)にて測定
し、各記録紙の高濃度発色性を評価した。ちなみに、印
字直後にはインクが濡れた状態にあり、濃度測定が精確
にできないため、1日経過後に実施した。
【0057】図1はその試験結果を示す。未塗工の比較
例1では、ブラック印字部は1.20、シアン印字部は
0.80、マゼンタ印字部は0.93、イエロー印字部は
0.96であり、比較例2〜7と比較例9〜10では、
ブラック印字部は1.22〜1.27、シアン印字部は
0.80〜0.81、マゼンタ印字部は0.91〜0.9
7、イエロー印字部は0.93〜1.00であった。これ
に対して、実施例1〜6の各記録紙では、ブラック印字
部は1.33以上、シアン印字部は0.85以上、マゼン
タ印字部は1.01以上、イエロー印字部は1.04以上
であり、各色相の画像濃度は上記比較例に比べて全て明
らかな増加を示し、良好な高濃度発色性が確認できた。
また、実施例7も実施例1〜6に準じる水準を示した。
【0058】以下、この点をより詳細に検討する。先
ず、実施例1〜6を比較例2、4〜5と対比すると、メ
タクリル酸メチルを主要単量体成分とする重合物又は共
重合物が高濃度発色性の増進に強く寄与することが認め
られる。また、実施例1〜2と比較例3を対比すると、
メタクリル酸メチルとアクリルアミドの共重合物では、
単量体成分として、メタクリル酸メチルが60%以上、
アクリルアミドが40%以下であることが高濃度発色性
には必要であり、しかも、実施例1と2の対比から、高
濃度発色性の増進には、メタクリル酸メチルは80%以
上、アクリルアミドは20%以下が好ましいことが判
る。この場合、実施例2は各色で最も優れた高濃度発色
性を示した。実施例3と比較例6を対比すると、メタク
リル酸メチルの乳化重合物に他の成分としてメタクリル
酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸を含有する場
合、高濃度発色性の増進には不飽和カルボン酸の含有率
は2%以下が好ましいことが判る。また、この不飽和カ
ルボン酸の含有率の高濃度発色性への関与は、メタクリ
ル酸メチルとアクリルアミドの乳化共重合物に他の成分
として不飽和カルボン酸を含有する場合にも共通に窺わ
れた。蓋し、不飽和カルボン酸の含有率が2%を越える
実施例7は比較例8を除く各比較例に比べて概ね良好な
発色性を示したが、不飽和カルボン酸の含有率が2%以
下である実施例4はこの実施例7より優れた高濃度発色
性を示したからである。ちなみに、前述したように、実
施例7は、紫外線吸収剤を除いて、冒述の従来技術4に
開示された単量体の成分構成に準拠したものであるが、
従来技術4の成分構成では、アクリル酸の含有率は2%
を越えている。一方、実施例5と比較例9を対比する
と、メタクリル酸メチルとアクリルアミドの乳化共重合
物に、他の成分としてメタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エス
テルを含有する場合には、高濃度発色性の増進には、こ
のエステルの含有率は20%以下が好ましいことが判
る。尚、メタクリル酸メチルの乳化重合物又は共重合物
においては、比較例7に示すように、他の単量体成分と
してスチレンが含まれると、高濃度発色性を確保するこ
とは困難である。他方、実施例3と比較例10は、ポリ
メタクリル酸メチルを塗工成分とする点で共通するが、
メタクリル酸メチルのポリマー溶液である比較例10で
は発色効果が低く、ポリマー乳化物である実施例3では
発色性が高いことから、高濃度発色性に及ぼすポリマー
形態の重要性は明らかであり、乳化物形態の優位性が確
認できた。また、比較例8は冒述の従来技術2に準拠し
たカチオン性ポリマーの使用例であり、発色性は良好で
あった。
【0059】《インクジェット用記録紙の耐光性試験
例》前記発色性試験例において、最も優れた高濃度発色
性を示した実施例2と、比較例1〜2、8との各記録紙
を選び出し、相対的に光に対して退色し易い傾向のある
マゼンタ印字部をガラス面の下にし、30日間屋外にさ
らした時点で当該印字部の濃度を測定した。そして、3
0日後の画像濃度を初期値と対比することにより、記録
紙の耐光性を評価した。退色への抵抗度を表す保持率は
この30日後の濃度を初期値で除したものである。尚、
当該試験は5月の時期を中心に実施した。
【0060】図2はその試験結果を示す。比較例1の未
塗工紙では保持率は74%、カチオン性ポリマーを使用
した比較例8では68%であった。これに対して、実施
例2の保持率は80%であり、酸化デンプンを使用した
比較例2と同様の水準を示し、良好な耐光性が確認でき
た。前記試験例で良好な発色性を示した比較例8は、耐
光性の点では実施例2より劣り、画像保存性に課題が残
ることが判明した。
【0061】《インクジェット用記録紙の蛍光染料への
影響評価試験例》前記実施例において蛍光染料を塗工成
分に含有する実施例8と比較例11〜12の各記録紙を
用意し、JIS 8148の白色度測定方法に従って、白色度
(%)と蛍光(%)を各々測定した。図3はその試験結果を
示す。本発明の添加剤と酸化デンプンと蛍光染料を併用
した実施例8は、白色度、蛍光の両項目において、酸化
デンプンと蛍光染料を併用した比較例12と同様の水準
を示したことから、蛍光染料の効果を阻害せず、蛍光増
白効果を良好に発現させ得ることが明らかになった。カ
チオン性ポリマーと酸化デンプンと蛍光染料を併用した
比較例11は、白色度、蛍光ともに低い水準であり、蛍
光染料の効果を減殺していることが判明した。これは、
ポリマーのカチオン性に起因して、蛍光染料との化学的
相互作用が働いているためであると推測できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜7及び比較例1〜10の各インクジ
ェット用記録紙の高濃度発色性試験の結果を示す図表で
ある。
【図2】実施例2、比較例1〜2と比較例8の各インク
ジェット用記録紙の耐光性試験結果を示す図表である。
【図3】実施例8及び比較例11〜12の各インクジェ
ット用記録紙の蛍光染料への影響評価試験の結果を示す
図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 27/00 D21H 27/00 Z //(C08F 220/18 (C08F 220/18 220:70) 220:70) (C08F 220/18 (C08F 220/18 220:70 220:70 220:06) 220:06) Fターム(参考) 2H086 BA15 BA21 BA36 4J011 KA02 KA04 KA10 KA29 KB09 KB22 4J100 AJ02R AL03P AM15Q CA04 CA05 FA03 FA04 FA20 4L055 AG70 AG71 AG72 AG89 AH50 BE08 BE10 EA32 FA11 FA12 GA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単量体成分として、メタクリル酸メチル
    98重量%以上を含有する乳化重合物を有効成分とする
    インクジェット記録用添加剤。
  2. 【請求項2】 単量体成分として、メタクリル酸メチル
    を60重量%以上、(メタ)アクリルアミドを40重量%
    以下の割合で含有するメタクリル酸メチルと(メタ)アク
    リルアミドとの乳化共重合物を有効成分とするインクジ
    ェット記録用添加剤。
  3. 【請求項3】 単量体成分として、メタクリル酸メチル
    を80重量%以上、アクリルアミドを20重量%以下の
    割合で含有することを特徴とする請求項2に記載のイン
    クジェット記録用添加剤。
  4. 【請求項4】 メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリ
    ル酸エステルを20重量%以下の割合で含有することを
    特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録
    用添加剤。
  5. 【請求項5】 重合性不飽和カルボン酸を2重量%以下
    の割合で含有することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のインクジェット記録用添加剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット記録用添加剤を基紙に塗工又は内添したこ
    とを特徴とするインクジェット用記録紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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