JPH042660Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、寝たままの状態で排泄を行わなけれ
ばならない病人や老人が可搬式の便器を用いて排
泄を行う際において、その排泄物を処理するため
の屎尿処理装置に関する。

従来の技術及び考案が解決しようとする問題点
寝たままの状態で排泄を行わなければならない病
人や老人が可搬式の便器を臀部に当てて排泄する
場合に、その排泄物の処理は、従来、看護者や付
添者が可搬便器を汚物処理室または便所へ持つて
いき、可搬便器の中の排泄物を汚物処理槽内また
は便所の便器に棄てるとともに可搬便器内を洗浄
するという手順で行われていたが、このような方
法は、上記のような煩わしい手間を要するために
看護者や付添者の負担が大きいばかりでなく、排
泄物を棄てるときや可搬便器を洗浄するときに排
泄物が飛び散つて看護者や付添者の衣服等に付着
する恐れがあるために、衛生上の面でも問題があ
つた。

このため、特公昭62−2535号公報及び特開昭61
−149148号公報に、可搬便器と可搬タンクを可撓
ホースで接続した装置が提案されているが、可搬
タンクから悪臭が室内に充満する欠点があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は、上記問題点を解決するための手段と
して、寝たままで排泄を行わなければならない病
人または老人の病室または居室に常閉式の吸引口
を設けるとともに、負圧の作用により吸引力を発
生させる屎尿タンクを室外に設置して吸引口との
間に屎尿吸引管を配設し、排泄の際に病人または
老人の臀部に当てて用いる可搬便器を、その可搬
便器の底面に開口した排出口に連通する屎尿吸引
ホースを介して吸引口に着脱自由に接続するよう
にし、かつ、そのホースが接続された場合にのみ
その吸引口が開口するようにし、可搬便器を、そ
の可搬便器の内周に開口した水流出口に連通する
水供給ホースを介すことにより、水タンク、水道
管等の水供給源に接続した構成とした。

なお、上記構成において、可搬便器に、その可
搬便器の臀部に接触する便座を暖める保温装置を
設けるようにしてもよく、また、病人または老人
の排泄により汚れた排泄器官に向けて水または温
水を噴出させる洗浄装置を設けるようにしてもよ
く、さらに、洗浄装置の作動によつて濡れた排泄
器官に向けて温風を噴出させる乾燥装置を設ける
ようにしてもよい。

考案の作用及び効果 本考案は上記構成になり、病人または老人が可
搬便器内に排泄した後は、水供給源から水を可搬
便器に供給してその内周の水流出口から流出させ
るとともに屎尿タンクに吸引力を発生させると、
可搬便器内の排泄物は、可搬便器の内周を洗い流
す水とともに排出口内に吸い込まれて屎尿吸引ホ
ース及び屎尿吸引管を通ることにより屎尿タンク
内に貯留され、このとき、屎尿吸引ホース内と屎
尿吸引管内は排泄物とともに流れる水によつて洗
浄されるのであつて、排泄物の処理を病人または
老人の病室または居室内において水洗式で行うよ
うにしたから、可搬便器を汚物処理室または便所
へ持つていき、排泄物を汚物処理槽内または便所
の便器に棄てて可搬便器内を洗うという煩わしい
作業が不要となつて、看護者や付添者の負担を著
しく軽減することができるとともに、従来のよう
に排泄物が飛び散つて看護者や付添者の衣服等に
付着する恐れがなく、また、屎尿タンクを室外に
設け、室内には常閉式の吸引口を設けただけであ
るから、不使用時はもちろん、使用中にも悪臭が
放出されることがなくて衛生環境を良好に保てる
効果がある。

上記構成において、可搬便器に、その可搬便器
の臀部に接触する便座を暖める保温装置を設けた
場合には、臀部に冷たい可搬便器が接触すること
によつて便意が失せるのを防止することができ、
また、病人または老人の排泄により汚れた排泄器
官に向けて水または温水を噴出させる洗浄装置を
設けた場合には、排泄後に排泄器官の汚れをきれ
いに除去することができて衛生的であり、さら
に、洗浄装置を設けた場合において、洗浄装置の
作動によつて濡れた排泄器官に向けて温風を噴出
させる乾燥装置を設けると、濡れた排泄器官を乾
かすことができる。

実施例 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

寝たままの状態で排泄を行わなければならない
病人または寝たきり老人のための複数の病室また
は居室１を設けた建物の一室２には、下面に開閉
弁４を介して接続した排出管５により図示しない
屎尿処理槽に連通された屎尿タンク３が固設され
ており、その屎尿タンク３の上端部には、各室１
の壁面に設置した屎尿処理操作用スイツチ６の操
作により作動して屎尿タンク３内を減圧すること
により吸引力を発生させる真空ポンプ８が接続さ
れているとともに、各室１との間に配管された屎
尿吸引管９の流出側の端部が接続されている。

この屎尿吸引管９は建物のパイプスペース１０
内において複数に分岐していて、各分岐管９ａの
流入側の端部は、夫々、病室または居室１に連通
して、その壁面への開口部に吸引口コネクタ１１
が取り付けられており、この吸引口コネクタ１１
には、常には病室または居室１側と屎尿タンク３
側との間を気密に遮断する閉弁状態に保持される
とともに、各室１の屎尿処理操作用スイツチ６の
操作により真空ポンプ８の駆動に連動して開弁さ
れる開閉弁１２が装着されている。

また、病室または居室１の壁面には、図示しな
い水道管に接続され、下面に給水口コネクタ１５
を備えた水タンク１４が固設されていて、この水
タンク１４は、屎尿処理操作用スイツチ６の操作
による真空ポンプ８の駆動動作及び吸引口コネク
タ１１の開閉弁１２の開弁動作に連動して、貯留
した水を給水口コネクタ１５から流出するように
なつている。

図において、２０は、前端側ほど厚さが薄くな
り、上面にその周縁部を残して中央部を開口させ
ることにより便座２１の形成された可搬便器であ
つて、その内周には、底面に排出口２２が形成さ
れているとともに便座２１の下側に隠れる位置に
多数個の水流出口２３が形成され、可搬便器２０
の後部には、基端が排出口２２に連通し、先端が
屎尿吸引管９の壁面の吸引口コネクタ１１にワン
タツチ操作により着脱される屎尿吸引ホース２４
が装着されているとともに、基端が水流出口２３
に連通し、先端が水タンク１４の給水口コネクタ
１５にワンタツチ操作により着脱される水供給ホ
ース２５が装着されている。

この可搬便器２０には、その便座２１を暖める
図示しないヒーターが内蔵されていて、リモコン
スイツチ２６の操作によりその温度調節が行われ
るようになつている。さらに、可搬便器２０の内
側後部には、先端に略上向きの噴出口２８を有す
る洗浄用ノズル２７が装着されていて、リモコン
スイツチ２６の操作により、常には後方に退避し
ている洗浄用ノズル２７が前方へ突出するととも
に噴出口２８から水または温水をシヤワー状に噴
出するようになつており、同じく可搬便器２０の
内側後部には、カバー３０で覆われた温風噴出口
３１が形成されていて、リモコンスイツチ２６の
操作によりカバー３０が開くとともに温風噴出口
３１から温風が噴き出すようになつている。

次に、上記構成になる本実施例装置の使用方法
を説明すると、看護者または付添者が可搬便器２
０の便座２１を病人または老人の臀部に当てて排
泄を促し、このときに、可搬便器２０の便座２１
の温度が体温に比べて著しく低い場合には、リモ
コンスイツチ２６の操作で便座２１を暖めておく
ことにより便意が失せるのを防止する。可搬便器
２０の中に便が排泄された後は、リモコンスイツ
チ２６の操作により洗浄用ノズル２７を突出させ
て水または温水を汚れた排泄器官に向けて噴出さ
せることによりその汚れを除去するとともに、温
風噴出口３１から温風を噴出させることにより水
または温水によつて濡れた排泄器官を乾かす。

この後、可搬便器２０を臀部の下から外して、
壁面の屎尿処理操作用スイツチ６を操作すること
により真空ポンプ８を駆動するとともに水タンク
１４から可搬便器２０への水の供給及び吸引口コ
ネクタ１１の開閉弁１２の開弁を行うと、可搬便
器２０内の排泄物は、その水流出口２３から流れ
出る水により排出口２２内に押し流されて、屎尿
タンク３側からの吸引力により屎尿吸引ホース２
４、吸引口コネクタ１１の開閉弁１２及び屎尿吸
引管９を通ることによつて屎尿タンク３内に吸い
込まれてその中に貯留されるものであり、このと
きに、屎尿吸引ホース２４の内周及び屎尿吸引管
９の内周は、排泄物とともに流れる水によつて洗
浄される。

なお、可搬便器２０の排出口２２に屎尿処理操
作用スイツチ６により開閉される開閉弁を設け
て、可搬便器２０内の排泄物を洗い流すときに
は、その開閉弁を閉弁した状態において水タンク
１４から供給された水が排出口２２を覆う程度の
量だけ溜まつたところで、開閉弁が開弁すること
により排出口２２が開口して排泄物が屎尿タンク
３側からの吸引力により排出されるようにしても
よく、かかる構造とした場合には、可搬便器２０
内の屎尿タンク３の吸引力が作用したときに排出
口２２が水で覆われていて屎尿吸引ホース２４及
び屎尿吸引管９内が大気に開放されるのが防止さ
れるため、吸引効果が高いという利点がある。

可搬便器２０内の排泄物が洗い流されたら、屎
尿処理操作用スイツチ６を切ることによつて真空
ポンプ８の駆動と可搬便器２０内への水の供給を
停止するとともに吸引口コネクタ１１の開閉弁１
２を閉弁すればよく、以上により、排泄物の処理
が完了する。

上述のように、排泄物の処理は、看護者または
付添者が病室または居室１内にいたままで、しか
も、屎尿処理操作用スイツチ６の操作だけで簡単
に行われるため、従来のように可搬便器を汚物処
理室または便所に持つていつて排泄物を棄てたり
可搬便器内を洗うという煩わしい作業が不要であ
つて、看護者や付添者の負担が小さく、また、可
搬便器２０内の排泄物は水洗式によつて洗い流さ
れるため、従来のように排泄物を棄てたり可搬便
器を洗浄するときに排泄物が飛び散つて看護者や
付添者の衣服等に付着するという恐れがなく、極
めて衛生的である。

また、排泄物の処理を行わない間は、吸引口コ
ネクタ１１の開閉弁１２が閉弁していることによ
つて病室または居室１内と屎尿吸引管９とは気密
に遮断されているため、屎尿タンク３内の排泄物
の臭気が病室または居室１内に漂うのが防止され
るとともに、他の病室または居室１において排泄
物の処理が行われるときに吸引力が低下するのが
防止される。このとき、使用しない可搬便器２０
は、病室または居室１内に設けた図示しない収容
ケース内に収容しておけばよい。なお、この収容
ケースには、紫外線を発する殺菌ランプ等の殺菌
手段を設けることが望ましく、これにより、病室
または居室１内の衛生環境を良好に保つことがで
きる。

また、屎尿タンク３内の排泄物は、一定量貯留
されたところで屎尿タンク３の下面の開閉弁４を
開弁することによつて汚物処理槽内に排出すれば
よい。

本実施例においては、可搬便器２０の屎尿吸引
ホース２４と屎尿吸引管９との接続及び水供給ホ
ース２５と水タンク１４との接続を、夫々、吸引
口コネクタ１１と給水口コネクタ１５を介すこと
によるワンタツチの着脱式としたから、故障時の
修理等の際に可搬便器２０を屎尿吸引管９と水タ
ンク１４から取り外す作業を簡単に行うことがで
きる利点がある。

また、水供給ホース２５は、水道管に接続され
た水タンク１４に接続するようにしたが、これに
替えて、屎尿処理操作用スイツチ６により開閉さ
れる開閉弁を介して直接水道管に接続するように
してもよい。

同じく、本実施例においては、排泄物を屎尿タ
ンク３に吸引させる作動を行うための屎尿処理操
作用スイツチ６を壁面に設けたが、これに替え
て、可搬便器自体に設けるようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示し、第１図は
その断面図、第２図は可搬便器の拡大斜視図であ
る。 １……病室または居室、３……屎尿タンク、９
……屎尿吸引管、１４……水タンク、２０……可
搬便器、２１……便座、２２……排出口、２３…
…水流出口、２４……屎尿吸引ホース、２５……
水供給ホース、２７……洗浄用ノズル、３１……
温風噴出口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 寝たままで排泄を行わなければならない病人
   または老人の病室または居室に常閉式の吸引口
   を設けるとともに、負圧の作用により吸引力を
   発生させる屎尿タンクを室外に設置して前記吸
   引口との間に屎尿吸引管を配設し、排泄の際に
   病人または老人の臀部に当てて用いる可搬便器
   を、該可搬便器の底面に開口した排出口に連通
   する屎尿吸引ホースを介して前記吸引口に着脱
   自由に接続するようにし、かつ、該ホースが接
   続された場合にのみ該吸引口が開口するように
   し、前記可搬便器を、該可搬便器の内周に開口
   した水流出口に連通する水供給ホースを介すこ
   とにより、水タンク、水道管等の水供給源に接
   続したことを特徴とする屎尿処理装置。 ２ 前記可搬便器に、該可搬便器の臀部に接触す
   る便座を暖める保温装置を設けたことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の屎尿
   処理装置。 ３ 前記可搬便器に、病人または老人の排泄によ
   り汚れた排泄器官に向けて水または温水を噴出
   させる洗浄装置を設けたことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項または第２項記載の
   屎尿処理装置。 ４ 前記可搬便器に、前記洗浄装置の作動によつ
   て濡れた排泄器官に向けて温風を噴出させる乾
   燥装置を設けたことを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第３項記載の屎尿処理装置。