JP2002039477A - 結合金具 - Google Patents

結合金具

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Abstract

(57)【要約】 【課題】嵌合突部8と嵌合凹部7が軸方向に嵌合し、係
止鉤部9が周方向に係合する結合金具において、がたつ
きや結合の不所望な解除を防止することができ、しかも
構造が簡単な結合金具を提供する。 【解決手段】嵌合突部8の先端面と嵌合凹部7の奥壁部
に、係止鉤部9の係合面9aのオーバーハング角度aよ
り大きい角度bのテーパカム面30,31を形成し、こ
れらテーパカム面が嵌合することにより係合面9aを密
着嵌合させ、軸方向のがたつきと不所望な結合解除を防
止した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消防ホース等のホ
ースを相互に接続、またはホースとポンプその他の機器
の配管要素とを接続するための結合金具に関する。さら
に特定すれば、本発明は雌雄の区別のない一対の同一の
構造の結合金具本体から構成されたホースの結合金具で
あって、衝撃が作用した場合や、負圧が作用した場合の
がたつきや遊び、および不所望な結合解除を防止した結
合金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ホースたとえば消防ホースの結
合金具には差し込み形のものがあり、このような差し込
み形の結合金具は一対の結合金具本体が互いに軸方向に
嵌合して係止結合される構造のものである。このような
差し込み形の結合金具は、たとえば日本工業規格 JI
S B 9911 に規定されているものあり、このよ
うな結合金具は「町野式金具」と称されて汎用されてい
る。
【0003】このような差し込み形の結合金具は、簡単
な装置で結合および結合解除ができ、操作の迅速性と確
実性を要求される消防ホースの結合金具としては好まし
い特性を有している。
【0004】しかし、従来の差し込み形の結合金具は、
結合される一対の結合金具本体に雌雄の区別があり、一
方が雄金具、他方が雌金具として構成されており、雄金
具同志、雌金具同志は結合できない。このため、たとえ
ば消火作業の際に、複数の消防ホースを延ばして互いに
結合する際に、誤って雄金具同志、または雌金具同志が
対応するように消防ホースを延ばしてしまう可能性があ
り、消火作業の迅速性、確実性の点からこのような可能
性を排除することが好ましい。また、従来の結合金具
は、構造の相違する雄金具と雌金具の2種類の金具を製
造しなければならず、製造コストが高くなる不具合があ
った。
【0005】このような不具合を解消するために、雌雄
の区別のない同一の形状の一対の結合金具本体からなる
ホースの結合金具が開発された。この結合金具は、本願
の出願人と同じ出願人の特許出願、特願平7−2758
35号、特願平8−94340号、特願平8−9434
1号等に開示されている。
【0006】このような結合金具は、互いに相補形に嵌
合する一対の結合金具本体を備えており、これらの結合
金具本体からは前方に向けて複数の嵌合突部が形成さ
れ、これらの嵌合突部の間は嵌合凹部に形成されてい
る。そして、これら嵌合突部は、互いに相手方の結合金
具本体の嵌合凹部内に軸方向に嵌合する。
【0007】また、これらの嵌合突部の一側面には、そ
れぞれ係止鉤部が形成されており、これらの係止鉤部は
結合金具本体が相対的に回動することにより、周方向に
互いに係合し、これらの結合金具本体が軸方向に離間す
る方向の移動を規制してこれら結合金具本体を結合す
る。
【0008】また、上記の嵌合突部の他側面には、付勢
機構、たとえばスプリングにより突出方向に付勢された
鋼球等を備えたプランジャ機構が設けられている。そし
て、上記の嵌合突部が相手方の嵌合凹部内に軸方向に嵌
合した場合には、これらのプランジャ機構が互いに当接
して押圧し、これらの結合金具本体を互いに回動方向に
付勢し、上記の係止鉤部を互いに周方向に係合させ、か
つこれら係止鉤部の係合状態を維持する。
【0009】ところで、このような結合金具本体を互い
に嵌合、係合させるためには、各部にある程度の遊びが
必要である。たとえば、上記の係止鉤部を互いに係合さ
せるには、それらの係合面にある程度の隙間が必要であ
り、よって嵌合突部はこれら係止鉤部の係合面が一致し
た位置より、さらに前進する必要がある。このため、上
記の係止鉤部が互いに係合した状態において、嵌合突部
の先端面と相手側の嵌合凹部の奥壁面との間には、遊び
すなわち隙間が形成される。
【0010】通常の場合には、上記の係止鉤部は前記の
付勢機構により互いに係合した状態に維持されている
が、衝撃等が作用した場合には、付勢機構の付勢力に抗
して結合金具本体が上記の隙間分だけ互いに近接する方
向に移動して係止鉤部の係合面が離れ、がたつきを生じ
る。
【0011】また、上記の係止鉤部の係合面は、その先
端縁が嵌合突部の基端側に位置するようにオーバーハン
グ状に形成されることが好ましい。このようにオーバー
ハング状に形成することにより、ホース内に水圧が作用
してこれら結合金具本体に軸方向に引き離すような力が
作用した場合に、これら係止鉤部の係合面が互いに噛み
合い、不所望な結合解除を防止する。
【0012】しかし、このように係止鉤部の係合面をオ
ーバーハング状に形成した場合には、このオーバーハン
グ分だけ上記の嵌合突部の先端面と嵌合凹部の奥壁面と
の間の隙間を大きくしなければならず、上記のがたつき
が大きくなる。
【0013】このようながたつきは、この結合金具の使
用の際に異音を発生するばかりでなく、上記のように係
止鉤部の係合面が離れた状態でこれら結合金具本体に回
動方向の荷重が作用すると、これら結合金具本体の結合
が不所望に解除される可能性がある。
【0014】また、この結合金具をたとえば消防車の吸
込み側のホースすなわち吸管の継手として使用した場合
等には、当然ながら負圧が作用する。このように負圧が
作用すると、これら結合金具本体が互いに近接するよう
な軸方向の荷重が作用する。このため、嵌合突部の係止
鉤部の係合面が互いに離れ、これらの係合が解除されて
しまう可能性もある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
基づいてなされたもので、前述のようなホース等の結合
金具において、衝撃が作用した場合のがたつきや、負圧
が作用した場合の不所望な結合解除等を防止することが
できる結合金具を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、配管要素を結合する結合金具であって、円筒状をな
す一対の結合金具本体と、これらの結合金具本体の前端
面に形成され互いに軸方向に衝合されるシール面と、上
記の結合金具本体から上記のシール面を囲んで周方向に
配列され軸方向に突設した複数の嵌合突部とこれらの間
に形成された嵌合凹部とを備え、上記一対の結合金具本
体の嵌合突部と嵌合凹部は互いに相手側の結合金具本体
の嵌合凹部と嵌合突部に軸方向に嵌合し、またこれら嵌
合突部には相手側の結合金具本体の嵌合突部に周方向に
係止して軸方向の移動を規制しこれら一対の結合金具本
体を軸方向に係止する係止鉤部が形成されているものに
おいて、上記の嵌合突部の先端面と、上記の嵌合凹部の
奥壁面とは、上記の係止鉤部の係合状態において上記の
結合金具本体が軸方向に互いに近接する方向の相対的な
移動を規制するカム面として形成されていることを特徴
とするものである。
【0017】したがって、これら係止鉤部の係合状態に
おいて、結合金具本体が互いに近接するように軸方向に
移動するのが規制され、がたつきを減少もしくは防止
し、また負圧が作用した場合においても、これら結合金
具本体が互いに近接して係止鉤部の係合面が離れ、これ
ら結合金具本体の結合が不所望に解除されてしまうのを
確実に防止できる。
【0018】また、請求項2に記載の本発明は、前記の
カム面は、前記の結合金具本体が前記の係止鉤部が互い
に係合する方向に相対的に回動した場合に、これらの結
合金具本体を互いに軸方向に離間する方向に付勢するよ
うに傾斜したテーパカム面であることを特徴とするもの
である。したがって、これらテーパカム面により、上記
の係止鉤部の係合面を互いに係合状態に押圧するので、
がたつきを完全に除去することができる。
【0019】また、請求項3に記載の本発明は、前記の
嵌合鉤部の係合面は、その先端縁部が嵌合突部の基端部
側に位置するように傾斜したオーバーハング状をなし、
前記のテーパカム面の角度は、このオーバーハングの角
度より大きく設定されていることを特徴とするものであ
る。したがって、係止鉤部の係合面にオーバーハングが
付されている場合でも、これらテーパカム面により、上
記の係止鉤部の係合面を互いに係合状態に押圧するの
で、がたつきを完全に除去することができる。
【0020】また、請求項4に記載の本発明は、前記の
カム面は、前記の係止鉤部が互いに係合した状態で互い
に対向して前記の結合金具本体が互いに軸方向に近接す
る方向に相対的に移動するのを規制する規制突部を備え
ていることを特徴とするものである。したがって、がた
つきを減少し、また負圧が作用した場合の不所望な結合
解除を防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図1ないし図5を参照して
本発明の第1の実施形態を説明する。この実施形態はこ
の結合金具を消防ホースの結合金具に適用した場合のも
のである。この結合金具は、同一の構造の一対の結合金
具本体1a,1bから構成されており、これら結合金具
本体1a,1bにはそれぞれ消防ホース2a,2bが接
続されている。
【0022】これらの結合金具本体1a,1bは、それ
ぞれ筒本体3を備えており、これら筒本体3は略円筒形
をなし、その内周面には鋸歯状の凹凸を有するホース取
り付け部4が形成されている。そして、このホース取り
付け部4に消防ホース2a,2bの端部が挿入され、こ
れらホースの内周面からかしめリング(図示せず)によ
ってこのホースの外周面をこのホース取り付け部4に押
圧してこの消防ホースを取り付ける。
【0023】また、この筒本体3の前端部の内周面に
は、円筒状のシール面部材5が螺装され、このシール面
部材5の前端面はシール面として形成され、このシール
面にはゴムパッキン等のシール部材6が取り付けられて
いる。したがって、これらの結合金具本体1a,1bが
互いに軸方向に嵌合して結合された場合には、これらの
シール部材6が互いに衝合され、これらの筒本体3の内
部を連通するとともにシール性を維持する。
【0024】そして、上記の筒本体3の前端部には、そ
れぞれ複数、たとえば6個の嵌合突部8が一体に突設さ
れている。これらの嵌合突部8は、周方向に等間隔に配
列され、上記のシール面部材5のシール面に対して軸方
向に突出している。また、これらの嵌合突部8の間は、
嵌合凹部7として形成されており、これらの結合金具本
体1a,1bが軸方向に衝合された場合には、一方の結
合金具本体1aの嵌合突部8が他方の結合金具本体1b
の嵌合凹部7内に嵌合し、また他方の結合金具本体1b
の嵌合突部8が一方の結合金具本体1aの嵌合凹部7内
に嵌合し、互いに相補形に嵌合する。
【0025】なお、このものでは、上記の嵌合凹部7の
幅は上記の嵌合突部8の幅よりやや広く形成されてい
る。したがって、これら嵌合突部8はこれらの嵌合凹部
7内に軸方向に嵌合するとともに、周方向にも所定の量
だけ回動自在である。
【0026】そして、上記の嵌合突部8の一方の側面8
aには段形鉤状の係止鉤部9がそれぞれ形成されてお
り、これらは互いに相手側の嵌合突部の係止鉤部と周方
向に係合するように構成されている。したがって、これ
らの嵌合突部8が相手側の嵌合凹部7内に軸方向に嵌合
した状態で、これら結合金具本体1a,1bを互いに回
動させてこれら嵌合突部8の一方の側面8aが互いに近
接すると、これらの係止鉤部9が図3に示すように互い
に係合して軸方向の係止をなし、これら結合金具本体1
a,1bが互いに結合される。なお。これらの係止鉤部
9の根元部には、この部分の応力集中を防止するための
湾曲部11が形成されている。また、これらの嵌合突部
の他方の側面の先端角部は円弧状に形成されてガイド部
12が形成されており、これらが嵌合する際には、これ
らのガイド部12が互いに当接するように構成されてい
る。
【0027】また、これらの係止鉤部9の係合面9a
は、その先端縁が嵌合突部8の基端部側に位置するよう
に、所定の角度aだけオーバーハング状に傾斜してお
り、これらが嵌合した状態で内部の水圧等によりこれら
結合金具本体1a,1bを互いに引き離す方向の荷重が
作用した場合には、これらの係止鉤部11はより強く嵌
合し、この結合金具本体1a,1bの抜け等を確実に防
止するように構成されている。
【0028】なお、上記の嵌合突部8や嵌合凹部7、係
止鉤部9等の構成は、前述のようにがたつきや不所望な
結合解除を防止するために、特別の構成となっている
が、この点については後に詳述する。
【0029】また、これらの嵌合突部8の他方の側面8
bは、これらの結合金具本体1a,1bの軸方向に対し
て傾斜している。したがって、この嵌合突部8は、その
先端部にゆくに従って周方向の幅が狭くなるようなテー
パ状に形成され、また嵌合凹部7も同様にその奥部にゆ
くに従ってその周方向の幅が狭くなるようなテーパ状に
形成されている。これにより、これらの嵌合突部8と嵌
合凹部7の嵌合が容易となる。なお、上記の係止鉤部9
が形成されている一方の側面は、この結合金具本体1
a,1bの軸方向と略平行に形成されている。
【0030】また、これらの嵌合突部8の他方の側面8
bには、それぞれ付勢機構10が設けられている。これ
らの付勢機構10は、円筒形のケース部材14内に突没
自在に収容された付勢部材たとえば鋼球15と、この鋼
球15を突出方向に付勢するスプリング16とから構成
されており、これらの付勢機構10はこれら嵌合突部8
の他方の側面に埋め込まれている。したがって、これら
の嵌合突部8が図3に示すように相手側の嵌合凹部7内
に嵌合されると、上記の鋼球15が互いに当接して互い
に押圧付勢し、これら嵌合突部8の他方の側面を互いに
離反するように付勢し、この結果これら嵌合突部8の一
方の側面8aは互いに近接するように付勢され、上述の
ようにこれらの一方の側面の係止鉤部9が互いに係合す
るように付勢される。
【0031】また、これらの結合金具本体1a,1bの
外周面には、複数の工具溝20が形成されている。これ
らの工具溝20は、たとえばレンチ等の工具と嵌合可能
な形状に形成されており、万一これらの結合金具本体1
a,1bの結合が砂等の噛み込みにより結合解除できな
くなった場合には、これらの工具溝20にレンチ等の工
具を嵌合してこれら結合金具本体1a,1bを強制的に
回動させることにより、結合を解除することができる。
【0032】次に、図3ないし図5を参照して上記の嵌
合突部8や係止鉤部9の部分の構成について説明する。
これらの図に示すように、上記の嵌合突部8の先端面お
よびこれが対向する相手方の結合金具本体の嵌合凹部7
の奥壁部は、それぞれテーパカム面30,31として形
成されている。
【0033】これらのテーパカム面30,31は、この
結合金具本体1a,1bが上記の係止鉤部9が係合する
方向に相対的に回動した場合に、これらの結合金具本体
を互いに離間する方向、すなわち係止鉤部9の係合面9
aがさらに噛み合うような方向に付勢するように傾斜し
ている。
【0034】そして、このテーパカム面30,31の周
方向に対する傾斜角度bは、前記の係止鉤部9の係合面
9aの周方向に対するオーバーハング角度aより大きく
設定されている。なお、図3ないし図5においては、理
解を容易にするために、これらの角度は実際より大きく
描かれているが、実際の製品では、これらの角度は数°
程度で十分である。
【0035】次に、上記のテーパカム面等の作用を説明
する。まず、これらの結合金具本体1a,1bを軸方向
に嵌合すると、嵌合突部8は相手方の嵌合凹部7内に嵌
合し、付勢機構10に押圧され、嵌合突部8の一方の側
面8aが互いに摺動する。そして、この一方の側面8a
の係止鉤部9の先端が互いに乗り越えると、上記の付勢
機構10の付勢力により、結合金具本体1a,1bが互
いに周方向に回動し、係止鉤部9の係合面9aが係合す
る。
【0036】この場合に、図5に示すように、嵌合突部
8のテーパカム面30と嵌合凹部7のテーパカム面31
とが当接し、これらが周方向に相対的に移動することに
より、結合金具本体1a,1bは図5の矢印の方向、す
なわちこれらテーパカム面30,31の方向に沿って移
動する。これらのテーパカム面30,31の角度bは、
係止鉤部9の係合面9aのオーバーハング角度aより大
きいので、これら係合面9aは図4に示すように密着し
て噛み合い、かつこの状態で上記のテーパカム面30,
31も密着する。
【0037】したがって、この状態では、これらは軸方
向に遊びなく嵌合するので、衝撃等によりがたつきが生
じることはなく、また係合面9aが離れることがないの
で、これら結合金具本体1a,1bの結合が不所望に解
除されることもない。また、上記の消防ホースに負圧が
作用した場合には、これらの結合金具本体1a,1bに
互いに近接するような軸方向の荷重が作用する。しか
し、上記のように、嵌合突部8の先端部と嵌合凹部7の
奥壁部のテーパカム面30,31が密着しているので、
テーパカム面30,31の傾斜角度bがこの面の摩擦角
ψ(摩擦係数μ=tanψ)より小さい限り、これら結
合金具本体1a,1bが互いに近接するように相対的に
移動することはなく、よって係止鉤部9の係合面9aが
離れることはなく、これら結合金具本体1a,1bの結
合が不所望に解除されることはない。
【0038】また、この実施形態のものは、上記のよう
に嵌合突部8の先端面および嵌合凹部7の奥壁部を上記
のような形状としただけであり、特別な部品も不要であ
り、構造が簡単で製造コストも低い。
【0039】なお、本発明は上記の実施形態には限定さ
れない。たとえば図6には第2の実施形態を示す。この
ものは、嵌合突部8の他方の側面8b側において、嵌合
凹部7の奥壁部の一部に第2のテーパカム面32を形成
したものである。この第2のテーパカム面32の周方向
に対する傾斜角度cは、係止鉤部9の係合面9aのオー
バーハング角度aと略等しく設定されている。
【0040】この実施形態のものは、結合金具本体1
a,1bを嵌合する際に、嵌合突部8の先端部が最初に
この第2のテーパカム面32に当接し、その後にこの第
2のテーパカム面32に沿って結合金具本体が回動し、
次に嵌合突部8のテーパカム面30と嵌合凹部のテーパ
カム面31とが当接し、後は前記の第1の実施形態と同
様にして係止鉤部9が係合する。
【0041】この実施形態ものは、係止鉤部9の係合の
初期においては、係止鉤部9が係合面9aのオーバーハ
ング角度と等しい角度で周方向に移動するので、この初
期の状態で係合面9aが互いに近接することがなく、こ
れら係合面9aの先端縁の引っ掛かり等が発生する可能
性が少なく、より円滑な係合が可能である。
【0042】また、図7には第3の実施形態を示す。こ
のものは、嵌合突部8の他方の側面8b側において、嵌
合突部8の先端面と嵌合凹部7の奥壁部の一部に第3の
テーパカム面33,34を形成したものである。この第
3のテーパカム面33,34の周方向に対する傾斜角度
dは、第1のテーパカム面30,31の傾斜角度bより
大きく設定されている。
【0043】この実施形態のものは、結合金具本体1
a,1bを嵌合する際に、嵌合突部8の先端部が最初に
この第3のテーパカム面34に当接し、その後にこの第
3のテーパカム面34に沿って結合金具本体が回動し、
次に嵌合突部8のテーパカム面30と嵌合凹部のテーパ
カム面31とが当接し、後は前記の第1の実施形態と同
様にして係止鉤部9が係合する。
【0044】この実施形態ものは、係止鉤部9の係合の
初期においては、上記の第2の実施形態と反対に、係止
鉤部9が係合面9aのオーバーハング角度さらにより大
きい角度で周方向に移動する。この場合の係合面9aの
先端縁の引っ掛かり等を防止するには、この係合の初期
における軸方向の遊びを与えておけばよい。
【0045】この実施形態のものは、嵌合突部8の第3
のテーパカム面33の部分が、第1のテーパカム面30
の部分より突出している。よって、これら結合金具本体
1a,1bを分離した状態でこの結合金具本体の嵌合突
部8の先端が他の物に衝突した場合、傷や変形を受ける
のは、この第3のテーパカム面33の部分である。そし
て、この第3のテーパカム面33の部分は、係止鉤部9
の係合面9aが係合を開始する前しか作用せず、かつ前
記のように軸方向の遊びを与えておくことができるの
で、これらの傷や変形の影響を受けることが少ない。
【0046】また、図8には、第4の実施形態を示す。
このものは、嵌合突部8の先端面および嵌合凹部7の奥
壁部に逆テーパカム面35,36を形成したものであ
る。この逆テーパカム面35,36は、係止鉤部9の係
合面9aのオーバーハング角度aとは逆方向の傾斜角度
eを与えたものである。なお、このものは、このままで
は係止鉤部9の係合はできないので、嵌合突部8の先端
と嵌合凹部7の奥壁との間に遊びが与えられている。
【0047】この実施形態のものは、軸方向のがたつき
は防止できないが、ホースの内部に負圧が作用しね結合
金具本体1a,1bに軸方向に互いに近接する方向の荷
重が作用した場合には、付勢機構10の付勢力に抗して
これら逆テーパカム面35,36が当接する。そして、
これら逆テーパカム面35,36が軸方向に押圧される
ことにより、係止鉤部9の係合方向の分力が発生するの
で、これら結合金具本体の結合が不所望に解除されるこ
とはない。
【0048】また、図9には、本発明の第5の実施形態
を示す。このものは、嵌合突部8の先端面と、嵌合凹部
7の奥壁部に、カム面として互いに当接する段状の規制
突部37,38を突設したもので、これら規制突部3
7,38は、係止鉤部9が係合した状態では互いに離間
している。
【0049】この実施形態のものは、衝撃や内部の負圧
により、係止鉤部9の係合面9aが離れた状態におい
て、衝撃等によりこれら結合金具本体1a,1bが相対
的に回動した場合に、これらの規制突部37,38が当
接し、それ以上の回動を規制するので、これら結合金具
本体の結合の不所望な解除の可能性が少なくなる。
【0050】また、図10には第6の実施形態を示す。
このものは、嵌合突部8の先端面と嵌合凹部7の奥壁面
に、カム面として規制突部41,42を突設したもので
ある。これら規制突部41,42は、係止鉤部9が係合
した状態で、それらの先端面の一部が互いに当接し、こ
れら結合金具本体1a,1bの軸方向の移動を規制す
る。
【0051】この実施形態のものは、がたつきを防止で
きるとともに、内部に負圧が作用した場合に係止鉤部9
の係合面9aが離れるのを防止することができる。ま
た、これら規制突部41,42の一部の小面積の部分の
みが当接し、他の部分には隙間が形成されているので、
砂等の異物の噛み込みが少ない。
【0052】なお、本発明は前述の実施形態には限定さ
れない。たとえば、本発明は消防ホースの結合金具には
限定されず、その他の各種の用途の配管要素を接続する
結合金具一般に適用することができる。また、本発明の
結合金具は、金属、合成樹脂、その他の複合材料等、任
意の材料で形成することができる。
【0053】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、係止鉤部の
係合状態において、結合金具本体が互いに近接するよう
に軸方向に移動するのが規制され、がたつきを減少もし
くは防止し、また負圧が作用した場合においても、これ
ら結合金具本体が互いに近接して係止鉤部の係合面が離
れ、これら結合金具本体の結合が不所望に解除されてし
まうのを確実に防止できる等、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の結合金具の斜視図。
【図2】図1の結合金具の一方の結合金具本体を断面で
示す側面図。
【図3】図1の結合金具の嵌合突部と嵌合凹部との嵌合
状態の平面図。
【図4】第1の実施形態の結合金具の嵌合状態の嵌合突
部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【図5】第1の実施形態の結合金具の嵌合途中の状態の
嵌合突部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【図6】第2の実施形態の結合金具の嵌合状態の嵌合突
部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【図7】第3の実施形態の結合金具の嵌合状態の嵌合突
部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【図8】第4の実施形態の結合金具の嵌合状態の嵌合突
部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【図9】第5の実施形態の結合金具の嵌合状態の嵌合突
部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【図10】第6の実施形態の結合金具の嵌合状態の嵌合
突部と係止鉤部の部分を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
1a,1b 結合金具本体 7 嵌合凹部 8 嵌合突部 9 係止鉤部 9a 係合面 10 付勢機構 30,31 テーパカム面 32 第2のテーパカム面 33,34 第3のテーパカム面 35,36 逆テーパカム面 37,38 規制突部 41,42 規制突部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管要素を結合する結合金具であって、
    円筒状をなす一対の結合金具本体と、これらの結合金具
    本体の前端面に形成され互いに軸方向に衝合されるシー
    ル面と、上記の結合金具本体から上記のシール面を囲ん
    で周方向に配列され軸方向に突設した複数の嵌合突部と
    これらの間に形成された嵌合凹部とを備え、上記一対の
    結合金具本体の嵌合突部と嵌合凹部は互いに相手側の結
    合金具本体の嵌合凹部と嵌合突部に軸方向に嵌合し、ま
    たこれら嵌合突部には相手側の結合金具本体の嵌合突部
    に周方向に係止して軸方向の移動を規制しこれら一対の
    結合金具本体を軸方向に係止する係止鉤部が形成されて
    いるものにおいて、 上記の嵌合突部の先端面と、上記の嵌合凹部の奥壁面と
    は、上記の係止鉤部の係合状態において上記の結合金具
    本体が軸方向に互いに近接する方向の相対的な移動を規
    制するカム面として形成されていることを特徴とする結
    合金具。
  2. 【請求項2】 前記のカム面は、前記の結合金具本体が
    前記の係止鉤部が互いに係合する方向に相対的に回動し
    た場合に、これらの結合金具本体を互いに軸方向に離間
    する方向に付勢するように傾斜したテーパカム面である
    ことを特徴とする請求項1の結合金具。
  3. 【請求項3】 前記の嵌合鉤部の係合面は、その先端縁
    部が嵌合突部の基端部側に位置するように傾斜したオー
    バーハング状をなし、前記のテーパカム面の角度は、こ
    のオーバーハングの角度より大きく設定されていること
    を特徴とする請求項2の結合金具。
  4. 【請求項4】 前記のカム面は、前記の係止鉤部が互い
    に係合した状態で互いに対向して前記の結合金具本体が
    互いに軸方向に近接する方向に相対的に移動するのを規
    制する規制突部を備えていることを特徴とする請求項1
    の結合金具。
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