JP2002028995A - 紙管原紙の予熱方法および装置 - Google Patents

紙管原紙の予熱方法および装置

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JP2002028995A
JP2002028995A JP2000213059A JP2000213059A JP2002028995A JP 2002028995 A JP2002028995 A JP 2002028995A JP 2000213059 A JP2000213059 A JP 2000213059A JP 2000213059 A JP2000213059 A JP 2000213059A JP 2002028995 A JP2002028995 A JP 2002028995A
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Tsutomu Ishikawa
剣 石川
Mutsumi Yoshida
睦 吉田
Hideyuki Tabata
英之 田幡
Koji Yamashita
耕治 山下
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Fuji Denpa Koki Kk
Fuji Electronics Industry Co Ltd
Original Assignee
Fuji Denpa Koki Kk
Fuji Electronics Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火災の発生のおそれがなく、作業者が火傷を
負うおそれのないようにする。 【解決手段】 紙管原紙32は、供給ロール52から引
き出されて接着剤塗布装置54により、下面に接着剤が
塗布されたのち、スパイラルワインダ10のマンドレル
12に巻き付けられる。接着剤塗布装置54とスパイラ
ルワインダ10との間には、予熱装置70が配置してあ
り、紙管原紙32に塗布した接着剤を加熱できるように
してある。予熱装置70は、紙管原紙32の接着剤が塗
布されていない上面に対面する電極部を有し、電極部に
よって紙管原紙32に高周波電界を印加して紙管原紙3
2と接着剤とを誘電加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙管原紙の予熱方
法に係り、特に紙管原紙に塗布された接着剤を加熱する
紙管原紙の予熱方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】紙管は、各種フィルム用巻芯、製紙、紙
関連巻芯、繊維用紙管、容器など多くの分野において使
用されている。そして、紙管は、一般に接着剤を塗布し
た数枚の帯状の紙管原紙を、螺旋状にスパイラルワイン
ダと呼ばれる巻付け機のマンドレルに巻き付けることに
よって製造される。
【0003】ところで、マンドレルに巻き付けられる紙
管原紙の走行速度(搬送速度)は、毎分数10mの高速
となっている。このため、冬期などの気温の低い時期に
おいては、溶媒の蒸発速度や接着剤の反応速度が遅くな
って接着に時間がかかり、充分な接着力が得られずに、
自動切断機によって切断した際に、切断部が剥がれて不
良品となったりする。そして、このような不良品の発生
を避けるためには、紙管原紙の巻付け速度を遅くする必
要があり、製造効率が低下する。そこで、従来は、図1
0に示したような方法を採用して気温の低い時期におけ
る巻付け速度の向上と、切断部の剥がれの防止とを図っ
ていた。
【0004】すなわち、紙管原紙32に接着剤36を塗
布する接着剤塗布部20とマンドレル12との間におい
て、接着剤36を塗布した紙管原紙32の接着剤塗布面
を、マンドレル12に巻く前にガスバーナ34の炎38
によって加熱(予熱)し、溶媒の蒸発や反応を促進させ
て紙管原紙32の巻付け速度を高めるとともに、切断部
における剥がれが生じないようにしている。また、紙管
原紙32をマンドレル12に巻き付けた段階のところ
で、ガスバーナ34を用いて紙管原紙32の表面を加熱
し、接着速度を高める方法を採用する場合もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の紙管原
紙の製造においては、ガスバーナ34の炎38を直接紙
管原紙32の接着剤塗布面や紙管原紙32にあてている
ため、火災の発生や作業者が火傷をするおそれがある。
そして、ガスバーナ34による接着剤塗布面の加熱は、
表面加熱であるため接着剤36の表面に乾燥皮膜を生じ
て接着不良を生ずるおそれもある。また、ガスを燃焼す
るところから、周囲温度が上昇したり二酸化炭素が発生
し、安全のために換気が必要となるなど、作業環境を悪
化させる要因となる。さらに、ガスバーナ34による紙
管原紙32の予熱は、表面加熱であるために容易に冷め
てしまい、加熱の効果に限界があり、紙管原紙32の巻
付け速度を充分に速くすることができない。
【0006】本発明は、前記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、火災の発生のおそれがなく、作
業者が火傷を負うおそれのないようにすることを目的と
している。また、本発明は、紙管原紙の巻付け不良をな
くすことも目的としている。さらに、本発明は、紙管原
紙の巻付け速度をより速くできるようにすることなどを
目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る紙管原紙の予熱方法は、巻付け機に
螺旋状に巻き付けられる紙管原紙に塗布された接着剤を
加熱する紙管原紙の予熱方法であって、前記紙管原紙に
交流電界を印加して前記接着剤を誘電加熱することを特
徴としている。
【0008】また、前記紙管原紙の予熱方法を実施する
ための紙管原紙の予熱装置は、紙管原紙に接着剤を塗布
する接着剤塗布部と接着剤が塗布された前記紙管原紙を
螺旋状に巻き付ける巻付け機との間に配置され、走行す
る前記紙管原紙の接着剤の塗布面と反対側に位置し、紙
管原紙に交流電力を印加する電極部を備えた加熱部と、
この加熱部に交流電圧を供給する発振部とを有すること
を特徴としている。
【0009】加熱部は、傾斜可能に形成することが望ま
しい。また、加熱部には、紙管原紙の走行を検出する走
行センサを設けることができる。そして、走行センサ
は、このセンサの出力信号に基づいて発振部を作動する
制御部に接続するとよい。走行センサは、紙管原紙が走
行しているか否かを検出することができるものであれば
よく、例えば光学式や磁気式のロータリエンコーダ等を
利用することができる。
【0010】また、電極部は、前記紙管原紙の走行方向
と交差させた複数の電極を平行に配置した第1電極ユニ
ットと、この第1電極ユニットの各電極間に平行に配置
される複数の電極を備えた第2電極ユニットとを有し、
これら第1電極ユニットと第2電極ユニットとの少なく
ともいずれか一方の電極ユニットの電極が、他方の電極
ユニットの各電極の配置された面の直交方向に移動可能
に構成できる。勿論、いずれの電極ユニットの電極も固
定的に設けることができる。そして、第1電極ユニット
と第2電極ユニットとの少なくともいずれか一方の電極
ユニットの各電極は、コの字状に形成することができ
る。
【0011】
【作用】上記のごとく構成した本発明は、接着剤を塗布
した紙管原紙に交流電界を印加して紙管原紙をいわゆる
誘電加熱するため、炎による予熱と異なり、火事の発生
や作業者が火傷を負うなどの危険性がない。また、内部
加熱である誘電加熱によって接着剤を加熱するため、接
着剤の表面に乾燥皮膜が形成されて接着不良を生ずるお
それがないばかりでなく、紙管原紙自体も加熱されるた
めに巻付け機に巻き付けてもすぐに冷めることがなく、
紙管原紙の巻付け速度を従来に比較して大幅に向上する
ことができるとともに、製品の乾燥時間を短縮すること
ができる。
【0012】紙管原紙の走行経路は、紙管の製造現場に
より区々であり、水平面に対して傾斜している場合も多
い。そこで、紙管原紙に交流電界を印加する電極部を備
えた加熱部を傾斜可能に構成することにより、紙管原紙
を水平面に対して傾斜した状態で走行させている場合で
あっても、容易に対応することができる。また、加熱部
に紙管原紙が走行しているか否かを検知できる走行セン
サを取り付け、この走行センサを制御部に接続し、制御
部によって紙管原紙が走行しているときにだけ発振部を
作動して電極部に交流電圧を印加するようにすると、紙
管原紙の走行、停止の都度、人手によってスイッチを入
れたり切ったりする手間を省くことができ、作業者の負
担を軽減することができ、さらに紙管原紙の走行してい
ないときに交流電界が発生するようなことがなく、安全
性を高めることができるとともに、ランニングコストの
低減を図ることができる。
【0013】そして、電極部を、紙管原紙の走行方向と
交差させた複数の電極を平行に配置した第1電極ユニッ
トと、この第1電極ユニットの各電極間に平行に配置さ
れる複数の電極を備えた第2電極ユニットとを有する、
いわゆる格子電極とすることにより、接着剤を効率よく
加熱することができる。そして、第1電極ユニットと第
2電極ユニットとの少なくともいずれか一方の電極ユニ
ットの電極が、他方の電極ユニットの各電極の配置され
た面の直交した方向に移動可能に形成すると、発振の安
定性や出力調整を容易に図ることができる。また、電極
をコの字状に形成すると、端部における電界集中を低減
し、放電を避けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る紙管原紙の予熱方法
および装置の好ましい実施の形態を、添付図面に基づい
て詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る
紙管原紙の予熱装置を備えた紙管製造設備の一例の一部
を概略的に示した説明図である。図1において、紙管製
造設備50は、巻付け機であるスパイラルワインダ10
を備えていて、スパイラルワインダ10のマンドレル1
2に複数枚の紙管原紙32を螺旋状に巻付けるようにな
っている。マンドレル12は、一端が支持部材14に固
定してあって、他端が自由端となっている。紙管原紙3
2は、回転自在に支持された供給ロール52から引き出
されるようになっている。そして、スパイラルワインダ
10と供給ロール52との間には、接着剤塗布部となる
接着剤塗布装置54が配設してある。
【0015】接着剤塗布装置54は、本図に図示しない
液状の接着剤を貯溜した接着剤タンク56と、この接着
剤タンク56に下部を浸漬した回転自在な塗布ロール5
8とを有している。また、接着剤塗布装置54は、塗布
ロール58の両側にガイドローラ60、62が設けてあ
って、ガイドローラ60、62によって供給ロール52
から引き出された紙管原紙32を塗布ロール58の上部
に接触させ、塗布ロール58に付着させた接着剤を紙管
原紙32の下面に塗布できるようになっている。そし
て、接着剤塗布装置54とスパイラルワインダ10との
間の紙管原紙32が走行する経路には、接着剤を塗布し
た紙管原紙32をマンドレル12に巻き付ける前に、接
着剤を加熱する予熱装置70が設けてある。
【0016】予熱装置70は、実施形態の場合、高周波
誘電加熱装置であって、図2にその一例が示してあり、
電源部72と発振部74と加熱部76とを備えている。
電源部72は、メインスイッチ78を有する箱状のケー
ス80の内部に、電源トランスや冷却ファン(いずれも
図示せず)などが設けてあるとともに、制御部82を有
している。そして、ケース80には、下部にキャスタ8
4が取り付けてあって、所望の場所に容易に移動するこ
とができるようにしてある。また、ケース80には、背
面側(図2の右側)に、フィルタを備えた吸気窓86が
形成してあり、冷却空気を内部に供給できるようにして
ある。
【0017】ケース80の上面には、円筒状の支柱88
が立設してある。支柱88は、下部支柱90と上部支柱
92とが入れ子式になっていて、伸縮自在に形成してあ
る。そして、上部支柱92の上端には、発振部74が固
定してある。この発振部74は、図示しない高周波発振
用電子管を備えていて、この電子管を覆ったカバー94
に同調ダイヤル96が設けてある。また、カバー94の
前面には、加熱部76が取り付けてある。なお、支柱8
8は、楕円形や多角形の筒状であってもよい。
【0018】加熱部76は、下面が開口したシールドカ
バー100を有し、このシールドカバー100を介して
発振部74に装着してある。そして、シールドカバー1
00の上部には、排気ファン102を備えた一対の排気
窓が設けてある(図4参照)。また、シールドカバー1
00の下端部には、メンテナンス用の開閉扉104が設
けてある。この開閉扉104は、一端がシールドカバー
100に枢着してあって、図2の2点鎖線に示したよう
に、図2の反時計方向に回動させることにより、シール
ドカバー100の下部開口を開放できるようにしてい
る。さらに、開閉扉104は、他端にバックル106を
有し、このバックル106をシールドカバー100に設
けた係合部に係合させることによって、シールドカバー
100の下部開口を閉鎖する。
【0019】紙管原紙32の走行方向に位置するシール
ドカバー100の両側部下端には、紙管原紙32を通過
させる矩形状の通紙開口108が切り欠いて形成してあ
る。また、シールドカバー100の両側部外面には、通
紙開口108に臨ませたガイドローラ110(110
a、110b)が回転自在に設けてある(図3参照)。
そして、接着剤を塗布された紙管原紙32は、接着剤の
塗布されていない上面がガイドローラ110に接触しつ
つシールドカバー100の内部を通過するようになって
いて、、シールドカバー100との接触による疵つきが
防止されるとともに、接着剤が開閉扉104に付着する
のが防止される。なお、通紙開口108は、長円孔形状
に形成してもよいし、開閉扉104側に設けてもよい。
【0020】一方のガイドローラ110(例えば、ガイ
ドローラ110a)の一側端部には、図5に示したよう
に、走行検出センサとなるフォトカプラ112が設けて
ある。フォトカプラ112は、ブラケット114を介し
てガイドローラ110aを回転自在に支持している軸受
116に取り付けてある。そして、ガイドローラ110
aの端部には、周縁部に複数の透孔が形成してある円板
上の検出板118が固定してあり、検出板118がガイ
ドローラ110aと一体に回転するようになっている。
また、フォトカプラ112は、電源部72に設けた制御
部82に電気的に接続してあって、検出板118の回転
に伴う紙管原紙32の走行検出信号を制御部82に送出
する。制御部82は、後述するように、フォトカプラ1
12の検出信号に基づいて発振部74を作動制御する。
【0021】加熱部76は、図3に示したように、紙管
原紙32の走行方向において水平面に対して傾斜可能と
なっている。すなわち、加熱部76は、図6に示したよ
うに、シールドカバー100の背面に、発振部74のカ
バー94に設けた円筒状の支持部20に外嵌させる孔部
122が形成してある。また、孔部122の外側には、
孔部122と同心の円弧孔124が孔部122の中心に
対して90度間隔で4つ設けてあり、この円弧孔124
を介してボルトとナットとによって、加熱部76を発振
部74に固定できるようにしてある。そして、加熱部7
6は、各円弧孔124の中心位置においては発振部74
に固定したときに、シールドカバー100が水平となる
ようにしてあって、円弧孔124の端部において固定し
たときに、実施形態の場合、左右方向のそれぞれに30
度傾斜するようにしてある。
【0022】シールドカバー100の内部には、図7に
示したように、紙管原紙32に高周波電界を印加する電
極部130が配設してある。この電極部130は、可動
電極ユニット(第1電極ユニット)132と固定電極ユ
ニット(第2電極ユニット)134とから構成してあ
る。そして、可動電極ユニット132は、紙管原紙32
の走行方向に沿って配置した一対の取付けビーム136
を有している。取付けビーム136は、昇降フレーム1
38の下端に絶縁材139を介して取り付けてあり(図
8参照)、詳細を後述するように、昇降フレーム138
を介して上下方向に移動可能となっている。また、取付
けビーム136は、導電性の部材によって形成してあっ
て、複数の可動電極140が取付けビーム136の長手
方向に所定の間隔を持って配設してあり、取付けビーム
136を介して各可動電極140に電圧を印加できるよ
うにしてある。
【0023】可動電極140は、実施形態の場合、断面
が円形をなす棒状に形成してあり、両端部が折曲された
略コの字状をなし、取付けビーム136に設けた取付孔
に両端部を挿入して固定してある。そして、各可動電極
140は、長手方向が紙管原紙32の走行方向と直交し
ていて、図7、図9に示してあるように、固定電極ユニ
ット134の複数の固定電極144間に配置してある。
すなわち、可動電極140と固定電極144とは、紙管
原紙32の走行方向において等間隔で交互に、かつ平行
に配置してあって、いわゆる格子電極を形成しており、
紙管原紙32を効率よく加熱できるようになっている。
さらに、この実施形態の場合、図7および図8に示した
ように、可動電極140と固定電極144とは、同一平
面に配置してある。また、これらの電極140、144
は、通紙開口108の上部に位置し、接着剤を塗布され
た紙管原紙32の接着剤が塗布されていない上面と対面
するようになっている。
【0024】各固定電極144は、断面円形をなす棒状
に形成してあって、両端が、可動電極ユニット132の
取付けビーム136の外側に位置し、取付けビーム13
6と平行な一対の固定ビーム146に挿入して固定して
ある。そして、各固定ビーム146は、支持部材148
を介してシールドカバー100の張出し床部150に固
定してある。また、固定ビーム146は、導電性の部材
によって形成してあり、固定ビーム146を介して各固
定電極144に電圧を印加できるようにしてある。
【0025】昇降フレーム138は、上部が昇降機構1
60に接続してある。この昇降機構160は、昇降ねじ
部材162と昇降ナット部材164と昇降ガイド部材1
66とを主な構成要素としている。昇降ねじ部材162
は、軸線方向に沿って面取り部168が設けられてお
り、先端(下端)に結合凸部170を有している。そし
て、結合凸部170は、昇降フレーム138の上面に取
り付けた連結材172の嵌合孔174に挿入してあり、
連結材172と結合させてある。また、昇降ねじ部材1
62のねじ部176は、昇降ナット部材164と螺合し
ているとともに、昇降ナット部材164を貫通してい
て、昇降ナット部材164を回転することにより、昇降
ねじ部材162が上下方向に移動するようになってい
る。これにより、昇降フレーム138が連結材127と
一体に昇降し、可動電極140が複数の固定電極144
を配置した面と直交した方向に移動する。
【0026】一方、昇降ガイド部材166は、側面視T
字状に形成されて中心部に貫通孔178を有している。
そして、昇降ガイド部材166は、シールドカバー10
0の上面に固定してあるとともに、下部がシールドカバ
ー100の内部に挿入してある。また、昇降ガイド部材
166の貫通孔178には、昇降ねじ部材162のねじ
部176の下端部が挿入してあるとともに、連結材17
2の上部が挿入してある。そして、昇降ガイド部材16
6と連結材172との間には、回り止め機構が形成して
あり、昇降ナット部材164を回転させた際に、昇降ね
じ部材162および連結材172が昇降ナット部材16
4ととも回転するのを防止している。
【0027】昇降ナット部材164の上部には、操作フ
ランジ180が設けてある。この操作フランジ180の
周面には、ローレットなどの滑り止めが形成してあっ
て、作業者の手によって容易に昇降ナット部材164を
回転させることができるようにしてある。そして、昇降
ねじ部材162の頭部182と昇降ナット部材164と
の間には、昇降ねじ部材162と螺合しているロックナ
ット部材184が介在していて、ロックナット部材18
4によって可動電極140の高さ位置を所望の位置に固
定できるようにしている。
【0028】上記のごとく構成した実施形態に係る予熱
装置70は、図1に示したように、加熱部76が接着剤
塗布装置54とスパイラルワインダ10との間における
紙管原紙32の走行経路に配置される。そして、加熱部
76の開閉扉104を開放し、接着剤を塗布した紙管原
紙32を通紙開口108に配置して先端部をスパイラル
ワインダ10のマンドレル12に巻き付け、開閉扉10
4を閉じる。このとき、紙管原紙32の上面、すなわち
接着剤が塗布されていない面がガイドローラ110a、
110bに接触するように、支柱88を介して加熱部7
6の高さを調節するとともに、傾きを調整する。
【0029】その後、予熱装置70のメインスイッチ7
8を投入し、スパイラルワインダ10を駆動すると、紙
管原紙32が供給ロール52から引き出されてマンドレ
ル12に巻き付けられる。そして、紙管原紙32がマン
ドレル12に巻き付けられると、紙管原紙32が接触し
ているガイドローラ110が回転し、ガイドローラ11
0aに設けたフォトカプラ112が紙管原紙32の走行
を検出して走行検出信号を電源部72に設けた制御部8
2に入力する。制御部82は、フォトカプラ112から
走行検出信号を受けると、発振部74を作動する。これ
により、加熱部76の可動電極140と固定電極144
との間に高周波電圧が印加され、隣接する可動電極14
0と固定電極144との間に交流電界である高周波電界
が発生する。そして、接着剤を塗布された紙管原紙32
は、電極140、144の下方を通過する際に高周波電
界が印加され、接着剤が誘電加熱される。すなわち、紙
管原紙32は、加熱部76によって予熱されてマンドレ
ル12に巻き付けられる。
【0030】また、紙管原紙32の走行が停止すると、
フォトカプラ112がこれを検出し、検出信号を制御部
82に送出する。そして、制御部82は、フォトカプラ
112からに入力した信号に基づいて発振部74の作動
を停止する。したがって、作業者は、紙管原紙32の走
行、停止の都度予熱装置70のスイッチを操作して予熱
装置70の駆動、停止を行なう必要がなく、作業者の負
担を軽減することができる。
【0031】このように、実施の形態においては、紙管
原紙32に塗布した接着剤を誘電加熱によって予熱して
いるため、火炎による予熱と異なり、火災のおそれや作
業者が火傷を負うようなおそれがない。しかも、火を使
用しないため、周囲温度が上昇したり、二酸化炭素が発
生するようなことがなく、作業環境の悪化を防ぐことが
できる。また、実施形態に係る予熱装置70による予熱
は、内部加熱である誘電加熱であるため、接着剤を60
℃程度に加熱したとしても、接着剤の表面が乾いて乾燥
皮膜を生ずるような現象を避けることができ、巻き付け
た際における接着不良を防ぐことができる。さらに、紙
管原紙32自体も加熱されることにより、気温の低い冬
期であっても、マンドレル12に巻き付けたときに接着
剤がすぐに冷えるのを防止することができ、従来のガス
バーナによる予熱に比較して大幅に巻付け速度を向上す
ることができるとともに、形成した紙管の乾燥時間を短
縮することができ、また季節の影響による製品の仕上が
り具合の差をなくすことができる。そして、実施形態に
おいては、作業者がガスバーナを用いて加熱するのと異
なり、自動的に加熱できるようになっているため、作業
者の習熟度による影響をなくすことができ、品質の向上
を図ることができる。
【0032】また、実施形態に係る予熱装置70は、キ
ャスタ84を有しているため、任意の場所に容易に設置
することができる。しかも、予熱装置70は、加熱部7
6が水平面に対して傾斜できるようにしてあるため、紙
管原紙32の多様な走行状態に容易に対応することがで
きる。そして、実施形態においては、加熱部76の電極
部130が可動電極140と固定電極144とを有して
いるため、可動電極140を上下動させることにより、
発振の安定性や出力の調整を容易に図ることができる。
さらに、前記実施の形態においては、可動電極140を
略コの字に形成したことにより、端部における電界集中
が緩和され、端部における放電を防止することができ
る。
【0033】なお、前記実施の形態においては、可動電
極140と固定電極144とを断面形状が円形の棒状態
によって構成した場合について説明したが、これらの電
極の断面形状は小判形や多角形等の他の形状であっても
よい。そして、前記実施形態においては、可動電極14
0を移動させる方法として、昇降ねじ部材162を有す
る昇降機構160について説明したが、昇降機構はこれ
に限定されず、またスペーサ等を配置して可動電極14
0の位置決めを行なってもよい。また、前記実施の形態
においては、制御部82によって自動的に発振部74を
作動させる場合について説明したが、手動によって作動
させてもよいし、自動と手動とを切り替えるスイッチを
設けてもよいことは勿論である。
【0034】さらに、前記実施形態においては、走行セ
ンサとしてフォトカプラ110を用いた場合について説
明したが、磁気式ロータリエンコーダ等他のセンサを用
いてもよい。そして、前記実施形態においては、走行セ
ンサを一方のガイドローラ110aに設けた場合につい
て説明したが、両方のガイドローラ110a、110b
に設けてもよい。また、前記実施の形態においては、電
極部130が第1電極ユニットである可動電極ユニット
132と、第2電極ユニットである固定電極ユニット1
34とによって構成した場合について説明したが、第1
電極ユニットと第2電極ユニットとの両者を可動にして
もよいし、固定にしてもよい。さらに、前記実施の形態
においては、可動電極140を略コの字状に形成した場
合について説明したが、可動電極140および固定電極
144を略コの字状形成してもよいし、両者を直線状に
形成してもよい。そして、前記実施形態においては、可
動電極140と固定電極144との長手方向が、紙管原
紙32の走行方向と直交している場合について説明した
が、これらの電極140、144の長手方向を紙管原紙
32の走行方向と斜交させてもよい。
【0035】
【実施例】冬期において紙管原紙32に塗布した接着剤
の温度が5℃である場合、紙管原紙32の走行速度(搬
送速度)が25m/minを超えると、接着不良が生じ
た。また、ガスバーナによって予熱した場合であって
も、紙管原紙32の走行速度が35m/minを超える
と接着不良が生じた。これに対して、実施形態と同様の
予熱装置を用いて紙管原紙32を60℃に加熱したとこ
ろ、紙管原紙32の走行速度をスパイラルワインダの処
理能力の上限である50m/minであっても接着が良
好に行なわれ、接着不良を生ずることがなかった。な
お、このときの、紙管原紙32の走行方向における電極
部130の長さ(格子電極の長さ)は500mmであ
り、発振部74の出力は3kWである。
【0036】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、接着剤を塗布した紙管原紙に交流電界を印加して紙
管原紙をいわゆる誘電加熱するため、炎による予熱のよ
うな、火事の発生や作業者が火傷を負うなどの危険性が
ない。また、内部加熱である誘電加熱によって接着剤を
加熱するため、接着剤の表面に乾燥皮膜が形成されて接
着不良を生ずるおそれがないばかりでなく、紙管原紙自
体も加熱されるために巻付け機に巻き付けてもすぐに冷
めることがなく、紙管原紙の巻付け速度を従来に比較し
て大幅に向上することができるとともに、製品の乾燥時
間を短縮することができる。
【0037】そして、本発明は、紙管原紙に交流電界を
印加する電極部を備えた加熱部を傾斜可能としたことに
より、紙管原紙を水平面に対して傾斜した状態で走行さ
せている場合であっても、容易に対応することができ
る。また、加熱部に紙管原紙が走行しているか否かを検
知できる走行センサを取り付け、この走行センサを制御
部に接続し、制御部によって紙管原紙が走行していると
きにだけ発振部を作動して電極部に交流電圧を印加する
ようにしているため、紙管原紙の走行、停止の都度、人
手によってスイッチを入れたり切ったりする手間を省く
ことができ、作業者の負担を軽減することができ、さら
に紙管原紙の走行していないときに交流電界が発生する
ようなことがなく、安全性を高めることができるととも
に、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0038】そして、電極部を、いわゆる格子電極とし
てことにより、紙管原紙に塗布した接着剤を効率よく加
熱することができる。また、第1電極ユニットと第2電
極ユニットとの少なくともいずれかの電極ユニットの電
極を、他方の電極ユニットの各電極を配置した面の直交
方向に移動可能としたことにより、発振の安定性や出力
の調整を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る紙管原紙の予熱装置
を備えた紙管製造設備一部を概略的に示した説明図であ
る。
【図2】実施の形態に係る紙管原紙の予熱装置の側面図
である。
【図3】実施の形態に係る紙管原紙の予熱装置の正面図
である。
【図4】実施の形態に係る紙管原紙の予熱装置の平面図
である。
【図5】実施の形態に係る走行検出センサの説明図であ
る。
【図6】実施の形態に係る加熱部を傾斜させる機構の説
明図である。
【図7】実施の形態に係る加熱部の内部の正面図であ
る。
【図8】実施の形態に係る加熱部の内部の側面図であ
る。
【図9】実施の形態に係る加熱部の内部を示す底面図で
ある。
【図10】従来の紙管原紙の予熱方法を説明する図であ
る。
【符号の説明】
10………巻付け機(スパイラルワインダ)、12……
…マンドレル、32………紙管原紙、50………紙管製
造設備、54………接着剤塗布部(接着剤塗布装置)、
70………予熱装置、72………電源部、74………発
振部、76………加熱部、82………制御部、108…
……通紙開口、112………走行検出センサ(フォトカ
プラ)、130………電極部、132………第1電極ユ
ニット(可動電極ユニット)、134………第2電極ユ
ニット(固定電極ユニット)、138………昇降フレー
ム、140………可動電極、144………固定電極、1
60………昇降機構、162………昇降ねじ部材、16
4………昇降ナット部材、166………昇降ガイド部
材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田幡 英之 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目2番22号 富 士電波工機株式会社内 (72)発明者 山下 耕治 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目2番22号 富 士電波工機株式会社内 Fターム(参考) 3E075 AA05 BA72 CA02 DC63 DD02 DD16 DD44

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻付け機に螺旋状に巻き付けられる紙管
    原紙に塗布された接着剤を加熱する紙管原紙の予熱方法
    であって、前記紙管原紙に交流電界を印加して前記接着
    剤を誘電加熱することを特徴とする紙管原紙の予熱方
    法。
  2. 【請求項2】 紙管原紙に接着剤を塗布する接着剤塗布
    部と接着剤が塗布された前記紙管原紙を螺旋状に巻き付
    ける巻付け機との間に配置され、走行する前記紙管原紙
    の接着剤の塗布面と反対側に位置し、紙管原紙に交流電
    界を印加する電極部を備えた加熱部と、この加熱部に交
    流電力を供給する発振部とを有することを特徴とする紙
    管原紙の予熱装置。
  3. 【請求項3】 前記加熱部は、傾斜可能に形成してある
    ことを特徴とする請求項2に記載の紙管原紙の予熱装
    置。
  4. 【請求項4】 前記加熱部は前記紙管原紙の走行を検出
    する走行センサが設けられ、前記走行センサはこのセン
    サの出力信号に基づいて前記発振部を作動する制御部に
    接続してあることを特徴とする請求項2または3に記載
    の紙管原紙の予熱装置。
  5. 【請求項5】 前記電極部は、前記紙管原紙の走行方向
    と交差させた複数の電極を平行に配置した第1電極ユニ
    ットと、この第1電極ユニットの各電極間に平行に配置
    される複数の電極を備えた第2電極ユニットとを有し、
    これら第1電極ユニットと第2電極ユニットとの少なく
    ともいずれか一方の電極ユニットの電極が、他方の電極
    ユニットの各電極の配置された面の直交方向に移動可能
    に形成してあることを特徴とする請求項2ないし4のい
    ずれか1に記載の紙管原紙の予熱装置。
  6. 【請求項6】 前記第1電極ユニットと前記第2電極ユ
    ニットとの少なくともいずれか一方の電極ユニットの各
    電極は、コの字状に形成してあることを特徴とする請求
    項5に記載の紙管原紙の予熱装置。
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