JP2002017798A - 電動採便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 寝たきりの人の介護で、排尿、排便のおむつ
交換の仕事が最も大変なので、おむつによらずに排便が
できるように、差し込み便器に便の吸引装置と局部洗浄
装置を取り付けて、寝たままで排便と局部洗浄ができる
ようにして、介護の仕事を軽減させることが課題であ
る。 【解決手段】 寝たままで排便できる空気入りのゴム製
差し込み便器に、前カバーと温水の洗浄シャワーをつ
け、排便と洗浄した汚水をホースで蓄便槽に電動のポン
プで吸引して蓄え、蓄便槽をトイレに移動して汚物を捨
てる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、介護用の排便、排尿器
具で、寝たままで用便ができ、そのうえ局部を温水でシ
ャワー洗浄して、その汚水と便を電動で吸引して採る装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の寝たきり状態の人のための介護用
便器は、差し込み便器や尿だけの電動採尿器があった
が、寝たままで大便も採って吸引処理をし、さらに、シ
ャワー洗浄までできる装置はなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとしている課題】寝たきり状態の人
の排便、排尿の処理は、通常はおむつによる方法なの
で、介護をする者にとって、おむつの交換と局部清浄は
介護の中で最も大変な仕事である。この排便、排尿をお
むつによらずに便器を用いて行い、これを便槽に吸引し
て処理し、さらに、局部洗浄できる装置を開発して、介
護の仕事を軽減し、また、介護を受ける人にも心の負担
を少なくするとともに、局部洗浄によって清潔を保つよ
うにすることが課題である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

【０００５】これらの課題を解決するために、寝たまま
でも排便、排尿できる差し込み便器にして、これに洗浄
シャワー装置を取り付ける。差し込み便器をベットに入
れて使用し、排便後、局部をシャワー洗浄して、便と洗
浄した汚水を便送ホースでベットの下に置いた蓄便槽に
空気ポンプで吸引して蓄えるようにする。

【０００６】空気ポンプと蓄便槽、及び、温水シャワー
用の温水タンクは、キャスター付きのボックスにコンパ
クトに納め、ワンタッチで着脱できる便送ホースと温水
ホースをつける。ボックスはベットの横に置いて使用
し、キャスターで容易に移動できるようにする。

【０００７】差し込み便器は、空気入りのゴム製マット
式でソフトに体にフィットするようにつくり、便器の人
体に接する面には便座をつける。便座はソフトな布製で
取り外して洗濯できるようにマジックテープ（登録商
標）で取り付ける。便器の空気は、足踏み空気ポンプで
入れ、空気の量で簡単に高さを変えられるようにする。
また、便器の前の部分に、排尿の際に外に漏れないよう
に男女兼用の硬ゴム製の前カバーを取り付け、使用時に
局部の方に倒してあてるようにする。差し込み便器につ
ける便送ホースと温水ホースもワンタッチで着脱できる
ようにし、便器をベットに差し込んで適する位置に置い
てから、両ホースを取り付ける。また、ホースをはずし
て、便器を洗浄できるようにする。便器は常時使用する
ので、便器の空気は、使用者の体に適する高さの量を入
れたままにして、ときどき補う程度にする。

【０００８】洗浄シャワーの放水ノズルは、前カバーの
内面に排尿用と排便用のものを取り付ける。また、便器
の後部に便を流し出すノズルをつける。洗浄シャワーの
放水は、使用者が手元で操作できるリモコンを用いて自
由に操作し、好きなだけ使用できるようにする。シャワ
ー洗浄後は、タオルで水を拭き取るだけで、快適に排便
を済ませることが出来る。

【０００９】洗浄シャワーの温水は、ボックス内の電熱
保温付きの温水タンクに注入口より適温の湯を入れて保
温し、充分に使用できる量を保つように外から見える簡
易水位計をつける。温水タンクは、注入口を閉めると密
閉状態になるので、空気ポンプで加圧しておき、加圧に
よって適当な強さのシャワーがノズルから放水されるよ
うにして、シャワーの強さは使用者の適した強さに調節
出きるようにリモコンに調節ダイヤルをつける。温水タ
ンクの圧力が下がったとき、自動的に空気ポンプが作動
して、タンク内を加圧するように圧力センサーをつけ
る。

【００１０】排尿、排便とシャワーの汚水は、便器の便
送ホースの取り付け部分に尿やシャワーの水に感知する
水センサーを取り付けておき、尿や汚水が流れてきたと
き、自動的に空気ポンプのスイッチが入って、蓄便槽内
の空気を吸引して減圧し、便送ホースで便と汚水を、減
圧によって吸引して蓄便槽に送る。この際に、空気ポン
プの排気口に脱臭剤入りのフィルターをつけ臭気が外に
漏れないようにする。排気の一部を温水タンクに取り入
れてタンク内を加圧するようにする。また、便送ホース
と温水ホースは、体に触れるので感触の良い布巻きのゴ
ム製とし、できれば内面を汚れ防止のテフロン（登録商
標）等の加工処理を施すとよい。

【００１１】温水タンクの加圧のための送気と、蓄便槽
の減圧のための排気は、ボックスに取り付けた兼用の電
動空気ポンプを用いて行う。

【００１２】さらに、蓄便槽に蓄えた汚物は、ボックス
の便送ホースと温水ホースをはずして、キャスターを用
いて楽に搬送できるようにする。トイレに搬送して、ボ
ックスの蓄便槽の取っ手を持ってを適当な高さまで持ち
上げて、ボックスの扉を開け、排出ホースの蓋をとって
トイレの便槽に汚物を流して捨てる。ボックスの蓄便槽
に接する両壁には、蓄便槽を適当な高さに留めるストッ
パー用のつめを付けて、蓄便槽の汚物をトイレに排出す
る際に、蓄便槽を持ち上げて留め、落差を利用して楽に
きれいに捨てられるようにする。流し終えたら排出ホー
スをトイレの便槽に入れたまま、蓄便槽に水を入れて軽
く洗浄しておけば、蓄便槽と排出ホースがきれいに保た
れる。蓄便槽のストッパーをはずすには、蓄便槽を軽く
持ち上げながら、ボックス下部の足踏みバーを踏み押せ
ば、簡単につめがはずせて、蓄便槽を下ろすことができ
る。

【００１３】本装置を活用するためには、パジャマのズ
ボンを着物用ももひきのように、股開きで合わせ閉じの
タイプにすると、ズボンの着脱なしで本装置を用いて排
便をすることができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】実施例について図面を参照して説
明する。図１のように、空気マットのように軟質のゴム
製の差し込み便器１とキャスター２３付きのボックス２
の二体が、便送ホース３と温水ホース４の二本のホース
で接続された形態をしている。便送ホース３や温水ホー
ス４の両端には、差し込み便器１とボックス２との接合
が簡単で、漏水のないワンタッチ型のジョイント２１
ａ、２１ｂを用いて確実に接合させる。ボックス２の中
には、中央に蓄便槽５をおき、左右に空気ポンプ６と温
水タンク７が納められている。電源はＡＣコード３２で
室内のコンセントからとる。

【００１５】図２のように、差し込み便器１は、ベット
１０の中に入れてから、便送ホース３と温水ホース４で
ボックス２に接続して、便座１１の上に体をのせ、可能
ならば背中を少し起こした状態にベット１０を背上げし
て、便器の前部につけた尿漏れを防ぐ前カバー１２を局
部にあててから使用する。図３のように、差し込み便器
１は空気マット式の軟質ゴム製で空気口８より足踏み空
気入れ９を用いて空気を入れ、空気の量で利用者に適す
る高さに調節する。また、図３、図４のように、便器の
上面には、使用時の不快感を除き便漏れを防ぐように布
製の便座１１がマジックテープで取り付けて、簡単に取
り外して洗濯できるようにする。

【００１６】図５、図６に示すように、洗浄用の温水
は、ボックス２内の温水タンク７の注入口１９より適温
の湯を入れ、電熱で保温する。温水タンク７の注入口１
９を閉めて密閉状態にして、空気ポンプ６で加圧してお
き、圧力が下がったときには、圧力センサーが感知し
て、空気ポンプが自動的に作動し、一定の圧力が保て
る。電動の温水栓２０を開栓すると、温水タンク７の温
水は、温水ホース４で差し込み便器１に運ばれる。

【００１７】洗浄シャワーは、図７、図８のように、差
し込み便器１の前部に取り付けた前カバー１２は、硬質
ゴム製でおわん型の湾曲面にして、その周縁には局部に
密着するように撥水性のスポンジ１２ａを張り付ける。
この内面に排尿用ノズル１３があり、前カバー１２の軸
の部分には排便用ノズル１４があって、使用時に、前カ
バー１２を局部にあてると排尿用ノズル１３と、排便用
ノズル１４からの放水が各局部に当たるようする。図９
に示したリモコン１７のボタンスイッチ１８ａを押し
て、ボックス２内の温水栓２０を開けると、加圧された
温水が各ノズルから放水するので、排尿と排便の両方の
局部が同時に温水でシャワー洗浄できる。洗浄後は、ボ
タンスイッチ１８を押して温水栓２０を閉じて放水を停
止させる。また、図８のように、温水が枝管１５にも導
かれ、枝管は差し込み便器１のゴムマット内を通り、差
し込み便器１内の後部につけた流便用ノズル１６に接続
していて、局部洗浄と同時に、流便用ノズル１６からも
放水して便を便器から流し出す。また、リモコン１７に
水量調節ダイヤル１８ｂがあり、シャワーの水量を調節
できる

【００１８】便送ホース３の差し込み便器１との接続部
分に、尿やシャワーの汚水に感知する水センサー３１が
取り付けてあり、感知すると空気ポンプ６のスイッチが
入って蓄便槽５の空気が吸引されて蓄便槽５内が減圧す
る。このため、差し込み便器１の尿や便が洗浄した汚水
とともに吸引されて、便送ホース３を通り蓄便槽５に引
き込まれる。吸引が終わると自動的に空気ポンプ６のス
イッチが切れる。

【００１９】蓄便槽５の汚物を捨てる際には、ボックス
２の便送ホース３と温水ホース４をはずし、移動用引き
具２２でボックス２を静かに引いてトイレまで運び、図
１０のように、ボックス２内の蓄便槽５の吊り具２４を
持って引き上げて適当な高さにして、蓄便槽５の底をボ
ックス２の両側のストッパー用のつめ２５に掛けて留め
る。ボックス２の扉２９を開いて排出ホース２７を取り
出し、その蓋をとってトイレの便器３３に入れて、落差
を利用して汚物をトイレの便器に流し込む。流し終えた
ら、排出ホース２７をトイレの便器３３に入れたまま
で、蓄便槽５に水を入れて軽く洗浄して流しておけば、
蓄便槽５と排出ホース２７をきれいに保てる。ボックス
２につけたキャスター２３は、室内での移動を考慮し
て、ゴム車のものを使用する。

【００２０】蓄便槽５を高い位置で留めるストッパー装
置は、図１１、図１２のように、ボックス２内の中央の
左右の側面に角筒２８を取り付け、その中に鉄製のつめ
２５とつめ起こし金具２６をつけたものである。つめの
軸２５ａは角筒２８に固定されており、つめ起こし金具
２６は凸部がつめ２５に触れて、角筒２８の中を移動で
きるようになっている。つめ起こし金具２６を引き上げ
て置けば、蓄便槽５を持ち上げてその底が通過すると
き、つめ２５が倒れて底を支える。その仕組みは図１３
のように、つめ２５の鉄片の軸が下方にずれてついてい
るため、蓄便槽５が入っているときはに、つめ２５が蓄
便槽５の壁面に挟まれた状態になっていて倒れないの
で、蓄便槽５の移動を妨げないが、貯便槽５が引き上げ
られ底が通過すると同時に、つめ２５が内側に倒れて、
蓄便槽５の底を支えるようになる。蓄便槽５を元の位置
に降ろすには、図１２のように、蓄便槽５を少し持ち上
げながら、ボックス２の前下につけた足踏みバー３０を
踏んで、つめ起こし金具２６を引き下げてつめ２５が倒
れないように保てば、蓄便槽５を降ろすことができる。
つめ起こし金具２６の下端には、弱いばね３４が入って
おり、足踏みバー３０を離せば、つめ起こし金具２６は
はね上がって復帰し、次に便を排出するとき、蓄便槽５
を引き上げるだけで、つめ２５が倒れて留められる。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、上記のように構成されている
ので、次のような効果を奏する。

【００２２】寝たきり状態の人の、大小の排便がベット
の中で寝たままでできるうえ、温水でシャワー洗浄もで
き、洗浄後にタオルで水を拭き取ってやるだけなので、
これまでのおむつの取り替え、局部の拭き取りや洗浄な
どの介護の中で最も大変な仕事が軽減され、介護をする
者の仕事が非常に楽になる。また、介護を受ける側から
も、おむつの生活からくる精神的な苦痛と負担を軽くす
ることができ、人間の尊厳が守れて、闘病生活も明るく
なる。

【００２３】差し込み便器が空気マット式の空気入り軟
質ゴム製なので、使用者が抵抗なく快く排便を済ませる
ことができる。

【００２４】排便と洗浄の汚水がすぐにポンプで吸引さ
れ、蓄便槽に送られるので、臭気に悩むこともなくな
る。さらに、便の搬送もキャスター付きのボックスで蓄
便槽ごと運び、蓄便槽を高い位置に保ち、落差を利用し
てトイレに流し込むので、清潔にかつ楽に処理すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】蓄便槽や空気ポンプ、温水タンクの納まったボ
ックスと、差し込み便器を二本のホースで接続した状態
を示す全体図である。

【図２】差し込み便器をベットの中に入れて、使用して
いる状態を示す側面図である。

【図３】差し込み便器の上面図である。

【図４】差し込み便器の洗浄用シャワーのノズルを示す
側面図である。

【図５】便を貯える蓄便槽と温水タンク、空気ポンプを
納めたボックスの上面図である。

【図６】図５のボックスのＡ−Ａ面での縦断面図であ
る。

【図７】差し込み便器の前部に取り付ける前カバーの正
面図である。

【図８】前カバーに付けた洗浄用シャワーの排尿と排便
用ノズルを示す側面図である。

【図９】洗浄シャワーを操作するリモコンの図である。

【図１０】ボックスをトイレに運び、貯便槽を持ち上げ
て留め、便をトイレに排出している状態を示す図であ
る。

【図１１】蓄便槽を高い位置に留めたときのストッパー
装置を示す構造図である。

【図１２】蓄便槽を元の位置に降ろしたときのストッパ
ー装置を示す構造図である。

【図１３】ストッパー装置のつめとつめ起こし金具の仕
組みを示し、これを操作する足踏みバーを示した状態図
である。

【符号の説明】

１ 差し込み便器 ２ ボックス ３ 便送ホース ４ 温水ホース ５ 蓄便槽 ６ 空気ポンプ ７ 温水タンク ８ 空気口 ９ 足踏み空気入れ １０ ベット １１ 便座 １２ 前カバー １２ａ スポンジ １３ 排尿用ノズル １４ 排便用ノズル １５ 枝管 １６ 流便用ノズル １７ リモコン １８ａ ボタンスイッチ １８ｂ 水量調節ダイヤル １９ 注入口 ２０ 温水栓 ２１ａ、２１ｂ ジョイント ２２ 移動用引き手 ２３ キャスター ２４ 吊り具 ２５ つめ ２５ａ つめの軸 ２６ つめ起こし金具 ２７ 排出ホース ２８ 角筒 ２９ 扉 ３０ 足踏みバー ３１ 水センサー ３２ ＡＣコード ３３ 便器 ３４ ばね ３５ 軸

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前カバー（１２）をつけた空気入りの差
   し込み便器（１）と蓄便槽（５）をホースで連結し、排
   便をポンプによって吸引する電動採便器。
2. 【請求項２】 前カバー（１２）と差し込み便器（１）
   内に洗浄シャワー装置をつけた電動採便器。
3. 【請求項３】 洗浄用の温水タンク（７）と蓄便槽
   （５）及び、ポンプ（６）をまとめて、キャスター付き
   のボックス（２）に納めた電動採便器。