JP2002017389A - 茸細胞外多糖体の製造方法 - Google Patents
茸細胞外多糖体の製造方法Info
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- C12P19/04—Polysaccharides, i.e. compounds containing more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic bonds
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 菌糸の形態をはじめ、液体培地内での流動学
的特性を最適化して茸、特に霊芝茸からより効率的に、
またより安定的に細胞外多糖体を産生させる茸細胞外多
糖体の製造方法を提供する。 【解決手段】 アンモニウムイオンを添加したpH2〜
6の液体培地にて菌糸体を培養する菌糸体培養工程と、
この菌糸体培養工程により得られた菌糸体をpH3〜7
の液体培地にて培養して細胞外多糖体を産生させる多糖
体生産工程を備える。
的特性を最適化して茸、特に霊芝茸からより効率的に、
またより安定的に細胞外多糖体を産生させる茸細胞外多
糖体の製造方法を提供する。 【解決手段】 アンモニウムイオンを添加したpH2〜
6の液体培地にて菌糸体を培養する菌糸体培養工程と、
この菌糸体培養工程により得られた菌糸体をpH3〜7
の液体培地にて培養して細胞外多糖体を産生させる多糖
体生産工程を備える。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茸細胞外多糖体
(Exopolysaccharides)の製造方法
に関するもので、より詳細には初期の液体培地内の環境
をpH2〜6に調整し、選択的にアンモニウムイオンを
添加する茸菌糸体を生産する工程と、上記菌糸体を含む
液体培地内の環境をpH3〜7に調整してより効率的に
細胞外多糖体を生産する工程からなる2段階の工程を含
む茸細胞外多糖体の製造方法に関する。
(Exopolysaccharides)の製造方法
に関するもので、より詳細には初期の液体培地内の環境
をpH2〜6に調整し、選択的にアンモニウムイオンを
添加する茸菌糸体を生産する工程と、上記菌糸体を含む
液体培地内の環境をpH3〜7に調整してより効率的に
細胞外多糖体を生産する工程からなる2段階の工程を含
む茸細胞外多糖体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】茸は、食品及び生薬等の素材として非常
に多くの関心が高まっているが、茸の主成分である多糖
類は茸や分泌物に存在して生物工学に応用されている。
最近、培養ろ液から細胞多糖を直接製造することによ
り、抽出工程を省略することができると共に比較的簡単
な精製が可能であるので、細胞外多糖に関する研究が盛
んになっている。しかし、細胞外多糖による菌糸体の大
量生産工程は、細胞外多糖の低い収率、粘度及び形態変
化による培養液の物性変化等の制約によって極めて難し
い実状がある。菌糸体の生育による培養液の粘度増加
は、酸素伝達の制限と剪断応力を増加させるため、高い
剪断応力は菌糸形態を変化させて菌糸の生育減少を誘発
し、これがさらに細胞外多糖の生成を減少させることと
なる。
に多くの関心が高まっているが、茸の主成分である多糖
類は茸や分泌物に存在して生物工学に応用されている。
最近、培養ろ液から細胞多糖を直接製造することによ
り、抽出工程を省略することができると共に比較的簡単
な精製が可能であるので、細胞外多糖に関する研究が盛
んになっている。しかし、細胞外多糖による菌糸体の大
量生産工程は、細胞外多糖の低い収率、粘度及び形態変
化による培養液の物性変化等の制約によって極めて難し
い実状がある。菌糸体の生育による培養液の粘度増加
は、酸素伝達の制限と剪断応力を増加させるため、高い
剪断応力は菌糸形態を変化させて菌糸の生育減少を誘発
し、これがさらに細胞外多糖の生成を減少させることと
なる。
【0003】既存の研究では、液体培地内にアンモニウ
ムイオンを添加しているが、アンモニウムイオンの添加
条件についての研究は殆どないのが実状である。但し、
糸状菌の場合、アンモニウムイオンを添加することによ
る菌糸の生育増加は、アンモニウムイオンが菌糸体への
炭素源の流入を促進するためであると説明されている。
さらに、抗生物質を産生する際には過剰のアンモニウム
イオンの添加は、菌糸体に対する抑制効果を示すと報告
された。
ムイオンを添加しているが、アンモニウムイオンの添加
条件についての研究は殆どないのが実状である。但し、
糸状菌の場合、アンモニウムイオンを添加することによ
る菌糸の生育増加は、アンモニウムイオンが菌糸体への
炭素源の流入を促進するためであると説明されている。
さらに、抗生物質を産生する際には過剰のアンモニウム
イオンの添加は、菌糸体に対する抑制効果を示すと報告
された。
【0004】一方、霊芝茸(Ganoderma lu
cidum)は、多孔菌科不老草属(Ganoderm
a)に属する担子菌で、その子実体を霊芝という。霊芝
茸は、旧来から高血圧、利尿、強壮、強心、胃腸治療等
において多様な薬効を発揮することが知られている。上
記霊芝の生産方法としては、これまで農家で主に利用し
た来た鋸屑栽培や原木栽培のような固体培養法がある
が、この固体培養法は培養期間が長く、多くの労働力が
要求されると共に子実体から多糖を抽出する工程が極め
て難しい問題があった。従って、このような問題を改善
するために、常に一定の条件下で培養が可能であり、均
一な品質の菌糸体を高効率で多量に得ることができ、ま
た低費用で生産できる液体培養法が最近広く試みられて
いる。しかし、このような液体培養法は、菌糸体から霊
芝茸の生理活性成分である多糖類(抗癌活性のβ−1,
3−glucan)の抽出工程が煩雑であり、さらに収
率が非常に低いので、産業的適用において制限が多いと
いう問題がある。
cidum)は、多孔菌科不老草属(Ganoderm
a)に属する担子菌で、その子実体を霊芝という。霊芝
茸は、旧来から高血圧、利尿、強壮、強心、胃腸治療等
において多様な薬効を発揮することが知られている。上
記霊芝の生産方法としては、これまで農家で主に利用し
た来た鋸屑栽培や原木栽培のような固体培養法がある
が、この固体培養法は培養期間が長く、多くの労働力が
要求されると共に子実体から多糖を抽出する工程が極め
て難しい問題があった。従って、このような問題を改善
するために、常に一定の条件下で培養が可能であり、均
一な品質の菌糸体を高効率で多量に得ることができ、ま
た低費用で生産できる液体培養法が最近広く試みられて
いる。しかし、このような液体培養法は、菌糸体から霊
芝茸の生理活性成分である多糖類(抗癌活性のβ−1,
3−glucan)の抽出工程が煩雑であり、さらに収
率が非常に低いので、産業的適用において制限が多いと
いう問題がある。
【0005】また、下等菌類に対する多様な研究とは異
なり、液体培養をする際に多孔菌科不老草属(Gano
derma)の菌糸体等の高等菌類である担子菌類にお
いては、形態学的及び流動学的特性に対する研究が不充
分であり、特に担子菌類と細胞外多糖体の生産との相関
性に対しては全く報告されていなかった。より詳しく
は、菌糸体及び細胞外多糖を大量生産するためには、こ
れらの関係を究明して、調整、制御することが重要であ
るといえる。特に、安定性及び生産性をより向上させる
ためには、培地組成及び培養条件を変えながら培養さ
せ、形態学的な変化や流動学的挙動を菌体濃度及び生成
物と関連させて検討する必要がある。さらに、pHをは
じめ、窒素源、菌糸体の形態や流動学的特性、菌糸体の
生育及び細胞外多糖体の産生との相関性に対しては、こ
れまであまり検討されておらず、これらに対する研究の
必要性が要求されている現状である。
なり、液体培養をする際に多孔菌科不老草属(Gano
derma)の菌糸体等の高等菌類である担子菌類にお
いては、形態学的及び流動学的特性に対する研究が不充
分であり、特に担子菌類と細胞外多糖体の生産との相関
性に対しては全く報告されていなかった。より詳しく
は、菌糸体及び細胞外多糖を大量生産するためには、こ
れらの関係を究明して、調整、制御することが重要であ
るといえる。特に、安定性及び生産性をより向上させる
ためには、培地組成及び培養条件を変えながら培養さ
せ、形態学的な変化や流動学的挙動を菌体濃度及び生成
物と関連させて検討する必要がある。さらに、pHをは
じめ、窒素源、菌糸体の形態や流動学的特性、菌糸体の
生育及び細胞外多糖体の産生との相関性に対しては、こ
れまであまり検討されておらず、これらに対する研究の
必要性が要求されている現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような研究の一環
として、本発明者らは、菌糸体の生育条件と細胞外多糖
体の生産条件との最適条件において互いに相違点がある
ことを見出し、それぞれの生産目的物に従って液体培地
における培養条件を最適化させて培養することにより効
率的に細胞外多糖体を得ることを見出して本発明を完成
した。
として、本発明者らは、菌糸体の生育条件と細胞外多糖
体の生産条件との最適条件において互いに相違点がある
ことを見出し、それぞれの生産目的物に従って液体培地
における培養条件を最適化させて培養することにより効
率的に細胞外多糖体を得ることを見出して本発明を完成
した。
【0007】従って、本発明は、菌糸体の培養工程と細
胞外多糖体の生産工程とにおいて、それぞれpH範囲が
異なる2段階によるpH調整を含む茸細胞外多糖体の大
量製造方法を提供することにその目的がある。
胞外多糖体の生産工程とにおいて、それぞれpH範囲が
異なる2段階によるpH調整を含む茸細胞外多糖体の大
量製造方法を提供することにその目的がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明における茸細胞外多糖体の製造方法は、アン
モニウムイオンを添加したpH2〜6の液体培地にて菌
糸体を培養する菌糸体培養工程と、この菌糸体培養工程
により得られた菌糸体をpH3〜7の液体培地にて培養
して細胞外多糖体を産生させる多糖体生産工程を備え
る。
め、本発明における茸細胞外多糖体の製造方法は、アン
モニウムイオンを添加したpH2〜6の液体培地にて菌
糸体を培養する菌糸体培養工程と、この菌糸体培養工程
により得られた菌糸体をpH3〜7の液体培地にて培養
して細胞外多糖体を産生させる多糖体生産工程を備え
る。
【0009】前記茸は霊芝茸であり、多孔菌科不老草属
(Ganoderma)に属する担子菌が好適であり、
前記菌糸体培養工程に用いる液体培地のpHが3〜4で
あることが好適であり、菌糸体培養工程に用いる液体培
地は、0.01〜5重量%のアンモニウムイオンを含む
ことが望ましい。また、多糖体生産工程に用いる液体培
地のpHが5〜6であることが好適であり、菌糸体培養
工程に用いる液体培地及び多糖体生産工程に用いる液体
培地は、各工程における培養過程で一定範囲のpHに維
持しても良い。
(Ganoderma)に属する担子菌が好適であり、
前記菌糸体培養工程に用いる液体培地のpHが3〜4で
あることが好適であり、菌糸体培養工程に用いる液体培
地は、0.01〜5重量%のアンモニウムイオンを含む
ことが望ましい。また、多糖体生産工程に用いる液体培
地のpHが5〜6であることが好適であり、菌糸体培養
工程に用いる液体培地及び多糖体生産工程に用いる液体
培地は、各工程における培養過程で一定範囲のpHに維
持しても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】このような本発明による茸細胞外
多糖体の製造方法について、以下具体的に説明する。茸
細胞外多糖体の製造方法は、アンモニウムイオンを添加
してpH2〜6の液体培地で菌糸体を培養する菌糸体培
養工程及びこの菌糸体培養工程により得られる菌糸体
を、pH3〜7の液体培地で培養して細胞外多糖体を産
生させるものである。
多糖体の製造方法について、以下具体的に説明する。茸
細胞外多糖体の製造方法は、アンモニウムイオンを添加
してpH2〜6の液体培地で菌糸体を培養する菌糸体培
養工程及びこの菌糸体培養工程により得られる菌糸体
を、pH3〜7の液体培地で培養して細胞外多糖体を産
生させるものである。
【0011】はじめに菌糸体を培養する菌糸体培養工程
について説明する。先ず、本発明で挙げられている代表
的な例として用いられる霊芝茸(Ganoderma)
は、ガノデルマ ルシダム(Ganoderma lu
cidum), ガノデルマアプラナータム(Gano
derma applanatum), ガノデルマ
ツガーエ(Ganoderma tsugae)、ガノ
デルマ ネオジャポニカム(Ganoderma ne
o−japonicum)、或いは多孔菌科不老草属
(Ganoderma) に属する全ての担子菌を含
む。上記菌株は、pH2〜6、より望ましくはpH3〜
4の液体培地にて培養する。その理由としては、液体培
地でpH条件が2未満であれば培地内の水素イオン濃度
が高過ぎて菌体の生育が阻害されるばかりでなく、細胞
外多糖体の生成も抑制される問題がある。一方で、pH
が6を超過すれば菌体の生育が抑制され、細胞外多糖体
の生成も徐々に減少するからである。
について説明する。先ず、本発明で挙げられている代表
的な例として用いられる霊芝茸(Ganoderma)
は、ガノデルマ ルシダム(Ganoderma lu
cidum), ガノデルマアプラナータム(Gano
derma applanatum), ガノデルマ
ツガーエ(Ganoderma tsugae)、ガノ
デルマ ネオジャポニカム(Ganoderma ne
o−japonicum)、或いは多孔菌科不老草属
(Ganoderma) に属する全ての担子菌を含
む。上記菌株は、pH2〜6、より望ましくはpH3〜
4の液体培地にて培養する。その理由としては、液体培
地でpH条件が2未満であれば培地内の水素イオン濃度
が高過ぎて菌体の生育が阻害されるばかりでなく、細胞
外多糖体の生成も抑制される問題がある。一方で、pH
が6を超過すれば菌体の生育が抑制され、細胞外多糖体
の生成も徐々に減少するからである。
【0012】また、上記液体培地のpHは、培養の初期
培地条件、若しくは培養工程中において、水酸化ナトリ
ウム(NaOH)を添加してpHを一定範囲に維持する
ことが望ましい。この時、上記pH調整用の水酸化ナト
リウム(NaOH)を過量使用すれば菌糸体が溶菌(l
ysis)されて減少する問題があるので、pH7を超
えない量とすることが望ましい。また、上記液体培地
は、0.01〜5重量%のアンモニウムイオンを選択的
に含むことが好適である。その理由としては、上記アン
モニウムイオン添加の有無、添加量が培養液の粘稠度指
数や流動指数等のような、培養中における流動学的挙動
に大きな影響を及ぼすからである。
培地条件、若しくは培養工程中において、水酸化ナトリ
ウム(NaOH)を添加してpHを一定範囲に維持する
ことが望ましい。この時、上記pH調整用の水酸化ナト
リウム(NaOH)を過量使用すれば菌糸体が溶菌(l
ysis)されて減少する問題があるので、pH7を超
えない量とすることが望ましい。また、上記液体培地
は、0.01〜5重量%のアンモニウムイオンを選択的
に含むことが好適である。その理由としては、上記アン
モニウムイオン添加の有無、添加量が培養液の粘稠度指
数や流動指数等のような、培養中における流動学的挙動
に大きな影響を及ぼすからである。
【0013】次工程としての茸細胞外多糖体を産生させ
る多糖体生産工程においては、上記最適化された菌糸体
培養工程から得られた菌糸体を含む培地に水酸化ナトリ
ウム(NaOH)を添加し、上記菌糸体培養工程におけ
る培地環境とは異なり、pH3〜7、より望ましくはp
H5〜6の液体培地で培養する。この時、液体培地のp
Hが3未満の場合、培養液の見かけ粘度が増加すること
により菌糸体に必要な培養液内の酸素移動を低下させる
問題があるので、細胞外多糖体の生成を阻害することと
なる。一方で、pH7を超過する場合には、菌糸体の溶
菌が生じるため望ましくない。また、上記液体培地のp
Hは培養初期の培地条件、若しくは培養工程中におい
て、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加してそのpH
を一定範囲に維持しながら、培養を進行させる。この
時、上記pH調整用の水酸化ナトリウム(NaOH)を
過量使用すると菌糸体の溶菌(lysis)により多糖
体の生成が減少する問題があるため、pH7を超えない
量を使用することが望ましい。
る多糖体生産工程においては、上記最適化された菌糸体
培養工程から得られた菌糸体を含む培地に水酸化ナトリ
ウム(NaOH)を添加し、上記菌糸体培養工程におけ
る培地環境とは異なり、pH3〜7、より望ましくはp
H5〜6の液体培地で培養する。この時、液体培地のp
Hが3未満の場合、培養液の見かけ粘度が増加すること
により菌糸体に必要な培養液内の酸素移動を低下させる
問題があるので、細胞外多糖体の生成を阻害することと
なる。一方で、pH7を超過する場合には、菌糸体の溶
菌が生じるため望ましくない。また、上記液体培地のp
Hは培養初期の培地条件、若しくは培養工程中におい
て、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加してそのpH
を一定範囲に維持しながら、培養を進行させる。この
時、上記pH調整用の水酸化ナトリウム(NaOH)を
過量使用すると菌糸体の溶菌(lysis)により多糖
体の生成が減少する問題があるため、pH7を超えない
量を使用することが望ましい。
【0014】一方、液体培養を行う時、培地内でのアン
モニウムイオンの有無が霊芝茸の細胞外多糖体の生産及
び菌糸体の生育に重要な影響を及ぼす。培養中の菌糸形
態は、培地内に添加されたアンモニウムイオンの濃度が
低濃度(0.01〜3g/L)から高濃度(5〜11g
/L)に移行すると、糸状(filamentous)
形態からペレット(pellet)形態に変わる。
モニウムイオンの有無が霊芝茸の細胞外多糖体の生産及
び菌糸体の生育に重要な影響を及ぼす。培養中の菌糸形
態は、培地内に添加されたアンモニウムイオンの濃度が
低濃度(0.01〜3g/L)から高濃度(5〜11g
/L)に移行すると、糸状(filamentous)
形態からペレット(pellet)形態に変わる。
【0015】また、培地中のアンモニウムイオン濃度が
低濃度の場合、液体培養の際に栄養成分の制限により菌
糸形態としては糸状にて現れるが、最適な細胞外多糖体
の産生は、アンモニウムイオンの濃度が低濃度の場合或
いは欠乏するような状態のときに認められる。なお、培
養液と培養ろ液との流動学的挙動は、ヘルシャル−バル
クレ−(Herschel−Bulkley)モデルと
よく一致し、アンモニウムイオンの濃度に由来する菌糸
の形態的変化は培養液内の流動学的挙動と比例関係を示
し、細胞外多糖体の生産とは反比例的な関係を示す。
低濃度の場合、液体培養の際に栄養成分の制限により菌
糸形態としては糸状にて現れるが、最適な細胞外多糖体
の産生は、アンモニウムイオンの濃度が低濃度の場合或
いは欠乏するような状態のときに認められる。なお、培
養液と培養ろ液との流動学的挙動は、ヘルシャル−バル
クレ−(Herschel−Bulkley)モデルと
よく一致し、アンモニウムイオンの濃度に由来する菌糸
の形態的変化は培養液内の流動学的挙動と比例関係を示
し、細胞外多糖体の生産とは反比例的な関係を示す。
【0016】一方、本発明において用いるエアリフト発
酵槽(air−lift fermentor)は、短
期培養において高密度の菌糸体を維持するために使用し
ており、従来のジャーファーメンタ(jar ferm
entor)を使用して2段階によるpHの調整方法を
通じて菌糸体の生育及び細胞外多糖体の生産を向上させ
て最適pHを見出すことも可能である。
酵槽(air−lift fermentor)は、短
期培養において高密度の菌糸体を維持するために使用し
ており、従来のジャーファーメンタ(jar ferm
entor)を使用して2段階によるpHの調整方法を
通じて菌糸体の生育及び細胞外多糖体の生産を向上させ
て最適pHを見出すことも可能である。
【0017】従って、本発明における茸細胞外多糖体の
製造方法では、上述したように培地中のアンモニウムイ
オンの濃度を調整し、流動学的挙動と形態学的な特性と
の相関関係により最適な菌糸体の生育及び細胞外多糖体
の生産が可能である。
製造方法では、上述したように培地中のアンモニウムイ
オンの濃度を調整し、流動学的挙動と形態学的な特性と
の相関関係により最適な菌糸体の生育及び細胞外多糖体
の生産が可能である。
【0018】次に本発明について実施例及び実験例によ
り具体的に説明する。なお、実施例は本発明をさらに詳
細に説明するものであり、これら実施例及び実験例に本
発明の範囲が限定されるものではない。
り具体的に説明する。なお、実施例は本発明をさらに詳
細に説明するものであり、これら実施例及び実験例に本
発明の範囲が限定されるものではない。
【0019】[実施例1]:2段階による培養(1) 本実施例において、菌株はガノデルマ ルシダム(Ga
noderma lucidum) ASI 7004
を使用した。ポテト・デキストロース・アガー(pot
ato dextrose agar:PDA)の平板
培地で30℃、7日間培養させた後、4℃で保存し、3
か月毎に継代培養して用いた。このように生育された菌
糸体について直径が5mmであるステンレス鋼管(st
ainless steel pipe)により菌糸体
ディスク(mycelium disk)を作製し、こ
の菌糸体ディスクの内から4つ或いは5つを50mlの
培地を入れた250mlの三角フラスコに接種した。3
0℃で7日間培養させた後、再度50mlの種菌用培地
を含んだ250mlの三角フラスコに5%(v/v)の
前培養を接種した。つづいて、30℃、100rpmで
5日間振とう培養した。その後、前培養は均質器(東洋
(株)、モデル0820)により30秒間均質化させて
本培養の接種用とし、実験毎に新たに培養して使用し
た。この時、種菌培養に使用した前培養の培地は、ソン
ら[Sone,Y.,Okuda,R.,Wada,
A.,Kishida,A.and Misaki,
A.,Structures and Antitum
or Activities ofthe Polys
accharides Isolated from
Fruiting Body and the Gro
wing Cultureof Mycelium o
f Agricultural Biological
Chemistry,49(9),2642−265
0(1985)参照]が使用したガノデルマ アプラナ
ータム(Ganoderma applanatum)
の振とう培養用培地を使用した。本培養には、李ら[L
ee,S.Y.,Kang,T.S. and Le
e,M.C.,Condition of Exo−p
olysaccharide Production
fromSubmerged Mycelial Cu
lture of Ganoderma lucidu
m by Using Air−lift Ferme
nter System,Kor.J.Biotech
nol.Bioeng.,13(5),1−7(199
8)参照]が液体培養により細胞外多糖体生産の最適培
地として報告した培地[60g/Lのグルコース、6g
/Lの酵母抽出物、0.5g/LのKH2PO4、1g
/Lの(NH4)2HPO4]について、121℃で1
5分間加圧滅菌を行って使用した。
noderma lucidum) ASI 7004
を使用した。ポテト・デキストロース・アガー(pot
ato dextrose agar:PDA)の平板
培地で30℃、7日間培養させた後、4℃で保存し、3
か月毎に継代培養して用いた。このように生育された菌
糸体について直径が5mmであるステンレス鋼管(st
ainless steel pipe)により菌糸体
ディスク(mycelium disk)を作製し、こ
の菌糸体ディスクの内から4つ或いは5つを50mlの
培地を入れた250mlの三角フラスコに接種した。3
0℃で7日間培養させた後、再度50mlの種菌用培地
を含んだ250mlの三角フラスコに5%(v/v)の
前培養を接種した。つづいて、30℃、100rpmで
5日間振とう培養した。その後、前培養は均質器(東洋
(株)、モデル0820)により30秒間均質化させて
本培養の接種用とし、実験毎に新たに培養して使用し
た。この時、種菌培養に使用した前培養の培地は、ソン
ら[Sone,Y.,Okuda,R.,Wada,
A.,Kishida,A.and Misaki,
A.,Structures and Antitum
or Activities ofthe Polys
accharides Isolated from
Fruiting Body and the Gro
wing Cultureof Mycelium o
f Agricultural Biological
Chemistry,49(9),2642−265
0(1985)参照]が使用したガノデルマ アプラナ
ータム(Ganoderma applanatum)
の振とう培養用培地を使用した。本培養には、李ら[L
ee,S.Y.,Kang,T.S. and Le
e,M.C.,Condition of Exo−p
olysaccharide Production
fromSubmerged Mycelial Cu
lture of Ganoderma lucidu
m by Using Air−lift Ferme
nter System,Kor.J.Biotech
nol.Bioeng.,13(5),1−7(199
8)参照]が液体培養により細胞外多糖体生産の最適培
地として報告した培地[60g/Lのグルコース、6g
/Lの酵母抽出物、0.5g/LのKH2PO4、1g
/Lの(NH4)2HPO4]について、121℃で1
5分間加圧滅菌を行って使用した。
【0020】発酵槽(fermentor)は、上記李
らが自ら作製した3L(実質容量:working v
olume、2L)のエアリフト発酵槽(air−li
ftfermentor)にて、5%(v/v)の接種
量、30℃で2.5vvmの通気速度に固定して培養し
た。ここで、上記発酵槽は従来のジャーファーメンタ
(jar fermentor)と比較して剪断応力を
減らす同心通通気管内部ループ(concentric
draught−tube internal lo
op)形態の発酵槽であり、撒布器は円筒形セラミック
の形態の撒布器であり、蒸発した培地は培養器に接続さ
れた凝縮機により凝縮・回収された。
らが自ら作製した3L(実質容量:working v
olume、2L)のエアリフト発酵槽(air−li
ftfermentor)にて、5%(v/v)の接種
量、30℃で2.5vvmの通気速度に固定して培養し
た。ここで、上記発酵槽は従来のジャーファーメンタ
(jar fermentor)と比較して剪断応力を
減らす同心通通気管内部ループ(concentric
draught−tube internal lo
op)形態の発酵槽であり、撒布器は円筒形セラミック
の形態の撒布器であり、蒸発した培地は培養器に接続さ
れた凝縮機により凝縮・回収された。
【0021】このような菌株と培地を使用して、先ず液
体培地の初期pHを水酸化ナトリウム(NaOH)によ
りpH3に調整し、6時間、18時間、24時間、48
時間、72時間の期間培養した。この後、それぞれ培地
のpHを6に調整して、さらに継続して培養した。ま
た、これらについて24時間毎に6日間菌糸体の最大菌
糸体乾燥重量(mycelial dry weigh
t:MDW)と細胞外粗多糖(crude exo−p
olysaccharide:EPS)を測定した。そ
の結果は図1及び図2に示したとおりである。菌糸体の
最大菌糸体乾燥重量(MDW)は18.4g/Lであ
り、細胞外粗多糖(EPS)は7.27g/Lを得た。
この時、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量の測定方法は、培
養液を10,000×gで15分間遠心分離し、沈殿し
た菌糸体を濾紙(filter paper;No.
2、Advantec社製)により濾過した後、蒸留水
を使用して2〜3回洗浄し、70℃で24時間にわたっ
て乾燥した後、デシケータ(desiccator)で
恒量になるまで放置し、菌糸体の重量を測定した。ま
た、細胞外多糖は、培養液を10,000×gで15分
間遠心分離して菌糸体を除去した後、得られた培養ろ液
に2倍量のアセトンを加えて析出した沈殿物を70℃で
24時間にわたって乾燥した後、重量を測定して定量す
る方法を採用した。
体培地の初期pHを水酸化ナトリウム(NaOH)によ
りpH3に調整し、6時間、18時間、24時間、48
時間、72時間の期間培養した。この後、それぞれ培地
のpHを6に調整して、さらに継続して培養した。ま
た、これらについて24時間毎に6日間菌糸体の最大菌
糸体乾燥重量(mycelial dry weigh
t:MDW)と細胞外粗多糖(crude exo−p
olysaccharide:EPS)を測定した。そ
の結果は図1及び図2に示したとおりである。菌糸体の
最大菌糸体乾燥重量(MDW)は18.4g/Lであ
り、細胞外粗多糖(EPS)は7.27g/Lを得た。
この時、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量の測定方法は、培
養液を10,000×gで15分間遠心分離し、沈殿し
た菌糸体を濾紙(filter paper;No.
2、Advantec社製)により濾過した後、蒸留水
を使用して2〜3回洗浄し、70℃で24時間にわたっ
て乾燥した後、デシケータ(desiccator)で
恒量になるまで放置し、菌糸体の重量を測定した。ま
た、細胞外多糖は、培養液を10,000×gで15分
間遠心分離して菌糸体を除去した後、得られた培養ろ液
に2倍量のアセトンを加えて析出した沈殿物を70℃で
24時間にわたって乾燥した後、重量を測定して定量す
る方法を採用した。
【0022】[実施例2]:2段階による培養(2) 13mg/dLのアンモニウムイオンを培地に添加し、さ
らに培養をして6時間が経過した後、液体培地内のpH
を6に調整して培養したことを除き、上記実施例1と同
様の方法により菌糸体の培養及び細胞外多糖を産生させ
た。これらにつき上記実施例1と同様の方法により菌糸
体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測定
した。その結果は図3に要約して示したとおりであっ
た。MDWは8.23g/Lであり、EPSは20.0
4g/Lを得た。
らに培養をして6時間が経過した後、液体培地内のpH
を6に調整して培養したことを除き、上記実施例1と同
様の方法により菌糸体の培養及び細胞外多糖を産生させ
た。これらにつき上記実施例1と同様の方法により菌糸
体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測定
した。その結果は図3に要約して示したとおりであっ
た。MDWは8.23g/Lであり、EPSは20.0
4g/Lを得た。
【0023】[実施例3]:2段階による培養(3) 培養を開始して2日が経過した後、液体培地のpHを6
に調整して培養を継続したことを除き、上記実施例2と
同様の方法により菌糸体及び細胞外多糖を培養した。ま
た菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多
糖(EPS)ついて、上記実施例1と同様の方法により
測定してその結果を図4に要約して示した。菌糸体の最
大菌糸体乾燥重量(MDW)は8.89g/Lであり、
細胞外粗多糖(EPS)は17.03g/Lを得た。
に調整して培養を継続したことを除き、上記実施例2と
同様の方法により菌糸体及び細胞外多糖を培養した。ま
た菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多
糖(EPS)ついて、上記実施例1と同様の方法により
測定してその結果を図4に要約して示した。菌糸体の最
大菌糸体乾燥重量(MDW)は8.89g/Lであり、
細胞外粗多糖(EPS)は17.03g/Lを得た。
【0024】上記実施例2及び3の結果に示されるとお
り、菌糸体の生育は、培養開始6時間及び2日が経過し
た後、pHを再調整した場合には、培養期間が5日まで
増加(8.23g/L及び8.89g/L)し、その後
に減少した点では、pHの再調整の時間に関わりなく一
致したが、図1に比較して乾燥菌体量はそれぞれ減少し
ている(81%及び49%)。しかしながら、特に、p
H3で6時間にわたって培養してからpH6に再調整し
た場合には、最大細胞外多糖(20.04g/L)を産
生することが確認された。
り、菌糸体の生育は、培養開始6時間及び2日が経過し
た後、pHを再調整した場合には、培養期間が5日まで
増加(8.23g/L及び8.89g/L)し、その後
に減少した点では、pHの再調整の時間に関わりなく一
致したが、図1に比較して乾燥菌体量はそれぞれ減少し
ている(81%及び49%)。しかしながら、特に、p
H3で6時間にわたって培養してからpH6に再調整し
た場合には、最大細胞外多糖(20.04g/L)を産
生することが確認された。
【0025】上記実施例2及び3の場合には、初期培養
時にアンモニウムイオンが急激に減少して、培養開始か
ら3日が経過した後にはほぼ枯渇し、この時点からグル
コースが急激に消費されて細胞外多糖の産生が徐々に増
加した。しかし、菌糸体の生育速度は、アンモニウムイ
オン濃度の減少に沿って低下する傾向を示し、水酸化ナ
トリウム(NaOH)を添加したことにより、溶菌現象
を起こして乾燥菌体量が低下する傾向を示した。しか
し、アンモニウムイオンがほぼ枯渇した時点から細胞外
多糖の産生速度が増加し、培養液中にアンモニウムイオ
ンが存在する場合には、多糖の産生が抑制されることが
確認された。
時にアンモニウムイオンが急激に減少して、培養開始か
ら3日が経過した後にはほぼ枯渇し、この時点からグル
コースが急激に消費されて細胞外多糖の産生が徐々に増
加した。しかし、菌糸体の生育速度は、アンモニウムイ
オン濃度の減少に沿って低下する傾向を示し、水酸化ナ
トリウム(NaOH)を添加したことにより、溶菌現象
を起こして乾燥菌体量が低下する傾向を示した。しか
し、アンモニウムイオンがほぼ枯渇した時点から細胞外
多糖の産生速度が増加し、培養液中にアンモニウムイオ
ンが存在する場合には、多糖の産生が抑制されることが
確認された。
【0026】[実施例4]:アンモニウムイオンを含有
しない培地の初期pHによる影響 アンモニウムイオンを含有しない培地中で初期pHをそ
れぞれ3、4、5、6に調整した後、9日間継続的に培
養し、12時間毎に上記実施例1と同様の方法により菌
糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖
(EPS)を測定した。また、その結果を図5の
(a)、(b)及び表1に要約して示した。
しない培地の初期pHによる影響 アンモニウムイオンを含有しない培地中で初期pHをそ
れぞれ3、4、5、6に調整した後、9日間継続的に培
養し、12時間毎に上記実施例1と同様の方法により菌
糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖
(EPS)を測定した。また、その結果を図5の
(a)、(b)及び表1に要約して示した。
【0027】
【表1】
【0028】[実施例5]:アンモニウムイオンを含有
しない培地のpH維持調整による影響 水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して液体培地のp
Hを一定範囲に維持調整したことを除き、上記実施例4
と同様の方法により9日間継続的に培養した。また、1
2時間毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最
大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)
を測定した。また、その結果を図6の(a)、(b)及
び表2に示した。
しない培地のpH維持調整による影響 水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して液体培地のp
Hを一定範囲に維持調整したことを除き、上記実施例4
と同様の方法により9日間継続的に培養した。また、1
2時間毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最
大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)
を測定した。また、その結果を図6の(a)、(b)及
び表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】[実施例6]:アンモニウムイオンを含む
培地の初期pHによる影響 1g/Lのアンモニウムイオンを液体培地中に添加した
ことを除き、上記実施例4と同様の方法により9日間継
続的に培養し、12時間毎に上記実施例1と同様の方法
により菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外
粗多糖(EPS)を測定した。また、その結果を図7の
(a)、(b)及び表3に示した。
培地の初期pHによる影響 1g/Lのアンモニウムイオンを液体培地中に添加した
ことを除き、上記実施例4と同様の方法により9日間継
続的に培養し、12時間毎に上記実施例1と同様の方法
により菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外
粗多糖(EPS)を測定した。また、その結果を図7の
(a)、(b)及び表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】[実施例7]:アンモニウムイオンを含む
培地のpH維持調整による影響 水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して液体培地のp
Hを一定範囲に維持調整したことを除き、上記実施例6
と同様の方法により9日間継続的に培養し、12時間毎
に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最大菌糸体
乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測定し
た。また、その結果を図8の(a)、(b)及び表4に
示した。
培地のpH維持調整による影響 水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して液体培地のp
Hを一定範囲に維持調整したことを除き、上記実施例6
と同様の方法により9日間継続的に培養し、12時間毎
に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最大菌糸体
乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測定し
た。また、その結果を図8の(a)、(b)及び表4に
示した。
【0033】
【表4】
【0034】上記実施例4乃至実施例7の結果から、乾
燥菌体量については、pH調整を行った場合及びpH調
整を行わない場合を含めて、全てのアンモニウムイオン
を含有した培地がアンモニウムイオンを含まない培地に
比して高いことが確認された。細胞外多糖の産生量につ
いては、アンモニウムイオンを含有しない培地が高いこ
とが確かめられた。また、pH調整を行った場合の乾燥
菌体量については、対応するpHにおいてそれぞれpH
調整を行わない場合よりも低かったが、多糖の産生量は
高かった。細胞外多糖の最大産生量は、pH6にpH調
整してアンモニウムイオンを含有しない培地から得ら
れ、その量は15.71g/Lであった。なお、上記実
施例2におけるpH3で6時間培養してからpH6に再
調整した場合には、最大細胞外多糖の産生量は、20.
04g/Lであり、この実施例5の場合の約1.28倍
に相当する。また、pH6で一定に維持調整した場合、
アンモニウムイオンを含有しない培地はアンモニウムイ
オンを含む培地に比して1.13倍に相当する多糖の産
生量増加を示したが、アンモニウムイオンを含む培地か
らの多糖の産生量は、pH調整を行わない場合に比較し
て約2.4倍増加し、アンモニウムイオンを含有しない
培地では約2.74倍の増加を示した。従って、ガノデ
ルマ ルシダム(Ganoderma lucidu
m)の細胞外多糖を製造する場合において、pH調整を
行うことがアンモニウムイオンを添加することと比較す
るとより効果的であると判断された。
燥菌体量については、pH調整を行った場合及びpH調
整を行わない場合を含めて、全てのアンモニウムイオン
を含有した培地がアンモニウムイオンを含まない培地に
比して高いことが確認された。細胞外多糖の産生量につ
いては、アンモニウムイオンを含有しない培地が高いこ
とが確かめられた。また、pH調整を行った場合の乾燥
菌体量については、対応するpHにおいてそれぞれpH
調整を行わない場合よりも低かったが、多糖の産生量は
高かった。細胞外多糖の最大産生量は、pH6にpH調
整してアンモニウムイオンを含有しない培地から得ら
れ、その量は15.71g/Lであった。なお、上記実
施例2におけるpH3で6時間培養してからpH6に再
調整した場合には、最大細胞外多糖の産生量は、20.
04g/Lであり、この実施例5の場合の約1.28倍
に相当する。また、pH6で一定に維持調整した場合、
アンモニウムイオンを含有しない培地はアンモニウムイ
オンを含む培地に比して1.13倍に相当する多糖の産
生量増加を示したが、アンモニウムイオンを含む培地か
らの多糖の産生量は、pH調整を行わない場合に比較し
て約2.4倍増加し、アンモニウムイオンを含有しない
培地では約2.74倍の増加を示した。従って、ガノデ
ルマ ルシダム(Ganoderma lucidu
m)の細胞外多糖を製造する場合において、pH調整を
行うことがアンモニウムイオンを添加することと比較す
るとより効果的であると判断された。
【0035】[比較例1]:アンモニウムイオンを含有
しない培地の初期pHによる影響 液体培地のpHを2に調整したことを除き、上記実施例
4と同様の方法により9日間継続的に培養し、12時間
毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最大菌糸
体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測定
した。また、その結果を図6a、図6b及び表5に示
す。その結果、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)
は0.8g/L、細胞外粗多糖(EPS)は1.70g
/Lを得た。
しない培地の初期pHによる影響 液体培地のpHを2に調整したことを除き、上記実施例
4と同様の方法により9日間継続的に培養し、12時間
毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最大菌糸
体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測定
した。また、その結果を図6a、図6b及び表5に示
す。その結果、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)
は0.8g/L、細胞外粗多糖(EPS)は1.70g
/Lを得た。
【0036】[比較例2]:アンモニウムイオンを含む
培地の初期pHの影響 液体培地内のpHを2と7に調整したことを除き、上記
実施例6と同様の方法により9日間継続的に培養し、1
2時間毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最
大最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EP
S)を測定した。また、その結果を図6a、図6b及び
表5に示す。その結果、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量
(MDW)は0.8g/L、細胞外粗多糖(EPS)は
1.70g/Lを得た。
培地の初期pHの影響 液体培地内のpHを2と7に調整したことを除き、上記
実施例6と同様の方法により9日間継続的に培養し、1
2時間毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最
大最大菌糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EP
S)を測定した。また、その結果を図6a、図6b及び
表5に示す。その結果、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量
(MDW)は0.8g/L、細胞外粗多糖(EPS)は
1.70g/Lを得た。
【0037】
【表5】
【0038】[比較例3]:アンモニウムイオンを含む
培地でpHの調整による影響 液体培地内のpHを2に調整したことを除き、上記実施
例7と同様の方法により9日間継続的に培養し、12時
間毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最大菌
糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測
定した。また、その結果を図6a、図6b及び表5に示
す。その結果、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)
は3.09g/L、細胞外粗多糖(EPS)は2.13
g/Lを得た。
培地でpHの調整による影響 液体培地内のpHを2に調整したことを除き、上記実施
例7と同様の方法により9日間継続的に培養し、12時
間毎に上記実施例1と同様の方法により菌糸体の最大菌
糸体乾燥重量(MDW)と細胞外粗多糖(EPS)を測
定した。また、その結果を図6a、図6b及び表5に示
す。その結果、菌糸体の最大菌糸体乾燥重量(MDW)
は3.09g/L、細胞外粗多糖(EPS)は2.13
g/Lを得た。
【0039】[実験例1]:菌糸の形態(1) アンモニウムイオンを含む培地にて、pH3で6時間に
わたって培養した後、pH6に再調整して2段階により
培養を行った上記実施例2において、その培養液内に存
在する菌糸の形態を観察するために、1mlの試料を無
作為に採取した後、同量の固定化溶液[13mlの40
%ホルムアルデヒド(formaldehyde)+5
mlの氷酢酸(glacial acetic aci
d)+200mlの50%(v/v)エタノール]によ
り固定させて20倍希釈した後、スライドガラスに希釈
した0.5mlの試料を噴射して通気・乾燥し、無水ア
ルコール(absolute alcohol)で洗浄
した後、メチレンブルー(methylene blu
e)で染色した。また、イメージ捕獲板(image
capturing board)を使用してパソコン
(PC:Samsung,Pentium(登録商標)
100)に連結したイメージ分析システム(Opti
mas Co.,U.S.A)により菌糸体の形態を観
察、分析し、その結果を図9及び図11に示した。
わたって培養した後、pH6に再調整して2段階により
培養を行った上記実施例2において、その培養液内に存
在する菌糸の形態を観察するために、1mlの試料を無
作為に採取した後、同量の固定化溶液[13mlの40
%ホルムアルデヒド(formaldehyde)+5
mlの氷酢酸(glacial acetic aci
d)+200mlの50%(v/v)エタノール]によ
り固定させて20倍希釈した後、スライドガラスに希釈
した0.5mlの試料を噴射して通気・乾燥し、無水ア
ルコール(absolute alcohol)で洗浄
した後、メチレンブルー(methylene blu
e)で染色した。また、イメージ捕獲板(image
capturing board)を使用してパソコン
(PC:Samsung,Pentium(登録商標)
100)に連結したイメージ分析システム(Opti
mas Co.,U.S.A)により菌糸体の形態を観
察、分析し、その結果を図9及び図11に示した。
【0040】[実験例2]:菌糸の形態(2) アンモニウムイオンを含む培地にて、pH3で2日間培
養した後、pH6に再調整して2段階により培養を行っ
た上記実施例3において、その培養液内に存在する菌糸
の形態を観察、分析したことを除き、上記実験例1と同
様の方法により試料を準備して菌糸体の形態を観察、分
析し、その結果を図10及び図11に示した。
養した後、pH6に再調整して2段階により培養を行っ
た上記実施例3において、その培養液内に存在する菌糸
の形態を観察、分析したことを除き、上記実験例1と同
様の方法により試料を準備して菌糸体の形態を観察、分
析し、その結果を図10及び図11に示した。
【0041】上記実験例1及び実験例2の結果による
と、培養条件に関わりなく菌糸体は、ペレットの形態と
して生育された。培養開始から6時間が経過した後に、
pHを再調整した場合には、培養の末期においても適正
な大きさと一定範囲の頻度数のペレットを維持した。し
かし、培養開始から2日が経過した後に、pHを再調整
した場合には、培養の中期からペレットの大きさ及び頻
度数が減少した。霊芝茸のペレットは培養初期に大きさ
が増加した後、培養時間が経過するにしたがい徐々に減
少する傾向を示した。特に、細胞外多糖の産生が最大と
なる培養開始6時間経過後に、pHを再調整した場合
(1.7〜2.4mm)には、培養開始2日経過後に、
pHを再調整した場合(0.99〜2.02mm)と比
較してペレットの平均直径が相対的に大きく、細胞外多
糖の産生においては、適正な大きさと一定範囲の頻度数
のペレットを維持することが有利であると判断された。
と、培養条件に関わりなく菌糸体は、ペレットの形態と
して生育された。培養開始から6時間が経過した後に、
pHを再調整した場合には、培養の末期においても適正
な大きさと一定範囲の頻度数のペレットを維持した。し
かし、培養開始から2日が経過した後に、pHを再調整
した場合には、培養の中期からペレットの大きさ及び頻
度数が減少した。霊芝茸のペレットは培養初期に大きさ
が増加した後、培養時間が経過するにしたがい徐々に減
少する傾向を示した。特に、細胞外多糖の産生が最大と
なる培養開始6時間経過後に、pHを再調整した場合
(1.7〜2.4mm)には、培養開始2日経過後に、
pHを再調整した場合(0.99〜2.02mm)と比
較してペレットの平均直径が相対的に大きく、細胞外多
糖の産生においては、適正な大きさと一定範囲の頻度数
のペレットを維持することが有利であると判断された。
【0042】[実験例3]:培地のpHが維持調整さ
れ、アンモニウムイオンを含む培地に存在するペレット
形態の分布 1g/Lのアンモニウムイオンを含む液体培地にて水酸
化ナトリウム(NaOH)を使用して培地のpHを一定
範囲に維持調整して培養された上記実施例7において、
液体培地内の菌糸の形態を分析し(図13)、図12に
全体の菌糸体に対するペレット形態の分率を示した。そ
の結果、図12に示されたとおり、各pHにて、培養の
初期には全てペレットの比率は100%近く存在してい
るが、培養開始から3日が経過した後、減少する傾向を
示し、培養開始6日目にペレットが占める比率は、pH
6、pH5、pH4及びpH3で、それぞれ48.5
%,24%,10.4%及び9.3%まで減少した。ま
た、pH6>pH5>pH4>pH3の順でペレットの
比率が減少し、このpH範囲ではpHが低い場合には、
糸状の形態の比率が高くなり、pHが高い場合にはペレ
ットの比率が高まることが確認された。従って、上記結
果によると、細胞外多糖の産生はpH6で最大であり、
pH3で最小であった。図8の(b)の結果を併せて考
慮すると、菌糸体濃度はペレットの形態に生育する場合
に高く、細胞外多糖の産生量は、糸状の形態に生育する
場合に多くなるものと判断された。また、多糖の生産性
が高いpH5〜6における培養液中でのペレット形態の
比率は24−48.5%であり、ペレットと糸状の形態
数の比が、1:1〜3の場合に細胞外多糖の産生量が多
くなるものと判断された。
れ、アンモニウムイオンを含む培地に存在するペレット
形態の分布 1g/Lのアンモニウムイオンを含む液体培地にて水酸
化ナトリウム(NaOH)を使用して培地のpHを一定
範囲に維持調整して培養された上記実施例7において、
液体培地内の菌糸の形態を分析し(図13)、図12に
全体の菌糸体に対するペレット形態の分率を示した。そ
の結果、図12に示されたとおり、各pHにて、培養の
初期には全てペレットの比率は100%近く存在してい
るが、培養開始から3日が経過した後、減少する傾向を
示し、培養開始6日目にペレットが占める比率は、pH
6、pH5、pH4及びpH3で、それぞれ48.5
%,24%,10.4%及び9.3%まで減少した。ま
た、pH6>pH5>pH4>pH3の順でペレットの
比率が減少し、このpH範囲ではpHが低い場合には、
糸状の形態の比率が高くなり、pHが高い場合にはペレ
ットの比率が高まることが確認された。従って、上記結
果によると、細胞外多糖の産生はpH6で最大であり、
pH3で最小であった。図8の(b)の結果を併せて考
慮すると、菌糸体濃度はペレットの形態に生育する場合
に高く、細胞外多糖の産生量は、糸状の形態に生育する
場合に多くなるものと判断された。また、多糖の生産性
が高いpH5〜6における培養液中でのペレット形態の
比率は24−48.5%であり、ペレットと糸状の形態
数の比が、1:1〜3の場合に細胞外多糖の産生量が多
くなるものと判断された。
【0043】[実験例4]:流動学的特性(1) アンモニウムイオンを含有しない液体培地(pH5)で
菌株を培養し、培養液、菌糸体の懸濁液及び培養ろ液に
ついて、24時間毎に8日間にわたってそれぞれ粘稠度
指数(K)、流動指数(n)及び降伏応力値(τy)
を、次の数式1に示したヘルシャル−バルクレー(He
rschel−Bulkley)式を利用して線形最小
自乗により求めた。また、その結果を表6に要約して示
した。
菌株を培養し、培養液、菌糸体の懸濁液及び培養ろ液に
ついて、24時間毎に8日間にわたってそれぞれ粘稠度
指数(K)、流動指数(n)及び降伏応力値(τy)
を、次の数式1に示したヘルシャル−バルクレー(He
rschel−Bulkley)式を利用して線形最小
自乗により求めた。また、その結果を表6に要約して示
した。
【0044】[数式1]τ = τy + Kn 上記式において、τ:剪断応力、τy:降伏応力、K:
粘稠度指数(Pa・secn)、n:流動指数(−)で
ある。
粘稠度指数(Pa・secn)、n:流動指数(−)で
ある。
【0045】[実験例5]:流動学的特性(2) 1g/Lのアンモニウムイオンを液体培地中に添加した
ことを除き、上記実験例4と同様の方法により、培養
液、菌糸体の懸濁液及び培養ろ液についてそれぞれ粘稠
度指数(K)、流動指数(n)及び降伏応力値(τy)
を求めた。また、その結果を表6に要約して示した。
ことを除き、上記実験例4と同様の方法により、培養
液、菌糸体の懸濁液及び培養ろ液についてそれぞれ粘稠
度指数(K)、流動指数(n)及び降伏応力値(τy)
を求めた。また、その結果を表6に要約して示した。
【0046】[実験例6]:流動学的特性(3) 7g/Lのアンモニウムイオンを液体培地地中に添加し
たことを除き、上記実験例4と同様の方法により、培養
液、菌糸体の懸濁液及び培養ろ液についてそれぞれ粘稠
度指数(K)、流動指数(n)及び降伏応力値(τy)
を求めた。また。その結果を表6に要約して示した。
たことを除き、上記実験例4と同様の方法により、培養
液、菌糸体の懸濁液及び培養ろ液についてそれぞれ粘稠
度指数(K)、流動指数(n)及び降伏応力値(τy)
を求めた。また。その結果を表6に要約して示した。
【0047】
【表6】
【0048】上記実験例4乃至実験例6の結果から、培
養液の粘稠度指数であるKはNH4 +(−)>NH4 +
(1g/L)>NH4 +(7g/L)であり、流動指数
はNH4 +(7g/L)>NH4 +(1g/L)>NH
4 +(−)の順であり、アンモニウムイオンの添加有無
と培養過程で流動学的挙動の変化が認められた。この結
果を形態の観察結果と併せて考察する。糸状形態の生育
が主体であったアンモニウムイオンを含有しない培地で
菌糸体の培養を終了した後におけるK値及びn値はそれ
ぞれ4.40PaSn及び0.40(−)であった。一
方、ペレットの形態の生育が主体であった高濃度のアン
モニウムイオンを含む培地では、菌糸体の培養を終了し
た後におけるK値及びn値はそれぞれ0.81PaSn
及び0.72(−)であり、糸状の形態に生育する場合
のK値が非常に大きく(約5.5倍)、n値が非常に小
さい結果(約0.6倍)を示した。すなわち、同じ菌糸
体の濃度で糸状形態の菌糸の粘稠度指数であるK値は、
ペレット形態の菌糸のK値より非常に大きく、流動指数
であるn値は糸状形態の菌糸がペレット形態の菌糸のn
値に比較して低かった。
養液の粘稠度指数であるKはNH4 +(−)>NH4 +
(1g/L)>NH4 +(7g/L)であり、流動指数
はNH4 +(7g/L)>NH4 +(1g/L)>NH
4 +(−)の順であり、アンモニウムイオンの添加有無
と培養過程で流動学的挙動の変化が認められた。この結
果を形態の観察結果と併せて考察する。糸状形態の生育
が主体であったアンモニウムイオンを含有しない培地で
菌糸体の培養を終了した後におけるK値及びn値はそれ
ぞれ4.40PaSn及び0.40(−)であった。一
方、ペレットの形態の生育が主体であった高濃度のアン
モニウムイオンを含む培地では、菌糸体の培養を終了し
た後におけるK値及びn値はそれぞれ0.81PaSn
及び0.72(−)であり、糸状の形態に生育する場合
のK値が非常に大きく(約5.5倍)、n値が非常に小
さい結果(約0.6倍)を示した。すなわち、同じ菌糸
体の濃度で糸状形態の菌糸の粘稠度指数であるK値は、
ペレット形態の菌糸のK値より非常に大きく、流動指数
であるn値は糸状形態の菌糸がペレット形態の菌糸のn
値に比較して低かった。
【0049】また、図14及び図15は、霊芝茸を液体
培養する際に添加されるアンモニウムイオン濃度が変化
する場合に、菌糸体の形態的な変化を定量化して示した
ものである。アンモニウムイオンの添加濃度が低濃度で
ある場合、菌糸形態は主に糸状(filamentou
s)形態であり、その分次元(factal dime
nsion)は1.1〜1.25であって、比較的高い
値を示している。一方で、高濃度にて添加した場合に
は、菌糸形態が主にペレットであり、分次元(fact
al dimension)は低い値を示す。図14で
は、多種濃度のアンモニウムイオンが添加されている
が、図15に示されるのペレットの面積頻度数(>1m
m2)においては、低濃度にて添加された場合(<3g
/L)より少ないことが確認された。上記結果による
と、アンモニウムイオンが培地中に存在する場合に菌糸
の生育が低下する原因であり、平均ペレットの大きさ
(>1mm 2)の頻度数が減少することが確認された。
培養時間及びアンモニウムイオン濃度とは無関係に、培
養液中に存在する大部分の菌糸体は、0.5−1.5m
m2の大きさを有する。ペレットの大きさが増加した場
合には、基質制限、剪断応力及び自家凝集の増加等各種
の制限を受けることとなる。
培養する際に添加されるアンモニウムイオン濃度が変化
する場合に、菌糸体の形態的な変化を定量化して示した
ものである。アンモニウムイオンの添加濃度が低濃度で
ある場合、菌糸形態は主に糸状(filamentou
s)形態であり、その分次元(factal dime
nsion)は1.1〜1.25であって、比較的高い
値を示している。一方で、高濃度にて添加した場合に
は、菌糸形態が主にペレットであり、分次元(fact
al dimension)は低い値を示す。図14で
は、多種濃度のアンモニウムイオンが添加されている
が、図15に示されるのペレットの面積頻度数(>1m
m2)においては、低濃度にて添加された場合(<3g
/L)より少ないことが確認された。上記結果による
と、アンモニウムイオンが培地中に存在する場合に菌糸
の生育が低下する原因であり、平均ペレットの大きさ
(>1mm 2)の頻度数が減少することが確認された。
培養時間及びアンモニウムイオン濃度とは無関係に、培
養液中に存在する大部分の菌糸体は、0.5−1.5m
m2の大きさを有する。ペレットの大きさが増加した場
合には、基質制限、剪断応力及び自家凝集の増加等各種
の制限を受けることとなる。
【0050】図16及び図17は、液体培養中における
アンモニウムイオン濃度による培養液及び培養ろ液、工
程の設計、調整及び実施において直接的に、また多大な
影響を及ぼす流動学的挙動を示すものである。図16は
アンモニウムイオンが添加された場合のグラフであり、
図17は添加されていない場合を示し、それぞれ、
(a)は菌糸体懸濁培養液、(b)は培養ろ液について
示したものである。菌糸体懸濁培養液では特に、剪断速
度が増加するにつれて、剪断応力が非線形(non−l
iner)に増加し、非ニュートン流体(non−Ne
wtonian fluid)として挙動することが確
認された。さらに、アンモニウムイオンを含有しない場
合の剪断応力は、アンモニウムイオンを含む場合の剪断
応力に比して非常に高い。これは高濃度の生育及び糸状
(filamentous)形態に起因するものであ
る。また、大部分の場合には、培養の継続につれて、剪
断応力も徐々に増加するが、菌糸の生育及び菌糸の形態
変化に由来するものである。
アンモニウムイオン濃度による培養液及び培養ろ液、工
程の設計、調整及び実施において直接的に、また多大な
影響を及ぼす流動学的挙動を示すものである。図16は
アンモニウムイオンが添加された場合のグラフであり、
図17は添加されていない場合を示し、それぞれ、
(a)は菌糸体懸濁培養液、(b)は培養ろ液について
示したものである。菌糸体懸濁培養液では特に、剪断速
度が増加するにつれて、剪断応力が非線形(non−l
iner)に増加し、非ニュートン流体(non−Ne
wtonian fluid)として挙動することが確
認された。さらに、アンモニウムイオンを含有しない場
合の剪断応力は、アンモニウムイオンを含む場合の剪断
応力に比して非常に高い。これは高濃度の生育及び糸状
(filamentous)形態に起因するものであ
る。また、大部分の場合には、培養の継続につれて、剪
断応力も徐々に増加するが、菌糸の生育及び菌糸の形態
変化に由来するものである。
【0051】一方、アンモニウムイオンの添加有無に関
係なく、剪断速度の増加に従う剪断応力は菌糸体懸濁培
養液に比べて培養ろ液が低く、培養液の流動曲線は産生
された多糖の濃度より菌糸体の濃度により大きな影響を
受けることが確認された。これをアンモニウムイオン添
加の有無による菌糸の形態変化に比較すると、霊芝茸の
培養期間中の流動挙動の変化は菌糸体の濃度をはじめ、
菌糸体の形態が重要であることを示す結果といえる。従
って、図16及び図17の挙動はヘルシャル−バルクレ
−(Herschel−Bulkley)式によく適合
していることが確認された(R2≧0.95)。
係なく、剪断速度の増加に従う剪断応力は菌糸体懸濁培
養液に比べて培養ろ液が低く、培養液の流動曲線は産生
された多糖の濃度より菌糸体の濃度により大きな影響を
受けることが確認された。これをアンモニウムイオン添
加の有無による菌糸の形態変化に比較すると、霊芝茸の
培養期間中の流動挙動の変化は菌糸体の濃度をはじめ、
菌糸体の形態が重要であることを示す結果といえる。従
って、図16及び図17の挙動はヘルシャル−バルクレ
−(Herschel−Bulkley)式によく適合
していることが確認された(R2≧0.95)。
【0052】図18は、アンモニウムイオン濃度が
(a):7g/L、(b):1g/L、(c):0g/
L(無添加)の場合における、菌糸体懸濁培養液、培養
ろ液のみかけ粘度と、細胞外多糖産生濃度を示したグラ
フである。培地中アンモニウムイオン濃度が高い場合
(7g/1)、菌糸体懸濁培養液及び培養ろ液の見かけ
粘度は培養時間が経過しても変化が認められなかった
が、これは、菌糸の生育及び細胞外多糖の産生が最小限
に抑えられているからである。アンモニウムイオンが添
加されない場合には、培養時間の経過に伴って培養ろ液
の見かけ粘度は継続的に増加し、培養開始から8日が経
過した後、細胞外多糖の生産は最大となり、菌糸の生育
も向上しており、培養液の見かけ粘度が増加している。
培地中のアンモニウムイオンの濃度が1g/Lである場
合には、培養時間の経過により見かけ粘度一旦増加して
から減少している。これは、菌糸体が溶菌(lysi
s)されたものと判断される。アンモニウムイオンの濃
度が1g/Lである場合には、培養ろ液の見かけ粘度の
増加につれて、細胞外多糖の産生が徐々に増加したが、
菌糸の生育は減少している。これと反対に、アンモニウ
ムイオンが高濃度である場合には、細胞外多糖の産生は
相対的に低いことが確認された。
(a):7g/L、(b):1g/L、(c):0g/
L(無添加)の場合における、菌糸体懸濁培養液、培養
ろ液のみかけ粘度と、細胞外多糖産生濃度を示したグラ
フである。培地中アンモニウムイオン濃度が高い場合
(7g/1)、菌糸体懸濁培養液及び培養ろ液の見かけ
粘度は培養時間が経過しても変化が認められなかった
が、これは、菌糸の生育及び細胞外多糖の産生が最小限
に抑えられているからである。アンモニウムイオンが添
加されない場合には、培養時間の経過に伴って培養ろ液
の見かけ粘度は継続的に増加し、培養開始から8日が経
過した後、細胞外多糖の生産は最大となり、菌糸の生育
も向上しており、培養液の見かけ粘度が増加している。
培地中のアンモニウムイオンの濃度が1g/Lである場
合には、培養時間の経過により見かけ粘度一旦増加して
から減少している。これは、菌糸体が溶菌(lysi
s)されたものと判断される。アンモニウムイオンの濃
度が1g/Lである場合には、培養ろ液の見かけ粘度の
増加につれて、細胞外多糖の産生が徐々に増加したが、
菌糸の生育は減少している。これと反対に、アンモニウ
ムイオンが高濃度である場合には、細胞外多糖の産生は
相対的に低いことが確認された。
【0053】このような結果から、液体培養に際して、
培地中に適切な濃度のアンモニウムイオンが添加される
ことにより、菌糸体の安定性や多糖体生産性の向上のた
めの醗酵工程の制御が可能であることが確かめられた。
培地中に適切な濃度のアンモニウムイオンが添加される
ことにより、菌糸体の安定性や多糖体生産性の向上のた
めの醗酵工程の制御が可能であることが確かめられた。
【0054】一方、pHが維持調整される場合には、培
養の末期に、菌糸の生育及び細胞外多糖類の産生が低下
することが確認されている。このような結果は、pH3
に調整された場合には観察されていない。pHを6に調
整した場合には、菌糸の生育及び細胞外多糖の産生にお
いて、長期間にわたって培養する場合、または、大型の
醗酵槽による工程を行う場合などにおいて、菌糸の生育
に対して却って逆効果(negative effec
t)を誘発するものと判断される。これは、pHを一定
に維持させるために添加された水酸化ナトリウム(Na
OH)の量が多くなり、菌糸体が溶菌(lysis)さ
れるものと考えられ、溶菌(lysis)による菌糸体
の減少は、さらに細胞外多糖の産生量低下の原因と判断
される。
養の末期に、菌糸の生育及び細胞外多糖類の産生が低下
することが確認されている。このような結果は、pH3
に調整された場合には観察されていない。pHを6に調
整した場合には、菌糸の生育及び細胞外多糖の産生にお
いて、長期間にわたって培養する場合、または、大型の
醗酵槽による工程を行う場合などにおいて、菌糸の生育
に対して却って逆効果(negative effec
t)を誘発するものと判断される。これは、pHを一定
に維持させるために添加された水酸化ナトリウム(Na
OH)の量が多くなり、菌糸体が溶菌(lysis)さ
れるものと考えられ、溶菌(lysis)による菌糸体
の減少は、さらに細胞外多糖の産生量低下の原因と判断
される。
【0055】図19及び図20は、培養及び大量生産す
るような場合に臨界要因として作用する菌糸体の大きさ
と形態の変化を、pH調整による培養の経時変化を通じ
て示したグラフである。
るような場合に臨界要因として作用する菌糸体の大きさ
と形態の変化を、pH調整による培養の経時変化を通じ
て示したグラフである。
【0056】図19に示されるとおり、pH3に維持調
整される(controlled)場合には、他のpH
の場合に比べて相対的にペレットの大きさが小さく、分
次元(fractal dimension)は高いこ
とが確認された。このような菌糸の形態は、菌糸の生育
を維持するために適切な形態であると考えられる。ま
た、上記の結果は、pH3に調整して培養する場合に菌
体の最大密度を示したことを意味する。これと対照的
に、2段階によりpHを調整する場合には、菌体の生育
には効果がなかったが、細胞外多糖類の産生には優れた
効果が認められた。小さい大きさのペレット形態は、非
調整(uncontrolled)及び維持調整される
(controlled)pHの工程において認めら
れ、大きなペレット形態は2段階によりpHを調整した
場合によく出現している。アンモニウムイオンは菌体の
生育をばじめ、細胞外多糖類の産生にも影響を及ぼして
いる。
整される(controlled)場合には、他のpH
の場合に比べて相対的にペレットの大きさが小さく、分
次元(fractal dimension)は高いこ
とが確認された。このような菌糸の形態は、菌糸の生育
を維持するために適切な形態であると考えられる。ま
た、上記の結果は、pH3に調整して培養する場合に菌
体の最大密度を示したことを意味する。これと対照的
に、2段階によりpHを調整する場合には、菌体の生育
には効果がなかったが、細胞外多糖類の産生には優れた
効果が認められた。小さい大きさのペレット形態は、非
調整(uncontrolled)及び維持調整される
(controlled)pHの工程において認めら
れ、大きなペレット形態は2段階によりpHを調整した
場合によく出現している。アンモニウムイオンは菌体の
生育をばじめ、細胞外多糖類の産生にも影響を及ぼして
いる。
【0057】また、図21における流動学的変数は、3
種の異なるpH調整条件の工程下における培養期間中の
粘稠度指数K、流動変数n、降伏応力を一般的なモデル
によりプロット(plotting)して示した。粘稠
度指数Kは、pH3とpH6の2段階調整による工程
(c)の場合、4日培養時まで上昇した後に減少してい
る。また、流動指数はpH6に維持調整する場合
(b)、他のpH条件に比して最も増大している。初期
pH6にて非調整(uncontrolled)pHの
条件下で培養する場合(a)、粘稠度指数Kは培養時間
の経過に伴って徐々に増加して高い値となることが確か
められた。一定維持調整(constant cont
rol)或いは2段階によるpH調整の条件下で培養
し、菌糸の形態をペレット形態に生育される場合は、培
養液の粘度は低下することが確認された。培養液中の菌
糸の形態がペレット形態である場合には、糸状(fil
ament)形態より低い見かけ粘度を示し、培養液の
低い粘度は細胞外多糖の産生量の増加と酸素伝達速度の
増加を伴う。また、KonigとSchugerによる
と、塔ループ醗酵槽(tower−loop ferm
entor)によるペニシリン醗酵の際に、物質移動容
量係数(volumetric mass trans
fer coefficient;Kla)は、糸状
(filamentous)培養液よりペレット懸濁
(pellet suspension)において4〜
5倍ほど高いと報告している。本研究においても、非調
整(uncontrolled)pHの工程にてDO水
準は、飽和度が100%から5%まで急激に減少し、培
養開始から3日までこの水準を維持した。これは、非調
整(uncontrolled)pHの条件下で培養す
る場合に、酸素移動の制限が発生したことを意味し、3
日後には60%を維持した(データーは省略)。一方、
降伏応力は、全ての工程における全ての培養期間にて殆
ど一定である。このうち、比較的高値の降伏応力はpH
6に維持調整され培養する場合に認められ、比較的低値
の降伏応力は、2段階によるpH調整の条件下で培養す
る場合に認められている。2段階によるpH調整の条件
下で培養する場合における低値の降伏応力は、培養液中
の菌糸の形態がpH6に維持調整され培養する場合と比
較して柔軟な形態に変化されることで粘度が低下したも
のと判断される。
種の異なるpH調整条件の工程下における培養期間中の
粘稠度指数K、流動変数n、降伏応力を一般的なモデル
によりプロット(plotting)して示した。粘稠
度指数Kは、pH3とpH6の2段階調整による工程
(c)の場合、4日培養時まで上昇した後に減少してい
る。また、流動指数はpH6に維持調整する場合
(b)、他のpH条件に比して最も増大している。初期
pH6にて非調整(uncontrolled)pHの
条件下で培養する場合(a)、粘稠度指数Kは培養時間
の経過に伴って徐々に増加して高い値となることが確か
められた。一定維持調整(constant cont
rol)或いは2段階によるpH調整の条件下で培養
し、菌糸の形態をペレット形態に生育される場合は、培
養液の粘度は低下することが確認された。培養液中の菌
糸の形態がペレット形態である場合には、糸状(fil
ament)形態より低い見かけ粘度を示し、培養液の
低い粘度は細胞外多糖の産生量の増加と酸素伝達速度の
増加を伴う。また、KonigとSchugerによる
と、塔ループ醗酵槽(tower−loop ferm
entor)によるペニシリン醗酵の際に、物質移動容
量係数(volumetric mass trans
fer coefficient;Kla)は、糸状
(filamentous)培養液よりペレット懸濁
(pellet suspension)において4〜
5倍ほど高いと報告している。本研究においても、非調
整(uncontrolled)pHの工程にてDO水
準は、飽和度が100%から5%まで急激に減少し、培
養開始から3日までこの水準を維持した。これは、非調
整(uncontrolled)pHの条件下で培養す
る場合に、酸素移動の制限が発生したことを意味し、3
日後には60%を維持した(データーは省略)。一方、
降伏応力は、全ての工程における全ての培養期間にて殆
ど一定である。このうち、比較的高値の降伏応力はpH
6に維持調整され培養する場合に認められ、比較的低値
の降伏応力は、2段階によるpH調整の条件下で培養す
る場合に認められている。2段階によるpH調整の条件
下で培養する場合における低値の降伏応力は、培養液中
の菌糸の形態がpH6に維持調整され培養する場合と比
較して柔軟な形態に変化されることで粘度が低下したも
のと判断される。
【0058】
【発明の効果】上述のように、本発明は、菌糸体の培養
工程と細胞外多糖体の産生工程において、それぞれの工
程に用いる液体培地のpHを異なる2段階によってpH
調整を行うことによって、菌糸の形態をはじめ、液体培
地の流動学的特性を最適化してより効率的に、またより
安定的に細胞外多糖体を産生させることができる効果が
ある。
工程と細胞外多糖体の産生工程において、それぞれの工
程に用いる液体培地のpHを異なる2段階によってpH
調整を行うことによって、菌糸の形態をはじめ、液体培
地の流動学的特性を最適化してより効率的に、またより
安定的に細胞外多糖体を産生させることができる効果が
ある。
【図1】実施例1における菌糸体乾燥重量(MDW)を
示したグラフである。
示したグラフである。
【図2】実施例1における細胞外多糖体(EPS)の産
生量を示したグラフである。
生量を示したグラフである。
【図3】実施例2における乾燥菌体重量(MDW)及び
細胞外多糖体(EPS)の産生量を示したグラフであ
る。
細胞外多糖体(EPS)の産生量を示したグラフであ
る。
【図4】実施例3における菌糸体乾燥重量(MDW)及
び細胞外多糖体(EPS)の産生量を示したグラフであ
る。
び細胞外多糖体(EPS)の産生量を示したグラフであ
る。
【図5】(a)は、実施例4における菌糸体乾燥重量
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例4に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例4に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
【図6】(a)は、実施例5における菌糸体乾燥重量
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例5に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例5に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
【図7】(a)は、実施例6における菌糸体乾燥重量
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例6に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例6に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
【図8】(a)は、実施例7における菌糸体乾燥重量
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例7に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
(MDW)を示すグラフである。(b)は、実施例7に
おける細胞外多糖体(EPS)の産生量を示すグラフで
ある。
【図9】実験例1における菌糸体の外部形態の経時変化
を示した観察図である。
を示した観察図である。
【図10】実験例2における菌糸体の外部形態の経時変
化を示した観察図である。
化を示した観察図である。
【図11】実験例1及び2におけるペレットの大きさを
経時的に示すグラフである。
経時的に示すグラフである。
【図12】実験例3における全菌糸体数の内、ペレット
形態の数の比率について経時変化を示すグラフである。
形態の数の比率について経時変化を示すグラフである。
【図13】実験例3において、菌糸体の形態的変化を示
すグラフである。
すグラフである。
【図14】実験例4乃至6における菌糸体の形態につい
て分次元(fractal dimension)の変
化として示したグラフである。
て分次元(fractal dimension)の変
化として示したグラフである。
【図15】実験例4乃至6における菌糸体の形態につい
てペレットの面積に対する頻度数との関係で示したグラ
フである。
てペレットの面積に対する頻度数との関係で示したグラ
フである。
【図16】実験例4乃至6における菌糸体懸濁培養液及
び培養ろ液の流動学的挙動を示すグラフである。
び培養ろ液の流動学的挙動を示すグラフである。
【図17】実験例4乃至6における菌糸体懸濁培養液及
び培養ろ液の流動学的挙動を示すグラフである。
び培養ろ液の流動学的挙動を示すグラフである。
【図18】実験例4乃至6における菌糸体懸濁培養液及
び培養ろ液の流動学的挙動を示すグラフである。
び培養ろ液の流動学的挙動を示すグラフである。
【図19】実験例4乃至6における菌糸体の形態につい
て分次元(fractal dimension)の経
時変化として示したグラフである。
て分次元(fractal dimension)の経
時変化として示したグラフである。
【図20】実験例4乃至6における菌糸体の形態につい
てペレットの大きさとして経時的に示すグラフである。
てペレットの大きさとして経時的に示すグラフである。
【図21】(a)は、実験例4乃至6において初期pH
6にて以後pH調整なしで培養する場合の流動学的変数
の経時変化を示したグラフである。(b)は、実験例4
乃至6においてpH6に維持調整して培養する場合の流
動学的変数の経時変化を示したグラフである。(c)
は、実験例4乃至6において初期pH3、2段階目はp
H6に再調整して培養する場合の流動学的変数の経時変
化を示したグラフである。
6にて以後pH調整なしで培養する場合の流動学的変数
の経時変化を示したグラフである。(b)は、実験例4
乃至6においてpH6に維持調整して培養する場合の流
動学的変数の経時変化を示したグラフである。(c)
は、実験例4乃至6において初期pH3、2段階目はp
H6に再調整して培養する場合の流動学的変数の経時変
化を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12P 19/04 (C12P 19/04 B C12R 1:645) C12R 1:645) (C12N 1/14 (C12N 1/14 F C12R 1:645) C12R 1:645) (C12N 1/14 (C12N 1/14 G C12R 1:645) C12R 1:645) (C12N 1/14 (C12N 1/14 H C12R 1:645) C12R 1:645) (72)発明者 李 神 榮 大韓民国 江原道 春川市 温議洞 保倍 アパート 102洞 707号 (72)発明者 李 奎 旻 大韓民国 ソウル 九老區 梧柳1洞 3 −34番地 Fターム(参考) 2B011 AA07 BA19 GA04 GA12 4B064 AF11 CA07 CC07 CD01 DA01 DA10 4B065 AA71X AC14 BB02 BC02 CA22 CA41 CA44
Claims (6)
- 【請求項1】 アンモニウムイオンを添加したpH2〜
6の液体培地にて菌糸体を培養する菌糸体培養工程と、
この菌糸体培養工程により得られた菌糸体をpH3〜7
の液体培地にて培養して細胞外多糖体を産生させる多糖
体生産工程を備えることを特徴とする茸細胞外多糖体の
製造方法。 - 【請求項2】 前記茸は霊芝茸であり、多孔菌科不老草
属(Ganoderma)に属する担子菌であることを
特徴とする請求項1に記載の茸細胞外多糖体の製造方
法。 - 【請求項3】 前記菌糸体培養工程に用いる液体培地の
pHが3〜4であることを特徴とする請求項1又は2に
記載の茸細胞外多糖体の製造方法。 - 【請求項4】 前記菌糸体培養工程に用いる液体培地
は、0.01〜5重量%のアンモニウムイオンを含むこ
とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の茸細
胞外多糖体の製造方法。 - 【請求項5】 前記多糖体生産工程に用いる液体培地の
pHが5〜6であることを特徴とする請求項1乃至4の
いずれかに記載の茸細胞外多糖体の製造方法。 - 【請求項6】 前記菌糸体培養工程に用いる液体培地及
び多糖体生産工程に用いる液体培地は、各工程における
培養過程で一定範囲のpHに維持することを特徴とする
請求項1乃至5のいずれかに記載の茸細胞外多糖体の製
造方法。
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