JP2002045750A - 塗装板の製造方法および製造装置 - Google Patents

塗装板の製造方法および製造装置

Info

Publication number
JP2002045750A
JP2002045750A JP2000361261A JP2000361261A JP2002045750A JP 2002045750 A JP2002045750 A JP 2002045750A JP 2000361261 A JP2000361261 A JP 2000361261A JP 2000361261 A JP2000361261 A JP 2000361261A JP 2002045750 A JP2002045750 A JP 2002045750A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roll
paint
thickness
coating film
film thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000361261A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichiro Iida
真一郎 飯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2000361261A priority Critical patent/JP2002045750A/ja
Publication of JP2002045750A publication Critical patent/JP2002045750A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピックアップロールを備えるロールコータを
用いて鋼帯に塗装を行うことにより塗装鋼板を製造する
際に、得られる塗装板の膜厚の制御精度を顕著に向上
し、これにより、所望の膜厚の塗装鋼板を工業的規模で
安定して量産することができる塗装板の製造方法および
製造装置を提供する。 【解決手段】 少なくとも、ピックアップロール1とア
プリケータロール4とを備えるロールコータ8を用いて
鋼帯6に塗装を行うことにより塗装鋼板10を製造する
際に、ピックアップロール1の表面における凹凸状態を
演算要素として加えて塗装鋼板10の塗膜の厚さを推定
演算し、推定演算した塗膜の厚さに基づいて塗装鋼板1
0の塗膜の厚さを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装板の製造方法
および製造装置に関する。具体的には、本発明は、例え
ば、ロールコータを用いて低粘性の塗料を鋼帯に塗布す
ることにより塗装鋼板を製造する際に、塗膜の厚さを所
望の値に高精度で制御することができる塗装鋼板の製造
方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1および図2は、いずれも、帯状板に
連続的に塗装を行う際に一般的に用いられるロールコー
タ8、9の構成例を示す説明図であって、図1は3ロー
ルにより構成されたロールコータ8を示し、図2は4ロ
ールにより構成されたロールコータ9を示す。なお、以
降の説明では、帯状体が鋼帯である場合を例にとる。
【0003】図1に示すロールコータ8では、金属製の
剛性ロールであるピックアップロール1が矢印方向(時
計回転方向と逆方向)へ回転することによって、ピック
アップロール1の下方に配置された塗料パン2に収容さ
れた塗料3がピックアップロール1の表面に付着して汲
み上げられる。ピックアップロール1の表面に付着して
汲み上げられた塗料3の一部は、弾性体のライニングが
施された弾性ロールであってピックアップロール1に当
接しながら逆方向へ回転するアプリケータロール4の表
面に付着する。これにより、ピックアップロール1の表
面には膜厚hpのウェット塗膜が形成されるとともに、
アプリケータロール4の表面には膜厚h a のウェット塗
膜が形成される。そして、アプリケータロール4の表面
に付着した塗料の一部は、アプリケータロール4に当接
しながら同方向へ回転するバックアップロール5の外周
面に巻き付きながら移動する鋼帯6の表面に付着する。
このようにして、鋼帯6の表面に膜厚hb のウェット塗
膜が形成され、塗装鋼板10が製造される。
【0004】一方、図2に示すロールコータ9では、矢
印方向(時計回転方向と同方向)へ回転するピックアッ
プロール1により汲み上げられた塗料3の一部は、弾性
体のライニングが施された弾性ロールであってピックア
ップロール1に当接しながら逆方向へ回転するメタリン
グロール7の表面に付着する。これにより、ピックアッ
プロール1の表面には膜厚hp のウェット塗膜が形成さ
れる。ピックアップロール1の表面に付着した塗料3の
一部は、弾性体のライニングが施された弾性ロールであ
ってピックアップロール1に当接しながら同方向へ回転
するアプリケータロール4の表面に付着する。これによ
り、アプリケータロール4の表面には膜厚ha のウェッ
ト塗膜が形成され、図1に示すロールコータ8と同様
に、アプリケータロール4の表面に付着した塗料の一部
が、バックアップロール5の外周面に巻き付きながら移
動する鋼帯6の表面に付着する。このようにして、鋼帯
6の表面に膜厚hb のウェット塗膜が形成され、塗装鋼
板10が製造される。
【0005】これらのロールコータ8、9を用いて塗装
鋼板10を高品質および低コストで製造するには、鋼帯
6の表面に形成されるウェット塗膜の膜厚hb を高精度
で制御することが極めて重要である。
【0006】そこで、従来より、ロールコータを用いて
製造される塗装鋼板の膜厚を制御するための技術が多数
提案されている。例えば、特開平5−220441号
公報には、流体潤滑理論に基づいて塗料の比重、固形分
濃度および移動速度により規定されるモデル式を用いて
塗装鋼板の膜厚を制御する発明が、特開平6−335
657公報には、鋼板の表裏面を同時に塗装する際に鋼
板を挟み込むロールの押付力を膜厚制御因子として用い
て塗装鋼板の膜厚を制御する発明が、さらに、特開平
7−171488号公報には、弾性流体潤滑理論を適用
して求めた膜厚制御式により膜厚を制御する際に、ずり
速度と実測見かけ粘度との関係から真の見かけ粘度を求
めることにより塗装鋼板の膜厚を制御する発明が、それ
ぞれ開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者の検
討によると、特開平5−220441号公報や特開平6
−335657公報さらには特開平7−171488号
公報等により開示された、これらの従来の膜厚制御技術
を適用して薄膜の塗装鋼板10を製造しようとすると、
塗装鋼板10の膜厚を高精度で制御することが難しいこ
とに起因して、所望の膜厚の塗装鋼板10を安定的に量
産できないことがわかった。
【0008】本発明の目的は、このような従来の技術が
有する課題に鑑みてなされたものであり、ピックアップ
ロールを備えるロールコータを用いて、例えば鋼帯等の
帯状体に塗装を行うことにより塗装鋼板等の塗装板を製
造する際に、得られる塗装板の膜厚の制御精度を顕著に
向上することができ、これにより、所望の膜厚の塗装板
を工業的規模で安定して量産することができる塗装板の
製造方法および製造装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】一般的に、図1に示すロ
ールコータ8や図2に示すロールコータ9を用いて、粘
度が例えば数mPa・s程度の低粘性の塗料3を塗布し
ようとすると、ピックアップロール1による塗料3の汲
み上げ量が十分に得られないことに起因して所望の膜厚
を確保できないことがある。そこで、通常、ピックアッ
プロール1の表面には規則的または不規則的に微少な凹
部が刻設されており、この凹部を設けることによりピッ
クアップロール1による塗料3の汲み上げ量を確保して
いる。
【0010】本発明者の知見によれば、前述した従来の
各技術により求められたウェット塗膜の推定演算値を用
いてピックアップロール1等の各ロールの周速度を適宜
制御することによって塗装鋼板10のウェット塗膜の膜
厚hb を制御しようとしても、これらの従来の技術はい
ずれもピックアップロール1の表面に形成された凹部の
存在を考慮していないため、ウェット塗膜の膜厚hb
推定演算値にはこの凹部からの塗料供給量に起因した誤
差が不可避的に含まれてしまい、塗装鋼板10の膜厚の
制御精度が低下してしまう。
【0011】また、本発明者は、互いに当接しながら回
転するロール同士の間における塗料の分配量を正確に推
定演算するためには、例えば各ロールの回転方向等によ
り影響される塗料の変形挙動を反映することが有効であ
ることも知見した。
【0012】そこで、本発明者は、上記課題を解決する
ためにこれらのロールコータ8、9のピックアップロー
ル1について詳細に検討した結果、表面に凹部が規則的
もしくは不規則的に刻設されたピックアップロールを備
えるロールコータを用いて鋼帯等の帯状体に塗装を行う
ことにより塗装板を製造する際に、剛性ロールの表面に
おける凹凸状態、さらには必要に応じて、互いに当接し
ながら回転するロール同士の間における塗料の変形挙動
に基づいて、塗装板の塗膜の厚さを制御することによ
り、塗装板の膜厚の制御精度を向上することができるこ
とを新規に知見して、本発明を完成した。
【0013】ここに、本発明は、少なくとも、回転しな
がら塗料を汲み上げる例えば剛性ロール等のロールと、
回転しながらこのロールおよび搬送される帯状体にそれ
ぞれ当接する第1の弾性ロールとを備えるロールコータ
を用いて帯状体に塗装を行うことにより塗装板を製造す
る際に、ロールの表面における凹凸状態を演算要素とし
て加えて塗装板の塗膜の厚さを推定演算し、推定演算し
たこの塗膜の厚さに基づいて塗装板の塗膜の厚さを制御
することを特徴とする塗装板の製造方法である。
【0014】本発明は、具体的には、少なくとも、回転
しながら塗料を汲み上げるロールと、回転しながらこの
ロールおよび搬送される帯状体にそれぞれ当接する第1
の弾性ロールとを備えるロールコータを用いて帯状体に
塗装を行うことにより塗装板を製造する際に、ロールの
表面に刻設された凹部からの塗料供給量を演算要素とし
て加えて第1の弾性ロールの表面における塗料付着量を
推定演算し、推定演算したこの塗料付着量を用いて塗装
板の塗膜の厚さを推定演算し、推定演算したこの塗膜の
厚さに基づいて塗装板の塗膜の厚さを制御することを特
徴とする塗装板の製造方法である。
【0015】この本発明にかかる塗装板の製造方法で
は、第1の弾性ロールの表面における塗料付着量が、ロ
ールおよび第1の弾性ロールの間に存在する塗料の変形
挙動に応じて、推定演算されることが、望ましい。
【0016】この場合に、塗料の変形挙動は、ロールお
よび第1の弾性ロールそれぞれの回転方向の異同により
決定される塗料の潤滑状態であり、塗料付着量は、塗料
の潤滑状態が流体潤滑状態である場合には流体潤滑状態
であることに基づいた第1の理論により推定演算され、
塗料の潤滑状態が境界潤滑状態である場合には第1の理
論とは異なるとともに境界潤滑状態であることに基づい
た第2の理論により推定演算されることが、例示され
る。
【0017】また、本発明は、少なくとも、回転しなが
ら塗料を汲み上げるロールと、回転しながらロールおよ
び搬送される帯状体にそれぞれ当接する第1の弾性ロー
ルとを備えるロールコータを用いて帯状体に塗装を行う
ことにより塗装板を製造する際に、ロールおよび第1の
弾性ロールの間に存在する塗料の潤滑状態が流体潤滑状
態である場合には流体潤滑状態であることに基づいた第
1の理論により、塗料の潤滑状態が境界潤滑状態である
場合には第1の理論とは異なるとともに境界潤滑状態で
あることに基づいた第2の理論により、第1の弾性ロー
ルの表面における塗料付着量をそれぞれ推定演算し、推
定演算した塗料付着量を用いて塗装板の塗膜の厚さを推
定演算し、推定演算した塗膜の厚さに基づいて塗装板の
塗膜の厚さを制御することを特徴とする塗装板の製造方
法である。
【0018】具体的には、前記塗料の潤滑状態が流体潤
滑状態または境界潤滑状態であるかは、前記のロールお
よび第1の弾性ロールそれぞれの回転方向の異同により
決定される。例えば、前記ロールと第1の弾性ロールと
が互いに同方向へ回転する場合には、塗料付着量は第2
の理論により推定演算され、一方、ロールと第1の弾性
ロールとが互いに逆方向へ回転する場合には、塗料付着
量は第1の理論により推定演算されることが、望まし
い。
【0019】また、これらの本発明にかかる塗装板の製
造方法において、ロールコータが、ロールの回転方向と
は逆方向へ回転しながらロールに当接することによって
ロールの表面における塗料付着量を調節する第2の弾性
ロールを備え、ロールの表面における塗料付着量が、流
体潤滑状態であることに基づく第1の理論により推定演
算されるものであってもよい。この場合、ロールの表面
における塗料付着量が、さらに、このロールの表面に刻
設された凹部から第2の弾性ロールに供給される塗料供
給量を演算要素として加えて、推定演算されることが、
望ましい。
【0020】また、本発明は、回転しながら塗料を汲み
上げるロールと、回転しながらこのロールおよび搬送さ
れる帯状体にそれぞれ当接する第1の弾性ロールとを少
なくとも備えるロールコータを用いて帯状体に塗装を行
うことによって塗装板を製造する際に、帯状体の塗膜の
厚さを略一定とすることが可能な、ロールコータを構成
する各ロールそれぞれのロール周速度の関係を、予め求
めておき、帯状体の速度が変更される際には、各ロール
それぞれのロール周速度の関係に基づいて、ロールコー
タを構成する各ロールのうちの少なくとも一つのロール
のロール周速度を変更することを特徴とする塗装板の製
造方法である。
【0021】この本発明にかかる塗装板の製造方法で
は、ロールコータが、ロールの回転方向とは逆方向へ回
転しながら当接することによりこのロールの表面におけ
る塗料付着量を調節する第2の弾性ロールを備えていて
もよい。
【0022】さらに別の観点からは、本発明は、回転し
ながら塗料を汲み上げるロール、および回転しながらこ
のロールと搬送される帯状体とにそれぞれ当接する第1
の弾性ロールを少なくとも備えるロールコータと、ロー
ルコータを構成する各ロールそれぞれのロール周速度制
御手段と、搬送される帯状体の搬送速度が変更される際
には、帯状体の塗膜の厚さを一定とすることが可能な、
ロールコータを構成する各ロールそれぞれのロール周速
度の関係に基づいてロール周速度制御手段に制御信号を
出力し、各ロールのうちの少なくとも一つのロールのロ
ール周速度を変更する制御装置とを備えることを特徴と
する塗装板の製造装置である。
【0023】この本発明にかかる塗装板の製造装置は、
ロールコータが、ロールの回転方向とは逆方向へ回転し
ながら当接することによりこのロールの表面における塗
料付着量を調節する第2の弾性ロールを備えていてもよ
い。
【0024】これらの本発明にかかる塗装板の製造装置
においては、さらに、帯状体の膜厚を求める手段を有す
るとともに、制御装置が、膜厚を求める手段により得ら
れた膜厚が所定範囲にない場合には、ロール周速度を変
更した各ロールのうちの少なくとも一つのロールのロー
ル周速度をさらに変更する制御信号を、ロール周速度制
御手段に出力することが、望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明にかかる塗装板の製造方法および製造装置の実施の形
態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
以降の説明では、「帯状体」が鋼帯である場合を例にと
る。
【0026】本実施の形態では、図1に示す前述したロ
ールコータ8を用いた。すなわち、ピックアップロール
1が矢印方向(時計回転方向と逆方向)へ回転すること
によって、ピックアップロール1の下方に配置された塗
料パン2に収容された塗料3が金属製のピックアップロ
ール1の表面に付着して汲み上げられる。このピックア
ップロール1は、本発明における「ロール」に相当し、
本実施の形態では金属性の剛性ロールを用いた。
【0027】そして、ピックアップロール1の表面に付
着して汲み上げられた塗料3の一部は、弾性体のライニ
ングが施されるとともにピックアップロール1とは逆方
向へ回転するアプリケータロール4の表面に分流して付
着する。このアプリケータロール4は、本発明における
「第1の弾性ロール」に相当する。これにより、ピック
アップロール1の表面には膜厚hp のウェット塗膜が形
成されるとともに、アプリケータロール4の表面にも膜
厚ha のウェット塗膜が形成される。
【0028】本発明者は、単位面積当たりの体積が異な
る凹部を外周面に有する種々のピックアップロール1に
ついて、ピックアップロール1と、アプリケータロール
4と、バックアップロール5の外周面の一部に巻き付き
ながら搬送される鋼帯6とのそれぞれの表面のウェット
塗膜の膜厚hp 、ha およびhb をそれぞれ測定し、ピ
ックアップロール1の単位面積あたりの凹部体積がウェ
ット膜厚ha 、hb に及ぼす影響を調べた。その結果、
以下の知見(1)〜(3)を得た。
【0029】(1)ピックアップロール1とアプリケー
タロール4との間における塗料3の通過流量は、ピック
アップロール1およびアプリケータロール4が互いに逆
方向に回転している場合(本明細書では「ナチュラル回
転」という)には、ピックアップロール1およびアプリ
ケータロール4を通過する膜厚は比較的厚いために両ロ
ール間における流動状況は流体潤滑状態であると考えら
れることから、例えば前述した特開平5−220441
号公報により開示された発明においても用いられている
流体潤滑理論により算出される通過流量と、ピックアッ
プロール1の凹部から供給される供給流量との和とし
て、求めることができる。
【0030】(2)アプリケータロール4から鋼帯6へ
の塗料3の分流量は、アプリケータロール4の表面に存
在する塗料流量に依存する。 (3)アプリケータロール4から鋼帯6へ塗料3が分流
する際には、アプリケータロール4および鋼帯6が互い
に同方向に回転している(本明細書では「リバース回
転」という)ため、アプリケータロール4と鋼帯6との
間を通過する塗料流量は比較的薄い。このため、アプリ
ケータロール4から鋼帯6へ供給される塗料の流動状況
はもはや流体潤滑状態ではなく、境界潤滑状態に移行し
ているものと考えられる。したがって、アプリケータロ
ール4から鋼帯6へ供給される塗料3の通過流量を算出
する際、ナチュラル回転時には流体潤滑理論を適用でき
るものの、図1に示すようなリバース回転時には流体潤
滑理論は適用できない。
【0031】そこで、以降、これらの知見(1)〜
(3)に基づいて、鋼帯6の表面におけるウェット塗膜
の膜厚hb を推定演算する手順を順次説明する。まず、
図1に示すロールコータ8において、ピックアップロー
ル1とアプリケータロール4との間の間隙は、両ロール
を離れた状態から徐々に接近させて互いに接触させた瞬
間の状態、すなわちいわゆる「キスタッチ」の状態から
押し込み量Npa(m)だけさらに押し込んだ場合、これ
らの両ロールに生じる単位ロール幅当たりに生じる荷重
Pは、ヘルツの接触圧の式に基づき(1)式により求め
られる。
【0032】
【数1】 ただし、(1)式において、符号Eは弾性体の弾性率で
あり、符号νはポアソン比であり、符号Rはロール半径
(m)であり、符号ωは接触長(m)である。なお、
(1)式における添字aはアプリケータロール4につい
ての値であることを示し、添字pはピックアップロール
1についての値であることを示す。
【0033】(1)式において、Npa≪Ra +Rp 、か
つEa ≪Ep であることと、ロール変形の幾何学形状と
を勘案することにより、近似的に(2)式が得られる。
【0034】
【数2】 ここで、ピックアップロール1とアプリケータロール4
との両ロールが回転することにより生じる流体潤滑状態
によって両ロールの間に距離hO (m)の隙間が新たに
形成されたとすると、このときの単位ロール幅当たりに
生じる荷重Pは、(3)式により与えられる。
【0035】
【数3】 (3)式において、符号Hは弾性体のライニング厚さ
(m)であり、符号κ1p a 、κ2pa はいずれも係数であ
る。
【0036】また、ピックアップロール1とアプリケー
タロール4との間の形状をくさび形流路と考えると、単
位ロール幅当たりに生じる荷重Pは、(4)式により与
えられる。
【0037】
【数4】 (4)式において、符号Ua はアプリケータロール4の
周速度(m/s)であり、符号Up はピックアップロー
ル1の周速度(m/s)であり、符号μは粘度(Pa・
s)であり、符号αは係数である。
【0038】ここで、(3)式における荷重Pの値と、
(4)式により求められる荷重Pの値とは等しいことか
ら、(3)式および(4)式より、潤滑膜厚hO
(5)式として求められる。
【0039】
【数5】 また、本実施の形態では、ピックアップロール1の表面
における凹部が刻設されていることを勘案する。すなわ
ち、ピックアップロール1の表面における凹凸状態を演
算要素として加え、これにより、ピックアップロール1
の表面における凹部によりピックアップロール1とアプ
リケータロール4との間に持ち込まれる流量QC (m3
/s/m)を、(6)式により求める。
【0040】
【数6】 (6)式において、符号Vは単位凹部体積(m3 )であ
り、符号Aは単位凹部面積(m2 )であり、符号γは係
数である。
【0041】このように、本実施の形態では、ピックア
ップロール1に刻設された凹部の単位面積当たりの体
積、すなわち剛性ロールの表面における凹凸状態を演算
要素として加え、この凹部によりピックアップロール1
とアプリケータロール4との間に持ち込まれる流量QC
(m3 /s/m)を求める。
【0042】したがって、ピックアップロール1とアプ
リケータロール4との間における単位ロール幅当たりの
通過流量Qt (m3 /s/m)は、(7)式により与え
られる。
【0043】
【数7】 (7)式において、符号βは係数であり、1/Rpa
(1/2)×{(1/R p )+(1/Ra )}である。
【0044】この際、アプリケータロール4とピックア
ップロール1との間における塗料の分離挙動すなわち塗
料の潤滑状態は、前述したように流体潤滑状態であると
考えられるため、流体潤滑理論(本発明における「第1
の理論」に相当する)に基づいて、アプリケータロール
4上の流量Qa (m3 /s/m)、すなわちアプリケー
タロール4上の塗料付着量Qa (m3 /s/m)は、
(8)式により推定演算される。
【0045】
【数8】 そして、(8)式により推定演算されたアプリケータロ
ール4上の塗料付着量Qa (m3 /s/m)の一部は、
アプリケータロール4と同方向へ回転するバックアップ
ロール5の表面に接触しながら移動する鋼帯6の表面に
付着する。この際、前述したように、アプリケータロー
ル4から鋼帯6への塗料の分離挙動すなわち塗料の潤滑
状態は、境界潤滑状態であることから、流体潤滑理論
(第1の理論)とは異なるとともに境界潤滑状態である
ことに基づいた境界潤滑理論(本発明における「第2の
理論」に相当する)によって、鋼帯6の表面に付着され
ずにアプリケータロール4の表面に残存する塗料塗り抜
け流量QL (m3 /s/m)は、(9)式に示すよう
に、アプリケータロール4による供給量に比例する。
【0046】
【数9】 (9)式において、符号δは塗り抜け係数を示す。
【0047】このため、鋼帯6の表面のウェット膜厚h
b (m)は、(8)式および(9)式を組み合わせるこ
とにより、(10)式により推定演算される。
【0048】
【数10】 (10)式において、符号Ub はライン速度(m/s)
を示す。
【0049】このようにして、本実施の形態によれば、
表面に凹部が規則的もしくは不規則的に刻設されたピッ
クアップロール1を備えるロールコータ8を用いて鋼帯
6に塗装を行うことにより塗装鋼板10を製造する際
に、ピックアップロール1の表面における凹部からの塗
料供給量と、各ロール間に存在する塗料の変形挙動とを
勘案して、アプリケータロール4の表面に残存する塗料
付着量を推定演算し、この推定演算値に基づいて(1
0)式により塗装鋼板10のウェット塗膜の膜厚h b
推定演算により求めることができる。
【0050】このため、この塗装鋼板10のウェット塗
膜の膜厚hb の推定演算値を、塗装鋼板10のウェット
塗膜の膜厚hb の目標値と相対的に比較し、推定演算値
を目標値に一致させるべく、塗装鋼板10のウェット塗
膜の膜厚hb を制御すればよい。なお、塗装鋼板10の
ウェット塗膜の膜厚hb の制御は、周知慣用の手段によ
ればよい。このようにして、本実施の形態によれば、塗
装鋼板10のウェット塗膜の厚さhb の制御精度を著し
く向上することができる。
【0051】また、従来から、塗装鋼板10のウェット
塗膜の膜厚hb の制御範囲が広範囲にわたる場合には、
ピックアップロールを組み替えて、凹部の体積が異なる
別のピックアップロール1’を用いることによって、膜
厚を制御することが、しばしば行われてきた。しかし、
ピックアップロール1の凹部の体積を変更した場合に
は、この変更に応じてピックアップロール1’のロール
周速度を最適値に制御し直さなければ、目標とする膜厚
b を高精度で得ることができなくなる。このため、従
来は、ピックアップロール1の組み替えを行う度に、そ
のピックアップロール1’を用いたロールコータ8にお
ける塗布特性をモデル試験等を行うことにより事前に把
握することを余儀なくされており、生産能率の低下を甘
受しなければならなかった。
【0052】これに対し、本実施の形態によれば、ピッ
クアップロール1をピックアップロール1’に変更する
ことによって凹部の体積が変更されても、鋼帯6の表面
のウェット塗膜の膜厚hb を、(10)式により簡単か
つ正確に推定演算することができるため、従来のように
モデル試験等を行ってピックアップロール1’を用いた
ロールコータ8における塗布特性を調べる必要がない。
このため、本実施の形態によれば、ピックアップロール
1の組み替えを行って凹部の体積を変更した場合にも、
生産能率の低下を必要最小限に抑制しながら、塗装鋼板
10のウェット塗膜の膜厚hb を広範囲で制御すること
が可能となる。
【0053】(第2の実施の形態)以下、第2の実施の
形態を説明する。なお、以降の本実施の形態の説明は、
前述した第1の実施の形態と相違する部分について行う
こととし、第1の実施の形態と共通する部分については
同一の図中符号を付すことにより、重複する説明は適宜
省略する。
【0054】本実施の形態では、図2に示すロールコー
タ9を用いた。すなわち、図2において、矢印方向(時
計回転方向と同方向)へ回転するピックアップロール1
(剛性ロール)により汲み上げられた塗料3の一部は、
弾性体のライニングが施されるとともにピックアップロ
ール1に当接しながら逆方向へ回転するメタリングロー
ル7の表面に付着する。このメタリングロール7は、本
発明における「第2の弾性ロール」に相当する。
【0055】本発明者は、単位面積当たりの体積が異な
る凹部を有する種々のピックアップロール1について、
メタリングロール7、ピックアップロール1、アプリケ
ータロール4(第1の弾性ロール)および鋼帯6それぞ
れの表面のウェット塗膜の膜厚hm 、hp 、ha および
b を測定し、ピックアップロール1の単位面積あたり
の凹部体積がウェット膜厚hm 、hp 、ha およびhb
に及ぼす影響を、調べた。その結果、以下の知見(4)
〜(6)を得た。
【0056】(4)メタリングロール7とピックアップ
ロール1との間の通過流量は、メタリングロール7とピ
ックアップロール1とがナチュラル回転していることか
らピックアップロール1およびメタリングロール7の間
を通過する膜厚は比較的厚く、この間における流動状況
は流体潤滑状態であると考えられる。このため、ピック
アップロール1の表面における塗料付着量は、流体潤滑
理論(第1の理論)により求められる通過流量と、ピッ
クアップロール1の凹部から供給される供給流量との和
として求めることができる。
【0057】(5)ピックアップロール1からアプリケ
ータロール4への塗料3の分流時における塗料3の分流
量(塗料塗り抜け量)、およびアプリケータロール4か
ら鋼帯6への塗料3の分流時における塗料3の分流量
(塗料塗り抜け量)は、いずれも、リバース回転である
ことからロール間を通過する流量は比較的薄く、この場
合はもはや流体潤滑ではなく、境界潤滑の状態に移行し
ていると考えられる。このため、アプリケータロール4
の表面における塗料付着量、および鋼帯6の表面におけ
る塗料付着量は、いずれも、流体潤滑理論(第1の理
論)ではなく、塗料の潤滑状態が境界潤滑状態にあるこ
とに基づいた境界潤滑理論(第2の理論)を用いて推定
演算することができる。
【0058】(6)すなわち、前述した第1の実施の形
態と対比することから明らかなように、アプリケータロ
ール4の表面における塗料付着量を正確に推定演算する
には、ピックアップロール1およびアプリケータロール
4の間に存在する塗料3の変形挙動を把握する必要があ
る。この変形挙動は、ピックアップロール1およびアプ
リケータロール4それぞれの回転方向の異同により決定
される塗料3の潤滑状態であり、この塗料3の潤滑状態
が、第1の実施の形態のように流体潤滑状態である場
合には流体潤滑理論(第1の理論)を用い、本実施の
形態のように境界潤滑状態である場合には境界潤滑理論
(第2の理論)を用いる。
【0059】そこで、以降、これらの知見(4)〜
(6)に基づいて、鋼帯6の表面におけるウェット塗膜
の膜厚hb を推定演算する手順を順次説明する。このロ
ールコータ9において、凹部が刻設されたピックアップ
ロール1とメタリングロール7との間の通過流量Q
t (m3 /s/m)は、(11)式により与えられる。
【0060】
【数11】 (11)式において、符号Um はメタリングロール7の
周速度(m/s)であり、符号Up はピックアップロー
ル1の周速度(m/s)であり、符号Em はメタリング
ロール7にライニングされた弾性体の弾性率であり、符
号νm はポアソン比であり、符号μは粘度であり、符号
α、β及びγはいずれも定数である。
【0061】ピックアップロール1の表面に付着した塗
料3の一部は、ピックアップロール1と逆方向へ回転す
るメタリングロール7の表面に付着する。これにより、
メタリングロール7の表面には膜厚hm のウェット塗膜
が形成され、ピックアップロール1の表面には膜厚hp
のウェット塗膜が形成される。ピックアップロール1の
表面に付着した塗料3の一部は、ピックアップロール1
と同方向へ回転するアプリケータロール4の表面に付着
する。これにより、アプリケータロール4の表面には膜
厚ha のウェット塗膜が形成される。
【0062】ここで、メタリングロール7とピックアッ
プロール1との間で塗料3が分流した後に、ピックアッ
プロール1の表面に残る流量Qp (m3 /s/m)、す
なわちピックアップロール1の表面における塗料付着量
Qp (m3 /s/m)は、流体潤滑理論(第1の理論)
を用いて(12)式により推定演算される。
【0063】
【数12】 次に、ピックアップロール1からアプリケータロール4
へ転写するときの塗り抜け係数をζとするとともに、ア
プリケータロール4から鋼帯6へ塗料が転写するときの
塗り抜け係数をδとすると、鋼帯6上のウェット膜厚h
b (m) は、境界潤滑理論(第2の理論)を用いて(1
3)式により推定演算される。
【0064】
【数13】 このようにして、図1に示すロールコータ8と同様に、
アプリケータロール4の表面に付着した塗料の一部は、
バックアップロール5の外周面に接触しながら搬送され
る鋼帯6の表面に付着する。
【0065】このようにして、鋼帯6の表面に膜厚hb
のウェット塗膜が形成され、塗装鋼板10が製造され
る。本実施の形態によれば、表面に凹部が規則的もしく
は不規則的に刻設されたピックアップロール1を備える
ロールコータ9を用いて鋼帯6に塗装を行うことにより
塗装鋼板10を製造する際に、ピックアップロール1の
表面における凹凸状態を勘案して、(13)式により塗
装鋼板10のウェット塗膜の厚さhb を推定演算するこ
とができる。このため、第1の実施の形態と同様に、こ
の推定演算値に基づいて塗装鋼板10のウェット塗膜の
厚さhb を制御することができる。このため、本実施の
形態によれば、第1の実施の形態と同様に、塗装鋼板1
0のウェット塗膜の厚さhb の制御精度を向上すること
ができる。
【0066】また、第1の実施の形態においても説明し
たように、塗装鋼板10のウェット膜厚の制御範囲が広
範囲にわたりピックアップロールの組み替えを必要とす
る場合にも、本実施の形態によれば、鋼帯6の表面のウ
ェット膜厚hb (m) を、(13)式により簡単かつ正確
に求めることができるため、組み替えたピックアップロ
ールを用いたロールコータ9における塗布特性を調べる
必要がない。このため、本実施の形態によれば、ピック
アップロールの組み替えを行って凹部の体積を変更した
場合にも、生産能率の低下を必要最小限に抑制しなが
ら、塗装鋼板10のウェット塗膜の膜厚hb を広範囲で
制御することが可能となる。
【0067】(第3の実施の形態)図3は、本実施の形
態で用いる塗装鋼板10の製造装置11の構成を示す説
明図である。なお、この製造装置11では、図2に示す
ロールコータ9と同一の構成要素については、同一の図
中符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0068】同図に示すように、本実施の形態の製造装
置11は、第2の実施の形態と同様に、回転しながら塗
料を汲み上げるピックアップロール(剛性ロール)1、
および回転しながらピックアップロール1と搬送される
鋼帯10とにそれぞれ当接するアプリケータロール4
(第1の弾性ロール)と、ピックアップロール1の回転
方向とは逆方向へ回転しながら当接することによりピッ
クアップロール1の表面における塗料付着量を調節する
メタリングロール(第2の弾性ロール)7と、鋼帯10
を搬送するバックアップロール5とを備えるロールコー
タ9を有する。
【0069】また、この製造装置11は、このロールコ
ータ9を構成する各ロール、すなわちピックアップロー
ル1、アプリケータロール4、バックアップロール5お
よびメタリングロール7それぞれのロール周速度制御手
段1a、4a、5a、7aを有する。本実施の形態で
は、ロール周速度制御手段1a、4a、5a、7aは、
各ロールの周速度を検出するための回転計(図示しな
い)を備えるものであり、周知慣用のものを用いた。
【0070】また、本実施の形態の製造装置11は制御
装置12を備える。制御装置12は、ロール周速度制御
手段1a、4a、5a、7aにそれぞれ制御信号を出力
することにより、ピックアップロール1、アプリケータ
ロール4、バックアップロール5およびメタリングロー
ル7それぞれのロール周速度を変更する。特に、バック
アップロール5のロール周速度を変更することにより、
鋼帯10の搬送速度が変更される。
【0071】また、制御装置12は、鋼帯10の塗膜の
厚さを一定とすることが可能な、ロールコータを構成す
る各ロールそれぞれのロール周速度の関係を、演算式ま
たはテーブル値として予めその記憶部に有しており、搬
送される鋼帯10の搬送速度、すなわちバックアップロ
ール5の回転速度が変更される際には、この関係に基づ
いてロール周速度制御手段1a、4a、7aに制御信号
をそれぞれ出力し、各ロール1、4、7のうちの少なく
とも一つのロールのロール周速度を変更する。
【0072】さらに、制御装置12は、鋼帯10のウェ
ット膜厚を求める手段13を有する。本実施の形態で
は、この手段13として、周知慣用のウェット膜厚計を
用いた。このウェット膜厚計13の測定値は制御装置1
2に入力される。
【0073】制御装置12は、ウェット膜厚計13によ
り得られた膜厚が所定範囲にない場合には、上述したよ
うに制御装置12からの制御信号によりロール周速度を
変更された各ロール1、4、7のうちの少なくとも一つ
のロールのロール周速度をさらに変更する制御信号を、
ロール周速度制御手段1a、4a、7aに出力する。以
下、この制御装置12における上記のテーブル値または
演算式について説明する。
【0074】本実施の形態の製造装置11における制御
装置12は、概説すると、各ロール1、4、7の回転方
向および表面形状(凸部の有無)を勘案して導出した関
係式から相対するロール間の塗料3の流量比を推定演算
することによって下流側に位置するロールの膜厚を順次
推定演算していき、最終的に鋼帯10上の膜厚を推定演
算するものである。
【0075】すなわち、回転する各ロール1、4、7の
表面に付着して移送される塗料3のロール単位幅当たり
の流量は、ロール周速度とウェット膜厚との積として、
それぞれ演算される。
【0076】例えば、図3において、互いにナチュラル
回転するメタリングロール7とピックアップロール1と
の間において、両ロール7、1が分離した後のメタリン
グロール7およびピックアップロール1上の単位幅当た
りの流量をそれぞれQm およびQp とするとともに、互
いにリバース回転するピックアップロール1とアプリケ
ータロール4との間において、ピックアップロール1か
らアプリケータロール4に転写された単位幅当たりの流
量をQa とし、さらに互いにリバース回転するアプリケ
ータロール4から鋼板10(あるいはバックアップロー
ル5)に転写された単位幅当たりの流量をQb とする。
【0077】この場合、メタリングロール7と凹部を有
するピックアップロール1との間においては、液分離後
の両ロール7、1の流量比Qm /Qp は、両ロール7、
1の周速比Um /Up のべき乗で表されることが実験的
に明らかになった。すなわち、液分離後の両ロール7、
1の流量比Qm /Qp は、
【0078】
【数14】 として表される。
【0079】また、ピックアップロール1の表面に、単
位体積がVであって開口面積がAである凹部が刻設され
ている場合、リバース回転によりピックアップロール1
からアプリケータロール4に塗料が転写される挙動は、
ピックアップロール1による供給流量Qp とアプリケー
タロール4への転写流量Qa との比Qa /Qp により表
現でき、この流量比Qa /Qp は、両ロール周速比Ua
/Up のべき乗と、ピックアップロール1の平均凹部深
さV/Aに対するピックアップロール1の凹部内に残っ
ている平均膜厚hp との比hp /(V/A)のべき乗に
依存することが実験的に明らかとなった。この関係式を
数式で示すと、
【0080】
【数15】 となる。
【0081】さらに、リバース回転でアプリケータロー
ル4から鋼帯10に転写するとき、アプリケータロール
4から鋼帯10への供給流量Qa と鋼帯10への転写流
量Q b との比Qb /Qa は、ロール周速比に依存せずに
一定となることが実験的に明らかとなった。この関係を
数式で示すと、
【0082】
【数16】 となる。
【0083】ここで、本発明者の知見によれば、表面に
凹部を有するピックアップロール1を用いる場合、ナチ
ュラル回転するピックアップロール1とメタリングロー
ル7との間を通過する塗料3の流量は、弾性潤滑状態と
ヘルツ接触状態とを考慮するだけでは求めることができ
ず、凹部による塗料の供給を考慮しなければならないこ
とがわかった。このため、凹部を有するピックアップロ
ール1では、凹部による塗料の供給量の算出が重要にな
る。本発明者の知見によれば、凹部による塗料の供給量
は、平均凹部深さV/Aとピックアップロール1の周速
度との積に比例することが明らかとなった。さらに、両
ロール7、1間の通過流量は、メタリングロール7の表
面にライニングされているウレタンゴム等の弾性体の物
性値(ヤング率、ポアソン比ν、弾性体厚H)、ピック
アップロール1およびメタリングロール7間の負の押込
量N、さらにはピックアップロール1およびメタリング
ロール7のロール半径Rp 、Rm にも依存する。このた
め、両ロール間の通過流量Qt は、これら因子を含む関
数Fにより
【0084】
【数17】 として表される。
【0085】ここで、両ロール間の通過流量Qt は、
【0086】
【数18】 である。よって、鋼帯10に塗布されるウェット膜厚h
は、(18)式に(14)式を代入してQm を消去して
p で表し、このQp に(15)式を代入してQ p を消
去してQa で表し、このQa に(16)式を代入してQ
b で表し、最後にこのQb をライン速度Ub で除すこと
によって、推定演算される。したがって、鋼帯10に塗
布されるウェット膜厚hは、ピックアップロールの平均
セル体積V/Aを考慮した下記式、すなわち
【0087】
【数19】 として示される膜厚推定式から、推定演算される。
【0088】このように、膜厚推定式には、メタリング
ロール7の周速度、ピックアップロール1の周速度、ア
プリケータロール4の周速度およびバックアップロール
5の周速度(ライン速度)が複雑に関与している。当然
ながら、ロールコータ9にこの膜厚推定式を用いて鋼帯
10の膜厚を制御することはできるが、膜厚変動に対し
て各因子毎にこの膜厚推定式を解くことは事実上不可能
であるため、実際にはオンラインで繰り返し計算を行っ
て操業条件を決定する必要がある。
【0089】しかし、この方法では、繰り返し計算に若
干の時間を要するためにこの膜厚推定式に基づいて、鋼
帯10の塗膜厚と各ロールの周速度との間に成り立つ関
係を単純化することが有効である。
【0090】そこで、本実施の形態の制御装置12は、
各ロールの周速度とライン速度以外の操業因子とを一定
とした場合に鋼帯10の塗膜厚が一定となるようなロー
ル周速度の組合せを、膜厚推定式を用いた繰り返し計算
から予め求め、これを記憶部に保有させておき、得られ
た計算結果から塗膜厚とロール周速度との関連式を導出
するか、若しくは、同様に得られた塗膜厚とロール周速
度との組合せを一覧表等の形式でデータベース化してお
く。そして、制御装置12は、ロールコータ9で鋼帯1
0に塗布される塗膜厚を制御する際に、この関連式若し
くは一覧表を参照することにより、迅速かつ容易に、各
ロールの周速度を設定できる。これにより、鋼帯10の
膜厚を制御することができる。
【0091】すなわち、本実施の形態の制御装置12
は、鋼帯10の塗膜の厚さを略一定とすることが可能
な、ロールコータ9を構成する各ロール1、4、5、7
それぞれのロール周速度の関係を、予め求めて記憶部に
保有しておき、鋼帯10の速度が変更される際には、各
ロール1、4、5、7それぞれのロール周速度の関係に
基づいて、ロールコータ9を構成する各ロール1、4、
5、7のうちの少なくとも一つのロールのロール周速度
を変更し、これにより、鋼帯10の搬送速度の変更にか
かわらず、鋼帯10の塗膜の厚さを略一定とするのであ
る。
【0092】図4は、制御装置12による膜厚制御の手
順の一例を示すフローチャートである。同図に示すよう
に、ステップ(以下、「S」と略記する)1において、
鋼帯10の目標膜厚が入力される。そして、S2に移行
する。
【0093】S2において、操業するライン速度が取得
される。そしてS3に移行する。S3において、制御装
置12の記憶部に記憶された関連式若しくは一覧表を用
いて、S1において入力された目標膜厚を満足すること
ができるメタリングロール7、ピックアップロール1お
よびアプリケータロール4それぞれの周速度が算出され
る。そして、S4に移行する。
【0094】S4において、S3において算出されたメ
タリングロール7、ピックアップロール1およびアプリ
ケータロール4それぞれの周速度の結果が、各ロール周
速度制御装置1a、4a、7aに送られ、各ロールの周
速度1、4、7が変更される。そして、S5に移行す
る。
【0095】S5において、ウェット膜厚計13による
ウェット膜厚(若しくは乾燥膜厚)の測定値が、制御装
置12に入力される。そして、S6に移行する。S6に
おいて、S5において入力されたウェット膜厚の測定値
が目標膜厚の範囲内である場合にはS2に移行する。一
方、範囲外である場合にはS7に移行する。
【0096】S7において、両膜厚の差分が計算されて
S8に移行する。S8において、計算されたこの膜厚差
を変更するために必要なメタリングロール7、ピックア
ップロール1およびアプリケータロール4それぞれのロ
ール周速度が関連式若しくは一覧表を用いて導出され、
この結果が各ロール周速度制御装置1a、4a、7aに
送られて必要な量だけロール周速度が変更される。
【0097】このように、本実施の形態の制御装置12
によれば、このような一連の制御が行われ、鋼帯10の
搬送速度(ライン速度)の変動や目標膜厚の変更に対し
て、高精度の塗膜厚が短時間で得られる。なお、膜厚制
御に際して、前述した(19)式の膜厚推定式を直接用
いることができるのは当然である。
【0098】
【実施例】(実施例1)さらに、本発明を実施例を参照
しながらより具体的に説明する。
【0099】板厚0.65mm、板幅1420mmの鋼
帯6に対して、図1に示すロールコータ8を用いて、粘
度1.8mPa・ sの水系塗料を塗布して塗装鋼板10
を製造した。
【0100】そして、この際に、鋼帯6上のウェット塗
膜の膜厚hb の実測値と、(10)式から求めた推定値
とを比較した。比較した結果を図5にグラフにまとめて
示す。
【0101】なお、ライン速度は80m/minとし、
ピックアップロール1にはメッシュロールの♯50〜♯
200番(1インチ当たりの凹部数が50〜200個で
あることを示す)の鋼製ロールを用いた。
【0102】図5に示すグラフからわかるように、いず
れのピックアップロール1においても実測値と推定値と
が高精度で一致した。なお、この本発明例と比較するた
めに、図5には前述した特開平5−220441号公報
により開示された方法により求めた、鋼帯6上のウェッ
ト塗膜の膜厚hb の推定値を、比較例として示す。
【0103】図5から明らかなように、特開平5−22
0441号公報により開示された方法では、塗装鋼板1
0の膜厚の推定精度が低いためにこの推定値を用いた膜
厚の制御精度も芳しくなかった。このため、所望の膜厚
の塗装鋼板10を工業的規模で安定的に量産することが
できなかった。
【0104】(実施例2)板厚0.65mm、板幅14
20mmの鋼帯6に対して、図2に示すロールコータ9
を用いて、粘度1.8mPa・ sの水系塗料を塗布して
塗装鋼板10を製造した。
【0105】そして、この際に、鋼帯6上のウェット塗
膜の膜厚hb の実測値と、(13)式から求めた推定値
とを比較した。比較した結果を図6にグラフにまとめて
示す。
【0106】なお、ライン速度は80m/minとし、
ピックアップロール1にはメッシュロールの♯50〜♯
200番(1インチ当たりの凹部数が50〜200個で
あることを示す)の鋼製ロールを用いた。
【0107】図6に示すグラフからわかるように、いず
れのピックアップロール1においても実測値と推定値と
が高精度で一致した。このため、所望の膜厚の塗装鋼板
10を工業的規模で安定的に量産することができる。
【0108】(実施例3)板厚0.65mm、板幅14
20mmの鋼帯10に対して、図3に示す製造装置11
を用いて、ピックアップロール1に♯80メッシュロー
ルを用いて粘度2mPa・sの水系塗料を目標ウェット
膜厚5μmで塗布した。この際、メタリングロール7の
周速度とライン速度に対するピックアップロール1の周
速度との比(以下、「ピックアップロール周速比」とい
う)と、ライン速度との関係を、図7にグラフで示す。
【0109】ここで、メッシュロールの番手とは、1イ
ンチ当たりの凹部の個数を意味する。この場合、鋼帯1
0のウェット膜厚を一定にするためには、図7のグラフ
に示す結果に則り、ライン速度の変動に伴ってピックア
ップロール周速比を制御する必要がある。
【0110】図7のグラフに示す関連式に基づいて、目
標膜厚5μmを塗装するためにピックアップロール周速
比のみを制御した場合の鋼帯10のウェット膜厚の実測
値に対するライン速度の影響を、図8にグラフで示す。
図8のグラフにおける丸印は図7のグラフに示す関連式
に基づいた場合を示し、×印は特開平5−220441
号公報により開示された方法に基づいた場合であって上
記式に基づかなかった場合を示す。
【0111】図8にグラフで示すように、図7のグラフ
に示す関連式に基づいてピックアップロール周速比を制
御することにより、ライン速度の変動に対して、塗膜厚
を目標膜厚の±5%の精度に抑制することができた。
【0112】これに対し、特開平5−220441号公
報により開示された方法に基づくと、鋼帯10の膜厚を
推定演算する際に凹部の体積を考慮していないため、制
御精度が大幅に低下したことがわかる。
【0113】(実施例4)板厚0.65mm、板幅14
20mmの鋼帯10に対して、図3に示す製造装置11
を用いて、ピックアップロールに♯80メッシュロール
を用いて粘度2mPa・sの水系塗料を目標ウェット膜
厚5μmで塗布した。この際、メタリングロール7の周
速度とピックアップロール1周速比とをいずれも固定
し、ライン速度の変更に対して一覧表に基づきライン速
度に対するアプリケータロール4の周速度の比(以下、
「アプリケータロール周速比」という)のみを制御し
た。この際の、鋼帯10のウェット膜厚の実測値とライ
ン速度との関係を図9にグラフで示す。
【0114】図9にグラフで示すように、ライン速度の
変動に対してアプリケータロール周速比を制御式に基づ
いて制御したため、鋼帯10の塗膜厚を目標膜厚の±5
%以内に制御することができた。
【0115】(実施例5)板厚0.65mm、板幅14
20mmの鋼帯10に対して、図3に示すロールコータ
9を用いて、粘度2mPa・sの水系塗料を目標ウェッ
ト膜厚3μmで塗布した。この際、ピックアップロール
1に使用するメッシュロールの番手を種々変更して、メ
タリングロール7の周速度とピックアップロール周速比
とアプリケータロール周速比とを、いずれも膜厚制御式
に基づいて制御した。この際の、鋼帯10上のウェット
膜厚の実測値とピックアップロール1の番手との関係を
図10にグラフで示す。
【0116】図10にグラフで示すように、ピックアッ
プロール1の番手の変更に対して、各ロールの周速度を
制御することにより、鋼帯10の膜厚を高精度で制御す
ることができ、また、鋼帯10の塗膜厚に対して凹部の
体積の影響度を正確に推定することができた。
【0117】(変形形態)以上、本発明について具体的
に説明したが、本発明は前述した各実施の形態や各実施
例によっては限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で各種の変更が可能である。
【0118】例えば、各実施の形態および実施例の説明
では、ピックアップロールが剛性ロールである場合を例
にとった。しかし、本発明は剛性ロールには限定され
ず、ピックアップロールが例えば弾性ロールであっても
よい。
【0119】各実施の形態および実施例の説明では、帯
状体が鋼帯である場合を例にとった。しかし、本発明は
この形態には限定されず、鋼帯以外に例えばアルミニウ
ム合金帯等の塗装板についても、等しく適用される。
【0120】また、本発明は、図1および図2に示すロ
ールコータには限定されず、少なくとも凹部が施された
ロールと、このロールに当接する第1の弾性ロールとを
備えるロールコータであれば等しく適用される。このた
め、本発明は、ロールおよび第1の弾性ロールそれぞれ
の配置位置、回転方向さらには凹部形状等には何ら限定
されない。
【0121】また、第1実施の形態では(1)式〜(1
0)式を用いて鋼帯の膜厚を推定演算し、第2実施の形
態では(11)式〜(13)式を用いて鋼帯の膜厚を推
定演算を行った。しかし、これらの演算式はあくまでも
例示であり、これら以外の公知の膜厚の推定演算式であ
れば、等しく用いることが可能である。
【0122】また、各実施の形態および各実施例では、
剛性ロールに刻設された凹部の単位面積当たりの体積を
用いて膜厚の推定演算を行った。しかし、本発明はこの
形態には限定されず、ロールの表面における凹凸状態に
基づいて膜厚の推定演算推定を行うのであれば、同様に
適用される。
【0123】また、各実施の形態および各実施例では、
ロールおよび第1の弾性ロールそれぞれの回転方向に起
因した、ロールおよび第1の弾性ロールの間に存在する
塗料の変形挙動に基づいて、第1の弾性ロールの表面に
おける塗料付着量を求めて塗装鋼板の塗膜の厚さを制御
した場合を例にとった。しかし、本発明は、ロールおよ
び第1の弾性ロールそれぞれの回転方向に起因して塗料
の変形挙動が変化する場合には限定されず、例えば、ロ
ールおよび第1の弾性ロールそれぞれのロール径や回転
速度、さらには粘度等の塗料の性状に起因して、塗料の
変形挙動が変化する場合にも等しく適用される。
【0124】また、塗料は粘度が数100mPa・s程
度のものを用いることができる。さらに、図3に示す製
造装置において、メタリングロール7の回転方向を時計
方向としてピックアップロール1に対してリバース回転
させる場合には、(14)式の代わりに(15)式を用
いればよい。
【0125】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、ピックアップロールを備えるロールコータを用いて
鋼帯等の帯状体に塗装を行うことにより塗装鋼板等の塗
装板を製造する際に、得られる塗装板の膜厚の制御精度
を向上することができ、これにより、所望の膜厚の塗装
鋼板を工業的規模で安定的に量産することが、初めて可
能となった。
【0126】また、本発明により、ピックアップロール
とメタリングロールとアプリケータロールとからなるロ
ールコータにおいて、ピックアップロール表面のセル体
積が変わった場合にも、新たに塗布特性を実験的に調査
する必要がなく、製造コストが低減でき、生産性が向上
し、膜厚精度が向上し、塗装鋼板の機能性が向上する効
果が得られる。
【0127】かかる効果を有する本発明の意義は、極め
て著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯状板に連続的に塗装を行う際に一般的に用い
られる、3ロールにより構成されたロールコータの構成
例を示す説明図である。
【図2】帯状板に連続的に塗装を行う際に一般的に用い
られる、4ロールにより構成されたロールコータの構成
例を示す説明図である。
【図3】帯状板に連続的に塗装を行う際に一般的に用い
られる、4ロールにより構成されたロールコータの構成
例を示す説明図である。
【図4】第3の実施の形態における膜厚制御のフローチ
ャートである。
【図5】実施例1の結果を示すグラフである。
【図6】実施例2の結果を示すグラフである。
【図7】実施例3において、ピックアップロール周速比
とライン速度との関係式の一例を示すグラフである。
【図8】実施例3において、ピックアップロール周速比
の制御によりライン速度変化に対して膜厚一定制御を行
う説明図である。
【図9】実施例3において、アプリケータロール周速比
の制御によりライン速度変化に対して膜厚一定制御を行
った説明図である。
【図10】実施例3において、メッシュロールの番手変
更に伴う膜厚一定制御の説明図である。
【符号の説明】
1 ピックアップロール(剛性ロール) 3 塗料 4 アプリケータロール(第1の弾性ロール) 5 バックアップロール 6 鋼帯 7 メタリングロール(第2の弾性ロール) 8、9 ロールコータ 10 塗装鋼板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、回転しながら塗料を汲み上
    げるロールと、回転しながら当該ロールおよび搬送され
    る帯状体にそれぞれ当接する第1の弾性ロールとを備え
    るロールコータを用いて前記帯状体に塗装を行うことに
    より塗装板を製造する際に、 前記ロールの表面における凹凸状態を演算要素として加
    えて前記塗装板の塗膜の厚さを推定演算し、推定演算し
    た当該塗膜の厚さに基づいて塗装板の塗膜の厚さを制御
    することを特徴とする塗装板の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも、回転しながら塗料を汲み上
    げるロールと、回転しながら当該ロールおよび搬送され
    る帯状体にそれぞれ当接する第1の弾性ロールとを備え
    るロールコータを用いて前記帯状体に塗装を行うことに
    より塗装板を製造する際に、 前記ロールの表面に刻設された凹部からの塗料供給量を
    演算要素として加えて前記第1の弾性ロールの表面にお
    ける塗料付着量を推定演算し、推定演算した当該塗料付
    着量を用いて前記塗装板の塗膜の厚さを推定演算し、推
    定演算した当該塗膜の厚さに基づいて塗装板の塗膜の厚
    さを制御することを特徴とする塗装板の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも、回転しながら塗料を汲み上
    げるロールと、回転しながら当該ロールおよび搬送され
    る帯状体にそれぞれ当接する第1の弾性ロールとを備え
    るロールコータを用いて前記帯状体に塗装を行うことに
    より塗装板を製造する際に、 前記ロールおよび前記第1の弾性ロールの間に存在する
    塗料の潤滑状態が流体潤滑状態である場合には当該流体
    潤滑状態であることに基づいた第1の理論により、前記
    塗料の潤滑状態が境界潤滑状態である場合には前記第1
    の理論とは異なるとともに前記境界潤滑状態であること
    に基づいた第2の理論により、前記第1の弾性ロールの
    表面における塗料付着量をそれぞれ推定演算し、推定演
    算した当該塗料付着量を用いて前記塗装板の塗膜の厚さ
    を推定演算し、推定演算した当該塗膜の厚さに基づいて
    塗装板の塗膜の厚さを制御することを特徴とする塗装板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塗料の潤滑状態が前記流体潤滑状態
    または前記境界潤滑状態であることは、前記ロールおよ
    び前記第1の弾性ロールそれぞれの回転方向の異同に応
    じて、決定される請求項3に記載された塗装板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 回転しながら塗料を汲み上げるロール
    と、回転しながら当該ロールおよび搬送される帯状体に
    それぞれ当接する第1の弾性ロールとを少なくとも備え
    るロールコータを用いて前記帯状体に塗装を行うことに
    よって塗装板を製造する際に、 前記帯状体の塗膜の厚さを略一定とすることが可能な、
    前記ロールコータを構成する各ロールそれぞれのロール
    周速度の関係を、予め求めておき、 前記帯状体の速度が変更される際には、当該各ロールそ
    れぞれのロール周速度の関係に基づいて、前記ロールコ
    ータを構成する各ロールのうちの少なくとも一つのロー
    ルのロール周速度を変更することを特徴とする塗装板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 回転しながら塗料を汲み上げるロール、
    および回転しながら当該ロールと搬送される帯状体とに
    それぞれ当接する第1の弾性ロールを少なくとも備える
    ロールコータと、 当該ロールコータを構成する各ロールそれぞれのロール
    周速度制御手段と、 前記搬送される帯状体の搬送速度が変更される際には、
    前記帯状体の塗膜の厚さを一定とすることが可能な、前
    記ロールコータを構成する各ロールそれぞれのロール周
    速度の関係に基づいて前記ロール周速度制御手段に制御
    信号を出力し、前記各ロールのうちの少なくとも一つの
    ロールのロール周速度を変更する制御装置とを備えるこ
    とを特徴とする塗装板の製造装置。
JP2000361261A 2000-05-25 2000-11-28 塗装板の製造方法および製造装置 Pending JP2002045750A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000361261A JP2002045750A (ja) 2000-05-25 2000-11-28 塗装板の製造方法および製造装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000154743 2000-05-25
JP2000-154743 2000-05-25
JP2000361261A JP2002045750A (ja) 2000-05-25 2000-11-28 塗装板の製造方法および製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002045750A true JP2002045750A (ja) 2002-02-12

Family

ID=26592593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000361261A Pending JP2002045750A (ja) 2000-05-25 2000-11-28 塗装板の製造方法および製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002045750A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101096024B (zh) 杆式涂布方法和装置
JP2005538850A (ja) アルカリ金属又はその合金の薄層化プロセス及び薄層化装置
JP5423209B2 (ja) 帯状材の搬送装置及び搬送制御方法
WO2014058020A1 (ja) ロールコーティング装置
CN114672753A (zh) 一种热镀锌沉没辊系转动失效预报方法
JP2002045750A (ja) 塗装板の製造方法および製造装置
JP3123033B2 (ja) 両面同時塗装における塗装膜厚制御方法
JP2013119082A (ja) 基材への塗布方法
JP3659292B2 (ja) 塗膜厚みの制御方法および塗膜厚みの制御装置並びにこの方法を用いて製造した粘着テープ
JP3204470B2 (ja) ロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法
JP2868987B2 (ja) ロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法
CN111373095A (zh) 用于在松垂幅材上涂覆的方法和设备
CN103974783A (zh) 对基材进行涂布的方法
US6659323B2 (en) Methods and apparatus for prescribing web tracking in processing equipment
US7354479B2 (en) Coating device, and coating method using said device
JPS6324119A (ja) 塗装膜厚測定方法
JP3968916B2 (ja) 塗装膜厚の制御方法
CN106824665A (zh) 薄膜涂布装置及薄膜涂布方法
JP2016140832A (ja) 連続体の塗布装置および塗膜付基材の製造方法
JP3697856B2 (ja) ロールコータの塗装膜厚の制御方法
JP4568956B2 (ja) 金属板ダイコーティング装置
JP2000288461A (ja) ロールコータによる帯状材の塗装方法
JP2016073911A (ja) 塗装膜厚の制御方法
JPH06106109A (ja) 帯状材の連続塗装方法及びそのための装置
JP2007222723A (ja) ロールコータによる帯状体の塗装膜厚制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060627

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060824

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061031