JP2002031734A - ガラス複合体の製造方法とその製造装置 - Google Patents

ガラス複合体の製造方法とその製造装置

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JP2002031734A JP2000217424A JP2000217424A JP2002031734A JP 2002031734 A JP2002031734 A JP 2002031734A JP 2000217424 A JP2000217424 A JP 2000217424A JP 2000217424 A JP2000217424 A JP 2000217424A JP 2002031734 A JP2002031734 A JP 2002031734A
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
    • C03B37/012Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments
    • C03B37/01265Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments starting entirely or partially from molten glass, e.g. by dipping a preform in a melt
    • C03B37/01268Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments starting entirely or partially from molten glass, e.g. by dipping a preform in a melt by casting
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B19/00Other methods of shaping glass
    • C03B19/02Other methods of shaping glass by casting molten glass, e.g. injection moulding

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光導波回路の製造にも有用で、気相反応で合
成することができないガラスの光部品と他の光部品とを
容易に接合できるガラス複合体を、熔融プロセスで、精
密かつ容易に製造できる方法と、その製造装置を提供す
る。 【解決手段】 基板に配設した空隙内にガラス融液を入
れて固化させてなるガラス複合体の製造方法であって、
ガラスが融液となる温度にまで加熱する工程(A)と、
そのガラス融液を接触子の先端に付着させる工程(B)
と、接触子の先端に付着させたガラス融液を空隙に入れ
る工程(C)と、冷却させてガラスを固化させる工程
(D)からガラス複合体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ガラス複
合体の製造方法とその製造装置に関するものである。さ
らに詳しくは、この出願の発明は、気相反応で合成する
ことができないガラスの光部品と他の光部品とを容易に
接合できるガラス複合体を、熔融プロセスで、精密かつ
容易に製造することができる方法と、その製造装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】光通信や光情報処理等の分野
においては、近年の光情報処理の高速化等に伴い、光部
品の小型化および集積化等が強く望まれている。光部品
を大別すると、光ファイバ、平面光波回路、レンズアレ
イ等の受動的機能を有する光部品(以下、受動的光部品
という)と、発光素子、光増幅素子、光変調素子等の能
動的機能を有する光部品(以下、能動的光部品という)
とに分けることができる。前者の受動的光部品として
は、半導体製品等とともにガラス製のものが多く用いら
れており、光を閉じ込めたり集光したりする屈折率分布
構造をガラス内部に有し、後者の能動的光部品間の接合
あるいは分岐等を行うことで光回路を構成している。
【0003】光部品の小型化および集積化に際しては、
この受動的光部品を介して、能動的光部品同士を効率よ
く接合することが重要となり、光ファイバ型デバイス
や、ハイブリッド平面光波回路等のように、能動的機能
と受動的機能を組み合わせた光部品の開発が進められて
いる。
【0004】一方、近年になって、従来の光部品では得
られがたかった能動的機能を、Bi 23系ガラス、カル
コゲナイド系ガラス、フッ化ガラス、テルライトガラス
等(以下、非シリカガラスという)を用いることで実現
しようとする提案が多数なされてきてもいる。たとえ
ば、非線型効果を有するBi23系ガラスやカルコゲナ
イド系ガラスを利用した超高速光スイッチ、フッ化ガラ
スをホストにした利得平坦性を有する光ファイバアン
プ、テルライトガラスやBi23系ガラスをホストにし
た超広帯域利得を有する光ファイバアンプ、ポーリング
処理を施したテルライトガラスによる第二次高調波発生
等がその一例である。
【0005】このような能動的機能を有する非シリカガ
ラスを、ミリ〜サブミリオーダーの微小なバルクチップ
に加工して小型の光部品を製造したり、光導波路を形成
することができれば、光部品の小型化および集積化に大
きく寄与することが期待される。
【0006】一般に、光部品間の接合は、お互いの部品
の光軸を精密に一致させることが重要であり、光部品の
製造過程においては、極微小な寸法制御および位置制御
を精密かつ容易に行うことが必要とされる。多元半導体
製の受動的光部品やシリカガラス製の受動的光部品につ
いては、精密な寸法制御が可能な気相反応で合成するこ
とができるため、平面光波回路等を形成することで光部
品間の接合および集積化を比較的容易に行うことが既に
可能となっている。
【0007】しかしながら、非シリカガラスについて
は、気相反応で合成することが極めて困難であり、原料
粉末をるつぼに入れて熔融攪拌した後、鋳型に流し込む
といった、古典的な熔融プロセスによって合成されてい
る。このような合成方法においては、未だに精密な寸法
制御技術が確立されておらず、平面光波回路等を形成す
ることはできなかった。さらに、非シリカガラスは、シ
リカガラスと比較して熱加工時の結晶析出に対する安定
性が劣るため、一般に精密な製造および加工が困難であ
り、集積化のための小型の光部品さえも作成するのが困
難という問題がある。
【0008】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、気相反応で合成できないガラスの光部品と他の
光部品とを容易に接合できるガラス複合体を、熔融プロ
セスで、精密かつ容易に製造することができる方法と、
その製造装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供
する。
【0010】すなわち、まず第1には、この出願の発明
は、基板に配設した空隙内にガラス融液を入れて固化さ
せてなるガラス複合体の製造方法であって、ガラスが融
液となる温度にまで加熱する工程(A)と、そのガラス
融液を接触子の先端に付着させる工程(B)と、接触子
の先端に付着させたガラス融液を空隙に入れる工程
(C)と、冷却させてガラスを固化させる工程(D)か
らなることを特徴とするガラス複合体の製造方法を提供
する。
【0011】そして第2に、この出願の発明は、上記第
1の発明において、基板および接触子の先端は、ガラス
が融液となる温度にまで加熱されていることを特徴とす
るガラス複合体の製造方法を、第3には、接触子が、1
本の針であることを特徴とするガラス複合体の製造方法
を、第4には、接触子が、毛細管であることを特徴とす
るガラス複合体の製造方法を、第5には、毛細管からな
る接触子の内圧を、圧力調整装置で制御することを特徴
とするガラス複合体の製造方法を、第6には、この出願
の発明は、接触子が、2本の針であることを特徴とする
ガラス複合体の製造方法を提供する。
【0012】さらに、第7には、この出願の発明は、上
記第6の発明において、工程Bにおいて、2本の針から
なる接触子を、2本の針の間の最短距離を構成する線分
の一端が第1の針の先端と一致する状態に配置して、2
本の針の最短距離部を含む部分にガラス融液を付着させ
た後、前記状態の関係を保ったまま2本の針の間の距離
を広げることで、ガラス融液を前記第1の針の先端に配
置させることを特徴とするガラス複合体の製造方法や、
第8には、接触子は、各々異なる角度を成すように先端
部を曲げた2本の針であって、工程Bにおいて、2本の
針を、先端部以外の軸部が平行で、成す角度の小さい方
の第1の針の先端が、他方の第2の針の先端よりもわず
かに下に位置する状態で配置してガラス融液を付着させ
た後、前記第2の針を軸方向を一致させたまま上方に移
動させて2本の針の先端距離を広げることで、ガラス融
液を前記第1の針の先端に配置させることを特徴とする
ガラス複合体の製造方法を提供する。
【0013】加えて、第9には、この出願の発明は、上
記いずれかの発明において、基板は、一部区間の断面形
状が一定である貫通孔を設けて、貫通孔のその区間と符
号する閉塞器で閉塞したものであって、工程Cにおい
て、接触子の先端に付着したガラス融液を基板の貫通孔
に接触させ、閉塞器を移動させることによって、貫通孔
内へのガラス融液の流入量を制御することを特徴とする
ガラス複合体の製造方法なども提供する。
【0014】一方で、第10には、この出願の発明は、
基板を支える基板ホルダと、ガラス融液を貯蔵する容器
と、ガラス融液を採取する接触子と、その接触子を移動
させる位置制御装置と、加熱手段とが備えられ、位置制
御装置は、接触子の先端にガラス融液を付着させて、付
着されたガラス融液を基板上の所定の位置に接触させ、
加熱手段は、容器、接触子の先端および基板ホルダ上の
基板を加熱することを特徴とするガラス複合体の製造装
置を提供する。
【0015】さらに、第11には、この出願の発明は、
上記第10の発明において、接触子が、1本の針である
ことを特徴とするガラス複合体の製造装置を、第12に
は、接触子が、毛細管であることを特徴とするガラス複
合体の製造装置を、第13には、毛細管の内圧を制御す
る圧力調整装置が備えられていることを特徴とするガラ
ス複合体の製造装置を提供する。
【0016】また、第14には、この出願の発明は、上
記第10の発明において、接触子が、2本の針であるこ
とを特徴とするガラス複合体の製造装置を、第15に
は、位置制御装置は、2本の針の角度および位置を個々
に制御することを特徴とするガラス複合体の製造装置
を、第16には、接触子が、各々異なる角度を成すよう
に先端部を曲げた2本の針であることを特徴とするガラ
ス複合体の製造装置を提供する。
【0017】そして、第17には、上記第10ないし第
16のいずれかの発明の装置において、基板に設けられ
た貫通孔と符号する閉塞器と、その閉塞器の位置制御手
段が備えられ、閉塞器を移動させることによって貫通孔
内へのガラス融液の流入量を制御することを特徴とする
ガラス複合体の製造装置をも提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記の通りの
特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
【0019】まず、この出願の第1の発明が提供するガ
ラス複合体の製造方法は、基板に配設した空隙内にガラ
ス融液を入れて固化させてなるガラス複合体の製造方法
であって、ガラスが融液となる温度にまで加熱する工程
(A)と、そのガラス融液を接触子の先端に付着させる
工程(B)と、接触子の先端に付着させたガラス融液を
空隙に入れる工程(C)と、冷却させてガラスを固化さ
せる工程(D)とから構成されている。
【0020】この出願の発明が対象とするガラス複合体
は、光部品として有用な、高精度に制御された微小なガ
ラス体を基板に有している。そのガラス体は、基板に予
め配設された空隙に、ガラス融液を入れて固化させるこ
とで製造される。基板は、そのガラス体と他の光部品等
との接合点を提供するものとして用いられる。
【0021】ガラス体としては、Bi23系ガラス、カ
ルコゲナイド系ガラス、フッ化ガラス、テルライトガラ
ス等のように、気相反応で合成できない非シリカガラス
を対象としているが、もちろん、非シリカガラス以外の
ガラスを用いることもできる。
【0022】基板は、上記ガラスが流動性を持つような
温度にまで加熱されても、変形したり、反応を起こすこ
と等がなく、熱衝撃に強いものを用いることができる。
たとえば、シリコンウエハや、石英ガラス板、ガラスフ
ェルール等を用いることが例示される。また、基板とガ
ラス体との界面で光を全反射させる必要がある場合は、
基板の屈折率をガラス体の屈折率よりも低くする等して
もよい。
【0023】この出願の発明の方法においては、まず、
基板に、所望のガラス体と同じ大きさおよび形状の空隙
を、ガラス体が配置されるべき位置に配設する。空隙、
すなわちガラス体の大きさおよび形状としては、以下の
点を考慮することができる。
【0024】1.ガラス体が、所望の光機能を発現する
に足る大きさおよび形状である。
【0025】2.この出願の発明のガラス複合体と接続
する全ての光部品の光導波路に、光学的な接続が可能な
大きさおよび形状である。
【0026】3.基板とガラス体との熱膨張率差によっ
て発生する応力が、基板あるいはガラス体を破壊に至ら
しめることのない大きさおよび形状である。
【0027】ここで重要となることは、精密に制御され
た微小のガラス体を基板に形成することであり、微量の
ガラス融液を精密に空隙に入れることである。上記の点
を考慮した空隙は、大きくてもその体積は1mm3程度
であり、極微少量のガラス融液を取り扱う技術が必要と
される。
【0028】そのため、この出願の発明の方法において
は、接触子を用い、その先端にガラス融液を付着させる
ことで、極微少量のガラス融液を取り扱うようにしてい
る。また、微細な空隙へガラス融液を入れる導入路とし
て、および/あるいは、ガラス融液の導入の際の空気排
出路として、孔を基板に配設することが好ましい。孔
は、毛細管現象が生じる程度の幅あるいは径とすること
が好ましい。
【0029】基板に配設される空隙および孔の形態は、
様々なものが考慮される。たとえば、図1の三面図
(ア)のように、基板の平面上に空隙としての溝を形成
し、その溝の両端に、溝の幅よりも大きく開放された空
間としての孔を形成することが例示される。この場合、
孔は、図示されたうちのどちらか1つであってもよい
が、ガラス融液を容易に導入するためには、2つ以上設
けることが好ましい。
【0030】また、図1の三面図(イ)のように、空隙
としての溝と孔としての溝を、等しい幅で十分長く形成
することや、図1の三面図(ウ)のように、基板の内部
に空隙を設け、その空隙と基板表面とに通じる孔を2つ
形成すること等もできる。(ウ)では、基板内に1本の
貫通孔を設け、貫通孔の中程を空隙とし、その端部を2
つの孔とした場合を例示している。
【0031】空隙および孔を形成する方法としては、た
とえば、イオンビーム(FIB)や強いレーザー光等を
照射する方法や、溝を切った基板を張り合わせる方法、
ガラス棒の長さ方向に孔を空けて延伸したものを切り取
って利用する方法等が例示される。
【0032】以上のような構成の空隙に、ガラス融液を
導入する。すなわち、ガラス体の原料をガラス融液とな
る温度にまで加熱し(工程A)、そのガラス融液を接触
子の先端に付着させて(工程B)、接触子の先端に付着
させたガラス融液を空隙に入れる(工程C)。
【0033】この出願の第2の発明においては、基板お
よび接触子の先端は、ガラスが融液となる温度にまで加
熱されていることを特徴としている。工程(A)〜
(C)では、ガラスを融液として扱うため、ガラス融液
はもちろん、ガラス融液と接触する基板、接触子もガラ
スが融液となる温度を保つようにしている。
【0034】ガラス融液を空隙に入れる方法としては、
様々な方法が考慮される。たとえば、図1の(イ)のよ
うに空隙および孔が基板の表面に設けられている場合に
は、図1の(エ)に示したように、空隙の直上にガラス
融液を接触させることで、毛細管現象を利用して空隙を
ガラス融液で埋めることができる。この場合、孔は空隙
よりも大きな空間とすることで、孔は空隙から追い出さ
れる空気の通路として機能する。
【0035】また、空隙が基板の内部に設けられている
場合には、孔を通じてガラス融液を空隙に流入させるこ
ともできる。この場合、空隙から基板の表面に通じる孔
を2つ以上設けておくと、ガラス融液が導入される際に
別の孔から空気が排出されるため、ガラス融液の流入を
良くすることができる。
【0036】孔および溝は、以上のような機能を担うも
のであれば、その形状は図示されたものに限定されな
い。
【0037】次いで、冷却させて(工程D)、空隙内の
ガラス融液を固化させる。これによって、微小なガラス
体を有するガラス複合体を得ることができる。
【0038】このガラス複合体と他の光部品との接合手
段としては、たとえば、以下のような方法が示される。
図2の(イ)に示したように、製造したガラス複合体の
基板表面に、ガラス体に向かって溝を設け、この溝に光
ファイバ等を配置して光学的接続を図ってもよい。基板
に光ファイバ等の外径と同じ寸法の孔を設けた場合に
は、ガラス複合体と他の光部品を接合する手段として孔
を直接用いる等してもよい。
【0039】また、(ロ)に示したように、予め基板に
気相法などで光導波路を形成しておき、その光導波路と
接するようにガラス体の配置位置を決定してガラス複合
体を製造する等してもよい。この場合、たとえば、シリ
コン基板上にシリカガラス厚膜を堆積して光導波路を形
成した平面光波回路や、ガラス板の表面からイオン交換
によって光導波回路を形成した平面光波回路等を基板と
して用いることができる。
【0040】これによって、高精度に制御された微小な
ガラス体と他の光部品とを接合可能とするガラス複合体
を製造できる。
【0041】この出願の第3の発明が提供するガラス複
合体の製造方法は、上記第1または第2の発明の方法に
おいて、接触子が、1本の針であることを特徴としてい
る。
【0042】接触子は、全体が針状であってもよいし、
先端部が針状であってもよい。接触子が針状であると、
接触子の先端に、極少量のガラス融液を容易に付着させ
ることができる。また、基板に設けた微細な孔に、ガラ
ス融液を接触させることもできる。
【0043】この出願の第4の発明が提供するガラス複
合体の製造方法は、上記第1または第2の発明の方法に
おいて、接触子が、毛細管であることを特徴としてい
る。前記第3の発明の方法の様に、接触子が一本の針の
場合は、針とガラス融液との間の濡れ性によっては、針
先に十分な量のガラス融液が残らない場合が考えられ
る。この場合、接触子として毛細管を用いてもよい。毛
細管を用いることによって毛細管現象が利用でき、ガラ
ス融液に毛細管を接触させるだけで、ガラス融液を毛細
管内に確保することが可能となる。
【0044】また、この出願の第5の発明が提供するガ
ラス複合体の製造方法においては、毛細管からなる接触
子の内圧を、圧力調整装置で制御することができる。
【0045】ガラス融液を付着させない側の毛細管の端
を、圧力調整装置に接続して、毛細管内の圧力を微調整
できるようにする。たとえば、毛細管内の気体の温度を
部分的に変化させたり、機械的な運動で毛細管の体積を
変化させたり、ポンプを接続する等して、制御しつつ圧
力を変化させることができる。これによって、十分量の
ガラス融液を毛細管内に確保することができ、さらに、
必要量のガラス融液を基板上の孔に付着させることが可
能となる。
【0046】この出願の第6の発明が提供するガラス複
合体の製造方法は、上記第1または第2の発明の方法に
おいて、接触子が、2本の針であることを特徴としてい
る。
【0047】接触子が一本の針の場合で針先に十分な量
のガラス融液が残らない場合には、接触子を2本の針と
し、狭い間隔を保ったままで接触子の先端をガラス融液
に浸漬させることでも、毛細管現象を利用してガラス融
液を接触子に確保することができる。そして2本の針の
先端部に付着させたガラス融液を、基板の孔に付着させ
ることができる。
【0048】この出願の第7の発明が提供するガラス複
合体の製造方法は、上記第6の発明の方法の、工程Bに
おいて、2本の針からなる接触子を、2本の針の間の最
短距離を構成する線分の一端が第1の針の先端と一致す
る状態に配置して、2本の針の最短距離部を含む部分に
ガラス融液を付着させた後、前記状態の関係を保ったま
ま2本の針の間の距離を広げることで、ガラス融液を前
記第1の針の先端に配置させることを特徴としている。
【0049】前記第6の発明の方法の様に、ガラス融液
を2本の針で確保した場合には、ガラス融液は2本の針
の間に挟まれた広い位置に存在する。そして、針先に十
分な量のガラス融液が配置されず、基板の孔にガラス融
液を接触させることができなくなることも考えられる。
このようなときには、2本の針の距離を広げることで、
ガラス融液を1本の針に配置させる。図3に、2本の針
で確保したガラス融液を、一本の針に配置させる様子を
示した。ただし、図3に示すような場合には、一本の針
の先端にガラス融液を配置することはできない。
【0050】(イ)では、ガラス融液を介して2本の針
がほぼ平行であるため、一方の針をそのまま上方に移動
させると、移動させた針に応じてガラス融液も上方に移
動してしまい、一本の針の先端にガラス融液を配置させ
ることができなくなってしまう。(ロ)では、片方の針
を上方に動かすにつれて、もう片方の針に接触している
ガラス融液が針の先端から移動してしまっている。これ
らは、(ハ)および(ニ)に示すように、一方の針
(1)の先端から他方の針(4)までの最短距離Rが、
2本の針(1)(4)の最短距離rよりも長くなってい
るために起こるのである。すなわち、R=rの関係を保
って2本の針(1)(4)の距離を広げていくことで、
一方の針の先端にガラス融液を配置することができる。
【0051】そこで、2本の針の先端の動きを一般化し
たものを図4に例示し、一本の針の先端にガラス融液を
配置させる方法について、詳しく説明する。この図で
は、2本の針(1)(4)に分かれたガラス融液(2)
に働く重力の影響は、ほとんどないものとしている。2
本の針(1)(4)を、毛細管現象が働く程度の短い距
離を隔て、両者が平行にならない角度で配置し、両者の
最短距離を形成する線分ABの一端が針(1)の先端と
なるように配置する。このとき、針(1)の先端は、針
(4)に接していてもよい。この状態で、2本の針
(1)(4)の先端部をガラス融液(2)に浸漬させて
引き上げることで、2本の針(1)(4)の間にガラス
融液(2)を絡め採ることができる。この状態から、2
本の針(1)(4)の間の最短距離を形成する線分AB
の一端が、針(1)の先端となる関係を保ちながら、線
分ABの距離が広がる方向に針(4)を動かすことで、
針(1)の先端にガラス融液(2)を配置させることが
できる。このような動きは、図4中の矢印の方向に針
(4)を動かすことで実現される。
【0052】なお、2本の針に絡め採られたガラス融液
が2本の針に分離された後には、もちろん、R=rの関
係を満たす必要はない。また、便宜上、図中では針
(1)(4)の先端側面が長方形となっているが、針
(1)(4)の先端はもちろん尖っていてもよいし、こ
れに限定されるものではない。
【0053】これによって、ガラス融液を針の先端に配
置させることができ、ガラス融液を基板の孔に容易に付
着させることができる。
【0054】この出願の第8の発明が提供するガラス複
合体の製造方法は、上記第6の発明の方法において、接
触子は、各々異なる角度を成すように先端部を曲げた2
本の針であって、工程Bにおいて、2本の針を、先端部
以外の軸部が平行で、成す角度の小さい方の第1の針の
先端が、他方の第2の針の先端よりもわずかに下に位置
する状態で配置してガラス融液を付着させた後、前記第
2の針を軸方向を一致させたまま上方に移動させて2本
の針の先端距離を広げることで、ガラス融液を前記第1
の針の先端に配置させることを特徴としている。
【0055】この発明の方法によっても、ガラス融液を
2本の針で確保した場合に、ガラス融液を1本の針に容
易に配置させることができる。そして、上記第7の発明
の方法よりも、1本の針の単純な移動のみで、ガラス融
液を1本の針に配置させることができる。
【0056】たとえば図5に示したように、接触子は各
々異なる角度を成すように先端部を曲げた2本の針
(1)(4)からなり、2本の針は、成す角度の小さい
方の針(4)の先端が、他方の針(1)の先端よりもわ
ずかに下に位置する状態で、先端部以外の軸部が平行と
なるように配置されている。2本の針(1)(4)のこ
のような関係は、上記第7の発明の方法における針の移
動を、極めて単純なものとすることができる。
【0057】すなわち2本の針(1)(4)の関係は、
既に、両者の先端が平行にならない角度で、かつ、両者
の最短距離を形成する線分ABの一端が針(1)の先端
となるように配置されることになる。
【0058】また、成す角度の小さい針(4)を上方に
平行に移動させるだけで、両者の最短距離を形成する線
分ABの一端が針(1)の先端となる関係を保ちなが
ら、両者の距離を広げることができる。
【0059】これによって、より単純な操作によってガ
ラス融液を針の先端に配置させることができ、ガラス融
液を基板の孔に容易に付着させることができる。
【0060】この出願の第9の発明が提供するガラス複
合体の製造方法は、上記第1ないし第8のいずれかの発
明の方法において、基板は、一部区間の断面形状が一定
である貫通孔を設けて、貫通孔のその区間と符号する閉
塞器で閉塞したものであって、工程Cにおいて、接触子
の先端に付着したガラス融液を基板の貫通孔に接触さ
せ、閉塞器を移動させることによって、貫通孔内へのガ
ラス融液の流入量を制御することを特徴としている。
【0061】基板内部に空隙および孔としての貫通孔を
設けた場合、貫通孔が上下方向となるように基板を固定
して、ガラス融液を基板の上面の貫通孔を塞ぐように接
触させる。するとガラス融液は、毛細管現象および重力
により貫通孔内部に移動する。しかしながら、基板とガ
ラス融液との組み合わせによっては、ガラス融液の重力
による貫通孔内部への流入が起こりにくい場合もある。
【0062】ガラス融液が重力のみでは貫通孔内部に流
入しにくい場合には、工程Cにおいて、貫通孔と符号す
る閉塞器を用いることで、貫通孔内へのガラス融液の流
入を促し、またその流入量を精密に制御することもでき
る。図5の(ニ)〜(ト)に、基板に貫通孔を設けた場
合に、貫通孔にガラス融液を導入する様子の一例を示し
た。(ニ)は、貫通孔にガラス融液を接触させる前の、
基板および閉塞器を示している。基板には、一部区間の
断面形状が一定である貫通孔が設けてあり、貫通孔が上
下方向となるように配置してある。貫通孔は、予め貫通
孔と符号する閉塞器で、貫通孔の一部区間を閉塞してあ
る。(ホ)において、ガラス融液を貫通孔を塞ぐように
基板に接触させ、(へ)次いで閉塞器を貫通孔から引抜
く方向に移動させることによって、(ト)貫通孔内へガ
ラス融液を導入する。これによって、ガラス融液が重力
のみでは貫通孔内部に流入しにくい場合であっても、貫
通孔内へのガラス融液を導入することができる。また、
閉塞器の移動を2段階で行い、1回目の閉塞器の移動後
に貫通孔内部の外にあるガラス融液を取り除き、2回目
の閉塞器の移動を行うことで、一定量のガラス融液を貫
通孔に導入することも可能となる。
【0063】これによって、気相反応で合成できないガ
ラスの光部品と他の光部品とを容易に接合できるガラス
複合体を、熔融プロセスで、精密かつ容易に製造するこ
とができる。
【0064】この出願の第10の発明が提供するガラス
複合体の製造装置は、上記発明のガラス複合体の製造方
法を実現するための装置であって、基板を支える基板ホ
ルダと、ガラス融液を貯蔵する容器と、ガラス融液を採
取する接触子と、その接触子を移動させる位置制御装置
と、加熱手段とが備えられ、位置制御装置は、接触子の
先端にガラス融液を付着させて、付着されたガラス融液
を基板上の所定の位置に接触させ、加熱手段は、容器、
接触子の先端および基板ホルダ上の基板を加熱すること
を特徴としている。
【0065】図6に、この出願の発明のガラス複合体の
製造装置の概念を示した図を例示した。
【0066】基板ホルダは、ガラス複合体の作成過程を
通じてガラス複合体の基板を支えている。この基板ホル
ダは、1つの基板を支えるものであってもよいし、複数
の基板を支えるようにしてもよい。基板ホルダの形状
は、特に制限されない。たとえば、図示したように基板
を載せる台等であってもよいし、図には示していないが
基板を吊り下げるもの等であってもよい。その材質は、
ガラスが融液となる温度にまで加熱される基板を支える
ため、そのような高温に耐えられるものとする。また、
基板ホルダは、基板のホルダへの設置・ホルダからの取
り出し、および基板の冷却を効率よく行うために、容易
に移動できるようにしておいてもよい。さらに複数の基
板を支える基板ホルダの場合は、基板の空隙へのガラス
融液の導入を効率よく行うために、回転あるいは移動等
ができるようにしてもよい。
【0067】ガラス融液を貯蔵する容器は、その形状は
特に制限されない。ガラス融液を採取する接触子は、微
量のガラス融液を扱うために、先端が細い棒状であるも
のが好ましい。また図示したように、接触子を長くする
ことで、接触子の先端と位置制御装置との距離を広げる
ことができ、位置制御装置を加熱手段の影響を受けない
位置に設置することが可能となる。この場合、接触子の
移動に伴う接触子先端の振動を抑制するために、図示し
ていないが、耐熱性の材料でできたレールや管等で接触
子の一部を支える等してもよい。
【0068】容器および接触子の材質については、ガラ
ス融液の温度に耐え、ガラス融液と接しても侵されるこ
とのないものを、ガラス融液の温度とガラスの化学組成
に応じて選択することができる。たとえば、白金、金、
ステンレス等を用いることが例示される。
【0069】位置制御装置は、接触子を移動させる手段
であり、接触子を容器上方および基板ホルダ上方間で
移動させ、接触子の先端部をガラス融液に浸漬させて
引き上げるために接触子を昇降させる、接触子の先端
に付着したガラス融液を基板に接触させるために接触子
を昇降させるといった機能が備えられている。
【0070】加熱手段は、固体のガラスを加熱してガラ
ス融液とし、そのガラス融液の状態を保つために備えら
れる。従って、ガラスを溶融させるのみでなく、熔融し
たガラスが接触するものをも加熱する。すなわち、容
器、接触子の先端および基板ホルダ上の基板を加熱して
いる。これらのものを加熱するために、もちろん、接触
子の先端部以外、基板ホルダ等が加熱されてもよい。加
熱手段としては、縦型環状炉等の加熱手段を用いること
ができる。また、赤外線を利用して、接触子の先端部等
を部分的に加熱すること等も例示される。
【0071】以上のような構成をもつこの発明の装置に
おいて、ガラス複合体は、たとえば以下のように製造さ
れる。すなわち、予め微小な空隙および孔を設けた基板
を基板ホルダーにて支え、所望のガラスあるいはガラス
原料粉末を容器に入れて、基板、接触子、ガラス、およ
びそのガラスを入れた容器を、ガラスが融液となる温度
にまで加熱手段によって加熱する。ガラスが融液となっ
たら、移動手段によって接触子をガラス融液の入った容
器上方にまで移動させ、接触子を降下および上昇させて
接触子の先端にガラス融液を付着させる。次いで、移動
手段によって接触子を基板ホルダの上方にまで移動さ
せ、接触子を降下および上昇させて基板上の所望の位置
にガラス融液を接触させる。基板の空隙にガラス融液が
入ったら、基板ホルダを加熱手段の外に移動させる等し
て基板を冷却させる。これによって、微小なガラス体を
有するガラス複合体を製造することができる。
【0072】この出願の第11の発明が提供するガラス
複合体の製造装置は、上記第10の発明の装置におい
て、接触子が、1本の針であることを特徴としている。
接触子の先端を針状とすることで、微量のガラス融液を
扱うことができ、また、基板上にガラス融液を接触させ
る際にも位置の制御を精密に行うことが可能となる。
【0073】この出願の第12の発明が提供するガラス
複合体の製造装置は、上記第10の発明の装置におい
て、接触子が、毛細管であることを特徴としている。ガ
ラス融液が接触子に付着しにくい場合であっても、接触
子に毛細管を用いることで、接触子をガラス融液に浸漬
させた際に毛細管現象を利用して、ガラス融液を接触子
に確保することが可能となる。
【0074】この出願の第13の発明が提供するガラス
複合体の製造装置は、上記第12の発明の装置におい
て、毛細管の内圧を制御する圧力調整装置が備えられて
いることを特徴としている。毛細管は、全長にわたって
均一な内径を持つ必要はなく、たとえば、圧力を制御さ
れる部分の内径を大きくする等してもよい。圧力調整装
置としては、毛細管内の圧力を微調整できるものが利用
できる。たとえば、圧電素子やポンプ等を利用したり、
毛細管内の気体の温度を変化させたり、機械的な運動で
毛細管の体積を変化させる等して、毛細管内の圧力を微
調整すること等が例示される。これによって、十分な量
のガラス融液を毛細管内に確保することができる。ま
た、毛細管内のガラス融液を、必要量だけ吐出すること
ができる。
【0075】この出願の第14の発明が提供するガラス
複合体の製造装置は、上記第10の発明の装置におい
て、接触子が、2本の針であることを特徴としている。
ガラス融液が接触子に付着しにくい場合に、接触子を2
本の針とすることでも、ガラス融液を確保することが可
能となる。この場合、2本の接触子を狭い間隔を隔てて
設けることで、2本の接触子の間に働く毛細管現象を利
用することができる。また重力によって接触子の先端に
集まるガラス融液を、基板上の所定の位置に接触させる
ことができる。
【0076】また、この出願の第15の発明は、上記第
14の発明の装置において、位置制御装置は、2本の針
の角度および位置を個々に制御することを特徴としてい
る。この発明の装置においては、位置制御装置によって
2本の針の角度および位置を個々に移動させることによ
って、ガラス融液を1本の針の先端に配置させることが
できる。すなわち、2本の針は、毛細管現象が働く程度
の短い距離を隔て、両者が平行にならない角度で、両者
の最短距離を形成する線分ABの一端が一方の針の先端
となるように配置されている。このとき、その一方の針
の先端は、他方の針に接していてもよい。位置制御装置
は、まずは2本の針をこの状態を保ったまま同時に制御
して、2本の針の先端部をガラス融液に浸漬させて引き
上げ、2本の針の間にガラス融液を確保させる。次い
で、位置制御装置は、2本の針の間の最短距離を形成す
る線分ABの一端が、前記一方の針の先端となる関係を
保ちながら、前記他方の針を線分ABの距離が広がる方
向に動かすことで、一方の針の先端にガラス融液を配置
させる。
【0077】このように2本の針の角度および位置を個
々に制御することで、ガラス融液が接触子に付着しにく
い場合であっても、ガラス融液を確保することができ、
また、基板上にガラス融液を接触させる際にも位置の制
御を精密に行うことができる。
【0078】この出願の第16の発明は、上記第14ま
たは第15の発明の装置において、接触子が、各々が異
なる角度を成すように先端部を曲げられた2本の針であ
ることを特徴としている。この発明の装置においては、
接触子は各々が異なる角度を成すように先端部を曲げら
れた2本の針からなり、2本の針は、成す角度の小さい
方の針の先端が、他方の針の先端よりもわずかに下に位
置する状態で、先端部以外の軸部が平行となるように配
置されている。
【0079】この場合、2本の針の間に確保されたガラ
ス融液は、成す角度の小さい針を上方に平行に移動させ
るだけで、一方の針の先端に配置される。
【0080】これによって、2本の針を個々に制御する
位置制御装置の動きを、より単純化することができる。
【0081】この出願の第17の発明が提供するガラス
複合体の製造装置は、上記第10ないし第16のいずれ
かの発明の装置において、基板に設けられた貫通孔と符
号する閉塞器と、その閉塞器の位置制御手段が備えら
れ、閉塞器を移動させることによって貫通孔内へのガラ
ス融液の流入量を制御することを特徴としている。この
出願の発明の装置は、基板に貫通孔を設けてガラス複合
体を製造する場合を対象としている。
【0082】図8に、この出願の発明の装置における、
基板、基板ホルダ、閉塞器とその閉塞器の位置制御手段
の関係を、図7に、装置全体の概要を例示した。
【0083】貫通孔が設けられた基板(3)は、貫通孔
が上下方向となるように、基板(3)の下端を基板ホル
ダ(36)に支えられている。基板(3)には、貫通孔
と符合する閉塞器(35)が、貫通孔の上方に空隙を一
部残して、下方から挿入されている。この状態で、たと
えば、基板(3)の上面にガラス融液(2)を接触させ
て、貫通孔を塞ぐようにガラス融液(2)を配置させ
る。次いで、閉塞器(35)を位置制御装置(37)に
よって貫通孔から引抜く方向に移動させることにより、
貫通孔を塞いでいるガラス融液(2)を貫通孔内に流入
させることができる。貫通孔内へのガラス融液(2)の
流入量は、閉塞器(35)の移動量によって制御するこ
とができる。また、必要量のガラス融液(2)を貫通孔
内に流入させた後に、貫通孔の外にある余分なガラス融
液(2)を除去し、再び閉塞器(35)を引抜く方向に
移動させることによって、必要量のガラス融液(2)を
貫通孔内の所望の位置に配置させること等もできる。
【0084】図では、貫通孔は一定の断面となっている
が、閉塞器が移動する区間において一定の断面であれば
よい。また、閉塞器は全体が基板ホルダの中に設置され
る必要はなく、基板ホルダは位置制御装置と並べて設置
する必要はない。たとえば、閉塞器としてフレキシブル
な光ファイバ等を利用することによって、閉塞器をJ字
型とすることができ、閉塞器の位置制御手段を装置上方
に配置させることができる。この場合、基板ホルダは基
板を支えるだけでもよいし、基板ホルダもJ字型にして
閉塞器のガイドにする等してもよい。
【0085】これによって、気相反応で合成できないガ
ラスの光部品と他の光部品とを容易に接合できるガラス
複合体を、熔融プロセスで、精密かつ容易に製造できる
装置が提供される。
【0086】以下、添付した図面に沿って実施例を示
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。
【0087】
【実施例】基板内部にガラス体を有するガラス複合体
を、図7に示す装置を用いて製造した。図8は、その装
置の加熱炉内の様子を詳しく示した図である。
【0088】基板(3)としては、シリカガラス製のフ
ェルール(外径1.8mm、内径0.126mm、長さ
20mm)を用い、空隙および孔は、フェルールの貫通
孔を利用した。基板(3)は、下部をシリカガラス製の
基板ホルダ(36)によって固定し、基板(3)の孔に
は、下方より、外径0.125mmのシリカガラス性フ
ァイバからなる閉塞器(35)の一端を適当な長さだけ
挿入してある。閉塞器(35)は、基板ホルダ(36)
内を通して他端を閉塞器制御装置(37)に接続した。
この閉塞器制御装置(37)は、閉塞器(35)を貫通
孔内で移動させる機能を有するものである。
【0089】基板(3)とほぼ同じ高さには、組成が8
0TeO2−20ZnO[mol%]の非シリカガラス
系のガラス融液(2)を満たした容器(21)を配置し
た。容器(21)を固定する手段は図示さなかったが、
台の上に配置させてある。
【0090】2本の針(1)と針(4)は、その先端が
各々異なる角度で曲げたものを使用した。2本の針
(1)(4)は、軸部が平行となるように、アルミナ管
製のガイド(12)内を通して、針位置制御装置(1
1)に接続した。針位置制御装置(11)は、2本の針
(1)(4)が容器(21)と基板(3)の間を行き来
できるようにガイド(12)移動させることや、2本の
針(1)(4)にガラス融液(2)を確保させて、ガラ
ス融液(2)を一本の針(1)の先端に配置させるよう
に、針(4)のみを上下に移動させることができる。
【0091】上記のような構成を、図7に示したよう
に、縦型環状炉からなる加熱手段(31)内に配置し、
炉内を約700℃の温度に保った。図示してないが、加
熱手段(31)には、各装置の位置確認用の窓を設け
た。
【0092】ガラス複合体の製造は、図5に示した手順
に従って、以下のように行った。 <工程イ〜ロ>まず、針位置制御装置により針(1)と
針(4)を降下・上昇させて、針(1)と針(4)の間
にガラス融液(2)の微小量を絡め採った。 <工程ハ〜ニ>次に、針(4)のみを上昇させ、針
(1)の先端にガラス融液(2)を配置させた。この
際、針(4)の操作は、針(1)の先端と針(4)との
距離Rが、針(1)と針(4)のガラス融液(2)を介
した部分における最短距離rと等しくなっている。 <工程ホ>今度は、針(1)を降下させて、針(1)先
ののガラス融液(2)を基板(3)に、孔を覆うように
接触させた。 <工程へ〜ト>閉塞器制御装置により閉塞器(35)を
下方に移動させて、ガラス融液(2)を基板(3)の孔
内の所望の位置に移動させた。
【0093】基板(3)を加熱手段(31)から取り出
し、閉塞器(35)を外してから冷却させた。これによ
って、基板(3)内部にガラスを挿入させたガラス複合
体が得られた。このガラス複合体は両端に孔を有するた
め、両端に光ファイバを挿入することで、内部のガラス
と光ファイバとを光学的に接続することができる。
【0094】もちろん、この発明は以上の例に限定され
るものではなく、細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
【0095】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、光導波回路の製造にも有用で、気相反応で合成す
ることができないガラスの光部品と他の光部品とを容易
に接合できるガラス複合体を、熔融プロセスで、精密か
つ容易に製造することができる方法と、その製造装置が
提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(ア)(イ)(ウ)ガラス複合体の基板に形成
される空隙および孔の形態の一例を示した三面図およ
び、(エ)空隙にガラス融液が入る様子を例示した断面
図である。
【図2】ガラス複合体と他の光部品との接合手段の一例
を例示した図である。
【図3】接触子としての2本の針で確保したガラス融液
を1本の針に配置させる際に、その1本の針の先端にガ
ラス融液が残らない様子を例示した図である。
【図4】接触子としての2本の針の先端の動きを一般化
して例示した図である。
【図5】接触子として先端部を曲げた2本の針を用い、
閉塞器を利用してガラス融液を孔に導入する様子を例示
した図である。
【図6】この出願の発明のガラス複合体の製造装置の概
念図を例示した。
【図7】この出願の発明のガラス複合体の製造装置の一
例としての概念図を例示した。
【図8】この出願の発明のガラス複合体の製造装置の加
熱炉内の様子を例示した図である。
【符号の説明】
1、4 針 2 ガラス融液 3 基板 11 位置制御装置 12 ガイド 21 容器 31 加熱手段 32 空隙 33 孔 35 閉塞器 36 基板ホルダ 37 位置制御装置

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に配設した空隙内にガラス融液を入
    れて固化させてなるガラス複合体の製造方法であって、
    ガラスが融液となる温度にまで加熱する工程(A)と、
    そのガラス融液を接触子の先端に付着させる工程(B)
    と、接触子の先端に付着させたガラス融液を空隙に入れ
    る工程(C)と、冷却させてガラスを固化させる工程
    (D)からなることを特徴とするガラス複合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 基板および接触子の先端は、ガラスが融
    液となる温度にまで加熱されていることを特徴とする請
    求項1に記載のガラス複合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 接触子が、1本の針であることを特徴と
    する請求項1または2に記載のガラス複合体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 接触子が、毛細管であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のガラス複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 毛細管からなる接触子の内圧を、圧力調
    整装置で制御することを特徴とする請求項4に記載のガ
    ラス複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 接触子が、2本の針であることを特徴と
    する請求項1または2に記載のガラス複合体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 工程Bにおいて、2本の針からなる接触
    子を、2本の針の間の最短距離を構成する線分の一端が
    第1の針の先端と一致する状態に配置して、2本の針の
    最短距離部を含む部分にガラス融液を付着させた後、前
    記状態の関係を保ったまま2本の針の間の距離を広げる
    ことで、ガラス融液を前記第1の針の先端に配置させる
    ことを特徴とする請求項6に記載のガラス複合体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 接触子は、各々異なる角度を成すように
    先端部を曲げた2本の針であって、工程Bにおいて、2
    本の針を、先端部以外の軸部が平行で、成す角度の小さ
    い方の第1の針の先端が、他方の第2の針の先端よりも
    わずかに下に位置する状態で配置してガラス融液を付着
    させた後、前記第2の針を軸方向を一致させたまま上方
    に移動させて2本の針の先端距離を広げることで、ガラ
    ス融液を前記第1の針の先端に配置させることを特徴と
    する請求項6に記載のガラス複合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 基板は、一部区間の断面形状が一定であ
    る貫通孔を設けて、貫通孔のその区間と符号する閉塞器
    で閉塞したものであって、工程Cにおいて、接触子の先
    端に付着したガラス融液を基板の貫通孔に接触させ、閉
    塞器を移動させることによって、貫通孔内へのガラス融
    液の流入量を制御することを特徴とする請求項1ないし
    8のいずれかのガラス複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 基板を支える基板ホルダと、ガラス融
    液を貯蔵する容器と、ガラス融液を採取する接触子と、
    その接触子を移動させる位置制御装置と、加熱手段とが
    備えられ、位置制御装置は、接触子の先端にガラス融液
    を付着させて、付着されたガラス融液を基板上の所定の
    位置に接触させ、加熱手段は、容器、接触子の先端およ
    び基板ホルダ上の基板を加熱することを特徴とするガラ
    ス複合体の製造装置。
  11. 【請求項11】 接触子が、1本の針であることを特徴
    とする請求項10に記載のガラス複合体の製造装置。
  12. 【請求項12】 接触子が、毛細管であることを特徴と
    する請求項10に記載のガラス複合体の製造装置。
  13. 【請求項13】 毛細管の内圧を制御する圧力調整装置
    が備えられていることを特徴とする請求項12に記載の
    ガラス複合体の製造装置。
  14. 【請求項14】 接触子が、2本の針であることを特徴
    とする請求項10に記載のガラス複合体の製造装置。
  15. 【請求項15】 位置制御装置は、2本の針の角度およ
    び位置を個々に制御することを特徴とする請求項14に
    記載のガラス複合体の製造装置。
  16. 【請求項16】 接触子が、各々異なる角度を成すよう
    に先端部を曲げた2本の針であることを特徴とする請求
    項14または15に記載のガラス複合体の製造装置。
  17. 【請求項17】 基板に設けられた貫通孔と符号する閉
    塞器と、その閉塞器の位置制御手段が備えられ、閉塞器
    を移動させることによって貫通孔内へのガラス融液の流
    入量を制御することを特徴とする請求項10ないし16
    のいずれかのガラス複合体の製造装置。
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