JP2002045174A - ナチュラルキラー細胞増殖法 - Google Patents

ナチュラルキラー細胞増殖法

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JP2002045174A JP2000230551A JP2000230551A JP2002045174A JP 2002045174 A JP2002045174 A JP 2002045174A JP 2000230551 A JP2000230551 A JP 2000230551A JP 2000230551 A JP2000230551 A JP 2000230551A JP 2002045174 A JP2002045174 A JP 2002045174A
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忠夫 大野
Hideki Harada
英樹 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 増殖刺激用細胞の混入のないヒト・ナチュラ
ルキラー細胞を提供する。 【解決手段】 ヒト・ナチュラルキラー細胞を増殖刺激
用細胞の存在下で増殖培養するために用いる足場依存性
の増殖刺激用細胞であって、検出手段が導入されたこと
を特徴とする細胞、及びこの細胞を用いてヒト・ナチュ
ラルキラー細胞を増殖培養する方法。この細胞は、例え
ば、ヒト・ナチュラルキラー細胞及び/又はその前駆細
胞に対する増殖刺激作用を有しており、かつ増殖培養さ
れたヒト・ナチュラルキラー細胞に対して高感受性であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト・ナチュラル
キラー細胞の増殖培養方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナチュラルキラー(以下、「NK」と略す
場合がある)細胞は、免疫反応の一翼を担うリンパ球系
の細胞である。この細胞には様々な機能があるが、特に
腫瘍細胞を殺す強い活性があることから、体内では腫瘍
化した、あるいは腫瘍化しつつある異常な細胞を取り除
く免疫監視機構の重要メンバーであると考えられてい
る。したがって、この細胞を腫瘍治療や、腫瘍の発生源
となると想定されているウイルス感染細胞の除去に有効
利用しようという研究は古くから行われていた。
【0003】本発明者らは、足場依存性であるヒト・ウ
イルムス腫瘍細胞株HFWTが、浮遊性細胞株K562と同様に
NK細胞の殺傷作用に高感受性であり、しかもヒト末梢血
単核細胞(以下、「PBMC」と略す場合がある)を培養し
てNK細胞を増殖させようとする場合、既知NK高感受性細
胞株であるK562以上に強くNK細胞増殖を刺激することを
見出した(特願平11−336079号明細書)。PBMC
にはNK細胞とNK前駆細胞が含まれているため、HFWT細胞
を増殖刺激用細胞として用いることにより、従来の方法
に比べて効率のよいNK細胞増殖法として利用できる。ま
た、基本的に浮遊性であるNK細胞と付着性HFWT細胞とを
培養液交換により簡単に分離できるため、生きているHF
WT細胞の混入の危険性が低い培養NK細胞によるヒト腫瘍
の細胞療法が実現可能となってきた。
【0004】さらに、NK細胞の細胞傷害活性測定にあた
って、HFWT細胞を標的細胞として用いれば、生存してい
るHFWT細胞は付着しているため、浮遊性のNK細胞から簡
単に分離できる。この性質を利用し、従来から標準的に
使用されている標的細胞標識用放射性物質Cr-51を使用
せずに、生存HFWT細胞をクリスタルバイオレット色素で
染色定量する方法による安全性の高いヒトNK細胞の細胞
傷害活性測定法を提供した(Watanabe, S., et al., 20
00 World Congress on In Vitro Biology, 2000.6.10,
San Diego)。
【0005】もっとも、HFWT細胞を増殖刺激細胞とし、
PBMCからNK細胞を選択的に培養し、生きている付着HFWT
細胞から浮遊NK細胞を分離しようとする際、活性化して
いるNK細胞で培養面に軽く付着しているものもあるた
め、それらを回収する際、一部のHFWT細胞がNK細胞とと
もに培養面から剥離浮遊してNK細胞に混入してくる可能
性が高いという問題があった。HFWT細胞は腫瘍細胞であ
り、培養NK細胞を医療に使用する場合を想定すれば、そ
の生細胞の混入は厳重に警戒しなけなければならない。
しかし、従来、浮遊状態となって混入している生きてい
るHFWT細胞を簡便に検出できる方法はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
のような培養NK細胞に混入してくる可能性のある増殖刺
激用腫瘍細胞を高感度で簡便に検出できる方法を提供す
ることにある。また、上記の検出方法を用い、生存して
いる腫瘍細胞の混入の危険性が非常に低く、かつ効率の
良いヒトNK細胞の製造方法、及びこの製造方法で得られ
たヒトNK細胞を提供することが本発明の課題である。ま
た、放射性標識物質を使用せずに、安全性が高く、しか
も色素染色法よりも高感度のヒトNK細胞の細胞傷害活性
測定法を提供することも本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意努力した結果、増殖刺激用細胞に検出
手段を導入してヒト・ナチュラルキラー細胞の増殖培養
に用いると、培養物中に生存して混在する増殖刺激用細
胞を容易かつ高感度に検出できること、及びこの手段を
用いて実質的に増殖刺激用細胞を含まないナチュラルキ
ラー細胞を製造できることを見出した。また、本発明者
らは、検出手段の一つとしてオワンクラゲ由来のグリー
ン蛍光タンパクをコードする遺伝子を導入した増殖刺激
用細胞が極めて高感度で簡便に蛍光顕微鏡で検出できる
こと、娘株のなかからヒト PBMC からNK細胞を増殖培養
する際、PBMC中のNK細胞/NK前駆細胞に対する増殖刺激
能力が高い細胞株をあらかじめ選択し、これをヒトNK増
殖培養の際に、増殖刺激用細胞として共存培養すれば効
率的な培養が可能になることを見出した。本発明はこれ
らの知見を基にして完成されたものである。
【0008】すなわち、本発明は、ヒト・ナチュラルキ
ラー細胞を増殖刺激用細胞の存在下で増殖培養するため
に用いる足場依存性の増殖刺激用細胞であって、検出手
段が導入されたことを特徴とする細胞を提供するもので
ある。上記細胞は、ヒト・ナチュラルキラー細胞の増殖
培養に適するように、ヒト・ナチュラルキラー細胞及び
/又はヒト・ナチュラルキラー細胞前駆細胞に対する増
殖刺激作用を有しており、好ましくは増殖培養されたヒ
ト・ナチュラルキラー細胞に対して高感受性である。好
ましい細胞は、ヒト・ウイルムス腫瘍細胞株HFWTに検出
手段を導入した細胞である。検出手段としては、ヒト・
ナチュラルキラー細胞の増殖中又は培養後において生存
している細胞を高感度に、かつ簡便に検出できるような
手段が選択される。
【0009】本発明の好ましい態様によれば、該検出手
段が遺伝子組換え手段により導入された上記細胞が提供
される。遺伝子組換え手段としては、例えば、外来遺伝
子の導入又は遺伝子の改変などを例示できる。検出手段
の導入は、例えば、色素代謝酵素、蛍光蛋白質、抗原蛋
白質、抗体などを産生する外来遺伝子導入又は遺伝子改
変により達成できる。例えば、オワンクラゲ由来のグリ
ーンフルオレッセンスプロテイン(以下、「GFP」と略
す場合がある)を産生する遺伝子を導入する手段が好ま
しい。また、別の好ましい態様によれば、該検出手段が
非遺伝子組換え手段により導入された上記細胞が提供さ
れる。非遺伝子組換え手段としては、蛍光色素の導入な
どを例示できる。
【0010】本発明により提供される細胞の好ましい例
としては、細胞株GHINK−1を挙げることができ
る。この細胞は、ヒト・ウイルムス腫瘍細胞株HFWTに対
して遺伝子組換えにグリーンフルオレッセンスプロテイ
ン遺伝子を導入することに作出された細胞であり、検出
手段としてグリーンフルオレッセンスプロテインを利用
できる。この細胞は、平成12年7月27日付けで工業
技術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市
東1丁目1番3号)に寄託番号FERM P−1797
8として寄託されている。
【0011】別の観点からは、本発明により、ヒト・ナ
チュラルキラー細胞を増殖刺激用細胞の存在下で増殖培
養する方法であって、該増殖刺激用細胞が足場依存性で
あり、かつ該細胞に検出手段が導入されていることを特
徴とする方法が提供される。この方法では、増殖後のヒ
ト・ナチュラルキラー細胞に該増殖刺激用細胞が混入し
ているか否かを上記検出手段を用いて容易に確認するこ
とができ、生存している該増殖刺激用細胞を実質的に含
まないヒト・ナチュラルキラー細胞を製造することがで
きる。この方法では、好ましくは、ヒト末梢血より分離
したヒト末梢血単核細胞からヒト・ナチュラルキラー細
胞を増殖させることができる。
【0012】また、別の観点からは、本発明により、ヒ
ト・ナチュラルキラー細胞の製造方法であって、ヒト・
ナチュラルキラー細胞を増殖刺激用細胞の存在下で増殖
培養するにあたり、該増殖刺激用細胞が足場依存性であ
り、かつ該細胞に検出手段が導入されていることを特徴
とする方法が提供される。
【0013】また、本発明により、上記の方法により増
殖培養されたヒト・ナチュラルキラー細胞が提供され
る。好ましくは、上記の増殖培養の後、上記検出手段を
利用することにより、培養物から生存している該増殖刺
激用細胞を除去することができる。このヒト・ナチュラ
ルキラー細胞は、生存している該増殖刺激用細胞を実質
的に含まず、ヒト腫瘍の細胞療法に安全に使用できる。
本発明により、上記ヒト・ナチュラルキラー細胞を含む
ヒト腫瘍の細胞療法のための医薬、及び上記ヒト・ナチ
ュラルキラー細胞をヒト腫瘍患者に投与する工程を含
む、ヒト腫瘍の治療方法が提供される。
【0014】さらに別の観点からは、本発明により、上
記の増殖刺激用細胞を標的細胞として用いるヒト・ナチ
ュラルキラー細胞の細胞傷害活性測定法が提供される。
上記の増殖刺激用細胞を用いたヒト・ナチュラルキラー
細胞の増殖方法により得られ、実質的に該増殖刺激用細
胞の混入がなく、かつ増殖刺激用細胞を標的細胞として
細胞傷害活性が証明されたヒト・ナチュラルキラー細胞
は、ヒト腫瘍の細胞療法のために特に好適に用いること
ができる。また、ヒト個体から採取した血液中のナチュ
ラルキラー細胞の細胞傷害活性を測定する方法であっ
て、上記の増殖刺激用細胞を標的細胞として用いる方法
が本発明により提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明により提供される細胞は、
ヒト・ナチュラルキラー細胞を増殖刺激用細胞の存在下
で増殖培養するために用いる足場依存性の増殖刺激用細
胞であって、該細胞の検出のための手段が導入されてい
ることを特徴としている。上記細胞は、ヒト・ナチュラ
ルキラー細胞の増殖培養に適するように、ヒト・ナチュ
ラルキラー細胞及び/又はヒト・ナチュラルキラー細胞
前駆細胞に対する増殖刺激作用を有しており、好ましく
は増殖培養されたヒト・ナチュラルキラー細胞に対して
高感受性である。検出手段は、好ましくはヒト・ナチュ
ラルキラー細胞の増殖培養中又は培養後に生存している
増殖刺激細胞の検出を容易かつ高感度に行うことができ
るように選択される。本発明のヒト・ナチュラルキラー
細胞の製造方法は、上記の増殖刺激用細胞を用いること
を特徴としている。
【0016】該検出手段は遺伝子組換え手段又は非遺伝
子組換え手段により細胞に導入することができる。遺伝
子組換え手段としては、例えば、外来遺伝子の導入又は
遺伝子の改変などを例示でき、検出手段の導入は、例え
ば、色素代謝酵素、蛍光蛋白質、抗原蛋白質、抗体など
を産生する外来遺伝子導入又は遺伝子改変により達成で
きる。例えば、オワンクラゲ由来のグリーン蛍光蛋白質
を産生する遺伝子を導入する手段が好ましい。遺伝子組
換えに細胞中の特定の遺伝子をノックアウトして、特定
の遺伝子産物を産生できないようにした細胞を利用する
こともできる。非遺伝子組換え手段としては、蛍光色素
の導入などを例示できる。
【0017】上記の増殖刺激用細胞は、一般的には、
(1)(a)ヒトNK細胞及び/又はNK前駆細胞に対して増殖刺
激作用のある足場依存性細胞、並びにヒトナチュラルキ
ラー細胞の細胞傷害作用に感受性のある足場依存性細胞
からなる群から選ばれる細胞を遺伝子組換え手段により
生存細胞の検出が高感度で容易に行えるような細胞に改
変する工程;及び(b)上記工程(a)で得られた細胞株か
ら、ヒトナチュラルキラー細胞及び/又はNK前駆細胞に
対して増殖刺激作用のある足場依存性細胞を選択する工
程を含む方法により得ることができる。
【0018】また、非遺伝子組換え手段を用いて検出手
段を細胞に導入する場合には、予め増殖刺激作用を有す
る細胞を選択して、その細胞に検出手段を導入すればよ
い。例えば、(2)ヒトNK細胞及び/又はNK前駆細胞に対
して増殖刺激作用のある足場依存性細胞から由来する細
胞に対して、蛍光色素等などによる標識処理を行って、
高感度で容易に検出できる細胞に改変する工程を含む方
法。により増殖刺激用細胞を得ることができる。
【0019】細胞の検出を高感度で容易にするために選
択される検出手段の種類は特に限定されず、通常は、当
業者に既知の方法を用いればよい。例えば、操作対象と
する細胞に対して、導入前の細胞では産生されず、かつ
導入後の細胞において高感度で容易に検出できる産物を
産生できる遺伝子を遺伝子組換え手段により細胞内に導
入する方法を挙げることができる。培養中又は培養後に
生存している増殖刺激用細胞は、その遺伝子産物を検出
することにより容易かつ高感度に検出できる。遺伝子の
種類は特に限定されないが、例えば蛍光蛋白質をコード
する遺伝子を用いることができる。蛍光蛋白質をコード
する遺伝子としては、例えば、オワンクラゲ由来のGFP
遺伝子を用いることができる。また、例えば大腸菌由来
のベータグルクロニダーゼ遺伝子(lac Z)を用いるこ
ともできる。
【0020】これらの遺伝子導入法及び遺伝子産物の検
出法は当業者に周知であり、当業者は適宜の方法を選択
して、あるいは2種以上の方法を組み合わせて遺伝子導
入及び遺伝子産物の検出を行うことができる。例えば、
GFP遺伝子を導入した場合には、蛍光顕微鏡で観察する
ことによって生存している増殖刺激用細胞を容易かつ高
感度に検出できる。導入前の細胞には存在しない導入遺
伝子そのものを検出対象にしてもよい。導入遺伝子の簡
便な検出方法としては当業者に周知の方法を用いればよ
く、例えば、ポリメラーゼチェインリアクション法や、
それと蛍光検出法を組み合わせた方法(Heid, A. C., e
t al., Genome Res., 6: 995-1001, 1996)や、LAMP法
(Notomi, T., et al., Nucelic Acid Res., 28: e63,
2000)などを用いることができる。
【0021】生存している増殖刺激用細胞の検出にあた
っては、NK細胞増殖培養中の場合には、浮遊しているNK
細胞を除去し、付着している細胞群について検出を行え
ばよい。NK細胞増殖培養後、回収した浮遊NK細胞に混在
する増殖刺激用腫瘍細胞を検出するためには、NK細胞の
回収にあたって生存細胞を分離回収する方法で回収し、
その中の細胞群について検出を行えばよい。生存細胞を
分離回収する方法は特に限定されないが、例えば市販の
リンフォプレップ(Nycomed社製)を用いてヒトリンパ
球分画を回収する方法を採用できる。
【0022】細胞に適用する遺伝子組換え操作により、
対象細胞の元来の特徴ある性質が失われる場合がある。
このため、対象細胞の改変娘株のうち適切な娘株を選択
する工程(上記(1)工程(b))を採用することが望まし
い。上記工程(b)において、ヒトNK細胞及び/又はNK前
駆細胞に対して増殖刺激作用のある足場依存性細胞株を
選択する方法は特に限定されないが、例えば、PBMCから
NK細胞を選択的に増殖させる能力を指標にして、NK細胞
/NK前駆細胞に対する増殖刺激作用を保持し、獲得し、
又は増強している細胞株をクローニングする方法を採用
することができる。クローニング方法は、当業者に周知
の方法を用いることができる。例えば、限界希釈法を用
い、選択対象となる細胞群から娘株をクローニングする
ことができ、この娘細胞を増やし、ヒトPBMCからNK細胞
が選択的に増殖してくるか否か検査し、増殖刺激効果が
高い適切な娘細胞を選択すればよい。
【0023】本発明の方法の好ましい態様によれば、ヒ
ト末梢血より分離したヒト末梢血単核細胞からナチュラ
ルキラー細胞を増殖させることができる。ヒト末梢血単
核細胞からNK細胞が選択的に増殖してくるか否かを検査
する方法は特に限定されないが、例えば、特願平11−
336079号明細書に記載の方法を用いることができ
る。この場合、HFWT細胞の代わりに検査対象となる娘細
胞を用いればよい。
【0024】非遺伝子組換え手段により検出手段を導入
する方法を行うためには、例えば、あらかじめ特願平1
1−336079号明細書に記載の方法に準じて、ヒト
ナチュラルキラー細胞及び/又はNK前駆細胞に対して増
殖刺激作用のある足場依存性細胞群を選択しておき、こ
の細胞群を検出用の物質で標識すればよい。検出用の物
質の種類は特に限定されることはないが、例えば、低細
胞毒性で細胞の生存率を低下させる作用が少ない蛍光色
素PKH26(Chang, I-K., et al., Cell Biol. Intern.,
19, 569-576, 1995)などを用いることができる。細胞
毒性の低い蛍光色素を用いることにより、PBMCからNK細
胞を選択的に増殖させる過程が阻害されず、効率的なNK
細胞の取得が可能になる。該蛍光色素により細胞を標識
する方法は当業者に既知の方法を用いることができ、こ
れらの方法によって改変処理した細胞はそのままヒトNK
細胞/NK前駆細胞の増殖培養に適用することができる。
【0025】ヒトNK細胞/NK前駆細胞からのNK細胞増殖
培養において増殖刺激用細胞を用いる方法自体は当業者
に利用されており、例えば、特願平11−336079
号明細書の方法に準じて、HFWT細胞の代わりに本発明の
増殖刺激用細胞を用い、例えばヒトPBMCとともに共存培
養すればPBMC中のNK細胞を選択的に増殖させることがで
きる。
【0026】本発明の方法では、特願平11−3360
79号明細書に記載の方法とは異なり、ヒトPBMCからNK
細胞を増殖培養する際、増殖刺激用細胞の増殖能をあら
かじめ失わせておく必要は必ずしもない。NK増殖培養中
に増殖刺激用細胞が増殖し、最終的に回収された浮遊NK
細胞に混入してきても容易に検出できるうえ、混入細胞
は基本的に付着性であるため、当業者には周知の培養面
への付着操作によって浮遊性である培養NK細胞から容易
に除去できる。もっとも、培養NK細胞を増殖刺激用細胞
から分離する場合、増殖刺激用細胞が混入する可能性を
できるだけ少なくするためには、増殖刺激用細胞の増殖
能をあらかじめ失わせておくことが好ましい。増殖能を
失わせる処理方法は特に限定されないが、例えば、放射
線照射やマイトマイシンC処理など、当業者に知られて
いる方法を用いることができる。この処理によって、NK
増殖培養中に増殖刺激用細胞が増殖することはなくな
り、しかも増殖刺激用腫瘍細胞が足場依存性であること
から、NK細胞分離後の増殖刺激用細胞混入の可能性を大
きく減少させることが可能になる。
【0027】本発明の方法によれば、健常人の末梢血よ
り分離したPBMCを培養して、末梢血提供者本人のNK細胞
を高い細胞傷害活性を保ったまま大量に増殖させること
ができ、しかも混入した増殖刺激用細胞を高感度で簡便
に検出でき、増殖刺激用細胞とNK細胞との分離も容易な
ため、実質的に増殖刺激用細胞を含まないNK細胞を効率
的に調製できる。腫瘍患者や感染症患者から分離したPB
MCを用いてもよく、その患者に特異的なNK細胞を効率的
に増殖培養できる。
【0028】また、本発明の増殖刺激用細胞を用いて、
NK細胞増殖培養中および培養後も生残している増殖刺激
用細胞の程度を高感度で容易に検出できる。さらに、増
殖刺激用細胞から培養NK細胞を分離した後、該NK細胞に
混入してくる増殖刺激用細胞を高感度で容易に検出でき
る。これらの具体的手法は本明細書の実施例に詳細に説
明されている。
【0029】本発明のヒトNK細胞の細胞傷害活性測定方
法では、上記の増殖刺激用細胞をヒトNK細胞の細胞傷害
活性測定時に標的細胞として使用することを特徴として
いる。該標的細胞は足場依存性であり、浮遊性のNK細胞
から簡単に分離でき、しかも高感度で容易に検出できる
ことから、従来の染色方法(特願平11−336079
号明細書に述べられたHFWT細胞を標的細胞として使用
し、クリスタルバイオレット色素で生存HFWT細胞数を定
量することによるNK細胞の細胞傷害活性の測定方法)よ
りも高感度である。しかも放射性物質を使用しないため
安全なNK細胞の細胞傷害活性の測定方法として利用でき
る。例えば、NK細胞が由来した血液細胞中のナチュラル
キラー活性の程度を知ることができ、被験者個人の健康
状態の一つの指標とすることができる。また、腫瘍治療
等の目的でNK活性を有効利用することを目的にした輸血
が可能となる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。 例1:GFP遺伝子を導入したHFWT細胞の娘株GHINK-1の作
成 (A)方法 (1)GFP遺伝子のHFWT細胞への導入法 牛胎児血清を含まない100 μlのHamF12培地に3μlのト
ランスフェクション試薬(Fugene 6,ベーリンガー・マ
ンハイム社製)を添加して、室温で5分間静置した。さ
らにGFP遺伝子を含む2μgのプラスミドベクター(pEGFP
?N1、Clontech社製)を添加し、室温で15分間静置し
た。これをあらかじめ一夜培養したHFWT細胞(2×105
/35 mmプラスチックディッシュ)へ添加した。
【0031】(2)GFP遺伝子導入HFWT細胞のクローニング 上記の(1)の操作後、2日後に500 μg/mlの抗生物質G41
8を添加し、この抗生物質に対する耐性遺伝子を有する
プラスミドベクターを含んでいない細胞を死滅させた。
生き残った細胞群はほとんどがGFPを発現していたこと
を蛍光顕微鏡を用いて観察できた。さらに、若干混入し
ているGFPを発現していない細胞を排除するために、上
記の細胞群をトリプシン処理によって単個細胞とし、培
地に懸濁した後に、段階的に希釈し、96ウェルプレート
の1ウエルあたり平均1個となるように細胞を播種し
た。一週間培養後、蛍光顕微鏡下で1ウエル中の増殖し
たすべての細胞がGFPを発現しているウェルを選別し、
そこから適宜継代培養を重ね、培養スケールを増加させ
た。その後、蛍光顕微鏡ならびにフローサイトメーター
で、増殖したすべての細胞が蛍光を有することを確認し
た。以上の操作で、10株のGFP遺伝子産物を発現してい
るHFWT細胞の娘株を得ることができた。これらをGHINK-
1〜GHINK-10と命名した。
【0032】(3)NK細胞の誘導培養 ヒトNK細胞及び/又はヒトNK細胞前駆細胞を含むことが
知られているPBMCからのNK細胞誘導培養法は、特願平1
1−336079号明細書に記載の方法に従った。略述
すると、あらかじめ一夜培養しておいた10株のGHINKシ
リーズ細胞(各々ウエルあたり1×105個)をX線処理
し、これに健常人または臍帯血由来のPBMCを1ウエル当
たり1×106個加え、NK誘導培養用培地に200U/mlのイン
ターロイキン2(IL-2)を添加し、炭酸ガスインキュベ
ーター中、37℃で培養した。
【0033】(4)フローサイトメトリー 上記の(3)において培養したリンパ球は、培養6ないし1
0日目に、T細胞の表面マーカーであるCD3ならびにNK細
胞の表面マーカーであるCD56に特異的に結合する蛍光標
識した単クローン抗体を用いて蛍光染色した。染色後、
当業者には周知のフローサイトメトリー法により、NK細
胞すなわちCD56陽性かつCD3陰性細胞の割合を測定し
た。
【0034】(5)GHINKシリーズ細胞の計数と相対蛍光強
度の測定 GFP遺伝子を導入したことによりGHINKシリーズ細胞の増
殖性が損なわれていないかを調べるために、96ウェルプ
レートに1×104個のGHINKシリーズ細胞または親株のHFW
T細胞を播種した。培養2、6、及び9日目にトリプシン処
理により細胞を分散し、タタイ式血球計算板を使用して
細胞数を計測し、1 mlあたりの細胞数を求めた。また、
計数前に各ウェルの蛍光強度を、96ウェルプレート用蛍
光光度計(蛍光プレートリーダー)にて測定し、各ウェ
ルの細胞数で割った値を便宜的に細胞1個あたりの相対
蛍光強度とした。
【0035】(B)結果 上記の方法で得られた10株のGHINKシリーズ細胞をNK増
殖刺激用細胞として用いた場合、臍帯血由来のPBMCから
誘導培養されたNK細胞(CD56陽性かつCD3陰性細胞)の
割合(%)と1ウエル当たりの総細胞数を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】本実施例の結果、GHINK-1細胞を標的細胞
とした場合は、PBMCから誘導増殖したNK細胞の割合が培
養6日後で74.6%に達し、1ウエル当たり総細胞数も親
株 HFWT細胞よりは増殖が遅いが、23.8×105個と、娘株
中では最大に増えており、しかも、培養10日後ではNK細
胞の割合が最高の92.0%に達するという、優れたNK細胞
増殖刺激効果を示した。また、この際、NK細胞の増殖に
連れて、残存するGHINK-1細胞がリンパ球数の増加と共
に消失することを蛍光顕微鏡下で確認できた。これは、
NK細胞誘導時に増殖刺激用の腫瘍細胞株が残存している
か否かを、蛍光観察により容易に検出できることを示し
ている。
【0038】一般に、外来の遺伝子を導入した細胞は増
殖性が低下する場合があるが、本実施例においてはGHIN
K-5細胞を除いて、娘株間に大きな増殖能力の低下は認
められなかった。また、培養開始直後の細胞数が1×105
個/mlとなるように調製して、各ウェルに均一に1 mlの
細胞懸濁液を播種したが、培養2日目の細胞数は、GHINK
-1、GHINK-6、GHINK-9以外の娘株においては1×105個/m
l以下とむしろ減少した。親株であるHFWT細胞の接着性
が弱いこととあわせて考えると、GFP導入細胞株のクロ
ーニングにおいて、GHINK-1、GHINK-6、GHINK-9細胞株
は接着性が比較的高い。このため、PBMCから増殖してく
るNK細胞とは分離しやすいという特徴があった。さら
に、細胞1個あたりの相対蛍光強度を株間で比較した。
その結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2に明らかなように、GHINK-1株が細胞
1個あたりの相対蛍光強度が最も高く、他のGHINKシリ
ーズ細胞株に比べて約2〜5倍の相対蛍光強度を示した。
1細胞あたりの蛍光強度が高ければ,検出感度も上がる
ために、残存している増殖刺激用細胞の検出の際、有利
であることは明白である。
【0041】例2:NK細胞の細胞傷害活性測定における
標的細胞のCV染色法と蛍光測定法の比較 特願平11−336079号明細書に記載の方法におい
て、本発明者らはNK細胞の標的細胞傷害活性の測定時
に、クリスタルバイオレット染色法(以下、CV染色法)
を用い、殺されないで残った標的細胞を定量してきた。
上記の例1で得られた10株のGHINKシリーズ細胞株のう
ち、GHINK-1細胞株がNK増殖刺激用細胞として最も有用
な株であることが明らかとなった。そこで、GHINK-1細
胞自身が発する蛍光を利用したNK細胞傷害活性の測定を
行い、CV染色法と比較検討した。
【0042】(A)方法 (1)細胞傷害活性の測定 HFWT細胞を増殖刺激用細胞として用いてPBMCから誘導培
養されたリンパ球群の傷害活性測定方法は、特願平11
−336079号明細書に記載の方法に従った。略述す
ると、96ウェルプレートの各ウェルに1×104個のGHINK-
1細胞またはHFWT細胞を播種し、一夜培養した。これ
に、あらかじめPBMCから誘導培養したNK細胞を含むリン
パ球群をウェルあたり0、1、2、4、8×104個になるよう
に添加した。このときエフェクター細胞(リンパ球群)
と標的細胞(GHINK-1細胞またはHFWT細胞)との比をE/T
比として表した。すなわちE/T比は0、1、2、4、8とされ
た。4時間培養後(以下、「4時間アッセイ」という)
に、各ウエルをカルシウム・マグネシウム不含ダルベッ
コリン酸緩衝生理食塩水(以下、PBS(-)と略す)で1度
洗浄し、殺されなかったために培養面に付着残存してい
る標的細胞をCV染色法により染め、細胞傷害活性を求め
た。
【0043】GHINK-1細胞のみを標的細胞として用いた
細胞傷害性試験では、4時間アッセイ後、培養上清を除
き、PBS(-)で1度洗浄した後、殺されなかったために培
養面に付着残存している標的細胞の蛍光強度を測定し
た。すなわち、これらの標的細胞を一定量の5% ナトリ
ウムドデシルサルフェートをPBS(-)に溶解した液により
均一に溶解した後、蛍光プレートリーダーを用いて各ウ
ェルの蛍光強度を測定し、細胞傷害活性を求めた。な
お、4時間アッセイの場合においては、この間の標的細
胞自体の増殖は無視できるため、リンパ球群を添加して
いない対照標的細胞が4時間培養後に示す値を100%と定
義して計算に用いた。結果を図1に示す。
【0044】CV染色法により定量した場合、4時間アッ
セイでは、親株HFWT細胞に対するNK細胞を含むリンパ球
群の細胞傷害活性値が50%を示すE/T比が約0.5に対し,G
HINK-1細胞に対しては約1であり、GHINK-1細胞はNK細胞
に対して感受性がやや低い。しかし、この程度の感受性
の差であれば実際上の細胞傷害活性測定に問題はないと
考えられる。さらに、GHINK-1細胞を用いて蛍光強度とC
V染色性の両方の測定法でNK細胞の細胞傷害活性を測定
しGFPの蛍光強度とCV染色法の定量性能を比較した。結
果を図2に示す。
【0045】蛍光強度測定法とCV染色法の間では4時間
アッセイで、いずれのE/T比においてもほとんど差はみ
られず、定量性能において高いデータ互換性がり、GFP
の蛍光強度を測定することにより、NK細胞の細胞傷害活
性を求めることが可能であることが明らかとなった。ま
た、従来、本発明者らが行ってきたCV染色法では、標的
細胞のみならず、培養面に若干付着しているNK細胞も非
選択的に染色してしまうために、残存標的細胞の吸光値
からリンパ球群のみの対照の吸光値を差し引く必要があ
った。この方法では細胞傷害活性が0%以下になるといっ
たような実験誤差を生じていた。一方、本発明の方法で
は、GFPの蛍光強度による細胞傷害活性の測定を行うこ
とにより、標的細胞にのみ蛍光タンパクが発現している
のに対して、リンパ球には全く蛍光物質が存在しないた
めに、標的細胞のみを特異的に測定でき、従来のCV染色
法に比較して精度が高い。
【0046】例3:GHINK-1細胞を標的細胞に用いた遊
離蛍光測定法によるNK細胞の細胞傷害活性の測定 上記例2の場合は、NK細胞に殺されないで生き残った標
的細胞を定量した。そのため、E/T比が低い場合は標的
細胞全体のわずかな割合しか殺されないため、残存標的
細胞の割合が圧倒的に多くなり、定量誤差が生じやす
い。そこで、殺された標的細胞から遊離されてくるGFP
の蛍光を測定する方法を開発した。
【0047】(A)方法 (1)細胞傷害活性の測定 HFWT細胞を増殖刺激用細胞として用いてPBMCから誘導培
養されたリンパ球群の傷害活性測定方法は、特願平11
−336079号明細書に記載の方法に従った。略述す
ると、96ウェルプレートの各ウェルに5×104個のGHINK-
1細胞を播種し、一夜培養した。ここで培養培地をフェ
ノールレッドを含まず10%ウシ胎児血清を含むMEM培地20
0 μlに交換した。これに、あらかじめPBMCから誘導培
養したNK細胞を含むリンパ球群をウェルあたり0、1、
2、4、8×104個になるように添加した。このときエフェ
クター細胞(リンパ球群)と標的細胞(GHINK-1細胞)
との比をE/T比として表した。すなわちE/T比は0、1、
2、4、8とされた。4時間培養後に、各ウエルから100
μlの培養上清を取り、別のマイクロプレートのウエル
に移した。蛍光プレートリーダーを用いて各ウェルの蛍
光強度を測定し、細胞傷害活性を求めた。細胞傷害活性
は、蛍光プレートリーダーの蛍光強度で示した。結果を
表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】蛍光強度差を見ると、E/T比が2まではほ
ぼ直線的に数値が増加しており、E/T比が1と低い場合
でも、E/T比が0の場合よりも67%も高い4桁の数値を出
すことができる。この結果から、さらに低いE/T比であ
っても十分高い感度でNK細胞の細胞傷害活性が定量可能
であることが判明した。
【0050】
【発明の効果】本発明の増殖刺激用細胞を用いてヒトNK
細胞を増殖培養することにより、培養し回収したNK細胞
中に生存して混在する増殖刺激用細胞を容易に検出で
き、かつ増殖刺激用細胞とNK細胞との分離も容易なた
め、実質的に増殖刺激用細胞を含まないヒトNK細胞を効
率的に得ることができる。例えば、悪性腫瘍患者のPBMC
を材料としてNK細胞を増殖させた場合は、生存している
増殖刺激用細胞を実質的に含まない患者本人の培養NK細
胞を製造して、悪性腫瘍の治療のための医薬として用い
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CV染色法を用いてNK細胞の細胞傷害活性を測
定した場合の標的細胞の感受性の差を示した図である。
【図2】 GHINK-1細胞を標的細胞として用いた蛍光強
度測定法とCV染色法によるNK細胞の細胞傷害活性の4時
間アッセイの場合の比較を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 5/10 C12N 15/00 A C12R 1:91) C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA01 DA03 GA18 HA11 4B063 QA01 QQ02 QQ79 QR72 QX02 4B065 AA90Y AA93X AB01 AC12 BA01 BB23 BC41 CA46 4C087 BB37 ZB26

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト・ナチュラルキラー細胞を増殖刺激
    用細胞の存在下で増殖培養するために用いる足場依存性
    の増殖刺激用細胞であって、検出手段が導入されたこと
    を特徴とする細胞。
  2. 【請求項2】 ヒト・ナチュラルキラー細胞及び/又は
    ヒト・ナチュラルキラー細胞前駆細胞に対する増殖刺激
    作用を有しており、かつ増殖培養されたヒト・ナチュラ
    ルキラー細胞に対して高感受性である請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 ヒト・ウイルムス腫瘍細胞株HFWTに検出
    手段を導入した請求項1又は2に記載の細胞。
  4. 【請求項4】 検出手段が遺伝子組換え手段により導入
    された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 オワンクラゲ由来のグリーンフルオレッ
    センスプロテインを産生する遺伝子を導入した請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の細胞。
  6. 【請求項6】 細胞株GHINK−1(FERM P−
    17978)である請求項1に記載の細胞。
  7. 【請求項7】 ヒト・ナチュラルキラー細胞を増殖刺激
    用細胞の存在下で増殖培養する方法であって、請求項1
    ないし6のいずれか1項に記載の細胞を増殖刺激用細胞
    として用いることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 ヒト末梢血より分離したヒト末梢血単核
    細胞からヒト・ナチュラルキラー細胞を増殖させる請求
    項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 検出手段を利用して培養物から生存して
    いる該増殖刺激用細胞を除去する工程をさらに含む請求
    項7又は8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項7ないし9のいずれか1項に記
    載の方法により得ることができるヒト・ナチュラルキラ
    ー細胞。
  11. 【請求項11】 ヒト・ナチュラルキラー細胞の細胞傷
    害活性測定方法であって、請求項1ないし6のいずれか
    1項に記載の増殖刺激用細胞を標的細胞として用いるこ
    とを特徴とする方法。
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