JP2002022033A - ラビリンスシール及び流体機械 - Google Patents

ラビリンスシール及び流体機械

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JP2002022033A
JP2002022033A JP2000203674A JP2000203674A JP2002022033A JP 2002022033 A JP2002022033 A JP 2002022033A JP 2000203674 A JP2000203674 A JP 2000203674A JP 2000203674 A JP2000203674 A JP 2000203674A JP 2002022033 A JP2002022033 A JP 2002022033A
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seal ring
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Hiromi Kobayashi
博美 小林
Hideo Nishida
秀夫 西田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラビリンスシール及びそれを備えた流体機械
において、回転軸が径方向に大きく振動する場合、及び
作動温度が高い場合のいずれの場合でもシール性能の低
下を防止する。 【解決手段】 回転軸102とその周囲の両端シール固
定部110との間で高圧側から低圧側への流体通路50
の漏れを抑制するラビリンスシール107a、bにおい
て、回転軸102に設けたフランジ6と、両端シール固
定部110に軸方向に摺動可能に設けたシールリング4
と、シールリング4の内周部または回転軸102の外周
部に、軸方向フィン部5を軸方向に少なくとも1段配設
した軸方向シール手段と、シールリング4とフランジ6
が協働して形成する径方向シール手段とを備え、流体通
路50の高圧側50Hと低圧側50Lの差圧によりシー
ルリング4が径方向シール手段の隙間を小さくする方向
に摺動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸周囲の軸方
向に沿った流体の漏れを抑制するためのラビリンスシー
ル、例えば多段圧縮機等におけるガスの漏れを抑制する
ためのラビリンスシール及びこれを備えた流体機械に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば流体機械の1つである遠心多段圧
縮機は、複数段の羽根車を設けた回転軸をケーシング内
で回転駆動し、吸い込み配管から導入した作動気体(例
えば大気)を第1段羽根車で圧縮して、その後各段の羽
根車103の排気口と次段の吸気口を結ぶガス流路を介
し羽根車を通過させる度に圧縮を繰り返して最後に吐出
配管から排出するようになっている。
【0003】このとき、回転軸とケーシングとの間にで
きる隙間から、どのようにして流体の漏れを抑制して圧
縮機出力の低下を防ぐかが重要であり、そのための最も
有効な手段の1つにラビリンスシールがある。
【0004】一般に、このラビリンスシールは漏れを抑
制する方向別に分類して、軸方向シールと径方向シール
の2種類に大別される。それぞれの基本的な構成とし
て、まず軸方向シールについては、例えば回転軸の外周
に対して径方向の隙間が微小隙間δrだけとなるように
複数枚の略環状薄板形状の径方向突出部材(軸方向フィ
ン)を固定側に軸方向に配設したものである。
【0005】また径方向シールについては、例えば回転
軸の外周部に同軸に設けた略環状部材(フランジ)に対
して軸方向の隙間が微小隙間δaだけとなるように、複
数枚の略環状薄板形状の軸方向突出部材(径方向フィ
ン)を固定側に径方向に並設したものである。なお、略
環状部材側にも軸方向突出部材を設けて、前述した固定
側の軸方向突出部材と凹凸形状が交互に係合するように
する場合も多い。
【0006】なお、上記2つのシールはどちらも、回転
側と固定側とのフィンの設置を逆にする構成(例えば回
転軸に軸方向突出部材又は径方向突出部材を設ける構
成)としても同等の作用効果が得られる。
【0007】そして以上のどの場合のラビリンスシール
でも共通して、そのラビリンスシールを挟んだ高圧側か
ら低圧側への流体通路をシールし回転軸の軸方向に沿っ
た流体の漏れを抑制するものである。
【0008】したがって径方向微小隙間δr、軸方向微
小隙間δaを小さく設定するほど効果的に流体の漏れが
抑制されるが、その反面、過度に小さくすると回転側と
固定側が接触することで双方が損傷・変形してしまい逆
に流体の漏れが大きくなってシール性能が低下してしま
う。
【0009】特にロータ系を支持する回転軸において
は、その共振回転数に対応する一次および二次の危険速
度よりも高速で運転する場合、運転開始から加速して各
危険速度を超える際に一時的に回転軸の径方向の振動が
大きくなる。したがってこのような場合、回転側と固定
側との接触を避けるには、径方向突出部材の径方向微小
隙間δrを比較的大きく採らざる得ない。
【0010】この点に対処するための公知技術として、
特開平7−71621号公報に示されているように、回
転軸とその周囲の固定側との間で高圧側から低圧側への
流体通路の漏れを抑制するラビリンスシールにおいて、
前記固定側に前記回転軸と同軸で係合して径方向かつ軸
方向に摺動可能に設けた摺動部材と、この摺動部材の内
周部に径方向突出部材を軸方向に複数段配設した軸方向
シール手段とを備えた浮動型ラビリンスシールが提案さ
れている。
【0011】この従来技術は径方向突出部材(軸方向フ
ィン)を備えたリング形状の摺動部材と固定側との間に
中間圧室を設け、摺動部材をその中に遊嵌する形で設置
しており、これによって摺動部材を回転軸の径方向振動
に合わせて共に揺動可能としている。このとき、高圧側
から中間圧室内に導かれて充填された中間圧流体を摺動
部材の径方向外周側への移動に対するクッションとして
利用することで軸振動による衝撃を緩和可能とし、これ
によって、径方向微小隙間δrをかなり小さく設定でき
るようにしたものである。
【0012】なおこのとき、高圧側の圧力と中間圧との
差圧により摺動部材自体が軸方向低圧側に押されること
で低圧側における摺動部材と固定側との隙間が変化し、
中間圧流体が適切に流出・調整されるようになってい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の浮動型ラビリンスシールであっても、上述した
危険速度通過時に生じる回転軸の大きな径方向振動に対
しては径方向突出部材(軸方向フィン)の先端が回転軸
外周上に強く接触することになるため、長期使用の場合
にはやはり摩耗や変形が避けられずシール性能が低下し
てしまうといった問題があった。
【0014】ここで、前述した径方向シールでは、前述
の例では例えば固定側の軸方向突出部材(径方向フィ
ン)と回転側である略環状部材側の軸方向突出部材(径
方向フィン)との径方向隙間寸法を十分大きくすること
で上記回転軸の大きな径方向振動の影響は受けずにす
む。しかしながら、作動中の高温によって回転軸の熱膨
張による軸方向伸びが比較的大きくなるため径方向微小
隙間δaの管理はかなり難しく、伸びによってδaが大
きくなる場合はシール性能の低下を招き、δaが小さく
なる向きに伸びる場合は回転側と固定側との接触による
損傷防止のためにはδaを比較的大きく採らざるを得
ず、同様にシール性能の低下防止は困難であった。
【0015】なお、以上は回転軸外周部に設けられ回転
軸とその周囲の固定側との間のシールを行うラビリンス
シールを例に取って説明したが、同様の課題は、例えば
圧縮機の羽根車外周部に設けられ羽根車とその周囲の固
定側との間のシールを行うラビリンスシール、具体的に
は各羽根車における吸気口と排気口との間の(排気口か
ら吸気口への)ガスの漏れを抑制するラビリンスシー
ル、及び隣り合う2段の羽根車間のガスの漏れを抑制す
るラビリンスシール等にも存在する。すなわち、回転軸
や羽根車といった回転側(以下適宜、回転部と称する)
の危険速度を通過するときの大きな径方向振動発生時及
び作用温度が高い場合の両方において回転部と固定部と
の間のシール性能の低下を防止するのは困難であった。
【0016】本発明の目的は、回転軸を有した回転部が
径方向に大きく振動する場合、及び作動温度が高い場合
のいずれの場合でもシール性能の低下を防止できるラビ
リンスシール及びそれを備えた流体機械を提供すること
を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明によれば、少なくとも回転軸を備えた
回転部とその周囲の固定部との間で高圧側から低圧側へ
の流体通路の漏れを抑制するラビリンスシールにおい
て、前記回転部に設けた略環状部材と、前記固定部に軸
方向に摺動可能に設けた摺動部材と、前記流体通路に設
けられ、前記摺動部材の内周部または前記回転部の外周
部に、第1の径方向突出部材を軸方向に少なくとも1段
配設した軸方向シール手段と、前記流体通路に設けら
れ、前記摺動部材と前記略環状部材が協働して形成する
径方向シール手段とを備え、前記高圧側と前記低圧側の
差圧により前記摺動部材が前記径方向シール手段の隙間
を小さくする方向に摺動するものとする。
【0018】本発明においては、摺動部材の内周部又は
回転部の外周部に少なくとも1段の径方向突出部を軸方
向に配設した軸方向シール手段に加え、固定部に設けた
摺動部材と回転部に設けた略環状部材とが協働して形成
する径方向シール手段を設ける。これにより、径方向シ
ール手段においては、摺動部材がラビリンスシールを挟
んだ高圧側と低圧側の差圧に比例した押し付け力で径方
向シール手段の隙間を小さくする方向に移動される。し
たがって作動温度が高い場合に回転部の回転軸に伸びが
生じ、回転部側に設けた略環状部材が移動した場合で
も、常に圧力差に応じた適切な微小隙間δaを維持でき
る。
【0019】したがって軸方向シール手段において、径
方向突出部材による径方向微小隙間δrを通常の大きさ
並みにしても、十分なシール性能を確保できる。これに
より、摺動部材を例えば同軸に位置する回転部外径より
も十分大きな径で形成しておけば、共振回転数に対応す
る一次および二次の危険速度よりも高速で運転する場合
で、運転開始から加速して各危険速度を超える際に一時
的に回転部の径方向の振動が大きくなったような場合で
も、その回転部の大きな振動からの影響を受けることの
ないようにすることができる。
【0020】以上のようにして、回転部が径方向に大き
く振動する場合、及び作動温度が高い場合のいずれの場
合でもシール性能の低下を防止できる。
【0021】(2)上記(1)のラビリンスシールにお
いて、好ましくは、前記径方向シール手段は、前記摺動
部材に第2の径方向突出部材又は軸方向突出部材を設
け、この突出部材の少なくとも先端部を前記略環状部材
の側面に対向させて、径方向における流体の漏れを抑制
するものとする。
【0022】(3)上記(1)のラビリンスシールにお
いて、好ましくは、前記径方向シール手段は、前記略環
状部材の少なくとも先端部を、前記摺動部材の軸方向側
面、又は前記摺動部材に設けた第3の径方向突出部材の
軸方向側面に対向させて、径方向における流体の漏れを
抑制するものとする。
【0023】(4)上記(1)乃至(3)のいずれか1
つのラビリンスシールにおいて、好ましくは、前記固定
部と前記摺動部材との間に軸方向に衝撃緩和用スプリン
グを設けたものとする。
【0024】これにより、高圧側の急激な昇圧により摺
動部材が瞬間的に移動し、固定部に万一接触しそうにな
った場合が生じても、接触による衝撃を緩和することが
できる。また摺動部材の軸方向の振動を抑える効果もあ
る。さらに、組立誤差の影響による接触の可能性も確実
に回避することができる。
【0025】(5)上記目的を達成するために、本発明
は、少なくとも回転軸を備えた回転部とその周囲の固定
部との間で軸方向に圧力差のある流体通路を備えた流体
機械において、前記回転部に設けた略環状部材と、前記
固定部に軸方向に摺動可能に設けた摺動部材と、前記流
体通路に設けられ、前記摺動部材の内周部または前記回
転部の外周部に、第1の径方向突出部材を軸方向に少な
くとも1段配設した軸方向シール手段と、前記流体通路
に設けられ、前記摺動部材と前記略環状部材が協働して
形成する径方向シール手段とを備え、前記高圧側と前記
低圧側の差圧により前記摺動部材が前記径方向シール手
段の隙間を小さくする方向に摺動するものとする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。
【0027】以下に、本発明の第1の実施の形態による
ラビリンスシールを図1、図2により説明する。
【0028】まず図2は、本発明によるラビリンスシー
ルを適用した流体機械の一例である遠心多段圧縮機の軸
方向断面の上半図であり、この多段圧縮機100は、概
略的に言うと、圧縮機全体を収容するケーシング101
と、ケーシング101を貫いて設けた回転軸102と、
回転軸102に貫通させて複数段(図2中では6段)並
設した羽根車103a,103b,103c,103
d,103e,103fと、1段目の羽根車103aの
吸気口114aに外気を導入する吸込配管104と、隣
合う2段の羽根車103のうちの前段の排気口115と
後段の吸気口114を連通するガス流路105と、最終
段の羽根車103fの排気口115fからの圧縮空気を
圧縮機外部へ排出する吐出配管106と、羽根車列の両
端位置においてケーシング101の両端シール固定部1
10と回転軸102との間に設けた両端ラビリンスシー
ル107a〜cと、各羽根車103の吸気口114と排
気口115の間の位置においてケーシング101の羽根
車シール固定部111と羽根車前方側板112との間に
設ける羽根車ラビリンスシール108と、隣り合う2段
の羽根車103間の位置においてケーシング101の段
間シール固定部113と回転軸102との間に設ける段
間ラビリンスシール109と、回転軸102を軸支する
軸受116とから構成されている。
【0029】回転軸102は軸受116に軸支された状
態で図示しない原動機からのトルクにより回転駆動さ
れ、同時に回転軸102に軸設している多段の羽根車1
03をも回転させる。吸込配管104を通じて誘導され
た外気が第1段羽根車103aの吸気口114aに到達
して圧縮が行われ、ここで圧縮された空気はガス流路1
05を通じて次の段の羽根車103bの吸気口114b
まで誘導されてさらに圧縮が行われる。このような連続
した圧縮が最終段の羽根車103fまで繰り返され、最
終的に例えばおよそ30倍の圧縮比にまで圧縮された後
に吐出配管106を通じて圧縮機100の外部に排出さ
れる。
【0030】そして両端ラビリンスシール107a〜c
は回転軸102まわりの流体通路50(後述の図1参
照)において羽根車列の両端から回転軸102両端側に
向かうガスの漏れを抑制し、羽根車ラビリンスシール1
08は各羽根車103における吸気口114と排気口1
15との間の流体通路における(排気口115から吸気
口114への)ガスの漏れを抑制し、段間ラビリンスシ
ール109は隣り合う2段の羽根車103間の流体通路
におけるガスの漏れを抑制する。この例に示されるよう
に一般に流体機械の回転部と固定部との各隙間における
流体ガスの漏れをそれぞれラビリンスシールによりシー
ルすることで流体機械全体の性能の低下を防ぐことがで
きる。
【0031】次に図1(a)〜図1(d)は、本実施の
形態による前述のラビリンスシール107a〜c,10
8,109のうち両端ラビリンスシール107a,10
7bを例に取り、その軸方向断面構造を示す上半図であ
り、まず図1(a)は運転前の静止時における図であ
る。
【0032】この図1(a)において、本実施の形態に
よるラビリンスシール107a,107bは、上記ケー
シング101の一部である両端シール固定部110に回
転軸102と同軸で嵌合して軸方向に摺動可能に設けら
れたシールリング4と、このシールリング4の内周部で
4段に並設されそれぞれが径方向に突出した軸方向フィ
ン部5と、回転軸102の外周部に設けられたフランジ
6と、シールリング4内周部に設けられた径方向突出部
7とを備えている。
【0033】シールリング4は、その外径が両端シール
固定部110の内径より大きく、またその内径が回転軸
102の外径より大きい略円筒状に形成されており、両
端シール固定部110の内周部に設けた略円環状の円周
溝110aの中に嵌合して軸方向に摺動移動可能となっ
ている。このとき、シールリング4は径方向には両端シ
ール固定部110と遊びなく密接し、またその密接面4
aを軸方向に長くとってあるため、この密接面4aを通
じてシールリング4を挟んだ高圧側と低圧側との間にお
けるガスの漏れは殆どないようになっている。
【0034】軸方向フィン部5はそれぞれ回転軸102
を貫通させた状態で回転軸102と径方向に所定の隙間
δrを有する略環状薄板形状のものであり、シールリン
グ4の内周部に回転軸102と同軸で4段(4枚)並設
されている。
【0035】径方向突出部7はその径方向内側に、回転
軸102の外径より十分に大きくフランジ6の外径より
も小さい内径の略円筒型形状を備え軸方向に突出した径
方向フィン部7aを有し、その一方(図1中右側)の先
端部(開口端部)をフランジ6の側面6aに回転軸10
2の軸方向中間部側から対向させる姿勢でシールリング
4上に設置している。
【0036】フランジ6は回転軸102より十分大きな
外径の略環状薄板形状のものであり、回転軸102の外
周上に同軸で固定(あるいは回転軸102と一体に成
形)されている。
【0037】なお、以上において、シールリング4が特
許請求の範囲各項記載の摺動部材を構成し、その径方向
突出部7が第2の径方向突出部材を構成し、またフラン
ジ6が回転部に設けた略環状部材を構成し、径方向フィ
ン部7aが略環状部材に対向する先端部を構成する。そ
して、フランジ6とその側面6aに対向する径方向フィ
ン部7aとが後述のように径方向シール手段を構成し、
また、シールリング4の内周部に並設した軸方向フィン
部5のそれぞれが第1の径方向突出部材を構成するとと
もに4段の軸方向フィン部5全体が後述のように軸方向
シール手段を構成している。さらに回転軸102とフラ
ンジ6が回転部を構成し、両端シール固定部110がそ
の周囲の固定部を構成する。
【0038】次に、前述した本実施の形態のラビリンス
シール107a,107bの動作を以下に説明する。
【0039】まず図1(a)に示す運転前の常温停止中
の状態において、回転軸102は設計値通りの長さとな
っていて、回転軸102外周のフランジ6の軸方向位置
もまた設計値にしたがった位置となっている。
【0040】それに対し、シールリング4を挟んだ軸方
向流体通路50の両側の各空間における流体ガスの圧力
には差がなく、シールリング4の径方向突出部7の径方
向フィン部7aの先端と、それに対向するフランジ6の
側面6aとの間の軸方向隙間はδaとなっている。
【0041】またシールリング4の軸方向フィン部5
と、それに対向する回転軸102の外周との間の径方向
隙間δrは通常の設計値通りの隙間となっている。
【0042】そしてこの状態から運転を開始した場合、
回転軸102は不図示の原動機からのトルクにより回転
を始め、上記図2に示したような遠心多段圧縮機の作動
によって図1(a)中における左側からガス圧力が上昇
し始める。
【0043】そして流体通路50におけるシールリング
4左側(高圧側50H)のガス圧が上昇するに従い右側
(低圧側50L)との差圧が大きくなることから、シー
ルリング4には右側へ向かう押圧力Fが作用し、その結
果、軸方向に摺動移動可能なシールリング4は右側即ち
低圧側へ振動して微動する。図1(b)は、このシール
リング4移動時における様子を表す図である。
【0044】そしてこのようにシールリング4が低圧側
へ微動することによって、シールリング4に設けた径方
向突出部7の径方向フィン部7aはフランジ6に向かっ
て近接することになり、その間の軸方向隙間δaは徐々
に狭まって最小隙間δmin 1となる。ここでこの最小
隙間δmin1はほぼ0に近い値となるが、例えばシー
ルリング4の形状構成(具体的な例としてシールリング
4の低圧側流体通路50Lと高圧側流体通路50Hそれ
ぞれに対する露出表面の軸方向投影面積の比率等)を適
宜設定することで押圧力Fを調整し、最小隙間δmin
1でわずかに流体を漏出通過させて径方向フィン部7a
とフランジ6とが接触するのを回避することが可能であ
る。あるいは、径方向フィン部7aの材質(シールリン
グ4の材質)をフランジ6の材質に比べて柔らかい材質
とすることにより径方向フィン部7aとフランジ6との
多少の接触を許容することも可能である。このようにシ
ールリング4とフランジ6とが協働してδa(=δmi
1)を径方向に流れる流体をシールするようになって
いる。なおまだこの時点では回転軸102に後述するよ
うな熱膨張による伸びは発生しておらず、フランジ6の
位置は設計値通りの位置となっている。
【0045】ここで、運転時間の経過と共に作動流体と
の摩擦等によって回転側である回転軸102、フランジ
6等は高温となる。そのため、回転軸102に軸方向へ
熱膨張による伸びが生じ、回転軸102に設けたフラン
ジ6が回転軸102端部側へ向かって移動する。図1
(c)は、この回転軸102が伸びている途中の状態を
示す図である。なお、図中の点線部はフランジ6の運転
前静止時の位置を示す。この場合、本実施の形態の両端
ラビリンスシール107a,107bでは、その回転軸
102の伸び(矢印G参照)によるフランジ6の移動に
追従するように常にシールリング4がバランスを取りな
がら回転軸102端部側に向かって移動し、その結果上
記の場合と同様に、径方向フィン部7aはフランジ6と
の間で適切な最小隙間δmin2を維持する。
【0046】以上のように回転軸102の伸びにしたが
ってシールリング4も追従して移動していくが、このと
きシールリング4本体の低圧側端面10とそれに対向す
る両端シール固定部110の低圧側端面11との間の軸
方向隙間δ1に関し、回転軸102が伸びきる寸前に低
圧側端面10が低圧側端面11に当接するように両端シ
ール固定部110、シールリング4およびフランジ6の
各部寸法が予め設定されている。これにより、最終的に
回転軸102が伸びきった時点では、径方向フィン部7
aとフランジ6の間の軸方向隙間は適切な最小隙間δm
in3となる。図1(d)はこの回転軸102が伸びき
った後の状態を示す図である。
【0047】なお、この伸びきった時点の回転軸102
の長さやフランジ6の最終的な位置は、回転軸102の
材質や、流体機械の各作動条件などの諸要素から予測で
きるものであり、上述したようにこのフランジ6の最終
予測位置を勘案して両端シール固定部110、シールリ
ング4およびフランジ6の各部寸法を予め設定すること
ができる。そしてその後の定常運転状態においても、こ
の適切な最小隙間δmin3が維持される。
【0048】以上図1(b)〜図1(d)に対応して説
明したように、運転を開始してから回転軸102が熱膨
張で伸びきった以降の定常運転状態において、常に径方
向フィン部7aとフランジ6との間に軸方向の最小隙間
δmin1,δmin2,δmin3が適切に維持されて
径方向に流れる流体をシールするようになっている。
【0049】したがって、軸方向フィン部5と回転軸1
02外周部の間の径方向隙間δrを比較的大きな通常の
大きさ並みにしても、両端ラビリンスシール107a,
107b全体としては十分なシール性能を確保できる。
これにより、前述のようにシールリング4を同軸に位置
する回転軸102よりも十分大きな径で形成することが
可能となるので、その共振回転数に対応する一次および
二次の危険速度を越える際に一時的に回転軸102の径
方向の振動が大きくなったような場合でも、その回転軸
102の大きな振動からの影響を受けることのない構成
とすることができる。
【0050】以上のようにして、回転軸102が径方向
に大きく振動する場合、及び作動温度が高い場合のいず
れの場合でもシール性能の低下を防止できる。またこの
ときの製作コストは従来とほとんど変わらない。
【0051】また静止時の軸方向隙間δaは、前述した
図2に示す多段圧縮機において回転軸102を軸支する
スラスト軸受117の軸受隙間に比べて大きくなってお
り、これによって従来のラビリンスシールと同様に容易
な組立を可能としている。
【0052】さらに、流体通路50におけるシールリン
グ4左側(高圧側50H)のガス圧と右側(低圧側50
L)のガス圧との圧力差を利用してシールリング4を微
動させるため、径方向フィン部7aとフランジ6が接触
した場合でも圧力差によるバネ効果により衝撃が緩和さ
れ、上記の軸受116等に損傷等の影響を及ぼすことが
少ない。
【0053】また、径方向フィン部7aと軸方向フィン
部5の両方を備える構成であるため、万一何らかのトラ
ブルにより最小隙間δmin1からδmin3を形成する
径方向フィン部7aが損傷しても、他方の軸方向フィン
部5によって所定のシール効果を維持することが可能で
ある。
【0054】次に本発明の第2の実施の形態を図3
(a)及び図3(b)により説明する。本実施の形態
は、前述した本発明の第1の実施の形態におけるシール
リング4内周部の径方向突出部7に径方向フィン部7a
を設ける代わり、径方向突出部7のフランジ6と対向す
る面を平面にして造隙被削コーティングを施したもので
ある。
【0055】図3(a)及び図(b)は、本実施の形態
によるラビリンスシールの軸方向断面の上半図であっ
て、それぞれ運転前の静止時における状態を示す図及び
運転中の回転時における状態を示す図であり、前述した
本発明の第1の実施の形態における図1(a)及び図1
(b)にそれぞれ相当する図である。これら図3(a)
及び図3(b)において、図1(a)及び図1(b)と
同符号のものは同一部分を示す。
【0056】図3(a)において、本実施の形態による
ラビリンスシール107Aは、シールリング4A内周部
に設けられた径方向突出部7Aを備えており、この径方
向突出部7Aはフランジ6に軸方向に対向する少なくと
も先端部の面が平面になっており、その平面の表面に公
知の造隙被削コーティング(例えば、ニッケルグラファ
イト等)12が施されている。
【0057】またシールリング4A本体の低圧側端面1
0とそれに対向する固定部110の低圧側端面11との
間の軸方向隙間δ1をδa<δ1としており、これによ
って後述のように径方向突出部7Aとフランジ6は接触
可能な寸法設定となっている。
【0058】なお、以上において、造隙被削コーティン
グ12を施した径方向突出部7Aが特許請求の範囲各項
記載の第2の径方向突出部材を構成している。
【0059】次に、前述した本実施の形態のラビリンス
シール107Aの動作を説明する。
【0060】図3(a)に示す運転前の常温停止中の状
態から運転を開始し始めて、同図中における左側からガ
ス圧力が上昇し、右側の低圧側との差圧が大きくなるこ
とによってシールリング4Aは上記第1の実施の形態の
シールリング4と同様に右側即ち低圧側へ微動する。
【0061】このとき上記の通り、径方向突出部7Aと
フランジ6は接触可能な寸法設定となっているため、つ
いには径方向突出部7Aがフランジ6と接触する。図3
(b)はこのときの状態を表す図である。そしてフラン
ジ6と造隙被削コーティング12が接触して摺接するこ
とで造隙被削コーティング12が被削されることにより
軸方向の最小隙間δmin4を形成する。その後、前述
のように高温で回転軸102が伸びるにしたがい、シー
ルリング4Aも追従してδmin4は維持されるが、回
転軸102が伸びきってもシールリング4の低圧側端面
10は両端シール固定部110の低圧側端面11に当接
せず、その後は造隙被削コーティング12とフランジ6
の側面6aとの間は離れることなくδmin4に維持さ
れることになる。以上のようにして本実施の形態では上
記第1の実施の形態と同様の効果に加え、運転開始後は
常にδmin4≒0として作動流体の漏れ量をさらに低
減できるという効果がある。
【0062】次に本発明の第3の実施の形態を図4
(a)及び図4(b)により説明する。本実施の形態
は、前述した本発明の第2の実施の形態において、シー
ルリング4の径方向突出部7に施した造隙被削コーティ
ング12に向けて回転軸102のフランジ6に径方向フ
ィン部13を設けたものである。
【0063】図4(a)及び図(b)は、本実施の形態
によるラビリンスシール107Bの軸方向断面の上半図
であって、それぞれ運転前の静止時における状態を示す
図及び運転中の回転時における状態を示す図であり、前
述した本発明の第2の実施の形態における図3(a)及
び図3(b)にそれぞれ相当する図である。これら図4
(a)及び図4(b)において、図3(a)及び図3
(b)と同符号のものは同一部分を示す。
【0064】図4(a)において、本実施の形態による
ラビリンスシール107Bは、シールリング4B内周部
に設けられた径方向突出部7Aと、回転軸102に設け
られたフランジ6Aとを備えている。
【0065】径方向突出部7Aは上記第2の実施の形態
同様フランジ6Aに対向する面の表面に造隙被削コーテ
ィング12が施されており、フランジ6Aの側面にはこ
の造隙被削コーティング12に向けて軸方向に突出した
径方向フィン部13を2重(径方向2段)に設けてい
る。
【0066】このとき上記第2の実施の形態と同様、シ
ールリング4B本体の低圧側端面10とそれに対向する
両端シール固定部110の低圧側端面11との間の軸方
向隙間δ1をδa<δ1としており、これによって後述
のように径方向突出部7Aとフランジ6Aの側面(詳細
には径方向フィン部13)とが接触可能な寸法設定とな
っている。
【0067】なお、以上において、造隙被削コーティン
グ12を施した径方向突出部7Aが特許請求の範囲各項
記載の第2の径方向突出部材を構成し、2重の径方向フ
ィン部13を設けたフランジ6Aが略環状部材を構成し
ている。
【0068】本実施の形態によっても、上記発明の第2
の実施の形態と同様に、運転開始後は常にδmin4
0として作動流体の漏れ量を大幅に低減するという効果
を得る。またさらに本実施の形態は第2の実施の形態の
造隙被削コーティング12とフランジ6の接触面積と比
較して造隙被削コーティング12と径方向フィン部13
の接触面積が小さいことから、接触時の衝撃をより小さ
くでき、接触・被削によるコーティング材の剥がれの可
能性も低く、長期の繰り返し使用への耐久性を向上でき
るというメリットがある。
【0069】次に本発明の第4の実施の形態を図5
(a)及び図5(b)により説明する。本実施の形態
は、前述した本発明の第1の実施の形態におけるシール
リング4のフランジ側をプラスチック材で形成したもの
である。
【0070】図5(a)及び図(b)は、本実施の形態
によるラビリンスシール107Cの軸方向断面の上半図
であって、それぞれ運転前の静止時における状態を示す
図及び運転中の回転時における状態を示す図であり、前
述した本発明の第1の実施の形態における図1(a)及
び図1(b)にそれぞれ相当する図である。これら図5
(a)及び図5(b)において、図1(a)及び図1
(b)と同符号のものは同一部分を示す。
【0071】図5(a)において、本実施の形態による
ラビリンスシール107Cは、第1の実施の形態におけ
るシールリング4の高圧側部分を、金属よりも摺動性の
よいプラスチック材で形成した補助シールリング18に
置き換え、残りの部分をシールリング4Cとしている。
そして補助シールリング18がその内周部に第1の実施
の形態の径方向突出部7に代わる径方向突出部19を備
えている。この径方向突出部19は先端部がフランジ6
側に傾いた先細りの形状となっており、フランジ6の側
面6aと円滑に接触・摺接するよう図られている。
【0072】また上記第2及び第3の実施の形態同様、
補助シールリング18の低圧側端面20とそれに対向す
る両端シール固定部110の低圧側端面11との間の軸
方向隙間δ1をδa<δ1としていることで径方向突出
部19とフランジ6は接触可能な寸法設定となってい
る。
【0073】なお、以上において、補助シールリング1
8の径方向突出部19が特許請求の範囲各項記載の第2
の径方向突出部材を構成している。
【0074】本実施の形態においては、径方向突出部1
9を摺動性のよいプラスチック材で形成しており、フラ
ンジ6と接触・摺接しても共に損傷することがないた
め、運転中フランジ6と径方向突出部19とを摺接させ
ることで第2及び第3の実施の形態と同様、運転開始後
は常に軸方向の最小隙間δmin4≒0とし、作動流体
の漏れ量を大幅に低減できる。
【0075】なおこのとき第1の実施の形態のシールリ
ング4全体をプラスチック材に置き換えるのではなく、
要部である低圧側部分のみに絞って置き換えることによ
り材料費・加工コストを抑えることができる。
【0076】次に本発明の第5の実施の形態を図6
(a)及び(b)により説明する。本実施の形態は、前
述した本発明の第1の実施の形態におけるシールリング
4本体の低圧側端面10とそれに対向する両端シール固
定部110の端面との間に衝撃緩和用のスプリング14
を備えたものである。
【0077】図6(a)及び図6(b)は、本実施の形
態によるラビリンスシールの軸方向断面の上半図であっ
て、それぞれ運転前の静止時における状態を示す図及び
運転中の回転時における状態を示す図であり、前述した
本発明の第1の実施の形態における図1(a)及び図1
(b)にそれぞれ相当する図である。これら図6(a)
及び図6(b)において、図1(a)及び図1(b)と
同符号のものは同一部分を示す。
【0078】図6において、本実施の形態によるラビリ
ンスシール107Dは、シールリング4本体の低圧側端
面10とそれに対向する両端シール固定部110の低圧
側端面11Aとの間にスプリング14を備えている。こ
のスプリング14は圧縮バネであって、両端シール固定
部110の低圧側端面11Aに軸方向に穿孔したスプリ
ング挿入穴15に嵌入配置され、その一端をシールリン
グ4本体の低圧側端面10に向けて突出させている。
【0079】このときシールリング4本体の低圧側端面
10とそれに向けて突出しているスプリング14の先端
14aとの間の軸方向隙間δ2をδ2<δaとし、これ
によって径方向突出部7の径方向フィン部7aとフラン
ジ6の側面6aとが接触するよりも優先してシールリン
グ4本体の低圧側端面10とスプリング14の先端14
aとが接触する寸法設定となっている。
【0080】なお、以上において、スプリング14が特
許請求の範囲各項記載の衝撃緩和用スプリングを構成し
ている。
【0081】本実施の形態のラビリンスシール107D
によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を得るの
に加え、高圧側の急激な昇圧により、シールリング4が
瞬間的に移動して両端シール固定部110Dに接触しそ
うになった場合が生じても接触による衝撃を緩和できる
効果がある。またシールリング4の軸方向の振動を抑え
る効果もある。さらに、組立誤差の影響による接触の可
能性も確実に回避することができる。
【0082】なお、本実施の形態において上記スプリン
グ14を引っ張りバネとして、シールリング4本体の高
圧側端面16とそれに対向する固定部110の高圧側端
面17との間をつなぐように設けても同様の効果が得ら
れる。
【0083】また、以上第1〜3及び第5の実施の形態
においては、第1の径方向突出部材である径方向突出部
7を軸方向フィン部5の列の最低圧側に設置する構成と
したが、これに限られず、軸方向フィン部5の列の中間
に設置してもよい。
【0084】この場合、略環状部材6,6Aをシールリ
ング4の摺動に伴う径方向突出部7の移動範囲に対応す
る回転軸102上の位置に設置する必要があり、また径
方向突出部7よりも低圧側に位置する軸方向フィン部5
はフランジ6と接触しないよう径方向突出部7と離して
設置する必要がある。このような構成によっても、同様
の効果が得られる。
【0085】また、以上に述べた第1〜第5の実施の形
態においては、シールリング4,4A,4B,18に第
2の径方向突出部材として設けた径方向突出部7,7
A,19の少なくとも先端部をフランジ6の側面6aに
対向させて径方向シール手段としたが、これに限られ
ず、シールリング4,4A,4B,18に軸方向低圧側
(各図中右側)に突出する軸方向突出部を設け、その少
なくとも先端部をフランジ6の側面6aに対向させて径
方向シール手段としてもよい。この場合も同様の効果を
得る。
【0086】また、以上に述べた全てのシールリング
4,4A,4B,4Cにおいては、軸方向フィン部5を
シールリング4の内周部から回転軸102の外周部に向
けて設置することで軸方向シール手段を構成したが、こ
れに限られない。すなわち、図7(a)及び図7(b)
のラビリンスシール107Eに示すように、回転軸10
2Aの外周部に第1の径方向突出部材としての4段の軸
方向フィン部21を径方向突出部材の一切ないシールリ
ング4Dの内周部に向けて設置する構成としてもよい。
【0087】このラビリンスシール107Eでは、軸方
向フィン部21はシールリング4Dの内周部に対し径方
向に十分な隙間δrを有する略環状薄板形状のものであ
り、回転軸102Aの外周部に同軸で4枚並設されてい
る。
【0088】またこのとき、略環状部材6Bは、低圧側
(図7中右側)が径方向外周側ほど薄肉となる略テーパ
形状となっているのに対し、高圧側(図7中左側)は軸
線に直角な平面状となっており、その平面状部分の少な
くとも先端部6Baをシールリング4Dの軸方向側面2
2に対向させることで、径方向の作動流体の漏れを抑制
する径方向シール手段を構成させている。
【0089】また第1の実施の形態と同様の観点から、
シールリング本体の低圧側端面10と両端シール固定部
110の低圧側端面11との軸方向隙間δ1、シールリ
ング4Dの軸方向側面22と略環状部材6Bの先端部6
Baとの軸方向隙間δaに関し、回転軸102Aが伸び
きる寸前にシールリング本体4Dの低圧側端面10が両
端シール固定部110の低圧側端面11に優先的に当接
するように、両端シール固定部110、シールリング4
Dおよび略環状部材6Bの各部寸法が予め設定されてい
る。
【0090】本変形例においても、上記第1の実施の形
態と同様の動作原理で同様の効果を得ることができる。
すなわち、図7(a)に示す運転前の常温停止中の状態
から運転開始とともに図7(b)に示すようにシールリ
ング4Dが低圧側へ微動してシールリング4Dの軸方向
側面22と略環状部材6Bの先端部6Baとの間に最小
隙間δmin1を構成し、さらに回転軸102Aの伸び
による環状部材6Bの移動にシールリング4Dが追従し
て軸方向側面22と先端部6Baとの間の最小隙間δm
in2を維持し、回転軸102Aが伸びきる直前にシー
ルリング本体4Dの低圧側端面10が両端シール固定部
110の低圧側端面11に当接してこれ以降は回転軸1
02Aの伸びと共にシールリング4Dの軸方向側面22
と略環状部材6Bの先端部6Baとの間は最小隙間δm
in3が形成される。
【0091】なお、上記変形例においては、略環状部材
6Bの先端部6Baをシールリング4Dの軸方向側面2
2に対向させたが、これに限られず、軸方向側面22に
別に第3の径方向突出部材を設け、これに先端部6Ba
を対向させてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0092】また、以上は図2に示した前述のラビリン
スシール107a〜c,108,109のうち両端ラビ
リンスシール107a,107bを例に取って説明した
が、他のラビリンスシール107c,108,109に
ついても同様の効果を得る。この場合、羽根車ラビリン
スシール108については回転軸102、羽根車103
a〜f及び羽根車前方側板112が各請求項記載の回転
部を構成し、羽根車シール固定部111がその周囲の固
定部を構成する。段間ラビリンスシール109について
は回転軸102及び羽根車103a〜fが各請求項記載
の回転部を構成し、段間シール固定部113がその周囲
の固定部を構成する。
【0093】さらに、以上においては、流体機械の一例
として多段圧縮機を例にとって説明したが、これに限ら
れず、他のタイプの圧縮機、ポンプ、送風機等、少なく
とも回転軸を備えた回転部とその周囲の固定部との間で
軸方向に圧力差のある流体通路を備えた流体機械であれ
ば、本発明を適用でき、この場合も同様の効果を得る。
【0094】
【発明の効果】請求項1〜5記載の発明によれば、径方
向シール手段の摺動部材が高圧側と低圧側の差圧に比例
した押し付け力で径方向シール手段の軸方向隙間を小さ
くする方向に移動されるので、作動温度が高い場合に回
転軸側に設けた略環状部材が移動した場合でも、適切な
微小隙間を維持できる。
【0095】これにより、軸方向シール手段の径方向突
出部材による径方向微小隙間を通常の大きさ並みにして
も、十分なシール性能を確保できる。したがって、回転
軸が径方向に大きく振動する場合、及び作動温度が高い
場合のいずれの場合でもシール性能の低下を防止でき
る。
【0096】また請求項4記載の発明によれば、高圧側
の急激な昇圧により摺動部材が瞬間的に移動し、固定側
に万一接触しそうになった場合が生じても、接触による
衝撃を緩和することができる。また摺動部材の軸方向の
振動を抑える効果もある。さらに、組立誤差の影響によ
る接触の可能性も確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラビリンスシールの第1の実施の形態
の軸方向断面構造を示す上半図であって、運転前の静止
時、運転時、回転軸が伸びている途中の状態、及び回転
軸が伸びきった後の状態をそれぞれ示す図である。
【図2】本発明のラビリンスシールの第1の実施形態を
適用する多段圧縮機の軸方向断面の上半図である。
【図3】本発明のラビリンスシールの第2の実施の形態
の静止時及び回転時における軸方向断面の上半図であ
る。
【図4】本発明のラビリンスシールの第3の実施の形態
の静止時及び回転時における軸方向断面の上半図であ
る。
【図5】本発明のラビリンスシールの第4の実施の形態
の静止時及び回転時における軸方向断面の上半図であ
る。
【図6】本発明のラビリンスシールの第5の実施の形態
の静止時及び回転時における軸方向断面の上半図であ
る。
【図7】本発明によるラビリンスシールにおいて、軸方
向フィン部を回転軸の外周部からシールリングの内周部
に向けて設置する変形例の形態の静止時及び回転時にお
ける軸方向断面の上半図である。
【符号の説明】
4 シールリング(摺動部材) 4A〜D シールリング(摺動部材) 5 軸方向フィン部(第1の径方向突出部材、軸方向シ
ール手段) 6 フランジ(略環状部材) 6A,B フランジ(略環状部材) 7 径方向突出部(第2の径方向突出部材、径方向シー
ル手段) 7A 径方向突出部(第2の径方向突出部材、径方向シ
ール手段) 12 造隙被削コーティング 14 スプリング 19 径方向突出部(第2の径方向突出部材、径方向シ
ール手段) 21 軸方向フィン部(第1の径方向突出部材、軸方向
シール手段) 50 流体通路 100 多段圧縮機(流体機械) 102 回転軸(回転部) 102A 回転軸(回転部) 103a〜f 羽根車(回転部) 107a〜c 両端ラビリンスシール 107A〜E ラビリンスシール 108 羽根車ラビリンスシール 109 段間ラビリンスシール 110 両端シール固定部(固定部) 111 羽根車シール固定部(固定部) 112 羽根車前方側板(回転部) 113 段間シール固定部(固定部) 114 羽根車吸気口 115 羽根車排気口 116 圧縮機のジャーナル軸受 117 圧縮機のスラスト軸受 F 押圧力 G 回転軸の熱膨張伸び方向 δr 径方向隙間 δa 軸方向隙間 δ1 シールリング本体と両端シール固定部との軸方向
隙間 δ2 シールリング本体とスプリングとの軸方向隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H003 AA06 AB07 AC02 BC01 CA01 3H022 AA02 BA06 CA01 CA33 DA01 DA11 3J042 AA03 BA01 CA11 CA12 DA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも回転軸を備えた回転部とその周
    囲の固定部との間で高圧側から低圧側への流体通路の漏
    れを抑制するラビリンスシールにおいて、 前記回転部に設けた略環状部材と、 前記固定部に軸方向に摺動可能に設けた摺動部材と、 前記流体通路に設けられ、前記摺動部材の内周部または
    前記回転部の外周部に、第1の径方向突出部材を軸方向
    に少なくとも1段配設した軸方向シール手段と、 前記流体通路に設けられ、前記摺動部材と前記略環状部
    材が協働して形成する径方向シール手段とを備え、 前記高圧側と前記低圧側の差圧により前記摺動部材が前
    記径方向シール手段の隙間を小さくする方向に摺動する
    ことを特徴とするラビリンスシール。
  2. 【請求項2】請求項1記載のラビリンスシールにおい
    て、 前記径方向シール手段は、前記摺動部材に第2の径方向
    突出部材又は軸方向突出部材を設け、この突出部材の少
    なくとも先端部を前記略環状部材の側面に対向させて、
    径方向における流体の漏れを抑制することを特徴とする
    ラビリンスシール。
  3. 【請求項3】請求項1記載のラビリンスシールにおい
    て、 前記径方向シール手段は、前記略環状部材の少なくとも
    先端部を、前記摺動部材の軸方向側面、又は前記摺動部
    材に設けた第3の径方向突出部材の軸方向側面に対向さ
    せて、径方向における流体の漏れを抑制することを特徴
    とするラビリンスシール。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか1項記載のラビ
    リンスシールにおいて、 前記固定部と前記摺動部材との間に軸方向に衝撃緩和用
    スプリングを設けたことを特徴とするラビリンスシー
    ル。
  5. 【請求項5】少なくとも回転軸を備えた回転部とその周
    囲の固定部との間で軸方向に圧力差のある流体通路を備
    えた流体機械において、 前記回転部に設けた略環状部材と、 前記固定部に軸方向に摺動可能に設けた摺動部材と、 前記流体通路に設けられ、前記摺動部材の内周部または
    前記回転部の外周部に、第1の径方向突出部材を軸方向
    に少なくとも1段配設した軸方向シール手段と、 前記流体通路に設けられ、前記摺動部材と前記略環状部
    材が協働して形成する径方向シール手段とを備え、 前記高圧側と前記低圧側の差圧により前記摺動部材が前
    記径方向シール手段の隙間を小さくする方向に摺動する
    ことを特徴とする流体機械。
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