JP2002003962A - 摺動摩擦部材 - Google Patents

摺動摩擦部材

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JP2002003962A
JP2002003962A JP2000190780A JP2000190780A JP2002003962A JP 2002003962 A JP2002003962 A JP 2002003962A JP 2000190780 A JP2000190780 A JP 2000190780A JP 2000190780 A JP2000190780 A JP 2000190780A JP 2002003962 A JP2002003962 A JP 2002003962A
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copper
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friction
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Shigeki Yamada
茂樹 山田
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Aisan Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動摩擦部材において、溶射法及び焼結法が
適用可能であり、ギヤ油中でも高い摩擦係数が安定的に
維持でき、硫化腐食を生じないようにすることを課題と
する。 【解決手段】 (a) FeMo,Mo,MoO2 のうちの
1種を20〜50重量%、(b) 「NiもしくはZnを1
5〜35重量%,Alを0.1〜10重量%,残部を銅
とする銅合金」を3〜20重量%、(c) Al2 3 ,Z
rO2 ,TiO2,MgO,Si3 4 ,ムライト,安
定化ジルコニアのうちの1種の硬質粒子を2〜10重量
%、(d) 残部が「Cを0.1〜3重量%,Niを3〜3
5重量%,Crを10〜40重量%,Moを0.1〜2
0重量%,残部を鉄」とする鉄合金、からなる摺動摩擦
部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速機のシンクロ
ナイザリング等の摺動摩擦部材に関する。
【0002】
【従来の技術】変速機のシンクロナイザリングの摺動摩
擦部分は、機械的強度及び精度のみならず、耐焼付き
性、耐摩耗性等の摩擦特性に優れていることが要求され
ている。シンクロナイザリングの摺動摩擦部分に、例え
ば銅合金素地(5〜40重量%の範囲内でZn又はNi
を含む)に硬質粒子(10〜50重量%の範囲内で鉄系
金属間化合物粒子,Mo粒子,Ni基粒子の少なくとも
1種を含む)が均一に分散された銅系焼結合金を用いる
ことが知られている(特開平8−219174号公
報)。
【0003】従来のシンクロナイザリングは、高い同期
トルクが必要なときに、摩擦熱により銅系焼結合金の主
成分の銅がギヤ油中の硫黄(極圧添加剤)と反応して硫
化腐食が発生し、シンクロナイザリングの摩擦係数の低
下や摩擦面の軟化による耐久性の劣化が生ずる。また、
従来のシンクロナイザリングは、リング本体に銅系焼結
合金のテーパーコーンを圧入したものであって、溶射法
を適用することができない。そして、銅系焼結合金には
機械的強度に限界がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、摺動摩擦部
材において、溶射法及び焼結法が適用可能であり、ギヤ
油中でも高い摩擦係数が安定的に維持でき、硫化腐食を
生じないようにすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1構成は、
(a) FeMo,Mo,MoO2 のうちの1種を20〜5
0重量%、(b) 次の銅合金イ,銅合金ロのうちの1種を
3〜20重量% イ.NiもしくはZnを15〜35重量%,Alを0.
1〜10重量%,残部を銅とする銅合金、 ロ.Alを5〜20重量%,残部を銅とする銅合金、 (c) Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 ,MgO,Si3
4 ,ムライト,安定化ジルコニアのうちの1種の硬質
粒子を2〜10重量%、(d) 残部が「Cを0.1〜3重
量%,Niを3〜35重量%,Crを10〜40重量
%,Moを0.1〜20重量%,残部を鉄」とする鉄合
金、からなる摺動摩擦部材である。本発明の第2構成
は、(a) 次の銅合金イ,銅合金ロのうちの1種を3〜2
0重量%、 イ.NiもしくはZnを15〜35重量%,Alを0.
1〜10重量%,残部を銅とする銅合金、 ロ.Alを5〜20重量%,残部を銅とする銅合金、 (b) Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 ,MgO,Si3
4 ,ムライト,安定化ジルコニアのうちの1種の硬質
粒子を2〜10重量%、(c) 残部がFeMo,Mo,M
oO2 のうちの1種、からなる摺動摩擦部材である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態第1は、次の
材料(a1)〜(d) からなる摺動摩擦部材である。 (a1) FeMoを20〜50重量% (b) 次の銅合金イ,銅合金ロのうちの1種を3〜20重
量% イ.NiもしくはZnを15〜35重量%,Alを0.
1〜10重量%,残部を銅とする銅合金 ロ.Alを5〜20重量%,残部を銅とする銅合金 (c) Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 ,MgO(以上の
4種は金属酸化物),Si3 4 (セラミックス),ム
ライト,安定化ジルコニアのうちの1種の硬質粒子を2
〜10重量% (d) 残部が「Cを0.1〜3重量%,Niを3〜35重
量%,Crを10〜40重量%,Moを0.1〜20重
量%,残部を鉄」とする鉄合金 なお、材料(b) の銅合金及び材料(d) の鉄合金には、摩
擦特性等に悪影響を与えない範囲において、若干の不純
物が含まれていても差し支えない。
【0007】材料(a1),(b),(d)の粉末の粒径を100μ
以下、材料(c) の粉末の粒径を45μ以下とし、材料
(a) 〜(d) の粉末を十分混合し、溶射法又は焼結法によ
りシンクロナイザリングの摩擦面に摺動摩擦部材を形成
する。溶射法としてはガス溶射、アーク溶射、プラズマ
溶射、高速フレーム溶射などが適用できる。
【0008】(a1)のFeMoは、その中のMoが耐摩耗
性と耐焼付き性を向上させ、またFeは相手ギヤコーン
(肌焼鋼からなる)と同材質であるため、接触時の親和
力が大きく摩擦係数を向上させる。従って、FeMoは
耐摩耗性、耐焼付き性、摩擦係数の向上に寄与する。な
お、FeMoは、20重量%未満では耐焼付き性が不足
し、50重量%を超えると摩擦係数が増大し過ぎて相手
ギヤコーンへの焼付きや過剰摩耗を招く。
【0009】(b) の銅合金は、その成分からみて硫化腐
食を発生しないことが知られており、また熱伝導率が高
いので、溶射層の中に分散して存在する銅合金が摺動時
に発生する摩擦熱を母材の方へ放熱し、摩擦面の温度上
昇を抑制して焼付きを防止する。(b) の銅合金は、3重
量%未満では溶射層の熱伝導が不十分で摺動時に発生す
る摩擦熱により焼付きをおこし、20重量%を超えると
摩擦面表面での銅合金の面積比率が大きくなり摩擦係数
の低下を招く。
【0010】(c) の硬質粒子は、比較的軟質な他の成分
の間に微細かつ均一に分散しているので、摺動時に相手
ギヤコーンにこの摺動摩擦部材が押しつけられると、ギ
ヤコーン表面の微小な凹凸にこの硬質粒子が引っ掛かり
摩擦係数の向上に寄与する。(c) の硬質粒子は、2重量
%未満ではギヤコーン表面への引っ掛かりが少なくなっ
て摩擦係数の低下を招き、また10重量%を超えるとギ
ヤコーン表面への引っ掛かりが過剰になってギヤコーン
の摩耗を招くこととなる。
【0011】(d) の鉄合金は、その中の炭化物が耐摩耗
性と耐焼付き性を付与する。また、鉄合金中のFeは、
相手ギヤコーンと同材質のため、接触時の親和力が大き
く摩擦係数を向上させる。
【0012】以上のとおり、実施の形態第1の摺動摩擦
部材は、(a1)のFeMoが摩擦係数の向上をもたらし、
焼付きを抑え、(b) の硫化腐食を発生しない銅合金が摩
擦熱を放散させて摩擦面の焼付きを抑え、(c) の硬質粒
子が摩擦係数を向上させ、(d) の鉄合金が耐摩耗性を向
上させるため、摩擦係数は0.12以上あり耐摩耗性も
良好である。
【0013】本発明の実施の形態第2は、材料(a2) M
oを20〜50重量%と、実施の形態第1と同一の材料
(b) 〜(d) を同重量%含む摺動摩擦部材である。(a2)の
Moは、耐摩耗性と耐焼付き性を向上させる。そして、
Moは、20重量%未満では耐焼付き性が不足し、50
重量%を超えると摩擦係数が増大し過ぎて相手ギヤコー
ンへの焼付きや過剰摩耗を招く。実施の形態第2のその
他の点は、実施の形態第1と同様である。
【0014】本発明の実施の形態第3は、材料(a3) M
oO2 を20〜50重量%と、実施の形態第1と同一の
材料(b) 〜(d) を同重量%含む摺動摩擦部材である。(a
3)のMoO2 は、耐摩耗性と耐焼付き性に優れており、
高圧面の摺動摩耗部分において広く使用されている。そ
して、MoO2 は、20重量%未満では耐焼付き性が不
足し、50重量%を超えると摩擦係数が増大し過ぎて相
手ギヤコーンへの焼付きや過剰摩耗を招く。実施の形態
第3のその他の点は、実施の形態第1と同様である。
【0015】本発明の実施の形態第4は、次の材料(e)
〜(g1)からなる摺動摩擦部材である。 (e) 次の銅合金イ,銅合金ロのうちの1種を3〜20重
量%: イ.NiもしくはZnを15〜35重量%,Alを0.
1〜10重量%,残部を銅とする銅合金、 ロ.Alを5〜20重量%,残部を銅とする銅合金、 (f) Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 ,MgO,Si3
4 ,ムライト,安定化ジルコニアのうちの1種の硬質
粒子を2〜10重量%、 (g1)残部がFeMo、 なお、材料(e) の銅合金には、摩擦特性等に悪影響を与
えない範囲において、若干の不純物が含まれていても差
し支えない。
【0016】実施の形態第4の材料(e) の銅合金、材料
(f) の硬質粒子及び(g1)のFeMoの働きは、実施の形
態第1の材料(b) の銅合金、材料(c) の硬質粒子及び材
料(a 1)のFeMoと同じである。実施の形態第4のその
他の点は、材料(d) の鉄合金を含まない点を除き、実施
の形態第1と同様である。
【0017】本発明の実施の形態第5は、実施の形態第
4と同一の材料(e) ・(f) を同重量%と残部の材料(g2)
のMoからなる摺動摩擦部材である。実施の形態第5の
材料(e) の銅合金、材料(f) の硬質粒子及び(g2)のMo
の働きは、実施の形態第2の材料(b) の銅合金、材料
(c) の硬質粒子及び材料(a2)のMoと同じである。実施
の形態第5のその他の点は、材料(d) の鉄合金を含まな
い点を除き、実施の形態第2と同様である。
【0018】本発明の実施の形態第6は、実施の形態第
4と同一の材料(e) ・(f) を同重量%と残部の材料(g3)
のMoO2 からなる摺動摩擦部材である。実施の形態第
6の材料(e) の銅合金、材料(f) の硬質粒子及び(g3)の
MoO2の働きは、実施の形態第3の材料(b) の銅合
金、材料(c) の硬質粒子及び材料(a 3)のMoO2 と同じ
である。実施の形態第6のその他の点は、材料(d) の鉄
合金を含まない点を除き、実施の形態第3と同様であ
る。
【0019】
【実施例】実施の形態第1の実施例について説明する。
図表1Aは実施の形態第1の実施例と比較例とによる試
験片の配合組成(重量%)を示し、図表1Bは実施の形
態第1の実施例と比較例とによる試験片の試験結果を示
す。
【0020】図表1Aのそれぞれの実施例,比較例の粉
末を十分混合した後、外径30mmの円盤状のロータ
(材質SS41)の外周表面に溶融金属をプラズマ溶射
して、溶射皮膜(摺動摩擦部材)100μmの試験片を
製造した。プラズマ溶射は、溶射距離が100mmで、
ミラー社製のSG100溶射機を用い、溶射ガスとして
アルゴンを用いた。
【0021】図表1A中のCuAl銅合金は10重量%
のAlと残部がCuという組成であり、CuNi銅合金
は20重量%のNiと残部がCuという組成であり、C
uZnAl銅合金(高力黄銅)はZnが36重量%、A
lが5重量%、Niが2.4重量%、Tiが1.5重量
%と残部がCuという組成である。なお、後述の図表2
A〜6AのCuAl銅合金、CuNi銅合金、CuZn
Al銅合金の組成も図表1Aのものと同一である。
【0022】図表1Bの摩擦摩耗試験は、浸炭焼入れし
たSCM415製の平板の表面を、十点平均粗さで3.
2Zに研磨仕上げしたものを相手材とし、試験片を回転
させ、試験片の外周の溶射皮膜面を相手材に押し付けて
行い、摩擦係数と摩耗量を調べた。このときの試験条件
は、押付面圧が1kg/mm2 、滑り速度が3m/秒、
滑り距離が100m、マニュアルミッション用ギヤ油S
AE75w−90の油温が90°Cである。摩擦係数は
試験初期と終期を測定し、摩耗量は重量変化で測定し
た。
【0023】図表1Bの試験片の溶射層についての硫化
腐食試験の条件は、マニュアルミッション用ギヤ油SA
E75w−90に浸漬、油温:150°C、保持時間:
10時間であり、腐食の有無を断面の表面に腐食した部
分が認められるかどうかで判定した。摩擦摩耗試験及び
硫化腐食試験の結果を図表1Bに示す。
【0024】図表1A,1Bについて説明する。実施例
1〜11は、摩擦係数が0.13以上であり、摩擦材
(試験片)摩耗量及び平板(相手材)摩耗量はともに
0.1mg以下であって、実施例1〜11の摺動摩擦部
材は高い摩擦係数でありながら耐摩耗性に優れ、相手攻
撃性も少ないことが判明した。硫化腐食については、比
較例7は純銅を10.2重量%含むため、この純銅部分
で硫化腐食を発生したが、その他の実施例,比較例では
材料(b) の銅合金を3〜20重量%含むため硫化腐食は
発生しなかった。
【0025】比較例1は、FeMoを71.4重量%含
むため、摩擦係数は高く、摩擦熱で試験片と相手材とが
焼付きを起こし、摩擦材と平板の双方の摩耗量が多くな
った。比較例2は、Al2 3 を20重量%含むため、
初期の摩擦係数は高いが、相手攻撃性が強く、平板の摩
耗が進行した。比較例3は、溶射皮膜面に銅合金の面積
比率が大きくなったため、摩擦係数が0.1を超えなか
った。
【0026】比較例4は、摩擦係数向上のための硬質
(セラミックス)粒子が含まれていないため、摩擦係数
が0.1を超えなかった。比較例5,6は、FeMoが
含まれていないため初期から軽微な凝着を発生し、比較
例5はCuAl銅合金を11.3重量%含むため摩擦材
と平板の双方の摩耗量が多く、比較例6はAl2 3
10重量%含むため平板の摩耗量が多かった。比較例8
はCuZnAl銅合金が100重量%であって摩擦係数
向上の要素が存在しないため、摩擦係数が0.1を超え
なかった。
【0027】実施の形態第2の実施例について説明す
る。図表2Aは実施の形態第2の実施例と比較例とによ
る試験片の配合組成(重量%)を示し、図表2Bは実施
の形態第2の実施例と比較例とによる試験片の試験結果
を示す。試験片の製造の仕方及び試験方法は、実施の形
態第1の実施例の場合と同じである。図表2AのMoを
FeMoに変えると、図表1Aと非常に近似した値にな
り、図表2Aの配合の傾向は図表1Aの配合の傾向と同
じである。そのため図表2A,2Bの試験結果は、図表
1A,1Bの試験結果と同様であった。
【0028】実施の形態第3の実施例について説明す
る。図表3Aは実施の形態第3の実施例と比較例とによ
る試験片の配合組成(重量%)を示し、図表3Bは実施
の形態第3の実施例と比較例とによる試験片の試験結果
を示す。試験片の製造の仕方及び試験方法は、実施の形
態第1の実施例の場合と同じである。図表3AのMoO
2 をFeMoに変えると、図表1Aと非常に近似した値
になり、図表3Aの配合の傾向は図表1Aの配合の傾向
と同じである。そのため図表3A,3Bの試験結果は、
図表1A,1Bの試験結果と同様であった。
【0029】実施の形態第4の実施例について説明す
る。図表4Aは実施の形態第4の実施例と比較例とによ
る試験片の配合組成(重量%)を示し、図表4Bは実施
の形態第4の実施例と比較例とによる試験片の試験結果
を示す。試験片の製造の仕方及び試験方法は、実施の形
態第1の実施例の場合と同じである。
【0030】図表4A,4Bについて説明する。実施例
1〜9は、摩擦係数が0.13以上であり、摩擦材(試
験片)摩耗量及び平板(相手材)摩耗量はともに0.1
mg以下であって、実施例1〜9の摺動摩擦部材は高い
摩擦係数でありながら耐摩耗性に優れ、相手攻撃性も少
ないことが判明した。硫化腐食については、比較例4は
純銅を10.2重量%含むため、この純銅部分で硫化腐
食を発生したが、その他の実施例,比較例では材料(e)
の銅合金を3〜20重量%含むため硫化腐食は発生しな
かった。
【0031】比較例1は、Al2 3 を20重量%含む
ため、初期の摩擦係数は高いが、相手攻撃性が強く、平
板の摩耗が進行した。比較例2は、摩擦係数向上のため
の硬質(セラミックス)粒子が含まれていないため、摩
擦係数が0.1を超えなかった。比較例3は摩擦熱低減
効果のある銅合金が含まれていないため、初期の摩擦係
数が高いが、相手攻撃性が強く、平板の摩耗が進行し
た。比較例5はCuZnAl銅合金が100重量%であ
って摩擦係数向上の要素が存在しないため、摩擦係数が
0.1を超えなかった。
【0032】実施の形態第5の実施例について説明す
る。図表5Aは実施の形態第5の実施例と比較例とによ
る試験片の配合組成(重量%)を示し、図表5Bは実施
の形態第5の実施例と比較例とによる試験片の試験結果
を示す。試験片の製造の仕方及び試験方法は、実施の形
態第1の実施例の場合と同じである。図表5AのMoを
FeMoに変えると、図表4Aと非常に近似した値にな
り、図表5Aの配合の傾向は図表4Aの配合の傾向と同
じである。そのため図表5A,5Bの試験結果は、図表
4A,4Bの試験結果と同様であった。
【0033】実施の形態第6の実施例について説明す
る。図表6Aは実施の形態第6の実施例と比較例とによ
る試験片の配合組成(重量%)を示し、図表6Bは実施
の形態第6の実施例と比較例とによる試験片の試験結果
を示す。試験片の製造の仕方及び試験方法は、実施の形
態第1の実施例の場合と同じである。図表6AのMoO
2 をFeMoに変えると、図表4Aと非常に近似した値
になり、図表6Aの配合の傾向は図表4Aの配合の傾向
と同じである。そのため図表6A,6Bの試験結果は、
図表4A,4Bの試験結果と同様であった。
【0034】図表7は実施の形態第1〜第6の配合組成
(重量%)と試験結果を纏めたものである。この図表か
ら、耐摩耗性は実施の形態第3と第6が特に良好であ
り、耐焼付き性は実施の形態第2と第5が特に良好であ
り、いずれの実施の形態も硫化腐食が発生しなかったこ
とが分かる。
【0035】
【発明の効果】請求項1及び2の摺動摩擦部材は、溶射
法及び焼結法により製造することができ、硬質粒子及び
FeMo,Mo,MoO2 の内の1種が適量含まれてい
るので、ギヤ油中でも高い(0.12以上)摩擦係数が
安定的に維持できる。また、請求項1及び2に含まれる
銅合金は、硫化腐食を発生しない性質を有するものであ
って、請求項1及び2の摺動摩擦部材は硫化腐食を生じ
ない。しかも、FeMo,Mo,MoO2 及び請求項1
及び2に含まれる銅合金は焼付きを抑え、請求項1及び
2に含まれる鉄合金は耐摩耗性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】本発明の実施の形態第1の実施例と比較例と
による試験片の配合組成(重量%)を示す図表である。
【図1B】本発明の実施の形態第1の実施例と比較例と
による試験片の試験結果を示す図表である。
【図2A】本発明の実施の形態第2の実施例と比較例と
による試験片の配合組成(重量%)を示す図表である。
【図2B】本発明の実施の形態第2の実施例と比較例と
による試験片の試験結果を示す図表である。
【図3A】本発明の実施の形態第3の実施例と比較例と
による試験片の配合組成(重量%)を示す図表である。
【図3B】本発明の実施の形態第3の実施例と比較例と
による試験片の試験結果を示す図表である。
【図4A】本発明の実施の形態第4の実施例と比較例と
による試験片の配合組成(重量%)を示す図表である。
【図4B】本発明の実施の形態第4の実施例と比較例と
による試験片の試験結果を示す図表である。
【図5A】本発明の実施の形態第5の実施例と比較例と
による試験片の配合組成(重量%)を示す図表である。
【図5B】本発明の実施の形態第5の実施例と比較例と
による試験片の試験結果を示す図表である。
【図6A】本発明の実施の形態第6の実施例と比較例と
による試験片の配合組成(重量%)を示す図表である。
【図6B】本発明の実施の形態第6の実施例と比較例と
による試験片の試験結果を示す図表である。
【図7】本発明の実施の形態第1〜第6の配合組成(重
量%)と試験結果を纏めた図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16D 23/06 F16D 23/06 D 69/02 69/02 F Fターム(参考) 3J056 AA12 BA02 BE05 BE17 CA03 EA03 EA13 EA22 EA28 FA07 FA09 GA05 3J058 BA76 GA44 GA45 GA46 GA49 GA50 GA93 GA94 4K018 AA22 AA32 AB01 AB03 AC01 AD09 BA02 BA09 BA15 BA16 BD09 KA02 4K031 AA02 AB02 AB08 CB11 CB12 CB14 CB22 CB23 CB28 CB29 CB33 CB42 DA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) FeMo,Mo,MoO2 のうちの
    1種を20〜50重量%、(b) 次の銅合金イ,銅合金ロ
    のうちの1種を3〜20重量% イ.NiもしくはZnを15〜35重量%,Alを0.
    1〜10重量%,残部を銅とする銅合金、 ロ.Alを5〜20重量%,残部を銅とする銅合金、 (c) Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 ,MgO,Si3
    4 ,ムライト,安定化ジルコニアのうちの1種の硬質
    粒子を2〜10重量%、(d) 残部が「Cを0.1〜3重
    量%,Niを3〜35重量%,Crを10〜40重量
    %,Moを0.1〜20重量%,残部を鉄」とする鉄合
    金、からなる摺動摩擦部材。
  2. 【請求項2】 (a) 次の銅合金イ,銅合金ロのうちの1
    種を3〜20重量% イ.NiもしくはZnを15〜35重量%,Alを0.
    1〜10重量%,残部を銅とする銅合金、 ロ.Alを5〜20重量%,残部を銅とする銅合金、
    (b) Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 ,MgO,Si3
    4 ,ムライト,安定化ジルコニアのうちの1種の硬質
    粒子を2〜10重量%、(c) 残部がFeMo,Mo,M
    oO2 のうちの1種、からなる摺動摩擦部材。
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