JP2002012602A - 樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置 - Google Patents

樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置

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JP2002012602A JP2000192434A JP2000192434A JP2002012602A JP 2002012602 A JP2002012602 A JP 2002012602A JP 2000192434 A JP2000192434 A JP 2000192434A JP 2000192434 A JP2000192434 A JP 2000192434A JP 2002012602 A JP2002012602 A JP 2002012602A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着剤層の厚みを一定にすることができ、そ
れにより接着強度のバラツキや半導体素子の傾きを低減
できる樹脂ペースト組成物、及び、これを用いた、生産
性が高く、高信頼性の半導体装置を提供する。 【解決手段】 (A)アクリル酸エステル化合物又はメ
タクリル酸エステル化合物、(B)ラジカル開始剤、
(C)平均粒径10μm未満の充填材、(D)平均粒径
(R)が10〜50μmで且つ粒子の90体積%以上が
0.5R〜1.5Rμmの範囲内の粒径を有する球状銀
粉を含有してなる樹脂ペースト組成物、並びに、この樹
脂ペースト組成物を用いて半導体素子を支持部材に接着
した後、封止してなる半導体装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はIC、LSI等の半
導体素子をリードフレーム、ガラスエポキシ配線板等に
接着するのに好適な樹脂ペースト組成物及びこれを用い
た半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体のダイボンディング材とし
ては、Au−Si共晶、半田、樹脂ペースト組成物等が
知られているが、作業性及びコストの点から樹脂ペース
ト組成物が広く使用されている。
【0003】従来のエポキシ樹脂系ペーストでは、加熱
硬化の際にペーストに含まれる溶剤や反応性希釈剤が揮
発して、ペースト硬化物中にボイドと呼ばれる空隙が発
生する。その結果、接着強度のばらつきが大きくなり、
また半導体素子の傾きが生じ、結果としてワイヤーボン
ド時に不良となる確率が高いという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂ペース
ト組成物のボイドを低減し、且つ接着層の厚み(ボンド
ライン厚み)を一定にすることにより、接着強度のばら
つきや半導体素子の傾きを低減でき、その結果ワイヤー
ボンド時の不良を低減することができる樹脂ペースト組
成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、こ
の樹脂ペースト組成物を用いて作製される生産性が高
く、高信頼性の半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)アクリ
ル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物、
(B)ラジカル開始剤、(C)平均粒径10μm未満の
充填材、(D)平均粒径(R)が10〜50μmで且つ
粒子の90体積%以上が0.5R〜1.5Rμmの範囲
内の粒径を有する球状銀粉を含有してなる樹脂ペースト
組成物を提供するものである。
【0006】また、本発明は、上記の樹脂ペースト組成
物を用いて半導体素子を支持部材に接着した後、封止し
てなる半導体装置を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる(A)成分の
アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化
合物は、1分子中に1個以上のアクリロイルオキシ基又
はメタクリロイルオキシ基を有する化合物であり、例え
ば、下記の一般式(I)〜(X)で表される化合物が使
用できる。
【0008】
【化1】 〔式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は炭素数1
〜100、好ましくは炭素数1〜36の2価の脂肪族又
は環状構造を持つ脂肪族炭化水素基を表す〕で示される
化合物。
【0009】一般式(I)で示される化合物としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルア
クリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアク
リレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オ
クチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデ
シルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシル
アクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ステアリル
アクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘ
キシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリ
シクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート、2
−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エ
ン−8又は9−イルオキシエチルアクリレート等のアク
リレート化合物、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタ
クリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメ
タクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタ
クリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタ
クリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニル
メタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメ
タクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメ
タクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ステアリ
ルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シ
クロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレ
ート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメタク
リレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6
デカ−3−エン−8又は9−イルオキシエチルメタクリ
レート等のメタクリレート化合物がある。 (2)一般式(II)
【0010】
【化2】 〔式中、R1及びR2はそれぞれ前記のものを表す〕で示
される化合物。
【0011】一般式(II)で示される化合物として
は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、ダイマージオールモノアクリ
レート等のアクリレート化合物、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、ダイマージオールモノメタクリレート等のメタクリ
レート化合物等がある。 (3)一般式(III)
【0012】
【化3】 〔式中、R1は前記のものを表し、R3は水素、メチル基
又はフェノキシメチル基を表し、R4は水素、炭素数1
〜6のアルキル基、フェニル基又はベンゾイル基を表
し、nは1〜50の整数を表す〕で示される化合物。
【0013】一般式(III)で示される化合物として
は、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレン
グリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールア
クリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エ
トキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリ
レート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、
メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−フ
ェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレング
リコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ールアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアク
リレート等のアクリレート化合物、ジエチレングリコー
ルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレ
ート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−
メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメ
タクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、メ
トキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート、2−フェノキ
シエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコ
ールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコー
ルメタクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメ
タクリレート等のメタクリレート化合物がある。 (4)一般式(IV)
【0014】
【化4】 〔式中、R1は前記のものを表し、R5はフェニル基、ニ
トリル基、−Si (OR63(R6は炭素数1〜6の
アルキル基を表す)、下記の式の基
【0015】
【化5】 (R7、R8及びR9はそれぞれ独立に水素又は炭素数1
〜6のアルキル基を表し、R10は水素又は炭素数1〜6
のアルキル基又はフェニル基を表す)を表し、mは0、
1、2又は3の数を表す〕で示される化合物。
【0016】一般式(IV)で示される化合物として
は、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレ
ート、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアク
リレート、テトラヒドロピラニルアクリレート、ジメチ
ルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルア
クリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリ
ジニルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジニルアクリレート、アクリロキシエチルホスフェ
ート、アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェー
ト、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタ
レート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェン
サクシネート等のアクリレート化合物、ベンジルメタク
リレート、2−シアノエチルメタクリレート、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメ
タクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレー
ト、テトラヒドロピラニルメタクリレート、ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリ
ジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジニルメタクリレート、メタクリロキシエチルホ
スフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシッドホ
スフェート等のメタクリレート、β−メタクリロイルオ
キシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロ
イルオキシエチルハイドロジェンサクシネート等のメタ
クリレート化合物がある。 (5)一般式(V)
【0017】
【化6】 〔式中、R1及びR2はそれぞれ前記のものを表す〕で示
される化合物。
【0018】一般式(V)で示される化合物としては、
エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジ
オールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジア
クリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、
1,3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、ダイマージオールジアクリ
レート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート
等のジアクリレート化合物、エチレングリコールジメタ
クリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,
9−ノナンジオールジメタクリレート、1,3−ブタン
ジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ
メタクリレート、ダイマージオールジメタクリレート、
ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート等のジ
メタクリレート化合物がある。 (6)一般式(VI)
【0019】
【化7】 〔式中、R1、R3及びnはそれぞれ前記のものを表し、
ただしR3が水素又はメチル基であるとき、nは1では
ない。〕で示される化合物。
【0020】一般式(VI)で示される化合物として
は、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレ
ングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリ
プロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレー
ト化合物、ジエチレングリコールジメタクリレート、ト
リエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレ
ングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタ
クリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト等のジメタクリレート化合物がある。 (7)一般式(VII)
【0021】
【化8】 〔式中、R1は前記のものを表し、R11及びR12はそれ
ぞれ独立に水素又はメチル基を表す〕で示される化合
物。
【0022】一般式(VII)で示される化合物として
は、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェ
ノールAD1モルとグリシジルアクリレート2モルとの
反応物、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビス
フェノールAD1モルとグリシジルメタクリレート2モ
ルとの反応物等がある。 (8)一般式(VIII)
【0023】
【化9】 〔式中、R1、R11及びR12はそれぞれ前記のものを表
しR13及びR14はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表
し、p及びqはそれぞれ独立に1〜20の整数を表す〕
で示される化合物。
【0024】一般式(VIII)で示される化合物とし
ては、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフ
ェノールADのポリエチレンオキサイド付加物のジアク
リレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビ
スフェノールADのポリプロピレンオキサイド付加物の
ジアクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF
又はビスフェノールADのポリエチレンオキサイド付加
物のジメタクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF又はビスフェノールADのポリプロピレンオキサ
イド付加物のジメタクリレート等がある。 (9)一般式(IX)
【0025】
【化10】 〔式中、R1は前記のものを表し、R15、R16、R17
びR18はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、xは
1〜20の整数を表す〕で示される化合物。
【0026】一般式(IX)で示される化合物として
は、ビス(アクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキ
サン、ビス(アクリロキシプロピル)メチルシロキサン
−ジメチルシロキサンコポリマー、ビス(メタクリロキ
シプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(メタクリ
ロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサ
ンコポリマー等がある。 (10)一般式(X)
【0027】
【化11】 〔式中、R1は前記のものを表し、r、s、t及びuは
それぞれ独立に繰り返し数の平均値を示す0以上の数で
あり、r+tは0.1以上、好ましくは0.3〜5であ
り、s+uは1以上、好ましくは1〜100である〕で
示される化合物。
【0028】一般式(X)で示される化合物としては、
無水マレイン酸を付加させたポリブタジエンと、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチル
メタクリレートとを反応させて得られる反応物及びその
水素添加物があり、例えばMM−1000−80、MA
C−1000−80(共に、日本石油化学(株)商品
名)等がある。
【0029】(A)成分のアクリル酸エステル化合物又
はメタクリル酸エステル化合物としては、上記の化合物
を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0030】本発明に用いられる(B)成分のラジカル
開始剤としては特に制限はないが、ボイド等の点から過
酸化物が好ましく、また樹脂ペースト組成物の硬化性及
び粘度安定性の点から、急速加熱試験での過酸化物の分
解温度が70〜170℃のものが好ましい。
【0031】ラジカル開始剤の具体例としては、1,
1,3,3−テトラメチルパーオキシ2−エチルヘキサ
ノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シク
ロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シ
クロドデカン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、t−ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサ
イド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン、クメンハイドロパーオキサイド等があ
る。
【0032】(B)成分のラジカル開始剤の配合量は、
(A)成分の総量100重量部に対して0.1〜10重
量部が好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。こ
の配合割合が0.1重量部未満であると、硬化性が低下
する傾向があり、10重量部を超えると、揮発分が多く
なり、硬化物中にボイドと呼ばれる空隙が生じ易くなる
傾向がある。
【0033】本発明に用いられる(C)成分の充填材と
しては、平均粒径が10μm未満であれば特に制限はな
く、各種のものが用いられるが、例えば金、銀、銅、ニ
ッケル、鉄、アルミニウム、ステンレス、酸化ケイ素、
窒化ホウ素、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム等
の粉体が挙げられる。この充填材の平均粒径が10μm
以上であると、ペーストの均一性、各種物性が低下す
る。好ましい平均粒径は0.5〜7μmである。形状と
しては、鱗片状、球状、塊状、樹枝状、板状等が挙げら
れるが、鱗片状、樹枝状、板状が好ましい。
【0034】(C)成分の充填材の配合量は特に限定し
ないが、樹脂ペースト組成物総量に対して20〜85重
量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましい。こ
の配合量が20重量%未満であると、熱時の接着強度が
低下する傾向があり、85重量%を超えると、粘度が増
大し、作製時の作業性及び使用時の塗布作業性が低下す
る傾向がある。
【0035】本発明に用いられる(D)成分の球状銀粉
は、平均粒径が10〜50μm、好ましくは10〜30
μm、より好ましくは10〜25μm、特に好ましくは
12〜20μmのものである。平均粒径が10μm未満
ではボンドライン厚みを一定に保つのが難しく、50μ
mを超えると、樹脂ペースト組成物の使用時の塗布作業
性が低下する傾向がある。また、(D)成分の球状銀粉
は、その粒子の90体積%以上、好ましくは93体積%
以上が、平均粒径(R)に対して0.5R〜1.5Rμ
mの範囲内の粒径を有するものである。粒径の範囲が上
記条件からはずれると、ボンドライン厚みを一定に保つ
のが難しくなる傾向がある。
【0036】(D)成分の球状銀粉の配合量は、樹脂ペ
ースト組成物総量に対して好ましくは0.5〜20重量
%、より好ましくは0.8〜15重量%、さらに好まし
くは1〜12重量%である。この配合量が0.5重量%
未満ではボンドライン厚みを一定に保つのが難しくな
り、20重量%を超えると樹脂ペースト組成物中の樹脂
分と充填材(C)又は球状銀粉(D)とが分離し、充填
材(C)又は球状銀粉(D)の沈降が起こりやすくなる
傾向がある。
【0037】本発明に用いられる可とう化材としては、
各種の液状ゴムや熱可塑性樹脂が用いられるが、例えば
ポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、マレイン
化ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、
カルボキシ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、アミ
ノ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、ビニル末端ア
クリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴ
ム等の液状ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸メチ
ル、ε−カプロラクトン変性ポリエステル、フェノキシ
樹脂、ポリイミド等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0038】液状ゴムとしては、数平均分子量が500
〜10000のものが好ましく、1,000〜5,00
0のものがより好ましい。分子量が小さすぎると可とう
化効果に劣る傾向があり、分子量が大きすぎると樹脂ペ
ースト組成物の粘度が上昇し作業性に劣る傾向がある。
数平均分子量は、蒸気圧浸透法で測定した値又はゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチ
レンの検量線を利用して測定(以下、GPC法という)
した値である。熱可塑性樹脂としては、数平均分子量が
10,000〜300,000のものが好ましく、2
0,000〜200,000のものがより好ましい。分
子量が小さすぎると可とう化効果に劣る傾向があり、分
子量が大きすぎると、樹脂ペースト組成物の粘度が上昇
し作業性に劣る傾向がある。
【0039】また可とう化材の配合量としては、(A)
成分100重量部に対して10〜100重量部使用する
ことが好ましく、30〜80重量部使用することがより
好ましい。この配合量が10重量部未満である可とう化
効果に劣り、100重量部を超えると、粘度が増大し、
樹脂ペースト組成物の作業性が低下する傾向がある。
【0040】本発明に用いられるカップリング剤として
は特に制限はなく、シランカップリング剤、チタネート
系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジ
ルコネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カ
ップリング剤等の各種のものが用いられる。
【0041】カップリング剤の具体例としては、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル−トリス
(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロ
キシエトキシ)シラン、γ−アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジ
ルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−
ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプ
ロピルトリエトキシシラン、3−(4,5−ジヒドロイ
ミダゾリル)プロピルトリエトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラ
ン、メチルトリグリシドキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメ
トキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメ
チルシリルイソシアネート、フェニルシリルトリイソシ
アネート、テトライソシアネートシラン、メチルシリル
トリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネー
ト、エトキシシラントリイソシアネート等のシランカッ
プリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネ
ート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチ
タネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホス
フェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオ
クチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス
(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ
(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス
(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジ
オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネ
ート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレン
チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネー
ト、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネ
ート、イソプロピル(ジオクチルホスフェート)チタネ
ート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イ
ソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チ
タネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネー
ト、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネ
ート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウム
ジイソプロピオネート等のアルミニウム系カップリング
剤、テトラプロピルジルコネート、テトラブチルジルコ
ネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネー
ト、テトライソプロピルジルコネート、ジルコニウムア
セチルアセトネートアセチルアセトンジルコニウムブチ
レート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート等のジル
コネート系カップリング剤等がある。
【0042】カップリング剤の配合量は、(A)成分の
総量100重量部に対して0.1〜10重量部が好まし
く、0.5〜5重量部が特に好ましい。この配合割合が
0.1重量部未満であると、接着強度の向上効果に劣
り、10重量部を超えると、揮発分が多くなり、硬化物
中にボイドが生じ易くなる傾向がある。
【0043】本発明になる樹脂ペースト組成物には、さ
らに必要に応じて酸化カルシウム、酸化マグネシウム等
の吸湿剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性
剤、高級脂肪酸等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡
剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤等、粘度調
整のための溶剤を単独又は数種類を組み合わせて、適宜
添加することができる。なお、溶剤を添加する場合、ボ
イドの点から3重量%以下とすることが好ましい。
【0044】本発明になる樹脂ペースト組成物を製造す
るには、(A)アクリル酸エステル化合物又はメタクリ
ル酸エステル化合物、(B)ラジカル開始剤、(C)充
填材及び(D)球状銀粉を、必要に応じて用いられる可
とう化材、カップリング剤及び上記各種添加剤と共に、
一括又は分割して撹拌器、らいかい器、3本ロール、プ
ラネタリーミキサー等の分散・溶解装置を適宜組み合わ
せ、必要に応じて加熱して混合、溶解、解粒混練又は分
散して均一なペースト状とすれば良い。
【0045】本発明においては、さらに上記のようにし
て製造した樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子を支
持部材に接着した後、封止することにより半導体装置と
することができる。
【0046】支持部材としては、例えば、42アロイリ
ードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム、
ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂から
なる基板)、BT基板(シアネートモノマー及びそのオ
リゴマーとビスマレイミドからなるBTレジン使用基
板)等の有機基板が挙げられる。
【0047】本発明の樹脂ペースト組成物を用いて半導
体素子をリードフレーム等の支持部材に接着させるに
は、まず支持部材上に樹脂ペースト組成物をディスペン
ス法、スクリーン印刷法、スタンピング法等により塗布
した後、半導体素子を圧着し、その後オーブン又はヒー
トブロック等の加熱装置を用いて加熱硬化することによ
り行うことができる。さらに、ワイヤボンド工程を経た
後、通常の方法により封止することにより完成された半
導体装置とすることができる。
【0048】上記加熱硬化は、低温での長時間硬化の場
合や、高温での速硬化の場合により異なるが、通常、温
度100〜300℃、好ましくは130〜220℃で、
5秒〜3時間、好ましくは15秒〜1時間行うことが好
ましい。
【0049】
【実施例】次に、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0050】比較例で用いたエポキシ樹脂、硬化剤は以
下のようにして作製したものを用いた。 (1)エポキシ樹脂の調製 YDFー170(東都化成(株)製、商品名、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量=170)7.
5重量部及びYL−980(油化シェルエポキシ(株)
製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキ
シ当量=185)7.5重量部を80℃に加熱し、1時
間撹拌を続け、均一なエポキシ樹脂溶液を得た。 (2)硬化剤の調製 H−1(明和化成(株)製、商品名、フェノールノボラ
ック樹脂、OH当量=106)1.0重量部及び希釈剤
としてPP−101(東都化成社製、商品名、アルキル
フェニルグリシジルエーテル、エポキシ当量=230)
2.0重量部を100℃に加熱し、1時間撹拌を続け、
均一なフェノール樹脂溶液を得た。
【0051】比較例及び実施例で用いた化合物を以下に
例示する。 (1)硬化促進剤 2P4MHZ(四国化成(株)製のイミダゾール類の商
品名) (2)希釈剤 PP−101(東都化成(株)製アルキルフェニルグリ
シジルエーテルの商品名、エポキシ当量=230) (3)アクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エス
テル化合物 R−551(日本化薬(株)製ジアクリレートの商品
名、ビスフェノールAポリエチレングリコールジアクリ
レート、一般式(VIII)、R1=H、R11=CH3
12=CH3、R13=H、R14=H、p+q=約4)、
ラウリルアクリレート(一般式(I)、R1=H、R2
−C1224−) (4)可とう化材 E−1000−6.5(日本石油化学(株)製エポキシ
化ポリブタジエンの商品名、エポキシ当量=246、数
平均分子量=約1,000) (5)ラジカル開始剤 ジクミルパーオキサイド (6)カップリング剤 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン (7)充填材 TCG−1(徳力化学研究所社製の銀粉の商品名、形
状:鱗片状、平均粒径=2μm) AGF−20S(徳力化学研究所社製の球状銀粉の商品
名、平均粒径(R)=20μm、0.5R〜1.5Rの
範囲内の粒径を有する粒子の割合=93体積%) 表1に示す配合割合で、各材料を混合し、3本ロールを
用いて混練した後、666.61Pa(5トル(Tor
r))以下で10分間脱泡処理を行い、樹脂ペースト組
成物を得た。
【0052】この樹脂ペースト組成物の特性(粘度、接
着強度、ボンドライン厚み)を下記に示す方法で調べ
た。その結果を表1に示す。 (1)粘度:EHD型回転粘度計(東京計器社製)を用
いて25℃における粘度(Pa・s)を測定した。 (2)ダイシェア強度:樹脂ペースト組成物をAgめっ
き付き銅リードフレーム上に約0.2mg塗布し、この
上に2mm×2mmのSiチップ(厚さ約0.4mm)
を圧着し、さらにオーブンで150℃まで30分で昇温
し150℃で1時間硬化させた。これを自動接着力試験
装置(BT100、Dage社製)を用い、室温の剪断
接着強度(N/チップ)を測定した。なおダイシェア強
度の測定は20個の試験片について行った。 (3)ボンドライン厚み:樹脂ペースト組成物をあらか
じめマイクロメータで厚みを測っておいた銅リードフレ
ーム上に約0.2mgを塗布し、この上にあらかじめマ
イクロメータで厚みを測っておいた2mm×2mmのS
iチップを圧着し、さらにオーブンで150℃まで30
分で昇温し150℃で1時間硬化させた。硬化後にマイ
クロメータで厚みを測定し、この値からあらかじめ測っ
ておいたリードフレームとチップの厚みを減じた値をボ
ンドライン厚みとした。なおボンドライン厚みの測定は
20個の試験片について行った。 (4)ボイド:樹脂ペースト組成物を銅リードフレーム
上に約4.0mgを塗布し、この上に8mm×10mm
のSiチップ(厚さ0.4mm)を圧着し、さらにオー
ブンで150℃まで30分で昇温し150℃で1時間硬
化させた。これを、走査型超音波顕微鏡を用い観察し、
硬化後の樹脂ペースト組成物中に含まれるチップと基材
の間の水平方向の断面のボイドの占有面積を求めた。
【0053】
【表1】 表1の結果から、本発明の樹脂ペースト組成物(実施例
1及び2)は従来のエポキシ樹脂を用いた樹脂ペースト
組成物(比較例1)に比較してボイドが占有率が小さ
く、ボンドライン厚みを一定にすることが可能になって
いる。
【0054】また実施例と同一のアクリル酸エステル化
合物を用いても、球状銀粉を添加しない場合(比較例
2)では、ボンドライン厚みのばらつきが大きくなって
いる。
【0055】このことから、本発明の樹脂ペースト組成
物によれば、ボイドを低減し、ボンドライン厚みを一定
にすることができ、その結果、接着強度のばらつきや半
導体素子の傾きを低減できることが確認された。
【0056】
【発明の効果】本発明の樹脂ペースト組成物は、半導体
装置のダイボンディング材として使用した場合にボンド
ライン厚みを一定にすることができ、接着強度のばらつ
きやチップの傾きを低減することができる。その結果ワ
イヤーボンド時の不良を低減でき、生産性が高く高信頼
性の半導体素子を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 PA03 PA05 PA07 PA08 PA25 PA35 PA39 PA45 PA46 PA47 PA49 PA54 PA68 PA69 PA76 PA88 PA90 PA97 PB02 PB03 PB06 PB08 PB22 PB23 PB30 5F047 AA11 BA21 BA52 BB11 BB16 5G301 DA03 DA32 DA42 DD01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アクリル酸エステル化合物又はメ
    タクリル酸エステル化合物、(B)ラジカル開始剤、
    (C)平均粒径10μm未満の充填材、(D)平均粒径
    (R)が10〜50μmで且つ粒子の90体積%以上が
    0.5R〜1.5Rμmの範囲内の粒径を有する球状銀
    粉を含有してなる樹脂ペースト組成物。
  2. 【請求項2】 (D)成分の球状銀粉を、樹脂ペースト
    組成物総量に対して0.5〜20重量%含有する請求項
    1に記載の樹脂ペースト組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分のアクリル酸エステル化合物
    又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対して
    (B)成分のラジカル開始剤を0.1〜10重量部、樹
    脂ペースト組成物総量に対して(C)成分の充填材を2
    0〜85重量%含有する請求項1又は2に記載の樹脂ペ
    ースト組成物。
  4. 【請求項4】 さらに可とう化材を添加してなる請求項
    1、2又は3に記載の樹脂ペースト組成物。
  5. 【請求項5】 可とう化材が液状ゴム又は熱可塑性樹脂
    である請求項4に記載の樹脂ペースト組成物。
  6. 【請求項6】 (A)成分のアクリル酸エステル化合物
    又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対して
    可とう化材を10〜100重量部含有する請求項4又は
    5に記載の樹脂ペースト組成物。
  7. 【請求項7】 さらにカップリング剤を添加してなる請
    求項1、2、3、4、5又は6に記載の樹脂ペースト組
    成物。
  8. 【請求項8】 (A)成分のアクリル酸エステル化合物
    又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対して
    カップリング剤を0.1〜10重量部含有する請求項7
    に記載の樹脂ペースト組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂ペ
    ースト組成物を用いて半導体素子を支持部材に接着した
    後、封止してなる半導体装置。
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