JP2002036545A - インクジェットプリンタヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッド及びその製造方法

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JP2002036545A
JP2002036545A JP2000222569A JP2000222569A JP2002036545A JP 2002036545 A JP2002036545 A JP 2002036545A JP 2000222569 A JP2000222569 A JP 2000222569A JP 2000222569 A JP2000222569 A JP 2000222569A JP 2002036545 A JP2002036545 A JP 2002036545A
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Atsushi Ito
敦 伊藤
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Brother Industries Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェットプリンタの積層型キャビティ
プレート中の貫通路17の内周面に段差を無くしてイン
ク中の気泡が滞留しないようにする。 【解決手段】 キャビティプレートにおける複数のプレ
ート12a(12b,13)に、それぞれ相互に連通す
るように、圧力室16からノズル15への貫通路17を
傾斜状に形成するに際して、各プレート12a(12
b,13)の表裏両面に、貫通路17に対応する表面側
の開口部36aのパターンと裏面側の開口部36bのパ
ターンとを、両開口パターンの中心軸が適宜所定方向に
ずれるようにして設けたエッチングのための保護膜35
を形成した後、前記各プレートをエッチングし、その後
保護膜35を除去してから、上下に隣接するプレートの
上層のプレートにおける下側の開口部36bの中心軸線
と下層のプレートにおける上側の開口部36aの中心軸
線とが一致するようにして積層接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電式等のインク
ジェットプリンタヘッドの構成及びその製造方法に係
り、より詳しくは、圧力室及びノズルへ連通する貫通路
を有するキャビティプレートの構成及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】先行技術のオンディマンド型の圧電式の
インクジェットプリンタヘッドにおいては、例えば、特
開平7−195685号公報に記載されているように、
多数のノズルを備えたノズルプレートと、その背面に接
着剤にて積層され、図示しないインク供給タンクに連通
するリザーバー室と前記ノズルの孔径より大径の第1通
孔を有するスペーサプレートと、該スペーサプレートの
背面に接着され、前記リザーバー室と連通するオリフィ
スと前記第1通孔に連通する第2通孔を有するインク供
給プレートと、該インク供給プレートの背面に接着され
た補強プレート及び圧力室プレートとから成る積層型の
キャビティプレートが開示されている。
【0003】前記圧力室プレートには、それに形成され
た圧力室の背面に接着した圧電振動板が配置され、前記
補強プレートには、前記圧力室とオリフィスとに連通す
るインク供給孔及び、圧力室から前記第2通孔に連通す
る第3通孔が穿設されているものである。
【0004】この各通孔(貫通路)の形成方法は、当該
通孔の直径か極めて小さく、且つ小さいピッチで正確に
多数形成しなければならないから、従来から図11
(a)〜図11(c)に示されているように、プレート
100の表表裏両面に、通孔の開口部101a,101
bの箇所のみが露出するパターンでエッチングに対する
保護膜(レジスト)102を形成し(図11(a)参
照)、前記保護膜でマスクしない部分(開口部101
a,101b)を化学的、または物理的に食刻加工(エ
ッチング)を行う(図11(b)参照)。化学的エッチ
ング(ウエットエッチング)としては、エッチング溶液
に前記被エッチング材を浸漬して前記開口部101a,
101bからプレート100を溶解させて所定の通孔1
04を貫通形成するものであり、物理的エッチング(ド
ライエッチング)では、プラズマエッチング、スパッタ
エッチングがあった。
【0005】そして、前記先行技術では、ノズルプレー
ト、スペーサプレート及びインク供給プレートは各々ス
テンレス製であって、補強プレート及び圧力室プレート
はジルコニア等の焼結材であり、図11(c)に示すよ
うに、前記圧力室からノズルまでを連通させる第3通孔
104a、第2通孔104b、第1通孔104cは、そ
の中心軸線を圧力室のノズル側先端より順に外方へずら
せて位置させるようにして各プレートを積層することが
提案されている。換言すると、各プレート100a,1
00b,100cに穿設される通孔(貫通路)104a
〜104cは当該各プレートの表面に対して垂直な軸線
を有するものであり、且つ各通孔は、上層から下層に行
くにしたがって、階段状に配置されているものであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ように、上下に隣接するプレートの通孔が階段状に配置
されていると、下層のプレートにおける通孔の上開口部
が上層プレートの下面にて一部遮られることになり、こ
の天井隅部105a,105bに、流通するインク中に
混入した微細な気泡が滞留し、インク吐出性能を悪化さ
せる原因となっていた。
【0007】本発明は、このような問題を解消したイン
クジェットプリンタヘッド及びその製造方法を提供する
ことを技術的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため、請求項1に記載の発明のインクジェットプリン
タヘッドは、複数個のノズル、この各ノズル毎の圧力室
及びこれらに連通する傾斜状のインク流路を列状に配置
したキャビティープレートを備えるインクジェットプリ
ンタヘッドにおいて、前記キャビティープレートを複数
のプレートの積層体で構成すると共に、該複数のプレー
トの少なくともいくつかのものには、前記インク流路を
構成する各貫通路を、該プレートの表面側の開口部と裏
面側の開口部とが所定方向にずれ、且つ前記各貫通路の
内周面を、プレートの隣接部で滑らかに形成したもので
ある。
【0009】そして、請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載のインクジェットプリンタヘッドにおいて、前
記キャビティプレートは、ノズルが穿設されたノズルプ
レートと、マニホールドプレートと、スペーサプレート
と、圧力室が形成されたベースプレートとからなる積層
体であって、前記マニホールドプレート及びスペーサプ
レートに、それぞれ連通するように前記貫通路を傾斜状
に形成したものである。
【0010】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は請求項2に記載のインクジェットプリンタヘッドに
おいて、前記複数のプレートのうち隣接する一方のプレ
ートの表面側の開口部と他方のプレートの裏面側の開口
部とは一致した位置に形成したものである。
【0011】請求項4に記載の発明のインクジェットプ
リンタヘッドの製造方法は、キャビティプレートを、ノ
ズルが穿設されたノズルプレートと、圧力室が形成され
たベースプレートと、さらに複数のプレートを含む積層
体より構成して成るインクジェットプリンタヘッドにお
いて、前記複数のプレートに、前記圧力室及びノズルに
連通する貫通路を、それぞれ相互に連通するように傾斜
状に形成するに際して、前記各プレートの表裏両面に、
前記貫通路に対応する表面側開口パターンと裏面側開口
パターンとを、両開口パターンの中心軸が適宜所定方向
にずれるようにして設けたエッチングのための保護膜を
形成した後、前記各プレートをエッチングすることを特
徴とするものである。
【0012】そして、請求項5に記載の発明は、請求項
4に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法に
おいて、前記複数のプレートのうち上下に隣接するプレ
ートの上層のプレートにおける下側開口パターンの中心
軸線と下層のプレートにおける上側開口パターンの中心
軸線とが一致する位置であるように前記保護膜を形成し
たものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
について説明する。図1、図8及び図9は、本発明の実
施の形態による圧電式インクジェットプリンタヘッドを
示す。これらの図において、金属板製のキャビティープ
レート10に対して積層されるプレート型の圧電アクチ
ュエータ20の上面には、外部機器との接続のために、
フレキシブルフラットケーブル40が接着剤にて重ね接
合されているものであり、最下層のキャビティープレー
ト10の下面側に開口されたノズル15から下向きにイ
ンクが吐出するものとする。
【0014】前記キャビティープレート10は、図3及
び図4に示すように構成されている。すなわち、ノズル
プレート11、二枚のマニホールドプレート12、スペ
ーサプレート13及びベースプレート14の五枚の薄い
金属板をそれぞれ接着剤にて重ね接合して積層した構造
であり、実施形態では、各プレートは、45%ニッケル
合金鋼板製で、50μm〜150μm程度の厚さを有す
る。前記ノズルプレート11には、微小径(実施形態で
は5〜10μm程度)のインク噴出用のノズル15が、
当該ノズルプレート11における第1の方向(長辺方
向)に沿って2列の千鳥配列状に設けられている。即
ち、ノズルプレート11の前記第1の方向に延びる2つ
の平行状の基準線11a、11bに沿って、微小ピッチ
Pの間隔で千鳥状配列にて多数個のノズル15が穿設さ
れている。前記二枚のマニホールドプレート12には、
インク通路12a、12bが、前記ノズル15の列の両
側に沿って延びるように穿設されている。但し、ノズル
プレート11に対面する下側のマニホールドプレート1
2におけるインク通路12bは、当該マニホールドプレ
ート12の上側にのみ開放するように凹み形成されてい
る(図4参照)。このインク通路12a、12bは、上
側のマニホールドプレート12に対する前記スペーサプ
レート13の積層により密閉される構造になっている。
また、前記ベースプレート14には、その長辺(前記第
1の方向)に沿う中心線に対して直交する第2の方向
(短辺方向)に延びる細幅の圧力室16の多数個が穿設
されている。そして、前記中心線を挟んで左右両側にて
平行状の長手基準線14a、14bを設定すると、前記
中心線より左側の圧力室16の先端16aは前記左側の
長手基準線14a上に位置し、逆に前記長手中心線より
右側の圧力室16の先端16aは前記右側の長手基準線
14b上に位置し、且つこの左右の圧力室16の先端1
6aが交互に配置されているので、左右両側の圧力室1
6は一つおきに互いに逆方向に延びるように交互に配置
されていることになる。
【0015】この各圧力室16の先端16aは、前記ノ
ズルプレート11における前記千鳥状配列のノズル15
に、前記スペーサプレート13及び両マニホールドプレ
ート12に同じく千鳥状配列にて穿設されている微小径
の貫通路17、17、17を介して連通している。一
方、前記各圧力室16の他端16bは、前記スペーサプ
レート13における左右両側部位に穿設された貫通孔1
8を介して、前記両マニホールドプレート12における
インク通路12a、12bに連通している。
【0016】この場合、前記各プレート12,12,1
3における貫通路17は、横断面円形状であって、図6
に示すように、各プレートの表面側(上面側)の開口部
(平面視円形)の中心線A1と裏面側(下面側)の開口
部(平面視円形)の中心線A2とが所定の方向(例え
ば、各圧力室16の先端16aから外方向(ノズル15
が配置されている基準線11a、11b方向))に、適
宜寸法(L1)だけずれており、且つ互いに上下に隣接
する2つのプレートにおいては、その上層のプレートに
おける裏面側(下面側)の開口部の中心線A2と、下層
のプレートにおける表面側(上面側)の開口部の中心線
A1とが一致する等して、上下の開口部の形状・大きさ
を同じくし、上下のプレートの隣接部分で上下の貫通路
17、17が段差なく滑らかに続くように、上下のプレ
ートを重ね接合させるものとする。前記ずれ寸法L1は
各開口部の直径の略四分の一より小とすることが好まし
い。そして、前記各貫通路17の内周面(内壁面)が滑
らかとなるように、エッチング加工等にて貫通路17を
形成することが望ましい。
【0017】前記各圧力室16の他端16bは、図4に
示すように、ベースプレート14の下面側にのみ開口す
るように凹み形成されているものである。また、最上層
のベースプレート14の一端部に穿設された供給孔19
aの上面には、その上方のインクタンクから供給される
インク中の塵除去のためのフィルタ29が張設されてい
る。
【0018】これにより、前記前記ベースプレート14
及びスペーサプレート13の一端部に穿設の供給孔19
a,19bから前記インク通路12a、12b内に流入
したインクは、このインク通路12aから前記各貫通孔
18を通って前記各圧力室16内に分配されたのち、こ
の各圧力室16内から前記貫通路17、17、17を通
って、当該圧力室16に対応するノズル15に至るとい
う構成になっている(図3及び図9参照)。
【0019】次に、前記の貫通路17の形成方法(製造
方法)について説明すると、図7(a)に示すように、
各プレート12(12,13)の表裏両面に、エッチン
グ溶液に腐食されない材料からなる保護膜(レジスト)
35を塗布したのち、所定のパターンとなるようにマス
ク合わせし、露光・現像にて所定のパターンを得る。そ
の場合、各プレート12(12,13)の表裏両面に、
前記各貫通路17の開口部36a,36bの箇所のほ
か、スペーサプレート13における貫通孔18や、マニ
ホールドプレート12,12におけるインク通路12
a,12bも同時に形成するときにはそれらの箇所を露
出するパターンとする。そして、前記上下の開口部36
a,36bの中心線A1とA2との横ずれ寸法をL1と
する。
【0020】次いで、エッチング溶液に前記被エッチン
グ材(レジストで被覆されたプレート)を浸漬して前記
開口部36a,36bからプレート12(12,13)
を厚さ方向に溶解させて所定の貫通路17を貫通形成す
るのである(図7(b)参照)。この場合、エッチング
溶液によるプレートの金属材料の食侵は上下の開口部3
6a,36bから同時に、且つ略同速度で行われるの
で、プレートの厚さ方向にわたって貫通路17の断面形
状がほぼ同じになるタイミングでエッチングを終える。
両開口部36a,36bからの両浸食が重なったところ
で形成されるくさび形の断面部分では、浸食が急速に進
行し、前記くさび形が丸くなる。これより、各貫通路1
7の内周面(内壁面)は略傾斜円筒状にて滑らかに形成
される。エッチングの中止に際しては食侵化学反応を積
極的に停止させる液に浸漬後に乾燥させれば良い。次い
で、前記レジストを除去する。
【0021】前記ウエットエッチング法に代えて、物理
的エッチング(ドライエッチング)としての、プラズマ
エッチング、スパッタエッチングを実行しても良い。
【0022】そして、上述のように、上下に積層するプ
レートは、互いに上下に隣接する2つのプレートにおい
ては、その上層のプレートにおける裏面側(下面側)の
開口部の中心線A2と、下層のプレートにおける表面側
(上面側)の開口部の中心線A1とが一致するように、
上下のプレートを重ね接合させるのである。
【0023】従って、図6に示すように、前記圧力室1
6からノズル15までを連通させるスペーサプレート1
3における第1貫通路17から、その下層のマニホール
ドプレート12の第2の貫通路17、その下層のマニホ
ールドプレート12の第3の貫通路17までの中心軸線
のずれはL1×3であって、圧力室16のノズル側先端
16aよりプレートの長手中心線方向へずらせて位置さ
せるようにして各プレートを順に積層することになる。
【0024】これにより、積層した上下に隣接するプレ
ートの接合箇所で、上下の貫通路17が階段状になるこ
となく、滑らかに連続することになるから、貫通路17
の途中で、インク中の気泡が溜まるという現象が発生し
ないのである。
【0025】図10(a)〜図10(c)は、貫通路1
7の他の実施形態を示す。この実施形態では、各プレー
ト12(12,13)の表裏(上下面)の開口部36
a,36bの面積を異ならせて形成するものであって、
図10(a)に示すように、例えば、各プレート12
(12,13)の上面のレジスト35における開口部3
6aのパターンの直径D1を、下面のレジスト35にお
ける開口部36bのパターンの直径D2より大きく設定
し、且つ開口部36aの中心線A1の位置と開口部36
bの中心線A2の位置とを所定寸法L1だけ横にずらせ
る。この状態でエッチングすると、図10(b)に示す
ごとく、貫通路17の断面形状は、下窄まりの截頭円錐
状となり、且つ貫通路17の内周面(内壁面)はエッチ
ング加工により滑らかである。このような下窄まり状の
貫通路17を、上下に隣接する2つのプレートのうち、
上層のプレートにおける貫通路17の下面側の開口部の
面積が、下層のプレートにおける貫通路17の上面側の
開口部の面積と同一となり、且つその中心線同士が一致
するように、上下の複数プレートを接合すれば、図10
(c)に示すように、上層の圧力室16に開口する部分
で大径で、下(ノズル15側)に行くに従って次第に小
径となる貫通路17が滑らかな連続状に形成できるので
ある。このように、ノズル15に向かって貫通路17の
横断面積を縮小するように絞り(オリフィス)を形成す
れば、ノズル15からのインクの吐出速度を速めること
がてきるという効果も奏する。
【0026】一方、前記圧電アクチュエータ20は、図
2及び図5に示すように、2枚の圧電シート21、22
と、一枚の電気絶縁性のトップシート23とを積層した
構造で、前記各圧電シートのうち最下段の圧電シート2
1の上面(広幅面)には、前記キャビティープレート1
0における各圧力室16の箇所ごとに細幅の個別電極2
4a,24bが、第1の方向(長辺方向)に沿って列状
に形成され、各個別電極24a,24bは前記第1の方
向と直交する第2の方向に沿って圧電シート21の長辺
の端縁部近傍まで延びている。
【0027】上の圧電シート22の上面(広幅面)に
は、前記複数個の圧力室16に対して共通のコモン電極
25が形成されている。
【0028】なお、個別電極24a,24bが形成され
た圧電シート21とコモン電極25が形成された圧電シ
ート22との積層数は、前記対応する各圧力室16内の
インク吐出圧の大小に関連することになり、8〜10層
として良い。
【0029】実施形態においては、図2及び図5から理
解できるように、前記各個別電極24a,24bの幅寸
法は対応する圧力室16における平面視での広幅部より
もやや狭い程度に設定されている。
【0030】他方、圧力室16は前記のベースプレート
14の短辺の中央部側で、前記第1の方向(長辺)に沿
って2列状に配列されているので、前記コモン電極25
は、ベースプレート14の短辺の中央部側を挟んで左右
両側の圧力室16、16を一体的に覆うように、圧電シ
ート22の長辺に沿って延びる平面視略矩形状に形成さ
れると共に、該圧電シート22の対の短辺近傍では当該
短辺のほぼ全長にわたって延びる引き出し部25a,2
5aが一体的に形成されている。
【0031】そして、前記圧電シート22の対の長辺近
傍の表面であって、前記コモン電極25が形成されてい
ない箇所には、前記各個別電極24a,24bと同じ上
下位置(対応する位置)に、当該個別電極24a,24
bと略同じ幅寸法で長さの短いダミー個別電極26を形
成する。この場合、図5に示すように、各ダミー個別電
極26は前記コモン電極25と適宜の隙間寸法で隔てら
れている。
【0032】他方、最下段の圧電シート21の上面(広
幅面)のうち、前記引き出し部25a,25aに対応す
る位置(同じ上下位置、圧電シートの対の短辺近傍)に
は、ダミーコモン電極27を形成するのである。
【0033】前記最上段のトップシート(絶縁シート)
23の上面には、その長辺の端縁部に沿って、前記各個
別電極24a,24bの各々に対する表面電極30と、
前記コモン電極25に対する表面電極31とが、設けら
れている。
【0034】なお、実施形態では、圧電シート1枚の厚
さが30μmであり、導電材料の塗布にて形成される個
別電極24、コモン電極25及び表面電極30、31の
各電極層の厚さは略5μm程度である。
【0035】そして、図2に示すように、圧電アクチュ
エータ20の積層体の側面(表面電極30,31が形成
される広幅面と直交する側面で長辺の端縁部20a側)
に側面電極32、33を形成し、表面電極30は前記側
面電極32を介して前記個別電極24a,24bとダミ
ー個別電極26とを電気的接続させる一方、表面電極3
1は別の箇所の側面電極33を介して前記コモン電極2
5とダミーコモン電極27とを電気的接続させるよう構
成する。なお、その場合、前記圧電アクチェータのうち
表裏両表面と直交する側面(前記長辺の端縁部20a
側)に、少なくとも前記各駆動電極(コモン電極、個別
電極等)を露出する凹み溝が設けられ、この凹み溝内
に、前記駆動電極に電気的に導通する側面電極が形成さ
れたものであっても良い。なお、各圧電シートの長辺端
縁部及び短辺端縁部の各辺の中点位置には半円弧状の位
置決めマーク用の切欠き部42、43が形成されてい
る。
【0036】そして、このような構成のプレート型の圧
電アクチュエータ20は、前記キャビティープレート1
0に対して、当該圧電アクチュエータ20における各個
別電極24が前記キャビティープレート10における各
圧力室16の各々に対応するように積層固定される(図
1、図8参照)。また、この圧電アクチュエータ20に
おける上側の表面には、前記フレキシブルフラットケー
ブル40が重ね押圧されることにより、このフレキシブ
ルフラットケーブル40における各種の配線パターン
(図示せず)が、前記各表面電極30、31に電気的に
接合される。
【0037】この構成において、前記圧電アクチュエー
タ20における各個別電極24のうち任意の個別電極2
4と、コモン電極25との間に電圧を印加することによ
り、圧電シート21,22のうち前記電圧を印加した個
別電極24の部分に圧電による積層方向の歪みが発生
し、この歪みにて前記各個別電極24に対応する圧力室
16の内容積が縮小されることにより、この圧力室16
内のインクが、ノズル15から液滴状に噴出して、所定
の印字が行われる(図9参照)。
【0038】本発明におけるインク流路としての貫通路
は、前記圧力室16からノズル15への箇所ばかりでな
く、インクタンクからインク通路12aへの通路や、該
インク通路12aから圧力室16への通路等、ノズルや
圧力室に直接あるいは間接的に連通する通路にも適用で
きることはいうまでもない。
【0039】また、プレートは金属材料の他、セラミッ
クス材であっても良い。さらに、本発明のインクジェッ
トプリンタの駆動手段は、上記のプレート状の圧電アク
チュエータ20の他の形式であっても良い。
【0040】
【発明の作用・効果】以上に説明したように、請求項1
に記載の発明の圧電式インクジェットプリンタヘッド
は、複数個のノズル、この各ノズル毎の圧力室及びこれ
らに連通する傾斜状のインク流路を列状に配置したキャ
ビティープレートを備えるインクジェットプリンタヘッ
ドにおいて、前記キャビティープレートを複数のプレー
トの積層体で構成すると共に、該複数のプレートの少な
くともいくつかのものには、前記インク流路を構成する
各貫通路を、該プレートの表面側の開口部と裏面側の開
口部とが所定方向にずれ、且つ前記各貫通路の内周面
を、プレートの隣接部で滑らかに形成したものである。
【0041】したがって、積層したときに隣接するプレ
ートの接合箇所で、隣接する2つの貫通路が階段状にな
ることなく、滑らかに連続することになるから、貫通路
の途中で、インク中の気泡が溜まるという現象が発生せ
ず、インクの吐出性能を悪化させることがないという効
果を奏する。
【0042】そして、請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載のインクジェットプリンタヘッドにおいて、前
記キャビティプレートは、ノズルが穿設されたノズルプ
レートと、マニホールドプレートと、スペーサプレート
と、圧力室が形成されたベースプレートとからなる積層
体であって、前記マニホールドプレート及びスペーサプ
レートに、それぞれ連通するように前記貫通路を傾斜状
に形成したものであるから、圧力室からノズルまでの間
の貫通路の中途部にインク中の気泡が滞留せず、インク
の吐出性能や吐出するインク滴の切れ性能も向上すると
いう効果を奏する。
【0043】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は請求項2に記載のインクジェットプリンタヘッドに
おいて、前記複数のプレートのうち隣接する一方のプレ
ートの表面側の開口部と他方のプレートの裏面側の開口
部とは一致した位置に形成したものである。このように
することで隣接するプレートの接合部で、隣接する開口
部に横ずれの段差がなく、連通する貫通路の中途部に気
泡の淀み箇所が発生しないという効果を奏する。
【0044】請求項4に記載の発明のインクジェットプ
リンタヘッドの製造方法は、キャビティプレートを、ノ
ズルが穿設されたノズルプレートと、圧力室が形成され
たベースプレートと、さらに複数のプレートを含む積層
体より構成して成るインクジェットプリンタヘッドにお
いて、前記複数のプレートに、圧力室及びノズルに連通
する貫通路を、それぞれ相互に連通するように傾斜状に
形成するに際して、前記各プレートの表裏両面に、前記
貫通路に対応する表面側開口パターンと裏面側開口パタ
ーンとを、両開口パターンの中心軸が適宜所定方向にず
れるようにして設けたエッチングのための保護膜を形成
した後、前記各プレートをエッチングすることを特徴と
するものである。
【0045】このように保護膜のパターンを形成したも
のをエッチングすれば、各プレートの厚さ方向におい
て、貫通路を傾斜状に穿設することが至極容易となる。
【0046】そして、請求項5に記載の発明は、請求項
4に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法に
おいて、前記複数のプレートのうち上下に隣接するプレ
ートの上層のプレートにおける下側開口パターンの中心
軸線と下層のプレートにおける上側開口パターンの中心
軸線とが一致する位置であるように前記保護膜を形成し
たものであるから、各プレートの所定位置に貫通路を形
成した後、順次プレートを積層接合すれば、隣接するプ
レートの接合箇所で貫通路の中途部に段差部が発生しな
いようにして積層することが簡単にできる。そして、前
記貫通路中を流れるインク中の気泡が滞留するという現
象を一切無くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による圧電式インクジェッ
トプリンタヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】キャビティープレートと圧電アクチュエータと
の一端部を示す拡大斜視図である。
【図3】キャビティープレートの分解斜視図である。
【図4】キャビティープレートの部分的拡大斜視図であ
る。
【図5】圧電アクチュエータの分解斜視図である。
【図6】キャビティプレートにおける貫通路の形状を示
す部分拡大側断面図である。
【図7】各プレートに対する貫通路の製造方法を示し、
(a)はプレートの表裏両面に所定の開口部のパターン
を有するレジストを形成した状態の要部断面図、(b)
はエッチング後の貫通路の形状を示す要部断面図であ
る。
【図8】図1の VIII −VIII線矢視拡大断面図である。
【図9】フレキシブルフラットケーブルとキャビティー
プレートと圧電アクチュエータとを積層した状態の拡大
断面図である。
【図10】他の実施形態による貫通路の形成方法を示
し、(a)はプレートの表裏両面に所定の開口部のパタ
ーンを有するレジストを形成した状態の要部断面図、
(b)はエッチング後の貫通路の形状を示す要部断面
図、(c)はキャビティプレートにおける貫通路の形状
を示す要部断面図である。
【図11】従来の貫通路の形成方法を示し、(a)はプ
レートの表裏両面に所定の開口部のパターンを有するレ
ジストを形成した状態の要部断面図、(b)はエッチン
グ後の貫通路の形状を示す要部断面図、(c)はキャビ
ティプレートにおける貫通路の形状を示す要部断面図で
ある。
【符号の説明】
10 キャビティープレート 11 ノズルプレート 12 マニホールドプレート 13 スペーサプレート 14 ベースプレート 15 ノズル 16 圧力室 17 貫通路 18 貫通孔 20 圧電アクチュエータ 21、22 圧電シート 23 トップシート 24 個別電極 25 コモン電極 35 保護膜(レジスト) 36a,36b 開口部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個のノズル、この各ノズル毎の圧力
    室及びこれらに連通する傾斜状のインク流路を列状に配
    置したキャビティープレートを備えるインクジェットプ
    リンタヘッドにおいて、 前記キャビティープレートを複数のプレートの積層体で
    構成すると共に、該複数のプレートの少なくともいくつ
    かのものには、前記インク流路を構成する各貫通路を、
    該プレートの表面側の開口部と裏面側の開口部とが所定
    方向にずれ、且つ前記各貫通路の内周面を、プレートの
    隣接部で滑らかに形成したことを特徴とするインクジェ
    ットプリンタヘッド。
  2. 【請求項2】 前記キャビティプレートは、ノズルが穿
    設されたノズルプレートと、マニホールドプレートと、
    スペーサプレートと、圧力室が形成されたベースプレー
    トとからなる積層体であって、 前記マニホールドプレート及びスペーサプレートに、そ
    れぞれ連通するように前記貫通路を傾斜状に形成したこ
    とを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリン
    タヘッド。
  3. 【請求項3】 前記複数のプレートのうち隣接する一方
    のプレートの表面側の開口部と他方のプレートの裏面側
    の開口部とは一致した位置に形成したことを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のインクジェットプリンタ
    ヘッド。
  4. 【請求項4】 キャビティプレートを、ノズルが穿設さ
    れたノズルプレートと、圧力室が形成されたベースプレ
    ートと、さらに複数のプレートを含む積層体より構成し
    て成るインクジェットプリンタヘッドにおいて、前記複
    数のプレートに、前記圧力室及びノズルに連通する貫通
    路を、それぞれ相互に連通するように傾斜状に形成する
    に際して、前記各プレートの表裏両面に、前記貫通路に
    対応する表面側開口パターンと裏面側開口パターンと
    を、両開口パターンの中心軸が適宜所定方向にずれるよ
    うにして設けたエッチングのための保護膜を形成した
    後、前記各プレートをエッチングすることを特徴とする
    インクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記複数のプレートのうち上下に隣接す
    るプレートの上層のプレートにおける下側開口パターン
    の中心軸線と下層のプレートにおける上側開口パターン
    の中心軸線とが一致する位置であるように前記保護膜を
    形成したことを特徴とする請求項4に記載のインクジェ
    ットプリンタヘッドの製造方法。
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