JP2002027986A - 突然変異遺伝子の探索方法 - Google Patents

突然変異遺伝子の探索方法

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JP2002027986A
JP2002027986A JP2000212763A JP2000212763A JP2002027986A JP 2002027986 A JP2002027986 A JP 2002027986A JP 2000212763 A JP2000212763 A JP 2000212763A JP 2000212763 A JP2000212763 A JP 2000212763A JP 2002027986 A JP2002027986 A JP 2002027986A
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Ryuta Koishi
龍太 小石
Mitsuru Ono
満 小野
Hidehiko Furukawa
秀比古 古川
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Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変異遺伝子が特定されていない突然変異動物
における変異遺伝子を迅速に特定する方法を提供する。 【解決手段】 下記の工程i)からii): i) 対照となる動物の組織または細胞と、対照動物の
系統から突然変異により得られ、該突然変異の結果、対
照動物には表れない特有の表現型の変化を表す動物(以
下「変異動物」という)の同じ組織または細胞から、そ
れぞれメッセンジャーRNAを抽出し、該メッセンジャ
ーRNAを出発材料としてcRNAまたはcDNAを調
製する工程;および ii) 上記工程i)で得られたcRNAまたはcDN
Aを用いて、変異動物と対照動物との間で発現量が著し
く変動している遺伝子を同定する工程、を含むことを特
徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、突然変異遺伝子
を検索、同定する新規方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 ヒトゲノム研究の進展により遺伝子の
全体像が捕らえられつつあるが、十万余りあるといわれ
ているヒト遺伝子の機能解析が、ポストゲノムシークエ
ンス解析の課題となっている。ゲノム地図やシークエン
ス解析の進歩により、一遺伝子の異常による単因子性の
遺伝病はその原因遺伝子が明らかにされつつあるが、
癌、糖尿病などの多因子性疾患の遺伝子解析には多くの
遺伝子の発現変動、変異(多型:SNP)を網羅的に検
索することが必要である。DNAマイクロアレイ、チッ
プ技術は全遺伝子の発現、多型等を包括的に検索できる
技術として登場し、遺伝子の配列が解明された後のポス
トゲノムシークエンスの世代を担う技術の一つと考えら
れている(Nature genetics suppliment (1999) 21,3-6
0)。
【0003】マイクロアレイ技術は、個々の遺伝子の発
現を多くのポイントで簡便に検討できるが、変異遺伝子
が特定されていない突然変異動物における変異遺伝子を
特定する方法に用いられた例は知られていない。
【0004】特表平9−508800号公報には、健康
な動物と疾病を有する動物との間で差次的に発現される
遺伝子を同定する方法が記載されているが、実際にその
ような遺伝子を同定した具体例は開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、マ
イクロアレイや遺伝子チップ等を用いた遺伝子解析によ
り、迅速かつ確実に変異遺伝子を検索する方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、(1) 遺
伝子突然変異を有しており、かつその変異遺伝子が特定
されていない動物における変異遺伝子を特定する方法で
あって、下記の工程i)からii): i) ある系統の動物(以下「対照動物」という)の組
織または細胞と、対照動物の系統から突然変異により得
られ、該突然変異の結果、対照動物が有する表現型と異
なった表現型を表す動物(以下「変異動物」という)の
対応する組織または細胞から、それぞれメッセンジャー
RNAを抽出し、該メッセンジャーRNAを出発材料と
して相補的RNAまたは相補的DNAを調製する工程;
および ii) 上記工程i)で得られた相補的RNAまたは相
補的DNAを用いて、変異動物と対照動物との間で発現
量が変動している遺伝子を同定する工程、 を含むことを特徴とする方法、(2) (1)記載の方
法において、変異動物にのみ表れる表現型が病変として
表れるものであることを特徴とする方法、(3)変異動
物および対照動物がマウスであることを特徴とする、
(1)または(2)記載の方法、(4) 変異動物がK
K/Sanマウス、対照動物がKKマウスであることを
特徴とする、(3)記載の方法、(5) (1)乃至
(4)のいずれか1つに記載の方法であって、工程i
i)において変異動物と対照動物との間で発現量が変動
している遺伝子を同定する手段として、変異動物および
対照動物と同種の動物の組織または細胞由来の相補的D
NA群または該DNAの部分配列で作製された遺伝子チ
ップを用いることを特徴とする方法、(6) 遺伝子突
然変異を有しており、かつその変異遺伝子が特定されて
いない動物における変異遺伝子を特定する方法であっ
て、下記の工程i)からiii): i) ある系統の動物(以下「対照動物」という)の組
織または細胞と、対照動物の系統から突然変異により得
られ、該突然変異の結果、対照動物が有する表現型と異
なった表現型を表す動物(以下「変異動物」という)の
対応する組織または細胞から、それぞれメッセンジャー
RNAを抽出し、該メッセンジャーRNAを出発材料と
して相補的RNAまたは相補的DNAを調製する工程; ii) 上記工程i)で得られた相補的RNAまたは相
補的DNAを用いて、変異動物と対照動物との間で発現
量が変動している遺伝子を同定する工程;および iii) 工程ii)の結果、対照動物より変異動物で
多く発現していると判定された遺伝子由来の相補的DN
Aを対照動物または対照動物由来の細胞に高発現させ
て、変異動物と同様の表現型の変化が現れるか否かを検
定するか、または変異動物より対照動物で多く発現して
いると判定された遺伝子由来の相補的DNAを変異動物
または変異動物由来の細胞に高発現させて、変異動物の
表現型の変化が対照動物のもつ表現型に復帰するか否か
を検定する工程、 を含むことを特徴とする方法、(7) (6)記載の方
法において、変異動物にのみ表れる表現型が病変として
表れるものであることを特徴とする方法、(8)変異動
物および対照動物がマウスであることを特徴とする、
(6)または(7)記載の方法、(9) 変異動物がK
K/Sanマウス、対照動物がKKマウスであることを
特徴とする、(8)記載の方法、(10) (6)乃至
(9)のいずれか1つに記載の方法であって、工程i
i)において変異動物と対照動物との間で発現量が変動
している遺伝子を同定する手段として、変異動物および
対照動物と同種の動物の組織または細胞由来の相補的D
NA群または該DNAの部分配列で作製された遺伝子チ
ップを用いることを特徴とする方法、(11) (6)
乃至(10)のいずれか1つに記載の方法において、工
程iii)記載の相補的DNAの導入が、該相補的DN
Aが組み込まれたアデノウイルスベクターを含むアデノ
ウイルスの感染によるものであることを特徴とする方
法、に関する。
【0007】本発明にいう「変異動物」は、対照動物の
系統から遺伝子突然変異によって得られ、対照動物とは
異なる表現型を表す家系の非ヒト動物(薬剤投与や放射
線照射による人為突然変異誘発操作を経て得られた変異
動物や、遺伝子操作で作製したノックアウト動物または
トランスジェニック動物等の人為的に得られた動物であ
っても、また非人為的乃至自然発生的に取得されたもの
であってもよい)である。そのような動物としては、例
えば、ショウジョウバエ、線虫、カエル、メダカ、ゼブ
ラフィッシュ等の哺乳類以外の実験動物も用いることが
できるが、好適には哺乳動物であり、より好適にはマウ
スであるが、これらに限定されない。
【0008】また、本発明にいう「対照動物」とは、本
発明の方法に用いられる変異動物の源となった家系/系
統の動物であって、かつ変異動物とは明確に区別できる
表現型を示す動物をいう。したがって、例えば変異動物
で着目された表現型変化と明確に区別可能であるような
別の特異な表現型(病変等)を示しているものであって
も、本発明の方法においては対照動物として用いられ得
る。例えば、低脂血症マウスであるKK/Sanマウス
は、高脂血症マウスであるKKマウスの突然変異によっ
て得られたものであり、本発明の方法ではKK/San
マウスを変異動物、KKマウスを対照動物として用いる
ことができる。
【0009】すなわち、ある動物の系統の継代・維持の
過程で、その中のある家系において表現型に何らかの変
化が生じ、かつその変化がその家系の子孫にも遺伝して
いることが明らかであるような場合、その変化が生じた
家系の子孫が本発明にいう「変異動物」となりうる。一
方、当該表現型の変化が生じないまま、変異動物の家系
と掛け合わせずに維持された家系の子孫が「対照動物」
となりうる。
【0010】本発明の方法で探索・同定しようとする遺
伝子は、対照とする系統の動物から突然変異により得ら
れ、該突然変異の結果、対照動物にはない表現型の変化
を表すに至った動物(変異動物)の変異遺伝子であっ
て、かつその遺伝子の発現量に、対照動物と変異動物と
の間でメッセンジャーRNAのレベルで検出可能な差が
現れるようなものである。なお、本発明における「変異
遺伝子」は、対照動物と変異動物との間でメッセンジャ
ーRNA発現量に差異がある遺伝子の、アミノ酸配列を
コードする領域に限定されるものではなく、その周辺の
非翻訳領域や発現調節領域を含みうる。
【0011】ここに、「表現型の変化」とは、病変、生
化学的値の変化または行動様式の変化として観察できる
ものであり、好ましくは、ヒトの疾患に対応する病変、
すなわち、例えば代謝異常に起因する病変(肥満、動脈
硬化、血中の中性脂肪濃度の異常、血糖値の異常等)、
臓器機能不全、自己免疫疾患様の病変、良性乃至悪性の
新生物(腫瘍、癌、白血病等)、行動異常、発生遅延、
奇形、早老症等として観察されるものであるが、これら
に限定されない。
【0012】変異動物と対照動物との間でメッセンジャ
ーRNA(以下「mRNA」という)のレベルで遺伝子
発現量を比較して、両者の間で発現量の異なる遺伝子が
あるとき、該遺伝子の発現異常は、表現型の変化の直接
的または間接的な原因となっているか、または表現型の
変化の結果となっているかのいずれかであると推測され
る。
【0013】そのようなmRNA量の変化の原因として
は、その変異遺伝子DNAからmRNAへの転写制御が
活性化または抑制されることによって生じる場合(たと
えば遺伝子のプロモーター、エンハンサー内に変異が生
じて転写制御に変化が生じた場合、その遺伝子自体、ま
たは周辺の遺伝子の欠失、転座、逆位、重複、挿入等の
影響により転写制御に変化が生じた場合、エクソン、イ
ントロン内の点変異によりmRNAの不安定化が促進さ
れmRNA量に変化が生じた場合など)、または上流に
位置する遺伝子の発現が変化していることにより、二次
的に下流に位置する変異遺伝子の転写、あるいはmRN
Aの安定化が影響をうけて起こる場合などが挙げられ
る。これらいずれの場合でも、mRNA量の変化を指標
に特定された遺伝子が、表現型の変化として着目した病
変に関連する機能を有していることが解れば、それがそ
の病変の原因遺伝子またはマーカーであると考えられる
ので、例えばその発現異常を正常復帰させたり、発現異
常の効果を打ち消すような薬剤を開発することにより、
該病変の治療が可能となる。
【0014】本発明者らは、遺伝子チップを用いた遺伝
子解析の結果、高脂血症マウスと、該高脂血症マウスか
ら突然変異によって得られた低脂血症マウスとの比較
で、前者にのみ高発現する遺伝子を特定した。この遺伝
子についてさらに解析した結果、該低脂血症マウスのこ
の遺伝子中に変異が起こっていることを確認し、本発明
を完成させた。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、下記の工程i)からi
i): i) 対照動物の組織または細胞と、変異動物の同じ組
織または細胞から、それぞれメッセンジャーRNAを抽
出し、該メッセンジャーRNAを出発材料としてcRN
AまたはcDNAを調製する工程;および ii) 上記工程i)で得られたcRNAまたはcDN
Aを用いて、変異動物と対照動物との間で発現量が著し
く変動している遺伝子を同定する工程、を順次行うこと
により実施することができる。さらに、工程iii)と
して、上記工程ii)の結果、対照動物より変異動物で
多く発現していると判定されたcDNAを対照動物また
は対照動物由来の細胞に高発現させて、変異動物と同様
の表現型の変化が現れるか否かを検定するか、または変
異動物より対照動物で多く発現していると判定されたc
DNAを変異動物または変異動物由来の細胞に高発現さ
せて、変異動物の表現型の変化が復帰するか否かを検定
する操作を行うことにより、変異遺伝子と表現型の変化
との関連を確認することができる。
【0016】以下、各工程の実施の態様について述べ
る。
【0017】工程i) i)−1.プローブ取得用試料の調製 まず、対照動物および変異動物由来のmRNAを抽出精
製する。選択された変異動物および対照動物のそれぞれ
に由来するmRNAは、各動物の臓器組織、または同組
織由来の細胞、あるいは株化された細胞等から抽出精製
される。例えば、変異動物に特有の表現型変化が病変と
して表れ、かつその原因が分泌性の因子の過剰であるよ
うな場合、変異遺伝子が過剰発現する部位は病巣そのも
のでないこともあるので、mRNA抽出精製にあたって
出発材料とする臓器組織(または細胞の由来臓器組織)
は、変異動物で着目された表現型変化が現れる部位に限
定されず、むしろ多種類の臓器組織から回収したそれぞ
れのmRNA試料について検討を行うことが好ましい場
合もある。
【0018】RNA抽出に際しては、培養終了後直ちに
臓器、あるいは細胞をRNA抽出用の溶媒(例えばフェ
ノール等リボヌクレアーゼを不活性化する作用を有する
成分を含むもの)で直接溶解することが好ましい。RN
Aの抽出方法としては、チオシアン酸グアニジン・塩化
セシウム超遠心法、チオシアン酸グアニジン・ホットフ
ェノール法、グアニジン塩酸法、酸性チオシアン酸グア
ニジン・フェノール・クロロホルム法(Chomczynski,
P. and Sacchi, N., (1987) Anal. Biochem., 162, 156
-159)などを採用しうるが、酸性チオシアン酸グアニジ
ン・フェノール・クロロホルム法が好適である。
【0019】得られたRNAからさらにmRNAを精製
する方法は以下に説明する通りである。すなわち、真核
細胞の細胞質に存在するmRNAの多くは、その3’末
端にポリ(A)配列を持つことが知られているので、こ
の特徴を利用して、例えば、上記のようにして抽出した
RNAにビオチン化したオリゴ(dT)プローブを加え
てポリ(A)+RNAを吸着させてから、それをストレ
プトアビジンを固定化した常磁性粒子担体に、ビオチン
/ストレプトアビジン間の結合を利用してポリ(A)+
RNAを捕捉させ、洗浄操作の後、オリゴ(dT)プロ
ーブからポリ(A)+RNAを溶出する。また、オリゴ
(dT)セルロースカラムにポリ(A)+RNAを吸着
させて、次にこれを溶出して精製する方法も採用し得
る。その後、ショ糖密度勾配遠心法などにより、mRN
Aをさらに分画することもできる。
【0020】i)−2.プローブの標識 プローブは特定のmRNAクローンではなく、発現して
いる全てのmRNAを標識したものを用いる。そこで、
プローブ作製のための出発材料としては、精製していな
い全RNAを用いることもできるが、上記のようにして
精製されたポリ(A)+RNAであることがより好まし
い。
【0021】核酸ハイブリダイゼーションによる検出を
行うにあたり、プローブの標識方法と検出方法について
以下に述べる: a)アフィメトリクス社製チップを用いる解析のための
プローブ アフィメトリクス社製チップに添付されたプロトコール
に従い、ビオチン標識したcRNAプローブを用いる。
【0022】b)アレイを用いる解析用のためのプロー
ブ 逆転写酵素反応でポリ(A)+RNAからcDNAを作
製する際に、蛍光色素(例えばCy3、Cy5など)で
標識されたd−UTPなどを加えておくことによりcD
NAを蛍光標識する。このとき、病態モデル動物由来の
ポリ(A)+RNAと対照動物由来のポリ(A)+RNA
をそれぞれ異なる色素で標識しておけば、後のハイブリ
ダイゼーション時には両者を混合して用いることができ
る。
【0023】c)メンブレンフィルターを用いる解析の
ためのプローブ 逆転写酵素反応でポリ(A)+RNAからcDNAを作
製する際に、放射性同位元素(例えば32P、33P)で標
識されたd−CTPなどを加えておくことによりプロー
ブを標識する。
【0024】工程ii) ii)−1.固相化試料 上記工程i)で得られた標識プローブとハイブリダイズ
させるための固相化試料としては、以下のようなものを
挙げることができる。
【0025】a)データベース上のEST(expressed
sequence tag)配列またはmRNA配列をもとに合成し
たアンチセンスオリゴヌクレオチドが固相化された遺伝
子チップ(アフィメトリクス社製)(Lipshutz, R. J.
et al. (1999) Nature genet. 21, suppliment、20-2
4):上記EST配列またはmRNA配列は、病態モデ
ル動物または対照動物と同種の動物由来のものであるこ
とが最も好ましいが、それに限定されず、例えば近縁種
の動物由来のものも使用可能である。
【0026】b)病態モデル動物と同種乃至近縁の動物
の臓器組織、もしくは該臓器組織から単離または株化さ
れた細胞から得られたmRNAより作製されたcDNA
乃至RT−PCR産物が固相化されたアレイまたはメン
ブレンフィルター:これらcDNAまたはRT−PCR
産物は、例えばmRNAの材料とした動物のESTデー
タベース等の配列情報をもとに作製されたプライマーで
逆転写酵素反応やPCRを実施することによりクローン
化されたものである。このcDNAやRT−PCR産物
としては、予め、変異動物および対照動物のそれぞれに
由来するmRNAの間で発現量の異なるmRNAを、サ
ブトラクション法(Diatchenko, L. et al. (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93, 6025-6030)、ディフ
ァレンシャルディスプレイ法(Kato, K. (1995) Nuclei
c Acids Res. 23, 3685-3690)等を利用して選択しなが
ら作製されたものも含む。また、アレイやフィルターは
市販されているもの(例えば、宝酒造(株)社製インテ
リジーンや、クローンテック社製アトラスシステム等)
を使用してもよいし、スポッターを用いて作製すること
もできる(例えば、宝酒造(株)社製、GMS417ア
レイヤー等)。
【0027】この固相化資料にを、上記i)で調製され
たプローブを用いて、同じ条件で別個に、あるいは混合
して同時にハイブリダイズさせる(Brown, P. O. et a
l. (1999) Nature genet. 21, suppliment、33-37)。
【0028】ii)−2. 解析 a)アフィメトリクス社製チップを用いる解析の場合 アフィメトリックス社製チップに添付のプロトコールに
従って、ハイブリダイゼーションおよび解析を行う。
【0029】b)アレイを用いる解析の場合 例えば、宝酒造(株)社の市販アレイを用いる場合、同
社のプロトコールに従いハイブリダイゼーションおよび
洗浄を行って、蛍光シグナル検出機(例えばGMS41
8アレイスキャナー(宝酒造(株)社製)等)で蛍光シ
グナルを検出後、解析を行う。
【0030】c)フィルターを用いる解析の場合 ハイブリダイゼーションは、本発明が属する技術分野に
おいて周知の方法で行われ得る。好ましくは例えば、既
製のフィルター製マイクロアレイを解析するシステム
(例えば、アトラスシステム(クローンテック社製))
を用いてハイブリダイゼーションおよび洗浄を行った
後、解析装置(例えば、アトラスイメージ(クローンテ
ック社製))を用いて解析を行う。
【0031】上記いずれの場合も、同一ロットの固相化
試料に変異動物由来のプローブおよび対照動物由来のプ
ローブをそれぞれハイブリダイズさせる。このとき、使
用するプローブ以外のハイブリダイゼーションの条件は
同じとする。上記i)−2に記載したように、それぞれ
のプローブを異なる蛍光色素で標識した場合は、一つの
固相化試料に両プローブの混合物をハイブリダイズさせ
ることもできる(Brown, P. O. et al. (1999) Nature
genet. 21, suppliment、33-37)。
【0032】解析の結果、変異動物由来のプローブと対
照動物由来のプローブとの間で固相化試料にハイブリダ
イズした量の異なるクローンを同定する。例えば、アフ
ィメトリクス社製チップを用いる解析の場合は、クロー
ンの同定もアフィメトリックス社のプロトコールに従っ
て行うことができる。市販のマイクロアレイまたはフィ
ルターを使用する場合は、同定されたクローンに関する
情報を、例えばGenbank等の遺伝子配列データベースか
ら検索可能である。
【0033】ii)−3. その他の解析方法 上記以外に、特定の組織細胞に特異的に発現する遺伝子
をクローニングする方法としては、例えばサブトラクシ
ョン法(Sive, H. L. and John, T. St. (1988) Nuclei
c Acids Research 16, 10937、Wang, Z., and Brown,
D. D. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 88, 1
1505-11509)、ディファレンシャル・ディスプレイ法
(Liang, P., and Pardee, A. B. (1992) Science 257,
967-971、Liang, P., Averboukh, L.,Keyomarsi, K.,
Sager, R., and Pardee, A. B. (1992) Cancer Researc
h 52, 6966-6968)、ディファレンシャル・ハイブリダ
イゼーション法(John, T. St., and Davis, R. W. Cel
l (1979) 16, 443-452)、また、適当なプローブを用い
たクロスハイブリダイゼーション法("Molecular Cloni
ng, A Laboratory Manual" Maniatis, T., Fritsch, E.
F., Sambrook, J. (1982) Cold Spring Harbor Laborat
ory Press)などを挙げることができる。
【0034】サブトラクションクローニング法: 特定
の細胞に特異的に発現する遺伝子のcDNAを取得し、
該cDNAをプローブとしてcDNAライブラリーをス
クリーニングすることにより遺伝子をクローニングする
方法である。サブトラクションの方法としては、mRN
Aから一本鎖cDNAを作製し、これと別の細胞から得
られたmRNAをハイブリダイズさせた後、ハイドロキ
シアパタイトカラムでハイブリダイズしなかった一本鎖
DNAを単離し、このcDNAからcDNAライブラリ
ーを作製する方法(バイオマニュアルシリーズ3、遺伝
子クローニング実験法、羊土社 (1993)、カレント・プ
ロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー)
や、cDNAライブラリーをまず作製し、このライブラ
リーからヘルパーファージ等を用いて一本鎖DNAを調
製し、この一本鎖DNAと別の細胞から得られたmRN
Aにビオチン標識したものとをハイブリダイズさせた
後、アビジンを利用してハイブリダイズしなかった一本
鎖DNAを単離し、DNAポリメラーゼによって二本鎖
に戻してcDNAライブラリーを作製する方法(Tanak
a, H., Yoshimura, Y., Nishina, Y., Nozaki, M., Noj
ima, H., and Nishimune,Y. (1994) FEBS Lett. 355, 4
-10)などが挙げられる。
【0035】具体的には例えば、まず変異動物および対
照動物のそれぞれについて、目的とする特定の臓器また
は細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)を精製す
る。次いで、対照動物から精製したmRNAを鋳型と
し、逆転写酵素でcDNAを合成する。合成時に[α-
32P]dNTPを加えることでcDNAを標識すること
もできる。標識されたcDNAと鋳型となったmRNA
は安定な二本鎖DNA-RNAハイブリッドを形成して
いるが、アルカリ存在下で高温処理することによりmR
NAのみを分解し一本鎖cDNAを精製する。この一本
鎖cDNAと、変異動物から抽出したRNAとを混合
し、適当な条件下で静置すると、ヌクレオチド配列の相
補性に依存して安定な二本鎖DNA-RNAハイブリッ
ドを形成する。すなわち、変異動物でも発現しているm
RNAを鋳型として合成されたcDNAはハイブリッド
を形成するが、対照動物に特異的に発現しているmRN
Aを鋳型としたcDNAは一本鎖のままである。ハイド
ロキシアパタイトカラムで二本鎖DNA-RNAハイブ
リッドと一本鎖cDNAとを分離し、一本鎖cDNAの
みを精製する。このステップを繰り返すことで目的とし
た細胞に特異的なcDNAを濃縮することができる。濃
縮された特異的cDNAは放射性同位元素などで標識さ
れている場合は、cDNAライブラリーをスクリーニン
グするプローブとして使用することができる。なお、こ
の操作は市販のキット(例えばPCRセレクトcDNA
サブトラクションキット(クロンテック社製)など)を
利用して行うこともできる。
【0036】ディファレンシャル・ディスプレイ法:
Liangらの方法(Science (1992) 257, 967-971)に準
じ、例えば以下のように実施できる。まず対照動物およ
び変異動物各々の臓器または細胞からmRNA(もしく
は全RNA)を抽出し、逆転写酵素を用いてこれを一本
鎖cDNAに変換する。次いで、得られた一本鎖cDN
Aを鋳型とし、適当なプライマーを用いてPCRを行
う。ここで、プライマーとしては、例えばランダムプラ
イマー(任意の配列からなる約10〜12merのプラ
イマー)を用いることができる。あるいは、プライマー
として、アンカードプライマー(anchoured primer)お
よびアービトラリープライマー(arbitraryprimer)各
一種ずつを組み合わせてプライマーとして用いて実施し
てもよく、このようなアンカードプライマーとしては、
オリゴd(T)nVX[n=11〜12;V=グアニ
ン、アデニンまたはシトシン;X=グアニン、アデニ
ン、チミンまたはシトシン]からなるプライマーを、ア
ービトラリープライマーとしては、任意の配列からなる
約10merのランダムプライマーを用いればよい。こ
のようなPCRを、種々のプライマーを組み合わせて行
うことで、より広い範囲の遺伝子群をスクリーニングす
ることが可能となる。続いて、得られたPCR産物をゲ
ル電気泳動し、ゲル上に展開(ディスプレイ)されるm
RNAの発現パターン(フィンガープリント)を比較解
析することにより、いずれかの動物由来の臓器または細
胞で特異的に発現している遺伝子を選択し、そのcDN
A断片を単離することができる。なお、この方法は、市
販されているキット(例えばRNAイメージ・キット
(ジェンハンター社製)など)を用いて行うこともでき
る。
【0037】ディファレンシャル・ハイブリダイゼーシ
ョン法: 目的の細胞から精製したmRNAから作製し
たcDNAライブラリーを、目的の細胞のmRNAから
合成した32P標識cDNAプローブと対照の細胞のmR
NAから作製したプローブとを用いてスクリーニング
し、目的細胞のプローブとのみハイブリダイズするクロ
ーンを選択する方法である。すなわち、例えばまず対照
動物の臓器または細胞から精製したmRNAから常法に
従ってcDNAライブラリーを作製し、そのライブラリ
ーから2組のレプリカフィルターを作製する。次に、対
照動物の臓器または細胞から精製したmRNAを鋳型と
し、逆転写酵素でcDNAを合成する。合成時に[α-
32P]dNTPを加えることでcDNAを標識する。標
識されたcDNAと鋳型となったmRNAは安定な二本
鎖DNA-RNAハイブリッドを形成しているが、アル
カリ存在下で高温処理することによりmRNAのみを分
解し、一本鎖cDNAを精製する。同様にして変異動物
の臓器または細胞から精製したmRNAを鋳型にして32
Pで標識された一本鎖cDNAを作製する。両標識cD
NAをそれぞれプローブとして対照動物ライブラリーか
ら作製したフィルターとハイブリダイゼーションを行
う。X線フィルムのオートラジオグラフィー像を比較
し、対照動物由来cDNAプローブにのみハイブリダイ
ズするクローンを選ぶことにより、対照動物に特異的に
発現する遺伝子(すなわち、変異動物において発現がな
いかまたは低下している遺伝子)をクローニングするこ
とができる。
【0038】クロスハイブリダイゼーション法: 対照
動物または変異動物のいずれかに由来するcDNAライ
ブラリーに対して、適当なDNAをプローブとして、ス
トリンジェンシーの低い条件でハイブリダイゼーション
を行い、陽性クローンを得る。得られた陽性クローンを
プローブとして、対照動物および変異動物のそれぞれに
由来するmRNAに対してノーザンハイブリダイゼーシ
ョンを行い、一方にのみ発現しているクローンを選択す
る。
【0039】このようにして得られたcDNAをプロー
ブとし、対照動物または変異動物由来の臓器または細胞
から抽出したmRNAに対してノーザンブロッティング
を行うことにより、選択した遺伝子のmRNAが、対照
動物由来の臓器または細胞で特異的に発現していること
を確認することができる。かくして、対照動物mRNA
として高発現している遺伝子のcDNAを単離・取得す
ることができる。
【0040】上記のようにして得られたcDNAをプロ
ーブとして用いて、cDNAライブラリーをスクリーニ
ングすることにより、全長cDNAを取得できる。ま
た、得られたcDNAの塩基配列を決定することによ
り、遺伝子産物のポリペプチドをコードする翻訳領域を
決定でき、このポリペプチドのアミノ酸配列を得ること
ができる。
【0041】また、得られたcDNAをプローブとし
て、ゲノミックDNAライブラリーをスクリーニングす
ることにより、染色体遺伝子を単離することができる。
さらに、他の哺乳動物のDNAライブラリーをスクリー
ニングすることにより異種生物由来の相同遺伝子を単離
することができる。このような哺乳動物としては例えば
ラット、マウス、ウサギ、サル、ヒトなどが挙げられ
る。
【0042】cDNAライブラリーおよびゲノミックD
NAライブラリー等のDNAライブラリーは、例え
ば、"Molecular Cloning, A Laboratory Manual"(Mani
atis, T., Fritsch, E.F., Sambrook, J. (1982) Cold
Spring Harbor Laboratory Press)に記載の方法により
調製することができる。あるいは、市販のライブラリー
がある場合はこれを用いてもよい。
【0043】工程iii) 上記工程ii)において同定された遺伝子が、変異動物
における表現型の変化に実際に関与しているか否かは、
さらに以下のような操作を行うことにより確認すること
ができる。
【0044】上記工程ii)の結果、変異動物のある臓
器組織において対照動物の同一臓器組織より多く発現し
ていると判定された遺伝子断片が同定された場合、まず
該遺伝子断片をプローブとして、変異動物の該臓器組織
由来のcDNAライブラリーから、コロニーハイブリダ
イゼーション法等、本発明の技術分野において周知の方
法を用いて完全長cDNAを取得する。
【0045】この完全長cDNAを、対照動物に導入し
て高発現させ、その動物に変異動物と同様の表現型が表
れるか否かを検討する。cDNAを動物個体内で高発現
させるには、得られた完全長cDNAをウイルスベクタ
ーに組み込み、動物に投与する方法が挙げられる。ウイ
ルスベクターによる遺伝子導入方法としては、例えばレ
トロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、
ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイ
ルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス等のDNAウ
イルスまたはRNAウイルスに、TR4あるいは変異T
R4をコードするDNAを組み込んで導入する方法が挙
げられる。このうち、レトロウイルス、アデノウイル
ス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルスを用いた
方法が、特に好ましい。非ウイルス性の遺伝子導入方法
としては、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法
(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン
法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム
法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDN
Aワクチン法、リポソーム法が好ましい。
【0046】例えば、アデノウイルスベクターにより遺
伝子導入する場合、組換えアデノウイルスベクターを構
築する方法として、市販のキット(例えば、アデノウイ
ルス・エクスプレッション・ベクター・キット、宝酒造
(株)社製)を用いる方法を例示できる。
【0047】また、培養細胞レベルでは、完全長cDN
Aをその遺伝子が変異動物で高発現することが判明した
対照動物由来の臓器組織から単離されたかまたは株化さ
れた細胞へ導入し高発現させることにより、変異動物と
同様の表現型の変化が表れるか否か検討したり、逆に、
試験する遺伝子のmRNA配列に対するアンチセンス配
列を有する一本鎖DNAまたはRNAを、変異動物の病
態を反映する表現型の変化が検出可能な臓器組織由来の
細胞へ導入し、該表現型が改善されるか否かを検討する
(Wickstrom, E. ed. (1991) Prospects for antisense
nucleic acidtherapy of cancer and AIDS. Wiley-Lis
s, Inc., New York. Field, A. K. andGoodchild, J.
(1995) Exp. Opin. Invest. Drugs. 4, 799-821)こと
もできる。
【0048】完全長cDNAを動物または細胞に導入す
るにあたっては、該cDNAを適当なプロモーター、お
よび形質発現に関わる配列を導入されている適当なベク
ターDNAに組み込み、該ベクターで宿主細胞を形質転
換させる。脊椎動物細胞の発現プロモーターとしては、
通常発現しようとする遺伝子の上流に位置するプロモー
ター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位、
および転写終結配列等を有するものを使用でき、さらに
これは必要により複製起点を有してもよい。該発現ベク
ターの例としては、SV40の初期プロモーターを有す
るpSV2dhfr(Subramani, S. et al. (1981) Mo
l. Cell. Biol. 1, 854-864)等が挙げられるが、これ
に限定されない。該発現ベクターは、ジエチルアミノエ
チル(DEAE)−デキストラン法(Luthman, H. and
Magnusson, G. (1983) Nucleic Acids Res, 11, 1295-1
308)、リン酸カルシウム−DNA共沈殿法(Graham, F.
L. and van der Eb, A. J. (1973) Virology 52, 456-
457)、および電気パルス穿孔法(Neumann, E. et al.
(1982) EMBO J. 1, 841-845)などにより細胞に取り込
ませることができ、かくして所望の形質転換細胞を得る
ことができる。
【0049】また、遺伝子操作により、対照動物で試験
する遺伝子が高発現するように、トランスジェニック動
物を作製し、病態が出現するか否かを検討することも可
能である。逆に、変異動物において試験する遺伝子を破
壊したノックアウト動物を作製し、その病態が改善され
るか否かを検討することも可能である。トランスジェニ
ック動物は、動物から受精卵を取得し、遺伝子導入の
後、偽妊娠動物に移植し発生させることにより得ること
ができ、その手順については、既に確立されている方法
に従うことができる[発生工学実験マニュアル(野村達
次 監修、勝木元也 編、1987年刊)、マウス胚の操作
マニュアル("Manipulating the Mouse Embryo, A Labo
ratory Manual" B. Hogan, F. Costantini and E. Lacy
著、山内一也、豊田裕、森庸厚、岩倉洋一郎 訳、1989
年刊)、特公平5−48093号公報等参照]。具体的
には、例えばマウスの場合、まず雌マウス(例えばKK
/San)に排卵誘起剤を投与後、同系統の雄と交配
し、翌日雌マウスの卵管より前核受精卵を採取する。次
いで、導入するDNA断片溶液を微小ガラス管を用いて
受精卵の前核に注入する。なお、導入する遺伝子を動物
細胞内で発現させるための、プロモーターやエンハンサ
ー等の調節遺伝子としては、導入された動物の細胞内で
機能するものであればいずれも使用することができる。
DNAを注入した受精卵は、偽妊娠仮親雌マウス(Sl
c:ICR等)の卵管に移植し、約20日後に自然分娩
又は帝王切開により出生させる。このようにして得られ
た動物が導入した遺伝子を保持していることを確認する
方法としては、該動物の尾等からDNAを抽出し、該D
NAを鋳型として導入遺伝子に特異的なセンスおよびア
ンチセンスプライマーを用いたPCRを行う方法、該D
NAを数種の制限酵素で消化後ゲル電気泳動し、ゲル中
のDNAをニトロセルロース膜やナイロン膜等にブロッ
ティングしたものについて導入遺伝子の全部または一部
を標識したものをプローブとしたサザンブロット解析を
行なう方法等を挙げることができる。
【0050】一方、上記工程ii)の結果、変異動物の
ある臓器組織において対照動物の同一臓器組織より発現
量が少ない(発現していない場合も含む)と判定された
遺伝子断片が同定された場合も、まず該遺伝子断片をプ
ローブとして、変異動物の該臓器組織由来のcDNAラ
イブラリーから、コロニーハイブリダイゼーション法
等、本発明の技術分野において周知の方法を用いて完全
長cDNAを取得する。
【0051】そして、この完全長cDNAを、変異動物
に導入して高発現させ、その動物の表現型の変化が復帰
するか否か(例えば、表現型の変化が疾患である場合
は、症状が改善するか否か)を検討する。もしくは、培
養細胞レベルでは、完全長cDNAをその遺伝子が対照
動物で発現することが判明した変異動物由来の臓器組織
から単離されたかまたは株化された細胞へ導入し高発現
させることにより、表現型の変化を反映する現象が復帰
するか否かを検討したり、逆に、試験する遺伝子のmR
NA配列に対するアンチセンス配列を有する一本鎖DN
AまたはRNAを、変異動物において表現型の変化を検
出可能な臓器組織に対応する対照動物の臓器組織由来の
細胞へ導入し、変異動物と同様の表現型の変化が表れる
か否かを検討する。遺伝子導入は前述の方法に従って実
施することができる。また、遺伝子操作により、変異動
物で試験する遺伝子が高発現するように、トランスジェ
ニック動物を作製し、病態が改善されるか否かを検討す
るか、または対照動物において試験する遺伝子を破壊し
たノックアウト動物を作製し、その病態が出現するか否
かを検討する。
【0052】このようにして、工程ii)で同定された
遺伝子が、着目した病態に実際に関与するか否かを検討
し、その結果、変異動物において過剰発現しており、か
つ対照動物に高発現させると同様の病態を引き起こす遺
伝子、または、対照動物では発現しているのに変異動物
においては発現が少ないかまたは発現しておらず、かつ
変異動物に高発現させると病態が改善される遺伝子は、
該病態の原因遺伝子の一つである可能性が高く、該病態
の効果的な治療法開発の標的となる。
【0053】下記実施例に示すように、本発明の方法に
従って、先天性低脂血症マウスで発現が少ないことが判
明した遺伝子をアデノウイルスベクターに組み込み、該
組換えアデノウイルスベクターを有する組換えアデノウ
イルスを、該低脂血症マウスに感染させ、該組換えアデ
ノウイルスベクターが保持する遺伝子を発現させると、
血中中性脂肪濃度の上昇が観察される。本発明の方法に
より疾患原因遺伝子の検索が可能であることは、この事
実から明らかである。
【0054】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0055】
【実施例1】 マウス肝臓からの全RNAの抽出および
mRNAの精製 KKマウス(高脂血症マウス。日本クレア社より入手)
およびKK/Sanマウス(低脂血症変異マウス。白木
ら、第7回糖尿病動物研究会(1993年))の肝臓
(liver)から全RNAの抽出を行った。18週齢のK
KマウスおよびKK/Sanマウスを解剖してそれぞれ
臓器を摘出し、速やかに液体窒素内に入れ急速冷凍した
後、使用時まで−80℃に保存した。臓器0.5gに対
し約15mlのTRIzol試薬(ギブコ・ビーアール
エル社製)を加え、超高速ホモジナイザー(ポリトロ
ン。キネマティカ社製)を用いて氷上でホモジナイズを
行った(目盛6で2分間)。これを室温で5分間静置し
た後、3mlのクロロホルムを加え、15秒間激しく転
倒混和した。再び室温で3分間静置してから、1200
0×g、4℃で15分間遠心分離した。遠心後、上層を
回収し、0.8容量のリボヌクレアーゼ不含イソプロピ
ルアルコールを加えて混和した。これを室温で10分間
静置後、12000×g、4℃で10分間遠心分離した
後、上清を除去してリボヌクレアーゼ不含70%エタノ
ールを加えた。これを12000×g、4℃で10分間
遠心分離し、上清を除去して、沈殿を乾燥させることに
より、全RNAを得た。この全RNA試料は、使用時ま
で、−80℃に保存した。
【0056】上記のようにして得られた全RNAを、m
RNA精製キット(アマシャム・ファルマシア社製クイ
ックプレップmRNA精製キット)添付の抽出緩衝液
3.3mlに懸濁し、以下、該精製キットを添付プロト
コールに従って用いることによりmRNAの精製を行っ
た。
【0057】
【実施例2】 チップ解析 チップ解析は、アフィメトリクス社の発現解析技術マニ
ュアル(Expression Analysis Technical Manual)に従
って、以下に記載した方法により行った。
【0058】a)cDNAの合成 上記実施例1記載の方法で得られた各2μgのmRNA
を出発材料として、上記マニュアル記載に従ってcDN
Aの合成および精製を行った(ファーストストランド合
成の反応条件は、37℃、1.5時間とした)。
【0059】b)cRNAの合成 上記のようにして得られたcDNA 1μgを鋳型とし
て、上記マニュアル記載に従ってcRNAの作製を行っ
た(反応条件は37℃、4.5時間とした)。この操作
で得られた20μgのcRNAを断片化し、うち15μ
g相当をプローブ溶液に加えた。
【0060】c)プローブ溶液の作製 プローブ溶液に加えるコントロールcRNA作製用のプ
ラスミドDNAを保持する形質転換大腸菌は、アメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)か
ら購入した(pglks-bioB(ATCC87487)、pglks-bioC(A
TCC87488)、pglks-bioD(ATCC87489)およびpglks-cre
(ATCC87490))。これら形質転換菌はそれぞれ200
mlの100μg/mlのアンピシリンを含むTB培地
(1リットルあたり12gのバクトトリプトン、24g
のバクトイーストエキストラクト、2.3gのKH2
4、12.5gのK2HPO4および4mlのグリセロ
ールを含む)中で培養した後、アルカリ法にてプラスミ
ドを回収した。これらプラスミドは、さらに塩化セシウ
ム密度勾配超遠心法により精製された。以下、コントロ
ールcRNAの作製方法およびプローブ溶液の組成とも
に上記マニュアル記載に従った。
【0061】d)ハイブリダイゼーション 上記のようにして得られたプローブとハイブリダイズさ
せるチップとして、アフィメトリクス社製マウス19K
セット(Murine 19K set:19kA、19kBおよび1
9kC)およびマウス11Kセット(Murine 11K set:
11kAおよび11kB)を用いた。ハイブリダイゼー
ションとその後の洗浄操作は上記マニュアル記載に従っ
て行った(ハイブリダイゼーション条件は、45℃、1
8−22時間とした)。
【0062】e)解析 上記d)でハイブリダイゼーション操作を行ったチップ
のデータ解析も、上記マニュアル記載に従って行った。
KK/Sanマウスのデータを基準にしてKKマウスで
得られたデータと比較検討した。その結果を図1に示し
た(19kBチップのデータ)。図中、「Accession Nu
mber」はTIGRデータベースにおける登録番号を、
「Fold Change」はKK/Sanを基準としたKKマウス
の相対的発現量を表し、例えばある遺伝子のFold Chang
e値が−10のとき、その遺伝子はKKマウスにおいて
KK/Sanマウスの10倍多く発現していることを示
す。KKマウスでKK/Sanマウスより高発現してい
るものとして、登録番号TC34043の遺伝子が同定
された(KKマウスにおける発現量がKK/Sanマウ
スの35.6倍)。データベース解析より、ESTクラ
スターは配列表の配列番号1に示される配列であること
が判明し、この配列はGenBankデータベースに配
列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるマウ
ス・アンジオポエチン5をコードするヌクレオチド配列
として登録されているもの(登録番号:AF162224)と同
一であった。
【0063】
【実施例3】 ゲノム解析 上記実施例2で同定された遺伝子のゲノミックDNAの
第6エクソンとその周辺配列を基にして、下記の各配
列: 5'- catacttgta atcacagcac ttcgg -3'(LP33:配
列表の配列番号3); 5'- gtcagtcagg tcctgatctg tagtt -3'(LP34:配
列表の配列番号4);および 5'- cacatacacc atcaacatag tgagg -3'(LP35:配
列表の配列番号5) からなるオリゴヌクレオチドプライマーを化学合成し
た。
【0064】一方、文献(Archives of Virology 89, 1
13-130 (1986))に従ってKK/SanマウスおよびK
Kマウスの肝臓よりそれぞれゲノムDNAを調製した。
KKマウスまたはKK/SanマウスのゲノムDNA
500ng、プライマー(LP33およびLP35)各
25pmol、rTaq DNAポリメラーゼ(東洋紡
(株)社製)2.5単位、10×緩衝液(rTaq D
NAポリメラーゼに添付、10倍希釈時の終濃度は、5
0mM 塩化カリウム、10mMトリス−塩酸(pH
8.3)、1.5mM 塩化マグネシウムおよび0.1
% トライトンX−100)5μl、dATP、dCT
P、dGTP、dTTP 各10pmol(=dNT
P:rTaq DNAポリメラーゼに添付)、および非
特異的増幅防止用抗体試薬(TaqStart Antibody:クロ
ンテック社製)3.5pmolを混合し、蒸留水で全量
50μlとしてPCRを行った(温度条件:94℃で4
5秒、60℃で45秒、72℃で1分30秒を30サイ
クル。ジーンアンプPCRシステム9700(PEバイ
オシステムズ社製)を使用)。
【0065】これらPCR産物の一部を0.8%アガロ
ースゲルにて電気泳動し、それぞれ目的の長さの断片
(第6エクソンとその周辺を含む約0.6kbpの断
片)が増幅されたことを確認した。このPCR産物を精
製キット(QIAquick PCR purification kit(キアジェ
ン社製))を用いて精製し、得られたDNAを吸光度計
にて定量した。50ngのPCR産物に対して3.2p
molのプライマー(LP33、LP34またはLP3
5)および8μlのシークエンシング反応用試薬(ビッ
グダイ・ターミネーター・サイクル・シークエンスFS
レディ・リアクション・キット(PEバイオシステムズ
社製)を加え、蒸留水で全量20μlとしてダイターミ
ネータ法によりサイクルシークエンスを行い(温度条
件:96℃で10秒、50℃で5秒、60℃で4分を2
5サイクル)、ヌクレオチド配列解析を行った(ABI
3700シークエンサー(PEバイオシステムズ社製)
を使用)。得られた配列をDNAシーケンスソフト(Se
quencher(ジーンコーズ社製))を用いて編集した。
【0066】このようにして得られたヌクレオチド配列
を比較した結果、KK/SanマウスとKKマウスにつ
いて発現の著しく異なる遺伝子の第6エクソンの、KK
/Sanマウス側において4個(aaga)の挿入が認めら
れた(図2)。この挿入によりフレームシフトが生じる
ことになり、この遺伝子がコードずるタンパク質に関し
ては、KK/Sanマウスではオープンリーディングフ
レームがKKマウスの場合より110アミノ酸残基分短
くなり、少なくとも完全長のものは産生されないことが
判明した。また、この遺伝子の他のエクソンについても
同様に検索を行ったが、KK/SanマウスとKKマウ
スとの間で相違は見られなかった。
【0067】
【参考例1】 cDNAのクローニング マウス肝臓を材料として、下記の方法に従って実施例2
で同定された配列表の配列番号1に示されるヌクレオチ
ド配列を有するcDNAを取得した。
【0068】a)マウス肝臓からのmRNAの抽出 9週齢のKKマウス(雄、浜松医科大学付属動物実験施
設より入手)2匹より解剖して肝臓を摘出後、速やかに
液体窒素中に入れて急速凍結させた。この重量を測定
し、3.1gを乳鉢上で液体窒素存在下で粉砕した。
5.5M グアニジンチオシアネート(以下GT)緩衝
液(5.5M グアニジンチオシアネート、25mM
クエン酸ナトリウム(pH7.0)、0.5% サルコ
シル、0.2M β−メルカプトエタノール)(30m
l)を加え、乳棒で破砕し、新たにGT緩衝液(10m
l)を加え、乳棒で破砕後、溶解液を回収した。また、
GT緩衝液(20ml)で乳鉢を洗浄しこの溶液も回収
した。36mlの回収液を3000rpm、10℃で1
0分間遠心後、上清を新しいチューブに移し、各々18
ゲージの注射針で20回吸引排出を繰り返した。次にセ
シウム・トリフルオロ酢酸(CsTFA)を用いた密度
勾配遠心による全RNAの分離を行った。CsTFA原
液(19ml)をリボヌクレアーゼ不含再蒸留水(1
8.924ml)で希釈し、この希釈液(6.18m
l)を6本の13PA(ベックマン製)チューブに入
れ、先に回収したサンプル(1チューブあたり5.2m
l)を重層した。このものをスイングローター(日立工
機(株)社製P40ST)を用い超遠心機(日立SCP
70H型)で30000rpm(約125000g)、
20℃で20.5時間遠心した後、上清を除去して得ら
れたペレットをmRNA精製キット(アマシャム・ファ
ルマシア社製クイックプレップmRNA精製キット)添
付の抽出緩衝液 3.3mlに懸濁した。mRNAの精
製は該精製キットを添付プロトコールに従って用いるこ
とにより行った。このようにして得られた5μgのmR
NAを鋳型とし、cDNAライブラリー作製キット(ス
トラタジーン社製ZAPエクスプレス・cDNA・ギガ
パックIIIゴールド・クローニングキット)をその添
付プロトコールに従って用いることにより、λファージ
cDNAライブラリーを作製した。
【0069】b)cDNAライブラリーの1次スクリー
ニング 上記a)記載の方法で得られたλファージcDNAライ
ブラリーを感染させた大腸菌を、直径9cmの培養シャ
ーレに作成した寒天培地プレート(NZY培地:0.5
% 塩化ナトリウム、0.2% 硫酸マグネシウム7水
和物、0.5%イーストエキストラクト、1% カゼイ
ン加水分解物、1.5% 寒天)に、プレート1枚あた
り1.8×105個のプラークが形成されるように分散
させ、37℃で8時間培養した。このプラーク形成され
た寒天培地の14ヶ所について、250μl用の広径ピ
ペットチップ(RAININ社製)の底部を用いて寒天
培地をプラークごと抜き取り、それら寒天培地片をそれ
ぞれ100μlのSM緩衝液(0.1M 塩化ナトリウ
ム、8mM 硫酸マグネシウム、50mM トリス−塩
酸(pH7.5)、0.01% ゼラチン)の入ったプ
ラスチック遠心管に入れ、ボルテックスミキサーを用い
て激しく混濁させてから4℃で1〜2時間放置した後、
12000×gで5分間遠心分離して上清を回収し、フ
ァージ懸濁液とした。
【0070】一方、PCRに用いるプライマーとして、
下記のヌクレオチド配列: 5'- gactgatcaa atatgttgag ctt -3'(プライマー1:
配列表の配列番号6); および 5'- tgcatccaga gtggatccag a -3'(プライマー2:配
列表の配列番号7) を有するオリゴヌクレオチドを、自動DNA合成機(モ
デル394:(株)パーキンエルマージャパン・アプラ
イドバイオシステムズ事業部製)を用い、ホスホアミダ
イト法(Matteucci, M. D., and Caruthers, M. H. (19
81) J. Am. Chem.Soc. 103, 3185-3191)に従って合成
した。
【0071】上記のようにして得られたファージ懸濁液
5μlを、2.5μlの10×PCR用緩衝液(宝酒造
(株)社製のTaqポリメラーゼに添付)、4μlのd
NTP混液(各2.5mM、宝酒造(株)社製のTaq
ポリメラーゼに添付)、各1μlの各7.5μMに調整
した上記プライマー1および2、0.25μlのTaq
ポリメラーゼ(宝酒造(株)社製)、11.25μlの
滅菌水と混和し、まず94℃で5分加熱した後、引き続
き94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒の
温度サイクルを30回繰り返し、最後に72℃で7分間
保温してから、4℃に保存した。反応物は4%のアガロ
ースゲル(NuSieve 3:1アガロース(FMC
バイオプロダクツ社製)で調製した)で電気泳動して、
特異的断片の増幅を解析した。このようにして14のフ
ァージ懸濁液をスクリーニングした結果、目的のcDN
Aの断片が特異的に増幅される2つの陽性サンプルを得
た。
【0072】c)2次スクリーニング マウスゲノムDNA(クローンテック社製)100ng
を鋳型にして上記b)に記載した条件でPCRを行い、
アガロース電気泳動を行って増幅されたDNA断片を回
収した。このDNA断片を鋳型として、マルチプライム
DNAラベリングシステム(アマシャム・ファルマシア
社)を用いて32Pで標識されたDNA断片を生成する反
応を行った後、反応液をニックカラム(アマシャム・フ
ァルマシア社製)に注入した。このカラムに400μl
のTE(10mM トリス−塩酸(pH7.5)、1m
M EDTA)を流して一回洗浄し、さらに400μl
のTEを流して溶出液を回収した。この溶出画分全量を
以下の2次スクリーニングに標識プローブとして用い
た。
【0073】一方、上記b)で陽性と判定されたファー
ジ懸濁液をSM緩衝液で100倍希釈し、そのうち2μ
l分のファージを感染させた大腸菌を、直径9cmの培
養シャーレに作成した寒天培地プレートに分散させ、3
7℃で8時間培養した。このプラーク形成された寒天培
地上に、シャーレ内径に合わせた円形のナイロンメンブ
レン(アマシャム・ファルマシア社製、ハイボンドN
+)をのせて、4℃にて5分間放置することによりプラ
ークを移しとった。18Gの注射針を用いてメンブレン
の3ヶ所を寒天培地まで貫通することにより位置合わせ
用の目印をつけた後、メンブレンを剥がしてアルカリ溶
液(1.5M 塩化ナトリウム、0.5M水酸化ナトリ
ウム)に2分間、次いで中和溶液(1.5M 塩化ナト
リウム、0.5M トリス−塩酸(pH8.0))に5
分間、さらに2×SSC、0.2M トリス−塩酸(p
H7.5)を含む溶液に30秒間浸した後、室温で完全
に風乾させた。
【0074】このメンブレンを20mlのハイブリダイ
ゼーション溶液(ExpressHyb Hybridization Solutio
n、クローンテック社製)中で68℃、1時間インキュ
ベーション(プレハイブリダイゼーション)した後、標
識プローブを含む8mlのハイブリダイゼーション溶液
に交換して68℃、6時間インキュベーションした。次
いで、このメンブレンを2×SSC、0.05% SD
Sを含む溶液で、室温下、15分間緩やかに振盪しなが
ら洗浄する操作を3回繰り返した後、さらに0.1×S
SC、0.1% SDSを含む溶液で50℃、30分間
洗浄する操作を3回繰り返した。
【0075】洗浄後のメンブレンについてオートラジオ
グラフィーを行い、陽性と認められた位置の元のプラー
クを寒天培地から回収して、そのファージ懸濁液につい
て上記b)に記載した条件でPCRを実施した結果、陽
性プラーク試料10個中6個においてDNA断片の特異
的増幅が認められた。
【0076】このうちもっとも強く増幅が認められた試
料のファージ懸濁液について、ZAPエクスプレス・c
DNA・ギガパックIIIゴールド・クローニングキッ
ト(ストラタジーン社製)に添付されたヘルパーファー
ジおよび宿主菌を用いて、該キットに添付のプロトコー
ルに従ってインビボ切り出し(In Vivo Excision)を行
い、寒天培地上にファージミドを含む大腸菌コロニーを
形成させた。これらのコロニーを単離してそれぞれファ
ージミドを抽出し、上記b)に記載の方法でPCRを実
施した結果、DNA断片の特異的増幅が見られたコロニ
ーを選択、培養し、1.6kbpのcDNAインサート
を有するファージミド#55−1を保持する形質転換大
腸菌E.coli pBK/m55−1 SANK 7
2199を単離した。
【0077】得られたファージミド#55−1に挿入さ
れているcDNAの全ヌクレオチド配列を(株)パーキ
ンエルマージャパン・アプライドバイオシステムズ事業
部製ABIプリズム377DNAシークエンサー、ある
いは3700DNAシークエンサーを用いて解析した結
果、配列表の配列番号1に示される配列(GenBan
kデータベース中のマウス・アンジオポエチン5(登録
番号:AF162224)と同一)であることを確認した。な
お、このファージミド#55−1を保持する形質転換大
腸菌E.coli pBK/m55−1 SANK 7
2199は、1999(平成11)年11月19日付で
工業技術院生命工学工業技術研究所に国際寄託され、受
託番号FERM BP−6940が付された。
【0078】
【参考例2】 ノーザンブロット解析 a)マウス臓器からの全RNAの抽出 参考例1で得られたcDNAの発現している組織を調べ
るため、また、チップ解析から得られた結果を確認する
目的で、ノーザンブロット解析を実施した。まず、KK
マウス(高脂血症マウス)およびKK/Sanマウスの
精巣(testis)、脾臓(spleen)、腎臓(kidney)、小
腸(small intestine)、肝臓(liver)および脳(brai
n)から全RNAの抽出を行った。18週齢のKKマウ
スおよびKK/Sanマウスを解剖してそれぞれ各臓器
を摘出後、速やかに液体窒素内に入れ急凍した後−80
℃に保存した。臓器0.5gに対し約15mlのTRI
zol試薬(ギブコ・ビーアールエル社製)を加え、超
高速ホモジナイザーポリトロン(キネマティカ社製)を
用いて氷上でホモジナイズを行った(目盛6で2分
間)。これを室温で5分間静置した後、3mlのクロロ
ホルムを加え、手で15秒間激しく転倒混和した。再び
室温で3分間静置してから、12000×g、4℃で1
5分間遠心分離した。遠心後、上層を回収し、0.8容
量のリボヌクレアーゼ不含イソプロピルアルコールを加
えて混和した。これを室温で10分間静置後、1200
0×g、4℃で10分間遠心分離した後、上清を除去し
てリボヌクレアーゼ不含70%エタノールを加えた。こ
れを12000×g、4℃で10分間遠心分離し、上清
を除去して、沈殿を乾燥させてから、−80℃に保存し
た。
【0079】b)全RNAの電気泳動およびブロッティ
ング 回収した各臓器の全RNAをリボヌクレアーゼ不含再蒸
留水で4μg/μlに調整した後、このRNA液5μl
とRNA試料緩衝液(1.15×MOPS緩衝液(1×
MOPS緩衝液は20mM MOPS、5mM 酢酸ナ
トリウム、1mM エチレンジアミン四酢酸(以下「E
DTA」という)を含む)、2.4Mホルムアルデヒ
ド、57% ホルムアミド、7% グリセロール、18
μg/ml ブロモフェノールブルー、18μg/ml
キシレンシアノール、0.18mM EDTA)16
μlを混合し、65℃で10分間保温した後、氷上で5
分間放置した。この試料液全量を、1.17%ホルマリ
ンを含む電気泳動用アガロースゲル(1×MOPS緩衝
液、1.17% アガロース(高強度、分析用、バイオ
ラッド社製)、0.66M ホルムアルデヒド)の1つ
のウェルへ注入し電気泳動した。電気泳動は、500n
g/ml 臭化エチジウムの入った1×MOPS緩衝液
の入ったサブマリン電気泳動槽中、50Vで約1時間通
電した後、さらに100Vで約1.5時間通電すること
により行った。電気泳動終了後、アガロースゲル中のR
NAをキャピラリートランスファー法(Maniatis, T. e
t al.(1982) in "Molecular Cloning A Laboratory Man
ual" Cold Spring Harbor Laboratory, NY)に従ってナ
イロンメンブレン(ハイボンドN+、アマシャム・ファ
ルマシア社製)に一晩かけて転写した(転写用溶液は2
0×SSCを使用した)。このメンブレンを2×SSC
で5分間洗浄し、風乾させ、クロスリンク用紫外線照射
装置(スペクトロリンカーXL−1000、トミー精工
(株)社製)で紫外線を照射(1200J/cm2)し
てRNAを固定した。
【0080】c)プローブの調製 参考例1のb)で合成したプライマーを用い、サーマル
サイクラー(ジーンアンプPCRシステム9600、
(株)パーキンエルマージャパン・アプライドバイオシ
ステムズ事業部製)を使用して以下の条件でPCRを行
った。まずプライマー(終濃度各0.5μM)とツイー
ン20(シグマ社製、終濃度0.1%)に滅菌水を加え
て7.5μlとした後、2×PCRソルーション・プレ
ミックスTaq(宝酒造(株)社製:0.05単位/μ
l Taqポリメラーゼ、0.4mM dNTPs、2
0mM トリス−塩酸(pH8.3)、100mM 塩
化カリウム、3mM 塩化マグネシウムを含む)を7.
5μl添加した。さらにマウスゲノムDNA(クローン
テック社製)を1μl(100ng相当)加え、反応液
を調製した。この反応液を、まず94℃で3分間加熱し
た後、94℃で30秒、55℃で1分、72℃で45秒
の温度サイクルを35回繰り返してから、4℃で保温し
た。
【0081】このPCR後の反応液1μlをとり、TA
クローニングキット(デュアルプロモーターバージョン
A、インビトロジェン社製)を添付のプロトコールに従
って用いて、増幅されたDNA断片をプラスミドベクタ
ーにクローニングした。この組換えプラスミドベクター
でコンピテント大腸菌を形質転換し、50μg/mlの
アンピシリンを含むLB寒天培地上で培養した。その結
果アンピシリン耐性を示して生育してきた大腸菌コロニ
ーを選択して、4mlの50μg/mlのアンピシリン
を含む液体LB培地で37℃で一晩培養した。このうち
3.5mlの培養液からプラスミド自動抽出装置(PI
−50、クラボウ社製)を使用してプラスミドDNAを
回収した。得られたプラスミドDNAについてヌクレオ
チド配列解析を行い、目的のPCR産物が挿入されてい
たプラスミドを以下の操作に用いた。
【0082】選択されたプラスミドDNA 8μgを、
制限酵素EcoRIで消化した後、フェノール/クロロ
ホルム抽出、エタノール沈殿を行い、得られた沈殿を滅
菌水10μlに溶解した。この溶液に色素液(0.25
% ブロモフェノールブルー、0.25% キシレンシ
アノール、15% フィコール(タイプ400))を2
μl加えて、全量をポリアクリルアミドゲル電気泳動
(ゲル濃度8%、100V、室温、3時間)した。電気
泳動後のゲルを臭化エチジウムで染色した後、紫外線照
射下で目的のDNAに相当するバンド(約200bp、
配列表の配列番号11)部分のゲル片を剃刀刃で切り取
り、微量遠心チューブに移して粉砕した。このものに3
00μlの溶出緩衝液(0.5M 酢酸アンモニウム、
10mMEDTA(pH8.0)、0.1% SDS)
を加え、37℃で一晩保温した後、フェノール/クロロ
ホルム抽出を2回、エタノール沈殿を1回行って、沈殿
を滅菌水20μlに溶解した。
【0083】得られたDNA溶液5μlについて、参考
例1のc)記載の方法で、32Pで標識されたプローブ
(400μl)を調製した。
【0084】d)ハイブリダイゼーション 上記b)で作成したメンブレンを20mlのハイブリダ
イゼーション溶液(ExpressHyb Hybridization Solutio
n、クローンテック社製)中に入れて68℃で1時間イ
ンキュベーション(プレハイブリダイゼーション)した
後、32P標識プローブを含む20mlのハイブリダイゼ
ーション溶液中で、68℃で一晩インキュベーションし
た。その後、メンブレンを2×SSC、0.05%SD
Sを含む溶液中、室温で20分間、3回洗浄し、さらに
0.1×SSC、0.1% SDSを含む溶液中、50
℃で20分間、3回洗浄してから、オートラジオグラフ
ィーを行った。
【0085】その結果、検出した遺伝子の発現は肝臓の
みでみられ、またその発現量はKKマウス(高脂血症マ
ウス)よりもKK/Sanマウス(低脂血症マウス)で
著しく低下していることが明らかとなった(図3)。こ
の結果はチップ解析で得られた結果と相関するものであ
った。
【0086】上記実験系において、例えば被検物質存在
下または非存在下で培養したKKマウス初代培養肝細胞
からRNA試料を調製し、以下同様の操作を行うことに
より、被検物質の高脂血症の治療または予防剤としての
効果を調べることができる。この実験において検出され
る遺伝子の発現量を低下させるような被検物質は高脂血
症の治療または予防剤となり得る。多検体処理を行う場
合には、電気泳動を省略してドットブロットやスロット
ブロットを行うこともできる。
【0087】
【参考例3】 ヒトcDNAのクローニング 1)プローブの調製 配列表の配列番号1に示されるマウスcDNAに対応す
るヒトcDNAを取得するため、下記のヌクレオチド配
列: 5'- tcctctagtt atttcctcca g -3'(配列表の配列番号
8);および 5'- tggtttgcca gcgatagatc -3'(配列表の配列番号
9) を有するオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。
【0088】次に、ヒトゲノムDNA(ベーリンガーマ
ンハイム社製、200mg/ml)1μl、Taqポリ
メラーゼ(rTaq、宝酒造(株)社製、5単位/μ
l)1μl、10×PCR用緩衝液(宝酒造(株)社
製)10μl、dNTP混合液(各2.5mM)16μ
l、20μMのプライマー各2μl、および滅菌水68
μlを混合した。この反応液を、94℃で5分間加熱し
た後、引き続き94℃で30秒、55℃で30秒、72
℃で30秒の温度サイクルを30回繰り返し、最後に7
2℃で10分間保温してから、4℃に保存した。この反
応液を2% アガロースゲルにて電気泳動した後、増幅
されたDNAバンド部分のゲルを切り出して精製した。
このようにして得られたDNAをDNA標識キット(Bc
aBestラベリングキット、宝酒造(株)社製)を用いて
32Pで標識したものを下記2)においてプローブとして
用いた。
【0089】2)cDNAライブラリーの1次スクリー
ニング 市販のヒト肝臓由来cDNAライブラリー(Human Live
r 5'-STRETCH cDNA Library、クローンテック社製)の
うち、1×106プラークのDNAをナイロンメンブレ
ンに固定した。すなわち、cDNAライブラリーを感染
させた大腸菌を直径9cmの培養シャーレに作成した寒
天培地プレート20枚に、1枚あたり5×104個のプ
ラークが形成されるように分散させ、37℃で8時間培
養した。このプラーク形成された寒天培地上に、シャー
レ内径に合わせた円形のナイロンメンブレン(アマシャ
ム・ファルマシア社製、ハイボンドN+)をのせて、4
℃にて5分間放置することによりプラークを移しとっ
た。18Gの注射針を用いてメンブレンの3ヶ所を寒天
培地まで貫通することにより位置合わせ用の目印をつけ
た後、メンブレンを剥がしてアルカリ溶液(1.5M
塩化ナトリウム、0.5M 水酸化ナトリウム)に2分
間、次いで中和溶液(1.5M 塩化ナトリウム、0.
5M トリス−塩酸(pH8.0))に5分間、さらに
2×SSC、0.2M トリス−塩酸(pH7.5)を
含む溶液に30秒間浸した後、室温で完全に風乾させ
た。次いで、クロスリンク用紫外線照射装置(スペクト
ロリンカーXL−1000、トミー精工(株)社製)で
紫外線を照射(1200J/cm2)してDNAを固定
した。
【0090】このようにして調製されたメンブレンを、
上記1)で得られた標識プローブを含むハイブリダイゼ
ーション溶液(ExpressHyb solution、クローンテック
社製)中で65℃で一晩インキュベーションした。その
後、メンブレンを2×SSC、0.05% SDSを含
む溶液で15分ずつ3回、室温で洗浄してから、さらに
0.1×SSC、0.1% SDSを含む溶液で30分
ずつ3回、50℃で洗浄した後、オートラジオグラフィ
ーを行った。
【0091】その結果判明した陽性のシグナルの位置に
あったプラークを、上記寒天培地プレートから培地ごと
採取し、それぞれ100μlのSM緩衝液(0.1M
塩化ナトリウム、8mM 硫酸マグネシウム、50mM
トリス−塩酸(pH7.5)、0.01% ゼラチ
ン)中に入れてよく懸濁してから4℃で2時間放置した
後、12000×gで5分間遠心分離して上清を回収し
た。
【0092】このようにして得られた1次陽性ファージ
液を再び大腸菌に感染させたものを、直径9cmの培養
用シャーレに作製した寒天培地上に、シャーレ1枚あた
り500個のプラークが形成されるように培養し、上記
の手法を繰り返すことにより2次スクリーニングを行っ
た。得られた2次陽性クローンファージを大腸菌株BM
25.8(クローンテック社製)に感染させたものを寒
天培地上で37℃で培養して、ファージミドを含む大腸
菌コロニーを形成させた。コロニーを単離し、液体培地
で少量培養してファージミドを抽出し、制限酵素消化に
よる挿入断片の解析を行った結果、1.6kbpの挿入
断片を有する、クローン#h5−1を有する大腸菌E.
coli pTrip/h55−1 SANK 722
99を単離した。このクローンの挿入断片のヌクレオチ
ド配列を解析した結果、GenBankにヒト・アンジ
オポエチン−5として登録されているのcDNA配列
(登録番号:AF152562)と一致した。なお、このファー
ジミド#h5−1を保持する形質転換大腸菌E.col
i pTrip/h55−1 SANK 72299
は、1999(平成11)年11月19日付で工業技術
院生命工学工業技術研究所に国際寄託され、受託番号F
ERM BP−6941が付された。
【0093】
【実施例4】 組換えアデノウイルスの作製および培養
細胞における発現 参考例1で得られたマウス由来のcDNAを強制発現さ
せるための組換えアデノウイルスは、市販のキット(ア
デノウイルス・エクスプレッション・ベクター・キッ
ト、宝酒造(株)社製)を用いて作製した。すなわち、
参考例1で得られたファージミドクローン#55−1
を、制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、得ら
れた約1.7kbのDNA断片の末端をを平滑化したも
のを挿入DNA断片として以下の操作に用いた。
【0094】また、サイトメガロウイルスエンハンサー
とニワトリβ−アクチンプロモーターにより発現される
ように設計されているコスミドベクターpAxCAwt
(アデノウイルス・エクスプレッション・ベクター・キ
ットに添付)の制限酵素SwaI認識部位にインサート
DNA断片を挿入したコスミドpAxCA/mAP5を
作製した。pAxCA/mAP5 DNAおよび末端蛋
白質結合ウイルスDNA(DNA−TPC、アデノウイ
ルス・エクスプレッション・ベクター・キットに添付)
をリン酸カルシウムトランスフェクションシステム(ラ
イフテック社製)を用いて293細胞(ATCC CR
L1573)にコ・トランスフェクションして、組換え
アデノウイルスAd/mAP−5を単離し、さらに29
3細胞中で増幅させた。また、コントロールコスミドp
AxCAiLacZから切り出したLacZ遺伝子が組
み込まれた組換えアデノウイルスベクターを有するアデ
ノウイルスAd/LacZを同様に作製し293細胞で
増幅させた。増幅させたウイルスの293細胞からの回
収は、まずウイルス感染293細胞に30秒×4回の超
音波処理(ブランソン社製B−1200を使用)を行
い、次いで塩化セシウム密度勾配遠心による精製を2回
繰り返すことによって行った。得られたウイルス液を、
10% グリセロールを添加したPBSに対して4℃で
透析した後、使用するまで−70℃以下で凍結保存し
た。
【0095】このようにして得られた組換えアデノウイ
ルスを、HeLa細胞(ATCCCCL2)に約5m.
o.i.(multiplicity of infection:多重感染度)
で感染させ、無血清培地(ダルベッコ修正イーグル培地
(DMEM))で3〜4日培養した後の培養上清を回収
した。この上清1mlを1.5ml容エッペンドルフチ
ューブに入れ、100μlのトリクロロ酢酸を添加して
室温で3分放置した後、卓上遠心機にて15000rp
mで5分間遠心した。上清を除去し、氷冷したアセトン
を0.5ml加えて良く攪拌し、再度卓上遠心機にて1
5000rpmで2分間遠心した。上清を除去し、再び
氷冷したアセトンを0.5ml加えて良く攪拌し、卓上
遠心機にて15000rpmで2分間遠心して、上清を
除いた後、沈殿物を真空乾燥させた。この沈殿物を10
μlの蒸留水に溶解させ、2−メルカプトエタノールを
含むSDS−PAGE試料緩衝液(バイオラッド社製)
と混合した後、99℃で5分間加熱して、電気泳動用試
料を調製した。試料を中でゲル濃度4−20%のポリア
クリルアミド密度勾配ゲルにて電気泳動した(電気泳動
用緩衝液:25mM トリス、192mM グリシン、
0.1% SDS)後、転写緩衝液中で4℃、1時間、
200mAの条件でニトロセルロースメンブレンに転写
した。転写したメンブレンは0.5% スキムミルクを
添加したPBS液で4℃で一晩ブロッキングし、洗浄液
(0.05% Tween20−PBS)で3回洗浄し
た。次いで、メンブレンを、55−1−N1抗体の精製
前の抗血清と55−1−C1抗体の精製前の抗血清を混
合したものを5% ウシ胎児血清を含む0.05% T
ween20−PBSで10000倍希釈した反応液中
に入れて室温で1時間インキュベーションした後、洗浄
液で3回洗浄した。さらに、メンブレンを西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(H+L)(バ
イオラッド社製)を5% ウシ胎児血清を含む0.05
% Tween20−PBSで10000倍希釈した反
応液中で室温で1時間インキュベーションした後、洗浄
液で5回洗浄した。このメンブレンをラップフィルム上
に置き、ECLウエスタンブロッティング検出溶液に1
分間浸した後、1時間室温で放置してバックグラウンド
を減衰させてから、X線フィルムを感光させた(3秒
間)。その結果、組換えアデノウイルスAd/mAP−
5を感染させたHeLa細胞培養上清中に特異的なバン
ドが検出された(図4)。
【0096】一方、ファージミドクローン#h5−1が
保持するcDNAがアデノウイルスベクターに組み込ま
れたものを有する組換えアデノウイルス(Ad/hAP
5)を調製して同様の実験を行い、HeLa細胞に発現
させた培養上清のウエスタンブロット解析を行った結
果、同様に特異的なバンドが検出された(図4)。
【0097】
【実施例5】 組換えアデノウイルスを用いたインビボ
での発現 上記のようにして精製された組換えアデノウイルスAd
/mAP−5またはAd/LacZを、10%グリセロ
ールを含むPBSで2×1010pfu(plaqueforming
unit)/mlに希釈し、それぞれ3匹(Ad/mAP−
5)または2匹(Ad/LacZ)の13−14週齢の
雄KK/Sanマウスに100μl(2×109pf
u)ずつ尾静脈注射により接種した。接種1日後に各マ
ウスの眼底よりヘマトクリット管で採血して、卓上遠心
機で5200rpm15分遠心して血漿を分離し、中性
脂肪測定用キット(トリグリセリドE−テストワコー、
和光純薬(株)社製)を用いて中性脂肪濃度を測定し
た。Ad/LacZ接種マウス群では血中の中性脂肪濃
度に有意な差が認められなかったのに対し、Ad/mA
P5接種マウス群と他の2群の間には血中の中性脂肪濃
度に有意な差が認められた(図5)。
【0098】一方、ファージミドクローン#h5−1が
保持するcDNAがアデノウイルスベクターに組み込ま
れたものを有する組換えアデノウイルス(Ad/hAP
5)で同様の実験を行い、雄KK/Sanマウスに発現
させた結果、血中の中性脂肪濃度の有意な上昇がみら
れ、ヒト型分子がマウス体内でも機能することが判明し
た(図5)。
【0099】また、これら血中の中性脂肪濃度に有意差
が認められたアデノウイルス感染マウス群の肝臓から全
RNAを回収し、参考例2記載の方法でノーザンブロッ
ト解析を行ったところ、導入した遺伝子が実際に高発現
していることが確認された(図6)。アデノウイルス感
染KK/Sanマウス群で検出されるバンドは、遺伝子
操作を行っていないKKマウスで検出されるバンドより
も大きいが、これは組換えアデノウイルスベクター中で
有効な転写開始点またはポリ(A)付加シグナルが本来
の遺伝子上のものとは異なることに起因すると考えられ
る。いずれにせよ、組換えアデノウイルスベクターに組
み込まれたcDNA中の最初の翻訳開始コドンのすぐ
5’末端側には、該翻訳開始コドンと同一読み枠上に終
始コドンが存在するため、このmRNAの大きさの違い
は翻訳されるアミノ酸配列には影響しない。
【0100】
【発明の効果】 以上述べたように、本発明により、変
異遺伝子を検索する新規な方法が提供された。本発明の
方法は、タンパク質の産生異常に起因する種々の疾患の
原因遺伝子の同定に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 チップ解析の結果を表す図。
【図2】 KKマウスとKK/Sanマウスとの間で見
つかった変異部分のヌクレオチド配列比較図。
【図3】KKマウス臓器由来の試料についてのノーザン
ブロット解析の結果を表す図。
【図4】 遺伝子導入HeLa細胞培養上清を試料とし
たウエスタンブロット解析の結果を表す図。
【図5】 組換えアデノウイルスを感染させたKK/S
anマウスの末梢血中の中性脂肪濃度測定結果を表す
図。
【図6】 KKマウスおよび組換えアデノウイルスを感
染させたKK/Sanマウスの肝臓由来の試料について
のノーザンブロット解析の結果を表す図。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Sankyo Company, Limited <120> Method for Searching a Mutated Gene <130> 2000100SS <140> <141> <160> 9 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1604 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <221> CDS <222> (47)..(1411) <400> 1 ggcacgaggt tccaaattgc ttaaaattga ataattgaga caaaaa atg cac aca 55 Met His Thr 1 att aaa tta ttc ctt ttt gtt gtt cct tta gta att gca tcc aga gtg 103 Ile Lys Leu Phe Leu Phe Val Val Pro Leu Val Ile Ala Ser Arg Val 5 10 15 gat cca gac ctt tca tca ttt gat tct gca cct tca gag cca aaa tca 151 Asp Pro Asp Leu Ser Ser Phe Asp Ser Ala Pro Ser Glu Pro Lys Ser 20 25 30 35 aga ttt gct atg ttg gat gat gtc aaa att tta gcg aat ggc ctc ctg 199 Arg Phe Ala Met Leu Asp Asp Val Lys Ile Leu Ala Asn Gly Leu Leu 40 45 50 cag ctg ggt cat gga ctt aaa gat ttt gtc cat aag act aag gga caa 247 Gln Leu Gly His Gly Leu Lys Asp Phe Val His Lys Thr Lys Gly Gln 55 60 65 att aac gac ata ttt cag aag ctc aac ata ttt gat cag tct ttt tat 295 Ile Asn Asp Ile Phe Gln Lys Leu Asn Ile Phe Asp Gln Ser Phe Tyr 70 75 80 gac cta tca ctt cga acc aat gaa atc aaa gaa gag gaa aag gag cta 343 Asp Leu Ser Leu Arg Thr Asn Glu Ile Lys Glu Glu Glu Lys Glu Leu 85 90 95 aga aga act aca tct aca cta caa gtt aaa aac gag gag gtg aag aac 391 Arg Arg Thr Thr Ser Thr Leu Gln Val Lys Asn Glu Glu Val Lys Asn 100 105 110 115 atg tca gta gaa ctg aac tca aag ctt gag agt ctg ctg gaa gag aag 439 Met Ser Val Glu Leu Asn Ser Lys Leu Glu Ser Leu Leu Glu Glu Lys 120 125 130 aca gcc ctt caa cac aag gtc agg gct ttg gag gag cag cta acc aac 487 Thr Ala Leu Gln His Lys Val Arg Ala Leu Glu Glu Gln Leu Thr Asn 135 140 145 tta att cta agc cca gct ggg gct cag gag cac cca gaa gta aca tca 535 Leu Ile Leu Ser Pro Ala Gly Ala Gln Glu His Pro Glu Val Thr Ser 150 155 160 ctc aaa agt ttt gta gaa cag caa gac aac agc ata aga gaa ctc ctc 583 Leu Lys Ser Phe Val Glu Gln Gln Asp Asn Ser Ile Arg Glu Leu Leu 165 170 175 cag agt gtg gaa gaa cag tat aaa caa tta agt caa cag cac atg cag 631 Gln Ser Val Glu Glu Gln Tyr Lys Gln Leu Ser Gln Gln His Met Gln 180 185 190 195 ata aaa gaa ata gaa aag cag ctc aga aag act ggt att caa gaa ccc 679 Ile Lys Glu Ile Glu Lys Gln Leu Arg Lys Thr Gly Ile Gln Glu Pro 200 205 210 tca gaa aat tct ctt tct tct aaa tca aga gca cca aga act act ccc 727 Ser Glu Asn Ser Leu Ser Ser Lys Ser Arg Ala Pro Arg Thr Thr Pro 215 220 225 cct ctt caa ctg aac gaa aca gaa aat aca gaa caa gat gac ctt cct 775 Pro Leu Gln Leu Asn Glu Thr Glu Asn Thr Glu Gln Asp Asp Leu Pro 230 235 240 gcc gac tgc tct gcc gtt tat aac aga ggc gaa cat aca agt ggc gtg 823 Ala Asp Cys Ser Ala Val Tyr Asn Arg Gly Glu His Thr Ser Gly Val 245 250 255 tac act att aaa cca aga aac tcc caa ggg ttt aat gtc tac tgt gat 871 Tyr Thr Ile Lys Pro Arg Asn Ser Gln Gly Phe Asn Val Tyr Cys Asp 260 265 270 275 acc caa tca ggc agt cca tgg aca tta att caa cac cgg aaa gat ggc 919 Thr Gln Ser Gly Ser Pro Trp Thr Leu Ile Gln His Arg Lys Asp Gly 280 285 290 tca cag gac ttc aac gaa aca tgg gaa aac tac gaa aag ggc ttt ggg 967 Ser Gln Asp Phe Asn Glu Thr Trp Glu Asn Tyr Glu Lys Gly Phe Gly 295 300 305 agg ctc gat gga gaa ttt tgg ttg ggc cta gag aag atc tat gct ata 1015 Arg Leu Asp Gly Glu Phe Trp Leu Gly Leu Glu Lys Ile Tyr Ala Ile 310 315 320 gtc caa cag tct aac tac att tta cga ctc gag cta caa gac tgg aaa 1063 Val Gln Gln Ser Asn Tyr Ile Leu Arg Leu Glu Leu Gln Asp Trp Lys 325 330 335 gac agc aag cac tac gtt gaa tac tcc ttt cac ctg ggc agt cac gaa 1111 Asp Ser Lys His Tyr Val Glu Tyr Ser Phe His Leu Gly Ser His Glu 340 345 350 355 acc aac tac acg cta cat gtg gct gag att gct ggc aat atc cct ggg 1159 Thr Asn Tyr Thr Leu His Val Ala Glu Ile Ala Gly Asn Ile Pro Gly 360 365 370 gcc ctc cca gag cac aca gac ctg atg ttt tct aca tgg aat cac aga 1207 Ala Leu Pro Glu His Thr Asp Leu Met Phe Ser Thr Trp Asn His Arg 375 380 385 gca aag gga cag ctc tac tgt cca gaa agt tac tca ggt ggc tgg tgg 1255 Ala Lys Gly Gln Leu Tyr Cys Pro Glu Ser Tyr Ser Gly Gly Trp Trp 390 395 400 tgg aat gac ata tgt gga gaa aac aac cta aat gga aaa tac aac aaa 1303 Trp Asn Asp Ile Cys Gly Glu Asn Asn Leu Asn Gly Lys Tyr Asn Lys 405 410 415 ccc aga acc aaa tcc aga cca gag aga aga aga ggg atc tac tgg aga 1351 Pro Arg Thr Lys Ser Arg Pro Glu Arg Arg Arg Gly Ile Tyr Trp Arg 420 425 430 435 cct cag agc aga aag ctc tat gct atc aaa tca tcc aaa atg atg ctc 1399 Pro Gln Ser Arg Lys Leu Tyr Ala Ile Lys Ser Ser Lys Met Met Leu 440 445 450 cag ccc acc acc taagaagctt caactgaact gagacaaaat aaaagatcaa 1451 Gln Pro Thr Thr 455 taaattaaat attaaagtcc tcccgatcac tgtagtaatc tggtattaaa attttaatgg 1511 aaagcttgag aattgaattt caattaggtt taaactcatt gttaagatca gatatcaccg 1571 aatcaacgta aacaaaattt atctttttca atc 1604 <210> 2 <211> 455 <212> PRT <213> Mus musculus <400> 2 Met His Thr Ile Lys Leu Phe Leu Phe Val Val Pro Leu Val Ile Ala 1 5 10 15 Ser Arg Val Asp Pro Asp Leu Ser Ser Phe Asp Ser Ala Pro Ser Glu 20 25 30 Pro Lys Ser Arg Phe Ala Met Leu Asp Asp Val Lys Ile Leu Ala Asn 35 40 45 Gly Leu Leu Gln Leu Gly His Gly Leu Lys Asp Phe Val His Lys Thr 50 55 60 Lys Gly Gln Ile Asn Asp Ile Phe Gln Lys Leu Asn Ile Phe Asp Gln 65 70 75 80 Ser Phe Tyr Asp Leu Ser Leu Arg Thr Asn Glu Ile Lys Glu Glu Glu 85 90 95 Lys Glu Leu Arg Arg Thr Thr Ser Thr Leu Gln Val Lys Asn Glu Glu 100 105 110 Val Lys Asn Met Ser Val Glu Leu Asn Ser Lys Leu Glu Ser Leu Leu 115 120 125 Glu Glu Lys Thr Ala Leu Gln His Lys Val Arg Ala Leu Glu Glu Gln 130 135 140 Leu Thr Asn Leu Ile Leu Ser Pro Ala Gly Ala Gln Glu His Pro Glu 145 150 155 160 Val Thr Ser Leu Lys Ser Phe Val Glu Gln Gln Asp Asn Ser Ile Arg 165 170 175 Glu Leu Leu Gln Ser Val Glu Glu Gln Tyr Lys Gln Leu Ser Gln Gln 180 185 190 His Met Gln Ile Lys Glu Ile Glu Lys Gln Leu Arg Lys Thr Gly Ile 195 200 205 Gln Glu Pro Ser Glu Asn Ser Leu Ser Ser Lys Ser Arg Ala Pro Arg 210 215 220 Thr Thr Pro Pro Leu Gln Leu Asn Glu Thr Glu Asn Thr Glu Gln Asp 225 230 235 240 Asp Leu Pro Ala Asp Cys Ser Ala Val Tyr Asn Arg Gly Glu His Thr 245 250 255 Ser Gly Val Tyr Thr Ile Lys Pro Arg Asn Ser Gln Gly Phe Asn Val 260 265 270 Tyr Cys Asp Thr Gln Ser Gly Ser Pro Trp Thr Leu Ile Gln His Arg 275 280 285 Lys Asp Gly Ser Gln Asp Phe Asn Glu Thr Trp Glu Asn Tyr Glu Lys 290 295 300 Gly Phe Gly Arg Leu Asp Gly Glu Phe Trp Leu Gly Leu Glu Lys Ile 305 310 315 320 Tyr Ala Ile Val Gln Gln Ser Asn Tyr Ile Leu Arg Leu Glu Leu Gln 325 330 335 Asp Trp Lys Asp Ser Lys His Tyr Val Glu Tyr Ser Phe His Leu Gly 340 345 350 Ser His Glu Thr Asn Tyr Thr Leu His Val Ala Glu Ile Ala Gly Asn 355 360 365 Ile Pro Gly Ala Leu Pro Glu His Thr Asp Leu Met Phe Ser Thr Trp 370 375 380 Asn His Arg Ala Lys Gly Gln Leu Tyr Cys Pro Glu Ser Tyr Ser Gly 385 390 395 400 Gly Trp Trp Trp Asn Asp Ile Cys Gly Glu Asn Asn Leu Asn Gly Lys 405 410 415 Tyr Asn Lys Pro Arg Thr Lys Ser Arg Pro Glu Arg Arg Arg Gly Ile 420 425 430 Tyr Trp Arg Pro Gln Ser Arg Lys Leu Tyr Ala Ile Lys Ser Ser Lys 435 440 445 Met Met Leu Gln Pro Thr Thr 450 455 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 3 catacttgta atcacagcac ttcgg 25 <210> 4 <211> 25 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 4 gtcagtcagg tcctgatctg tagtt 25 <210> 5 <211> 25 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 5 cacatacacc atcaacatag tgagg 25 <210> 6 <211> 23 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 6 gactgatcaa atatgttgag ctt 23 <210> 7 <211> 21 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 7 tgcatccaga gtggatccag a 21 <210> 8 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 8 tcctctagtt atttcctcca g 21 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 9 tggtttgcca gcgatagatc 20
フロントページの続き (72)発明者 古川 秀比古 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA03 CA04 CA09 CA12 DA02 DA06 EA02 EA03 EA04 GA11 GA18 GA19 GA25 HA14 4B029 AA07 FA15 4B063 QA01 QA07 QA17 QA19 QQ53 QQ58 QR35 QR56 QR84 QS05 QS34 QS36 QS38 QX02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子突然変異を有しており、かつその
    変異遺伝子が特定されていない動物における変異遺伝子
    を特定する方法であって、下記の工程i)からii): i) ある系統の動物(以下「対照動物」という)の組
    織または細胞と、対照動物の系統から突然変異により得
    られ、該突然変異の結果、対照動物が有する表現型と異
    なった表現型を表す動物(以下「変異動物」という)の
    対応する組織または細胞から、それぞれメッセンジャー
    RNAを抽出し、該メッセンジャーRNAを出発材料と
    して相補的RNAまたは相補的DNAを調製する工程;
    および ii) 上記工程i)で得られた相補的RNAまたは相
    補的DNAを用いて、変異動物と対照動物との間で発現
    量が変動している遺伝子を同定する工程、を含むことを
    特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、変異動物
    にのみ表れる表現型が病変として表れるものであること
    を特徴とする方法。
  3. 【請求項3】変異動物および対照動物がマウスであるこ
    とを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 変異動物がKK/Sanマウス、対照動
    物がKKマウスであることを特徴とする、請求項3記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の
    方法であって、工程ii)において変異動物と対照動物
    との間で発現量が変動している遺伝子を同定する手段と
    して、変異動物および対照動物と同種の動物の組織また
    は細胞由来の相補的DNA群または該DNAの部分配列
    で作製された遺伝子チップを用いることを特徴とする方
    法。
  6. 【請求項6】 遺伝子突然変異を有しており、かつその
    変異遺伝子が特定されていない動物における変異遺伝子
    を特定する方法であって、下記の工程i)からii
    i): i) ある系統の動物(以下「対照動物」という)の組
    織または細胞と、対照動物の系統から突然変異により得
    られ、該突然変異の結果、対照動物が有する表現型と異
    なった表現型を表す動物(以下「変異動物」という)の
    対応する組織または細胞から、それぞれメッセンジャー
    RNAを抽出し、該メッセンジャーRNAを出発材料と
    して相補的RNAまたは相補的DNAを調製する工程; ii) 上記工程i)で得られた相補的RNAまたは相
    補的DNAを用いて、変異動物と対照動物との間で発現
    量が変動している遺伝子を同定する工程;および iii) 工程ii)の結果、対照動物より変異動物で
    多く発現していると判定された遺伝子由来の相補的DN
    Aを対照動物または対照動物由来の細胞に高発現させ
    て、変異動物と同様の表現型の変化が現れるか否かを検
    定するか、または変異動物より対照動物で多く発現して
    いると判定された遺伝子由来の相補的DNAを変異動物
    または変異動物由来の細胞に高発現させて、変異動物の
    表現型の変化が対照動物のもつ表現型に復帰するか否か
    を検定する工程、を含むことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の方法において、変異動物
    にのみ表れる表現型が病変として表れるものであること
    を特徴とする方法。
  8. 【請求項8】変異動物および対照動物がマウスであるこ
    とを特徴とする、請求項6または7記載の方法。
  9. 【請求項9】 変異動物がKK/Sanマウス、対照動
    物がKKマウスであることを特徴とする、請求項8記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至9のいずれか1つに記載
    の方法であって、工程ii)において変異動物と対照動
    物との間で発現量が変動している遺伝子を同定する手段
    として、変異動物および対照動物と同種の動物の組織ま
    たは細胞由来の相補的DNA群または該DNAの部分配
    列で作製された遺伝子チップを用いることを特徴とする
    方法。
  11. 【請求項11】 請求項6乃至10のいずれか1つに記
    載の方法において、工程iii)記載の相補的DNAの
    導入が、該相補的DNAが組み込まれたアデノウイルス
    ベクターを含むアデノウイルスの感染によるものである
    ことを特徴とする方法。
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